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2012年05月17日(木)
『NATIONAL TREASURES -THE COMPLETE SINGLES LIVE-』1日目

MANIC STREET PREACHERS『NATIONAL TREASURES -THE COMPLETE SINGLES LIVE-』@STUDIO COAST

昨年秋にリリースされたシングルコレクション『NATIONAL TREASURES : THE COMPLETE SINGLES』の楽曲+「NEW ART RIOT」 「SUICIDE ALLEY」を全曲演奏するよと言う2days。トラックリストの順ではなくランダム。どの曲も絶対やるのは決まっているけどいつやるかは判らないと言う…タスケテ!もともとどっから切ってもいい曲しかないのに、そのいい曲がいつ出るかはお楽しみとか、全曲イントロドンでギャーてなるに決まっている。

振り返ればリアルタイムでいちばん長く聴き続けている現役バンド(UK)になる。活動休止期間があっても他のバンドのそれとは違い、なんだかんだとそう間を空けず新作を発表したりツアーに出たりしている。生真面目で実直なバンド。紆余曲折がどれだけあったかはもう気が遠くなる程なので(本当にそうなのだ)改めては書かないが、それでも幼馴染みが集まって始めたバンドは今も続いている。こうやって、生きている。

二十年弱のあれやこれやが曲毎に思い出され、走馬灯を見ているかのようでした。よすぎた。もはや大袈裟ではなく、自分の人生の傍にある音楽。あのときも、あのときも、マニックスを聴いていた。

会場に入ると『National Treasures』のアートワークに使われた女の子(女王陛下の方ね)の巨大なバックドロップ、ステージ両袖には桜の木。これだけでもう感極まる。世界一桜が似合うウェールズのバンドだな。「EVERYTHING MUST GO」のMVに桜が登場したとき最初にそう思った。桜をバックに撮られた写真もいくつかある。日本の文化に造詣が深い彼らは、メンタリティからしても日本との親和性を感じる。それが彼ら個人の資質なのか、ウェールズと言う土地に根拠があるのかは判らないが、マニックスの楽曲が浪花節や演歌に例えられるのもすんなり受け入れられるし、それを揶揄する輩のことは放っておける。

OAはSUPER FURRY ANIMALSのグリフ・リース。モジャモジャ〜。アコギの弾き語りに、数々の楽器や小物の音を載せていく演奏。メトロノームはBPMキープと言うよりリズムトラックとして、アナログプレイヤーはレコードをとっかえひっかえ載せるもトラックそのものではなくプツ、プツと言うノイズをやはりリズムに使っていた感じ。ブルースハープを演奏しつつ鳥の声のサンプルも鳴らしたり、それらが並べられているテーブルからして森の実演販売のよう!「ありがと ね」「拍手 お願いします」「おしまい。」と書いた模造紙も用意してました(笑・SFAでは恒例だったそうですね)。最後エプロンみたいなの着てたけどあれは演奏に関係あるんだろうか…と思って帰宅後検索したら、エプロンではなく飛行機のライフジャケットだったとのこと。自分の空目に白目。てかなんでライフジャケット……。

マニックスのセッティングが始まり、マラボーが巻かれたマイクスタンドが持ち込まれると歓声があがり、フロアがまだかまだかと言う空気に満ちてくる。隣の姉さんが通し券を失くしたとパニックになっている…だ、だいじょうぶか……見付かるとよい……。あ、ミッチさんだ。もうすぐ始まるな。ミッチさんは毎回そうであるように、ブログで来日した彼らの様子を書いていた。知っていることも、知らなかったことも書いてある。つきあいの長いミッチさんにしか撮れないもの、書けないもの。お箸でホッケをつつくジェイムズの違和感のなさには笑った。この呑み屋の光景、『Forever Delayed』でも見たな。

出囃子はボウイの「Speed Of Life」!大歓声とともにスタート。

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セットリスト(画像はミッチさんとこから)

01. MOTORCYCLE EMPTINESS
02. YOUR LOVE ALONE
03. OCEAN SPRAY
04. (IT'S NOT WAR) JUST THE END OF LOVE
05. AUSTRALIA
06. LOVE'S SWEET EXILE
07. SHE IS SUFFERING
08. FROM DESPAIR TO WHERE
09. THE EVERLASTING
10. EMPTY SOULS
11. REVOL
12. THERE BY THE GRACE OF GOD
13. TSUNAMI
14. FURTHER AWAY (Acoustic)
15. SUICIDE ALLEY
16. LIFE BECOMING A LANDSLIDE
17. THIS IS THE DAY
18. SOME KIND OF NOTHINGNESS
19. LITTLE BABY NOTHING
20. MOTOWN JUNK
21. IF YOU TOLERATE THIS YOUR CHILDREN WILL BE NEXT

"I WILL PIN UP MY SOUL ON THE WALL AND LET PEOPLE READ IT. THEY CAN LAUGH, THEY CAN CRY - IT'S UP TO THEM. I DON'T REALLY MIND." KEVIN ROWLAND

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Kondiさん(ミッチさんのブログ参照)の訃報は当時twitterで知ったのだが、直後ではない今の時期、それでもしっかり憶えていてメッセージと演奏を贈る。こういう義理堅いところはやはりマニックス、ではあるものの、それだけKondiさんがメンバーにとって大切な人物だったのだろうと思わせられる。この曲のMVは日本で撮られたものだ。もう何度観たか思い出せないが、曲が鳴るとその光景がぶわっと思い出される。一曲終わって恒例の「オゲンキデスカイ!」。箸の使い方といい、溌剌としたアクセントといい威勢のよさといい、築地の鮨屋にいそうな佇まいのジェイムズですよ。旨い鮨をどんどん握るぜ!この魚はこっから仕入れたんでい!あーアフレコしたくなる。昨年のネノムゲンフェスのときより身体が締まった感じ、ってこれも何度も繰り返してるな(笑)。このときは彼らが到着後大きめの地震があり、うわあごめん!こんなとき来てくれて有難う!と思ったものだった。確か本国ではお休み期間だったんじゃないかな。来日キャンセルが続いた時期でもあったので、来てくれたことは本当に嬉しかった。この辺り、他のバンドでもそうだけど、当分(いやずっとかも)そう思うんだろうな。あんな危険な国に行きたくないと思うひともいるだろうし、行かないで!と家族にとめられる場合もあるだろうし。

サポートにウェイン・マーレー(G)とKey、と言う布陣はここ数年同じですが、今回のKeyは久々ニコラス・ネイスミスだった!メンバー紹介のMCでもウェルカムバックと言われていました。彼らがいることで、ジェイムズが歌とギターパートに専念出来る。アコギやコーラス、タンバリン等のパーカッション(前回迄のサポート、ショーン・リードは生楽器で、ニコラスはKeyでサンプルパターンを鳴らして演奏)が入ることで、楽曲の美しさが際立つ。そんななか、三人だけで演奏した「SUICIDE ALLEY」にはもうねえ……いやあ、ちゃんと演奏出来てる!(笑)で、ちゃんと出来てると改めて格好よい曲だと感じるわー。一曲ごとに、次にやる曲は、とかその曲にまつわる思い出なども話す。ニッキーが「丁度二十年前の今週に初めて日本で演奏した、クラブチッタ川崎でね」と言った。日にちも憶えてくれているんだな。「REVOL」はリッチーへ贈られた。「彼は日本のことを愛していた」とニッキー。

曲間のMCでジェイムズはハーハー息をきらしてる。でも歌を唄ってるときはそれを微塵も感じない。演奏のテンポが遅くなってきている曲もある。でもその分丁寧に演奏してるのが伝わる。そのときどきの演奏を聴き続けられる幸福。「TSUNAMI」も、今聴くからこその感慨がある。演奏してくれて嬉しかった。アコースティックコーナーは日本でのみシングルカットされた「FURTHER AWAY」だった。スペシャルやで!

意外と若いひとも多く、コーストは盛況。しかも皆唄う唄う。ジェイムズもサビはこっちに任せてくれたりする。あの曲もあの曲もやった、でもあの曲もあの曲もやってない!と言うことは明日間違いなくやる訳で、こういう趣旨のライヴだからこその楽しみがいっぱい。裏を返せば今度いつ聴けるか判らない曲もある。そうなると一音たりとも聴き逃したくないし、ひとつひとつの音や歌詞を大切に、噛み締めるように聴く。それはもうすごい集中力で聴いていたと思います。時間が過ぎるのがこんなに歯痒いライヴもない。でも、時間が過ぎなければ次の曲が聴けない(笑)。ジ〜レ〜ン〜マ〜。終演後しばし呆然。アンコールはやらないバンド、それでも名残惜しい。

退場時に眺めた、基本の照明に浮かび上がるセットの美しかったこと。どこかに画像あがらないかな…ミッチさんはステージ周辺にいたので退きでは撮ってないかな…と、ミッチさんがどこにいるのかすらチェックしてしまう訳で(笑)。興奮してべらべら喋り、物販について語り(笑)、直前に来日していたモリッシーの話からスミスの話になり、ゲラゲラ笑って解散。ああっ明日で終わってしまう!寂しい!でもあれもあれも聴ける!楽しい!どうすりゃいいのよ。