セクサロイドは眠らない

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2001年08月20日(月) 私の体内に当たって、私はそのたびに声が抑えられない。

村のはずれで、私は一人暮らす。亜麻色の髪の色と、両の瞳の色が少し違うせいで、私は、悪魔の子と呼ばれて来た。死んだ婆さまに教わった薬草の作り方と、異国の模様の布の織り方で、私は私の生活を支えている。

もう、一人きりで寂しいという気持ちすらなくなった。

ずっと、ただ、死ぬまでそっとしておいて欲しいと。幼い頃、子供達にいじめられて、何度も婆さまに問うた。いろんなこと。なんで私が生まれてここにいるの?お母様はどんな人なの?お父様は?婆さま何も教えてくれなかった。ただ、「理由はあるから。」と。「ただ、そこに在るだけのように見えることにも、理由はあるから。」と。

もう、婆さまも死んでしまった。聞く相手がいなければ、質問する心なんて失せてしまう。長い事、自分がここにいる理由も考えなくなった。

--

ある日、男がふらりとやってくる。するどくナイフで刻まれたような、異国の者の顔。長く伸ばした髪を一つに縛って。

「あなたは?」
「お前を迎えに来た。」
「私を?」

男が旅の服を脱ぐと、傷跡のついた体。私は、傷にそっと触れる。
「痛い?」
「もう、痛くはない。」
「こんなになって。」
「だが、どうしてだろうな。傷を負って、体の中を流れている血が噴出すと、俺は生きている気持ちがするんだ。生きている理由を思い出す。」
「理由?」
「ああ。」

男は、私の髪をなでる。
「きれいな髪だ。豊かで、力強い。お前そのものだ。」
男は、私のまぶたに唇を付ける。
「きれいな瞳だ。誰にも持つことができない二つの力のように。」
男は、私の体に見惚れる。
「美しい体だ。何物にも、許しをこうてない、強い体だ。」

そうやって、男は、私の体をそっと床に倒す。男の指が、そっと痛くないように触れてくる。長い時間かけて、私のそこは、もう、海のように深くなっていき、男の指を引き込んで行く。男の固いものが、私の体内に当たって、私はそのたびに声が抑えられない。果てない時間とも、短い時間とも分からないまま、波に揺られて時間が過ぎ、私と男は同時に、抑えていたものを解き放つ。

--

「本当に一緒に行かないのか?」
男は、訊ねる。

私は首を振る。

私は見送る。

森の入り口に、一匹の狼の姿が消えて行く。

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私は、理由が分かったから、また生きて行ける。

あの男とそっくりな、黒い目と、黒い髪の、その美しい赤ちゃんを抱いて。異国の歌を歌って聞かせる。


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