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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2004年09月30日(木) --

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『とぶ船』

古くて新しい、という形容はよくあるけれど。

どこにでもいるような4人きょうだいに起こる エブリデイ・マジック&タイム・ファンタジーを描いた 『とぶ船』は、イギリス的な親しみをさっぴいても、 普遍的なムードをもって生まれた作品である。 1939年という、第二次大戦の始まった年に出版され、 日本では1966年に訳された。 著者のルイスは、歴史小説をたくさん書き残した作家。

歯医者の帰りに見つけたお店で、 バイキング風の小さな船を買ったピーター少年。 店の老人に、"いまもっているお金全部と、それからもう少し"の 代価を払わねばならないと言われて買ったその船は、 願いをとなえれば、人が乗れるほど大きくなって、 持ち主をどこへでも─時代さえ越えて、運んでくれる 魔法の船だったのだ。

ピーターとシーラ、ハンフリ、サンディの4人は、 遠いエジプトや、過去の時代、神話の世界まで旅をする。 いつも、願ったのとはちがった展開になるし、 おなかは空くし、つらいことも、命がけの危険さえともなう旅。 けれども、必ず、誰かがそこに待っている。 そんな風に、冒険をしてみたい子どもたちの夢を、 かなえてくれる夢の船。

過去の時代で4人が出会った少女、マチルダの言葉は 印象深い。

マチルダは、星あかりのなかで、 みんなのほうをまっすぐに見て、しずかにいいました。 「いいえ、わたしは、わたしの時代のなかで、 わたしらしく生きていかなければなりません。」 (引用)

不自由なお姫さま、マチルダは、この物語の 主人公のひとりでもある。

しかし、忘れていた。 マチルダの存在も、すっかり。 わたしの小学校の図書館カードに、二度以上も貸し出しの記録が 残っているこの本なのに。

ただ、魔法の船に乗って、冒険の旅に出る─という設定だけは、 いまも見えない栄養になって、 わたしのなかに息づいているのだろう。 (マーズ)


『とぶ船』著者:ヒルダ・ルイス / 絵(挿絵):ノーラ・ラヴリン、表紙:太田大八 / 訳:石井桃子 / 出版社:岩波書店1966

2003年09月30日(火) 『死霊の王』2
2002年09月30日(月) 『トランスパーソナル心理学』
2000年09月30日(土) 『ラング世界童話全集』

お天気猫や

-- 2004年09月28日(火) --

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『砂の妖精』

ずいぶんひさしぶりに読み返した。

バスタブル家の4人の子どもたち(と赤ん坊)が100年たっても 歳を取らず、 砂の妖精サミアドはますますユニークで、 彼(だと思うが)の語る言葉にも、あらためて力を感じる。

原題は『Five Children and IT』なので、 気になって調べたら、未読だけれど、キングの『IT』のほうは 子どもが7人で、こちらのITは下水溝など、水の流れるところに 出没するとのこと。サミアドは逆に、濡れるのが大嫌いだ。 でも、きっと少年時代、サミアドと一緒に過ごしたのだろうな、 とキングの過去を勝手に想像している。

これもよく言われているのかもしれないけど、 砂の妖精サミアドのルックスは、ウルトラマンシリーズの怪獣、 カネゴンのモデルだろうか。 ボディは猿のようだけど、角の先に目がついていて、平たい口のある頭部、 性格的なところも似ているような。

太古から、一日にひとつ、子どもたちのお願いを叶えるのが義務である サミアドの語った言葉のなかで、 私にとっても耳の痛いのは、

わるいことはいわん。 なにか、わけのわかったものをのぞめ。 たとえば、ふとったメガテリュームを一ぴきほしいとか いうようなことをな。(引用)

なんていうあたり。 夢も大事だけど、食べるものも必要だ。

一話ずつ完結していて一冊の本になっているので、 読み聞かせにもいいと思う。 もうだいぶ前、アニメにもなっていて、 『おねがい!サミアどん』とかいうタイトルだったのは 苦しくて観てないのだが、どうだったんだろう。 (マーズ)


『砂の妖精』著者:E・ネズビット / 絵:H・R・ミラー / 訳:石井桃子 / 出版社:福音館書店1991

2001年09月28日(金) 『グリーン・ノウの川』
2000年09月28日(木) 『ハサミ男』 &『弁護側の証人』

お天気猫や

-- 2004年09月27日(月) --

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『エドワード・バーナードの転落』

☆子供なりに、人生を考えた頃。

中学三年生の時ではなかったかと、思う。 国語の教科書にモームの『エドワード・バーナードの転落』が 取り上げられていた。 短編とはいえ、全文は載っておらず、 教科書の掲載小説のために、初めて本を買った。

父親の事業の失敗のため、財産のすべてを失った エドワード・バーナードは、新しい事業で身を立てるために、 シカゴを離れ、タヒチへと旅立つ。 二年間という期限が過ぎてもいっこうに帰ってくる気配を 見せない彼を心配し、気遣う婚約者イザベル。 イザベルの意を汲んでエドワードのもとを訪ねる親友のベイトマン。 結局エドワードは、タヒチの自然の中で、 かつて都会で見いだそうとしたのとは別の幸福に気づくのだが、 それをベイトマンは理解する事ができない。 立身出世競争から脱落し、身を落としたエドワードに 「かわいそうなエドワード」とかつての婚約者はため息をつく。

短編ということもあって、 私には珍しく、何度か読み返している。 初めて読んだ中学生の頃。 ほんとうに、ただの子供だった。 タヒチを離れシカゴに戻ろうとしないエドワードに、 君は人生で何を重んじるのかと、 ベイトマンが問いただすところがある。 まだまだほんの子供だった私にとって、 その答えは、とても魅力的に映った。 エドワードは、 「君は笑うだろうが、真、善、美だ」と答える。 精一杯の背伸びをしたい、ちょうどそんな頃だったので、 「真善美」という人生の価値観は、 とても新鮮で、そして十分に刺激的であった。

別にその「真善美」についてじっくりと語られるわけではないが、 私にとっては、何かの扉が開くきっかけになったような気がする。 解説によると、"少々作為が見えすぎているきらい"もあるそうだが、 皮肉の効いたそのわかりやすさが、子供にとって、 人生を考える第一歩としては、良かったのだろうとも思う。 短編であるから、無駄が無く、多すぎも少なすぎもしない。 ちょうどのバランスで、それでいて、印象的な風景の美しさは、 いつまでも心に残り続けている。 非常に映像的な一編である。

「美そのものだ」とアーノルド・ジャクソンが呟くように言った。 「こうやってまともに美と向かいあえるというのは、 めったにないことです。 よく見ておいて下さい、ハンター君、 いま君が見ておられるこの光景は、もう二度と見られないのです、 瞬間というのは過ぎ去ってゆくものですからね。 しかしそれは君の心の中で、決して朽ちることのない想い出となって 残るでしょう。いま君は、永遠の存在にふれておられるのだ」(P99より)

こうやって、大人になって読み返してみると、 ラストの皮肉な落ちを笑いながら、 自分自身についても考える。 エドワードはある種のヒーローだけれど、 ベイトマンは、気の毒なくらいごくごく普通の人だ。 エドワードが見いだした幸福・安寧には強く惹かれるが、 私はせいぜいが、ベイトマンで、 エドワードのようにはなれないと、 残念なような、それでいいと思うような。 ほんの少し、エドワード的エッセンスが、 人生にあれば、それで足りるだろう。

この短編は後の長編『剃刀の刃』の原形をなすものということなので、 是非とも絶版となっているこの本を読みたい。 本は絶版だが、映画化された作品の方はDVDで市販されている。 それを見るのも楽しみである。 しかし、映像には、私が強く惹かれている、 アーノルド・ジャクソンの言うような瞬間の永遠の美しさは 映し出せないだろうけど。 (シィアル)


『太平洋〜モーム短篇集供拊者:サマセット・モーム / 出版社:新潮文庫1959

2002年09月27日(金) 『リサ ニューヨークへいく』
2001年09月27日(木) 『ぬいぐるみの小さな小さなわんこたち・まめぐるみ』
2000年09月27日(水) 『私のスタイルを探して』

お天気猫や

-- 2004年09月24日(金) --

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『旅のおみやげ図鑑』

☆旅の楽しみ。

旅の楽しみはいろいろあるけれど、 買い物も、それもちょっとした偶然の出会いで 変な物、妙な物を買うのがすごく楽しい。 "おみやげ然"とした物より、 ここでしか出会えないんだけれど、普段使いの何か。 国内外を問わず、そういう出会いを求めて、 スーパーとか、コンビニとか、日用雑貨のお店に ついつい、足は向いてしまう。

杉浦さやかさんの『旅のおみやげ図鑑』は、 そんな集大成だろうか。 杉浦さんのかわいらしいイラストブックのファンで、 かわいらしいというだけでも十分だけれど、 このおみやげ図鑑や『ベトナムで見つけた―かわいい・おいしい・安い! 』 (祥伝社黄金文庫)の情報は、 私にとっては実用情報でもある。

まさに、これは図鑑で、 項目が、

・おしゃれ  
・神様グッズ  
・文房具  
・日用品  
・本  
・人形  
・パッケージ  
・インテリア  
・こけし

に分類されていて、 ところどころにちょっとした地図(お買い物ガイド)と、 巻末にショップガイドが。 杉浦さんが出会ったかわいい物、変な物が満載で、 見ているだけで、楽しく、微笑ましいし、 それに、ちょっとうらやましい。

テイストが似ているので、 私のコレクションと一致する物や、 あ、ここ、行ったことがある、というような場所もあって、 嬉しかったりする。 本も文房具も、ちょっとした日用雑貨も、 もちろん、探すけれど、 私が旅行に行ったら絶対に探す物が、「眠り猫」。 きっかけは、初めてのイギリス旅行で出会った、 木製の眠り猫。 それ以来、旅に出るごとに、 着々と、増殖していっている。
(※眠り猫に限らず、いろんなものが続々と増殖するので、 捨てる技術ときっかけをいつも必要としているのだけれど。) (シィアル)

※現在、この本は品切れ中で、 最近やっと、オークションで購入。 そういう意味でも、この本は私にとって、 とても大切でかわいい本なのです。


『旅のおみやげ図鑑』著者:杉浦さやか / 出版社:幻冬舎2001('04.09現在品切れ)

2002年09月24日(火) 『木曜組曲』
2001年09月24日(月) 『ハロウィーンの魔法』
2000年09月24日(日) 『公主帰還』

お天気猫や

-- 2004年09月22日(水) --

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『ダンシング・ラブ』

リンダの復刊ハーレクイン。 自分を追い出した一族への復讐を胸に 戻ってきたアウトローに、 一族の信頼厚い若き未亡人として多忙な日々を送るヒロインが 出会ってしまったら?

『ダンシング・ラブ』という邦題は、最初の きっかけが、ダンスパーティーだったから。 スーザン・ブラックストーンは、その夜、 ふらりと現れ、危険な香りを連れてきたコード・ブラックストーンと 踊ってしまったのだ。

スーザンと恋愛関係になりながらも、 復讐を続けてブラックストーンの資産を減らすコード。 そのことに傷つき、スーザンは消耗してゆく。

スーザンもただの優等生ではない。 一度、パーティーの場で起こったケンカをおさめるため、 男二人の間に、嵐のような目をして、「それは美しく割って入った」 場面は、同性として拍手を送りたい。 いつもおだやかな人が怒ると、やたら恐いものだ。 美しく怒れるというのも、ただの美人にはできない。 コードには、「とんでもない悪癖」だと言われるのだが。

亡き夫の弟で、いつもそばにいるプレストンの秘めた愛情。 いい人だが、報われずそれで終わる。当然である。 リンダの描くロマンスでは、消極的な男性は、 絶対に、主役にはならないのだ。 あくまで、ロマンスをリードするのは男性。 それが鉄則である。 リンダをたくさん読んだおかげで、現実には、 そういう、愛情をアピールしない男性も いるのだということが、ピンと来なくなっている。 (マーズ)


『ダンシング・ラブ』著者:リンダ・ハワード / 訳:三谷ゆか / 出版社:MIRA文庫2004

2003年09月22日(月) 『ドリトル先生航海記』
2000年09月22日(金) 『美濃牛』

お天気猫や

-- 2004年09月21日(火) --

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『ガラクタ捨てれば自分が見える』

☆蒐集家の苦悩。

すごいタイトルである。 そのインパクト通り、どの整理術の本よりも、 身に染みる本であった。 風水整理術入門という副題にあるように、 風水の観点から見た、物事を整理するための指南書。

どうしても物に執着してしまうタイプなので、 物を捨てるのが致命的に下手。 それに加えて、物を買うときに、どうしてそれが必要なのかという 理由をしばしば忘れ、 物を手に入れたいという、結果に熱が入ってしまうタイプ。 ついつい、何でも集めてしまうので、 悲しくなるくらい、物があふれてしまう。 それでも、捨てようとすると、 これはまだまだ使えるし、あれは誰かから貰ったもので、 捨てると何だか悪いしと、罪悪感がつきまとう。 さらに加えて、分別が下手なので、 何をどう捨てたらいいのかわからないというから、 ほんとうにどうしようもない。 なら、買わなければいいのに、でも…と、 堂々巡りの悪循環。 それで、整理術やシンプルライフに興味を持てば持つほど、 この手の本が増えるので、ビミョーにごちゃごちゃ感が増していく。

そんな中、これではいけないと、 私を震え上がらせ、焦らせたのがこの本である。 風水の観点からの結論を一言で言うと、 「ガラクタは、スムーズなエネルギーの流れを妨げる」 物を持ちすぎるというのが、単に美観とか物理的・物質的な問題ではなく、 健康はもちろん精神的なことにまで影響する問題であるというのが、 私をあわてさせた。 つまり、ガラクタは、気を停滞させ、物事を停滞させ、 人を心身共に疲労させるということ。 それではいけないとしみじみ反省してしまった。 私は風水自体には、興味もなく、 黄色い物や宝くじを然るべき方角に置けば、 金運が向上する、そういう偏狭な理解であったが、 整理術についての風水的アプローチは、 本当に面白かったし、私にとっては的確な助言となった。

物を捨て、整理をすることで、悪い気を溜め込まない。 こういう物の考え方は、不要な物を捨てることへの罪悪感を うまく和らげてくれている。 さらに、エネルギーの流れをスムーズにするという考え方は、 結局は物だけの問題ではなく、 身体に悪い物を溜め込まない、 人間関係に悪い気を溜めない、 といったように、あらゆる場での自分の生活を振り返ることを 求められる。 何から何まで、クリーンな生き方は出来ないけれど、 どんなに忙しくても、もっと食に気をつけようとか、 愚痴や誰かの悪口に終始するような職場の人間関係には、 できるだけ加わることのないようにしようと、 そんなことを考えた。 それはやっぱり、当たり前のことかもしれないけれど、 その当たり前が、経験上、一番難しい。

亀の歩みだけれど、いつかは役に立つと、 そう思って取っておいた物の整理をしている。 (言い訳ではないけれど、ほんとにちゃんとそのいつかに 役立っているので、余計に思い切って捨てることが難しい。) しかし。 何より一番難しいのが、 いったい何が「ガラクタ」なのかだ。 他の人にどう見えても、私にとっては大切な物ばかりなのだから。 (シィアル)

追記:その「ガラクタ」探しのために、 『辰巳渚の「捨てる!」生活』(高橋書店)を見て、 捨てるべき物を決めている。 悩ましいことである。


『ガラクタ捨てれば自分が見える 風水整理術入門』著者:カレン・キングストン / 訳:田村明子 / 出版社:小学館文庫2002

2001年09月21日(金) 『ライトニング』
2000年09月21日(木) 『クリスマスに少女は還る』

お天気猫や

-- 2004年09月17日(金) --

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『生活大国イギリスの知られざる習慣―大人のためのスピリチュアルライフ』

☆スピリチュアルライフって?

何だかんだと文句を言いつつも、 井形慶子さんの本を続けて三冊も読んでいる。 もともと、ずっと昔に読んだ『いつかイギリスに暮らすわたし』が好きだったので、 その後、井形さんの本をあまり読むことがなかった割には、 私の中では好きなライターの一人だった。

続けて読んだ二冊(『仕事と年齢にとらわれないイギリスの豊かな常識』 『運命をかえる言葉の力』)、以前に読んだ『古くて豊かなイギリスの家 便利で 貧しい日本の家』、 どれもテーマ・題材に惹かれて選んだのだけれど。 いつも、何か物足りない思いや違和感が残ってしまう。 結論から言えば、せっかくの興味深いテーマだから、 もっと丁寧に掘り下げて欲しかったという、 残念な思いが読後に残るのだった。 読み終わった後に、考察が浅いと思うのか、 ライトで読みやすいと思うのかで、 これらの本への評価も違ってくるのだろう。

そんな事を思いながらも、 やっぱり、テーマは面白いので、期待してこの本を買った。 展開が一面的なところに、物足りなさを感じてしまうけど、 大好きなイギリスの、それもスピリチュアルライフについてなので、 熱心に読みふけってしまった。 いつもとは違う視点で、イギリスを見る楽しみ。 目に見えないものや正体の分からないものを受け入れていく生き方。 最近よく目にする「ホメオパシー」なるもの。 幽霊との共存、とか。 ただ、やはり。 もうちょっと、あともう少し、詳しく知りたいなあと、 かゆいところに手が届かないもどかしさも感じるが。

最近、"13の月の暦"に興味を持っている。 自分の健康やら好・不調の波に注目していたときに、 こういう暦の存在を知った。 一年は、28日周期で、13ヶ月。 28日は、肌と体の周期。 コズミック・ダイアリーというのを購入して、 自分の生体リズムみたいなものを見つけようと思っている。 (実際は、普通のスケジュール帳を使っているので、 なかなか、出番はない。結構厚いし、重いのである。) そんなことを思っているので、 『満月をカレンダーで確かめる習慣』での、 月が人間に及ぼす影響についての一説は面白かった。 来年に向けて、ルナカレンダーを買う予定。 できれば、イラストにあるような一年12ヶ月すべての月の満ち欠けを描いた 年間カレンダーが欲しい。 前に雑誌でPUFFYのどちらかが、ホメオパシー体験をするという特集があって、 ホメオパシーなるものにもすごく関心があった。 知りたかったことを平易に知ることができて、 これらのことに関しては、満足している。(シィアル)

※余談 『キティちゃんとピーターラビットの顔の違い』の章については、 大いに異論あり。 ひとこと。 そのプーは、別のプーです。<P203


『生活大国イギリスの知られざる習慣―大人のためのスピリチュアルライフ』著者:井形 慶子 / 出版社:大和書房2003

2003年09月17日(水) 『銀のいす』その2
2002年09月17日(火) 『ねずみ女房』
2001年09月17日(月) 『イラストレイテッド・ファンタジー・ブック・ガイド』
2000年09月17日(日) 『警告』

お天気猫や

-- 2004年09月16日(木) --

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『夕顔』

☆言葉の力。

最近、自分の言葉は軽いなあと、しみじみ思うことがある。 全然、重みもなくて、後に残らないけれど、 そのかわり、すらっと忘れ去られるので、後々のトラブルの種に なるような心配もあまり無い。 だからこそ、むしろ、そんな風に意図的・意識的にそうしていた のだけれど、ふっと気づくと、当然ながら、若い頃の言葉にあった、 経験不足だけれど、一生懸命の誠実さが消え失せている。 人は年齢とともに、その経験とともに、 言葉が深くなっていくはずなのに、 こういうことになってしまって、 言葉だけのことではなく、これは、私自身の生き方の現れなのだと、 故白洲正子さんの本を読みながら考え込んでしまった。

『夕顔』は、新幹線の車内誌からクロワッサンをはじめ、 様々な雑誌や新聞に載せられた随筆を集めた、 白洲さんの日々の雑感集である。 だから、能の話から工芸、明恵上人、西行、 白洲さんと交友のあった文壇の人など、 「白洲正子」の入門編という感じだ。 実際、もうちょっと、詳しく読みたくて、『西行』や『明恵上人』など、 白洲さんの本をたくさん買い込んでしまった。

白洲さんに興味を持つようになったのは、白洲さんの回顧展を見に行ってから。 その後、何冊か斜め読みをしたけれど、最近『夕顔』をじっくり読む機会があり、 いままでの自分が知らなかった世界が目の前に現れ、強く心惹かれた。 後半の西行や死に触れて書かれた言葉(西行の和歌や言葉ももちろん)には、 とても重いものがあった。

この本を読んだ直後、タイトルに惹かれて購入した 『運命をかえる言葉の力』(著者:井形慶子・集英社)を読んだけれど、 言葉の力の強さは、さらりと書かれている随筆集である『夕顔』の方が はるかに勝った。 やはり、言葉だけではなく、その背後に、著者自身の生き方や 言葉と向き合う姿勢の違いが、 はっきりと感じられるからかもしれない。 『運命をかえる言葉の力』も、興味深い本で、面白かったけれど、 あまりにも簡単に著者の言葉が流れ去ってしまったような気がする。

いま、この『夕顔』から、気に入った言葉や話を抜き書き しようと思ったけれど、 肩の張らない身辺雑記だけに、どこかを切り取ることはできなかった。 結局、どのページを開いても、さり気なく、生き方や言葉の力について、 再考させられるのだから。 (シィアル)


『夕顔』著者:白洲正子 / 出版社:新潮文庫1997

2003年09月16日(火) 『銀のいす』その1
2001年09月16日(日) 『イラストレイテッド・ファンタジー・ブック・ガイド』 (参考)

お天気猫や

-- 2004年09月10日(金) --

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『黒衣の女』

1942年、英国ヨークシャー生まれのスーザン・ヒル。 あの深くセンシティブな庭についてのエッセイ、 『庭の小道から』の著者としてのみ知っていた作家。 本国では若くして成功した実力派でもあり、 毎年のように多分野にわたる著作をものしているという。 そんな作家が、純粋なゴシック・ホラーを書くとどうなるのだろう。

その答えは、どこか東洋的なオカルト感覚と孤独に満ち、 色をおさえた世界であった。 やはり純度は高かった。 外界と断絶した館で起こる、身の凍る体験。 人を魂もろともに引きつける天涯孤独の館。 タイトルからもじわじわと怪しげに伝染する、黒衣の女への恐怖。 黙りこくる村人。 そして、旅人を襲う、呪いの真実。

英国において、幽霊屋敷はめずらしくもないのかもしれない。 それにしても、この屋敷の設定は異界らしさにあふれていて、 沼地を吹く風が頬に当たるような心地になる。

言い換えれば、あの館は、世界じゅうどこからでも 通じることができるような場所なのだ。 どこにだって、「外れ」という場所があるし、 人も鳥も通わぬような場所を、私たちは記憶している。

そこはスリーピイ・ホロウであり、 安達ヶ原でもあろう。 あるいはまた、ハロウィーンの夜の真夜中でも。

得体の知れぬ恐れのうずくまる場所へ、 再びみずから赴かねばならない恐怖。 それは、かの孤独なアメリカ人、 H・P・ラヴクラフトの落とし込む迷宮にも似て目眩を誘う。

この作品は、本国と日本で舞台化されているという。 出演する俳優は2名のみという、予算の事情もあったそうだが、 奇妙にこの本の世界に通じるアイデアである。

名脇役だった犬の「スパイダー」も、登場しただろうか? 彼女を助けてくれたスーザン・ヒルに、敬意を表しつつ。 (マーズ)


『黒衣の女』著者:スーザン・ヒル / 訳:河野一郎 / 出版社:ハヤカワ文庫1987

2003年09月10日(水) 『ラブリー・ボーン』
2002年09月10日(火) ☆「怪人二十面相」の正体
2001年09月10日(月) 『夜物語』

お天気猫や

-- 2004年09月07日(火) --

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☆ブックガイド

時々、読みたい本が全く見つからないことがあります。 見つからないと言うよりは、何を読みたいのか、わからない。 ものすごく「字」を読みたいのに、今の自分の気分にあった本が 全然手元にないような時。 毎日本屋さんに寄っていた大学生の頃とは違って、 その時々に読みたい本を手にすることがなかなかできません。 ほとんどネットで本を買うから、 書店に山積みされている旬の本のイメージもありません。

以前には、信頼しているというか、 楽しみにしているブックレビューがありました。 随分と前の『MOE』とか『Olive』の本の紹介ページ。 『MOE』だと、そんなに有名ではないけれどとても質の良い本だったり、 『Olive』なら、意表をついた尖ったテーマでセレクトされた様々な ジャンルの本。 私の限られた普段の嗜好では絶対手に取ることのない本と、 出会うことが出来ました。

ネット、雑誌、新聞。 随所に本の紹介があるのですが、あまりに情報が多すぎて、 逆にこれという、本の情報源を持っていません。 そんななかで、ちょっと前に、児童文学・絵本などのブックガイドを買いました。

『メニューにない本ください!』
『私が1番好きな絵本3 海外の絵本150選』

どちらも本の表紙や中味の写真がたくさんあるので、 本を手に取らなくても、だいたい雰囲気はつかめます。 気分派なので、

・ナイーブなスープ  
・ファンタジックな前菜  
・スープは冷めないうちに  
・メインディッシュは芸術的  
・夢見がちなデザート  
(『メニューにない本ください!』目次)
 
・心をじんわり満たす絵本  
・感性にひびく絵本  
・人生の味わいを深める絵本  
・海外ならではの人気シリーズ絵本  
・大切な人にプレゼントしたい絵本  
(『私が1番好きな絵本3 海外の絵本150選』)

目次から自分の今の気分に一番あったページを選んで、 ぱらぱらめくっているだけでも楽しいです。

読み物としても楽しいのは、『私が1番好きな絵本3 海外の絵本150選』、 本のカタログとして手軽なのは『メニューにない本ください!』、 です。

カラーだったり、デザインが洒落てたりするせいか、 本のサイズやページ数の割には、値段は高めですが。

これも私にとっての「コーヒーテーブル・ブック」の一種です。 (シィアル)


『私が1番好きな絵本3 海外の絵本150選』編:マーブルブックス / 発行:マーブルトロン / 発売:中央公論社
『メニューにない本ください!』監修:山崎慶子 / 出版社:フェリシモ出版

お天気猫や

-- 2004年09月06日(月) --

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『ファージョン自伝』その2

エリナー、つまりネリーにとって、 子ども部屋時代に培われたものはあまりにも 深く根付いており、そこから離れることは たとえ成長のためであっても、簡単ではなかった。

ハリー、ネリー、ジョー、バーティー。 4人それぞれ、得意な分野も性格もちがったけれど、 子ども部屋に君臨した長兄ハリーの号令のもとに、 遊びから寝る時間まで"公正に"管理されていた。 上の二人、ハリーとネリーがコンビで、 天使のような弟ジョーは、小悪魔のような末っ子バーティーと 組んでおり、いつもバーティーに引き回されていたという。

この二人だけは一般の小学校に数年通ったおかげか、 後に二人とも結婚して家庭を持っている、というのは 言い過ぎだろうか。 学校に行かなかったのは、ハリーが幼いころ虚弱だったため、 家庭教師をつけていたのだが、ハリーはともかく、 身体が丈夫ではなかったとはいえ、何でもハリーと一緒にしたいネリーは、 喜んで家にいることを望んだだろう。

結果として、ハリーもネリーも生涯独身であった。 しかし、彼らの精神的な遺伝子が、多くの弟子 (ハリーは音楽院の名教授となった)や ネリーの愛読者に受け継がれていったことも、結果である。

キャラクターを演じること。 「TAR」がある日考案されたおかげで、きたえられた空想力。 父親のベンも母のマーガレットも、うすうす、子ども部屋で 何が起こっているのかは察知していたらしいが、 あえて深く干渉はしなかったという。

ほとんどの場合、原典から入り乱れたキャラクターたちを 数人で演じ分けるため、一人何役かが当てられていた。 彼らが演じたキャラクターは、ギリシャ神話の英雄から、 シェイクスピア劇をはじめとする演劇やオペラなど舞台の人物たち、 小説や詩に出てくる人物、 歴史上の人物、果ては動物まで、時々の人気によって 変遷していったという。

誰が誰を演じるのかを決めたのも、すべてハリーだった。 公平な兄は、何においても嘘やごまかしを自分自身にも認めなかったため、 皆に信頼されていたのだ。 こうして、血を分けたきょうだいという狭い人間関係でありながら 最初の「社会」のなかで、密かに楽しまれた「TAR」は、 高度な知的娯楽でもあったし、家庭内音楽発表会や 家族新聞といった文化クラブ的活動とも、切り離せないつながりを もっていたことだろう。

しかし、どこかで人は気付く。 このままではいけない、と。 「TAR」に溺れてしまっている妹を、兄のハリーはどこかの時点で その鎖から放とうと決意したにちがいない。 王立音楽院という外の世界に触れ、 人間関係を広げたハリーによって。

それらは、あくまでその場の即興芝居であって、 紙には書かれなかった。 あれほど書き散らし、家族の新聞まで発行し、 詩はもちろん、芝居やオペラまで書いていた兄妹たちが。

即興芝居だからこその妙味が、「TAR」にはあったのだろうか。 けれども、わが身を振り返れば、幼い頃、やはり、 独りでではあったけれど、「TAR」に近い遊びをしていたと思う。 それらは、決して紙に書かれることはなかった。 ことばとなって外に出るものでもなかった。 それは現実と夢の奇妙な融合で、 書けば失われるもろさを秘めた遊びだったから。

そして、エリナー・ファージョンが詩人・作家としての 基盤を築いてゆくのは、つまり、10代のネリーが 「わたしは自分の人生をむだにしちゃったのよ」と母に泣きついた "作品を完成させられない"というジレンマを克服し、 完成された珠玉の短編によってその作家性を現してゆくのは、 「TAR」の支配から放たれた後だったのである。

それができたのは、ネリーが自分の本質を知ったからだと思う。 ペンを取りさえすれば、ちゃんと書けるはずなのにと泣いた娘は、 人生の後半にかかる道のどこかで、自分と出会ったのだ。 (マーズ)


『ファージョン自伝』著者:エリナ・ファージョン / 監訳:中野節子、訳:広岡弓子・原山美樹子 / 出版社:西村書店2000

2002年09月06日(金) 『模倣犯』+『青の炎』

お天気猫や

-- 2004年09月01日(水) --

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『仲世朝子・のんちゃんジャーナル』

いつもテーブルの上に置いてあって、いつでも手にとって 気軽にめくる写真集を「コーヒーテーブル・ブック」と呼ぶそうです。 私にとっての「コーヒーテーブル・ブック」は写真集ではなくて、 イラストブックやお菓子作りの本です。 いつでも手に届くところというと、家では、パソコンの側です。 疲れたとき、気分転換にぱらぱらとめくっています。 絶版で手に入れるのに苦労した『仲世朝子・のんちゃんジャーナル(1)(2)』と、 やっぱりオークョンでやっと買うことのできた『旅のおみやげ図鑑』(杉浦さやか)が 最近のお気に入り。

今思うと、仲世朝子さんの『のんちゃんジャーナル』は、可愛らしい イラストブックの走りですよね。 1986年から1989年に雑誌『Olive』に連載された、イラストエッセイ。 ちょっと背伸びしたオリーブ少女のために、映画や音楽、洋書、暮らしの中の アクセントになるようないろんな素敵なことを紹介しています。 少女雑誌の連載なので、かわいいイラストで、内容は、広く、浅く。 要はカタログみたいなものですが、取り上げているものがおしゃれかつ、 センスがなかなか渋め。大人が読むには、もちろん物足りなくて、 もっとつっこんで知りたいと思うのですが、だからこそ、この本が好奇心の 入り口になったとも言えそうです。結局、気になったものは、いつの間にか、 ほんとうに手にしているから。

初めて『のんちゃんジャーナル』を読んだときでも、オリーブ少女では なかったけれど、今までの自分自身のチョイスとは違って、多少の気恥ずかしさと ともに、新鮮な「旬」を感じました。 今のはやり、これからはやりそうなもの、はやらせようと仕掛けているもの。 いち早く新しくて、素敵なことを見つけ、自分の守備範囲を広げていけそうな 気分になりました。 あれから、長い時間を経て、再会してみると、お気軽でミーハーな視点と、 何ともいえない渋く的確な審美眼(!)がほどよくミックスされていて、 感心してしまいます。

『のんちゃんジャーナル』は、ほんとに何でもありで、リー・ベイリー (※『リー・ベイリーは私の先生』)や映画『真夏の夜のジャズ』 (※『「真夏の夜のジャズ」の帽子のお話』)が サザエさん美術館(※『サザエさんの美術館のスーベニア』)や クリスマス・プディングの作り方(※『クリスマス・プディング作ってみたよ』) とともに紹介されている混沌。 しかも、その『真夏の夜のジャズ』は音楽の話ではなくて、 そのフェスティバルの観客の帽子のかぶり方がとてもおしゃれだという話題 なのです。いかにもオリーブ少女的切り口。 そうかと思うと日本映画『悪名』をキュートでファンタスティックな映画だと 評している(※『「悪名」シリーズはかわいい』)。 オリーブ少女のための視点のずれ方がまた、新鮮なのです。 そうかと思うと『ちびくろ・さんぼ』問題のようなシリアスなテーマが 取り上げられていたりするのですが。 しかし、それだって、良くも悪くも、あくまでもオリーブ少女的見解なのです。

当時でも、可愛いだけではなくて、未知のものに触れる楽しみが あったのですが、今度は、既知となったものの再発見の楽しさ。 こうやって今開いていると、私の雑貨好き、ひいては『お天気猫や』を始めようと 思った原点が、ここにあったような気もします。 (シィアル)


『仲世朝子・のんちゃんジャーナル(1)(2)』著者:仲世朝子 / 出版社:マガジンハウス(絶版)

2003年09月01日(月) 『バルザックと小さな中国のお針子』

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