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2019年09月29日(日)
MANICS、Rugby World Cup 2019を行く

やー、マニックス2DAYSも終わって明日からはまたRugby World Cup(RWC)三昧だわ〜とぐっすり眠った翌朝、こんなお知らせが。



先に日本語のツイートを読んだので混乱する。えっ熊谷に行けばいいの? なんでウェールズ戦のハーフタイムじゃないの? まあバンド名もジェイムズのフルネームも文字数が多いので、文字数制限のあるtwitterではこういう文面にするしかなかったのかもしれん。

整理すると、「ウェールズ対オーストラリア戦が行われる東京スタジアムのスペクテイタープラザで、熊谷ラグビー場で試合中のジョージア対ウルグアイ戦を中継放映している。そこでのハームタイムにジェイムズがライヴをやる。」ということ。スペクテイタープラザは観客が試合前後やハーフタイムに遊べるサブトラックみたいなところで、他会場の試合中継やショウ、ご当地グルメなんかもある交流ゾーンです。観戦チケットを持っていないと入れません。会場は試合開始3時間前から開いているので、ウェールズ戦の前に来てねということ。英語の方では「早めに来てね」って書いてある。はー、ウェールズ対オーストラリア戦、わたくし第一希望だったんですよ。チケットとれなかったのよね…高額チケットはしばらくあったけど手が出なかったのよね……ギイイイと思ってるうちに完売しましたよ。うう。

今回のスペクテイタープラザは、東京スタジアムの補助グラウンドであるアミノバイタルフィールド。おおう、先週フランス対アルゼンチン戦行ったとき見つけられなくて帰ってきたところだわ…野音みたいに外聴き出来るのかしら……とオロオロしていたら、サッカー観戦猛者のMIOさんが場所わかるから行こう! と声をかけてくれました。なんだかわけのわからぬまま昼をすごし、夜には日本がアイルランドに勝ち、ガッキーにもらい泣きしたりしてとりあえず寝る。

さて当日。飛田給駅で待ち合わせ、陽気に唄い踊る(入場前からどこもこんな感じです)両国のサポーターたちをかきわけアミノバイタルフィールドを目指す。スタジアムの南ゲートとバックゲートの間くらいにありました。フェンスがあるけど隙間から覗ける、音はバッチリ。他にもちらほらジェイムズのために来たひとがいたので交流などする(笑)。見えますかね〜なんて話していたら、フェンスの向こうが丁度控室だったらしくジェイムズが出てきた。ミッチさんもいる。ちょ、ふいうちやめて…ビビる……。ウェールズのレプリカユニを着たジェイムズ、知らないひとが見たら「このひと元選手かな? ポジションは9番かな」なんて思われてしまいそうな馴染みっぷりです。学生の頃陸上の選手だったっていってた記憶があるけど、今はコンタクトスポーツの体型ですね、みちっと詰まってる感じで(微笑)。

登場前にアナウンス。「マニック・ストリート・プリーチャーズは、ウェールズ出身の有名なバンドで」「マニック・ストリート・プリーチャーズの、ジェームズ・ディーン・ブラッドフィールドさんです」とか続いて笑いがこみあげる。そうだよねえ、欧州のひとならともかく、ここにいるどのくらいのひとがマニックスを知っているか……こういうふうに紹介されるのを聞くことなど滅多にないのでニヤニヤする。一生分の「ジェームズ・ディーン・ブラッドフィールドさん」という呼称を聞いた気がする。ウェールズユニを着たひとたちが続々と集まってきました。ステージ前が赤く染まる。オーストラリアサポーターのマニックス好きもいただろうが近づきづらそう(笑)、今日ばかりはね……「Australia」って曲もあるのにねえ。

「マニックスじゃなくて結婚式用の選曲だよ!」。ジェイムズが知らない曲を唄い始めた。すると、私の後ろにいた入場前の日本人が「うお、『Sweet Caroline』じゃん!」と一緒に唄いだした。ジェイムズのことは全然知らないよう。吸い寄せられるように何人かがフェンスのそばに集まってきて唄い始めます。おおお、これは感動する……。


シンガロングの音程が不安定過ぎてジェイムズ笑っとるがな(笑)。笑顔で写真撮ってるミッチさんも映ってる。そうそうミッチさん、撮影のときは普段のニットキャップからウェールズのキャップに被り替えてたよ〜。


Neil Diamondの「Sweet Caroline」は、ラグビー場や野球場でよく唄われる曲なのだそう。この日も流れたそうですよ。

会場で観ていた方に、ジェイムズが使っていた「Sweet Caroline」のカンペを見せてもらいました。ヘッダー部分には「Er Gwaetha Pawb a Phopeth」という文面。調べてみるとこれはウェールズ語らしく、英語で「Despite Everyone and Everything」という意味。ウェールズのアンセム「Yma O Hyd(Still Here)」からの引用のようです。思えばジェイムズ、何箇所かのカウントとるとき「One, Two, Three, Four」でも「一、二、三、四」(日本でのライヴだとこういったりもする)でもない言葉だった。きっとウェールズ語の「Un, Dau, Tri, Pedwar」といってたんだろうな。ウェールズ人としての誇りが感じられました。


ウェールズのラグビーチーム、スカーレッツのサポーターたちが唄う「Yma O Hyd」。

二曲目は「A Design for Life」。後ろから来たウェールズ人(?)にめっちゃ唄われた(笑)。中でも合唱が起こっています。おおい、なんだか予想とは違う形で夢が叶ったぞ、東京スタジアムで「A Design for Life」が……。笑い乍ら涙ぐむわ!


RWCオフィシャル、広く知られているカヴァー曲の方ではなく「A Design for Life」の動画をあげててくれて感涙。


BBC。“This is not the usually gloomy Manics set, this is for wedding receptions!”、そうそう(微笑)。


そして最後に「Can’t Take My Eyes Off Of You(君の瞳に恋してる)」。いちばんの大合唱になりました。「パーラッ、パーラッ、パーラパッパッパ♪」と唄い乍ら「何やってんの?」「中で観れんの?」とチケットを持っているひとたちが足早に去っていくのを尻目にフェンスに張りつく我々。せつない。でも歌が聴けてうれしい。


ジェームズ・ディーン・ブラッドフィールドさんですよー! 「Un, Dau, Tri, Pedwar」といってますね。


そして試合前。もうふつーにラグビー好きのおっちゃんでウケる。本国でどう放送されたのか気になる(笑)。

ジェイムズかわいいよ……今年知命を迎えた御仁にこんなにかわいいかわいいいうとは思わなかった(笑)。緊張感のあるマニックスのライヴとはまた違ってリラックスしてたんだろうなー、ホント貴重なライヴだった……。


そしてTVに抜かれる。現地にいたから中継観られてないんだけど、録画していてよかった(笑)。

試合は白熱、RWCでは1987以来、実に32年ぶりにウェールズがオーストラリアから勝ち星をあげました。うっ、今大会のワタシのひいきはオーストラリアなんだが今日ばかりはよかったよかった。それにしてもすごい試合だったなー!


勝利の瞬間を撮っていた方が。ニッキーやマネジャーさんはわーって喜んでジェイムズに抱きついてるけど、ジェイムズはそれに反応もせずピッチを見つめてる。泣いてるんじゃないのなんていわれてましたがあながち間違いではないかも。なんだか性格が垣間見える光景だわ…試合前はあんなにはしゃいでたのに、ジェイムズよ……。以前リッチーにいちばん性格が近いのは自分だとかいってたなあ……そしてショーンはどこにいるの………。

・ラグビーW杯でのマニックス。ジェームスのパフォーマンス映像も┃HIGH-HOPES
ディレクターさんがまとめてくれてます。

・オーストラリア 対 ウェールズ┃MITCH IKEDA PHOTOGRAPHY
月曜日の朝帰っていたそうです。ウェールズの試合全部観て帰ればいいのに〜!


ショーンいた! は〜こんなに屈託ない彼らを見られるなんてね……。

は〜〜〜盆と正月がいっぺんにとはまさにこのこと、怒濤の四日間でした。というか、RWC開幕してから毎日のように試合があるし、すっかり日々のくらしのペースが崩壊している。いろんなことを見逃している気がするがもういいや……「4年に一度じゃない。一生に一度だ。- ONCE IN A LIFETIME -」だなんて、RWCはニクいキャッチコピーをつくったもんだな。ああ、本当にそうだ。



2019年09月27日(金)
MANIC STREET PREACHERS THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS' 20th Anniversary Show and More(2日目)

MANIC STREET PREACHERS THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS' 20th Anniversary Show and More@Toyosu PIT


ミッチさんのブログを見て声が出た、ついこないだmouse on the keysを観に行っていたMARZの隣の山ちゃんに、team MANICSが来ている。というわけでライヴ後はここで打ち上げ。話は尽きず終電を逃し、久々のタクシー帰宅となりました。やー、マニックスがくるとタガが外れるな(笑)。それにしてもここ、数ある山ちゃん支店のなかで何故ここに……? というくらいの場末感なんですよ。この並びのビル、皆かなり古いんだよね。再開発の影響で閉店、移転したお店も多い。そういえばリッチーもいた頃、炉端焼で呑むマニックスの面々をミッチさんが撮っていたなあ。居酒屋の雰囲気を気に入っているのかもしれないですね、そういうのうれしいな。ちなみにジェイムズ、今日のMCではゴールデン街の話をしておりました。

週末ということもあり大盛況、そして外国人の観客がますます増えた。Rugby World Cup(RWC)のウェールズ戦を翌々日に控え、ラグビー観戦で旅行に来たらマニックスも観られるよラッキー、みたいなひとが沢山います。ウェールズのレプリカユニ、RWC-Tシャツ、ウェールズ国旗をマントのように巻いてるひとがいるわいるわ。キルトのひともいたらしいよ。そしてビールがどんどん売れるよ。


RWCに合わせ新宿に設置されたウェールズドームでは、観光案内や文化紹介とともにウェルシュケーキやウィスキーと一緒にウェールズ国旗の小旗も配布されており、それを持ってきてるひとも沢山いました。RWC応援用の筈が、ライヴでも役にたってる(笑)。そうそう、このドームではSuper Furry Animalsのキアン・キアランが音楽を手掛け、リス・エヴァンスが朗読をした作品も流れています。10/3迄やってます。


ツイート拝借、シェア有難うございます! PAブースにはレッドドラゴンも。もう祭りですわ。FAのアジカンから盛り上がりました。ゴッチが「憧れのバンドと一緒にやれて光栄です。マニックスは格好いい歳のとりかたをしてるなあと思う。僕らは彼らより10歳くらい歳下で、キャリアも10年くらい違うけど、僕たちもこれからの10年格好よく歳をとっていけるんだと思えるようになりました」みたいなことをいってました。マニックスのフォロワー、というかルーツというのがわかるサウンドで、ゴッチは英語でもMCをしていたので来日組の反応もよかった。

さてマニックス。前日同様じっくり聴かせる『THIS IS MY TRUTH〜』パートからスタートしましたが、やはり昨日とは熱の度合いが違って感じられます。そして改めてバンドのスケールの大きさを感じる。ステージ後方一面に映し出された青い空と白い砂浜、その静止画像に照明を重ね色彩を変えていく演出は、大バコでこそ映える仕様です。「I'm Not Working」の、ブルーからドーンパープル〜ドーンピンクへと夜明けのように色が変わっていく照明は本当に美しかった。空間を情報で埋め尽くすのではなく、空間そのものを色に沈めていくようだった。そこから聴こえてくるのがジェイムズのあの声ですから、なんかもう恍惚というか、陶然となりましたね。陶然といえば「Born a Girl」もやばかった。ウェールズのひばりは罪な声だわ。

そういえばスタジオコーストでやった2010年の『POSTCARDS FROM A YOUNG MAN』、そして2012年の『NATIONAL TREASURES』2DAYS(1日目2日目)も大きな空間に映えるセットだった。毎回アルバムのアートワークが魅力的で、そのジャケットを大きなバックドロップにするだけでもすごく格好いいんだよね。サウンドスケープも壮大。昨日もリンクを張ったアジカンのインタヴューでも語られていたように大きなところで観て/聴いてこそ、というのは理解出来ます。日本ではスタジアムでとはいかないけれど大きめのところで観られるとうれしい。で、追加公演でちっちゃいとこでやってくれるとうれしい(とかいうととれないんだけどね…前回BLAZEでやったときそうだった……)。

『THIS IS MY TRUTH〜』最後のナンバーは「If You Tolerate This Your Children Will Be Next」。1930年代のスペイン内戦について唄った重い歌詞ですが、今聴くと自分の国のことのように思えてきてつらかった。リリースから20年、この歌に新しい痛みが加わったように感じる。そうしてずっと聴き続けていくのだ、このバンドの歌をこれからも。

今日のジェイムズは左胸に日の丸、右上腕にドライグ・ゴッホのワッペン。ニッキーはスッピンかな? サングラスに装飾のないジャケット、白ジーンズとカジュアルな装い。おとなしめね? 寝起きっぽいね、時差ボケ? なんて思っていたら、途中お召しかえしてきましたがな(笑)。一日目と同じラメラメのアイメイクとチーク、そして豹柄パンツ!「特別なときにしか履かないんだよ」だって! あ〜祭りだわ〜。ウェールズ国旗がはためくフロアを見渡し「ここはウェールズか?」といったらウォオオオとウェールズコールが巻き起こり苦笑するジェイムズ、という場面もありました。「そんな君らに」と始まったのが「Sweet Child O' Mine」だったんですけど、ガンズの曲なのにすっごいシンガロングになって、ガンズの影響力…と思いましたよね……。それにしても、これだけのウェールズ人(まあイングランドやアイルランドやスコットランドのひともいたろうが)たちと一緒に、日本でマニックスのナンバーをシンガロングすることなんて二度とないんじゃなかろうか。そしてこんだけシンガロングになってもジェイムズの声はちゃんと聴こえるんだなー。「うるさーい! 私はジェイムズの歌を聴きにきたの! 合唱禁止禁止〜!」とかいうひとは恐らくだれもいない(笑)、一緒に唄うわ勿論。


わーおすそわけ有難い! もう泣くわ唄うわ笑うわでたいへんな「A Design for Life」。なんかもう冥土の土産かな? という……。

しかしこの日は、RWCが日本で開催されたからこそのサプライズがもうひとつ待っていたのでした。ジェイムズがシードルをびしびし振り回し乍ら(これよくやってるけどかわいいよね)スペシャルゲストだよーと招き入れた人物にウェールズ人狂喜、日本人ポカーン。大歓声のなか「You Love Us」が始まる。あのガタイのよさはきっとラグビー選手…大会中だから出場中の選手ではないだろう……ってことはOB? と戸惑いつつもキャーキャー唄う。



元ウェールズ代表、ジェイミー・ロバーツでした。名前を聞いたらああ! と思ったが、そんな頻繁にウェールズの試合とか観られないんで顔とか憶えてないよ。しかも私服でギターとか弾かれたら誰ってなるよ(いや、そもそもジェイムズが紹介したとき名前を聞きとれてない時点でダメじゃん自分)。終演後会った友人たちと「誰?」「わかんない!」とかいって笑う。しっかり演奏して唄っておりました。マニックスの本国における地位に思いを馳せたりもした(微笑)。



ニュースになる。


ご本人が後にツイート。二度目だったのかな?


RWCオフィシャルにRTされてイェーイ。

かつて自分の好きな音楽と好きなスポーツがここ迄リンクすることなどあっただろうか。ないよ! 動揺が激しいです。終演後唄い乍ら退場していくウェールズ人をニコニコ眺め、帰路につきました。

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セットリスト(setlist.fm


(画像おかりします、有難うございます)

This is My Truth Tell Me Yours
01. The Everlasting
02. You Stole the Sun From My Heart
03. Ready for Drowning
04. My Little Empire
05. Tsunami
06. I'm Not Working
07. You're Tender and You're Tired
08. Born a Girl
09. Be Natural
10. Black Dog on My Shoulder
11. Prologue to History
12. S.Y.M.M.
13. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
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Hits & Others
14. Slash 'n' Burn
15. Your Love Alone Is Not Enough
16. La tristesse durera (Scream to a Sigh)
17. Everything Must Go
18. International Blue
19. A Design for Life
20. Little Baby Nothing
21. Sweet Child O' Mine (Guns N’ Roses cover)
22. You Love Us (with Jamie Roberts)
23. Walk Me to the Bridge
24. Motorcycle Emptiness
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“JUST LIKE BLOOD TRAVELS DOWN VEINS, WHAT I'M SEEING IS MY INNER SELF AND WHAT SEEMS THREATENING IS JUST THE ECHO OF THE FEAR IN MY HEART.” HARUKI MURAKAMI.
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「La tristesse durera」と「Walk Me to the Bridge」が入り「No Surface All Feeling」が外れました。やーどれも結構レア、聴けてうれしい。ていうか『THIS IS MY TRUTH〜』のナンバーをこんだけ聴けたのもレアよね。「S.Y.M.M.」は勿論「Born a Girl」とかさあ! そして「I'm Not Working」と「Be Natural」は今回のツアーが初披露だったとのこと、いやはや。結局「Nobody Loved You」はやらなかったなあ、あの内容だし、何か思うところがあったのかもな……。そして本日のクォートは村上春樹。過去に小野洋子、安部公房、草間彌生のクォートがありましたが、村上春樹は初めてかな。『海辺のカフカ』からのようです。

あー楽しかったね、あとはRWCを楽しんで帰ってほしいねえなどと話して解散。しかし今回彼らのお仕事(?)は、これだけでは終わらなかったのです。なんてこった! 以下次号。



2019年09月26日(木)
MANIC STREET PREACHERS THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS' 20th Anniversary Show and More(1日目)

MANIC STREET PREACHERS THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS' 20th Anniversary Show and More@Zepp DiverCity TOKYO



数年前からRugby World Cup(RWC)に合わせて来るだろうといわれていた(笑)マニックス、いらっしゃいました(RWCについては落ち着いたら別頁に書く。いつ落ち着くのか)。母国ウェールズの予選三試合を全部観るのかなと思っていたら、バンドが到着したのはライヴ前日の朝だったそうです(ミッチさんのブログ『We just landed MSP xx』参照)。ということは、29日に東京スタジアムで行われるオーストラリア戦を観るのかな。いや〜てっきり初戦の豊田スタジアムにも行ってると思ってた。SNSではウェールズのラグビー協会が「マニックスが来るよ!」と伝えているし、RWC2019公式アカウントにジェイムズが登場したりと、開催前からこちらも盛り上がっていました。初戦ではウェールズがトライしたときStereophonics(彼らもウェールズ人)の「Dakota」が流れたそうなので、東京ではマニックスを流してくれよ〜なんなら試合前のウェールズ国歌「Land of My Fathers」をジェイムズが唄えばいいじゃ〜んそして試合前やハーフタイムは観客皆で「A Design for Life」を大合唱すればいいじゃーん聴きたいそれ。聴いたら絶対泣く。などと妄想も膨らむ。






というわけで、会場にはいつにも増して外国の方々が。ウェールズは勿論だがアイルランドジャージのひともいた、あとRWC-Tシャツのひと。流石にイングランドはいなかった(同時間に試合中)。皆さん体格がよく、そしてビールを呑みまくる。後ろの兄さん方(日本人)はガチのマニックスとラグビー好きのようで、転換中ずっとRWCの話してて楽しかった。FRA vs ARG行ったっていっててワタシも行ったよ! てニヤニヤした。FAはASIAN KUNG-FU GENERATION。マニックス愛、洋楽愛にあふれた演奏とMCで、震災後間もないNANO-MUGEN FES.にマニックスが出演してくれたことへの感謝も語っておりました。サウンドメイキングもマニックスのそれと通じるものがあり、同じステージ、PAで演奏する喜びも伝わってにっこり。

マニックスと聞けば反射でチケットをとるので、当日になって何のツアーだっけ? などと思う。RWC2019ツアー……じゃなくて最新作『RESISTANCE IS FUTILE』ツアー? いやいや、『THIS IS MY TRUTH〜』二十周年アンドモア、とのこと。二部構成(といってもインターミッションはなし)で前半は『THIS IS MY TRUTH〜』のナンバー、後半はお楽しみのベスト選曲という感じ。『THIS IS MY TRUTH〜』は一曲を除き全部やりましたが、若干曲順をかえており、厳密なアルバム再現ライヴではありませんでした。『THE HOLY BIBLE』再現の胃の痛くなるような緊張感はないものの、じっくり聴かせる。当時の彼らの心情――怒りや悲しみ、喪失感など――が色濃く反映されたアルバム。内省の時間が持てる、マニックスのライヴはやはり唯一無二。

嬉しかったのは「S.Y.M.M.」が聴けたこと。ブワー泣いたわ…ワタシの裏(?)ベストワンナンバー……サウスヨークシャーの!!! 大量殺人者!!! 思わず調べてしまったが、やるのは1998年、『THIS IS MY TRUTH〜』のリリースツアー以来ぽい。いやもうこれは! 嬉しかった! 嬉しかった! ヒルズボロの悲劇を唄ったシリアスなナンバー。ハッピーなライヴとはいうものの、ジェイムズの声とニッキーのリリックにより場がキリリとしまります。『THIS IS MY TRUTH〜』のショウ、ということでやって当然かもしれませんが、RWCを前にしてこの曲が演奏されたことは、彼らなりの祈りのようにも思えました。RWCが事故なく終了しますように。

『RESISTANCE IS FUTILE』からは「International Blue」(ライヴ映えする!)、レアトラック集『LIPSTICK TRACES』からは「Prologue to History」と「Socialist Serenade」。かああ、好きな曲ばっかりか! ばっかりだ! レアといえばGuns N’ Rosesのカヴァー「Sweet Child O' Mine」をやりましたよ。イントロでフロアがどよめいたよ。いや、この日のジェイムズのギター、GN'R愛が炸裂してるなーと思っていたところだったのでビックリした。あのイントロをちょっとやって「Motown Junk」へ、というパターンはあったけど、フルで聴いたの初めてかも。「You Love Us」の前にニッキーがリッチーの話をした。ステージは今でもリッチーの場所が空けてある。

ステージ後方の壁いっぱいに映し出されるのは、『THIS IS MY TRUTH〜』のジャケットでも使われたポルスマドグの浜辺。ジャケットと違うのは、そこには誰もいないこと。もはやおなじみ「こんばんは、元気ですかい!」とジェイムズ。あとどこで覚えてきたか「チキショー!」ともいってた(笑)。胸の右にはY Ddraig Goch(Welsh Dragon)、左には日の丸が張ってある。ジーンとくる。ニッキーのマイクスタンドにマラボーはなかったけど、ジャケットの襟と裾がラメッラメ(スパンコール? そしてワタシの位置からは見えなかったがこれ、「WIRE」と象られていたらしい。あはははは)、メイクもチークまでラメッラメ。ニッキーの背後には勿論ウェールズ国旗×2。ジェイムズのメンバー紹介口上はもはやプロレスの入場アナウンスのよう(笑)、名調子です。ニッキーのことをマニックスの東京タワーと紹介してました。ショーンはいつもかわらず、安心のたたずまい。そしてすっかり安定の演奏。失礼ですが上手くなったよね……たよりになります。ジェイムズやニッキーがショーンをふりかえって演奏のタイミングを合わせたりする場なんて、昔は見られなかった光景にも胸が熱くなりました。そしてジェイムズが曲間にハアハアいわなくなったなあ。心肺機能が回復してるのか? だとしたらマニックス、まだまだ成長期です(笑)。サポートはNick Naysmith(Key)Wayne Murray(G)。ウェインは曲によって鍵盤やグロッケンシュピールも演奏していました。そう、「S.Y.M.M.」のグロッケンも生演奏。うれしかった………。

『THIS IS MY TRUTH〜』からやらなかった一曲というのは、よりにもよって「Nobody Loved You」。うっそお。二日目にやると信じてる! そして再び、東京スタジアムで「Design For Life」の大合唱が聴きたいな〜との思いを強くしたのでした。明後日唄えばいいのに〜、唄ってほしいな〜。

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セットリスト(setlist.fm


(画像おかりします、有難うございます)

01. The Everlasting
02. You Stole the Sun From My Heart
03. Ready for Drowning
04. My Little Empire
05. Tsunami
06. I'm Not Working
07. You're Tender and You're Tired
08. Born a Girl
09. Be Natural
10. Black Dog on My Shoulder
11. Prologue to History
12. S.Y.M.M.
13. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
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14. Slash 'n' Burn
15. Your Love Alone Is Not Enough
16. Everything Must Go
17. International Blue
18. A Design for Life
19. Little Baby Nothing
20. Sweet Child O' Mine (Guns N’ Roses cover)
21. You Love Us
22. No Surface All Feeling
23. Motorcycle Emptiness
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“MY ART ORIGINATES FROM HALLUCINATIONS ONLY I CAN SEE. I TRANSLATE THE HALLCINATIONS AND OBSESSIONAL IMAGES THAT PLAGUE ME INTO SCULPTURES AND PAINTINGS.” YAYOI KUSAMA.
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本日のクォートは草間彌生。


こちらも拝借、終演後「Land of My Fathers」を唄うウェールズの面々。22時過ぎてたのでそそくさと帰っちゃったけど、ロビーがこんなことになっていたとは! 日曜日のWAL vs AUS、楽しみだね!

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・ラグビーW杯にあわせマニック・ストリート・プリーチャーズ来日! 最速ライヴレポ & 初日セットリストをプレイリスト公開┃Sony Music
『THIS IS MY TRUTH〜』全編はプレイしてないぞ〜

・アジカン後藤正文・喜多建介が語るマニック・ストリート・プリーチャーズ┃Rolling  Stone Japan
同じファンとしてうんうんそうだよね! といいたくなる

よだん。この日コーストではFlying Lotusがやってまして、6日前にLouis ColeのOA出演が発表になるやらシークレットゲストでThundercatちゃんも出たとのことでいろいろと阿鼻叫喚。仕方ない、仕方ないんだ…相手がマニックスでは……もう、なんでいっぺんに来るんだよ………。それにしてもサンダーキャットちゃん、先月も日本に遊びに来てたよね。このときはKamasi Washingtonのゲストで出るんじゃないかと思ってた。それはなかった。まさかまた来てFlyLoの方に出るとはなあ。



2019年09月21日(土)
Rugby World Cup 2019 フランス対アルゼンチン

Rugby World Cup 2019 フランス対アルゼンチン@東京スタジアム





試合内容をじっくり観るならTV観戦がいちばん確実なのだけど、やはり現地観戦の高揚感は格別でした。思えばこれだけ大規模な国際大会観に行ったの初めてでした。

大会前から日本戦は映像で観ようと決めていたので、検討と争奪戦の末FRA vs ARGのチケットを握りしめ飛田給へ。新宿駅からしてもう盛り上がっており、レプリカユニを着たひと、ご当地コスプレのひとでいっぱい。あちこちから歌が聴こえてきます。全身タイツとか舞踏会ドレスとか、何の会場だここはという楽しいコスプレも沢山観ました(にっこり)。面白いのは、この日の対戦国じゃないユニフォームを着たひとも沢山いること。どっちのサポーター、というのはもう関係なく、どの試合を観ても楽しいラグビー好きも集っています。会場迄の道のりからもうお祭り。

先に始まったAUS vs FIJがリードされている様子が会場内のモニターに流れ騒然となる売店前、スタジアム内ではカラオケタイムと称し観客(ラグビー好き)におなじみの曲が流れ、試合前から誰ともなく唄いだす。会場スクリーンには協賛企業が今大会のためにつくったCMが流れてる。

これとか。


これとか(泣)。


これとか(笑)。名レフリー、ナイジェル・オーウェンズ! Ruleは30以上ある。


過去大会の名プレー集も流れて興奮しきり。1995年ロムーの突進! 2003年ウィルキンソンのドロップゴール(DG)! 2015年ヘスケスの逆転トライ! そのスクリーンに控室の両チームが映し出されると、ドッ! とスタジアムがわく。凛と響く柝の音に一瞬の静寂、続いての和太鼓、そして両チームの入場に再びの大歓声。これは会場でしか味わえない興奮だったなー。震えて歯が鳴りましたよね。

「あいつ(レンジー)どこにいたのかな、いると思ったのに」と笑うおっちゃんや(私も試合会場にいると思ってた。きぐるみちゃんはファンゾーンだけみたい)、DGを「七尾(『ノーサイド・ゲーム』)がやったやつ!」と騒いでいたこどもら(この子ら初めての生観戦だったみたいなんだけど、それでDG観られたのめちゃめちゃラッキーよね!)、唄いっぱなしのアルヘンティーナとフレンチに囲まれ、ボランティアさんとハイタッチする退出も楽しゅうございました。開幕戦を観てきた方からのアドバイスを参考に(いやホント有益情報有難うございました!)、帰りは多磨駅迄歩く。ちいさな駅で、入ってきた電車は2両というかわいらしさ(しかも余裕で座れる)。さっき迄5万人近くの観客と一緒にいたのが嘘のよう……なんでも多磨駅、来年度にはリニューアルするそうで、こんな牧歌的な光景も最後かな。狐につままれたような気分で帰宅しました。



2019年09月15日(日)
1inamillion presents『POPS』

1inamillion presents『POPS』@Shinjuku MARZ

■imai(from group_inou)
お初です。ちょっと遅れて入場したらもう既にアゲアゲのアゲでした。最初からそうだったのかな、自家発電出来るひとって素晴らしい。卓ひとつからアッパーなトラックをガンガン投げてくる。「普段ひとりでこもって作業してるから、ひとまえに出るとうれしくっておかしくなっちゃうんですよー」「基本誘われたら断らないんだけど先月は制作のためにちょっとお休みしてたんです。久しぶりにひとまえ出たんで自分でもわけわからない」「まあこれで後続のマウスと1inamillionが盛り上がってくれれば〜!」。めちゃめちゃ暴れ乍ら卓を操っており、曲間はハアハア息きらし乍ら一気に喋る。挙動のおかしいいいひとぶりであった。フロア降りるなり踊れて楽しかった!

■mouse on the keys
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Drs:川昭、Key:清田敦、Key:新留大介、Tp, Fl:佐々木大輔、G:飛田雅弘
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本日5人編成。飛田さんは音は聴こえど姿は見えず。いた筈…「Reflexion」のあのギターは飛田さんの筈……。川さんは具合悪そうだった先月とはうってかわってバッキバキだったのでよかったよかった。テーピングしてたのは初めて見たけどな、大丈夫かな。しかし何より楽しそうだったのにホッとしたわ。最初っからめちゃめちゃ笑い乍ら演奏してました。これからも元気で演奏を聴かせてくださいね。
ちなみにこの日、M'ANAMのメンバーが来日して新留、川両氏と会っていた旨のツイートがあり、飛び入りしないかな? 生声で「Clarity」聴けたりしないかな? なんて淡い期待を抱いていましたがそれはなかった。まあ「数日前」とツイートしていたからもう帰っていたのかもしれないな。それはともかくこの日の「Clarity」、狭いハコだったからなのか音圧が高い印象で、その密度であのクワイアが響き渡るともう、なんていうか……荘厳も過ぎると恐怖に変わりますわ。ここがライヴハウス、という感覚がなくなる。あの音の鳴る暗闇に放り込まれてごらんなさいよ、「ひっ」と声出そうになりました。M'ANAMの面々にも聴かせたかった。
下手側スピーカーど真ん前という爆音が過ぎるところにいたもんで、これはやばいと耳栓をしたけれど受ける圧は変わらない訳で。そんななか聴く二度目の「Mind」、一瞬たりとも弛緩出来ないパワフルなドラミングの川さんと、それを受けてスタッカートの和音を置いていく清田さんの、一触即発な演奏を間近で観られる幸福よ。それにしても「Mind」……一拍でもスティックがリムにひっかかったりしたが演奏が崩壊するよね。怖い……こんなん毎回演奏してるとパニック発作起きそうだよ。プレイヤーに敬意の念を抱きます。
Hello1103のyukakoさんによるVJも、モノクロイメージのバンドに色彩を差してくれるような映像で格好よかった。久々の「Leviathan」もうれしく、「Circle」はもはやアンセム。motkがリスナーとサークルを描く、祝祭の曲。

■1inamillion
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G:藤谷真吾、G:suguruguruguru、B:榎元駿、Drs:坂本和哉
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さて今回の仕掛人です、お初。セッティングの時点で6弦ベースがおいてあってソワソワですよ。6弦を操るベースがいるバンド、面白いに決まっとるわー(偏見?)。近くのひとが「ゴリゴリのマスらしい」「へえ、LITEみたいな感じかな?」などと話しておりそうなの? そうなの? と期待も高まる。さて聴いてみれば確かにゴリゴリのマスで、LITEみたいな側面もあった。が、neco眠るのようでもありCHONのようでもあった。細かい符割、サーフギターとライトハンドのハモり、ベースのリズム感、テクニカルかつパワフルなドラム。全部が合わさると誰でもない、つまり1inamillionになるんだな! 元気いっぱい、活きがいい! そして何より楽しい!
で、期待のベースはやはり(?)挙動がおかしく最高であった。ブリブリのフレーズも弾くけど、和音をまた綺麗に弾くのよー。で、酔っぱらってる(自己申告)のよー。「楽しい〜このあとimaiさんとBAYCAMP行くんです〜』とかいってフロアがざわっ。元気だな!
このイヴェント発表されたとき、主催の彼らが「motkに出てもらえるなんて、勇気を出してオファーしてみてよかった!」みたいなことをいっていて若者なのかな……と思っていたが、なんでも高校生のときから聴いていたそうです。それはさぞうれしかろうな……。川さんも「こうして違う世代のひとたちに呼ばれて聴いてもらえるのはうれしい、もっと交流したい」といっていたし、motk側としても楽しいイヴェントだったようでよかったよかった。私も若い世代の新しいバンドを知ることが出来てうれしい。またこういう企画があるといいな。

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素敵なティーザーつくってくれてて、イヴェントへの思いの程が窺えた。ほんといいメンツでした


よい集合写真だわー。清田さん何してるの……そして飛田さんの姿をようやく確認(笑)



2019年09月09日(月)
『あいちトリエンナーレ 2019』参考文献

さて今回のあいちトリエンナーレのことを書くにあたって、避けて通れない話題について。私個人の考えは、「『表現の不自由展』が脅迫により中止に追い込まれたことに怒りを感じる。しかし『表現の不自由展』実行委員会の対応には疑問がある。現地スタッフの安全は守られるべきである。脅迫、テロには断固として抗議したうえで、展示の再開を希望する」です。

会場内のあちこちにステートメントが張られていました。





『THE ROMEOS』のポスターにステートメントが張られていたのを見たとき、ああ、こうやって作品が“塞がれて”いくのだ、と大きなショックを受けた。それもあって、『THE ROMEOS』自体も展示(公演)中止になったと思い込んでいて不用意なツイートをしてしまったら津田大介氏ご本人からご指摘頂き恐縮しきり。あーこうやってデマが拡がってしまうのだなと反省した……。実際あいちトリエンナーレ全てが中止になったと思い込んでいるひともいたものな。こういう些細なことの積み重ねで悪い噂というものが拡がっていくことを知っているので、津田さんはひとつずつ丁寧に事実を伝えることを怠らないのだろう。お手を煩わせてしまい申し訳ない。

しかし『THE ROMEOS』のパフォーマンスはユニークですよね。あの日も会場のあちこちにロミオはいたわけだ。遭遇したかったなあ。

閑話休題。あいちトリエンナーレは大規模な芸術祭。『表現の不自由展』はそのうちのひとつのセクション。今回の騒動で、他のプログラムがないがしろにされることなどあってはなりません。悔しい思いをした作家も数多くいると思います。沢山の記事を読みましたが、そのなかで賛同出来る内容のテキストをおいておきます。今回の問題についてよくわからない、少しでも興味があるという方は是非読んでみてください。

・(2019/07/31)あいちトリエンナーレ2019 情の時代┃村田真┃artscape
“(「表現の不自由展・その後」は)トリエンナーレの核となる「国際現代美術展」の出品作家66組のうちの1組という位置づけで、全体から見ればごく一部に過ぎない。にもかかわらず「表現の不自由展・その後」ばかりにスポットが当てられている”

・(2019/08/07)愛知トリエンナーレと「表現の不自由展」に行ってきた┃瀬川深 segawashin┃note
“この「表現の不自由展」、すでに我らの社会に満ち満ちている「不自由」のごくわずかな一部分をすくい取って持ってきたに過ぎない。その点、この展示がなにか特別な異常な奇異な偏屈な不愉快な非倫理的な不服従的な反日的な侮蔑的な、つまり少数の異常者による異常な表現だと思いたがるような連中には気の毒なことだが、われらの社会のありふれた一側面なのだと言うことを強調しておきたい。”

・(2019/08/16)「表現の不自由展・その後」の炎上は、“世界水準の芸術”だった? ヒントとなる文脈を探して。┃HUFFPOST
“理性的に対話すればわかるはずだという「熟議民主主義」に対し、「人と人は分かりあわないし、対立する」ということを前提としそれを重視しようというのが、「ラディカル・デモクラシー」と呼ばれる立場であり、すごく単純化すると、「敵対」を推す立場の人たちが望む民主主義のあり方だ。”
“「不和」や「敵対」を前提としながらも、「理解」や「対話」に向かう、そういう不可能かもしれない未来を、アーティストたちには創造して欲しい。おそらくあいちトリエンナーレで展示されている個々の作品はそれを志向しているはずだ。アーティストたちが自主的に対話する機会を作ったのもその現れであろうし、個別の作品は、複雑で矛盾した人間や現実それ自体を繊細に見つめていた。いかにして公共性や共同体を再構築するかというテーマもある。”

・(2019/08/25)REALKYOTO - CULTURAL SERACH ENGINE「あいちトリエンナーレ2019  情の時代」REVIEW┃福永信
“タニア・ブルゲアを含め中止を決断した作家のほとんどは「女性作家」であり、男女比の均衡は完全に崩れてしまった。”
“展覧会自体が、このように即興的に生まれた新しいアイデアによってハッスルし始めている姿を見るのは、私は好きである。減るのではない、増やすことへの積極的なアプローチは、本当に素晴らしいと私は思う。”



2019年09月08日(日)
『あいちトリエンナーレ 2019』

『あいちトリエンナーレ 2019』

あいちトリエンナーレも四回目。20102013、2016(名古屋豊橋)と、第一回目から毎回楽しみに出かけている国際芸術祭です。2016年は維新派の最終公演『アマハラ』とハシゴ。てことは、松本雄吉さんが亡くなって三年経つんだなー、時の流れは早いなあとしみじみしたり。

目当てのパフォーミングアーツの公演期間が限られていたため、今回は初の9月参加。ていうかあの暑さは8月だ、8月。毎回涼しくなった10月に行っていたのでキツかったわー。ただでさえ暑さに弱いもんでフラフラになった。が楽しかった。やっぱりあいちトリエンナーレは楽しい。これからも行くと思う。

公演が終わる前に、と速報的に書いたtwitterもどうぞ。ラグビー(RWC直前)やTOOL(13年振りの新譜が出たばっかり)の話題と混ざってますが、ともにお楽しみください(笑)。

・from:flower_lens since:2019-09-07 until:2019-09-09┃twitter

こちらに未掲載分も含め、撮影した元画像はtumblrに置いています。まとめて大きな画面で見たい方はこちらをどうぞ。補正等しておりません。動画がGIFでしかアップ出来ないのが惜しいな。

・flower-lens #あいちトリエンナーレ┃tumblr

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今回は初の試み、金曜日の夜前乗りして土曜日観てまわるというコース(今思えばこの旅程でよかった)。そしてこれも初、岐阜在住の旧友TAさんと現地集合していっしょにまわることに。ひとり旅ではまず入らない、深夜営業の名古屋コーチン料理店で景気付け。おいしかった〜。ホテルから徒歩圏内ということもあり、25時前迄話し込む。

翌朝は恒例、白川公園エリアからスタートです。いちばん乗りで入場。今回出品作の殆どが撮影拡散OKで、ここにも時代の流れを感じました。

■白川公園エリア/名古屋市美術館
碓井ゆい『ガラスの中で』がお出迎え。この日は晴天、天井からの陽光を受けて輝くシャーレの美しいこと。早速撮影してみたのですが、作品の繊細な表現は写せなかった。是非現地で。
順路がうまく出来てる、続いての部屋は暗闇。あっという間に不穏な空気。藤井光『無情』は、「外国人を自国人化」するために日本が行ったことを現代で「再演」する。この気持ち悪さと恐怖を感じなくなったらと、それに恐怖を感じる。そしてこういう作品あってこその国際芸術祭だとも思う。
モニカ・メイヤー『The Clothesline』は展示中止中。作品の名残だけがある。そして、この作品を新しい形で設置した『アート・プレイグラウンド つくる CREATE』の展示に力づけられる。

・名残とステートメント



・新展開



こどもの切実な叫びですよ。丁度前日、あおり運転で話題になったふたりを交通安全ポスターに描いたこどものことを話していた。こどもはおとなのすることをしっかり見てるよねー、なんて話す。
桝本佳子『五重塔/壷 ほか』は一瞬常設作品と見間違え、直後にっこり。骨董品のような壷に、あれあれどうぶつたちが。分福茶釜とか思い出す、こういう作品大好き! 伝統的な技法によるユーモア。人工授精時である自身の出自に向き合った青木美紅『1996』も心に残る作品でした。羊のドリーってグッズがあったのね……。




名古屋市美術館に行くときいつも楽しみにしていた、河原温の常設作品が見つけられなかったのが残念。展示替えの時期だったのかな。常設といえばここ、メキシコ近代美術作品がすごい充実しているんです。フリーダ・カーロやディエゴ・リベラの絵が観られるよ。

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めちゃめちゃ暑い、日差しも強烈。こちらも恒例、ロシア雑貨店リャビーナでひとやすみ。今回はモルス(Морс)というベリージュースを飲んでみました。甘酸っぱくておいしい! 今回のチョコはアリョンカでした〜。


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オアシス21に移動してランチ後、サエボーグ『House of L』。猛暑の中ぎでよがっだ……。

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■栄エリア/愛知芸術文化センター
サエボーグの余韻を引きずりまくり、しかもそろそろ時間が気になってきました。映像作品も多かったのでやっぱり一日では厳しいなー。慌ただしく観たもののなかではヘザー・デューイ=ハグボーグ『Stranger Visions, Dublin: Sample 6』が面白かった。街なかで拾ったゴミから抽出したDNAサンプルをもとに、人物の顔を生成した作品。


なんだかこれ、憶えがあるなあと思ったらこれでした。怖いな!

・(2015.05.20)ゴミについたDNAから顔を復元、ポイ捨てした人をポスターにするキャンペーン┃WIRED.jp
「香港の非営利団体「Hong Kong Cleanup」のために、広告代理店オグルヴィが制作したものだ。」
「このプロジェクト「Face Of Litter」(ゴミの顔)は、2013年に話題になったプロジェクト「Stranger Visions」によく似ている。ニューヨーク市に住むアーティスト、ヘザー・デューイ=ハグボーグは、街角に落ちている髪の毛や爪、タバコの吸い殻、チューインガムなどのDNA情報から、顔を再現した3Dプリント作品を制作したのだ(日本語版記事)。それは、こうした生物学的手段を、どういう目的で用いるべきかをめぐる議論を引き出すものとなった。」

今回メインヴィジュアルとしてとりあげられていたウーゴ・ロンディノーネ『孤独のボキャブラリー』にはホッとさせられた。展示方法にも、展示が中止にならなかったことにも。鑑賞者が思い思いにくつろいでいる。作品と同じポーズをとって寝転んでいる若者や、リアルな顔をじっと覗き込んでいるこどもがいたり。dividual inc.『ラストワーズ/タイプトレース』は駆け足になってしまった。“10分遺言”、じっくり読みたかったし参加したかったな。

■四間道・円頓寺エリア
街なかエリアです。あああ、ここにいちばん時間を割きたかったがもう夕方! マストだったユザーン『Chilla: 40 Days Drumming』を目指す。なごのアジールに近づくとタブラの音が聴こえてきます。いやー、演奏してるときのユザーンってほんと格好いいよね……にしても、40日間の修行というだけでも過酷なのに、それをひとに観られっぱなしというのも相当たいへんですよね。動物園的でもあった。どうぶつ、ストレス溜まってるんだろうなあなんてこと迄考えてしまったよ……。15分くらいは演奏聴けたかな。その後ユザーンは退出、楽器の前には「休憩中」の札が立て掛けられました。ちょっと時間ズレてたら演奏観られないまま帰ることになってた、よかった。






伊藤家住宅は盛況、入場規制されていて作品には辿り着けず建物内をちょろっと観ただけ。円頓寺商店街にはアイシェ・エルクメンによる作品でアーケードが彩られていましたが、それが作品だと知ったのは帰宅後。それくらいなじんでた。最後に観た作品は、メゾンなごの808の弓指寛治『輝けるこども』。交通事故で亡くなったこどもの短い人生を辿る。



しん、とした心境で全ての鑑賞を終えました。いい意味でクールダウン出来た。ボランティアの方がとても親切で、丁寧に道を教えてくれたうえにお散歩ブックも手渡してくれた、時間が足りなかったのが悔やまれる。

さあ時間がない、タクシーで名古屋駅へ戻る。しかしお茶はしたい。コンパルにもしっかり寄りました。TAさんが学生時代ここでバイトしていたという話も初めて聞いて楽しいおしゃべり。いつもエビフライサンドだけど今回はチキンカツサンドをお土産に買って慌ただしくTAさんと別れ、ギリで帰りの新幹線に乗車。車内の電光掲示板には、翌日の台風に備え上り線の殆どが運休になるとのお知らせが流れていました。翌日の交通網は大混乱。土曜泊だったら帰れなくなってたかも…よかった……。

毎回行ってはいるが全エリアまわれたことがない。それ程大規模だということでもあります。今回市原佐都子(Q)の『バッコスの信女ーホルスタインの雌』も観たかったんだよなー。期間中何回か行ければいいんだけどなー。次回以降のことも考えておかないと。

という訳で繰り返すがあいちトリエンナーレは楽しい。これからも行くと思う。



2019年09月07日(土)
サエボーグ『House of L』(『あいちトリエンナーレ 2019』)

サエボーグ『House of L』@愛知県美術館 大リハーサル室

『あいちトリエンナーレ 2019』の他展示については翌日のエントリーで。


スローターハウスは1945年のドレスデンから2019年の名古屋へやってきたのだった、なんてな。



14時からの空プロ、15時からの桜プロを続けて観ました(それぞれのタイトルがわからないので、便宜上色で)。どちらも約一時間のパフォーマンス。一日のスタートが桜からだったので、順番としては桜→空で観るのが作者の意図だったかも知れません。



入場するとそこは牧場? 外観は畜舎、内装はドールハウスなかわいらしい建物。入り口をおおきないぬが塞いでいる。いびきをかいて寝ています。ときどきぶーぶーおならもする。片目が白濁していて、あちこちにおできが出来ている。リビング調の室内を眺めつつ、開演を待ちます。



「摩擦! 屠殺! 悩殺!」リビングに置かれていたお品書き。

ぶたちゃんたちが入ってきました。手を振り乍ら寄ってきます。わーかわいいなー。なでたりハイタッチしたり。乳を揉めと要求してくる子もいたので揉ませていただきました。うしちゃん、ひつじちゃんやにわとりちゃんもやってきた。うしちゃんはボール遊びが好き。ひつじちゃんはちょっとシャイ。なんとなく個性がわかってきました。ひとなつっこい子ばかり。彼らのガワはラテックス製。ゴムの触感はフェティッシュな気持ちよさ。ガワ一枚を隔てるだけで、初対面の相手に警戒心なく接することが出来る不思議。ぶたちゃんと遊んでいると、ガワの隙間から汗がパタパタパターッと落ちてきました。なかのひと重労働だな! お元気で! と親愛の情もわいたりして。

にわとりの造形が見事でした。この動画だとわかりやすいかな、尾っぽの部分がなかのひとの頭なのです。にわとりが前進する場合、なかのひとは後ずさるんですね。スーツアクターの仕事人ぶりを見た思い。

カラオケ大会が始まります。マイクの前につれてこられて島倉千代子の「人生いろいろ」を唄わされる観客(笑)、手拍子する観客。すっかり場がハッピーになった頃、農婦がやってきます。そうだったここ畜舎だった。ということは……搾取が始まるよー! 牛は種付けされ、豚は解体され、鶏は卵を持ってかれ。楽しかった場は一転、タイミングよくこどもが泣いたりしてこう…なんていうの……異様という言葉しか浮かばない。しかしそれが搾取というもの。いただきますは感謝の言葉。ひと仕事して汗をかいたのか、農婦ちゃんのストリップが始まります。そこに流れてくるのはa-haの「Take on Me」。最高か。マッパになった人間と、腸が丸見えのどうぶつたちが踊り狂う。なんだかんだで結局ハッピーに。ハッピーなのか。



一方で、おうちに鎮座しているいぬの姿には悲哀が感じられます。片目が白濁していて、あちこちにおできが出来ている。シモもゆるくなっていて、おならぶーぶー、おもらしもしちゃう。フレッシュな状態でスパッと殺される家畜とは違い、ペット=人間の友、家族としてのいぬは恐らく延命=介護されている。おうちの外には「LIFE ISN'T CHEAP」の落書き。真理だわ……。

桜プロはぶたさんのお産ですよ! 生まれた子たちもやはりにんげんになつきダンスを踊る。





空プロと違い、こちらのぶたちゃんたちはもう立ち上がることがありません。せつない。『銀の匙』を読み返したくなっちゃった。最新刊はまだかしら。おにくをいただいて生きている立場なので、自分が食べられる側になったらどうぞどうぞと提供しようと日頃から心がけています(ドナーカードも全部チェック済よ)。

自分が食べているものの仕組みを知る。といったこどもへの情操教育としても有効で、かつフェティッシュな欲望も満たされる。目覚めちゃうこどももいるかもね。四半世紀以上(!)続いているフェティッシュパーティ、Department-Hのショウでも活躍しているサエボーグ嬢の作品が、こうして昼間の美術館で観られたという意義は大きい。またこどもたちが結構すぐ順応するんですよ。観た日は出演者か? と思っちゃうくらいなじんでる子がいて、一度ぶたちゃんと激突してひっくりかえっちゃった(ぶたちゃんめっちゃ謝ってた)んだけどそれでもずっとエリア中央で遊んでいた。

大人たちには躊躇があった。パフォーマンスの妨げにならなければどこで観てもよく、移動もOKだったんだけど、殆ど動かず遠巻きに観る感じだった。どうぶつたちが積極的に絡んできてもまだ距離感がありました。事態が大きく動いたのは、いぬのお腹がいよいよやばくなってきたところから。おならがブーブー。おならだけじゃない、何かが出てる音がする。でもリビング側からでは何が起こっているのか判らない。若い女の子たちが「なになに?」といぬの背後に駆けていきました。これをきっかけに腰が重かったひとたちも立ち上がり、あちこちで起こる営みを観てまわる寛ぎが生まれました。同時多発的にハプニングが起こる、混沌としたクラブの空気が美術館に持ち込まれたようで痛快でした。

美術はDepartment-Hのオーガナイザーでもあるゴッホ今泉、楽曲提供はDJ TKD。サエボーグ嬢は今回いぬのなかのひとだったそうです。愛知県美術館の地下で、アンダーグラウンドなパーティが行われている。ポップでスウィートでビターな捕食と被食の関係を目撃出来たのは、たった8日間。

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・Saeborg | サエボーグ 公式サイト
・インタビュー サエボーグ『情動資本主義モンスターと愛の戦士』(PDF)
聴き手はセバスチャン
とてもよいインタヴュー。そうかー、House of LはHouse of Mからインスパイアされたネーミングなのか。ミュータントも歳をとり、ボケたり“おもらし”したりする。生物である限り、身体(脳も身体の器官だ)が古くなっていくのは避けられない



2019年09月02日(月)
祝福される多様性、KAMASI WASHINGTON

KAMASI WASHINGTON@LIQUIDROOM ebisu


定刻だったそうです、失礼しました。んが、タイムテーブルアナウンスしといてほしかったわ……。

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Ts:Kamasi Washington
Vo:Patrice Quinn
Flute, Ss:Rickey Washington(カマシのパパ)
Tb:Ryan Porter
Key:BIGYUKI
Drs:Ronald Bruner Jr.(Thundercatちゃんのお兄ちゃん)
Drs:Tony Austin
B:Miles Mosley
(8/2にKeyがBrandon ColemanからBIGYUKIに変更とアナウンスがありました)
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三年前のフジ、ウワサは聞いていたもののRHCPと被っていて観られなかった。昨年のサマソニでは日程が合わず。BLUE NOTEやBillboardでの公演は避けていた。だってさ〜やっぱかしこまったとこでディナーなんぞして、じゃなくてスタンディングでガチ踊りしたいじゃーん。という訳で念願のクラブ公演ですヨ! チケットとれてよかった!

リキッドで入場時間が30分しかないって珍しいなあと思いつつ、大混雑のなか見やすい位置をなんとかゲット。入場と同時にDJは始まっていたのですが、開演時間の19:30になるとフロアライトが消え、照明もステージ仕様になりました。カマシ登場迄のゲストDJは柳樂光隆さん。タブラとシターラか(な?)ver.の「Take Five」とか、それどっから持ってきた、でも格好いい! てな選曲で面白かった。Shazam掲げてるひとがあちこちにいたんだけど、あんまりヒットしてないところも面白かった……感知してないのかな? なんてスマホの向きを変えてもヒットしないの(笑)。こういうの、ちょっと痛快。後日プレイリストが一部公開されてましたよ。

というわけで楽しく聴いてましたがそれにしても遅いな……カマシが出てくるのはいつぐらいだ……と思うくらいには時間が経つ。結局20:20登場。そうならそうと! どちらにしろ19:30からいたと思うけど、ライヴのスタート時間が判ってるのと遅れてるのかな? とハラハラし乍らぎゅうぎゅうのフロアで待つのとでは疲労度が違うのよ! 柳樂さんに罪はないが(そしてDJは楽しんだが)流石に20時過ぎたら「まだかな〜」と思い始めてしまった。すまん……。

ライヴが始まってからしばらく、フロアのレスポンスが鈍い。あれだ、皆待ちくたびれてたんだと思う……体力的にも。バンドは最初からフルスロットルでした。音源もいいけどライヴはやっぱりすごい。ミドルテンポの曲をインプロのブリッジで繋げていくので、MCでもしない限り曲間は空かない。我々が演奏を始めたらショウが終わる迄誰にも邪魔させん、というか邪魔など出来ませんよ! とこちらが気圧されるオーラありあり。悠然と歩く象のよう、ノッシノッシ。よって印象が陸の王者。一音一音の重みが違うぜ。やがてフロアも熱くなり、すっかりバンドのペースです。伴奏なし、まっさらのTs1本で演奏されるカマシのソロは合気道を思わせる間合いの芸術。ブレス、フィンガリング、キーがタンポを叩く音全てを耳に入れようと、フロアが静まり返る。その緊張感の心地よいこと。

ドラムは下手側がトニー、上手側がロナルド。トニーの方だけアクリルパーテーションが設置。前にヴォーカルがいたからかな。カマシパパは二曲目から登場、以降演奏頻度によりひっこむひともいれば、ずっとステージにいて気持ち良さそうに身体を揺らしてる。パトリスは唄わないときもほぼずっとステージにいて、笑顔で手を合わせたり天に掲げたりと、スピリチュアルなダンスを続ける。ソロは当然全員あり。誰かのソロがはじまると、フロアに見えるよう前方のプレイヤーが端に寄ったりかがんだり。こういうとこ、ジャズメンの愛だわー。DCPRG関連でもよく目にする光景です。マイルズのソロが派手でよかったな。ピチカートもボウイングもスピーディ、エフェクトも使い、アコースティックとエレクトリックのミクスチャーでぐいぐい迫る。弓が短くコンパクトに見えたのは気のせいなのかマイルズの腕が長いのか使いやすいようにカスタマイズしてるのかどれだ。ロナルドのソロはメロディが聴こえてくるようなソロでした。ソロ前のフレーズからリズム展開させていくので、聴く側の耳にそのメロディが残ってるんですよね。それを巧く利用していた感じ。BIGYUKIのソロにぴたりとよりそうロナルドのリズムもよかったなー。

「あなたたちと私は違う言葉を話しているけど、それは祝福されるべきこと。私はあなたたちを愛しているし、それは伝わると思う。音楽はそれを伝えられる」「『Truth』は5つのメロディーが同時に演奏される、皆いっしょになれる」というようなカマシのMCからのラストスパート、「Truth」〜「Wiil You Sing」〜「Fists of Fury」の流れは神がかってた。音楽はギフトで、いつか音楽で世界が変えられればというまっすぐなメッセージは、この日のライヴ全編に流れていた。

あなたの声が必要なら、私たちの歌がいつか世界が世界を変える。パトリスがフロアに向かって“Will You Sing?”と繰り返す、こちらも繰り返し応えて唄う。そっからのあのリフレイン、「Fists of Fury」ですよ! そりゃアガるわ! アガりきるっちゅうねん! 歌詞も改めて聴くと、「Will You Sing」と対になっているかのよう。いわずとしれた『ドラゴン怒りの鉄拳』テーマ曲のカヴァーです。前日観た『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が浮かぶっちゅうねん。相互効果で以後『ワンス〜』の自分内テーマ曲が「Fists of Fury」になるっちゅうねん。短絡的かもしれないけど、この流れにぶっ込まれたBIGYUKIのソロ、それを受けてのフロアの熱狂は「多様性を祝福する」象徴にも思えました。ほろり。

去り際にカマシがピースサインを掲げる。自然とこちらもピースを返す。いや〜こんなに自然にピースしたの初めてだわ。祝福の夜だ。帰るとき後ろのひとが「来年はフジで三時間やってほしいな!」つっててホントホント、それ聴きたい! て思いました。是非またスタンディングで!

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セットリスト

01. Street Fighter Mas
02. The Rhythm Changes
03. Abraham
04. Truth
05. Will You Sing
06. Fists of Fury

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・KAMASI WASHINGTON、レポート&セットリストのプレイリスト公開!┃BEATINK.COM


ツイート拝借。セットリストの画像にも20:20〜て書いてありますね。柳樂さんのツイートによるとリハ後ごはん食べにいくのが通例のようです(微笑)




2019年09月01日(日)
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』@TOHOシネマズ新宿 スクリーン4


タランティーノは教えてくれる。映画の虚構はときにひとを癒し、不遇な魂に安息をもたらす。以下ネタバレあります。

タランティーノ作品が公開されると、必ず映画館に足を運ぶ。『パルプ・フィクション』でこの監督を知ったので(正確にはまず『トゥルー・ロマンス』の脚本家として知った)、『レザボア・ドッグス』はリバイバルで観た。ふらりと入った映画館で、沢山のひとと一緒に観ているのに、暗闇のなかひとりだけの空間を感じられるのが好きだった。皆と一緒にドッと笑い、ひとに見られていない安心感からこらえることなく涙を流す。立ち見で観てもそれは同じ。

シネコンが主流になり、席は事前に予約するのが普通になった。今は立ち見が出来ない映画館も多い。SNSをのぞくとネタバレに当たる可能性があるから早めに観に行かなければ、なんて焦燥感も湧く。環境は随分変わった。とはいえ、過去を懐かしんでも、それがよかったとは限らない。現在は予想もしなかった驚きと喜びに満ちている。90年代にキャリアをスタートさせ、同じ時代に成長したふたりのハリウッドスター、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの初共演を観ることが出来るなんて。凄惨な事件の主人公としてしか知らなかったシャロン・テートの素顔を(それが想像上のものだとしても)見られるなんて。死後半世紀を経て、こんな彼女の未来を見られるなんて。

パーティー三昧、とりまきや友人たちに囲まれる毎日。華やかなくらしをしているシャロン。同時に映画は、感性豊かなひとりの人物としてのシャロンを描く。夫へプレゼントする本(『テス』)を買うため書店に寄り、映画館に入る。自分が出演しているコメディを観る。自分の演技に笑いが起こる。そのときの彼女の表情! 今でも思い出すだけで涙が出てくる。キャリアはこれから。もうすぐ生まれてくるこども。明るい未来しかなかった筈の彼女のとある一日。映画の魅力と可能性を知り尽くしているタランティーノが用意したプレゼントだ。映画は多くのひとに語りかける。映画はひとりに寄り添う。マーゴット・ロビーが素晴らしい。その美しさ、その笑顔。“ギフト”を持つ者の輝きだ。『イングロリアス・バスターズ』におけるメラニー・ロランを思い出す。

「その日」が近づくにつれ、不安は拡がる。彼女の笑顔が輝けば輝く程、悲しみが募る。同時にタランティーノはどういう展開を用意しているのか? と期待も膨らむ。果たしてそれは予想もしなかった結末を迎える。虚構の登場人物ふたりがシャロンを救う。演じているのはブラピとレオ。ハリウッド屈指のスターふたりが、おちぶれかかっている役者とそのスタントマン(あまり仕事がないので付き人も兼業)を演じる。魑魅魍魎が跋扈するハリウッドにおいて常に第一線で活躍してきたふたりが、だ。正気を保つのが難しい浮かれた業界を憎み、悪意にバイオレンスで立ち向かい、自分の中の暴力性を肯定する。それが自身を傷つけることもわかっている。傷は深い、後戻りは出来ない。刃の上を歩くような人物を演じるのに、こんなにふさわしいふたりはいない。ブラピ演じるクリフ・ブースが“爆発”するクライマックスに思わず快哉を叫ぶ思い。

情報量が多くてランタイムも長いのに、終始ワクワク観られるのが流石よな……。あとやっぱリズムが素晴らしいよ。シャロンがブルース・リーにアクションを習うシーン、マンソンファミリーがプールに飛び込んでくるタイミング。唐突にして絶妙。対してスパーン映画牧場のシーンはねっとりじっくり。脚フェチぶりも健在。堪能しました。OSTも最高。あれだけの曲が起用されているのにうるさく感じない。そういえばKula Shakerのver.でしか聴いたことなかった「Hush」のオリジナル(Deep Purple)を初めて聴いたわ。最高といえばブロンディ(いぬ)。いぬは人間のよき友、人間を守るナイト。ブロンディがいてよかった、あの日ブロンディをペットホテルから引き取ってきててよかった、リックんちに寄ってよかった。虚構のシチュエーションに、胸を撫でおろす。登場人物が自分の隣人のように感じられる。

役者の喜びは、演じる役があること。演技で他者を日常から連れ出せること。レオ演じるリック・ダルトンは共演した子役から、シャロンは観客として入った映画館でそれを教えられる。スタンドダブル(ゾーイ・ベルが出演していてニッコリ)を筆頭に、大ボラをふくために命懸けで仕事に臨むへ映画人たちへの愛情にあふれた作品でもある。

美しく悲しい、たらればの物語。優しく愛おしい、鎮魂の映画。映画の力を信じているタランティーノ。彼のキャリアをリアルタイムで体感する時代に生まれて幸せです。

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・翌日Kamasi Washingtonのライヴに行って「Fists of Fury」(『ドラゴン怒りの鉄拳』テーマ曲ですよ)を聴いたもんで胸いっぱい。以降『ワンス〜』について思い出すとこの曲が脳内で流れるようになってしまった。こういうことってあるものよね。映画では散々な目に遭ったブルースだけど、愛すべきキャラクターでした

・ふと思うのはMarilyn MansonとNine Inch Nailsのこと。シャロン・テートの事件がなければ生まれなかったアーティストネームと、奇妙な付加価値がついた『The Fragile』という作品のこと。そのネーミングと行動は(トレント・レズナーは後に邸宅を購入したのは偶然だったと主張しているが)、悪趣味ともいえる。そんなトレントが後にピクサー映画の音楽を手掛けることになるなんて、誰が想像しただろう。『The Fragile』を聴かなかった自分の人生はどうなっていただろうな、なんてこともしばし思いふけってしまいました

・【解説】『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ワンハリ徹底予習 ─ シャロン・テート殺人事件とチャールズ・マンソンとは┃THE RIVER
「事件が起こってから、南カリフォルニアはヒッピー・ムーブメントに対するパニックと恐怖に陥った。もう誰もヒッチハイカーを拾わなくなり、長髪で髭を蓄えた若者は全員が”殺人狂のカルト”と見なされた。」
無邪気な信頼は失われ、疑念ばかりが先に立つ。時代はそう変わっていく。
THE RIVERは他の記事も読み応えあるのでおすすめ