2004年05月28日(金)  日本映画エンジェル大賞授賞式

森岡利行さんから「『路地裏の優しい猫』が日本映画エンジェル大賞取りました」の知らせを聞いて、一か月。大手町の銀行倶楽部にて授賞式とパーティーがあった。これからの映画界を担う可能性を秘めたプロデューサーに贈られる賞の第3回で、今回は大賞が2人。森岡さんは「劇団主宰ということはプロデューサー能力がある」と評価されたよう。もう一人は、榎本憲男さん(企画名『愛と笑いの夜(仮)』。元テアトル新宿支配人で、テアトル池袋を拠点とした映画レーベル『ガリンペイロ』を提唱、『1980』はじめプロデュース作品も多く、劇場でお客さんを見て培われたプロデューサー眼も見込まれての受賞。

佳作2名は、亀田裕子さん(企画名『BLINDED BY THE LIGHT〜まぶしくて見えない〜』)と望月徹さん(企画名『アカペラ』)。亀田さんは演出助手、制作担当を経てラインプロデューサーという経歴。「(現場で終わるのではなく)作った後まで作品を見届けたかった」のが応募のきっかけ。望月さんは農林中央金庫を経て現在はビジネスプロデュースのお仕事。異色ならではの未知数の部分に期待が寄せられた。いずれの企画も「実現性が高そう」なことも評価につながったよう。

過去2回の受賞企画は形になったんだろうかと知りたくなったら、これまでの受賞者本人から進行状況の報告があった。シナハンの様子やプロデューサーインタビューをビデオにまとめた『ミッドナイトイーグル』(企画者:河原一久さん、鈴木勉さん)は海外の制作会社も企画に関心を寄せているとか、『カーテンコール』(企画者:臼井正明さん)は佐々部清監督でこれから撮影とか、塩田明彦監督が脚本も手がけた『カナリア』(企画者:松田広子さん)はもう撮ったとか、どれも企画倒れにならず着々と動いている。企画の確かさはもちろん、面接で情熱や思い入れを見て、「本当に映画を作りたい人が、本当に作りたい企画」をちゃんと選んでいるんだなあと感心。『路地猫』も、実現へ向けて進んでいくのみ。

会場で知り合いのCM制作会社プロデューサー・山下さんに声をかけられる。佳作の望月さんが農林中金にいた頃、一緒に『ちょきんぎょ』のCMを作っていたそう。そのときの担当営業だった博報堂の植木さんを紹介され、広告の話や映画の話で盛り上がる。もう一人の佳作の亀田さんは、最新プロデュース作品が前田哲監督の『パローレ』ということで、つながった。「はじめまして」と名乗ると、「あっ、アフロ(のヅラ)ありがとうございます」と言われる。「ヘンテコな今井さん」の噂は前田さんからよく聞かされていたそうで、幼なじみがインド人ということまで知っていた。つながったといえは、初対面の佐々部清監督に『チルソクの夏』の感想を伝えたところ、前田さんと組んだことがあったそうで、『パコダテ人』を知っていてくれたのがうれしかった。『路地猫』の写真集のキャプションを書いてから1年半、黒川芽以ちゃんともやっと会えた。大きな黒目がとても印象的。

映画の世界はどんどん狭くなるけれど、日本映画の未来はどんどん拓けている様子。国会のセンセイたちも関係省庁も日本映画を元気にしようと頑張っているそうで、主演男優賞受賞に沸いたカンヌへは文化庁から視察に行っていたとか、秋の東京国際映画祭では日本映画を海外に売り込むブースを政府が支援するとか。今日はコンテンツ事業を支援するための法案が通過したらしい。映画脚本家の未来も明るい!? 「映画監督を45年間やってきて、わかったことがあります。どうやったら作品がヒットするか、誰にもわからないということです」という篠田正浩監督のスピーチが和やかな笑いを誘っていた。次こそはきっと、だったり、次はもっと、だったり。思いを託し、命を吹き込み、形にする。作品に誰よりも夢を見てしまうのは作り手自身なのかもしれない。そんな夢を後押ししてくれる賞があることがうれしく、その賞が実を結びつつあることを実感できた夜だった。

1979年05月28日(月)  4年2組日記 がっけんのふろく

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