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セクサロイドは眠らない
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| 2001年09月29日(土) |
彼は、私の結い上げた髪をほどき、私のドレスを脱がさずに。ついには、私だけが何度も達する。 |
「あなた、誰?」 「ぼく?空からまっさかさまに堕ちた天使。だから全身傷だらけ。」 少年はくすくすと、何がおかしいのか笑い続ける。
私の庭の芝生の上で傷だらけの少年が大の字に倒れて空を見上げていた。
「ねえ。きみのところに置いてよ。」 そのキラキラと大きな瞳を私に向ける。
「いいけど。」 若くして、金持ちの夫を失った私は、莫大な遺産を継いで遊び暮らしていた。私に寄生虫のようにくっついている何人もの男達と一緒に。この際、居候が一人増えようがどうだっていいことだ。
「あなた、いくつ?」 「さあ・・・。忘れた。」 「どこから来たの?」 「空からだって言っただろう。」 「ま、いいわ。いらっしゃいな。歩ける?」 「うん。」
私は、空いた部屋に連れて行き、使用人の一人に命じて傷の手当てをさせた。
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それからというもの、私の日々の生活は、堕天使クンを加えた事でますます狂乱ぶりを増した。
「あいつ、嫌い。」 などと私が口走ろうものなら、堕天使クンは、そいつを殴りに行くのだ。果ては、店からたたき出される始末。そんなこともおかしくてしょうがなかった。
私は、Tシャツと膝のぬけたジーンズ姿なんかで髪を金髪に染めているもんだから、誰だってお金持ちの奥様とは思わないし。
「あなたって、お金持ちらしくないね。」 堕天使クンは不思議そうに訊ねる。
「そう?きみがもっとお金持ちらしくしたいなら、何でも買っていいのよ。」 「ううん。僕はいいんだ。あなたが正装したところを見てみたい。」 「はは。私がきれいな格好を?また考えておくわ。お金以外誰も私のことを相手にしてくれなくなったらお金と遊ぶわ。今はこのボロボロの格好で充分。亡くなった夫も、私の服装については何も言わず好きにさせてくれてたわ。」
そういう堕天使くんは、お酒も飲まないし、私に指一本触れて来ない。私は、堕天使クンと遊ぶのが楽しくて、いつのまにか誰ともセックスしなくなった。いつまでもこんな風に遊び暮らしていられたらいいのに・・・。堕天使クンが現われてからというもの、私はふと悲しくなってしまうことがある。
気が付くと、私の屋敷に居候していた男達は一人もいない。荷物もそのままに、いつの間にか消え失せている。
私が不思議そうに、主人不在の部屋を訪ねると、堕天使クンがニヤリと笑う。
「彼らなら、僕が消しちゃったよ。」 「どういうこと?」 「きみとの二人の生活に邪魔なものは全部消しちゃうってことさ。」
あはは。悪い冗談。でも、その時には、もう私は。そう、恋をしていたの?
「ねえ。結婚しよう。きみには僕しかいないよ。」 「悪い子ね。他の人を追い出したりして。」 「これからだってそうさ。きみと僕を邪魔するものは全部消してあげる。」 「ねえ。」 「なあに?」 「本当に私と結婚したい?」 「うん。」 「じゃあ、ここで抱いて。」 「駄目だよ。」 「どうして?」 「どうしてもさ。」 「まさか・・・?」 「いや、違うよ。僕は時折外に出て、金で女を買う。でも、きみは特別さ。ねえ。愛しい共犯者、世界をめちゃくちゃにしてやろうよ。僕は、そんなきみに欲情する。」 「狂ってるのね。」 「ああ。狂ってるさ。最初から。」
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私達は、結局、キチガイじみた婚礼を行う。
彼のために、破れたジーンズを脱ぎ捨てて美しく装う。彼は、私の結い上げた髪をほどき、私のドレスを脱がさずに、脚を舐めまわす。彼によって剥き出しにされた部分に、だが彼は指一本触れない。ついには、私だけが何度も達する。
「ねえ。これからどうするの?」 「さあね。きみと僕はお似合いだ。二人合わせれば、ようやく一組の羽。空を自由に飛べる。ネヴァーランドへ行って永遠にこのままで暮らすこともできる。」
そう言って、彼は私に長い口づけをする。
そう?私達のイカれた頭でこの世界に何かして見せることができるなら、こんなにワクワクすることはないわね。やれるものなら、私達以外の全ての人間を消しちゃって。
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