NM Syndrome DiaryINDEX|past|will
読書には読み時というかタイミングがあるようだ。 どうにも気が乗らなくて読み進められず中途半端に積読になっていた本がある日すらすらと先を追えるようになる。 その世界に没頭できる。 無理やりに読まずともあっという間に読了している。 そんなことがある。 好きで買った本なのに無理やり読むというのもおかしな話だけど、どんどん山になっていく積読本を見ると無性にその山を減らしたくなるのよ。 ただ、残念ながら手に取った本に必ずしも食いつけるわけでもない。 20ページくらい読んでダメだと断念しまた積読の山に戻したものが何冊あることか。 その中の1冊「たかが殺人じゃないか」 いや、副題も付け加えるべきだろう。 それがこの本の肝だから。 〜昭和24年の推理小説〜 戦後まもなくの名古屋の風俗、映画、闇、戦争の爪痕、人々の心に残る傷・・・・・それらが混然と濃密に描かれている。 80歳を過ぎた辻真先がどうしても書いておきたかったのだろうと思われる名古屋の風景。 正直言えばちょっと長いしくどかった。 わかるけど、わかるけども本筋から逸れた映画の話とか当時の風景とかが多くて焦れてしまった。 二つの殺人はどうなったのよ、と。 でもそれを含めて昭和24年という時代なんだということもわかる。 もしかしたら、そもそも殺人事件などいらなかったのでは?とも思わないでもないけれども。 この作品の前日譚になる「深夜の博覧会」を読んでいたのでその時の主要人物である那珂一兵と別宮操、犬飼警部が出てきたのは嬉しかった。 と同時に嫌な予感も。 そして予感的中。 ・・・・・・・・ん?いやそこから反転する?あれ? ああ、そういうことか。 だから青春ミステリなんだ。 良かったよお。 密室に見せたトリックは少々アクロバティックで無理あるだろうし2つ目もそこまでしなくても?な気がする。 ただそういうのもひっくるめても私は面白かったな。 別の世界に連れて行って貰ったもの。 読んでいる間中、ずっと戦争の影が色濃い名古屋の街にいられた。 それで十分だ。 それにしても操さん好きだ。 いっちゃんも好き。 2人が出てくる話はまだあるのかしら。 探してみよう。
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