2008年07月21日(月)  マタニティオレンジ313 なす術なし!の手足口病

先週の金曜日、打ち合わせを終えて娘のたまを保育園に迎えに行くと、「さっきから熱が出て、今また上がって38度6分です」と保育士さん。「手首と足と口のまわりと口の中にブツブツができていますから、手足口病かもしれません」と言われて小児科へ直行すると、予想的中。体の抵抗力が落ちたときにウィルスに負けて引き起こされる
症状だそうで、薬はとくにないとのこと。

「ブツブツが出てしまえば熱は引くし、ブツブツにはとくに痛みやかゆみはないけれど、口の中にできたものに限っては、しみるので、食べるときに痛がるかもしれません」というお医者さんの言葉通り、熱が引いてからが大変だった。食べものを口に入れるたびに顔をしかめて「いたい!」と泣く。空腹と痛みに加えて、食欲はあるのに痛くて食べられないもどかしさと不満が苛立ちを募らせ、機嫌は悪くなるばかり。可哀想にと同情を誘われるけれど、親にもどうしてやることもできない。丸三日苦しんで、ようやく今夜あたりから少し食べられるようになったけれど、それまでは白いご飯さえも受けつけないほど固形物は一切ダメで、牛乳とお茶とおっぱいでしのいだ。一度なれば免疫ができるという類いのものではないらしく、弱っているときにウィルスが入ってくれば何度でもなるというのが厄介だ。

「手足口病? 何それ?」とダンナ母は初耳のように言い、「うちの三人の子どもたちは一度もかからなかったから特殊な病気に違いない」と言い張ったけれど、わたしが子どもの頃から身近にあって、「てあしくちびお」と呼んでいたのを覚えている。わたし自身がかかったときの記憶なのか、妹や弟がかかったときだったか。そのものずばりの病名が子どもにも親しみやすく、覚えやすいがゆえに忘れられなかったのだけど、今回「手足口病」をネットで調べて、英語では“hand-foot-mouth disease”と呼ぶことを知った。日本オリジナルのネーミングかと思いきや、直訳なのだろうか。

2007年07月21日(土)  体に寄り添う仕事用の椅子
2005年07月21日(木)  日本科学未来館『恋愛物語展』
2004年07月21日(水)  明珠唯在吾方寸(良寛)
2002年07月21日(日)  関西土産
2000年07月21日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月20日(日)  映画祭と日常を行き来する通勤審査員

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2日目。今日から国際コンペティションの長編部門と国内コンペティションの短編部門が始まり、会期中に各作品2回の上映機会がある。昨日はオープニングだから盛況だったけれど、今日はどうだろう、と行ってみると、朝一番の上映から立ち見が出るほどで、初日だけじゃないんだ、となんだかうれしくなった。長編部門の審査員5人は12本のノミネート作品を観た上でクロージング前日の審査会議で受賞作品を選び出す。どの作品をどのように観てどのような感想を持ったかについて、審査が終わるまでは記さないほうが良さそう。どれもクオリティが高く紹介したい作品ばかりで、一度目の上映で観た作品を「ぜひ観るべし!」と二度目の上映に誘うことができたらと思うのだけど、それができないのは歯がゆい。

今日は審査委員長のダニー・クラウツさんと審査員のリカルド・デ・アンジェリスさんとそれぞれのアテンドの通訳さんと行動を共にした(写真は会場に特設されたシネマカフェでの休憩時に食べたカレーパン)。ダニーさんはオーストリアでDOR FILMという製作スタジオを立ち上げ、100本以上の映画やテレビをプロデュースされている。「こっちが3才の娘で、こっちが18才の娘」と子どもの写真を見せてくれたので、「15才も離れているの」と驚いたら、「他に5人いる」と言われて、もっと驚いた。「映画作りと子作り、とても生産的な人生ですねえ」と感心。映画祭の会期中に妻と子の誕生日があるので、プレゼントを日本で見つけなきゃと言う。精力的に仕事をこなしつつ家庭を楽しむ大らかさに好感。

リカルドさんはアルゼンチンの撮影監督で、3作目の『A Place in the world』がアカデミー賞候補に。16本撮った長編作品のうち8作品がデジタル撮影で、南アメリカにデジタル技術を広めている。とにかく機械が好きで、記録撮影のクルーが担いでいるカメラや会場にあるハイビジョンテレビなどに興味津々。英語は片言だけどコミュニケーション能力はバツグンで、表情が実に豊か。この人のいる現場は笑い声が絶えないだろうなあ。あるいは、南米の人たちって、皆さんこんなに陽気なんだろうか。9才の孫娘の写真(ご自身で激写)を見せて自慢するお茶目なじいじでもある。

スペイン語の響きが好きで、イタリア語とともにぜひ習得したい言語なのだけど、リカルドさんが話しているのを聞いていると、ますますその気持ちが募る。ジャケットは「ジャケッタ」。上着は「カンペッラ」。ここ(この席)は「アキ」。「アキは日本語で空いてるって意味」だと教えると、「アキ、アキ?(ここ空いてる?)」。おいしいは「デリシオーソ」も使うけど、「リコ」のほうが簡単でかわいい。

「映画祭と家をback and forthするのかい?」とダニーさん。家から会場まではドアtoドアで40分ぐらいなので余裕で通える。だけど、映画祭に通勤する難点は「浸る」ことができないこと。家に帰れば乳飲み子が泣き、洗い物は満載。食事を作っている間に今日スクリーンで観た映画の数々は吹っ飛び、頭の中は現実に支配される。これまで行った函館や宮崎や夕張の映画祭では、その街に滞在するという非日常の中に映画というさらなる非日常があった。線として映画祭を楽しむ滞在型に比べ、映画と日常を行き来する通い型は、断続的な点での体験となる。でも、それはそれで面白く、娘に授乳しながら「人生にとって映画とは何だろう」なんてことをふと考え、「そもそも映画とは映画館を出て日常に戻って行く人のためにあるのだ」なんて当たり前のことにあらためて気づいたりしている。

2005年07月20日(水)  立て続けに泣く『砂の器』『フライ,ダディ,フライ』
2002年07月20日(土)  トルコ風結婚式
2000年07月20日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月19日(土)  世界は広くて狭い! SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2008開幕

5月に長編国際コンペティション部門の審査員を打診されて存在を知った、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭。今日から27日まで9日間開催される第5回のオープニングセレモニーに参加するため、会場となる埼玉県川口市のSKIPシティを初めて訪れた。映画祭期間中は無料シャトルバスが会場と結ぶ川口駅は、わが家の最寄り駅から乗り継ぎを含めて20分ちょっと。こんなに近いのに足をのばす機会がなかった川口市とSKIPシティに、縁あって何度か通うことになる。

川口シティの中に位置するSKIPシティとは、うまく説明するのが難しいけれど、埼玉県や川口市や企業が、ここから何かを生み出そうとしている情熱と希望が詰まった拠点で、映画祭はそのパワーがひとつの形として発信されたものと理解している。控え室で名刺交換した後、オープニングセレモニーの挨拶に立たれた上田清司県知事と岡村幸四郎市長も気合い十分。夕張の映画祭を盛り上げた中田市長のスピーチも熱かったが、こちらも負けていない。アメリカのVariety誌が選んだ「世界の見逃せない映画祭50」に日本国内で唯一名を挙げられたのがSKIPシティの映画祭だとか。長編コンペ部門の受賞者が翌年カンヌで受賞したり、実力のある監督たちが目指す映画祭にもなっている様子。「Dシネマ」のDはdigitalで、この映画祭でかけられる作品は長編短編ともに撮影から上映までを一貫してデジタルで行う。世界的にはデジタルでの上映環境が整っているのはアメリカが突出していて、日本はまだまだデジタル上映に対応できる劇場が少なく、「デジタルで撮ってフィルムで映す」というもったいないことをしているデジタル作品が多いという。

そんな興味深いデジタル事情を垣間見られた開会スピーチのリレーに続いて、オープニング上映はシネマ歌舞伎の『人情噺文七元結(もっとい)』。いわゆる「劇場中継」のジャンルがデジタル技術の発達で飛躍的にグレードアップし、一流の生の舞台を特等席で観る感覚を映像で味わえるようになった。今後サンプルとして紹介された英国ロイヤルバレエ団の『ロミオとジュリエット』の映像の美しさと臨場感に目を見張る。「映画館で観られる映画以外のもの=Other Dightal Stuff略してODS」と呼ばれるこのジャンルは、今後新たな観客を映画館に呼び込むコンテンツとなりそう。

さて、『文七元結』の監督は名匠・山田洋次氏。たしか明治の頃に書かれたという脚本にも手を入れ、よりわかりやすい人情噺に仕立てたという。上映前に紹介されたメイキング映像で役者さんと打ち合わせする監督の姿が映り、生身の監督に一度だけお目にかかったことがあるのを思い出した。松竹の打ち合わせ室を訪ねたとき、見知らぬ初老の紳士が先に席に着かれていて、部屋を間違えたかなと思って引き返したところに、同じ打ち合わせに出ることになっていたプロデューサーが現れた。「あの、どなたか入ってらっしゃるんですけど」とわたしが言って部屋まで確認に行ったプロデューサーは、「どなたか、というより、山田洋次監督ですよ」と呆れていた。そのとき一瞬お会いした紳士と同じお顔がデジタル映像で、はっきりくっきりと映っていた。

話を映画本編に戻して、この『文七元結』、デジタル映像のクオリティの高さもさることながら、監督が翻案した効果なのか、物語が実に明快でよくできていて、台詞もわかりやすく、解説ぬきでこれほど内容を理解できた歌舞伎は初めてだった。英語字幕を同時に読むことで、より理解が深まった部分もあるかもしれない。字幕の英訳も見事で、日本語がわかる観客とわからない観客が同じタイミングでどっと笑った。上映前に話しかけて来たレバノン人男性のビシャラ・アテラ(Bshara Atellah)さんに「どうだった?」と感想を聞くと、「人を信じなさいとか自分に正直でいなさいとか、子どもの頃に教わったけど忘れていたことを思い出させてくれる作品」と激賞。『Under the Bombs 邦題: 戦禍の下で』の助監督・スタイリスト・ジャーナリスト役を務めた彼はわたしが知り合った初めてのレバノン人(レバニーズという)。歌舞伎が好きで、これまでにもシネマ歌舞伎を観たことがあって、「日本にすごく興味があったから来日できてうれしい。それだけで賞をもらったも同然」と言う。彼のほうは日本を熱く語ってくれるのに、わたしはレバノンってどんな国なのか、ほとんどイメージが浮かばない。世界地図のどの辺にあるのか、左のほう……ぐらいしかわからないのが情けない。

世界の75の国と地域から693編が集まったという長編部門。12本に絞られたノミネート作品の監督など関係者はSKIPシティに招かれ、会期中滞在し、最終日の審査発表を待つ。レバノンのほか、スペイン、トルコ、中国、エストニア、ドイツなど様々な国から若い才能が集まって来て、映画の未来を背負って立つ意気込み十分の彼らが持ち込んだ「気」が会場に渦巻いている。広告会社時代に行ったカンヌ国際広告祭の熱気と興奮を思い出し、わたしも10才ぐらい若返った気持ちになる。そういえば、カンヌへ行ったのは、ちょうど10年前、1998年だった。

オープニングパーティでは法被を着ての鏡割りを体験。わたしを審査委員に挙げてくださったプロデューサーの戸山剛さんとも挨拶できた。2年前の函館港イルミナシオン映画祭で名刺交換させていただいた戸山さんは、現在、『風の絨毯』の益田祐美子さんがプロデュースする『築城せよ』劇場公開版のラインプロデューサーとして制作準備に奔走中。戸山さんが最近まで在籍していた百米映画社(100 Meter Films)社長のジョン・ウィリアムスさんの師匠が今回の長編部門審査委員長であるダニー・クラウツ(Danny Krausz)さん。映画の世界は人と人のつながりが命で、国際映画祭は、世界に目を開かせてくれると同時にit’s a small worldを感じさせてくれる。

2007年07月19日(木)  忘れ物を忘れる速度
2005年07月19日(火)  会社員最後の日
2002年07月19日(金)  少林サッカー
2000年07月19日(水)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月18日(金)  マタニティオレンジ312 『JUNO』を観て思い出した9か月

これは観なきゃと思っていた映画『JUNO』をついに観た。16才の女子高生がまさかの妊娠をして……という話。だけど、暗くも説教臭くもならず、おしゃれにかわいく作られている、とすでに観た人の評判はすこぶる良い。画面に登場したJUNOは、いきなりガロンサイズ(4リットル弱!)のジュースをグビグビ飲んでいる。妊娠の事実をなかなか受け入れられず、3本目の妊娠検査薬のために水分補給していたことが後でわかるけれど、「そうそう、妊娠初期は喉が渇くのよね〜」とわたしは勝手に勘違いして共感。2年前の今頃は8か月のおなかを揺すって、ペンギンみたいにペタペタ歩いて、せりだしたおなかの上に汗の水たまりを作っていたっけ。旅行したことのある土地の風景を懐かしむように、妊娠という旅の記憶をたどりながらの鑑賞となった。

ヒロインとわたしは妊娠時で二倍以上の年の差があり、片や未婚の高校生、片や既婚の仕事持ち。妊娠以外の共通項はないぐらいなのに、JUNOの気持ちがすっごくわかる。何者かが自分の中に芽生えて、日に日に大きくなることの神秘と畏れ。あの感覚はJUNOも初めてだったけど、わたしも初めてだった。結婚していて収入も貯金も十分あって年齢も十分熟していたくせに、妊娠がわかったとき、わたしは動揺した。産婦人科の先生に「今さらその年で『まさか』はないでしょう」と苦笑されたけれど、会社を辞めて脚本をバリバリ書こうという矢先だったから、「これからってときに……」と焦った。実際は、妊娠してむしろ調子づいたぐらいで、出産間際までバリバリ書けたし、妊娠・出産を体験することで書きたいものも広がったし、子育てしながら今も書き続けているけれど、そのときは失うものの大きさに気を取られていて、家族が一人ふえるということ以外に得るものがあるなんて想像していなかった。

主人公が決断を迫られる出来事に直面して、答えを出しながら成長していく、というのは、ストーリー作りの王道だけど、JUNOを見ていて、思い出した。妊娠から出産にかけては、人生最大の決断キャンペーン。「いつ、誰に、どんな風に告げる?」の迷いは、おなかが目立つまで知り合いの人数分続くし、「いつまで仕事を続ける?」「いつから再開する?」「どこで(病院? 助産院? 自宅?)産む?」とセットで「どんなスタイルで産む? (分娩台、水中出産、フリースタイルなど選択肢いろいろ)」に悩む。「家族を立ち会わせるか否か」「事前に性別を聞いておくのか」「犬帯を締めたり戌の日参りのようなことはやるのか」……披露宴みたいに招待客がいるわけでもないのに、決めることが山ほどある。しかも、子どもが出てくる9か月後までに決めなきゃいけない。実際には妊娠に気づいたときには残り時間は8か月ぐらいになっている。わたしは産む気持ちが揺らいだことはなかったけれど、大きくなっていくおなかを見ながら「もう引き返せない」と思ったことは何度もあった。こちらの心の準備が整っていようとなかろうと、おなかの中身は着々と外に出る準備を進める。
「時間の枷」もストーリーを盛り上げる大きな要素。妊娠期間は普通に過ごしているだけでも十分ドラマティック。

忙しい役所よりも決裁事項が山積みなのに、人の命、一生に関わることだから、安易には決断を下せない。羊水を採って先天性異常を調べる検査を受けるかどうかの選択は、産まれてきた子に障害があっても受け入れる覚悟があるかどうかを問われる。名前は、どんな人生を歩んで欲しいかの祈りでもある。答えをひとつ導き出すたびに、自分はまだ見ぬおなかの中の命とどう向き合おうとしているのか、態度が定まってくる。おなかが大きくなるにつれて妊婦の腹が据わってくるのは、おなかの中身について考え続ける(そうせざるを得ない)からだと思う。

「産むかどうか」悩んだ末に「産むけれど別の人に託す」選択をしたJUNOには、産むことへの迷いと戸惑いがつきまとい、思いっきり動揺する。だけど、流されない。壁にガンガンぶつかり、不安や苛立ちをぶちまけながらも、自分の直感を信じて、こっちだと思った方向へ突き進み、未来をひとつひとつ選んでいく。その真っすぐさが、観ていて気持ちよかった。怖いぐらいのスピードでおなかの中の命が育つ一方で、おなかの主もかつてないスピードで成長する。あの激動の9か月の興奮と手ごたえを思い出させてくれたJUNO。失ったものはたくさんあったはずなのに、出産を終えた彼女が不幸せに見えなかった。

2004年07月18日(日)  ニヤリヒヤリ本『ニッポンの誤植』
2000年07月18日(火)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月17日(木)  最近食べたお菓子

会社に勤めていた頃、朝出社するとオフィスのあるビルの地下の喫茶店でモーニングを食べ、ランチの後にお茶をし、午後はカフェでアイデア出しをし、知り合いが訪ねてくればまたカフェへ行った。お茶するために会社に行っているようなものだった。会社を辞めてフリーになって、その機会がめっきり減った。喫茶店で顔合わせや打ち合わせをすることはときどきあるけれど、打ち合わせ相手に「お茶しない?」と声をかけるのは毎日顔を合わせる同僚たちに比べてハードルが高い。そういうわけで、このごろはもっぱら家でお茶している。

最近食べておいしかったもの。先日バレエを隣の席で鑑賞したカヨちゃんがおみやげにくれた神楽坂のPetit Bave(プティ・バーブ)というお店のクッキーいろいろ。「baveってフランス語でよだれって意味なんだって。フランス人とのハーフの友だちが、お店の前を通る前に笑うの」とのこと。お隣には「Bistro de bave」(よだれビストロ)があるそう。たぶん「よだれが出るおいしさ」という意味を込めたのだろうと想像。その意図を汲み取れる、ちょっぴりよだれが出る味。

日光の『明治の館』はティールームの雰囲気が大好きで、何度か行ったことがある。ニルバーナというチーズケーキが絶品で、上品な甘さのヨーグルトも絶妙なおいしさ。乳製品系が強いのは、近くの牧場から新鮮な牛乳が運ばれてくるからだろうか。いただきものの焼き菓子の圧倒的な幸福力も、優秀なバターの賜物かも。

焼き菓子といえば、銀座プランタン地下に入っているmielのドーナツをようやく体験。ドーナツを揚げるのではなく焼くという新発想が売りで、未知との遭遇を期待したのだけど、食感も味も固めのカステラのような感じ。「焼きドーナツ」といえば新しいけれど、「穴のあいたカステラ」とも言える。開店して間もない頃は一時間待ちの行列が伸びていたけれど、今日は待ち時間ゼロ。皆さん、一度食べて納得してしまわれたか。

うまいと評判のドーナツをあちこち食べ比べているけれど、近所の豆腐屋・太田屋の「おからドーナツ」の右に出るものがなかなか現れない。おいしい豆腐は揚げてもおいしい。揚げ菓子独特の油感を味わえるのに、5個入りパックを一気に平らげても胃がもたれない軽やかさ。5個350円というお値段もブラボー!

そして、7月前半に食べたいちばんおいしかったお菓子は、知人宅でごちそうになったケーニヒスクローネのシュークリーム。ここのお菓子はことごとくわたし好みだけど、シュークリームは初めて。栗入りシューの、その名はミュンヘン。チョコ味よりオーソドックスな皮が好み。シュークリームランキングの2位に浮上する勢い(一位のウエストは不動)。

2007年07月17日(火)  マタニティオレンジ147 働くお母さんの綱渡り
2005年07月17日(日)  阿波踊りデビュー
2004年07月17日(土)  東京ディズニーシー『ブラヴィッシーモ!』
2000年07月17日(月)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月16日(水)  JASRAC著作権料9円!

著作権とはありがたいもので、これまでに脚本を手がけて映画やドラマになった作品の二次使用料が、再放送されたり海外で放映されたりDVDが売れたり借りられたりするたびに入ってくる。月に一度、こういう名目でいくら入りましたという報告書が、わたしの著作権料の管理を信託しているシナリオ作家協会から届くのだけど、報告書に並んだ作品の名前を見ながら、あちこちに旅立った親孝行なわが子たちがせっせと仕送りされているような、くすぐったい気持ちになる。シナリオ作家協会の会費(ひと月3000円)を数か月分天引きされたらチャラという月もあれば、会社員時代の給料ひと月が何にもしないで転がり込むこともある。

たべものソングの作詞も手がけるようになって、こちらはJASRACからの報告書が音楽制作会社経由で3か月に一度送られてくる。先日届いたばかりの最新版を見て、目が点になった。この3か月で発生した著作権使用料は、なんと9円。こんな微妙な数字、稼ごうとしてもなかなか難しい。DVDがどーんと売れたときよりも、1桁の衝撃は大きかった。

2005年07月16日(土)  『リトルダンサー』と『アマデウス』と『マノン』
2004年07月16日(金)  島袋千栄展 ゴキゲンヨウ!


2008年07月15日(火)  6本めの長編映画『ぼくとママの黄色い自転車』撮影中

『パコダテ人』『風の絨毯』『ジェニファ 涙石の恋』『子ぎつねヘレン』『天使の卵』と来て、6本目に脚本を手がけるの長編映画のタイトルは『ぼくとママの黄色い自転車』。2005年秋に撮影された『天使の卵』以来、約3年ぶりの映画で、7日にクランクインし、現在小豆島で撮影中。お天気に恵まれ、とてもきれいな絵(映像)が撮れているとのこと。

監督は『子ぎつねヘレン』の河野圭太さん。声をかけてくださったのは、ヘレンのプロデューサーだった共同テレビジョンの井口喜一さん。アニマルトレーナー(母に会いに行く少年・大志とともに旅をする子犬が登場)の宮忠臣さんもヘレンつながり。さらに、ヘレンで警官役だった阿部サダヲさんが父親・一志役で出演。母親・琴美役は鈴木京香さん。大志少年は『いま、会いにいきます』の武井証くんが演じる。主題歌はさだまさしさんの書き下ろしというのも楽しみ。

原作は新堂冬樹さんの『僕の行く道』。母を想う少年の一途な想いに心を打たれるこの物語に、出産後にめぐりあえたのも何かの縁かもしれない。母親の気持ちが少しはわかるようになってきた今だから、「自分だったら」という目で原作に向き合い、脚本を書けたように思う。「母親とは」「家族とは」……議論を重ね、脚本を作りながら、考えさせられた。映画を観る人にとっても、親子の絆を問いかける作品になりますように。

2007年07月15日(日)  MCR LABO #4 愛憎@shinjukumura LIVE
2004年07月15日(木)  見守る映画『少女ヘジャル』
2002年07月15日(月)  パコダテ語
2000年07月15日(土)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月14日(月)  英国ロイヤル・バレエ団 日本公演2008『眠れる森の美女』

仕事で行けなくなった友人T嬢の代わりに、上野の東京文化会館で英国ロイヤル・バレエ団『眠れる森の美女』を観る。舞台正面4階席の1列目。オケピも見渡せて、隊形(というのだろうか)の変化もよくわかる。T嬢との共通の友人であり、バレエ公演で何度か顔を合わせているカヨちゃんとお姉さん(いまいまさこカフェ日記の愛読者)と並びの席で、バレエに詳しい二人に解説してもらいながら観る。「ロイヤルバレエ団は世界三大バレエ団のひとつって言われてて、クマテツがいたとこ」とカヨちゃん。「今日はクマテツは出ない?」「今はいないからね」

バレエを観るたび、動く絵画のようだと思う。幕が開き、静止していた人物たちが動き出す瞬間、絵に生命が吹き込まれたようで胸が高鳴る。ロイヤル・バレエ団の衣装は草木染めのような渋い色合いで、和菓子を思わせる。プロローグが終わった休憩のときにカヨちゃんにその話をして、「でも、洋物だからマカロンかな」と言うと、「マカロンはパリオペだね」と言われて納得。たしか『パキータ』を観たのがパリ・オペラ座公演だった気がするが、おいしそうな色があふれて、砂糖菓子のようだと思った。

予備知識のありなしで理解度は大違い。「いちばん拍手もらってた紫の人がオーロラ姫?」とカヨちゃんに聞いたら、「今のは、オーロラ姫が生まれたお祝いに妖精たちがかけつけてた場面。紫の人は、妖精頭みたいなもの」とのこと。眠れる森の美女ってどんな話だったか……糸車が出てくる話だったっけ。プロローグの最後で魔女のような人が出てきて王を激怒させたのは、「この子が16歳になったら呪いがかかる」と不吉なお告げをされたから……ということは、入口でもらった別な『眠れる〜』公演のチラシで知った。

「空席が目立つのはコジョカルが出ないからかな」とカヨちゃんとお姉さん。オーロラ姫役を予定していたアリーナ・コジョカルが首の故障のため来日を断念。バレエに疎いわたしでさえ名前に覚えがあるので、彼女目当てでチケットを買ったファンは多かったはず。休憩が開けて第一幕、今日の代役に抜擢されたロベルタ・マルケスのオーロラ姫が登場。後ろの席の女性二人が文句をヒソヒソ。わたしが見ても、ヒロインの華がなく、「小さい」という印象。舞台の大きさに飲み込まれそうだ。16才という設定だからいいのか、いや、きっとよくない。第一幕の後の休憩はこの話で持ちきりで、「手足が伸びてない」「リフトの位置が悪い」「安心して観てられない」と通な観客たちの手厳しい意見がロビーを飛び交った。「オペラグラスで見たらね、オーロラ、すごい汗かいてたの。すっごく緊張して、強ばっちゃってるんだよ」とカヨちゃん。

そして第2幕、フロリムント王子と夢で戯れるオーロラ姫からは固さがずいぶん抜け、眠りから覚めた第3幕では、これがあのオーロラ姫?と見違えるほど手足がよく伸び、大きく見えた。彼方の4階席からでも表情がやわらかくなったのが感じられるほど。オーロラ姫の成長を見届けて安堵した観客からは心からのあたたかな拍手と「ブラボー!」の賞賛が贈られた。今日が公演最終日ということで、カーテンコールには「SAYONARA」の幕とともに色とりどりのリボンが下がり、有終の美が飾られた。

「オーロラ、どんどんかわいくなったね」とカヨちゃん。「呪いが解けて恋をした変化と考えれば、役作り成功?」「よく眠れて、緊張がほどけたのかもね」などと話す。今後「ロベルタ・マルケス」の名を見つけたら、今日のことを思い出して親近感を抱いてしまいそう。彼女が代役を務めたのは今日が初めてだったのかどうかわからないけれど、昨日は違うオーロラ姫と王子の組み合わせだったらしい。王子は頭髪が薄かったので、上階から見下ろす観客たちは感情移入し辛かったとのこと。以前イギリスで観た『美女と野獣』の野獣の魔法が解けた王子が現れた瞬間、「野獣のままのほうがよかった!」とがっかりしたのを思い出す。イギリス人は日本人ほど頭髪を気にしないのかもしれない。

カヨちゃんとお姉さん、お二人のバレエ教室仲間という初対面のナイトウさんと上野バンブーガーデン二階にある『音音』というお店で、夕食。「今井ちゃんがギエムにサインもらったのってこの店だよね?」などと話していると、隣のテーブルに青い鳥(ジョゼ・マルティン)とフロリナ女王(ラウラ・モレーラ)と思われる二人がやってきた。青い鳥も出演予定だったスティーブン・マックレーがアキレス腱を損傷したため代役だったけれど、堂々たる存在感だったので、「よかったですよー」と日本語で声をかけると、席を立ってお辞儀をしてくれた。

家に帰って調べると、シルヴィ・ギエムに会ったときに観た2005年の『マノン』もロイヤル・バレエ団の公演だった(>>>2005年7月16日の日記 )。バレエ団の名前を失念するぐらいバレエのことはちんぷんかんぷんなのだけど、ロンドンに行かないと観られないすごいものがはるばる上野まで来てくれて、主役交替のハプニングも含めて二度と観られないものを今夜つかまえた、という興奮の余韻はしばらく続きそう。

2007年07月14日(土)  マタニティオレンジ146 コンロの火を消した犯人
2002年07月14日(日)  戯曲にしたい「こころ」の話
2000年07月14日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月13日(日)  マタニティオレンジ311 東京ディズニーシーでパークデビュー 

一年前、娘のたまの一歳の誕生日祝いに東京ディズニーランド/東京ディズニーシーのパスポートが4枚届いた。送り主のS氏は、わたしが広告会社のコピーライターとして東京ディズニーランド/東京ディズニーシーの広告を手がけていた頃の得意先で、『パコダテ人』以来、脚本家今井雅子を応援してくださっている。

東京ディズニーランド/東京ディズニーシーのことを「パーク」、パークへ行くことを「インパーク」と呼ぶという用語を知ったのも担当時代だった。パスポートを手にしたときから、いつインパークしようか、どちらのパークでデビューを飾ろうか、と考える楽しみがはじまった。わたしはランドよりは断然シー派。開園前から見守り、取材してきた思い入れもあるし、アトラクションに並ばなくても、七つの海の風景を眺め、あちこちから流れてくる音楽に耳を傾けながら歩いているだけで異国情緒を味わえて楽しい。……といったこともコピーでも書いていたけれど、実際そう思う。身長80センチ足らず2才未満のたまが乗れるアトラクションはどのみち限られているし、一家三人でシーへ行ってみることにした。

結果は大正解。たまは「うみ!」「ふね!」と歓声を上げ、シーの街並みを一目見て気に入った様子。おまけに、たまの大好きな「みじゅ!」が至るところにある。水飲み場で手足を濡らし、喉を潤し、水瓶のスプリンクラーの前でびしょ濡れになり、噴水に手を浸し、大はしゃぎ。チップとデールが船からホースで水をまく、というイベントは時間が合わなかったけれど、これに出くわしていたら大興奮だっただろう。

大人には何でもないことを喜ぶ、という発見では、S.S.コロンビア号3階ダイニングルーム脇の誰もいない木の廊下をいたく気に入り、なかなか立ち去ろうとしなかった。日陰でいい風が通り抜け、大人がひと休みするにもちょうどいい穴場。コロンビア号はわたしのお気に入りの場所でもあり、昼食は2階のテディ・ルーズヴェルト・ラウンジで。うまい具合にたまは昼寝してくれ、大人はサンドイッチとお酒を楽しんだ。

シーへ行くと必ず足を向けるのが、本場さながらの歌やダンスのライブエンターテイメントを楽しめるブロードウェイ・ミュージックシアター。これだけはどうしても観たい、とベビーカーで寝息を立てているたまを連れて移動すると、ベビーカーは中へ入れないので、お子さんは抱っこしてください、と言われる。抱き上げた途端、たまは目を覚ましたが、幸いごきげん。ショーがはじまるまでの待ち時間もぐずらず、始まってからは口にくわえていた指を拍手に切りかえた。おしゃれキャットマリーが登場して「ニャーン」とダンスし、『ねこふんじゃった』の一節がピアノで演奏される場面に小躍りし、ドラムを叩くミッキーにノリノリになり、最後まで身を乗り出して見入っていた。場内が明るくなって立ち上がったとき、「ニャーンは?」と舞台に目をこらすたまの表情を見て、急に涙が出てきた。幕が降りた後、ゆっくりと夢から醒めていくときの名残惜しさをこの子も今味わっている、そんな風に思えて、愛しさがこみあげた。親の趣味に無理矢理つきあわせちゃったかなという気持ちもあったので、親が思う以上にちゃんと伝わっていたんだ、と感激した。

アラビアンコーストを歩いていたら突然はじまったストリートライブにも、たまは釘づけ。演奏するメンバーがあまりにも楽しそうで、ずっと聴いていたいほど引き込まれた。飛び入り参加の男性のエアギターがいっそう盛り上げ、たまも一緒になってジャンプ!

もうひとつ欲張って、ロストリバーデルタにあるハンガーステージで「ミスティックリズム」を鑑賞。すごい、という評判を聞きつつ、見るのは初めて。花火や火や水を使った仕掛けに巻き込まれるなら前のほうの席がおすすめとも聞いていたので、一時間前から並んで最前列の真ん中を陣取る。ジャングルに住む動物たちと精霊のダンスは躍動感にあふれ、生命の鼓動が伝わってきて心を揺さぶられる。目の前で太鼓が打ち鳴らされ、頭上を空中バレエが行き交い、数メートル先で火や水が吹き、水しぶきがまき散らされ、たまは目も口も開きっぱなし。大音量を怖がるどころか喜んでいる様子で、最後に客席に向かって噴射された霧にも大人のほうが驚いた。

大人好みなショーをおとなしく見てくれた反面、マーメイドラグーン(人魚姫アリエルと海の仲間たちが住む世界)には腰が引け、「ワールプール」(海草のコーヒーカップ)でぐるぐる回ったのが怖かったのか、さっさと出たがった。「海底2万マイル」の小型潜水艦の中でも表情は固く、アラビアンコーストの「キャラバンカルーセル」(メリーゴーランド)も、乗る前は張り切っていたくせに、動き出すと「おりる」「やめて」とべそをかいた。強がりなくせして、怖がり。「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」(シー版「イッツ・ア・スモール・ワールド」)は安心して楽しめたようで、降りるなり「もう一回」と言った。「エレクトリックレールウェイ」や「ディズニーシー・トランジットスチーマーライン」(蒸気船)に乗せたときの反応はいまひとつだったのに、降りて乗り物の形が見えると、「あれ のる!」とせがむのがおかしかった。

日が暮れてきて、最後に入ったのがアラビアンコーストの「マジックランプシアター」。3Dメガネをかけて飛び出す映像を楽しむ魔法のランプの精ジーニーのショーで、帰り道、「何がいちばん面白かった?」と聞くと、たまは目を指差して「め!」(メガネ)。わたしがディズニーランドのキャプテンEOの3D映像に衝撃を受けたのは高校生のときだった。2才前の初体験は、どえらい衝撃だったかも。夜のショーの前に引き上げ、舞浜駅まで戻ってきたディズニーリゾートライン(今日乗ったすべての乗り物で、これがいちばん気に入った)のミッキー型の窓に向かって、たまは「ミッキー!」としきりに手を振っていた。「また来る?」と聞くと、「くる!」。親子でこれから何回インパークできるかな。

2002年07月13日(土)  『寝ても覚めても』『命』
2000年07月13日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2008年07月12日(土)  ログ解析〜みなさんどこから飛んで来るの?

先日、万葉ラブストーリー募集で審査をご一緒した万葉学者の上野誠先生が「特定の日に、僕のブログのアクセス数がどっと増える現象があるんですよ。どこかのシナリオ学校の先生が、応募するならここを参考にしなさいって教えると、それを聞いた人たちが押し寄せるんですかねえ」と話されていた。残念ながら当「いまいまさこカフェ日記」にはあまり参考になる情報がないので、同じ現象は起きなかったけれど、日によって訪問者の数が跳ね上がることはある。そんなとき、日記についているログ解析機能で訪問者がどのサイトから飛んで来られたか足跡をたどると、にぎわいの原因を突き止められて興味深い。知人や友人が自分のサイトでわたしのことを話題にしている場合もあるし、見知らぬ人のブログで紹介されていることもある。最近では、全日本ろうあ連盟創立60周年記念映画『ゆずり葉』を制作される早瀬憲太郎監督と妻の久美さんのブログから一週間で100を超える訪問者が飛んできた。「成功させる会」に出席した模様を綴った5月31日のいまいまさこカフェ日記へ、7月3日のブログから直行してくる。『ゆずり葉』は公式サイトが開設され、クランクインに向けて準備中。 

いまいまさこカフェ日記が引っかかる検索ワードにもトレンドがあり、新作が制作発表された直後など年に何度か「検索ワード 今井雅子」がにぎわう週間がある。とくにニュースはないはずなのだけど……という場合は、お探しの今井雅子はこちらで良かったでしょうか、と心配になる。同姓同名のヨット選手、料理研究家、画家、医師などがいらっしゃるので、今井雅子違いもありうる。

最近多いのが「Yesterday is history. Tomorrow is mistery. Today is present」のセンテンスを含むサイトを検索して、いまいまさこカフェ日記にたどり着くケース。公開されたばかりの映画『カンフーパンダ』に登場する台詞らしい。6年前にアメリカからチェーンメールで送られてきた長文の最後の一節。全文は2002年6月7日から16日にかけて7回にわけて日本語訳をとともに紹介したのだけど、あらためてこちらにまとめて紹介。『時間という名の銀行』という邦題もつけてみた。わたしに回ってきたメールではタイトルがついていなかったので、6年前に「BANK」という英題をつけたのだけど、もっと気の利いたタイトルがあるのかもしれない。あらためて読み返すと、コピーライターが書いたような明快で説得力のある名文で、映画の決め台詞に採用されるのも納得。『犬と私の10の約束』の原案となった「犬の10戒(The ten commandments of dog ownership)」のようにアメリカでは広く知られたものなのだろうか。

『時間という名の銀行』  訳:今井雅子

Imagine. . . .
There is a bank that credits your account
each morning with $86,400.
It carries over no balance from day to day.
Every evening deletes whatever part of the balance
you failed to use during the day.
What would you do? Draw out ALL OF IT, of course!!!!
想像してみてください
毎朝あなたの預金口座に86,400ドル入れ
次の日には残高を繰り越さない銀行
毎晩 あなたが使いきれなかった残高は 跡形もなく消えてしまう……
あなたなら どうする? 全部引き出すに決まってますよね!

Each of us has such a bank. Its name is TIME.
Every morning, it credits you with 86,400 seconds.
Every night it writes off, as lost,whatever of this
you have failed to invest to good purpose.
It carries over no balance. It allows no overdraft.
わたしたち一人ひとりは そんな銀行を持っています
その銀行の名は 時間
毎朝 86,400秒が与えられ
毎晩 上手に使えなかった分は帳消しにされる
繰り越しはできず 貸し越しもできない

Each day it opens a new account for you.
Each night it burns the remains of the day.
If you fail to use the day's deposits, the
loss is yours.
時間は毎日あなたの新しい口座を開き
毎晩その日の残高を燃やしてしまう
その日の入金を使いきれなかった場合
損失はあなたに跳ね返ってくる

There is no going back. There is no
drawing against the "tomorrow."
You must live in the present on today's
deposits. Invest it so as to get from it the
utmost in health, happiness, and success!
The clock is running. Make the most of today.
後戻りはききません
前借りもできません
今日の預金で今を生きなくてはなりません
時間を投資して できる限りの
健康と幸福と成功を手にしましょう
時計の針は進みつづけています
今日を最大限に活かしましょう

To realize the value of ONE YEAR,
ask a student who failed a grade.
To realize the value of ONE MONTH,
ask a mother who gave birth to a premature baby.
To realize the value of ONE WEEK,
ask the editor of a weekly newspaper.
To realize the ! value of ONE HOUR,
ask the lovers who! are waiting to meet.
To realize the value of ONE MINUTE,
ask a person who missed the train.
To realize the value of ONE-SECOND,
ask a person who just avoided an accident.
To realize the value of ONE MILLISECOND,
ask the person who won a silver medal in the Olympics.
1年のありがたみを知るには 留年した学生に聞きなさい
1か月のありがたみは 未熟児を出産した母親に
1週間のありがたみは 週刊紙の編集者に
1時間のありがたみは 待ち合わせの恋人たちに
1分のありがたみは 電車を逃した人に
1秒のありがたみは 間一髪で事故を免れた人に
1/1000秒のありがたみは 銀メダルに終わったオリンピック選手に聞きなさい

Treasure every moment that you have!

And treasure it more 
because you shared it
with someone special, 
special enough to spend your time.

あなたの一瞬一瞬を大切にしなさい
特別な誰か 一緒に過ごすに値する
誰かと
分かち合った時間は
とくに大切にしなさい

And remember that time waits for no one.
Yesterday is history.
Tomorrow is a mystery.Today is a gift.
That's why it's called the present!!!
そして 忘れないでください
時間は誰も待ってくれないことを
昨日は歴史
明日は神秘
今日は贈りもの
だから「現在」は「プレゼント」なのです

2005年07月12日(火)  『子ぎつねヘレン』打ち上げで ipodをゲット
2003年07月12日(土)  15年目の同窓会
2002年07月12日(金)  『真夜中のアンデルセン』小原孝さんのピアノ収録
2000年07月12日(水)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)

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