|
セクサロイドは眠らない
MAIL
My追加
All Rights Reserved
※ここに掲載されている文章は、全てフィクションです。
※長いこと休んでいてすみません。普通に元気にやっています。
※古いメールアドレス掲載してました。直しました。(2011.10.12)
※以下のところから、更新報告・新着情報が確認できます。 →
[エンピツ自由表現(成人向け)新着情報]
※My Selection(過去ログから幾つか選んでみました) → 金魚 トンネル 放火 風船 蝶 薔薇 砂男 流星群 クリスマス 銀のリボン 死んだ犬 バク ドラゴン テレフォンセックス 今、キスをしよう
俺はさ、男の子だから
愛人業
DiaryINDEX|past|will
| 2001年09月23日(日) |
彼のモノが私の中にずっしりと入ってくる。急がないで、ゆっくりと。そこに嘘はないし、虚飾もない。 |
携帯が鳴る。
「もしもし?」 「あ。ハルカ?俺。タキザワ。」 「だれ?」 「俺だってば。どうしたんだよ、この間から。」 「すみません。あなた、誰ですか?切りますね。」
「誰だったの?」 バイト先の主任が心配そうに聞いてくる。
「分かりません。この前も掛けてきたんですけど。しつこいなあ。」 「番号変えたほうがいいんじゃない?」 「ええ。すみません。」 「ストーカーだったり?」 「やだなあ。そういうんじゃないとは思いますけど。でも、私の名前知ってるんですよ。それより、主任のほうはどうなんですか?狙ってる女の子がいるっていう話。」 「ははは。覚えてたのかぁ。なかなか誘えなくてね。ま、ぼちぼち行くわ。」 「そうですか。頑張ってくださいね。おさきです。」 「おう。おつかれっ。」
バイトの制服を脱いでいると、イクミが更衣室に入ってくる。
「ね。映画観て帰ろう?」 「いいけど。また、コウくんと一緒でしょう?私、お邪魔じゃない?」 「いいんだって。お願い。一緒に帰ってよ。コウスケって無口だから、間が持たないんだもん。」
イクミは夏の間だけのバイトで一緒になった女の子だ。もともとそんなに友達が多くない私は、活発なイクミに誘われると単純に嬉しくて、あちこち一緒に遊びに行った。そんな時、いつも一緒なのがイクミの恋人のコウスケだ。
バイト先のビルを出ると、コウスケが私に向かって頭を下げる。
--
映画館の中で、退屈なラブストーリーが続く。
私は、暗闇の中でそっとコウスケの手を握る。
彼も、私の手を柔らかく握り返す。
今だけ。今だけだから。手をほどかないで。
--
夏が終わる。一足先に、イクミがバイトの期間を終了する。なんでも、バイトで溜まったお金で海外に行くらしい。
「いろいろ、ありがとう。」 「また、帰国したら電話するから、遊ぼうよ。」 「うん。」 言葉を交わすけれど、多分、私達はもう二度と会わないだろう。
--
コウスケから電話が鳴る。
「ハルカ?今から、会える?」 「うん。」
コウスケの背中は、広い。無口な彼の言わない言葉が、彼の後ろ姿からこぼれ落ちてくる。いつだって、この背中にしがみつきたくなる。
「イクミが帰ってくるまで、でしょう?」 コウスケは、無言で、私の手首に、脇に、乳房に唇をつける。
「本当にいいんだね。」 彼の言葉に、私は黙ってうなずく。
コウスケのモノが、私の中にずっしりと入ってくる。急がないで、ゆっくりと。そこに嘘はないし、虚飾もない。ただ、彼が、彼の大きさのまま。ねえ。イクミのことなんか忘れて。私を見ていて。ねえ、今だけ、私のことを想ってくれている?
コウスケは私に背中を向けて服を着ながら、ボソリと言う。
「イクミとは別れたんだ。」 「え?」 「だから、俺達、もう隠れて会わなくていいんだよ。」
--
今日でバイトの最終日。
携帯が鳴る。 「もしもし?」 「ハルカ?俺、コウスケ。」 「だれ?」 「俺だよ。分からないの?」 「ごめんなさい。分からないわ。切ります。」
「また、イタ電?」 主任が聞いてくる。
「ええ。ほんと、困っちゃう。それより、主任、どうもお世話になりました。」 「ハルカちゃんいなくなると寂しくなるねえ。」 「うん。私も。すごくよくしてもらいましたもの。」 「また、遊びにおいでよ。」 「ええ。それより、主任、例の彼女どうなりました?」 「あ?ああ。へへ。」 主任は、急に顔がニヤける。 「デート誘ってね。それから急接近なんだよ。」 「へ〜。いつの間に???」
ずきん。
あ。胸が痛い。どうして、男の人はみんな、他の女の子を好きになっちゃうんだろう。
「ねえ。主任。」 「ん?」 「今日は、最後だから、このあと飲みに付き合ってくれません?私が奢りますから。」 「あ、ああ。いいけど?奢ってもらうのは悪いなあ。」 「いいんですよぉ。その代わり、今夜はとことん付き合ってくださいね。」
いつも、みんな、素敵な恋をして。
ねえ。
私はいつも置いてけぼり。
|