2004年12月31日(金)  英国旅行5日目 ロイズとパブと年越し

■体に良さそうなスープとおいしいフランスパンの朝食で目覚める。イングリッシュ・ブレックファースト続きだったので新鮮。「ロイズに入れるチケットがあるんですが、興味ありますか」とC君。「そうですね。ひょっとしたら、欲しいものが見つかるかもしれないし」とダンナが神妙に言うと、「え? ロイズって保険の取引所」ですよ」とC君。ダンナは宝石屋だと勘違いしていたが、わたしも「レストラン?なわけないか」と思っていた。ロイズでは市場のように各保険会社がブースを出していて、そこで日々保険が売り買いされているそう。損害保険会社に勤めるC君は入管許可証を持っていて、家族や友人を同伴することもできるのだとか。「関係者以外立ち入り禁止」の館内に足を踏み入れ、グランドフロアを見学。アンダーライターと呼ばれる「書類にサインをする人」が待ち受けるブースの間をブローカーが顎を上げ、颯爽と歩き回っている。脇に抱えているのはPCではなく分厚い書類。デジタルではなくアナログなのだ。建物中央のエスカレーターはスケルトンになっていて、黄色い車輪が回っているのが見える。上層階にもブースはあるが、グランドフロアに出店するのがステータスなのだとか。行きかう人々の顔からは誇らしさが感じられ、大晦日だというのに活気に満ちている。ひときわ目を引く祠のようなものには、難破船から引き上げられたという鐘と、それを鳴らすための赤いローブをまとった老番人が佇み、荘厳さと風格を醸し出している。わたしの仕事とは縁遠い空気に包まれたこの場所に招き入れてくれた友人に感謝。
■イギリス紳士たち(最近ではもちろん女性も)はパブで一杯引っ掛けながら仕事を話をする。というわけでロイズのすぐ脇にあるDavyというパブへ。昼休みの11時を過ぎると、たちまち人でいっぱいに。席に着かず、立ち飲みの人がほとんど。今年の仕事納めということで「お疲れ様」の雰囲気が感じられるが、書類を広げて商談を進める紳士の姿も。食事はなかなかおいしく、レバノン料理のhoumosa(?)というヒヨコ豆とにんにくのペーストが最高。タバコと年月でセピア色に染まった壁、積み上げられた樽、ブーブクリコの空き瓶のロウソク立てもいい味を出していて、ノンアルコールでもいい気分。
■スーパーマーケットに立ち寄り、King's Roadを冷やかし、6時頃からY邸で夕食。夫婦二組で年越しするはずだったが、今朝、わたしの留学時代の同期だったN君から「ロンドンで働くことになり、一昨日からこっちで家探ししている」と電話があり、大晦日は一人きりだと言うので、C君I嬢に相談したところ、N君も混ぜてもらえることになった。I嬢の手料理に歓声を上げながら、よく食べ、よく飲み、よくしゃべる。N君は初対面のC君をいきなり指差し、「下唇が大きいから、あなたはグルメですね」と断言。N君とは高校時代からのつきあいだが、あんなに話す姿を見たのは初めて。とても楽しかったよう。ビッグベン時計大晦日ディナーテレビに映し出されたビッグベンが12時を指し、一同で「あけましておめでとう」。ロンドンの新名所となっている巨大観覧車ロンドン・アイ周辺で繰り広げられる花火が10分にわたって中継される。観覧車の周りを火が走ったりして大掛かり。■こちらのテレビは始終スマトラ沖地震の津波のその後を報道しているが、大晦日のニュースでも「皆さんが新年を祝っているこの瞬間も救いを求めている人々がいます」と時間を割く。新聞の一面も、連日、食料を求める家族連れや親を亡くした少女の写真が飾る。自分だけ幸せになれない、ならない、ということを強く意識させられるようになっている。日本でも同じような報道がされているのだろうか。悲劇は時間とともに忘れられるが、復興は根気と時間が要る、とレポーターは訴える。地震に遭った新潟の人々は、希望を持って年を越せただろうか。

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2003年12月31日(水)  年賀状でペンだこ
2002年12月31日(火)  大掃除に救世主あらわる
2001年12月31日(月)  祈り
2000年12月31日(日)  2000年12月のおきらくレシピ


2004年12月30日(木)  英国旅行4日目 動物園と再会と中華

■朝食とホスピタリティが自慢のMarlborough Houseに別れを告げ、今日はロンドンへの移動日。だが、バースからロンドンとは逆方向行きの電車に乗り込む。ブリットレイルフレキシーパスは指定日中は乗り放題。いっぱい乗らなソン、と浪速のおばちゃん根性で、バースの隣の終着駅Bristol Muse駅で降り、Bristol見物することに。ところが駅に着いて「スーツケース預かってくれる場所は?」と尋ねると、「ない」と駅員さん。冗談かと思ったら「We can't trust tourists anymore」とマジな返事。荷物に爆発物が入っているかもしれぬ、というテロへの警戒心なのか。さて困った。美しい港やつり橋があるらしいが、でかいスーツケース転がして行くわけにもいかない。仕方なく、2004年のzoo of the yearに選ばれたBristol Garden Zooだけ見ることに。バス(一律£1.1 一日券£2.9)
■入場券(£9.5)を買って「スーツケース預かって」と言うと、窓口のおじさんは呆れ顔で首を振る。「じゃあこれ転がして檻の間歩くしかないの?」と言うと、事務室で預かってくれることに。ドイツの動物園と似た印象で、日本のものに比べて檻が開放的。鳥などは檻の外を歩き回っていたりする。便器の中に蜘蛛を展示していたり、見せ方も面白い。ところどころに「フラミンゴみたいに片足で何秒立てるかな」といったzoolympicの立て札があり、楽しませてくれる。大人が子どもたちに動物の説明をしている姿がほほえましい。Aye-Ayeという種類のおサルさんがいて、みんなが「アイアイだー」とはしゃいでいた。「アイアイ アイアイ おサルさんだよー♪」のアイアイはこいつだったのか、と感激。ゴキブリの展示もあって「この大きな種類のゴキブリは迫力があるので映画やテレビの撮影に引っ張りだこ」なんてマジメな解説がついている。
■Paddington駅に5時過ぎに着き、構内で軽くお茶。カプチーノはSmallなのにボリュームたっぷり。10年前に来たときより、イギリスでおいしいコーヒーが飲めるようになっている気がする。■6時、circle lineに乗ってSlone Square着。初乗りが£2.1。400円以上と換算すると高い。今年春からロンドンに住んでいるI嬢と待ち合わせ。I嬢とC君の暮らすY邸に今夜から2泊お世話になる。夕食はチェルシー地区にあるHUNANというチャイニーズ。繊細なだしや醤油の味に体が喜ぶ。豚の腸、カエルなど面白い食材も。デザートの杏仁豆腐と小豆クレープまでおいしくいただく。

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2001年12月30日(日)  アナログ


2004年12月29日(水)  英国旅行3日目 巨岩と村と怪人

■今日はMarlborough HouseのLauraおすすめのバスツアーに参加。ストーンヘンジやコッツウォルズの村を7時間かけて案内つきで回る。madmaxという家族経営の会社がやっていて、移動は乗客最大16人のミニバン、お値段もひとり£22.5とリーズナブル。Elgin Villaで早めの朝食を済ませ、abbey横のピックアップポイントに8:45集合。日本人はうちの夫婦と留学生らしい若い女の子二人。あとはアジア系、アラブ系、地元系など様々。ドライバー兼案内係のIanが慣れた口調でイギリスの6000年の歴史を20分で駆け抜ける。ところどころで乗客が質問を投げ込み、歴史の授業風。約1時間でストーンヘンジに到着。
■遺跡の岩のまわりはだだっ広い緑。教科書などで写真は見ていたものの実物の迫力は桁違い。地面に根を張って立つ巨岩の列は、低く垂れ込めた雲ともあいまって、神々しさが漂う。何のために建てられたかはミステリーだが、何か説明のつかないパワーを感じる。古代の人々もこの建造物に常識を超えた何かを求めたのかもしれない。おなじみオーディオガイドはここでも興味深い説明をしてくれるが、懇切丁寧すぎて、最後まで聞いているとなかなか前へ進めない。■土産屋が軒を連ねるということはなく、小さなギフトショップとテイクアウトのSTONEHENGE KITCHENが並んでいるのみ。このキッチンのメニューが妙にそそる。アップルスコーン(£1.95)とお茶(£0.65)を買い、バスに戻って味わっていると、集合時間を過ぎても日本人留学生二人組が戻ってこない。15分が過ぎ、Ianがイライラして探しに行った。車内では「おいおい」という冷たい空気が流れ、わたしも肩身の狭い思いをする。だが、戻ってきた二人はIanが何に苛立っているかわかっていない様子。「集合時間とっくに過ぎていて、皆さんを待たせていたんですよ」とわたしが耳打ちすると、ようやく「マズイ」という顔に。「集合時間聞いとけばよかったね」「だねー」と二人なりに反省していたが、英語力ではなく団体行動力の問題だった。謝るタイミングも逃してしまい、他の乗客には「待たせて平気な日本人」の印象を残すことになった。
■観光名所のストーンヘンジ以外にもこの辺りにはストーンヘンジが点在する、ということで、車で10分ほど行った先にある「石に触れる身近なストーンヘンジ」へ。古代の生命力を秘めた石からパワーがもらえるとか。ご利益ありますように。さて、ここで聞いた興味深い話。この一帯を保存するために買い取った人物が巨岩のひとつをどけたところ、白骨化した男性の死体を発見。石に押し潰されての圧死ではと死因鑑定のため遺骨をロンドンの研究機関に送ったが、第二次世界大戦の最中で、1940年、研究機関の建物が爆撃に遭ってしまう。ところが二年前にひょんなことから大英博物館が遺骨を発見、半世紀以上遅れて鑑定が実現した。その結果、あわれな男性の死因は圧死ではなくblack deathだとわかったという。black deathとは中世の頃に流行った疫病で、当時は人口の25%がこれで命を落としたとか。恐らくペストのことだろう。何百年も前の死体の死因を骨だけで判定できるってすごい。
■昼食はLacockという古い村にあるGeorge Innというレストランで。Lacockは村ごとnational trustに保存されており、村にゆかりのある家族しか住むことができないそう。古い家は13世紀から家系図をたどれるとのこと。ここの寺院はハリーポッターのホグワーツ魔法学校のロケ地として使われているそうだが、冬の間は中に入れない。1時間半のランチタイムの間に食事と村観光をするはずだったが、同じテーブルになったアフガン人夫妻とタイ人姉妹との会話が弾み、気がついたら集合時間10分前になっていた。国費留学中の夫・アズィール(be lovedという意味だそう)に妻がくっついてきているアフガン人夫妻は、わたしたち夫妻と結婚年月日が2週間違いということもあり、意気投合。アズィールの専攻は政治だそうだが、非常にスマートでユーモアもあり、こんな人物がいればアフガニスタンも心強い、と思わせた。留学中の姉のところに妹が遊びに来ているタイ人姉妹は育ちが良さそうで、頭のいい受け答えをしていた。
■最後の目的地はコッツウォルズの小さな村、Castle Combe(カッスル・クーム)。全英一美しい村に選ばれたこともあるとかで、時間が止まったように佇む風景は、どこを切り取っても絵になる。お墓も橋も何もかもが静謐で美しい。Manor Houseという名の格調高いマナーハウスがあり、窓から赤絨毯とアンティーク調の家具が見える。この静かな村で約1時間、思い思いの散歩を楽しむ。各自が自由に見て回れる時間をなるべく取るのがmadmax tourの方針のようで、「we do things different」が宣伝文句。カッスル・クームからバースへ戻る道は、疲れて眠る乗客のためにIanは黙って運転する。バースへ行く人にはおすすめのツアー。
■4:30にBathに戻り、「今行けば間に合う!」と昨日偶然見つけた映画館へ走る。4:40からThe Phantom of the Operaの上演。座席はfront middle backから選べ、frontにする。ひとり£5.5。20分ほどのCMタイム(イギリスのCMトレンドもわかってなかなか面白い)に続いてトレイラー(予告編)上映。アメリの監督と女優が再び組んだThe longtime Engagementなど。期待の本編は、オークションにかけられた「オペラ座の怪人事件のシャンデリア」があのテーマ音楽とともに吊り上げられ、場面がモノクロからカラーに変わっていく冒頭(日本で観た予告編でもこのシーンが使われていて鳥肌が立った)から鷲づかみ。設定も時代も近い数年前のFOX映画、『MOULIN ROUGE(ムーランルージュ)』を彷彿とさせるが、それ以上に音楽と美術がとにかく圧倒的。■ムーランルージュの二コール・キッドマンのほうがヒロインの華はあったけれど、「その他大勢から歌姫に抜擢される」設定のクリスティン役には、愛らしいエミー・ロッサムがふさわしいのだろう。屈折した過去と類まれな才能を持つファントム(ジェラード・バトラー)がクリスティン(エミー・ロッサム)の歌声を目覚めさせるが、ファントムの正体を知ったクリスティンは苦悩する。ファントムとクリスティンの葛藤も切ない歌になっている。自分の才能を引き出してくれた恩人を裏切れないと揺れる気持ちには共感を覚える。台詞の合間に歌うというよりは大半の台詞が歌。クリスティンを想う御曹司ラウル(パトリック・ウィルソン)とのラブソングの歌詞も素敵。僕が君を守る、君がどこに行こうと〜♪ うっとりしているいい場面で、横からダンナが「わけわかんないよ」と話しかけてくる。どう見てもラブシーンでしょうが!■2時間を超える長編だが、もっと見せて、まだまだ聞かせて、という感じで最後まで引きつけられる。地下の秘密部屋、華やかな舞台、雪の積もった霊園……妖しくも美しい絵が連なり、心を揺さぶる旋律で彩られ、すっかり魅了される。途中で迷子になっていたダンナも「すごいものを観た」と最後は喜んでいた。日本で字幕つきでもう一度観たい。映画館入口にはティム・バートン監督のCharlie and the Chocolate Factoryの告知が。こちらも楽しみ。■夕食は地元で人気のレストランという噂のWalnusにて。何を注文しても「Good」と親指を立ててくれる店員の兄ちゃんの感じがよく、おいしく食事できる。こういうお店にはチップも気持ちよく弾める。

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2003年12月29日(月)  そんなのあり!? クイズの答え


2004年12月28日(火)  英国旅行2日目 風呂と衣装と作家と演劇

■イギリスの冬は日の暮れるのが早い。昨日は4時を過ぎるともう暗かった。ならば朝が早いのだろうと思ったら、8時を過ぎてようやく空が明るみだす。急げ、昼は短いぞ。Marlborough Houseは「オーガニックな朝食が自慢」と豪語しているだけあって、ヨーグルトから卵から全粒粉の小麦粉から素材にこだわりが感じられる。ソーセージも大豆製品。
■今日はBathの観光名所を見て回ることに。ロイヤルクレッセントというゴージャスな三日月形のお屋敷を横目に見ながらタウンセンターまでぷらぷら歩き、まずはBathの語源となったローマ風呂を見物。コスチューム博物館とのcombine ticketで£13。日本語のオーディオツアーガイドを無料で貸し出してくれるが、これがなかなかよくできていて、解説の日本語もわかりやすいし、ナレーションも聞きやすい。イングランドに攻め込んだローマ人が作ったという風呂は今も約46度の湯が湧き続けているらしいが、見物人は見るのみ。この湯を見て「つかりたい」と思うのは温泉の国の民の性なのか。ローマ人にとって、風呂は湯治の場であり社交場であり商談の場でもあったとのこと。
■祭壇(だったと思う)へ続く階段が大きく磨り減っていた。「これだけ磨り減るのに、どれだけたくさんの人々がここに足を運んだことでしょう」というオーディオガイドの解説に、何千年か前、この遺跡と人々の営みが確かに関わっていたのだと感じた。目の前の石段に流れる時間に思いをはせ、歴史は人なんだなあなどと思う。
■Avon川のほとりにあるかわいいカフェ、riverside cafeで昼食。各国からの観光客でにぎわっている。小さな入口に切り取られて半円形に見える川辺の景色が面白い。若くて愛想のいい兄ちゃんたちがきびきびと働いている。味はけっこう大味だけど、イギリスらしい味とも言える。■楽しみにしていたコスチューム博物館は、中世から現代までの衣装が充実。オーディオガイドとともにじっくり楽しむ。ドレスを実制作する前にサンプルとして作られたミニチュアと実物が並べられていたり、約1世紀の間の衣装の移り変わりが見られたり。貴族の貴婦人のドレスのおさがりを譲られそうになった使用人の女性が「お古をもらったら自分まで古びてしまいそう」と葛藤する話など、興味深いエピソードも紹介されている。特別展示で、映像化されたJane Austen(ジェーン・オースティン)作品の衣装が勢ぞろい。作品の紹介とともに衣装の製作意図が紹介され、興味をそそられる。と同時にJane Austenへの興味もかき立てられ、Jane Austenセンターへ足を運ぶ。司書風のおばさんが上品なクイーンズイングリッシュでJane Austenの生涯を解説。1811年から17年の間に6本の小説(Northanger Abbey 、Sense and Sensibility 、Pride and Prejudice、Mansfield Park、Emma、Persuasion)を出版した寡作の作家だが、どの作品も高く評価され、ドラマや映画になり、幅広いファンに愛されているという。作品は最初から評価されたわけではなく、出版してくれる会社を探すことに苦労したこと、女性ということで低く見られた部分もあったが父や兄の理解と協力を得たことなどを興味深く聞く。
■4時半頃、Theater Royalという劇場の前を通りがかると、「よかったー」と満足げなお客さんがぞろぞろ出てくる。公演中のDick Wittingtonというお芝居の昼の部が終わったところらしい。窓口に行って夜の部のチケットがまだあるか聞いてみると、前から2列目のかぶりつき席またはバルコニー席または後方の席を選ばせてくれる。せっかくなのでかぶりつき席を希望。子どもにもわかる内容ですよとのこと。上演時間が近づくと、かわいらしいドレスで着飾った女の子やよちよち歩きの男の子が続々やってくる。手に手に持っている光り物は上演中に振るものらしい。幕が開くと、「いい者」役には拍手喝采、「悪者」役にはブーイング。大人が率先して声を出し、子どもたちに楽しみ方を教えている雰囲気がいい。一旗揚げたいDick Wittingtonが旅の途中で出会ったおともの猫のTommyとともに着いた先は、大量のねずみに手を焼いている街。DickはTommyとともにネズミ退治に活躍するが、泥棒の疑いをかけられ、街を出る……という物語。ダンスあり、コントあり(オナラ連発のようなわかりやすいもの)、客席にキャンディーを投げたり、観客の子どもを舞台に上げて自己紹介させたり、一緒に歌ったり、バラエティ型演劇という感じで飽きさせない。オカマキャラのおばちゃんがいい味出していた。Chris Harrisという役者さん。
■今夜の宿はMarlborough Houseの隣のB&B,Elgin Villa。27日から3連泊したかったのだが「27と29しか空いてない」と言われ、「間の28日に泊まれる近くの宿を紹介して」とお願いすると、お隣さんを紹介してくれた。スーツケースは置いたまま一日分の着替えを持ってプチお引越し。Elgin Villaのほうがfurnishingに凝っていない分、宿泊費は1泊£20安い(ツインで£65)が、お部屋は広々で快適。

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2001年12月28日(金)  捨て身


2004年12月27日(月)  英国旅行1日目 VirginとBathと厚揚げ

夫婦そろって年末年始にまとまった休みが取れることになり、どこに行こうかと思ったとき、いくつかの候補が浮かんだ。イギリスを選んだのは、友人夫妻が住んでいて歓迎モードを示してくれたこと、10年前のコッツウォルズ旅行が印象的だったことが理由。行くと決めてから一週間で航空券と宿を手配できたのは、インターネット時代のおかげ。10年前はイギリス政府観光庁でパンフレットをもらってきて、電話したりFAXしたり大変だった。

ヴァージン・アトランティックの航空券はH.I.Sで入手。引換証はメールで送られてきたものをプリントアウトする形。宿はsuperbreak.comExpedia Travelといったサイトで探す。宿泊を希望する街と日付を入力すると、空いている宿を検索でき、ディスカウント料金で予約もできる。B&B情報充実のcomestaywithus.com、宿泊日が近くなった部屋を格安で予約できるlaterooms.comも利用価値大。宿探しをしながら旅程を固めていき、ロンドンを拠点にBath(バース)とStratford upon Avon(ストラットフォード アポン エイヴォン)を訪ねることに。鉄道の時刻表検索はnational railサイトのPlanning your journeyで。出発前に街の下見もできて、なんとも便利な時代。

あっという間に出発当日、荷造りそっちのけで朝まで年賀状のラベル印刷。今年こそ手書き脱出、は実現したが、入力は予想以上に重労働。ラベル貼ってから誤植に気づいたり、貼り直しができない強力な吸着力に閉口したり。コメントは京成スカイライナー車内で一気に書く。字が汚いのは寝不足と揺れのせい。

ユニークな広告で気になっていたヴァージンだが、乗ってみた感想は、やや期待負け。パーソナルスクリーンはついているもののとても小さく、食事は4種類から選べる(写真は松花堂弁当)ものの味は感心できない。エコノミークラスで感動を求めるのはゼイタク? 食事の間に出されたミルクアイスキャンデーには感激。映画はElf、Supersize Meを観る。


ロンドン・ヒースロー空港からはヒースロー・エクスプレスでPaddington(パディントン)駅へ。約20分で到着、ラクチン。片道なんと£13(成田空港での両替レートは£1=216円)もするが、ブリットレイルパス(外国人旅行者だけが買えるイギリス国内鉄道乗り放題チケット)でカバーしている。イギリス国内の鉄道料金を事前に調べてみたけど、ブリットレイルパスを買っていったほうが断然おトクと判断、ブリットレイルイングランドパス(北アイルランド・ウェールズ・スコットランドは除く)のフレキシー4日(連続ではなく好きな4日を選べる)の2等車用を購入。ウィンターシーズンだからか、2月15日まで25%引きになっていて、さらにおトク。PaddingtonからはBristol行きに乗ってBathまで約1時間半。乗換えがないので安心。鉄道のエコノミークラス(スタンダード)はもったいないぐらい広々。

Bath Spa駅からタクシーでオーガニックな朝食が自慢のB&B、Marlborough Houseへ。ホリデーシーズン料金ということでタクシー料金は通常の50%増しの£5.25。Marlborough Houseを切り盛りするLauraは、人間大好きオーラを発している元気でチャーミングな女性。イングリッシュティーとクッキーで温かく迎え、近所のお散歩マップを広げながら、Bathの見どころを素早く紹介してくれる。

夜出歩いても危険はないというので、夕食がてら外出。街の中心には小さなスケートリンクがあり、楽しそうにすべる人々を楽しそうに眺める人の輪がある。Lauraが薦めてくれたインドネシア料理レストランJAVAへ。味は日本で食べるもののほうがおいしいが、にぎわっている。「揚げた豆腐に野菜をはさんだもの」を注文したら、厚揚げにキュウリが突き刺さったのが出てきた。なんでイギリスのインドネシア料理屋で厚揚げ食べているんだろ。

今回の旅行の目当てのひとつは、イギリス英語。やっぱり聞き取りにくい。BBCの放送を聞いていたら、ダンナが「TSUNAMIって英語になっているんだね」。それが唯一聞き取れた単語だったらしい。チュナミと聞こえるが、確かに英語になっている。ニュースではこれでもかというぐらい津波の報道が繰り返されているが、現地の映像はあまりなく、リポーターがアップで映り、しゃべり、次のリポーターにつなげていく。原稿があるというより即興でしゃべっている印象。インタビューされる人も理路整然とした話し方。英語という言語の特長なのかもしれないが、皆、自分の言葉で自分の意見をはっきり言う術を持っていることに感心。

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2003年12月27日(土)  腐ったブドウ・熟成したワイン・腐ったワイン
2001年12月27日(木)  今がいちばん若い


2004年12月18日(土)  クリスマス映画『ポーラーエクスプレス』

■大学の卒業式でクリスマスツリーに仮装したぐらい、一年のうちでクリスマスがいちばん好き。『ポーラー・エクスプレス』のメイキングをテレビで観たときから、これは絶対に観る、と決めていた。原作はクリス・ヴァン・オールズバーグの人気絵本『THE POLAR EXPRESS』。蒸気機関車に乗って、サンタが出発する北極点をめざすというわたし好みのファンタジー。去年、村上春樹の訳で『急行「北極号」』として出版されたときに、ラジオでやれたらいいなと書評を切り抜いていた。映像だと途方もないコストがかかると思っていたが、フルCGで映画化とは! 原作に惚れ込んだトム・ハンクスの力なのか。一緒にメイキングを観ていたダンナも「行こう」と乗り気に。映画と鉄道を愛するご近所仲間T氏の影響で、以前なら見向きもしなかった作品がアンテナに引っかかりだした様子。■ちょうど今日都合が合ったので、有楽町マリオンの丸の内ルーブルへ。あらすじ、ハイライトはもちろん、トム・ハンクスが5役の吹き替えに挑戦していることもメイキングで観てしまっていたものの、期待以上に楽しめた。鉄道、クリスマス、雪、ホット・ショコラ、わたしの好きなものがどんどん出てくるので、観ているだけでうれしい。機関車が走っている間にアクシデントが次々と起こりるので、目を離すすきもない。「サンタの存在を信じたいけど信じられない」という主人公の男の子の微妙な心境にはあまり寄り添えなかったけれど、「サンタは忙しくて僕の家には来られないんだ」という貧しい男の子と、「クリスマスは素晴らしい日よ」と目を輝かせる心優しい黒人の女の子の気持ちには入り込めた。この二人のデュエットはメロディーも歌詞もきれいで、本編はもちろんエンディングのタイトルロールで流れたときにも涙を誘われた。子どもたちが車内で「どこ行くんだろう」と元気に合唱する歌もよかったし、ディズニーを思わせるトーンの音楽は、どれも印象的だった。見ることは信じること、サンタクロースは信じる人だけに訪れる、というメッセージが繰り返し形を変えて提示されるが、劇場を出たわたしとダンナが「いい台詞があった」と口をそろえたのは、「大切なのは行き先ではなく、乗ると決めること」と車掌が主人公の少年との別れ際に言った一言。まさにT氏に捧げる台詞。機関車のスペックを一気にまくしたてる知ったかぶり(役名はknow it all)君、北極点のターンテーブルなどにも心が躍った。鉄道とクリスマスが好きな人はぜひ。

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2001年12月18日(火)  シンクロニシティ〜天使からの小さな贈り物


2004年12月13日(月)  待ち合わせできない女

■先週土曜日の『猫又祭』会場の宮崎美保子さんちへ行くまでのこぼれ話。宮崎あおいちゃんのマネージャーの小山理子さんと3時50分に荻窪駅で待ち合わせていたのだが、わたしは3時半過ぎに四谷を出る中央線に乗り込み、「ぎりぎり間に合うかな」と思っていた。ところが電車は3時45分に荻窪駅を通過。止まらない特快に乗ってしまっていた。「次は三鷹〜」のアナウンスを聞きながら「今通過中」と携帯メールを打っていると、タイミングよく「今新宿です。10分ほど遅れます」と小山さんよりメールが入る。「じゃあ同じぐらいに着きますね」と返信し、4時過ぎに荻窪に着くと、「今中野です。電車がずっと止まっています。何かあったんでしょうか」と不安そうな小山さんの顔が目に浮かぶメール。数分後、「事故」というタイトルの別メールが届く。「大変です。電車が新宿に向かって逆走をはじめました」。どうやら小山さんは中野止まりの電車に乗ってしまったのだが、メールを打つのに夢中で、乗客が入れかわっていたことにも気づかなかった様子。それは「事故」じゃなくて、正常ですよー。結局、予定より30分ほど遅れて待ち合わせに成功。お互いの顔を見るなり爆笑してしまった。

2004年12月11日 『猫又祭』に初参加

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2003年12月13日(土)  加藤大治郎ジャズライブwith魔女田さん


2004年12月11日(土)  『猫又祭』に初参加

『短歌があるじゃないか。一億人の短歌入門』という本に3年前に書いた短歌が掲載されている!という衝撃の事実を会社の隣の席のなくいに教えられて、あっという間に半年。その短歌の会である『猫又』の集まりにはじめて参加することになった。忘年会兼顔合わせ兼同窓会のような『猫又祭』の会場は宮崎美保子さんというとっても素敵なジュエリーデザイナーさんのこれまた素敵なお宅。わたしにとっては、なくいと、猫叉を紹介してくれた小山理子さんと、小山さんに先日引き合わせてもらった猫又主宰者で雑誌編集者で映画大好きの沢田康彦さん以外は、はじめて会う人ばかり。ドキドキしながら乗り込んだが、皆さん気の合いそうな人たちで、自然と話がはじまり、弾み、居心地のいい時間だった。

沢田さんの発案で全員を紹介がてら表彰するという企画があり、順番に名前を呼ばれ、「今年がんばったこと」をアピールし、スマイリーキャラクターのメダルを授与される。わたしはブレストやジェニファや冷凍マイナス18号を宣伝。でも表彰理由は「毎日原色の服を着続けたこと」だった。

翻訳家、映画評論家、女優、俳優、マネージャー、女子プロのマネージメント、デザイナー、編集者……実にいろいろな人がいる。猫又を引っ張る歌人、穂村弘さんと東直子さんの姿も。皆さんの短歌は先に読んでいるので、「ああ、歌のイメージ通り」「え、こんな人だったんだー」と心の中で答え合わせ。

短歌の会らしく、記念撮影ならぬ「記念撮詠」も。一人一首は出すように、と言われ、量産型のわたしは「数ならまかせて」と思っていたのだが、あんまり楽しくてどんどんワインを飲むうちに何も思い浮かばなくなった。「何詠もう何詠もうと思いつつ 杯を重ねて ああ酔っ払い」……そんな歌を書いた気がするけど、記憶も定かではない。おでん、まぐろ、いなり寿司、ケーキ、チーズ、ワイン、おしゃべり、どれもおいしい夜だった。

2004年6月1日 歌人デビュー本『短歌があるじゃないか。』
2004年12月13日 待ち合わせできない女


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2002年12月11日(水)  Make a Wish
2001年12月11日(火)  『ハッシュ!』 1本の傘 2本のスポイト


2004年12月10日(金)  エコアス馬路村の間伐材商品【monacca】


■11月のはじめ、新聞で面白いものを見つけた。布でもビニールでもなく「木」でできたかばん。エコアス馬路村というところが間伐材で作っている商品だという。掲載写真は小さくモノクロで、サイズも書いてなかったので、ネットで検索してエコアス馬路村のホームページを見つけたが、なぜかここには載っていない。そのかわりに「間伐材で作った座布団」があり、名前をmonaccaという。なるほど、外側の木の色味といい、中と外の二層構造といい、最中に似ている。これも面白いと思い、座布団とかばんについて質問のメールを送ってみた。すると、すぐに丁寧な返事が来た。
【座布団について】
Q1 座った感触は堅いのでしょうか。
A1 お菓子の最中のような構造になっています。間にコルクを挟んでいますので、ややしなりがあります。
Q2 地べたに置くことを想定されていますか。
A2 畳やジュウタンの上で楽しんで頂くと相性が良いです。インテリアとしても。
Q3 椅子の上に置いても使えますか。
A3 大きめのクッションのあるイスなら、座る事ができます。

【かばんについて】
Q1 新聞に載っていましたが、ホームページにはありませんでした。詳細を見られるページはありますか。
A1 添付の写真(左上の2点)をご覧下さい。生産が間に合わずお客様にお待ちいただいています関係でupしておりません。申し訳ございません。尚価格は、税込¥18,900。

さらにサイズや色について突っ込んだ質問をしたところ
【座布団】
(plain ¥3,990の他に)着色の座布団もご注文いただけます。brown(¥6,300)、tanning red(¥5,250)。着色品は、職人作業の為、完全受注生産となっています。

【かばん】 
サイズ:W450、H305、D105(弌暴鼎橘715g。収納可能サイズB4まで。持ち手部分は、天然皮革。ダブルファスナー、インナーポケットを採用しています。
納期:今ご注文いただきまして、12月中旬頃の予定です。

と、これまた迅速なお返事。かばんの中の様子がわかる写真も送られてきた。すっかり納得して、かばんをひとつと試しに座布団をひとつ注文。写真のかばんの持ち手がオレンジだったので「持ち手はぜひオレンジで」とリクエスト。かばんの完成に合わせて、今週二つ一緒に届いた。届いてはじめて、かばんもmonaccaシリーズの商品だと知る。うまいネーミング。かばんはB4サイズが入るので、シナリオの打ち合わせに重宝しそう。まだあまり持ち歩いてはいないけれど、「トレーみたい」「これ、かばん?」と珍しがられている。座布団はまだ怖くて座っていない。ちなみに馬路村は高知県にあり、森林面積が村の96%を占める森の村。間伐材製品の売上金の1%は森づくりの基金に積み立てられ、森に還元されるとのこと。モノから土地を知るのも楽しい。

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2002年12月10日(火)  美人計画


2004年12月08日(水)  『frame』 by Takeshi Sasaki

■わが家のテレビの上には「チャチャキ」という名前のパキラの木がいる。会社で隣の席だったデザイナーのチャチャキこと佐々木健君が会社を辞めたときにくれたもの。そのチャチャキ君とひさしぶりに会ってお茶をする。フリーのデザイナー業の傍らコレクターズアイテムのミニカーを買い付け、次は家具も手がけるとか。「そうそう、俺、こういうの作ってるんだよ」と見せてくれたのが『frame』という作品。雑貨好き仲間がやっているお店『SUNNY DAYS』に遊びに行ったとき、商品を見ながら「俺も学生時代こういうものを作ったな〜」と昔を懐かしんだところ、「ホントに!?作って欲しい!」と言われて作り始めたのだそう。まずは夏に『マリン』をテーマにした第一弾を発表したところ大好評。第二弾の秋は味覚をテーマに『ドーナツ』がモチーフ。浮き輪からドーナツへ、輪っかつながり。「季節以外にも楽しい表現が出来そうなものがあれば、制作していく予定」とのことで、『ハート』をリクエスト。チャチャキ君、楽しみにしています。■『SUNNY DAYS』はチャチャキ君いわく「フレンチカジュアルな生活雑貨からベビー用品まで、幅広い年齢層の女性に喜ばれそうなものでいっぱい。商品セレクトやレイアウトにも、オーナーのセンスの良さがとても感じられる素敵なお店。布物やアクセサリーなど作家さんの個性溢れた作品を中心に販売。メディアにも沢山取り上げられている人気のお店で、オーナーの気さくな人柄も愛される理由のひとつ」とのこと。frameについてのお問合せは件名「frameの件」と明記の上、メールにてどうぞ。
Frame
by Takeshi Sasaki

季節を感じるシーンを小箱にパッケージ。暮らしの中に、ここちいい小さな空間を。波の音を感じたり、スイーツの味覚を感じたりするようなFrameの世界で、お部屋のちょっとしたスペースを演出。ただリアルにシーンを表現するよりも、あえてイメージにする事で遊び心を表現しました。
frame取扱い店『SUNNY DAYS サニーデイズ』
●川崎市多摩区登戸2701 小田急線の向ヶ丘遊園駅から徒歩2分
●tel 044-932-0916 ●11:00〜19:00 木曜定休


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2004年12月07日(火)  俳優座劇場『十二人の怒れる男たち』

俳優座劇場プロデュースNo.67『十二人の怒れる男たち』を観る。レジナルド・ローズ原作、映画にもなったこの有名な作品を観るのははじめて。十二人の陪審員の審議の模様がストーリーになっているという予備知識はなんとなくあったけれど、冒頭とラストと途中(審議に必要なものを差し出すとき)に守衛(小山内一雄)が顔を出す以外は、十二人の男たちが舞台に出ずっぱりで、本当に常に誰かが「怒って」いた。陪審員の個人的なキズに触れる発言が怒りを買ったり、陪審長の仕切り方にケチがついて喧嘩になったり。白熱する議論というのは、その展開自体がスリリング。陪審員たちのやりとりから、容疑者のバックグラウンド、犯行の様子など裁判の内容が明らかにされていくのだが、最初は十一人の陪審員が「クロ」だと信じていた事実が、少しずつ揺らぎ、引っくり返り、いつの間にか有罪無罪が逆転し、最後には無罪で全員一致し、審議を終える。推理劇に心理サスペンスが加わった形だが、この面白さは十二人の個性が際立っているからこそ。名前ではなく「1号」から「12号」の数字で呼び合う陪審員たちは、記号でありながら、それぞれあだ名をつけやすそうな明快なキャラクターを持っている。スポーツマンタイプの陪審長1号(大滝寛)、うだつが上がらないけれど愛嬌がある2号(荘司肇)、喧嘩っ早い3号(三木敏彦)、理知的で一目置かれる紳士の4号(立花一男)、冷静で穏やかだがスラムでの過去を持つ5号(井上倫宏)、調子のいい職人6号(緒方愛香)、ヤンキース戦が気になる無責任な若者7号(高橋克明)、最初に「有罪と決めつけたくないから無罪」に一票を投じた8号(松橋登)、老いているがプライドを失っていない9号(浜田寅彦)、言うことが極端な10号(鵜澤秀行)、メモ魔のヨーロッパ移民11号(里村孝雄)、優柔不断な広告屋12号(須田真魚)。この日記を書いているのは鑑賞して一週間後だが、十二人の席順とともに彼らの違いを思い起こせる。皆さん熱演だった。舞台右手のほうには「審議室に備え付けられた」設定の給水器があり、出演者はかわるがわる水を飲んでいたが、先日、上杉祥三さんの舞台を見たときに「二人芝居で一時間半出ずっぱりなので、舞台上で水を飲むシーンを作った」と話していたのを思い出し、これも小道具兼水分補給の工夫なのかなと思った。■今夜の観劇のおともは最年長の友人コンビ、余語先生とT氏。三人で熱心にアンケートを書いた後、近くの居酒屋『真希』へ。「もう少し謎解きよりも人間ドラマを見たかったですね」とT氏は鋭い意見。確かに、最後までクロを主張していた3号が「シロ」に寝返るところがあっさりしていた。「ああゆう奴らは潰していくべき」と主張していた彼自身に人には言えない過去があり、けれどそこからやり直せた人間だとしたら……などと勝手にアイデア出しして盛り上がる。先日オレオレ詐欺に危うく200万円かすめ取られるところを免れたT氏、お安いものですとご馳走してくれた。

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2003年12月07日(日)  どうにも止まらぬ『剣客商売』


2004年12月04日(土)  『父と暮せば』@岩波ホール

■7月31日から神保町の岩波ホールで公開されている『父と暮せば』(黒木和雄監督)をようやく見る。週末はしばらく補助椅子を出しても入りきれない盛況を見せていたが、5か月近く経ち、ようやく座席にも余裕ができていた。とはいえ7割強の入り。見る前から作品の力を感じさせてくれる。すでに脚本を読み、涙していたが、映像になると、さらに感涙度はアップ。井上ひさしの原作の力を受け止め、より大きなエネルギーを発散させる父の原田芳雄、娘の宮沢りえの熱演に心を打たれる。他の配役は考えられないほどすばらしかった。■原田芳雄さんは、わたしがデビューする前の函館映画祭でご一緒して、一方的に記憶し、好感を持っている。赤ちゃんを抱いた若いお母さんに「かわいいですね、何ヶ月ですか」と気さくに声をかけるような人情味あふれる人だった。そのとき上映された『ツィゴイネルワイゼン』(鈴木清順監督)の舞台挨拶で、「飛行機に乗れないので、東京から8時間かけて電車で来ました」と話されていたが、映画と鉄道を愛するご近所仲間のT氏によると「相当有名な鉄道通でいらっしゃいます」とのこと。■主人公父娘の葛藤をしっかり描きつつ、原爆投下という歴史の重さも痛いぐらいずっしりと伝える『父と暮せば』は、『TOMORROW/明日』『美しい夏キリシマ』とあわせて黒木監督の戦争レクイエム三部作となる。原爆といえば、わたしが子どもの頃は原爆記念日は登校日であり、家族で写真展を見に行く機会もあった。アメリカからの留学生・ブラッド君の滞在中に一緒に広島の原爆ドームを訪ねたりもした(ブラッド君の希望というよりは、アメリカの人に見ておいてほしいというわたしの母の意向だった気がする)。でも年々、原爆投下の歴史はわたしのまわりからもわたしの心の中からも存在を薄め、消しつつある。『父と暮せば』の父と娘の語る言葉の背景には何千人、何万人のヒバクシャの声があり、それらは決して創作ではなく、確かな事実だったのだ。この物語が気づかせてくれるものの意味は大きい。多くの人に届いてほしい作品だと思った。

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2002年12月04日(水)  カブレラ


2004年12月01日(水)  小原孝・佐山雅弘 Piano de Duo - 4

小原孝さんと佐山雅弘さんが二台のピアノを奏でる『Piano de Duo』を聴きに行く。好評のうちに回を重ね、今回で4回目。会場はJR上野駅向かいの東京文化会館の小ホール。小ホールといえども中は広々、天井は高々。コンサートというものとは長らく縁のなかったわたしは、そのスペースのゆとりに感激する。座席は、一段高くなる後方部の最前列ど真ん中。まわりからは「誰々の次のリサイタルは」「先日のどこどこで聴いた音は」といった通な会話が聞こえてくる。■第一部は二台のピアノが向き合う形。オープニングの後、座席の高さに差をつけた椅子が運ばれ、モーツァルトの「4手のためのソナタ」を連弾。また元の位置に戻り、「軍艦マーチによるパラフレーズ」(中田喜直)。「このホールに最も違和感のある曲」という紹介通りの面白い取り合わせだった。二人とも実に楽しそうに弾き、嫉妬を覚えてしまう。ピアノと一緒にこちらの心も躍り、歌うよう。繊細、理知的に見える小原さんと、旺盛なサービス精神が顔に表れている佐山さん、少年のような遊び心と茶目っけを備えた二人はトークも絶妙。ピアノコンサートでこんなに大笑いした記憶はない。ピアノの配置をハの字型(狭いほうが観客側)に変えた第二部は、ビートルズメドレー36曲を40分以上にわたってノンストップで披露。ソロパートを弾く小原さんの背中を見つめて笑いを誘っていた佐山さんは、演奏に熱が入って暑くなってくると、どんどん高音部に移動して最後は鍵盤の外まで行き、舞台裏に上着を預けに行った。仕草がいちいち微笑ましく、次は何をやってくれるのかという期待で目が離せない。二人ともどうしてこんなに美しい音をこんなに楽しそうに奏でられるのだろう。メドレー後半、Hey Judeの盛り上がりでは、なぜか涙が出てくる。アンコールに応えて、佐山さん作曲のマンボ(あだ名はサヤマンボウ)。その後のトークの流れで「もう一曲やる?」と小原さんが持ちかけ、日本の歌(タイトル失念)。弾くのが楽しくてしょうがない感じの二人の音を感じ、余韻に浸るのも、楽しくてしょうがなかった。■小原さんとは、脚本と作詞を手がけた2002年のNHK夏の特集『真夜中のアンデルセン』でご一緒した。全編を小原さんのピアノが彩った、市村正親さんのひとり舞台。あらためて、ぜいたくな企画だったと思う。


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2001年12月01日(土)  函館映画祭2 キーワード:これが有名な



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