ケイケイの映画日記
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2008年07月06日(日) 2008年上半期ベスト10

皆さま、いつもご愛読ありがとうございます。通年は上半期ベストは書いておりませんが、今年は6月までで51本、記憶にないくらい好きな作品ばかりでした。なので記録として書いておきたいと思います。地方では上映まで時間のかかるミニシアター系作品も多いですが、DVD化されているものも多く、ご覧いただく参考になれば幸いです。

では、順位なしで観た月の順から。

「ある愛の風景」

ようやく観た噂のスサンネ・ビア作品。細部まで繊細な描写には、ほとほと感心。続く「アフターウェディング」でも、その力量は確認しましたが、ハリウッドに渡っての「悲しみが乾くまで」は、やや期待外れ。次に真価が問われそうな気がします(偉そうな・・・)。

「ヒルズ・ハブ・アイズ」

ひっさびさでホラーの傑作に出会えました。ペキンパーの「わらの犬」を彷彿させる部分もあり、ケレン味だけではなく、深みも充分。そういえば夏なのに、今年はホラー作品ありませんね。


「ジェシー・ジェームズの暗殺」

初めてブラピが素敵に思えた作品。ミニシアター向けの作品であったはずが、ブラピ主演が仇となり、あえなくシネコンで二週間で打ち切りに。雄大なカメラワークは劇場の方が堪能出来ますが、登場人物のピリピリした心理戦は、DVDでも充分伝わってくると思います。

「潜水服は蝶の夢を見る」

いくらでもお涙頂戴の前向きな闘病ものに出来るモチーフを、官能的で人生を楽しむ術を忘れない描き方は、流石はおフランスと、皮肉ではなく感嘆した作品。亡くなった姑が闘病中に観て、とにかくボロボロ泣いた映画。医師ではなく、言語療法士が主人公と一番向き合う医療者で、その点も新鮮。

「さよなら。いつかわかること」

アメリカ映画の珠玉の小品で、私が一番好きなカテゴリーの作品。妻・母を亡くした父娘の悲しみを、抒情的にユーモアも交えて描きながら、現代のアメリカの様子もさりげなく映し、反戦の心も描いています。

「連合赤軍 あさま山荘への道程」

とにかく力作。子供の頃に起こった事件を、実録風に描いています。若松監督の厳しく温かい眼差しに、心が揺さぶられました。

「休暇」

死刑囚を扱いながら、死刑制度の是非を問うものではなく、執行する刑務官の心情にスポットをあてた作品。思いをはせたこともない事柄だったので、刑務官たちの心模様が、胸につきささりました。命の重さは平等だと強く感じた作品。

「アウェイ・フロム・ハー 」

サラ・ポリー初監督作品。初めてとは思えぬ力量を見せてもらい、感嘆しました。妻が認知性にかかった老夫婦を、淡々と描いているのですが、厳しさも哀しさも存分に感じさせながら、人生の先輩である高齢者に対して、敬意も感じさせる秀作。次のサラの監督作品も絶対観ます!

「イースタン・プロミス」

ヴィゴ様萌え以外にも、作品としても重厚なロシアン・マフィアの世界を描き、堂々たる王道作品になっていて、クローネンバーグとしては以外な印象を持つはずですが、細部に趣味全開で、変態監督の名にも恥じない作品です。

「ぐるりのこと。」

波風ない夫婦はありません。ごく平凡な若夫婦の10年を、世相に絡ませながら描く、現代版「夫婦善哉」。今日的な病である「鬱」をテーマの中心に据えながら、明るい生命力を感じさせるまとめ方も秀逸。

と、こんな感じです。う〜ん、全部ミニシアター作品、それも二週間上映で打ち切りの作品も多しというのが、とっても哀しいです。どの作品もマニアック度はそれほどでもないと思うのですが。

この他にも断腸の思いで落とした作品も多数あり、選ぶのに困った上半期でした。さて下半期はどうなるでしょうか?


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