2006年11月25日(土)  カミロボ×みちのくプロレス×劇団ヨーロッパ企画

日本冷凍食品協会の啓蒙キャラクター『冷凍マイナス18号』ファミリーを抱える食育キャラクター軍団『Cook81』の開発でご一緒した企画制作会社、バタフライ・ストローク株式會社。同社が現在力を入れているキャラクター、Kami-Robo(カミロボ)は作家・安居智博氏が小学生の頃から30年近く作り続けている、ひとり遊び用紙製ロボット。トントン相撲のプロレス版をグレードアップしたもの、といえばいいだろうか。200体以上ものカミロボにはひとつひとつ名前がつけられ、得意技があり、所属があり、それゆえ派閥が生まれ、個々のカミロボ同士にも友情もあれば憎しみがあり、人間世界さながらのドラマを繰り広げ、歴史を刻んでいる。かなり奥が深い、というかマニアック。

このカミロボを作者自ら戦わせる「カミロボファイト」というイベントが時々開催されているが、今日と明日表参道ヒルズで行われている「魔王VSブルーキラー」は、安居氏が25年前に作った2体のカミロボ、魔神あらため魔王とブルーキラーを対決させるカミロボファイト。カミロボに扮したみちのくプロレスのレスラーがリングで対決、その模様を「居酒屋ブルーキラー」(かつて魔神とタッグを組んで大暴れしていたブルーキラーはセミリタイアし、レスラーたちのたまり場である居酒屋をやっているという設定)のテレビで観ている面々を演じるのが劇団ヨーロッパ企画。安居氏の作ったカミロボサイズの居酒屋をヒューマンサイズに拡大したセットを舞台に、カミロボ人間模様が描き出される。クライマックスは、安居氏によるカミロボファイトを実演とスクリーンで披露。

カミロボファイトもプロレスも劇団ヨーロッパ企画(映画『サマータイムマシンブルース』で知って気になっていた)も生で観るのは初めてのわたしには、一粒で3度おいしい競演となった。張り手や蹴りの音がビンビン伝わる距離で戦われるプロレスは迫力満点。前方宙返りして相手の上に腹ばいになって着地するなど、高さのあるアクロバットな技も繰り出され、見ごたえ十分。鍛え抜かれた肉体を誇るレスラーたちなのだが、カミロボに扮している設定なので、「身長128ミリ」などと紹介されるのがかわいい。

圧巻はカミロボファイト。文楽の人形遣いの姿が物語に引き込まれると見えなくなるように、二体のカミロボを操る安居氏の手が途中から消え、カミロボだけがリングで暴れているように見えてくる。戦いを終えた魔王とブルーキラーが肩を叩いてたたえあう頃には、本当に紙の体に心が宿っているように思えてしまう。それほどまでに安居氏の手の動きはカミワザ。

最後に挨拶に立った安居氏は、年はわたしより少し上なのだろうけれど、目は少年のままのようで、この目をしてずっと作ってきたんだなあと想像。好きなことをやり続ける情熱が、誰にも真似できない世界を作り上げてしまった。明日17:00と19:30にも公演あり(開場は30分前)。入場無料。スペースに余裕があれば入場券なしでも観覧できるので、表参道ヒルズ近辺に行く予定のある方は直接会場の多目的スペース[O:](B3)へ。

2004年11月25日(木)  ソウなのか、ソウでないのか。


2006年11月24日(金)  マタニティオレンジ32 「手で舐める」ベビーマッサージ

今月、ベビーマッサージの講習を二つ受けた。一つ目はベビーヨガ&ビクスの教室主催のもの。オイルではなくジェルを使う。樹万培(いつきまんばい)社のウォーターハーブジェルは、低刺激でほのかなハーブ(ラベンダーまたはカモミール)の香り。さらっとした使い心地なので、お風呂上がりや汗ばむ季節によさそう。バスタオルを広げた上で赤ちゃんを裸に。おむつだけは広げるけれど外さない。気持ちよくなった赤ちゃんがあちこちで放水し、「キャー、やったわ!」「うちもうちも」。

「足の裏の湧泉(ゆうせん)のツボは体をあたため、下痢や風邪に効きますよ」「おへその横の天枢と仙骨は便秘に効きます」「吐くときは緊張で肩が凝るので頭をマッサージするといいですよ」「夜泣きや不眠には手足の指先をさわってあげてください」などとアドバイスされながら実際にやってみる。「ママの体で試してみて気持ちいいところをしてあげるといいですよ」とのこと。腕や足は筋肉をいろんな方向にほぐすつもりで。ただし、「関節を捻らない」「骨は絶対圧迫しない」。うつぶせのときは「赤ちゃんの表情を確かめながら」。そして、「赤ちゃんの集中力は15分が限界」。マッサージの後は喉が渇くので、授乳タイム。

二つ目のべビマ講習は出産した助産院にて。一回受けたからいいかなと思ったけれど、違う流儀があるかもしれないし、行ってみる。こちらは人体にいちばんなじみやすいというマカデミアナッツオイルを使用。会場で購入してみたけれど、なるほど、オイルだけどべとつきがない。尾骨と仙骨→おなか(腸の流れと同じく時計回りにマッサージ。おへそは触らない)→背中をマッサージして、「最後に流します」。マッサージで「込めた」もの(気?)を体外に出してあげるのだという。「動物は舌で子どもを舐め回します。人間は舌の代わりに手で舐めてあげましょう」と指導してくださった助産師さん。「手で舐める」というたとえはとてもわかりやすく、ベビーマッサージの心構えとコツを言い得ている。

言い得て妙と言えば、出産を控えた会社時代の先輩(ママとしてはわたしが先輩)の家に先日遊びに行ったとき、『江原啓之のスピリチュアル子育て―あなたは「子どもに選ばれて」親になりました』という本があり、その中に、マッサージなどの子どもとのふれあいは「愛の電池の充電」だという例えを見つけた。筆者の江原さんのことは「なぜだかよくわからないけど、やたら売れている人」という印象だったけど、ネーミングセンスもこの人が支持されている理由のひとつかもしれない。以後、「愛の電池を充電している」と思いながらマッサージしている。自分の電池も充電されている気持ちになる。

2002年11月24日(日)  TAMA CINEMA FORUM


2006年11月23日(木)  マタニティオレンジ31 たま3/12才と食育


一日遅れのたま3/12才誕生会。マンスリーゲストは結婚式で受付をやってくれたミキちゃんとウェディングケーキを作ってくれたパティシエのはちみつ・亜紀子ちゃん。亜紀ちゃんお手製のバースデーケーキは、生まれたての卵をイメージしたという卵型。中はスポンジにヨーグルトとバナナと苺をサンド。クッキーで作った羽根とメッセージプレート、お砂糖の花を散らして、できあがり。卵と羽根で『天使の卵』風。

亜紀ちゃんが転がしてきたキャリーケースからは、お土産に作ってくれたクリスマスデコレーション用のクッキーとデトック酢(毎日スプーン1杯飲むと体にいいとか)とジャム。さらに、皮から手作りの餃子、焼き豚、春雨サラダ。わたしの用意したタイカレーとチリコンカンに行き着く前におなかいっぱいに。

たまが生まれる前から「どんな子に育ってほしいか」という話をダンナとしているが、「食べることと本を読むことを楽しめる子になって欲しい」ということで意見が一致している。食べる楽しみは、わたしが両親から教わった最も大きな財産のひとつ。クリスマスケーキを作ったり、月見団子を丸めたり、餅をついたり。食べることは季節や行事を味わうことでもあった。隣家のインド人一家にお好み焼きをお裾分けしてインドカレーを持ち帰り、舌で外国を知った。「食育」という言葉が流通するずっと以前だけれど、食べ物を通して発見したことは、体にしっかり吸収されて栄養となった。

家族でよく行った菊一堂というレストラン(大阪の堺市を中心にいくつか店舗があった。大好きな店だったけど、今はもうない)の季刊誌で「何を食べるかも大事だが、誰と食べるかはもっと大事」「おいしさを分かち合える相手がいると、食事はもっとごちそうになる」という社長さんの対談を読んだのは小学生のときだった。母には「人と食事をする時間とお金は惜しんだらあかん。一緒に食べてくれる人は宝やで」と教えられた。卵のケーキが自分を祝うものだということも、それが食べものであることも、今はわかっていない娘と、そんな話をできる日が楽しみだ。

2003年11月23日(日)  通帳で伝える愛 『まばたき』『父帰る2003』
2002年11月23日(土)  MAKOTO〜ゆく年くる年〜


2006年11月22日(水)  何かとめでたい「いい夫婦の日」

今日11月22日は「いい夫婦の日」。語呂合わせ好きなわたしは6年前のこの日に入籍、「00.11.22」と0・1・2が並ぶ結婚記念日を手に入れた。そんな親の血を引いたのか、娘のたまは8月22日の2時28分に誕生。上から読んでも下から読んでも822228。ハーフーフーフーフーハーと出産時の苦しい呼吸を数字に刻んでいるかのよう。

過去5回の結婚記念日に何をしていたか、覚えていない。「結婚記念日」で日記内検索をしても、一件も引っかからない。花もディナーもなく、ダンナが忘れていた年もあれば、わたしが忘れていた年もあった。けれど、今年の11月22日は、「新しい家族が加わった最初の結婚記念日」として記憶することになるだろう。たまの3か月の誕生日と6回目の結婚記念日、さらに『快感職人』のDVD発売日が重なり、2006年11月22日は、わたしにとって、とてもめでたい日になった。

40〜50代の既婚男女への調査で、「夫のリタイア後に夫婦の時間が増えることがうれしい」と答えたのは夫48%に対して妻27%、「生まれ変わっても今の相手と結婚したい」と肯定したのは夫41%に対して妻26%という結果が出たと新聞記事で読んだ。夫が当てにしている妻は、夫のほうを向いていない傾向。微妙で複雑な女心の研究に『快感職人』DVDをどうぞ。

2002年11月22日(金)  ザ テレビジョンお正月超特大号


2006年11月21日(火)  『築城せよ。』と魔女田映画祭

戦国武将の霊が市役所職員とホームレスに取りつき、ダンボールで城を建てる」。このぶっ飛んだ発想が受けて、アメリカの、サンフェルナンドヴァレー国際映画祭で最優秀外国語映画賞を受賞した作品が『築城せよ。(Raise the Castle)』。わたしにこの作品のことを教えてくれたのは、『風の絨毯』のプロデューサー、魔女田さんこと益田祐美子さん。最近とみに吸着力を増し、人間接着剤と化している魔女田さんだが、『築城せよ。』との出会いも魔女がかり。

監督の古波津陽さんと撮影の辻健司さんが、映画の資金集めと上映方法に頭を悩ませていたとき、ふと入った本屋で派手な赤い本が「おいでおいで」と手招きしていた。吸い寄せられるようにして手に取ったのが、魔女田本『私、映画のために1億5千万円集めました。―右手にロマン、左手にソロバン!主婦の映画製作物語』。一気に読んで勇気百倍となった二人から魔女田さんに連絡があり、対面。三百万で作った映画が映画祭で賞を取ったと聞いて感激した益田さん、早速ツーカーの仲の文化シヤッター社長に話をつけ、同社のBXホールでの上映会をセット。さらに資金不足を補うべく、『風の絨毯』のときスポンサー協力してくれたダンボール会社の社長に電話一本で援助を取りつけた。

これだけでも魔女田パワーおそるべしなのだが、自分がプロデュースした作品と併映する映画祭を企画。「サンモールスタジオ映画祭」と銘打っているけど、そのラインナップは「魔女田映画祭」。

サンモールスタジオ映画祭
12/12(火)〜18(月) 新宿サンモールスタジオ

13:00 『平成職人の挑戦
14:20 『築城せよ。』

16:00 『風の絨毯』
18:00 『築城せよ。』

19:30 『平成職人の挑戦』
20:50 『築城せよ。』

チケット:1300円(2本立て・各回入れ替え)

余談だけれど、サンフェルナンドヴァレーにはわたしが交換留学で住んだ町があり、アメリカ国内を旅行して"Where are you from?"と聞かれたら、"San Fernando Valley"と答えていた。こんなカタチで懐かしい地名に再会したことにも何か惹かれるものがあり、『築城せよ。』はとても気になっている。

2003年11月21日(金)  押忍!いくつになっても応援団
2002年11月21日(木)  ファミレスの誘惑


2006年11月20日(月)  マタニティオレンジ30 偶然は人生最高の香辛料

先日読み終えた『自由が丘物語』の著者・井上一馬さんの物の見方、感じ方には大いに共感するところがあった。なかでも気に入ったのは「偶然は人生最高の香辛料」という考え方。「僕は最近必要最低限なことだけで旅行先のことはなるべく調べないようにしている。調べると、どうしても調べたことを現地に行って確認するのが旅の主目的になってしまい、義務感に駆られてせかせかとあちこちを歩き回る結果になってしまう」というくだりに続けて、「偶然は人生最高の香辛料だから、旅には(そして日常生活にも)なるべく偶然の入り込む余地をたくさん残しておいたほうがいい」とある。

子育ても未知の世界を旅するようなもの。育児書や子育て雑誌に書いてあることにとらわれすぎると、「2か月だからそろそろあれができないとおかしい」と確認に追われて、偶然の出来事を見落としてしまいかねない。なるべくマニュアルよりも目の前のわが子に目を向けて、偶然という不意打ちを楽しみたいと思う。

そういうわけで、大阪の父が贈ってくれた『育児の百科』をまだ開いてなかったのだが、たまの便秘が三日目に突入し、真っ赤な表紙を開いてみた。百科と名乗るだけあって重い。子どもを抱きながらだと、調べ物というより筋トレをしている気分になる。中身はというと、赤ちゃんの月齢ごとに「この月の赤ちゃん」「そだてかた」「環境」「かわったこと」について、細かく項目が立てられている。ピンポイントで欲しい情報にたどり着けるので便利。文章がなかなかユーモラスで、「半月から1ヶ月まで」の「赤ちゃんの便秘」の項目では、理想的なウンチ(「理想便」と命名されている)が出ないと悩んで医者を訪ねるお母さんたちに「赤ちゃんをそだてているので、便をそだてているのではない」ことを忘れてはならないと説く。思わず吹き出したわたしにつられたのか、たまの便秘も自然解消。

ちなみに「二ヶ月から三ヶ月」の赤ちゃんの便秘対策として「果汁を飲ませる」というアドバイスがあったが、母親学級でも助産院でも「果汁を与えるのは離乳食の時期まで待って」と指導されていた。初版が1967年、うちにある新版が1980年に第一刷。今の育児事情にそぐわない部分もところどころあるのかもしれないけれど、読み物としてなかなか楽しめる。便秘という偶然がもたらした発見。

2005年11月20日(日)  G-up side,B;session『ゼロ番区』
2004年11月20日(土)  高倉台・三原台同窓会
2002年11月20日(水)  カタカナ語


2006年11月18日(土)  アーロンバシャ(Aaron Basha)のBaby Shoes

カード会社から送られてきたジュエリーセールの案内を見て、写真に「かわいい〜」と一目惚れ。「アーロンバシャ日本初上陸」とあるので、それがブランド名らしい。早速検索して、Aaron Bashaのサイトを見つける。オンラインカタログの写真がこれまたステキ。わたしを釘付けにしたのは「Baby Shoes」というラインで、パソコンの前で悲鳴を上げ続けるほどの愛らしい靴がずらり。

で、気になるお値段は……。カタログには出ていないので、これまた検索すると、わたしの想像よりゼロがひとつ多く、小さな靴ひとつがン十万円もする。「娘の誕生日にひとつずつ買って、成人したらブレスレットかネックレスにしてあげよう」計画はスピード断念。車買うより大変なことになってしまう。ダイヤモンドついてなくていいし、シルバーやゴールドのかわりにプラスチックでもいいから、このデザインでゼロひとつ減らないものかしら。そんなことしたら、ハリウッドセレブ御用達ブランドの価値が暴落しちゃうんだろうけれど。ダンナに「すっごくかわいくて欲しいんだけど、びっくりする値段なんだよね」と相談すると、「買わなくてよろしい。君が着けると、どうせ1000円ぐらいにしか見えないから」と冷静な意見。ちょっと頭を冷やして、オンラインカタログ鑑賞で我慢がまん。それにしても、なんて罪なかわいらしさ。


2006年11月17日(金)  関西映画『メアリ』!?

出産前に「ボッコーンと生まれはったらぜひお仕事させてください」と訪ねてくれた大阪のプロデューサーさんが再び上京。今度は具体的に企画の話。「……ちゅう話を、メアリみたいな感じで撮りたいんですわ」と説明される。「メアリ?」と聞き返すと、「ほら、あのフランス映画の」「それを言うなら、アメりちゃいます?」「せやせや、アメりですわ」と大笑いした後で、「壁に耳あり、障子にメアリ〜」。大阪弁の打ち合わせは、ほんま、おもろい。

2005年11月17日(木)  『天使の卵』ロケ見学4日目 電車でGO!
2002年11月17日(日)  学園祭


2006年11月16日(木)  映画『フラガール』に拍手

大阪に住む数学教師の父は、映画好き。60才以上1000円のシニアの特権を駆使して、せっせと映画館に通っている。先月、お宮参りで上京した際、「最近観て良かったんは『キンキーブーツ』ともう一本、あれ、なんやったっけ」とタイトルを失念。「どんな映画? 誰が出てる?」と聞いても「それも思い出されへん」。手がかりゼロだが「あれはええ映画やった」ということだけは鮮明に覚えている。「ああ、思い出したわ!」と父が素っ頓狂な声を上げたのは、お宮参りを終えた帰りのタクシーの中。「子ぎつねヘレンに出てた松雪泰子が炭鉱の町でフラダンスを教えるっちゅう、せやせや、『フラダンサー』!」。父の記憶力は心配だが、映画『フラガール』は安心して観られた。監督の李相日さんとの共同脚本は羽原大介さん。井筒和幸監督と共同脚本の『ゲロッパ!』『パッチギ!』も大好きな作品。「ハバラダイスケ」の名前は、わたしには「オモシロイヨ」の太鼓判。手話の要素を取り入れているフラダンスの振り付けはここぞという場面で名台詞になっているし、寒がりな椰子の木の使い方もお見事。

自分が踊っていたこともあって、ダンスものには弱い。学生時代にやっていたチアリーディングや教育実習のときにやった文化祭のミュージカル指導の記憶とともに、懐かしい感覚が蘇る。憧れの衣裳をまとったときの喜びと照れくささ、ステージに立つ前の緊張感、ライトと拍手を浴びる恍惚感、音楽の一部になったような高揚感……頭が真っ白になり、体が勝手に動き出すと、不思議な力が漲ってくる。自分以外の何かになれそうな、ここではないどこかへ飛んで行けそうな。北国の炭鉱の街を常夏のハワイに変えてしまうチカラだって、ダンスにはある。その未来を信じて懸けたフラガールたちと、彼女たちの熱意で仮面が溶けていくように優しい顔になっていく平山まどか先生が眩しくてしょうがなかった。

2005年11月16日(水)  『天使の卵』ロケ見学3日目 ミラクル


2006年11月14日(火)  マタニティオレンジ29 読書の秋

授乳のコツがつかめて慣れてくると、体の空いている部分を他のことに有効利用したくなる。パソコンは電磁波が気になるし、携帯メールはなんとなく不健康な気がするし、新聞はバサバサ言う音が嫌いらしく、読書に落ち着く。文庫本ではページも文字も小さすぎて安定感がなくて、単行本がちょうどいい。

立て続けに読んだのは、育児中の父親が書いたもの。一冊は10月22日の日記にも書いた『父の目1000日 赤ちゃん新発見―カメラとペンで綴ったわが子の3年間』。育児カメラマンの田沼武能さんが長男誕生から3才までのほぼ毎日を追いかけている。もう一冊の『自由が丘物語』は、翻訳家でエッセイストの井上一馬さんが33才になって突然つけ始めた日記。仕事のことや交友関係や日々感じていることがエッセイ風に綴られているが、4才と2才の娘のことが毎日のように登場し、筆者の人生における娘占有率の高さをうかがわせる。そうとはうたっていないけれど、わたしがこの本を知った新聞の書評欄では「育児日記」と紹介していた。文庫(自由が丘物語―33歳の父親日記)も出ているが、単行本ともどもamazonでは在庫切れ。ユーズド価格で9800円の高値がついているのは驚き。

『赤ちゃん新発見』はまさに自分が体験中のことが書かれているので、「うちも2か月で同じ感じだわ」と確認したり、「4か月だとこうなるのね」と楽しみにしたり。『自由が丘物語』の女の子たちには、わが子の2年後、4年後を重ね、「姉妹がいると、こんな感じなのね」と想像する。二冊の本からの教訓は、「短くても、記録は毎日つけたほうがいい」ということ。そういうわけで、こまめに写真を撮り、ときどきはコメントつきでビデオを回し、さぼりがちだった日記をせっせと書いている。日々の出来事を綴ることは、今しかできない。記録の積み立ては、コツコツ続けることで歴史という利息を膨らませる。

子育てものではないけれど、井坂幸太郎さんの『終末のフール』は一日で読み終えて、次の日にまた頭から読み直してしまったほど面白かった。少しずつ交錯し、重なっている連作短編のひとつひとつが傑作。「3年後に隕石が衝突して地球が滅びる」運命を突きつけられた人々が、大混乱の後の束の間の平穏を生きている。限りなく絶望的な状況下で、普通の生活やなにげない出来事や当たり前の風景が輝きを放つ。隕石が落ちてこようと、爪は伸びるし、おなかはすくし、恋にも落ちる。非日常の中で日常を続ける登場人物たちを見ていると、もしかしたら大丈夫なんじゃないかという希望さえ感じられてくる。

2005年11月14日(月)  『天使の卵』ロケ見学1日目 なつかしの京都
2004年11月14日(日)  『バニッシング・ポイント』@ルテアトル銀座

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