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タイトルと表紙が全てを物語っていた「一次元の挿し木(松下 龍之介)」 384ページという程々の長さだったのも良かった(近頃は長尺が多くて) 抜群のリーダビリティであっという間に読ませてしまうエンタメ作品。 映画にしても良さそうだけど今の日本映画だと途端に安っぽくなりそうな気もする。 いっそのこと岩井俊二あたりでリリカルにファンタジックに撮ったら佳品になるかもしれない。 牛尾というキャラクターが体現する暴力と残虐さ、狂気、妄執などはホラーというよりはどこか悪夢のよう。 そのせいで読後感が少しふわふわした夢の話のような印象が残る。 特に後半、牛尾との対決に一気に雪崩れ込んでしまうのは勿体ない。 でもこの長さだと仕方がないか。 何せ色々と詰め込めるだけ詰め込んでちゃんと収束に持っていったのはなかなかだと思うけど、 なんとなくふわっとした座りの良い結末に流した感じがしてそこが子の話の軽さかなあと思う。 まあでもある意味いい終わりなんだろうけども(心の安寧にはこの結末は良きだ) ただ登場人物に深みがないせいでラノベっぽさが出てしまったのは残念かな。 あと山城の廃美術館とか紫陽花の群生とかヴィジュアル的に想像しやすいとはいえ、そういう出来過ぎな舞台が社会派的内容にそぐわなかった気もする。 だからファンタジーっぽい印象があったのかもしれないなあ。 でも嫌いじゃないよ。 面白かったし。 近頃の本はどこかラノベの影響を受けているというか、そこを通ってきた人達が作家になっているというか。 そういう世代なのかも。 ま、読み易ければ面白ければそれで良し。
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