2003年12月13日(土)  加藤大治郎ジャズライブwith魔女田さん

■「『てるてる家族』の照子さん(浅野ゆうこさん演じるお母さん)のはちゃめちゃぶりを見ていると、あなたを思い出します」と言う人がいるが、もっと照子さんを彷彿させる人がいる。『風の絨毯』主婦プロデューサーの魔女田さんこと益田祐美子さん。ペルシャ絨毯の会社をはじめたり、日本イラン合作映画を作ったり、人並外れた好奇心と行動力と周囲を振り回す遠心力は、今の時代の照子さんそのもの。そんな益田さんから「土曜日ひま?」とお誘いがあった。榎木孝明さんの所属事務所オフィス・タカの新人、加藤大治郎さんのジャズライブがあるという。■行った先は赤坂ブリッツ。『いつかA列車に乗って』という映画にジャズマンを志す青年役で出演している大治郎さんが、劇中で演奏した曲を中心に披露するというものだった。あまり期待もせずに行ったのだが、これがなかなか聴かせる内容だった。音大で専攻したサックスは本格派で、選曲もセンスがいい。何より感心したのは、しゃべりのうまさ。流暢というよりは淡々とした語り口なのだが、味わいがあり、ユーモアがあり、曲への愛情や愛着を感じさせてくれる。父親の加藤剛氏譲りのルックスは、たたずまいにも華があり、役者としての姿も見てみたいと思わせた。映画は作詞家の荒木とよひさ氏の初監督作品で、音楽には三木たかし氏が関わっている。「この曲を作ったコンビです」と大治郎さんが『時の流れに身をまかせ』の出だしを奏でた。映画は今月20日から新宿トーアでレイトショー公開とのこと。■ライブが終わり、益田さんにくっついていると、オフィス・タカの社長さんに大治郎さんと、見に来ていらした加藤剛氏を紹介していただいた。「風の絨毯観ましたよ」と剛氏。この人が舞台の『剣客商売』で秋山大治郎役を演じたことを最近剣客の後書きで読んだばかり。それで加藤大治郎なのだろうか。■「荒木とよひささんって、うちの実家(飛騨高山の民宿『時代宿』)に泊まりに来たことあるのよ。囲炉裏端でギター弾いて歌ってくれたの」と言っていた益田さん、赤坂ブリッツを出るなり、魔女モードに。「荒木さんが向かいの喫茶店に入って行った気がする!」と言うなり、店の中へ消えてしまった。曇りガラス越しに中の様子をうかがっていると、三人連れの男性のテーブルに益田さんが現れ、何やらしゃべっているのが見えた。最初はのけぞるように引いていた男性たちの背中が背もたれを離れ、乗り出し、それぞれがポケットを探って名刺を取り出すまでに約2分。さっと出てきた益田さんが「さっき預けた風の絨毯のDVD、1本いい? 荒木さんに渡すわ」とDVDを受け取るや再び店内へ。後で報告を聞くと、男性の一人は映画プロデューサーで、益田さんを取材した 『おはよう日本』を見て、益田さんの本『私、映画のために1億5千万円集めました』まで買って読んでいたのだそう。「いやー、世の中何がどうなるかわからんけど面白いねえ」。そう言う益田さんこそ面白い。

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