2008年07月11日(金)  マタニティオレンジ310 「きー」ときどき「あれ?」

娘のたまが通っている保育園の改修工事にともない、来週から仮園舎に移るので、このひと月ほど引っ越しの準備が着々と進められてきた。壁を埋め尽くしていた掲示物は取り払われてのっぺらぼうになり、ブックスタンドは空になり、カーテンは外され、一日経つごとに園舎がすっきりしていく。そんな空気を察してか、保育士さんたちの「もうすぐ引っ越しね」の言葉を理解したからか、昨日、たまはなかなか園から立ち去ろうとしなかった。空っぽのプールの階段を上り下りしたり、庭に停めたおもちゃの車を引っ張ってきたり、鉄棒にぶら下がったり、まるでもうすぐここで遊べなくなるのをわかっていて、別れを惜しむように、いつまでも遊んでいるのだった。

「好き」という言葉を教えたら、「きー」と覚え、心臓に小さな両手を当てる仕草とともに「きー」と言うようになった。「きー」の相手が人や人形のときは、ぎゅっと抱きしめる。今日のたまは、保育園の庭を駆け回りながら、全身で「きー」を表現していた。

素直に「きー」と伝える姿はとても愛らしいのだけど、はぐらかすことも覚え、「ママ好き?」と聞くと、「ママ あれ?」と首をかしげたりする。「じゃあ パパは?」と質問を変えると、「パパ あれ?」。「じいじばあばは?」「じいじ あれ? ばあば あれ?」「じゃあ たまは誰が好き?」と聞くと。「あま!」。自分がいちばん好きなのね、とあきれていると、つけ足すように「ママ きー」と抱きついてきたりして、いい大人がすっかり翻弄されている。

ところで、5月にベビーカーのピンが外れたことを日記に書いた(>>>2008年5月12日 アップリカに教えられたMOTTAINAI)が、昨日だったか、アップリカのベビーカーのリコールの記事が新聞に載った。ハンドルを留めるピンが外れやすくなっていて、苦情が相次ぎ、バランスを崩して子どもがケガをする事故もあったのだとか。中国の工場でネジを締めたのがゆるかったのが原因とのこと。問題となっている車種を見ると、うちが使っているものだった。外れやすくなっていたとはいえ購入してから一年以上持ったわけだから、定期的にネジのゆるみを点検しておけば、外れずに済んだのかもしれない。取り扱い説明書にも「定期的に点検を」と明記されている。だから、不備を公表しなかったアップリカ社を一方的に責めるつもりはないけれど、「ネジがゆるみやすくなっていますので、ご注意ください」と注意を促していれば、防げた事故もあっただろうと思う。うちは幸いピンが外れていることに気づいたのは平らな道だったけれど、下り坂でピンが飛んでいたら……と想像するとヒヤヒヤする。保証期限が過ぎても快く部品を送ってくれ、点検に駆けつけてくれたも来てくれたアップリカの迅速で丁寧な対応に「きー」となっていたけれど、背景を知って、「あれ?」となった。

2007年07月11日(水)  マタニティオレンジ145 皆様のおかげの空の旅
2004年07月11日(日)  ヤニィーズ第7回公演『ニホンノミチ』
2002年07月11日(木)  映画『桃源郷の人々』
2000年07月11日(火)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2008年07月10日(木)  脚本家デビュー9周年

今日で脚本家デビュー9周年だと知らせてくれる書き込みが「いまいまさこカフェ」にあった。なんとなく今年10周年という勘違いをしていて、シナリオ講座で講義したときも、「デビューして10年ほどになります」などと口走ってしまった気がする。正しくは来年で10周年。記念オフ会をやりましょうという提案もある。そのときに合わせて作品が公開されていて、話題にできると美しいのだけど。

NHK札幌放送局で制作したラジオドラマ『タカラジマ』がNHK-FMのFMシアターで放送されたのが、9年前の今日。FMシアター放送日だから土曜日だったことになる。札幌放送局主催のオーディオドラマ脚本コンクールで『雪だるまの詩』が入選した縁で一本書かせてもらえることになり、デビューのきっかけをつかんだ『雪だるまの詩』のドラマ化作品より先に『タカラジマ』が放送された。ちょうど父イマセンの誕生日と重なり、母に放送日を伝えたら「誕生日プレゼントやね」と言われた。

7月10日は「四万六千日」とも呼ばれ、今日お参りすると、46000日分(365で割ると126年分)のご利益があるのだとか。この日にデビューするのも縁起がいいのだろうか。他に「納豆(ナットー)の日」「植物油の日(710をさかさまにするとOILになるからだそう)」でもある。わたしの好きな甘いものの記念日と重なっていたらより覚えやすいのだけど、納豆や油のように粘っこく(?)書いていこうと思う。

2007年07月10日(火)  マタニティオレンジ144 離乳食も食いだおれ
2005年07月10日(日)  12歳、花の応援団に入部。
2003年07月10日(木)  三宅麻衣「猫に表具」展
2002年07月10日(水)  『朝2時起きで、なんでもできる!』(枝廣淳子)
2000年07月10日(月)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2008年07月09日(水)   ダニに噛まれたり 毛虫にかぶれたり

「娘にいつか悪い虫がついたら許さん!」とダンナは今から息巻いているが、娘のたまが年頃になる前に悪い虫に悩まされている。朝起きると、首筋や肘や太ももやおなかにダニに噛まれた跡が点々……。大人も被害に遭っているのだけど、子どものほうが肌がやわらかいからか、肌が新しくておいしいからか、集中的に食い物にされている。たしか、去年の梅雨時から夏にかけても悩まされ、3枚で6000円もするダニ取りシートなどを買ったりしたのだが、効き目を実感できないままに涼しくなってダニも引っ込み、忘れていたらまたダニの季節が到来したのだった。

薬を撒いたり焚いたりと化学的なことはあまりしたくないし、どうしたものかとネットで調べてみると、「掃除機をかけるのが何よりの退治法」とあった。ダニ本体や死骸や糞を始末しつつ、餌になる食べこぼしや埃を取り除いておくことで増殖をおさえられる。毎日じっくり時間をかけて掃除機をかける、それだけで激減しますとのこと。たしかに、昼間は遊び部屋にしているところに布団を敷いているので、食べこぼしもけっこう落ちているというのに、掃除機は週一回かければいいほうで、これではダニを養殖しているようなもの。早速こまめに掃除機をかけるようにし、シーツも毎日取り替えるようにしたら、目に見えて噛み跡の点々は減ってきた。必要に迫られない限り家事を手抜きしてしまうわたしに警告を与えるために、ダニ軍団は姿を見せたのかもしれない。

虫といえば、先月なかばの日中に保育園から電話があり、「先ほどたまちゃんがえびせんべいを食べた後に園庭で遊んでいたら、突然痒がり出して全身に発疹が出たのですが……」と報告された。えびアレルギーではないので、原因が考えられるとしたら、庭で何かにかぶれたのでしょうか、と答えて、早めに迎えに行くと、見るだけでこちらが痒くなりそうなブツブツ。お医者さんに診せると、「毛虫かもしれませんね」という診断だった。毛虫そのものにさわらなくても、毛が一本飛んできて当たっただけでもかぶれることがあるという。そのせいで毛虫のすみかである桜の木を切ろう、という過剰な反応もあるらしい。毛虫に住み着かれて食いものにされた上に切り倒されたのでは、桜の木にとっては踏んだり蹴ったりで、なんだか気の毒。

2007年07月09日(月)  マタニティオレンジ143 はじめてのお泊まりに大興奮
2003年07月09日(水)  LARAAJI LARAAJI(ララージララージ)
2002年07月09日(火)  マジェスティック


2008年07月08日(火)  同級生さっちゃんと19年ぶりの再会

高校時代の体操部の同期だったさっちゃんから春にメールが来て、表参道で働いているから、こっち方面に来るときは連絡してね、とあった。2年前に上京するとき、別な同級生からわたしが東京にいることを教えられ、サイトを検索して見つけていたものの、連絡しそびれていたのだという。

ちょうど今日、一年ぶりに表参道で打ち合わせが入ったので、さっちゃんに電話したところ、お昼を一緒に食べよう、となった。打ち合わせを終えて、さっちゃんの会社の方へ歩いていく途中でわたし好みのかばんと目が合った所に、さっちゃんから「今どこ?」と電話。「246にぶつかる手前のカバン屋さん」「じゃあそっち向かうわ」と電話が切れて、ほどなく現れた長身の女の人と目が合った。高校を卒業して以来19年ぶりなのに、お互い一瞬で「あ!」とわかった。9450円から大幅割引の3000円という値段にも恋をして思わず買い求めた大輪の花柄のカバンは「モロッコ生まれ、ロンドン育ち」のSOAKWEARというブランドのもの。さっちゃんに会うために普段歩かない道を歩いていたおかげで、掘り出し物が見つかった。

かまどで炊いたご飯を食べられる大かまど飯 寅福で大皿のお惣菜をつつきながら、近況報告。さっちゃんは大阪にある広告制作会社の東京支社でコピーライターをしていて、大阪では北村想さんの教室で習って戯曲を書いていたのだとか。体操部にいた頃はお互いそんな話をしたことなんかなかったのに、大人になって、ずいぶん近いところにいたことにびっくり。「また書こうかな」と言うさっちゃんに「コンクールに出してみたら?」とすすめたり、どんな芝居が好き、という話をしたり。19年分の積もりに積もった話をするにはお昼一回では到底足りず、また会おうねと約束した。

2007年07月08日(日)  マタニティオレンジ142 布の絵本とエリック・カール絵本のCD
2005年07月08日(金)  いまいまぁ子とすてちな仲間たち
2000年07月08日(土)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月07日(月)  この夏の目玉作品『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』

12日より公開(この夏の「目玉作品」!とのこと)の映画『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』を試写で観る。エグゼクティブプロデューサーの榎望さん、プロデューサーの石塚慶生さんは『子ぎつねヘレン』でお世話になったプロデューサー。コスプレ祭りのようなにぎやかさがこの作品の大きな魅力で、前作も楽しませてもらったが、レギュラー妖怪たちにスクリーンでまた会えるのがうれしい。前作で美しすぎると思った鬼太郎(ウエンツ瑛士)は自然になじんで、ねずみ男(大泉洋)はますます板についている感じ。新顔妖怪も続々。え、あの人が!とびっくりする豪華な顔ぶれが妖怪に扮している。演じるほうもお祭りを楽しんでいる様子。前作の輪入道やろくろ首のようなインパクト系よりビジュアル系がふえ、おどろおどろしさは減ったけれど、これなら恐がりの子どもも泣き出さないかも。

原作にないオリジナルストーリーを展開した脚本は、妖怪世界に詳しい沢村光彦さん。妖怪図書館で調べものをしたり、楽器を武器に戦ったり、ストーリーは大人っぽくなったが、ギャグは前作よりも濃くなり、ダジャレも連発。同じ原作、同じ監督(『犬と私の10の約束』の本木克英さん)でも脚本やヒロイン(今回は北乃きいさん)が変わると前作とはがらりと違った印象になるのが面白い。マンネリの心配ご無用で、第三弾、第四弾とシリーズを続けていけるかもしれない。

見逃せないのは、タイトルバックに登場する鬼太郎の誕生シーン。ここは監督がこだわった場面だそうで、墓場からハイハイで出てくるベビー鬼太郎が何ともかわいい。その姿を見守る目玉親父の親目線に共感して、目を細めて見入ってしまった。原作を読んでいないので鬼太郎の誕生が描かれているのかわからないのだけど、ベビー鬼太郎が主役のバージョンも観てみたい。シングルファーザーで体が極端に小さいというハンディを負った目玉親父の子育て奮闘記、そんな親父を助ける妖怪仲間コミュニティ、たくさんの目に見守られ、愛情を注がれ、心優しい男の子に育っていく鬼太郎。ある日、親父が危険にさらされたとき、まだ赤ん坊の鬼太郎が父親を救い、親子の絆が深まる。タイトルは『ベベベの鬼太郎』!?……などと妄想してしまった。

2007年07月07日(土)  マタニティオレンジ141 5人がかりで大阪子守
2005年07月07日(木)  串駒『蔵元を囲む会 天明(曙酒造) 七夕の宴』
2002年07月07日(日)  昭和七十七年七月七日
2000年07月07日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月06日(日) 串駒 天明(曙酒造)七夕宵宮の会

酒呑みではないけれど、大塚にある『串駒』は、名前を思い出すと、無性に飲みに行きたくなるお店。ここで飲んだお酒がことごとく楽しかったから、またあの楽しいお酒を、と思ってしまうのだが、ご近所仲間で行った初回以降は、「利き酒の会」目当てに足を運んでいる。お酒の作り手を招いてお話をうかがいつつ、蔵出しの酒を飲み比べるという企画。妊娠出産子育てでしばらく遠ざかっていたけれど、3年ぶりに参加することにした。

コピーライター時代にバカーディやカルヴァドスといった洋酒のコピーを書いていたわたしは、お酒にまつわるうんちく話を聞くのが大好き。お酒の味はよくわからないけれど、誕生秘話や裏話に耳を傾けながら、ほほう、それがこのお酒ですか、と一杯やるのが実に楽しく、飲み比べ(利き酒)より物語(聞き酒)に酔う。利き酒の会で知ったお酒の名前をよその店で見つけたりすると、旧友に再会したようなうれしさを覚える。

今宵の『天明』(曙酒造)の会は2度目の参加。蔵元の鈴木夫妻と『天明』の名付け親である酒ジャーナリストの中野繁氏(話術も魔術も一級で、ペットボトルに百円玉を入れてみせた)を迎え、串駒の一階と二階、すぐ近所の支店『串駒房』の三会場を三人で巡回。ちなみに『天明』は「夜明け」という意味があり、曙酒造から連想しての命名とのこと。こんなうんちく話を名付け親本人から聞けるのがこの会の魅力。

「姫」と呼ばれている鈴木夫人の酒造りの説明は、明るく楽しくわかりやすい。「はい、お酒が入りました。普通は樽で寝かせます。でも、上から使う分を取って行くと、表面が空気に当たってしまいますよね。なので、うちは作ったら瓶詰めにして冷蔵庫で寝かすんです」。大きな冷蔵庫と膨大な電気代が必要で、「だから、うちはお金が貯まりませーん」。0〜3度で保存できる冷蔵庫がある酒店だけに卸しているので、都内でも買えるお店は少ないとか。

自分たちが作りたいお酒を追求するために、長年勤めていた杜氏さんに辞めてもらい、試行錯誤しながら自分たちの手で『天明』を磨いているという鈴木夫妻。心からお酒を愛し、ひたむきに酒造りに取り組む姿勢に好感。毎年、田植えの季節には天明ファンが会津を訪れ、お酒に使われるお米を一緒に植えるのだそう。

『央』は、曙酒造から走って1分のところにある五の井酒店が、曙酒造が作った酒をアレンジして出しているお酒。鈴木夫人いわく、「五の井酒店のゴン太君がホースを引っ張っていって作っている」のだそう。このゴン太君が今日飲んだ7種類のお酒のコメントを書いたものが、さすが酒に日々向き合う人の言葉で、キレとコクがあって読ませる。大吟醸の五年熟成に寄せたコメントは「熟香と穏やかな吟香、崩れることなく残る線を旨味と優しさが包み込み、滑らかに喉へと誘います」とこちらも深い味わい。そのゴン太君が「皆様の審判をお待ちしています」とコメントした『央』の本生VS火入れは、挙手による人気投票の結果、火入れが2倍以上の差をつけて勝った。火入れというと直火にかけるイメージを持ってしまうけれど、実際には60度ぐらいで湯煎をすることらしい。それぐらいの温度で味に変化が現れるのが面白い。
1 天明 大吟醸 おり酒
2 天明 純米 亀の尾 本生
3 央 純米吟醸 黒ラベルK(中汲み澱絡み 無濾過本生原酒
4 天明 純米吟醸 山田錦(瓶火入れ瓶囲い) 
5 天明 純米吟醸大吟醸 おり酒
6 央 袋垂れ純米吟醸 白ラベルN 瓶火入(無濾過 瓶火入れ瓶囲い)
7 天明 大吟醸 無加圧 美山錦 五年熟成(無濾過 瓶火入れ瓶囲い)

一緒に参加したダンナとご近所仲間のT氏とともに通された小上がりのテーブルには、単身で参加の男性が三人と、おともだち待ちの男性が一人。一時間ほど遅れて到着したお友だちも男性で、八人のテーブルで女性はわたし一人という構成。皆さん本当に日本酒が好きなようで、話題はもっぱら「うまい酒が飲める店」。おともだち連れの二人組は高校時代の同級生で、共通の趣味である日本酒を求めてあちこち飲み歩いているそう。この二人が三十才で、あとの六人は四十才前後と、ほぼ同世代。お酒が進むにつれて年齢をばらし合い、職業を聞き出し、会ったばかりの互いのことが少しずつ見えて来る。

お酒をおいしくする会話や雰囲気はもちろんのこと、お酒を引き立てる肴も串駒は抜かりがない。誰が決めたのかはわからないけれど、「日本一の居酒屋」の呼び声も。とくに利き酒の会では蔵元の地元の名産をふんだんに使った献立を味わえる。今宵は天明の地元、会津の地の物尽くし。
い 会津産青物お浸しと油揚げ
ろ 福島産穴子と新牛蒡の煮付け
は 会津の豆腐屋さんの冷奴
に 枝豆入りさつま揚げと青唐万願寺
ほ 銀波藻(ギバサ=気仙沼産海藻)とトコロテン
へ 玉子と豚肉の煮付け
と 会津地物の胡瓜とトマト
ち 杜氏さん一本釣天然鮎 山椒煮
り 塩むすび(会津産こしひかり)と焼き茄子の味噌汁

この料理にはこのお酒が合いますね、などと批評しつつ、肴も酒も進む。裏の畑のもぎたてを洗ったばかりのような胡瓜とトマトの新鮮さには驚いた。こんなにみずみずしい野菜を食べるのは、いつぶりだろう。おまけで出された塩うにが、これまた臭みがまったくなくて濃厚な絶品。せっかくここまでと思っていたのに、酒が進んでしまうではないか。串駒は酒盗の宝庫。「醍醐味」の由来である「醍醐」の味を知ったのもこの店だった。

惜しむらくは、遅めのお昼にうどんの大盛りを食べてしまい、せっかくの御馳走を前に、いつもほど箸が進まなかったこと。うどんは根津にある『釜竹』で食べたのだけど、うどんと一緒に注文した「泉州の水茄子」と「季節野菜の天ぷら」のおいしさにも目を見張った。旬の野菜の力強さとやさしさがギュッと詰まっていて、大地の恵みをまるごと食べているという感覚。串駒といい釜竹といい、日本にはおいしいものがあるなあと唸らせてくれるお店が散歩圏内にあるのは、うれしい。

2004年07月06日(火)  拝啓トム・クルーズ様project
2003年07月06日(日)  池袋西武7階子ども服売場
2002年07月06日(土)  とんかつ茶漬け
2000年07月06日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月05日(土)  マタニティオレンジ309 ビデオより、輪になってあそぼ!

保育園を休んでいる間にすっかりビデオっ子になってしまった娘のたまが、すきあらば「バーニー みたい! タビー みる!」と訴える。親の顔より英語を話すBarneyやTeletubbiesを見ていたいと言われては、こちらも複雑。ムキになって、「絵本読もうよ」「おうた歌おうよ」と誘いかけるのだけど、「バーニー みたい! タビー みる!」と、つれない態度。一緒に遊んでくれる親より、テレビの中で動いているだけのキャラクターのほうがいいのか……。

食事のときも、お風呂上がりも、「バーニー みたい! タビー みる!」。わたし一人のときは諦めてビデオをつけてしまうのだけど、ダンナは、「たま、バーニーは今日お休みだよ。土曜日だから、ねんねしてる」と説得を続ける。そんな手に乗るもんですか、と突っ込もうとしたら、「バーニー ねんね?」とたま。「そう、ねんね。だから、たまもねんねしよう」とダンナが言うと、すなおに「うん」と言ったのには驚いた。おとなしく寝てくれるかと思いきや、布団を敷くと、その上で走り回ったり、くるくる回ったり。でも、ビデオのことをすっかり忘れている様子にひと安心。「パパも! ママも!」と誘われて、わたしとダンナも一緒にくるくる。そのうち手を取り合って、輪になってぐるぐる回ったり、ひっくり返ったり、それが『かごめかごめ』に発展したり。ビデオもいいけど、体温が伝わる遊びの楽しさ、うれしさをわが子には覚えていてほしい。そのためには、親にじくり向き合うだけの余裕が必要になる。時間的にも気持ち的にも体力的にも。

2007年07月05日(木)  桃とお巡りさん事件
2003年07月05日(土)  柳生博さんと、Happiness is......
2000年07月05日(水)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2008年07月04日(金)  マタニティオレンジ308 パパのせつない片想い

娘は父親の恋人になり、息子は母親の恋人になるという。わが家もご多分に漏れず、ダンナは娘のたまにデレデレ。ところが、娘は「ママいっぽん!」で、最近は起きている時間に帰宅しても「パパこわい」とわたしの後ろに隠れてしまう。週末にべったり一緒に過ごすと、少しは気をゆるしてもらえるのだけれど、好きな人第一位のママとの差は縮まらないどころか、2位はじいじ、3位はばあばで、保育園の男の子たちも間に入り、パパはランキング外。先日も絵本を読み聞かせていたら公園の絵が出てきたので、「公園、こんど行こうね」とダンナが話しかけたら、「じいじ!」とうれしそうに返事され、「パパと行くんじゃないのか……」とダンナはがっくり。お世話した分だけなつくというのは本当だなあと思っていたのだが、今朝テレビに映っている藤原竜也さんにたまが釘付けになっているのを見たダンナが、「パパとどっちが好き?」と聞いたら、しばらくパパとテレビを見比べて考えた後に、「こっち」とテレビを指差した。

昨年の保育園の運動会、パパとお遊戯をする演目で、他の子たちがパパに駆け寄って行ったのを尻目にたまだけが棒立ちというハプニングがあった。以来、ダンナは涙ぐましい努力で娘を振り向かせようとしているのだけど、どこか空回りで、高嶺の花の気を引こうとして道化を演じているような滑稽さがある。さっき、わたしの代わりにたまを寝かしつけてくれたときのこと。いつもわたしがするように、「どんな話がいい?」と子守話のリクエストを募ったら、いつものように「わあに ダンス」という答え。わたしが作ったダンスワニの話がたまのお気に入りなのだけど、その話を知らないダンナが語り出したのは、「わにがダンスをしたら、おなかがこすれて血が出てきました……」。これ以上聞いても無駄と思ったのか、たまはさっさと寝てしまった。

今夜の子守話は、そんなダンナが数日前に作った話。「バナナがいっぽんありましたの歌の応用じゃないの?」と突っ込んだら、「歌では飛んで行ってしまうけれど、この話は分け合うのがミソ」という答えだった。歌への親しみがあるのか、たまはこの話はふむふむと聞いていた。血が流れないのも、よろしい。

子守話23 バナナがいっぽん

バナナがいっぽん みちにおちていました。
たまちゃんが てをのばすと
はんたいがわから みみちゃんも てをのばしていました。
たまちゃんと みみちゃんは りょうがわから バナナをひっぱりました。
すると バナナは はんぶんに わかれました。
ふたりは なかよく はんぶんこしてたべました。

2007年07月04日(水)  肉じゃがと「お〜いお茶」とヘップバーン
2006年07月04日(火)  2年ぶりのお財布交代
2005年07月04日(月)  今井雅之さんの『The Winds of God〜零のかなたへ〜』
2003年07月04日(金)  ピザハット漫才「ハーブリッチと三種のトマト」
2002年07月04日(木)  わたしがオバサンになった日
2000年07月04日(火)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2008年07月03日(木)  マタニティオレンジ307 シール貼り放題!段ボールハウス 

保育園を休んで4日目の娘のたまと、家にひきこもって過ごしている。冷蔵庫はすかすかだけど、すでに一度ぶり返した風邪がまたぶり返しそうなので、買い物にも行けない。れんこん、ごぼう、タマネギ、ネギ、大根菜などの乾燥野菜、切り干し大根、麩、ひじき、干しえび……家にあるだけの乾物を戻しまくり、天かすや青のりや粉チーズやらをふりかけ、何とかしのいでいる。なんとなく買い置きしておいた乾物がこれほど頼もしい存在だったとは。

ビデオ漬けは良くないので、他の遊びで一日を過ごす。絵本を読んだり、ひもを使ってつな引きしたり(オーエスのかけ声つき)、ぬいぐるみをおんぶしたり、大きな紙に絵を描いたり。いちばん間が持ったのは「シールぺた」ごっこ。ダンボールハウスの壁に、これまた家中にあるシールをかき集めて、貼りまくる。子ぎつねヘレンのPR用シールやらどらえもん切手についていたシールやらカレンダーの予定シールやら東京マラソンの参加記念シールやら通販の粗品のシールやら……。シールをうまく台紙からはがせないときは「いっこ とって」などと言う。

ダンボールハウスは以前は屋根つきだったのが、耐震強度に問題ありで、壁が折れ曲がって倒壊する癖がついてしまったので、置き方を変えてオープンエアにした。中には子ども一人が横になれるスペースがあり、娘の隠れ家になっている。外と交流(いないないばあしたり、こちょこちょしたり)できる窓や、引っ張って遊べる紐がついている。外壁はシール貼り場になるほか、おむつやタオルなんかを引っかけて洗濯物干しとしても使える。

夕方、外の空気が吸いたくなって、熱が下がり咳も治まったたまに「でかけよっか」と声をかけると、「こうえん いく」と返事。すべり台をひとりじめして遊んだので、今日の子守話はすべり台のお話。

子守話22 すべりだい だいすき

たまちゃんがこうえんにあそびにくると
だいすきな すべりだいがありません。
「もうしわけありません。すべりだいはただいまこうじちゅうです。
かわりにわたしが すべりだいになりましょう」と
こえをかけてきたのは ぞうさんでした。
ぞうさんは たまちゃんのからだをながいはなにまきつけて
おおきなせなかにのっけました。
くびのしわしわのかいだんをよじのぼって
たまちゃんがぞうのあたまのてっぺんまでくると
ぞうさんはおおきなみみをまえにそろえて てすりをつくってくれました。
たまちゃんは てすりにつかまって はなのてっぺんにこしをおろし
ながいはなのすべりだいを びゅーんとすべりおりました。
たまちゃんがすべりおりたいきおいに びっくりして
ぞうさんはおおきなくしゃみをしました。
かぜがふいて たまちゃんは すなばまでふきとばされました。

ぞうさんのすべりだいが きにいった たまちゃんは
つぎのひも こうえんにやってきました。
ぞうさんをさがして きょろきょろしていると
「もうしわけありません。すべりだいはただいまこうじちゅうです。
かわりにわたしが すべりだいになりましょう」と
きりんさんが こえをかけてきました。
ながいくびをかしげて かおをじめんにくっつけたすがたは
すべりだいそっくりです。
たまちゃんは きりんさんのほそいあしをするするとよじのぼり
しっぽにぶらさがって いきおいをつけて せなかにとびのりました。
そして ながいくびのすべりだいを いっきにすべりおりました。
あんまりはやかったので きりんさんのきいろいからだについた
ちゃいろいてんてんが つながって しましまにみえました。

たまちゃんは つぎのひも こうえんにいきました。
ぞうさんも きりんさんもいなくて きょろきょろしていると
「もうしわけありません。すべりだいはただいまこうじちゅうです。
かわりにわたしが すべりだいになりましょう」
と わにさんがこえをかけてきました。
わにさんのせなかは ながほそいけれど ぞうさんやきりんさんのように
きゅうなさかではありません。
ちょっとつまらないなと たまちゃんはおもいましたが
「さあさあ わたしのしっぽのさきに のってくださいな」
とわにさんにいわれて しっぽのさきに またがりました。
すると どうでしょう。
わにさんが さがだちをするみたいに ぐーんとしっぽをもちあげました。
そして たまちゃんが しっぽのさきから あたまのてっぺんまで
びゅーんとすべりおりるのにあわせて
わにさんは ぐにゃりとせなかをくねらせたので
たまちゃんは わにさんのせなかのうえで ぽーんぽーんと とびはねました。

つぎのひ たまちゃんがこうえんにいくと
ぞうさんも きりんさんも わにさんもいませんでした。
そのかわり こうじちゅうだった すべりだいが できあがって
たくさんのこどもたちが あそんでいました。
すべりだいには ぞうさんと きりんさんと わにさんの えがかいてありました。
たまちゃんと すべりだいあそびをした
ぞうさんと きりんさんと わにさんに よくにていました。

2007年07月03日(火)  マタニティオレンジ140 七夕に願うこと
2005年07月03日(日)  親子2代でご近所仲間の会
2000年07月03日(月)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2008年07月02日(水)  マタニティオレンジ306 雨の日も風邪の日もビデオ三昧

月曜日から娘のたまが風邪で熱を出し、保育園を休んでいる。その前の日曜日は雨だったし、ここのところ一日中家で娘とべったり過ごしている。絵本を読んだり、おもちゃのピアノを弾いたり、シールをぺたぺた貼ったり、ごはんを食べたり、それでもやっぱり間が持たず、締切も迫っていて、ビデオにお世話になっている。

ちょうど先週、おさがりのビデオが新着した。その数日前に「人生のすべてをエンタテインメントに!」をキャッチコピーに掲げている万能ライター(脚本、コピーに加えて本の出版も)の川上徹也さんと会ったとき、「子育てもエンタテイメントやねえ」という話で盛り上がった流れで、「うちの娘がバーニーというアメリカの恐竜キャラのビデオにはまってて」という話をすると、「ああ、うちの子も観てた」と川上さん。「バーニーの話をして乗ってきてくれた人は初めて!」と喜んだら、「うちにまだビデオあったかな。もう観ないし、あったらあげるよ」とうれしい申し出。『Barney's Night Before Christmas』とあわせて、『Here Come the Teletubbies』と『Sesame Street - The Great Numbers Game』の計3本を早速送ってくれたのだった。

バーニーのクリスマスビデオは、子どもたちとバーニーたちが家の飾りつけをしながら、「サンタはみんなの靴下をプレゼントでいっぱいにするけど、誰がサンタの靴下をいっぱいにしてくれるの?」という話になり、「じゃあ自分たちがやろう!」と盛り上がる。でも、すでに時はクリスマスイブ。今から北極点に向かっても間に合わない。そんなときの移動手段は「想像力」。スノードームのサンタの家に想いを馳せてひとっとび……というお話。すでに百回以上は観たサプライズ誕生会を題材にしたライブショー『Barney's Big Surprise Live on Stage』に比べると、出て来る子どもたちも少し年上で、内容も高度。だけど、娘のたまは食い入るように観ている。ぬいぐるみのバーニーや仲間たちが生きた恐竜キャラとして動き出すのは、子どもたちの想像力のなせるワザ。だから大人たちにはバーニーたちの姿は見えない。そのルールをたまは理解したらしく、大人が部屋に入って来てバーニーたちが消えると、「バーニーは?」と聞いてくる。

初めて観るテレタビーズにも興味津々。赤ちゃんの顔のついた太陽を指差して「あま」(たま)と呼ぶ。キャラクターが顔つきも動きもほんとに愛らしくて、大人が観てても癒される。セサミのビデオは数字のお勉強。内容も英語もちんぷんかんぷんだけど、自分が住んでいる階の「4」にだけは異様に反応する。

はからずも英語のビデオばかりになってしまったけれど、わたしのヒアリングの教材としてもちょうどいい。こんな風に小さい頃から英語に親しんでおくと、子どものヒアリング能力も身についたりするのだろうか。ところで、先日1才10か月になったたまが英語の歌を歌ってダンナ母を驚かせたエピソードを紹介したけれど、それがどうやら早とちりであることが判明。今日、電話口でたまが「さいた さいた チューリップの はなが」と熱唱したのを聞き終えたダンナ母が、「たまちゃん、すごいわね。まだ英語で歌ってる」と言ったのだった。うーむ、日本語に聞こえなかったか。そういえば、以前も「ちょうちょ ちょうちょ なのはにとまれ」とたまが歌った後で、わたしが電話を代わって「たまは最近『ちょうちょ』をよく歌うんですよ」と告げると、「あら、今度聞かせて」とダンナ母が言ったことがあった。

話をビデオに戻して、日本語のビデオでは、『パコダテ人』の子役でこの春から中学生の前原星良ちゃんからのおさがりの『眠れぬ夜の小さなお話~ネコクンのお友だち』を繰り返し観ている。音楽は原由子さん、脚本は今をときめく作家の森絵都さんで、親子でほのぼのと楽しめるあたたかい世界。言葉がわかるにつれて内容の理解度が上がっていくたまを観察するのも面白い。最近はだいぶストーリーを追えるようになって、声を上げて笑ったりする。

ビデオをおとなしく観てくれていると、家事も仕事もはかどって助かるけれど、依存しすぎるのは考えもの。最近読んだゲーム依存についての新聞記事に、「ゲームの世界は想像力を働かせなくても楽しめるようにお膳立てされている」といったことが書かれていたけれど、ビデオに慣れてしまうと、絵本を読んで話をふくらませることが億劫になる。ビデオに子どもを預けるのではなく、ビデオを会話のきっかけにして子どもと楽しむ余裕が必要なんだろうな。雨の日も風邪の日も。

2007年07月02日(月)  マタニティオレンジ139 マジシャン・タマチョス
2006年07月02日(日)  メイク・ア・ウィッシュの大野さん
2005年07月02日(土)  今日はハートを飾る日
2004年07月02日(金)  劇団←女主人から最も離れて座る公演『Kyo-Iku?』

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