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2017年07月29日(土)
『FUJI ROCK FESTIVAL '17』1日目 その2

ホワイトいい感じに埋まってます。AVARONからおりてきたので、下手側にするっと入れてスピーカー前二列目をキープ、ウエーイ。何せ三回キャンセルしてますから、今回はホントに大丈夫だよね? えらいはやくから来てるけど取材と観光終えてそのまま帰っちゃったらどうする? 会場入りしてる? と数日前から気が気じゃなかった。ここにいる殆どのひとがそうだったでしょうよー。ジョシュが膝の古傷を悪化させ、杖をついているという話も伝わっていたので不安はふくらむ一方でした。それだけに、スクリーンに「NEXT UP QUEENS OF THE STONE AGE」の文字が映し出されたときの歓声はたまらんもんがありました。スマホでそのスクリーン撮ってるひとも多数。そりゃ撮りたくもなるね。何年待ったと思ってんだ!

ちなみにQは2002年のフジ(初来日)と2003年の単独(12)を観ることが出来てます(うーむ我乍ら文章が若い)。ジョシュ単体でいうと2010年のThem Crooked Vulturesで来日しているのでまあ、別に日本を嫌いなワケではないと思う…思いたい……。

ちなみにキャンセルのうち一回はSoundgarden絡み。SGは今後についてまだアナウンスしていない。時間が解決してくれることって実はそうそうない。それでも時間は必要だ。そうなってしまえば今がそのとき。そして、彼らはやってきた。

■QUEENS OF THE STONE AGE(WHITE STAGE)

大!歓!声! ジョシュが杖をついて出てきた。あああやっぱり調子わるいんだ、とヒヤリとするも、笑顔で杖を高く掲げる。応える観客、またもや凄まじい歓声。メンバーも皆笑顔。そしてあのリフ、ミリオネア!!!!! えらいこっちゃ、阿鼻叫喚です。センターすごいことになってるっぽい、次々フォトグラファーピットからひとが走り出てくる……モッシュピットからセキュリティにひっこぬかれた=助け出されたひとがそれだけいるってことです。まあ、そうなりますよね(凪)。

続いて「No One Knows」、怒涛の叫びがあちこちから。文字通りウオーてなもんです。何に笑ったかって、そのまま前奏が大合唱になったんですよね。

My baby and the boys nailed Japan so hard 🇯🇵 #fujirock

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ジョシュの愛妻(ずっとラブラブねえ)、ex.The Distillersのブロディ・ドールがステージサイドから撮影してくれてました! キエー感謝! シンガロングがステージにも届いてますね。てか声が野太い(笑)。

このイントロシンガロング、欧州でもそうらしいんですが(例:2014年レディング)、つい先日のこれを思い出しました。うれしい+かんきわまる+まちきれない=歌詞のないとこからも〜とにかくうたわずにはおれん、という……。どのくらいのひとがこの、イントロから唄う風習? を知っていたかは判りませんが、まあ知らないひとも唄うよねこれは(笑)。極めて自然発生的だったというか、何度もいうがもううたわずにはおれんってやつでしたよ。私もゲラゲラ笑い乍ら唄いました。楽しい! 楽しい!

しかしふと我に返ってまず思ったのは、あれ、音ちいさい? ということ。スピーカー前にいるにも関わらず。そもそもアルバムの「〜Millionaire」の音源が、最初ちいさくてブレイクを境に爆音という演出なのですがそれを考慮したものかな……とは思うものの、中盤くらい迄やっぱりちいさく感じた。これは…自分の都合もあるかもしれん。二年前のブンブンの音が未だに記憶にこびりついてるってことだ。ホワイトはあれが標準みたいな思い込みが出来ているのかも。じき慣れた。

ゴリッゴリのリフがゴリッゴリに連発されるゴリッゴリのゴリッゴリで、感想といえばもう最高かばっかりなんですが、ふと思い出したのは、アベフトシが亡くなったときに鮎川誠が寄せたコメント。「リズムを刻みながらリフを入れていくスタイルっちゅうのは、ほかからお呼びがかからんギタリスト」「ひたすら刻む。それがロックの基本っちゅうのはみんな当たり前と思っとるけど、どうしても派手なところに目がいってしまう」「そうやって弾くのはストイックやし大変やし」。バンドに必要とされ、バンドサウンドに献身的ともいえる音を出しつづけるギタリストについて。リフの積み重ねが強度に繋がる、バンドならではの音の塊について。

Qには最大三人のギタリストがいる。曲によっては三人がユニゾン、あるいは三度、五度違いで同じリフを刻む。刻みまくる。ときには絡み合う。ゲストを多数迎えて活動してきたQ。旧友ニックがいない今、長年「ジョシュのプロジェクト」というイメージがあったQ。しかし、今回観たのは「バンド」だった。バリッときめたスーツとともに演奏もスタイリッシュなトロイ、曲に応じて楽器を持ちかえ、レコードのサウンドをライヴで甦らせるディーン、ワンパクか! といった挙動乍ら安定のベースを弾くマイキー。五人が一体となったかのような音の塊。「Sick, Sick, Sick」とかもー、低音のリフでゴリッゴリに進んだあとにはペンペン草も生えませんってな破壊力でした。戦車か。この日のハイライト。

そしてセオドアのドラム! 長年デイヴ・グロールのイメージがしみついていた『Songs For The Deaf』からの楽曲を今の音で聴くことが出来た。特に「A Song For The Dead」はデイヴの音からやっとこ更新出来ました。ソロもよかったねー。おっもい音がもたって聴こえたりもするのですが、いやいやこのリズムが低音リフのボトムだわ。まとわりつくような粘っこさなんですよね。何せ石器時代の女王様、恐竜の歩みで地面もめりこむ重さです。最高か(何度いうか)。

で、ジョシュ。いやーもうーキャーってなもんでな〜。はー。193cm(だそうで。調べた)の長身でくねくね踊り、コームをとりだし乱れた髪をなおすアクション。この俺スタイル、笑いと紙一重のカブキもんだわ。ファッションからして50's(敬意を表して今年はスカシャツ着ていきましたよ!)、その容姿はプレスリー、とクラシックなアメリカを感じさせる格好よさ。あれよね『欲望という名の電車』のスタンリーとか演じさせてみたいですね(笑)。冒頭杖を掲げるアクションも非常に劇場的。それがいちいちキマるもんで、このひと何考えてるかほんと判らない。人間性も見えない。でもこのひとのつくる音は信用出来る。そういう意味では本当に不思議なひとですね。音楽に背景を求めてしまいがちなリスナー(自分もそうなりがちだ……)を拒否するようなスタイルを見せ乍ら、それでも会えなかった十数年を一瞬にして埋めてしまうドラマを用意してくれた。

杖のアクションは演出だったの? と思ってしまう程に踊り、ステップを踏んでいたジョシュの動きがだんだんぎこちなくなっていく。「ラブソングだよ」といって始めた「Make It Wit Chu」はエレピの弾き語りで座奏、このメロウな流れはいいなーと思ったけど、膝の状態を考慮してのことだったのかもしれない。最後の「A Song For The Dead」ではふらつく場面もあり、やっぱりかなり悪いのかも……と思う。そうなるとあのタコ踊り(と呼ばれていた・笑)も、痛みを見せないためのカモフラージュだったのかな。いやあ、しかしあの踊りには笑かしてもらいました。ショウマンシップだね……。装飾なしのステージ、照明も単色の切り替えでシンプルな効果。それでもシビれる格好よさ。ロックバンドの真骨頂、見せていただきました。

三日後、八月のショウのキャンセルがアナウンスされました(Queens of the Stone Age Cancel Outside Lands Set Due to Injury | Pitchfork)。相当キツかったのだろう。それでもきてくれた。有難う、しっかり休んで治してください。そして今度は単独できてください!

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セットリスト(setlist.fm
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01. You Think I Ain't Worth a Dollar, but I Feel Like a Millionaire
02. No One Knows
03. Monsters in the Parasol
04. Smooth Sailing
05. I Sat by the Ocean
06. Misfit Love
07. Burn the Witch
08. Sick, Sick, Sick
09. Feel Good Hit of the Summer (with "Clint Eastwood" (Gorillaz) snippet)
10. If I Had a Tail
11. The Way You Used to Do
12. Little Sister
13. The Vampyre of Time and Memory
14. Make It Wit Chu
15. My God Is the Sun
16. Go With the Flow
17. A Song for the Dead
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Note: ''First it Giveth'' and ''The Evil Has Landed'' were on the setlist, but not played.
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・QUEENS OF THE STONE AGE | FUJIROCK EXPRESS '17
ちょっとやってる曲とかに間違いがあるので画像用として。

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その他。

・ごはんとおやつ
OASIS:プリンスホテルのフランクフルト、ステーキプレート
AVALON:朝霧食堂の朝霧シチュー
FOH:ルヴァンのカットチーズ
FOH:ロータスカフェのアイスコーヒー
ORANGE CAFE:ジャイタイのライチアイスティー
FOH:さくらぐみのマルゲリータピザ
BLUE GALAXY:葡呑の稲荷寿司としじみのみそ汁
一日参加では限界がある。こんだけしか食べられなかった…こんだけとかいうか。いや、シェアして食べてたりするんです(いいわけ)。
久しぶりにさくらぐみのピザ食べられたよーやっぱうまいねー! Ben & Jerry'sのアイスクリームは今年はいなかった。OASISのおにぎり屋さんが二年ぶりに復活してたけど食べられなかった。
ワールドレストランがなくなって、その分飲食エリアが広くなってた。パエリア屋さんはどこにいったんだろう(泣)。でも新出店のおいなりさんがおいしかった。色とりどりでかわいくてインスタ映えしそう。

・越後湯沢駅
近年はおみやげだけじゃなくて野菜も買ってかえっている。今年はズッキーニと万願寺唐辛子、うまーいおっきーいやすーい。神楽南蛮がなかったのが残念。
『を待ちながら』のチケットをとらねばならなかったのでWi-Fiあって助かった。年々便利に、そして国際的になってってますね。

Sake to me baby

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ジョシュがちいさな袋さげてて気になる。何買ったの! てかブロディのインスタ面白い……日本を楽しんで帰られたようでよかったです。

うえーい楽しかった。また行けるといいな!



2017年07月28日(金)
『FUJI ROCK FESTIVAL '17』1日目 その1

今年は初日のみの一日参加、ポンチさんと行きましたー。読みが外れたところとヘンに鼻が利いた(というか運がよかった)ところとありまして、いやーフジはやっぱり楽しい。フルで観たのはDÉ DÉ MOUSE、ヒカシュー、QUEENS OF THE STONE AGE。グループ魂はリハ30分と本編30分、あとは通りすがりとか休憩がてらとか、のんびりすごしました。初めてドラゴンドラにも乗ったー。

mouse on the keysの出番は朝イチとかだろうと踏んで(…)、例年より一時間程早い新幹線のチケットをとっていたのでえらい早くに到着。シャトルバスにもそう待たずに乗れ、リストバンドも並ばす交換。快適だったー、怪我の功名か。初めて開演前に入場しました。グリーンへ行くとトップバッターのグループ魂がリハ中。楽器隊の暴動、石鹸、遅刻、小園の四人が私服で演奏しています。わーラッキー、石鹸ドラムうま〜いとか見物。真顔でやってましたね…緊張してたのかな……。ちっちゃい子(ちゃんとイヤーマフしてたとこに好感)の声に暴動が「大丈夫?」とか応えてた。おともだちかな?

11:00開演のレッドから音が聴こえてきた。グリーンの開演は11:30。余裕のあるPA前で座ってのんびり待つ。トンボもバッタもいます。シャボン玉がふわふわとんできたり、のどか〜。




こんなことしてダラダラ待っていると、ステージにボランティアの方が現れました。ゴミの分別についてや、回収されたゴミはリサイクルされてこれになりました、とかの話。初めて知ったことも多かった。ボランティアの方に感謝するとともに、参加者の自主性がだいじだなあと改めて考える。今年は出発前に苗場金六のtwitter(@naebakinroku)をよく見ていて、事前準備とか会場設営とか、フェスティヴァルはいろんなひとたちの尽力のうえ成り立ち、継続出来ているのだよなあとしみじみ思っていた。それがちょっとした不注意で瞬時にだいなしになってしまうということを、観客は自覚し忘れないようにしておかないと。コミケみたいな感じだよね。悪意のある、いや、なくても寛容を許さない大きな声によっていろいろなことが禁じられてしまう事例に接することが増えた昨今、尚更そう思ったのでした。

キヨシローの「田舎へ行こう!」が流れる。MC原島さんが出てくる。開幕だー! てかこうやって開幕するんだー!

■グループ魂(GREEN STAGE)
港カヲルが出てきておかしなことをいって、メンバーが出てきて、最後に破壊が登場。すっごい久しぶりに観たんですが「竹内力」や「チャーのフェンダー」「でんでん」「嫁とロック」と、往年の? 曲もやってくれて楽しく聴けた。ペニスにちんちんにクンニを真っ昼間の野外で聴くのはもはや爽快ですな。クンニ連発してるとこでグリーンを離れたんですが、すれちがうひとが悉く半笑いというか哀れむような笑顔でステージを観ていたのが印象的でした…最初は笑ってたけどだんだんひいてきたみたいな……。スクリーンにはカヲルのアレやナニが大写しでヒヤヒヤしました。
それにしてもこうやって聴くと破壊やっぱ歌うまい。声もめっちゃ通る。舞台役者の面目躍如。顔が真っ赤でしたが、もともと色白だけに灼けちゃったかな? 鳥髑髏を休演にして臨んだフジ、「二度と呼ばれないから」なんつってましたけどまた出られるといい! そして石鹸が格好よかった。

レッドに到着。おっ、今ならいけるじゃんと思い切って上手寄り最前に入り込む。レッドは半端に前だったりするとステージが全く見えないうえにモッシュとかに巻き込まれてたいへん、後ろ過ぎても見えないので、いい場所を確保出来ました。

こちらもリハ中。サウンドチェックもガッツリ観られました。はやくもデデくんハイテンション、めっちゃ踊り乍ら演奏してる。この時点でもう歓声や手拍子が発生。「そんじゃよろしくおねがいしまーす」といったんひっこむ。入場したときは空き気味で、あ〜やっぱちょっと時間早いよねえなんて思っていたフロアはいつの間にやらめちゃ混み、まだかまだかの空気で充満。やがて舞台袖から気合い? のコールが聴こえてきた。

■DÉ DÉ MOUSE(RED MARQUEE)
攻めしかねー! といわんばかりのどアッパーなセット。ツカミは「new town romancer」、続いて新譜『Dream You Up』から「Face To Face」、そして「sweet gravity」と新旧織り交ぜガンガンすすむ。「your favorite swing」では大歓声。おえーたまらん! ナチュラルハイなデデくんがよりハイな状態であおるあおる。バッキバキのダンストラックが矢継ぎ早に繰り出され、休ませてもらえません。いいぞもっとやれ。もはやテンパり芸の域のMCにはどよめきと笑いが起こっておりました。「えっこんな声?」「こんなしゃべり方?」みたいな。初めて聴いたひとはビックリするよねあれ…私もそうだった……。ちなみに声はカッスカスに嗄れてた。一回きりのステージのために相当エネルギーを注ぎ込んでたんだろうなー。おだいじにしてください……。
四月に観た単独でのVJや照明がとてもよかったので、フジでは夜に観られたらいいなあと思っていた。しかし屋内のレッドなら、昼でも映像やレーザーショウの効果抜群。ここ! というところでスクリーンに「DÉ DÉ MOUSE」とロゴがドン! と映し出された瞬間、フロアに歓喜の声がわく。ソロパートでの花火の映像にはジーン。
アッパーアッパー、ソロでチルもの二曲、「Get You Back」で大団円のフィニッシュと、決して長くはないフェスの持ち時間をフルに使った構成もよかった。最新作からの「Get You Back」をラストに持ってきたところ、それがもう代表曲のように盛り上がったところにも、デデくんとバンドの充実ぶりが窺えました。何年選手でも代表作ってのは次々生まれるもんだ。
バンドアレンジも絶妙で、サンプリングのビートとベースに生演奏が絡んで跳ねまくる。そのうえをサーフするギターリフのキラキラっぷり。デデくんの手弾きも多く、最後はキーボードを抱えてお立ち台よろしくセットアップ卓の上にのぼって弾きまくり。スタッフのひとがコードさばきにあたふたしてました。ドラムがすぐそばだったんだけど山本さんニッコニコで叩いてたなー。皆さんいい顔してました。
終わって振り返ってみればフロアは満杯、入場規制ラインだったとのこと。いやもー素晴らしかった! 最前だったので音圧もすごかった。キックがめちゃめちゃ顔に直撃した(笑)。



えへへひっそり映り込んでしまった。



twitterより拝借(有難うございますー)。

いろいろあてが外れているので時間が半端に空いている。体力温存もかねてのんびりしようぜ〜、乗ってみようぜ〜とドラゴンドラ。苗場のフジには十回以上来てる筈だけど、初めて乗りました。た、たのしいなこれ! あの広大な会場は、山のほんの一部だったんだー。下界に拡がる森の美しいことといったら…絶景かな絶景かな〜(©楼門五三桐)♪ グリーンは丁度裏っかわを通るので見えないけど、ホワイトははっきり見えるし、音も聴こえる。はーこんな森のなかで去年はSquarepusherが…さぞや……とまた悔やむ。それにしてもいい景色、トムをドラゴンドラに乗せてあげたい、乗ればいいのに、乗ったかな、田舎の子だし森や自然が好きな子だから喜ぶんじゃないかしら、などと妄想なんぞする。アホですわ。渓流の上を通過したりして結構ひえーとなる。高所恐怖症のひとがうっかり乗っちゃったら復路どうするんだろうなんて話す。途中ウグイスがホーホケキョとか鳴いてた。のどか。ああこの川の音、鳥の声、トムに聴かせ(以下略)

そのうち雨がポツポツ、遂にきたか。しかしこのときはまだ小降りで、到着したDAY DREAMINGでも合羽着ないで済ませた。DAY DREAMINGに行ったのも初めて。ロッジがあって、家族連れが食事してたりする。あーそういえばここスキー場だった、冬はゲレンデなんだよね……と思う。それにしてもすごい標高のとこですよ、上級スキーヤーはこんなとこから滑って降りるのか。どのくらい時間かかるのか。気が遠くなる。観られるかな? と思っていたMOOCHYは終わっていたけど久々にK.U.D.O.さん(ARTMAN)のDJは聴けました。やっぱ格好いいー。櫓にのぼって景色を眺めたり散歩したりする。露店が出てて型抜きとかやってる。のどか。さて降りましょか。

雨と追いかけっこするように下山。こりゃ会場も随分降ってるのかな? ホワイトではバックホーンが演奏中。上空から「ひとり言」を聴く。贅沢。森にこぐまを見かけて悲鳴をあげる。木彫り(オブジェ?)だったーなんだよビックリするじゃねえか!



これこれ。数年前から親はいなくなったらしい。どこへ行ったんだろう。

下界に降りて合羽を着たら小降りになった。オレンジにでも行きましょうか。ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRAが演奏中のグリーンを横切る。あっタブくんがいる! ヤマジもいたいた。CHABOさんが「デイ・ドリーム・ビリーバー」を唄う。キヨシローの声に寄せてた感じ。そのあと登場した若大将・加山雄三が「Misirlou」を演奏したと帰宅後知ってぎゃーとなる。『パルプ・フィクション』のあれですよ! dipでカヴァーしたこともある曲なので、ヤマジも嬉々として弾いたのではないかと思われる。

オレンジはドロドロ。余程降ったんだな…丁度ドラゴンドラに乗っていてラッキーだったかも。FOHと行き来しておやつ食べたりコーヒー飲んだりする。曇りで快適。昨年いかに日差しにやられたかというね……消耗度が全然違う。助かる。

■ヒカシュー(Café de Paris)
久々!「生きること」から「パイク」迄、どの時代の曲をやっても変幻自在で普遍的。インプロでガンガン展開、ホーメイ、超歌唱からプライマルスクリームを繰り出し、テルミンを操り口琴を奏でる。太極拳なダンスも披露して巻上さん絶好調。声でけえ〜、身体やわらけえ〜。あんだけ声出せればさぞ気持ちよかろう。「雨すごかったね、屋内のステージでよかった……」と本気でホッとしてたようでした(笑)。「唄うとホントになるからね」、わかるわかる、言霊ってある。そういうのだいじにしていきたい。簡単に死ぬとか無理とかいっちゃダメ!

これからOASISに降りても体力使うだけだよなあ、Qに備えて休んでおこう。motkやArcaやCLARKが観られないと決まっているので(…)今年はQのためにきたようなもんだ。万全の状態で観たいし、とFOHでごはん買ってオレンジの休憩スペースに持っていって食べたりしてだらだらする。kaollyさんとhalyaさんに偶然会えてラッキー、クリスのこととか少し話す。その後タイ料理屋台でコーネリアスの後ろに並ぶ。つれのひとと「どっちが辛いかなー」とか話してた。この日はお客として楽しんでいた様子。靴が綺麗で、白いTシャツが輝いてて、本人の顔も色白で輝いてました。あんまり印象変わらないねー、歳をとってもシュッとしてますね。お素敵でした。

だんだん暗くなってくる。各エリアの装飾アートが輝きだして綺麗。さて、行きましょか。十四年ぶり、待ちに待ったQUEENS OF THE STONE AGEですよ!



2017年07月21日(金)
2015年の「Iambic 9 Poetry」

(20170724:『「Iambic 9 Poetry」ききくらべなど』からタイトルだけ変えてみた)

自分用メモ。その都度web上を探しまわらないようにしたいという魂胆ではありますが、ひとに聴かせたい+紹介したい欲もあり。夜な夜な観て、聴いております。

先日書いたようにSquarepusher空白期(自分の)を辿っているところ。その道中でいちばん衝撃を受けたのは「Iambic 9 Poetry」の変化でした。2004年発表の『Ultravisitor』に収録されていた、最もフラジャイルな曲。歩くような速度のBPM、つぶやきあるいはためいきのようなリフレイン。躓き、転び、そして再びたちあがるリズム。冬の星空、春の陽だまり、雪の降り積もる夜、あるいは雨降りの朝。内に激しさを秘めた、静かな風景が想起される美しい曲です。

・原曲


この曲が、2015年の『Damogen Furies』ツアーのアンコールで演奏されていました。リズムとハーモニーを同時に奏でるベースソロ。イントロとアウトロが加えられ、新しいひとつの楽曲として生まれかわったかのようです。続けて演奏された同じく『Ultravisitor』収録の「Tetra-Sync」とともに、沢山の動画がYouTubeにアップされています。どれもがオーガニック、そしてエモーショナルな演奏。

アメリカ(4月)とスペイン(6月)、そして日本(5月)での映像を並べてみます。観客の反応の違いがまた面白い。

・Squarepusher, Live @ The Observatory, Orange County California

オレンジカウンティ。アメリカには根強いファンがいるようで、未だに「F**kin' Daddy!」とか声がかかっている。演奏も力強く、ちょっと荒々しさがあります。

・Squarepusher - @ Sónar 2015

バルセロナ、Sónar 2015でのステージ。フロアのざわつきがちょっと気になってるかな? 映像と同期している機材のチェックもいそがしい。

・Squarepusher Iambic 9 Poetry~Bass solo~Tetra-Sync Live In Japan 2015.

東京、恵比寿ガーデンホール。途中からで音割れも酷いけど、フロアの喜びようが伝わって泣き笑い。『Ultravisitor』ツアーの来日公演では演奏されませんでしたから、「Iambic 9 Poetry」が日本で披露されたのはこの日が初めてだった筈。大歓声のあと、水を打ったように静まり返るところは日本ならではですね。一音も聴き逃すまい、といった雰囲気。
それを受けてか、演奏もアメリカ、スペインのときよりためがあるというか、一音一音をかみしめるように弾いているように感じます。歓声と拍手に照れたように応える表情もとてもいい。「Tetra-Sync」に入ろうとしてもニヤニヤがおさまらないのか、鼻すするような仕草してるとこもかわいいですね(笑)。その反面、リフをまるでうわの空で弾いているような様子も見せる。楽器に身体を預けているようでもあります。

・Squarepusher Damogen Furies Tour Tokyo Encore

同じ東京での映像。こちらはアンコールの最初から入ってて音もそれなりにいいんだけど、近くにいる感極まりきったお兄さんの声がうるさい(笑)。

ちなみにこのイントロですが、2011年4月に行われた『MADE IN JAPAN - A Benefit Concert For The Victims of the Japan Disaster』のオープニングで演奏されています。音源はこちら↓

・Squarepusher - ATP Presents Made In Japan Benefit, London - 2011 by keyfumbler | Mixcloud


東日本大震災に際してATPが開催したイヴェントで、おおよそこういうことには距離をおきそうな面々(LFOにFuck Buttons!)が出演していました。それ程の事態だったとも解釈出来ますが、手を挙げたひとたちの筆頭に彼がいたことを思うともう感謝ばかりですよ……。
ドラマーとのインプロセットだったそうで、イントロに続いての展開は『Just a Souvenir』や『Shobaleader One: d'Demonstrator』の流れを汲んだものになっていますね。途中聴こえる「This is for Japan, This is for Japan.」という観客の声も印象的。

それにしても……このヴァージョンの「Iambic 9 Poetry」を含むアンコールの楽曲、スタジオレコーディングしてリリースしてくれないかなあ。イントロとアウトロがあとから加えられたなんて思えない完成度です。いや、アンコールまるごとが、もとからこの構成…ひとつの組曲のようになっているかのよう。「Iambic 9 Poetry」はその第二楽章、「Tetra-Sync」が第四楽章と考えれば合点がいく。さまざまなコードやキーからあらゆる曲に繋いでいく技量はDJ的でもあるけれど、それを演奏で出来てしまうところは流石。だからこそライヴで、なのかもしれません。また聴ける機会はあるのだろうか……orz

そんなこんなで2009〜2011〜2015を後追いで繋げている最中です。この間ベースソロのインプロ作品を発表したり、Shobaleader Oneを展開させたり、ロボットのための楽曲を書いたり、ソフトを開発したり。一見バラバラのようだけど、こうやってみると各々の活動に次へのヒントが見つかる。彼からすると自然に、おおきな流れのなかを泳いでいるのでしょう。

そして決して本数は多くないけれど、このひとのライヴに対する愛着も改めて感じています。自分をステージで晒すのは苦手だけど、観客の反応はうれしいみたいな複雑さ。名前のとおりの生真面目さで、ステージをよいものにしようとせっせと準備してる様子も伝わりますし、実際ステージに立つと「皆楽しんで! 愉快になって!」といったテイでめっちゃ煽るし(しかもマイク通さずにな…地声デカい……)盛り上げますよね。それが「頭おかしい」といわれてしまうものに仕上がっちゃう。唯一無二ですね(微笑)。

センシティヴな感性を持つひとたち。コミュニケーションの手段としてアートを選んだ、才能あふれるひとたち。彼らが創作に没頭出来ますように。彼らの心が、闇で溺れることがありませんように。今はただただそれを願うばかりです。



2017年07月14日(金)
『フワリカ!!〜Crescendo〜』

エガワヒロシ PRESENTS『フワリカ!!〜Crescendo〜』@KOENJI HIGH

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イシヅヤシン
小林建樹
橋本孝志(the MADRAS)with 遊佐春奈(壊れかけのテープレコーダーズ)
エガワヒロシ with ミムラス
(出演順)
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近年はこのエガワさんとこか高橋徹也さん、山田稔明さんからの誘いしか受けない(しかも断ることも多い)小林さんが出演、ということで観に行きました。ご本人が「『Rare』を中心に唄う」と予告し、『Rare』が小林さんの作品との出会いだった自分としては期待と不安を抱えて高円寺へ。

期待はともかく不安とは? 『Rare』は、小林さんの日記にもあるようにかなりの難産だったアルバム。当時「ジャケ写に死相が出てる」とご本人がよくいっていたのを憶えています。内容もかなりダーク。しかし本人の苦手意識とは裏腹に、出来あがった作品はまさに名盤といえるもの。彼の代表曲ともいえる「祈り」が収録されているのもこのアルバムです。当時のライヴにおける演奏と歌は恐ろしく高クオリティなうえ、えもいわれぬ迫力がありました。MCでは毎回弱音を吐いてましたけどね(苦笑)。

現在ライヴの本数は少ないとはいえ(…)マイペースで活動出来ていると思われる小林さんが、『Rare』の楽曲をどう表現するのか? これが期待。当時のしんどさに引き戻されるのではないか? これが不安。果たしてどちらもあってこその小林建樹だと思わされた約40分でした。

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セットリスト
(暫定、順不同。あとで小林さんがアップしてくれることを期待…てか三日経ったらもうあやしくなっている自分の記憶力に愕然としている)
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01. ジョニー・クローム(g)
02. SPooN(g)
03. Rare(g)
04. 進化(key)
05. トリガー(key)
06. 祈り(key)
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(20170724追記:小林さんの日記にセトリがアップされました(『高円寺ライブ、来てくれて ありがとうございました!』)。よかった、あってた)

いちばん驚かされたのは「Rare」。ピアノの流麗なパッセージが印象的なリフレインをギターのコードに置き換え、カッティングで無骨に刻む。これだけでカラーがかなりかわる。水が土に…川の流れがジープの行軍になったくらいといおうか(何そのたとえ)。しかもそのカッティングにアクセントをつける。えっ、ここに? というところで強弱を切り替える。ここ数年の、決して多くはないライヴを聴いての印象ではあるが、近年の小林さんは変則/複合リズムにより楽曲がどう表情を変えるかを探求し続けているように感じる。通常ならバンド(複数人)によって成立させる構造の演奏を、ひとりで表現する試みでもあり……というと壮大だが、「ひとりでやったらこういうアウトプットになるんだよな〜」といったテイでサラリとやっているところが恐ろしい(実際の演奏に際しては、サラリとは程遠いレベルで試行錯誤を繰り返していると思われるが)。ラテン〜ファンクを背景にしたリズムをこうもポップに、清潔に表現出来るのか。

そのリズム感で『Rare』の楽曲群を聴けた。アレンジの妙と楽曲の潜在力、そして包容力を思い知る。これは他では聴けないな、小林さんの耳と腕、そして声あってのものだ。

そう、声がすごくてですね……。毎回感嘆するが、今回はいつにもまして声量も通りも圧倒的。ライヴそんなにやってないのに(しつこい)、あの声の抜けはなんなんだ。助走なしでいきなりトップギアみたいな抜けです。野太い声ではないのだが、芯がめちゃめちゃ強い。なんてえの、声でガラス割れそうよね。超音波的な意味ではなく、アタックが強い。そういう意味では竹を割ったような声か。そしてやはりリズム感が歌にも顕著。「進化」のスキャットパートの押し引きは、拍の起点を原曲とは違う箇所に加えていたように思う。……説明が難しいなあ、なんていえばいいんだろう。

それにしても今日の声すごいな、なんなんだ…と思っていたら、禁煙してたそうです。それが何故かは後述。動機からして一時的なものかもしれないが、どうかな? 最後に珍しく「“また”ライヴやるんで来てください」とひとこと。これも意味深。しかしうれしい、待ってますよ。

『Rare』のダークさに惹かれた者としてはライヴでこれらの楽曲を聴けたことがうれしかったし、現在の小林さんがそれを今のモードで力強く表現してくれたこともうれしかった。エヴァーグリーンのなかに新発見がある。プレイヤーは進化し、音楽はいくらでもそれに応えてくれる。や〜それにしても17年も前かね…時の経つのははやいものですね、と思いつつ、目の前で演奏する小林さんの見た目がそんなに変わっていないのが恐ろしい。恐ろしいばっかりいっている。

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エガワさんと小林さん以外の出演者は初見。エガワさんが「小林くんの音楽を好きなひとに紹介したい」とオファーしたというイシヅヤさんは、独特な視点からの歌詞がその声を得て物語になる、ストーリーテラーな歌い手さんでした。格好よかった。橋本さんはオガワさん曰く「少年のような声」で、その表現力とともに引き込まれた。で、その橋本さんが何度もMCで言及したのはエガワくんがお休みに入ることについて。

そうなのです、『フワリカ!!』は今回でひとまずおやすみ。エガワさんが作家(詞曲提供)活動に専念するため。何度も「やめるんじゃなくていったんとめるんです。必ず復活します」と仰ってましたが、過去のお休みとは種類の違う空気がありました。何せエガワさんの出番前のセッティング中、あの小林さんがMCに出てくるくらいでしたから。進行担当の小林さんてどんだけレアよ。「エガワくんがしばらくライヴをとめるというので何か出来ないかなと考えて、今日のライヴは二ヶ月禁煙して」臨んだとのこと。そういうことでしたか。「めちゃめちゃつらかった」そうです、ははは。「禁園」という曲をつくるくらいタバコに愛着があるひとなので、いつ迄続くかな。

さて呼び込まれたエガワさんは明るくふるまいつつも、感極まる様子がはしばしに。「歌に集中したい」と演奏はアクセントのグロッケンのみ、ハンドマイクでエモーショナルな歌を聴かせてくれました。「演奏なしで歌だけってこれだけ声出るんだ、こんなに楽なんだ!」としばらくライヴの予定がない今回初めて気付いたみたいなことをいっていた(笑)。次回からはヴォーカル専任だね! そりゃいつだ! しかし自らいうだけあって、この日の歌には気圧されるものがありました。身じろぎすら許さない訴求力。

最後は出演者全員でセッション。小林さんが「(転換時のMCでは)自分のことばっかり喋っちゃったけど」と珍しく気にしいなことをいったあと、「僕は二年ライヴをやらなくても『休む』とはいってない」「やめたらいけない」とぼそり。小林さんがこんなこといっちゃう程、今回のお休み宣言には重みがあるんだな…説得力あったなあ、あの言葉……。なんか一瞬シーンとしちゃいましたもん。それに明るく応じたエガワさん、やはり思うところはあったようで「作家活動できちんと結果を出したいからこその休み」「必ず復活するから」といっておりました。

全員揃ってのセッションは、大瀧詠一「君は天然色」、佐野元春「SOMEDAY」のカヴァー。おおおい小林さんの声で山下達郎(既出)と大瀧詠一の楽曲を聴くという夢が叶ったぜ。感無量です。音楽に魅入られたひとたちが集ったよい夜でした。



2017年07月12日(水)
愛すべき実店舗の話

ウチのtwitterをご覧になっている方はご存知でしょうが、四月にShobaleader Oneを観てからというもの、Squarepusherにズッパリはまりなおしています。『Just a Souvenir』以降疎遠になっていた。おれがわるかった、もう目を離さないようにしますと空白の数年間を埋める作業として過去のインタヴュー等を探しまわり、芋ヅル式でデビュー〜『Ultravisitor』前後の記事なんぞも発掘している最中です。

で、やはり時代の流れを実感するというか、『Ufabulum』リリースの頃くらいからwebの記事がドッと増えるんですね。逆に雑誌等の記事を探すのがすっごいたいへんというか、そもそも洋楽誌がないよという。彼が載りそうな雑誌ってもうrockin'onくらいしか残ってない。SNOOZERは一時期タナソウが執着? してくれてたので往復書簡が恒例になってたくらいですが(『Ultravisitor』時のインタヴューは、混乱していた時期のトム・ジェンキンソンという人物が垣間見えるとても貴重な記事だったと先日読みなおしてしみじみした)、今はもうない。remixもloudもない。あとはTVBros.くらいか?

そのうち小野島大が「rockin'onで『Damogen Furies』についてインタヴューした」とFBに書いているのを発見したので、バックナンバーを探しに行くことにしました。しかしまー、こーれーがー見つからない。まずバックナンバーを常備してる書店が少ない。あっても2〜3ヶ月前の号数冊しかない。そして音楽誌専門の古本屋がごそっとなくなっている。神保町界隈や中野ブロードウェイに行けば大概あったのに……って、そもそもバックナンバー探しに躍起になること自体が十数年ぶりなので、書店事情も変わってるよなあ。通販サイトは結構あるんですよね、実際号数がわかってるものは通販で集めている。しかしこのrockin'onに関しては二号連続でレヴューとインタヴューが掲載されているとのことだったので、中身を確認して買いたかったんですね。で、今も実店舗がある神保町の某店に行ってみたのです。バックナンバーを探し求めたことのあるバンギャなら誰もが知ってると思われるあのお店です。洋楽誌も豊富にあるとこです。

果たして目当ての号がありました。シュリンクされていたので、レジにいたちょっと怖い感じのおっちゃんに「中身を確認することは可能ですか?」と訊いてみる。「二冊迄なら開封していいですよ。表紙に載ってない? なんてアーティストですか?」と返される。「ええ、特集ページではなくレヴューとインタヴューが数ページ載っているみたいで。…スクエアプッシャーというテクノのアーティストで……」。

テクノか? エレクトロニカ、いや今ならエレクトロニックミュージックかと数秒のうちにいろいろ考えたがそんな細かいこというてもな、まあいいや。すると「おぉお、スクエアプッシャー?!」と予想外の反応。ああやっぱこういうお店だもの、名前は知ってるよねえと思っていると、たたみかけるように「ショバリーダー・ワン!」ときた。今度はこちらが「おぉお、ご存知ですか?!」と色めきたつ。社交辞令でもうれしいわあ、なんて思っていると、レジの後ろを向いて何やらごそごそしている。すると店内に聴きおぼえのあるギターの音が……『Elektrac』の「Squarepusher Theme」やん。おおおおおい、即出ししてきたってことはプレイヤーに常備してるってことで(ストリーミングにしてもプレイリストに入れてるだろって速さで出してきたぞ)普段から聴いてるひとやん。

「ちょ、BGMが(笑)お好きですか!」「もちろんですよ〜やばいですよね、人力でこれやっちゃうなんて頭おかしい!」「ですよねえ、頭おかしい」「ベースはアレだから当然だけどドラムがもう!」「ですよね!」「人力で出来ると思わないでしょ、あれ(原曲)聴いてたら」「ですよねー、出来るんだっていう……思いつくだけならまだしも実践しちゃうんだから」。頭おかしいが賛辞で通じる、ベースはアレ、が通じる。「ソニマニ行けないか考えてて」「あ、行きます〜」「いいなー。これ(ショバ)をライヴで観れたらやばいですよね。今年のソニマニ、サマソニよりもいいんじゃないかって」「ですよね〜、あのメンツだともう……」気付けば「ですよね〜」ばっかり、ワカル(©夜廻り猫)のようになっていた。

話し込んでるうちに次のお客がきたので、お互い笑顔でお勘定。いやーもともとこの辺りが好きな友人やライヴ会場以外でスクエアプッシャー好きなひとに初めて遭った…うれしかった……。そして最初におっちゃんと書いたがこの話題の合いっぷり、きっと同世代だわ。失礼しました。他にもいろいろ話したんだが、「これが好きだからやっている」ひとの顔を直接見て、話が聞けて楽しかった。情報の羅列だけでは知ることの出来ない、ものごとの枝葉に気付かせてもらえる。実店舗ってやっぱりいいな、と思いました。

長々書いてしまったが、日記として残したかったので。おっちゃん有難う、音楽好きを迎えるお店がここにある安心感。うれしかったしたのもしかったです。また行くね。

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ちなみに『Damogen Furies』関連の記事は、ele-kingがwebと誌面の合わせ技で攻めてて流石に面白かった。野田努たよりになる。そして通訳を務めた坂本麻里子の力か、トムがリラックスして話してる感じなのがよい。
・ある意味悪夢、強力な幻覚剤 ──スクエアプッシャー、ロング・インタヴュー

とまあスクエアプッシャーについても書き残しておきたかったので。自分がいちばん音楽にドップリだった時期に現れた「若き天才」が、今も第一線で革新的な活動を続けていることについて素直に感嘆するし、その道のりについて改めて知りたいと思っている。

そして文献を漁りまくっている現在トリビアも増えまくっており、二次創作の予定もないのに年表とか作りかねない(笑)。



2017年07月01日(土)
『PLAY VOL.44』

『PLAY VOL.44』@Shibuya La.mama

話し込んでて遅刻、ライヴの内容についてはあんまり書いてません(…)。

今月末には2012年以来のフジ出演が決まっているmouse on the keys。そもそもmotkが今年のフジ行き決定打だったんですが、先日発表されたタイムテーブルを見て当方白目になりました。4:15スタートて。夕方じゃありませんよ、夜中というか明け方ですよ。宿が越後湯沢の客は諦めろという宣告ですがな(下山する最終バスがだいたい1時、登山する始発バスが6時)……完全に読みが外れた。レッドかFOHの朝イチくらいだろうと踏んでいた。で、新幹線も早めの時間を予約していた。6月頭にPLANET GROOVE枠で出演ということが判ったときも、やべー夜中じゃん、でもきっと早めの出番だよね、最終バスには間に合わないかもしれないからタクシー予約するかなんて話してた。それがよりにもよってトリ…トリっていうか……。

いっそのこと越後湯沢に着いたらホテルで夜迄寝とくか、上りの最終バスで会場入りするかなんて力なく笑ってましたが、そうすると昼間のアクトを殆ど諦めることになるわけで、それは無理。しかし宿に戻らず一昼夜遊び倒せる体力はもはやありません。motkのメンバーとほぼ同世代のとしよりをいたわってくれよ。てかメンバーも夜明けの出番だと会場入りはいつなのかしら、昼間のアクトを観たり出来ないのかしら。

というわけでmotk好きにはすっかりおなじみ『PLAY』シリーズ、フジの前哨戦か。前回の『PLAY』って何が出たんだろ〜と調べてみたら3月のmotk × DJ KRUSHでした(笑)。もはやセミレギュラーですね。MCから判断するに、対バン相手は先に決まってる方が指名出来るっぽいんですが、今回はmotkがKlan Aileenを呼んだようでした。Klan Aileenは翌日LITEとも対バンしていたし、このあたりはもともと交流があるところから紹介されたり、ラママからの推薦があったりするのかな。出順は臨機応変? この日はmotkが先攻。

で、やはりフジの話題です。川さんも苦笑しきり。「一日目のトリなんでね。一日目だからまだ皆体力残ってるだろうし、盛り上がるんじゃないですかね〜……というかいやがらせのように盛り上がろうと思いますけどね」とかいうてました。「Warp RecordsのCLARKのあとですからね」。そうだよCLARKも観たかったよ…Arcaもそうだし、今回は目当ての半分以上が夜中のプログラムに持っていかれたよ……。

さてこの日の演奏。遅刻した割に端っこのいいポジションに入れまして、特に川さんのドラミングをほぼ正面から観ることが出来ました。シンバルのミュートのタイミングとか、普段なかなか見られないものだったので面白かった。「soil」の川さんと清田さんのやりとりの艶かしさについては過去何度も書いている憶えがありますが(笑)、今迄川さんの背中越しで清田さんの表情を見る側にばかりいたんですね。今回川さんの表情が見える位置だったので、あーこういう顔でやりとりしてたんだーとニヤニヤしました。色気のあるシーンですね。あと「toccatina」のイントロが今迄とは違うジャジーなインプロになってて新鮮だった。昨年からの怒涛のツアーの成果か…その成果をフジでも披露する筈で……さ………。

Klan Aileenは初見。BO NINGENも所属するMAGNIPHのアーティストということで気になる。Vo/GとDrsのふたり編成でしたがエフェクターを駆使、GだけでなくVoのエフェクトも自分で操作してた。立って唄ってしゃがんでスイッチをいじり、また立ってペダルを踏みかえて…と見ているだけでもそのせわしなさにハラハラドキドキ。操作が忙しいので唄っていないときは殆どエフェクター類とギターを凝視、よって文字通りのシューゲでした。Drsもしっかりした8ビートから変則リズム迄色とりどり、途中スティックを飛ばしちゃいましたが慌てず対応するあたり、場数踏んでいるのかなと思ったり。面白かったです! これから観る機会が増えるかな?