2004年07月18日(日)  ニヤリヒヤリ本『ニッポンの誤植』

会社に転がっていた『VOW王国 ニッポンの誤植』がおかしくておかしくて、最近は息抜きにページを開いてはニヤニヤして同僚から気色悪がられている。『言いまつがい』も面白かったけど、誤植は職業柄身につまされるので、「あらーやっちゃったー!」という同情が加わって、切なくおかしい。ライヴ情報の「1ドリンク付」が「1ドングリ付」になっているのを見ると、なんで見落としちゃったんだろ、でもまさかDRINKが団栗に化けてるとは思わないよなー、と戒めとともに笑ってしまう。「1ドリンク付」には編集部からの「リスの饗宴?」という突込みが入っていたけど、同じくリスネタで選挙投票結果の「XX票」が「XX栗」になっていたのも笑った。写植は似た漢字同士が近くに並んでいるので、間違えやすい。わたしも「野村證券」が「野桃證券」になって世に出るところを、デザイナーが校正で見つけてくれて命拾いしたことがある。広告の世界がデータ入稿時代になり、豪快な写植間違いは減ってしまった。

今読んでいる『メディアの興亡』(杉山隆男著 文春文庫)は、「新聞社から活字が消え、コンピュータで新聞を作るようになるまで」のドキュメンタリー。メールはもちろんFAXもなかった昭和初期に新聞がどうやって作られていたか、その不自由や不便を解消するために新聞社とメーカーがどう動いたか、新聞社内部の諸事情や当時の政財界の裏事情とあわせて活写されていて興味は尽きない。事実は小説より奇なり。

ワープロやパソコンが普及した最近は、誤変換による誤植が多くなった。「森林地帯」と打ったら「新リンチ体」、「あの町この町 あの道この道」と打ったら「あの町子の町 あの道子の道」と変換されて、「やっぱり機械なんだなあ」と思ったりする。『ニッポンの誤植』にも「届ける」が「トド蹴る」、「ここ数年」が「ここ吸うねん」という誤変換が紹介されているが、人間が必死でボケて思いつくような変換候補を真っ先に出してくるのは、機械らしい。誤変換ボケには多少の和ませ効果もあるけれど、勝負をかける場面には持ち込まないよう注意したい。

コンクールに応募する人にアドバイスを求められると、「読んでから出す」ことをすすめている。たまにコンクール応募作品の下読みを頼まれるが、書きっぱなしで出したのが見え見えの作品が目立つ。誤字脱字が多すぎるのだ。「以上なし」、いや異常あるよ。「名詞交換」、名前は確かに名詞だけど。「金魚救い」、漢字にしなきゃいいのに。「コーヒーをすすぐ」、タイプミスなのか間違って覚えているのか。「おむつが自慢」、知的キャラが別人に! 登場人物の名前が途中から変わったり、「俺」が「僕」になったり、というミスも見落としがち。なるべく想像で補って修正しながら読んではみるものの、「理恵」と「真理子」が登場するサスペンスドラマで、真犯人の名前が「理恵子」となっては、フォローしようがない。ミスはブレーキになり、たびたび踏まれると、作品に入り込めない。とても損しているし、もったいないと思う。応募した人に教えたい衝動に駆られるけれど、連絡先は伏せてあるので、もどかしい。これからコンクールに応募する人、ケアレスミスで受賞のチャンスを遠ざけることのないよう、原稿を読み返すことをおすすめします。「声に出して読む」「他の人にも読んでもらう」と、誤字脱字発見率がアップ。わたしもこの日記でちょくちょく間違っているけど、自分で気づいたり、人に教えてもらったりして、ちょこちょこ直している。

昔の日記にほぼ同じことを書いてた。2年経っても、言うことってあんまり変わらないんだなあ。
2002年3月7日 誤植自慢大会

2000年07月18日(火)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)

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