2005年07月16日(土)  『リトルダンサー』と『アマデウス』と『マノン』

東京文化会館にて英国ロイヤル・バレエ団の『マノン』を観る。「チケットあるんだけど、行く?」とお誘いを受け、「行く!」と答えたのは、ちょうど『リトル・ダンサー』を観て、「本物を見たいなあ」気分になっていた矢先だから。内容も何も知らずに会場に着き、「マノンという娼婦が恋に落ちるが、兄が貴族に売り飛ばし、恋人と引き裂かれる悲哀の物語」というあらすじを仕入れ、いざ開幕。

バレエをよく観る友人が「お耽美」という表現を使っているが、普段は使わない「耽美」という言葉がふさわしいような、ため息ものの美しさ、華麗さ。凝った美術や衣装のディテールを見ているだけでも楽しい。中世ヨーロッパのロマン漂う衣装は、『リトル・ダンサー』と同時期に観た『アマデウス』を彷彿とさせる。アマデウスは19世紀のウィーンが舞台だったけど、『マノン』は18世紀の傑作恋愛小説『マノン・レスコー』をバレエ化したもので、バレエの舞台はパリ。振り付けもユニークでアクロバティックな動きもあり、ジャンプやリフトにこんなにバリエーションがあるのかと感心。

幕間にはシャンパングラスを片手に印象を語り合う。バレエ公演に足しげく通っている人は、「今夜のギエムは」といった見方をする。「泣くよ」と言われた3幕のラストは、本当に涙がじわり。台詞が一言もないのに、どうして登場人物に感情移入できてしまうんだろう。バレエというより歌のないオペラを観ているようだった。

アフターシアターは、会場のすぐ近くの居酒屋へ。バレエにめっぽう詳しいお姉さま方三人に、「英国ロイヤル・バレエ団が日本公演をやるのは6年ぶり」「今夜、主役のマノンを演じたシルヴィ・ギエムは、百年に一人と言われる逸材」と教えられ、「今井、いい全幕デビューを飾ったねえ」と話していると、「ちょっと待って。あそこに座ってるの、ギエムじゃない!」。なんと、同じお店に居合わせていた。メイクも落として髪も下ろして衣装も脱いでも見つけてしまうって、すごい。「今井、通訳よろしく」と背中を押され、お食事中失礼しますと近づき、今夜の公演とってもすばらしかったですと伝えると、にこやかに「Sign?」と察して向こうから手を出してくれ、四人分のチケットの裏にサインをしてくれる。一緒に居た恋人デ・グリュー役のマッシモ・ムッルも快くサインに応じてくれる(しかし、どっちがどっちのサインなんでしょう)。

お姉さま方のただならぬはしゃぎぶりを見て、すごいことなんだなあとわたしまで興奮。上機嫌でお店を出ると、今度は横断歩道ですれ違った白人男女を見て、「あ、お兄さんだ!」。マノンの兄レスコー役のティアゴ・ソアレスとその愛人役のマリアネラ・ヌニュスを目ざとく見つけたお姉さま方。「出待ちしないでこんなに会えちゃうってすごいよ」と天にも昇る勢い。全幕デビューのビギナーズラックだったのかも。

2004年07月16日(金)  島袋千栄展 ゴキゲンヨウ!

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