2005年06月08日(水)  歩いた、遊んだ、愛知万博の12時間

■昨夜は亜紀ちゃんちの新聞で愛知万博の下調べ。「11時からイエメン館でショーがあるって」「よし、それに行こう」。平日とはいえ長い列を待った後に10時過ぎに入場し、まっすぐイエメン館をめざすと、すでに人が集まりはじめていた。係員がロープを張ると、運良く最前列に。そのうち押すな押すなの人だかりになって列の後方へ後方へと追いやられていく。「すごい人気なんだね、イエメンショー」と期待が高まっていると、係員が「お見えになったらしゃがんでください」と声を張り上げる。なぜ、ダンサーに尊敬語?この時点で、場を仕切っている人たちがなぜか黒いスーツに黒いバックパック、インカムという出で立ちであることに気づく。と、イエメン館ではなく、お隣のカタール館から姿を見せたのは、わが国の皇太子様。人々の熱気と興奮の理由がようやく腑に落ちる。結局、イエメン館では商魂たくましい兄ちゃんと買い物ゲームの末、値札のついていない指輪を2400円に値切って買う。■企業館、ドイツ館といった人気パビリオンは、人が少なくなるという夕方以降を狙うことにし、すいすい入れるパビリオンを梯子することに。写真を並べただけの面白みのない展示もあるが、どのパビリオンにも思わぬ掘り出し物が待ち受けていて、目が離せない。インド館では、現地のものと思しき漫画をデザインした「マニーシュアローラ」のワンピースに釘付け。キャンディなどの包み紙が色鮮やかな鶏のオブジェやバッグに生まれ変わるアフリカ共和国のリサイクルアートも感動もの。メキシコ館内では、「海は波によって測られる 空は翼によって わたしたちは涙によって」というハイメ・サビーネスの詩に心を打たれた。冷凍マンモスに長蛇の列がつく一方で、エチオピアのブース前に「Lucy is here」と手書きの貼り紙があり、人類最古の骨格化石「ルーシー」が淋しそうに体をさらしている。いくつかのパビリオンで取り上げられていたケツァル鳥は「一生に一羽と添い遂げる」「自由を奪われると死ぬと言われる」鳥で、物語のモチーフになりそう。特に良かったのは、自分で楽器や万華鏡を操作できるチェコ館、遊びながら技術のしくみを学べるイギリス館、1時間に1度のタンゴショーを堪能できるアルゼンチン館。死海体験ができるヨルダン館で見学者が目にするのは、「プールに浮く水着姿の知らない男女」。ところで、万博ガイドによると、今日は「チャドの日」。何かチャドの特別な催しをやっているかも、とアフリカ共同館にあるチャドのブースを探し当てると、そこはもぬけの殻で、「チャド共和国」のプレートだけが掲げられている。隣のブースにいる案内係のお姉さんに「チャドのブースはどこかに出張してるんですか」と聞くと、「いえ、まだ着いてないんです」「じゃあ、この状態は……」「チャド待ちです」。チャド待ちという響きがおかしくて、亜紀ちゃんと大笑い。今頃愛知目指して向かっているのか、それとも開催期間を忘れているのか。チャドの日は見事に飛んだけど、わたしと亜紀ちゃんには、かえって忘れられない国になった。■ショーは愛知県館『地球タイヘン大講演会』と亜紀ちゃんが大ファンの石井竜也が総合プロデュースする『The Forest Fairy's Ball 〜精霊たちの森林舞踏会〜』を観る。愛・地球博ということで、どちらも環境問題を取り上げた作品。メッセージがストレートすぎて、ちょっとおなかいっぱい。でも、地球タイヘン〜の「温暖化で氷が解け、5,000年の眠りから覚めたミイラ『アイスマン』」から「5,000年後の地球」を考えさせる視点は面白かった。■屋外での大道芸ショーはかなり楽しめて、見始めると最後まで見てしまう。目が後ろにもついているようなオランダのフレディのボール芸。技よりもトークで沸かせるドイツのオーパスフォーレは、ミッチ&マイクのペア。クラウンCHANGの玉乗り芸にも圧倒される。サツキとメイの家に続く遊歩道をぶたぶら散歩したり、各国パビリオンでちょこちょこ食べたり、何時間いてもやることはいくらでもあるけれど、12時間も歩き回って、足はくたくた。

2002年06月08日(土)  P地下
2000年06月08日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)


2005年06月07日(火)  友を訪ねて名古屋へ

小学校6年のときのクラスメート、亜紀ちゃんから「万博おいでよ」の誘いを受け、ひさびさの名古屋へ。平日なら空いているかと思いきや、月曜に行った父親が「混んでた」と言うので、週の真ん中、水曜を狙うことにして前日の今日、名古屋入り。

亜紀ちゃんの仕事が終わるまでの間、元同僚の勝目のお宅を訪問。おませな長女ちゃんを幼稚園まで迎えに行ったあとは、遊んであげているのかもらっているのか。「きのこの唄」のCDを聴いたり、神経衰弱風カードゲームをしたり、ケーキを食べたり。合間に、生まれて数か月の長男君をあやす。「遊ぼうよー」のリクエストを交わしながら、共通の友人「アラスカまこと」(アラスカに住んでいるまことなので)が先日『地球ぽかぽか家族』に出演した録画も観る。

入社した頃、東京にほとんど友人のいなかったわたしに勝目が紹介してくれた友人たちは、ずっとつきあいたい魅力的な人が多い。シナリオ作家の叔父・勝目貴久氏も紹介してくれたおかげで、シナリオ作家協会に入れてもらえた。『子ぎつねヘレン』の話をしたら、「うちの叔父さん、『仔鹿物語』の脚本書いてたよ」。

夜は「幸せなナンのお店」と亜紀ちゃんがおすすめする『ムガル』へ。野菜を練りこんだナンは、ほくほくしていて、カレーなしでも進む。今サイトを見ると「火曜・木曜はナン食べ放題」。そうだったのかー。

「この後どっか行きたいとこある?」と聞かれ、『ヴィレッジ・ヴァンガード』をリクエスト。名古屋発の本屋+雑貨屋さん。東京にもシモキタなどにあるらしいけど、やはり本家を見ておきたくて。チョコレートの隣にチョコレート事典があったり、ランプコーナーに明かりの本があったり、連想ゲーム的なディスプレイが面白くて、1時間ほど回遊。荷物にならないステッカーと「葉っぱにメッセージが出ている」という種を買う。雑貨も図書券で買えるのがステキ。

2004年06月07日(月)  絨毯ひろげて岐阜県人会
2002年06月07日(金)  ドキドキの顔合わせ


2005年06月06日(月)  ニューオーガニックレストラン『orto』

■同僚E君、T嬢と職場近くのホテルプレシデント青山の1階にあるニューオーガニックレストラン『orto』でディナー。前菜、サラダ、メイン、自家製パン、デザート、食後のドリンクにまで至れり尽くせりのコースディナーと、3人でスパークリングワインを一本空け、一人2,000円。お店で食事した人対象のプレゼントキャンペーンに応募して当てた「ディナー招待券」でディナー2人分とワイン1本をふるまわれたので、このお値段。ごちそうしてもらったから褒めるわけじゃなく、「こんどは自腹で来ようね」と言い合えるほど、野菜のたくましさをしっかり味わえて、大満足。
■このorto、オープンしたのは昨年秋だけど、わたしが知ったのは今年の春。お代わり自由の十二穀米と具沢山味噌汁が魅力の日替わり和仕立て膳に惹かれて、多いときには週3日ペースで通っている。有機野菜やお米を噛み締めていると、体にいいことしているような気がしてくる。ホテルの中にあるので、天井が高く、サービスが洗練されているのもいい。併設されているカフェ&バー『arietta』も落ち着ける雰囲気で、ケーキもなかなかおいしくておすすめ。同僚たちと「プレジの一階行く?」と誘い合っているのだけど、正式には「プレジデント」ホテルではなく「プレシデント」だそう。

2004年06月06日(日)  レーガン元大統領、逝去。
2002年06月06日(木)  同窓会の縁


2005年06月05日(日)  2人×2組の恋の映画『クローサー』

■公開二日目の『電車男』を観ようと池袋へ出たら、長蛇の列。しかも明らかに小学生・中学生が大勢。ならば『ミリオンダラー・ベイビー』はどうだ、『オペレッタ狸御殿』はどうだ、『四日間の奇蹟』はどうだ、と池袋に数ある映画館を回っていくが、どこも満席だったり時間が合わなかったり。岡本喜八特集をやっている文芸座を過ぎ、たどり着いたシネマ・ロサで『クローサー』を観ることに。予告は観ていたものの、見たいリストにはランクインしていなかった。戯曲が元になっていて、登場人物は男女2人ずつ。これですべてと言っていいほど。この2組4人が繰り広げる男女の駆け引きを楽しむ台詞劇。英語で誰かを口説きたい人には、殺し文句のいい勉強になりそう。「あなたは誰かのもの」は、「You are taken」。個人的にはイギリス版出会い系サイトでのチャットシーンが面白かった。「your」を「ur」、「are you」を「ru」と書き、最後には「xxxxxxxxxxxxxxxxxxx」とキス(x)の嵐。アメリカに留学したとき、トイレの落書きに「2gather 4ever」とあるのを見て、together foreverをこう書くのかーと感心したことを思い出した。日本の顔文字とは逆の、省略の発想。全体的にはくっついたり離れたりこじれたりが延々起こるストーリーなのだけど、ナタリー・ポートマン演じるAliceの名前の由来が伏線になっていたのは良かった。とってもキュートだったナタリー・ポートマンは、『レオン』のマチルダちゃんなのですね。

2004年06月05日(土)  『ジェニファ 涙石の恋』初日
2002年06月05日(水)  シンクロ週間


2005年06月03日(金)  劇団浪漫狂『ピカレスクpp行進曲』

観れども観れども知らない劇団があるもので、今日は劇団浪漫狂第22回公演『ピカレスクpp(ピアニッシモ)行進曲』を観る。

ジュスカを応援されている漫画家のさかもと未明さんが歌を披露されるということで、ナルミヤインターナショナルの成宮会長に誘っていただき、ジュスカのプレス担当・森崎さんとともに鑑賞。

幕が開き、未明さんがノリノリで歌ったそこはナイトクラブ。純朴な田舎青年の従業員が、店で働く中国籍の女の子と偽装結婚の罠にはめられ、計算外の恋に落ちてしまい窮地に追い込まれるという切ないラブストーリー。

脚本・演出・主演の中村隆天さんの「芸」とも呼べる小ネタ満載の演技に感心。「飛行機のタラップ」や「アフリカの生まれたての子ヤギ」の物真似はかなりおかしい。ところどころ脇道にそれて笑いを取りながらも、泣けるストーリーは進行していて、なかなかしたたか。欲を言えば、主人公カップルのハッピーエンドを白髪になった二人の後ろ姿で見せたのは、声だけの出演のほうが想像力をかきたてたのではと思う。

きれいな子がやたら出演していたが、客席の美女(美少女)率の高さも際立っていた。彼女たちも舞台に立っているのか、連れ立って来た美少女軍団は、それっぽい会話。

劇団名は『劇団浪漫狂時代』『劇団浪漫狂チャンネル』を経て、2004年、『劇団浪漫狂』と改めたそうだが、常に変わらない「浪漫狂」には「夢を見ることすら夢に終わるこの時代に、全ての人が浪漫に狂える選択肢を」という思いが込められているよう。

夢と浪漫は大事、だいじ。成宮会長もこの二つを胸に秘めた人で、アフターシアターのラ・ビスボッチャでは、「金をかければ夢はある程度かなえられてしまうけど、それじゃ浪漫がない」という話で盛り上がった。だから、ジュスカはお金をなるべくかけずに、愛情で育てていきたいのだそう。わたしが作品を宣伝するときの気持ちと通じるものがあって、うれしくなる。

2003年06月03日(火)  海南鶏飯食堂(はいなんじーふぁんしょくどう)
2002年06月03日(月)  きる ふぇ ぼん
2000年06月03日(土)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)
1979年06月03日(日)  4年2組日記 先生の家


2005年06月01日(水)  映画『子ぎつねヘレン』撮影中

■『ジェニファ 涙石の恋』ぶりとなる今井雅子脚本映画『子ぎつねヘレン』が5月中旬にクランクイン。現在北海道網走にてロケ中。映画『パコダテ人』、テレビドラマ『彼女たちの獣医学入門』、ラジオドラマ『雪だるまの詩』『タカラジマ』あわせて5本目となる北海道作品。そして、はじめての松竹全国公開作品。監督は『古畑任三郎』シリーズや『白い巨塔』を手がけた共同テレビの河野圭太さん。撮影と照明は『パコダテ人』でご一緒した浜田毅さんと松岡泰彦さん。主人公はもちろんキツネ(!)。と、獣医の矢島(大沢たかお)と一人娘の美鈴(小林涼子)、恋人でカメラマンの律子(松雪泰子)と一人息子の太一(深澤嵐)。人間とキツネという「親子」だけでなく、二人×二組の「親子」もテーマです。獣医一家を取り巻く登場人物として、藤村俊二、吉田日出子、阿部サダヲらが出演。どんな味を醸し出してくれるのでしょう。松竹では、『クイール』を超えるヒットをめざす意気込み。2006年春の公開に向けて、いまいまさこカフェも宣伝開始。まずは昨日深夜メルマガ『いまいまさこカフェ通信』を創刊。発行元を直前に変更したので、登録申請が間に合わなかった方々、ごめんなさい。創刊号はこちらで読めます。これからもへレン情報を発信していく予定なので、よかったら読者登録を。
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★【4/27付サンスポ】純愛男・大沢たかおが魅せる"動物、家族愛"映画
★【
5/31付サンスポ】松雪泰子が「子ぎつねヘレン」で3年半ぶり映画出演


原作『子ぎつねヘレンがのこしたもの』
映画の原作は、獣医の竹田津実さんが自らの体験を綴った『子ぎつねへレンがのこしたもの』。笑いあり、涙あり、最後にじんわり優しい余韻を残してくれます。写真家でありエッセイストでもある竹田津先生のユーモアたっぷりの語り口と、かわいらしいヘレンの写真も魅力。ヘレンをはじめ入院患者たちの一瞬のいい表情をとらえた写真の数々は、ファインダー越しに注がれる動物たちへの愛情を感じさせます。同じく竹田津先生の書かれた『写真記 野生動物診療所 森の獣医さんの動物日記』もおすすめ。どちらもふりがなが振ってあるので、小学生から読めます。親子の会話が弾むきっかけになりそう。

2004年06月01日(火)  歌人デビュー本『短歌があるじゃないか。』
2002年06月01日(土)  フリマ
2000年06月01日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)
1979年06月01日(金)  4年2組日記 日記のざいりょう


2005年05月31日(火)  G-up presents vol.3『Deep Forest』

川上徹也さんに紹介された赤沼かがみさんの演劇プロデュース会社G-upのプロデュース公演vol.3『Deep Forest』を観る。

『金魚鉢の中で』(2004年10月9日)のほさかよう脚本、『お父さんの恋』(2005年3月26日)の板垣恭一演出の顔合わせ。童話『ヘンデルとグレーテル』を下敷きにした物語がどこへ向かっていくのか、観客も深い森に投げ込まれ、結末という出口を探っていく。

お菓子の家。魔女。迷子の兄妹。出てくるモチーフは覚えのあるものなのに、登場人物に背負わせるものを加えたら、まったく新たな物語が生まれる。「キャラクターづけが脚本の命」のお手本のよう。27才のほさか氏、前作よりさらに力をつけているようで、ますます楽しみ。

役者さんは女性の三人がとくに光っていた。魔女役の楠見薫さん、抜群にうまい。見得を切ったりすごみをきかせたりのメリハリ芝居の末に見せたラストでの微笑みは本当に美しく神々しかった。川上さん脚本の『隣のベッド』(2002年10月12日)で外国語ペラペーラの一発芸演技が強烈だった人だ、と途中で気づく。グレーテルとエデンの2役はナイロン100℃の新谷真弓さん。とにかくキュートでずっと見ていたいキャラクター。一緒に観た女優・鈴木薫いわく「あの役は一歩間違えたらイヤミになるから、相当の力ですよー」。ナイロン、ますます観たくなる。チラシの束の中にあった劇団健康(ナイロンの前身)の12年ぶりにして第15回公演『トーキョーあたり』も気になる。魔女の友人役・劇団扉座の伴美奈子さんも、いい人と悪い人のぎりぎりのところをうまく演じていて、目が離せなかった。

謎の男に演劇集団キャラメルボックスの細見大輔さん。この顔には見覚えが……テレビかな。上杉祥三さんプロデュースの『BROKEN ロミオとジュリエット』で露見央、『クレオパトラの鼻』(2004年1月28日)で大黒天だった井之上チャルさんは、エデンのやんちゃな友人役。最初は少年に見えなかったのに、だんだん少年にしか見えなくなってきたヘンデルはChintao Record山中崇さん。山中さんと村人の小橋川健治さん(絶対王様)は『やわらかい脚立』(2005年3月11日)で拝見。

村人の松嶋亮太(tsumazuki no ishi)、川渕良和さんのお芝居は多分初めて。差別化が難しい村人役だけれど、三人の台詞のたたみかけで村の世論が暴走していく怖さを表現していた。全員がはまり役。

上演は新宿スペース107にて6月5日まで。チケットまだ余裕あるようなので、ぜひ。

2002年05月31日(金)  ワールドカップ
2001年05月31日(木)  2001年5月のおきらくレシピ
1979年05月31日(木)  4年2組日記 先生ずるい


2005年05月30日(月)  脱力系映画『イン・ザ・プール』

■渋谷シネセゾンにて『イン・ザ・プール』を観る。『ジェニファ 涙石の恋』でご一緒したプロデューサーの橋本直樹さん、佐々木亜希子さんが手がけた作品。奥田英朗さんの原作は読んでいないが、月刊シナリオに掲載された脚本が軽妙で楽しめたので興味をそそられた。平日の昼間にしては客席はほどよく埋まっていて、観客のボリューム以上の笑い声が起こる。百人しか入っていないのに二百人入っていると錯覚させるような反応の良さ。松尾スズキ扮する伊良部医師のとぼけ具合が脱力感を誘い、観客はつい肩の力を抜いてしまう。その結果、劇中に仕掛けられた笑いがことごとくツボにはまる図式。病んでるオダギリジョー、田辺誠一、市川実和子らもいい味で、真面目にやるほど笑いを誘う。脚本も手がけた三木聡監督の次回作は、『亀は意外と早く泳ぐ』。予告編は、どこかずれてる空気が漂っていた。こちらもプロデューサーは佐々木亜希子さん。

1979年05月30日(水)  4年2組日記 男子べんじょ


2005年05月29日(日)  『昭和八十年のラヂオ少年』を祝う会

「『昭和八十年のラヂオ少年』完成のお祝いをしましょう」と昭和三年生まれのお医者様、余語先生が会を設けてくださる。先生には時代考証からフーちゃんの病気のことからずいぶん相談に乗ってもらったので、こちらがお礼すべき立場なのだが、いつものように甘えてしまった。

先生の同級生のT氏、K氏とともに銀座ハゲ天本店へ。ハゲ天は余語先生と同じ昭和三生まれの創業七十五年。当初は『たから』の屋号だったが、初代がハゲ頭だったことから、いつとはなしに『ハゲ天』の名が定着したとか。「ハゲの天ぷら屋」と親しまれるうちに縮まったのだろうか。

T氏の奥様が留守のときにT邸で集まる「洗濯の会」(「鬼の居ぬ間に洗濯」にちなみ今夜命名)で何度かご一緒しているK氏は、元NHK記者。音だけの取材時代、自分で8ミリを回して編集した時代など、この方の経験自体が生きる放送史だったりする。ちなみにラヂオ少年の感想は「前半があわただしくて入り込むまでが大変でした」とのことだが、後半はお楽しみいただけた様子。

知的好奇心旺盛、それでいて三者三様の視点を持った三人と話していると、わたしの知らない引き出しが次々と開き、次は何が飛び出すのかと楽しくてしょうがない。わたし自身の備忘録も兼ねて、今宵の話題を書き記しておこう。
【女流画家・三岸節子の生きる力】
19才で画家の三岸好太郎と結婚。彼も才能に溢れていたが31才で病死。夫の女性関係に悩んでいた節子は「これで生きていかれる」と言った。今よりも女流画家にとって逆風の時代に絵で身を立て、60代後半で渡仏、20年のパリ暮らしを経て帰国。93才で亡くなるまで絵筆を握る。絶筆となった『さいた さいた さくらが さいた』にも生命力がみなぎっている。先日の展覧会を見たT氏は「さくらさくらの絵を見る人々を見ていたんですよ。そしたら、皆さん、ふっと微笑まれるんですね。よく最後まで描ききった、生ききったなって顔で絵を見るんです」。

【植草一秀元教授の手鏡覗き事件は冤罪か否か】
手鏡で女子高生のスカートの中を覗いたとして逮捕され、早大大学院の教授の職を失った植草一秀氏の経済講演会に出席したT氏の目的は、「彼が本当にあんなことをしたのか見極めるために、彼の話を聞きたかった」。逮捕激は、植草氏の反対派が彼を貶めるために仕組んだものとする主張について、T氏が持ち帰った講演会の資料をもとに「植草氏の唱える経済論がそれほど危険なものかどうか」を議論するが、資料の内容は別段過激とは思えない。冤罪であれば怖いが、真実は本人にしかわからない。

【信濃デッサン館と無言館】
余語先生と出会った直後に館長である窪島誠一郎氏の本を借り、深い感銘を受けた『信濃デッサン館』が資金難のため閉鎖されるというニュースを聞いたのですが……とわたしが振ると、「まだご覧になっていないですか。日帰りでもすぐ行けますよ」と余語先生。先生に言われて行ったというT氏は、デッサン館はもちろんのこと、無言館の作品の力に圧倒されたとか。「これから出征する者が生きた証を残そうとする気迫がこもっていて、あれを見た後に銀座の画廊に行っても何も感じませんでした」。

【陪審員と裁判員と調停員】
翻訳劇を観に行って途中で出てきた余語先生とT氏が「アメリカの村々をめぐる話をそのまま訳したって、日本人にはどこがどこだかさっぱりわからない」。「翻訳したものを日本を舞台にした形に脚色すれば面白かったかもしれません。でも、『十二人の怒れる男』は半世紀も昔のアメリカが舞台なのに、陪審員たちの心理劇の面白さで楽しめましたね」とわたし。そこから裁判員の話になり、自分に回ったらどうしようと議論。そういや家庭裁判所などでは裁判官とペアになって示談交渉などを進める調停員という職業があって、元同僚がやっていますよとK氏。もしかしたらネタになる話が聞けるかもしれませんよということで、ネタになるかどうかはともかく、今度皆でその調停員氏を囲みましょうと話す。

【ハンセン氏病の誤解】
穏やかな余語先生、ハンセン氏病の話になると熱い。先日も熊本の隔離施設を見学した際、案内の人が施設の歴史についてあまりに不勉強なことを叱責したとか。「そういえば、ハワイの隔離施設に住み込みで働いていた神父が感染し、死亡したという実話に基づいた芝居が以前上演されましたね」とわたしが言うと、もちろんご存知で、「あれはけしからん芝居です!」と一喝。「大人が感染する確率は極めて低く、本当にハンセン氏病だったのかも疑わしい。そのことを台詞で断らなかったあの舞台は誤った認識を植え付けてしまった」と劇場側に抗議したところ、応対した担当者は「そのような事実は知りませんでした」と回答したそう。余語先生、シネスイッチで観た『愛の神エロス』についても「あの劇場があんなものをかけるとは!」とご立腹だった。

【岩波ホールの『山中絵巻』】
岩波ホールというのは面白い映画をかけますねーという話になり、余語先生は先日観た『山中絵巻』を紹介。牛若丸と常盤御前の母と子の物語を描いた絵巻にストーリーをつけ、映画で絵巻を鑑賞するという試みが面白そう。今かかっている『ベアテの贈りもの』は、日本国憲法の草案作成の際に「男女平等」の文言を加えたベアテ・シロタ・ゴードンの生涯をドキュメンタリー映像を交えて描いたもの。「あれは観てみたいですね」と皆興味津々。

【高層マンションと生活のにおい】
高層マンションの16階に引っ越したK氏。窓を開けると東京湾が一望できる。「でも、生活のにおいが上がってこないんです」。子どもたちの声、物売りの音などが聞こえて来ず、日々の営みははるか下にあって不思議な感覚なのだとか。俗世間と切り離された21世紀の仙人とでも言おうか、この台詞、何かドラマのにおいを感じる。

【超高齢と東京都シルバーパス】
「われわれはチョー高齢なんですよ」と誇らしげなお三方。「え、そんな言葉あるんですか?」。チョーと言えば若者の言葉だと思っていたが、「超高齢」は役所などでも普通に使われているのだとか。なんだか超高速みたいでカッコいいですねと話す(家に帰ってネットで調べると、超高齢の定義はあいまいで、85才以上、90才以上と様々。75才は超がつくにはまだ若いのでは)。東京都では70才を超えると、都営バス・地下鉄・都電に乗り放題のシルバーパスの交付を受けられるが、非課税者は年間1000円で購入できるのに対し、富める課税者は「年間2万ン千円も取られるんです」と余語先生。ほとんど毎日外出し、十分元は取っていると思われる。

他にも「除細動器」「乗馬」とあっちの引き出し、こっちの引き出しが次々と開き、食事を終えても話は止まない。わたしはよく覚えていないが、余語先生にはじめて会ったとき、「わたしに刺激をください」と口走ったらしい。その一言を強烈に覚えている余語先生は、いつも「いい刺激になりましたか」と聞いてくれる。今宵もたっぷりいただきました。

2004年05月29日(土)  幸せのおすそわけ
2002年05月29日(水)  SESSION9
1979年05月29日(火)  4年2組日記 お母さんのおてつだい


2005年05月28日(土)  このごろの通販ショッピング

■去年、西武百貨店の子ども服売場で一目惚れしたスペインのアガタルイス(ルイーズ?)デラプラダのお店がなくなって嘆いていたら、先日せらママが「通販で買えるとこ見つけたわよー」と教えてくれた。ヨーロッパの子供服を集めたオンラインショップVIOLETTAを早速のぞいてみると、わたし好みのハートと色があふれた服があるある!7色ハートのトップスにハート鷲づかみ。去年買ったワンピースが12才サイズだったので大丈夫かなと思いつつ、サイズについて問い合わせたところ、「14才サイズなら余裕だと思います」と親切な返事が来て即決。包装もシンプルだけど可愛くて、「感じのいいお店」。6月には新作入荷とのことで、また誘惑されそう。


■同じくせらママに「今井さんが日記で紹介してたバッグ可愛いよねー」と言われて、ひさびさにBG SHOPをのぞいたら、60〜70年代のオランダのデッドストック生地で作った花柄トートに釘付け。ヴィヴィッドでいてどこか懐かしさを覚えるデザイン。雑誌も楽々入るサイズで、シナリオやら資料やらを持ち運ぶのにうってつけ。BG SHOPの別館、FREE BG SHOPは無料のWEB素材集。雑貨同様、センスのいい壁紙やボタンが充実。いまいまさこカフェは大変お世話になってます。

イマージュは学生時代から愛用している通販ブランド。神戸発らしい元気な色使いと遊び心のあるデザインが魅力。インナー中心だった昔に比べると、アウターは帽子から靴まで取り揃え、雑貨ラインナップもぐぐっと充実。季節ごとに届くカタログを眺めていると、欲しい物だらけで困るので、気になる商品のページの耳を折って、時間を置いて再検討して、やっぱり「欲しい!」ものをネットから申し込む。今回は金平糖柄のワンピース(7900円)とストライプスカート(5900円)とスリッポンタイプのらくちんシューズ(1900円)を購入。デザインだけでなく、お値段も可愛め。

■通販ショッピングではないけど、プレゼントで当選したジュスカのジャケットも到着。成宮会長のブログ目当てにサイトを訪ねた際、途中にあったプレゼントコーナーに寄り道して応募。サイトに掲載されていた写真もステキだったけど、届いた実物を見て、「こんなジャケットが欲しかったのよー」と万々歳。花の刺繍、ハートのスティッチ、花柄生地のパイピングとかなり凝ったつくり。お世辞抜きで、ここの服はフォルムといい小ワザ使いといい、わたしの理想を形にしてくれてます。ジュスカのお求めはこちらのショップにて。

2004年05月28日(金)  日本映画エンジェル大賞授賞式
1979年05月28日(月)  4年2組日記 がっけんのふろく

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