セクサロイドは眠らない

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2001年08月26日(日) 帯が解かれ、私は、彼のその不自然に若々しい肉体を受け入れる。

その家の庭は、いつも丹精込めて育てられた庭木が美しい花を咲かせていた。私は、その家の前を通るたび、その美しさに見惚れ、足を止める。

この家の花々は、こんなに美しく咲くことができて何と幸福だろうかと思う。

ある日のこと、家の主人は、放心して花に魅入っている私に声を掛ける。

「花は好きですか?」
「え?あ。はい・・・。ここのは、特に、とても美しく咲いているものですから。」
「ありがとうございます。花だけが私の道楽なものですから。」

白髪が顰に一筋混じっている頭髪を丹念になでつけ、穏やかな微笑で私に話し掛ける、その主人の、見た目の美しさに、私は、驚き、見とれてしまう。白髪があるとはいえ、彫りの深い整った顔と、ピシリと和服を着こなしたたたずまいは、若々しく、えも言えぬ色気が漂っているのだった。

その時、急に、激しい雨が降り出した。家の主人は、つと、顎を引き、私を招くように家のほうを見た。私は、うなづき、小走りに門を回って、玄関より上がらせてもらった。

「濡れてしまいましたね。」
「ええ。」
「風呂が湧いております。着替えはすぐ持たせます。お時間はよろしいですか?」
「え・・・。あの・・。」

私がどうして、その申し出を断れましょう。

--

湯上りの朝顔の模様の浴衣は、あつらえたように私の体にぴったりで、私は、熱い白湯をいただいて、一息つく。さっきまでの雨が嘘のように、外は晴れ、草木の葉が水滴を乗せて揺れているのが開け放たれた障子の向こうに見える。

「あなたは、さしずめ、花に喩えたら、朝顔でしょうか。そのあでやかな表情と言い、しなやかな蔓のような手足といい。その手足を、私の体に絡ませてもらえたら、私はどんなにか嬉しいことでしょうか。」

主人は、私の手を取ってそっと引き寄せる。浴衣の襟元をはだけると、熱い口づけをする。私の浴衣の裾を割って覗いた脚に主人の脚がからんで来て、浴衣の袂から、主人の唇が這うと、私は、たまりかねて。それでも、庭の花々が私を見つめているような錯覚に、はっとして、声を忍ばせる。何かを言わんとするようにざわめく花々の音がうるさいほど。

「ご覧なさい。あの花はなんと美しいことか。」

主人に耳元でささやかれ、私は、言葉にならない声で返事をする。帯が解かれ、私は、彼のその不自然に若々しい肉体を受け入れる。

--

庭に、さっきまでなかった朝顔が。

主人は、添え木を立て、蔓を巻きつかせる。

「どの花も、みないとおしいのだよ。」

家の主人は、その、震える葉に唇をつける。


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