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2014年03月30日(日)
『成河一人会〜稽古場への招待〜』

『成河一人会〜稽古場への招待〜』

公開稽古の形式で、ひとり芝居やひとりミュージカルを見せて頂きました。稽古場見学みたいなものかな、面白そう、と気軽に申し込んだらサイン入り写真の手渡しと握手会がありますとお知らせが来て狼狽える(笑)。昼の部に参加しました。

スタジオにパイプ椅子が並べられ、セットらしいものは黒い幕で包んだ高座のみ。二畳くらいかな。マネジャーさんから挨拶と今回の企画の説明があり開演。と言っても稽古場なので、地続きで始まる感じです。スタジオ内にあったついたての裏から成河さんが走り出て、軽快に高座に飛び乗りパッと正座の姿勢。その間二秒くらい?あれみたいだった、『義経千本桜』源九郎狐の登場シーン。上下白(白いシャツに白いパンツの稽古着)だったしね。裸足で軽やかな仕草。わ、ホントに『真夏の夜の夢』のパックみたいだ。「ずっとここに隠れてたんですよ〜(笑)」。スタジオなので控え室はなく、開場したときからずっとついたての向こうに潜んでたんですね(笑)。うわ〜近い、男性もいますね!なんかこういうの初めてなんで緊張する、と言ったようなことを矢継ぎ早に話し、すっと場を持って行きました。

稽古場は恥をかく場所だと思っています、恥を見せると言うことは共演者への信頼の証だと思っています。それを今回見て頂ければ、とのこと。そうか、それを観客にも見せてくれるのだ。とても貴重で有難いことだし、観客をも信頼してくれたのだ、と嬉しくもなりました。

世間話のようにプログラムの説明を始める。ひとり芝居とひとりミュージカルをやります。まずはひとり芝居。作品を知らない方のためにとあらすじを語り出し、さていよいよと言う瞬間…テンション高い台詞を豪速球で投げてきた。息つく間もなく作品のなかへ。間近でスウィッチングの瞬間を観られて鳥肌。

主要ふたりの他にも十人近い人物を演じていったのですが、これがまた…性別も年齢も職業もさまざまな登場人物たちへの切り替えが早い早い、照れている暇などないのです。恥を見せると言うことは、迷いを振り切ると言うことでもあるのだなあと思う。ひとつの作品からある場面を抜粋したものなので、どこ迄やるのか判らない。テンションはどんどんあがっていく、顔が紅潮し、シャツに汗が滲んでくる。なのに台詞は終始クリアで醒めている。稽古場なので客電(と言うか地明かり)は勿論つきっぱなしだったんだけど、あまりの迫力に涙するお客さんが沢山いました。

正座に戻る。ニコッと笑う。あ、ここ迄か。我に返った観客から拍手が起こる。すごかった……。

ミュージカルナンバーはふたつの作品から選曲。しかも前半はマネジャーさん曰く「ミュージカルの歌は台詞なので、台詞として聴いて頂きたい。敢えてアカペラでやります」とのことでオケなし。唄い出す前スマホでキーを確認し、曲間「これがまた面白いんですよ〜これもひとりでやるんですよ〜」と自分ツッコミをしつつあらゆる役柄をひとりで演じ分けて唄っていくマヤっぷりです。うわあ「役者って生きもの(@つかこうへい)」だーと恐れ入るばかり。役の顔と、演じ終えたあとのてへって笑顔のギャップが激しい!怖い(敬意を込めて)!休憩時ぱたぱたっとトイレに駆けて行く姿すら尊敬の眼差しで見てしまったわ……。

二度のトークコーナーでは四日前の誕生日を祝うべくハッピーバースデイの歌でお迎え。ご本人には内緒だったのですごいおろっとなってた。おろっとなり乍らケーキの上のイチゴをつまんで食べてた(笑)。伊礼彼方さん、浦井健治さん、井上芳雄さんからの音声メッセージが流れてうひーってなってた様子もおかしかったわー。キス魔だとかおしゃべり好きとかってコメントが流れる度に「何言ってんだ」とか「やめて」とかエア返事をしていた(笑)。芸能界に友達殆どいなんだけど、彼らはその少ない友達…みたいなこと仰ってましたが、その少ない友達がミュージカル界隈ばかりなのな。井上さんと出会ったことでミュージカルへ興味を持つことが出来たと言ってました。『アジア温泉』での歌も素晴らしかったし、これからミュージカルへの出演も増えていくかも知れないですね。

最後に“あの”口上。役者と言う生業を選んだ彼が語るあの台詞は、あらゆる人物、人外、何にでもなれる役者と言う生きものの言葉でもありました。閉会の挨拶からふっとこの台詞に入り、不意打ちだったこともありこちらもほろり。この台詞を語る役を演じられるひとは選ばれたひとで、彼はそのひとりなのだ。

退場のときちょっとお話出来ました。緊張した…ホントに目がくりっくりでキラッキラしてた(笑)。綺麗な瞳でした。

・成河一人会20140330 - Togetterまとめ



2014年03月29日(土)
『空ヲ刻ム者』千秋楽

『空ヲ刻ム者 ―若き仏師の物語』@新橋演舞場

前半観たときよりいろんなところの抜けがよかったなー、やっぱりこの作品好きだ、私は。猿之助のお楽しみ会に過ぎないとか言ってたやつのことは根に持つことにした(笑)。

と言うのは冗談としても、観念的、哲学的なものを追求したい思いと、歌舞伎の外連をエンタテイメントとして楽しんでもらいたいと言う興行的な面のバランスの間で悩む座頭、と言うイメージも浮かびました。その悩める姿が今作の主人公・十和と重なるところもあった。そして、その困難をも楽しんでやると言う気概も感じた。これは前述の「お楽しみ会」とはニュアンスが違います。

千秋楽なので何があるか判りませんよ、なんて口上では言っていたけれど(そして実際浅野さんがいつもと違うことをしたらしく猿弥さんが動揺していたけど・笑)、所謂おふざけはなく、ストーリーをしっかり伝えるよう、丁寧に進めていっていたように感じました。台詞ひとつ、仕草ひとつとっても前半観たときとは印象が違った。湿度があると言うか、登場人物たちがひとりの人間として生きている厚みが増していた。死を間近にした伊吹をいたわる十和の場面には涙しました。自分を慕い、腕とともに好きな仏を彫る夢をも差し出した伊吹への慈愛と後悔に満ちた十和の仕草、美しく悲しかったなあ。

千秋楽と言うこともあり観客の反応もよく、現代劇の役者の方々にも大向こうが飛びまくっていました。宙乗りで猿之助さんと蔵之介さんが手を繋ぐ場面では黄色い声がとんだよー。ホントにキャーッて声が飛んでた(笑)。一回目は三階席、今回は二階席上手寄りの席で観たので花道もよく見えた。大詰めの戸板倒しのところ、花道では猿之助さんと蔵之介さんが見得を切ってたのね。これ三階席からだと見えてなかった、二回観てよかったわ。

カーテンコールは四回。二回目では黒衣さんや裏方さんも登場させ、役者は全員ひとりひとり礼をするように促す猿之助さん。客席から前川さんも呼び込みました。前川さんが歌舞伎の舞台に立ってる!これにはアガった。三回目からは猿翁丈が登場、どよめきと大歓声が起こりました。見る度にちいさくなっていくようで胸がぎゅっとなる。毅然と手を振っておりましたが、椅子から立つことはありませんでした。猿之助さんがしっかり寄り添っておられました。全てが終わり観客が出て行く。その顔、顔を眺めるのが好きです。いい千秋楽のあとに必ずある、独特の高揚感が客席にありました。

そんでまあ、ほら、現在新世界脳なので、歌舞伎界いや松竹?がゴールドムーンなら猿之助一門は北大門組だわ!と言う頭のおかしな妄想も浮かびましたよね…いろいろ思うところあるわ……(〆がこれか)。



2014年03月27日(木)
『新しき世界』三回目

『新しき世界』@シネマート六本木 スクリーン2

一回目大雪、二回目大雨、三回目雨上がりの日に観たことに。なかなかよいシチュエーションではなかろうか。

沼先輩の方々のおかげで、シナリオの一部や新たな論考を読むことが出来ていますー有難い!そっからリピートするとまた発見があるのよね。そして六本木では初めて観たが、言われていた通り確かに画面が綺麗、クリアだった。以下おぼえがき。

・そーなのよ天気!すごい象徴的
・雨なー。兄貴がひと殺すときは雨が降ると考えれば、やっぱり会長の事故は兄貴が…と思うわ……
・チャンスギがいい天気だーつってて、確かにそのときはすごいいい天気なのにだんだん曇ってくるのな
・だんだん山に雲がかかってって……
・ジャソンが終盤見上げる青空のことも考える
・ジュングの言う「死ぬにはいい天気」のこともなー。ああ……

・チャンスギたちが話してるゴルフ場レストランのBGMで「帰れソレントへ」がかかるのもなんか暗示的だよなー
・天気といい煙草といい流れる血といい、暗喩がいっぱいある!

・観れば観る程ジュングのことも考えちゃうよなあ。業務が汚れ仕事メインだし、チョンチョンに対抗意識燃やすの解るわ
・俺だって組のためにいろいろがんばってんのにー!
・ステーキ朝食会でもなんか…部下もそうだけどマナーが悪いって言うか、成り上がってこうなりましたんで食事のマナーは知りません、でも金と権力は手にしたからこういう食事出来てんだぜーのアピール感すごい

・課長が葉っぱちぎっちゃったのはアドリブなのかなあ
・あっちぎっちゃったやべーって顔する(この顔がまた微妙でよい)んだけど、いろいろ意味がありそうだな
・はあ…課長……オイディプス王の図式だとはよく言われてますが、殺される立場の父親、と言う「ああ、親父の背中小さくなったなあ」って感じがね……
・しかし最後にはそれを受け入れているように見える。それがまたせつない
・こうやって繰り返されるのか、それともジャソンのような人物が世界を変えて行くのか。ジャソンの息子は死んでしまったので、まだ彼は父にはなっていない

・ソンムの様子注意してるとホント面白い…単独ショットだけでなく、チョンチョンとジャソンが話している後ろでぼやけて映ってるところも多くて、表情とか仕草とかいちいち気になる
・ジャソンの子供に乾杯する前後のシーンで、兄貴がジャソンみたいにブサイクな子じゃありませんようにーて言うところでプッと笑ってたりすんの
・この辺り、このファミリーの上下関係が他の組とは違う成り立ちだと言う示唆にもなっている
・ジャソンより立場が下であるソンムがチョンチョンの言葉のあとをついで「奥さんに似た子が生まれますように」と言ったり、チョンチョンがソンムに「座ったままでいい」と立たせず自ら酌をしたり
・韓国華僑である繋がりを持ち、彼らを抑圧し差別する他の組とどう闘ってきたか、どう闘っていくかが垣間見える
・そして最終的に、頂点に立ったのがジャソンな訳で…彼らは韓国の古いしきたりを打ち破る新世代でもある訳です

・字幕になってない部分の意味とかも教えてもらってたので楽しい。少女時代とか、ポッポとか、ブンガブンガとか、ショクショクとか(笑)
・「兄貴の奥さん」もシナリオだと普通に「姐さん」らしい。いろんな意味にとれるなあ
・ところで無知な質問なのですが、兄貴が小銭チャリチャリしてるとこシナリオではくるみ転がしてるんですね。この変更にはどんな狙いがあるのだろう。これ、中国でおまじないの意味があったりするのでしょうか?
・と言えばシナリオ…いかにチョンチョンのキャラクターがファン・ジョンミンによって立体的になったか、命が吹き込まれたかがよく判る
・監督もその辺りは楽しんでいたのではないかな
・シナリオのチョンチョンは「パッパラパーン♪」とか言いそうにないわ(笑)てかあのシーンで「パッパラパーン♪」とか言うの怖過ぎ
・兄貴は『ダンシング・クィーン』でも「ディンドンダーン♪」つってたり唄うのが好きねーかわいいねー(そこか)

・つったらイ・ジョンジェの無表情の機微がまた素晴らしい。こういう表情はその役者のものでしかないもの
・特に兄貴の葬儀の場面がすごい。憔悴しきった喪主の顔、ある思いを持ってチャンスギを見詰める顔、延辺の物乞いを見やり、暗に指示するところ
・淡々としたその表情と目の光で、自分のなかの怪物とやりとりするような顔。その怪物を解き放つと決意した顔

・そして、シナリオからはジャソンの奥さんの描写がかなり減っているんだなあ
・この辺り、「父」と「兄」の間で悩む主人公を強調したかったのかも知れないな
・描写が少なくなった分、ふたりのこどもが失われたことがより重い陰となったように思う

・ホンの内容と役者の演技が素晴らしいのでついついそっちのことばかり書いてしまうんだけど、演出と編集もすごいよねと改めて思う
・さまざまな場所で起こっていることを上手く整理して時間の流れも混乱しないように並べて行く、そのテンポのよさ
・監督二作目なんだっけ?もはや手練ではないか
先日書いた、ジャソンが裏切ったと勘違いした課長がジュングにチョンチョン潰しを仕掛ける展開、そして葬儀後のジャソンの動きとギアチェンジも自在。この流れホント息を呑む、呑み過ぎて呼吸するの忘れそうになる(笑)

来週迄やってるのでもう一度は観たいなあ。帰宅してニュース見てたら仁川空港が出てきてニヤニヤ。新しい羽田空港のモデルでもあるんですって。

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メモ。

・『新しき世界』パク・フンジョン監督インタビュー('신세계' 박훈정 감독 인터뷰 - 익스트림무비)
・エキサイト翻訳

・『新しき世界』チョン・チョンとイ・ジャソンの名に込められた秘密とは?('신세계' 정청-이자성 이름에 담긴 비밀은? - 뉴스판)
・エキサイト翻訳



2014年03月25日(火)
『オトナの銀英伝ナイト Part1〜ヴァーチャル・ヒストリー「銀河英雄伝説」の世界〜』

『オトナの銀英伝ナイト Part1〜ヴァーチャル・ヒストリー「銀河英雄伝説」の世界〜』@六本木 Bee Hive

発表時のアオリが「卿にはこの会に参加する資格はあるか」とか「コアファン必見」とかハードル高くて、うへー怖い、私参加する資格なくね…?と思ったんですが、構成演出がスズカツさんだと言うので思い切ってチケットとりましたヨ!て言うか自分の親しんでる分野に好きなひとが乗り込んでくると結構狼狽えますね…マジでビックリした……ザズゥシアターにヨタロウさん初参加したときくらいヒーッてなりました。

ここで個人の情報を語っておくと、原作はノベルスの三巻辺り(巻数表記がアラビア数字ではなくローマ数字だった)からリアルタイムで読んでいて、好きなキャラクターはシェーンコップとロイエンタールです。フリカッセって料理を初めて知ったのはこの作品の白兵戦描写からですヨー、人肉フリカッセ!で、八巻でヤンが、九巻でロイエンタールが死んじゃったことにガックリきて最終巻を数年読めなかったん…です……よ………。ずるずる読まずにいるうちにシェーンコップも死んじゃうよーと噂も耳にし、ますます手が伸びなくなる。結局読了したのはいつだったか。相当ブランクあった。

その後展開されたアニメやら舞台やら宝塚やらパチンコ(パチンコにもなってたんだよ、すごいよね!)やらは通っていません。原作が好き過ぎて他は認めないわ!ってことは別にない…のですが、なんか、手が出なかった……。と言う程度のファンです。あーでも、清原昌美/赤坂好美さんにはとても影響を受けました。と言うか、男子バレーから知ったこの方の現在の活動、ってことで銀英伝と出会ったんだもの。田舎の女子高生にすごく親切にいろんなことを教えてくださった(当時はwebなんかないから手紙でな!)。今でもこの方の絵でキャラクターが動くと言っても過言ではない。

ああもうここらへん、わかるひとにはわかるとしか言えないですハハハハハ。そんなレベルのファンが書いた感想だと言うことをお含みおきください(こわごわ)。

で、今回の公演は原作テキスト好きには結構しっくりくるもので楽しかった。自分の持っているヴィジュアル情報が少ない(それこそ清原さんの絵くらいしか・笑)ので、登場人物を自分の好きな顔で想像して聞けるヨー!第一巻『黎明篇』を主軸に、物語の歴史解説とヤン語録で構成されたテキストを陰山泰さんが朗読し、効果音や音楽を大嶋吾郎さん、木戸やすひろさん、久保田陽子さん、鈴木佐江子さんらのコーラスグループがつけていくと言うライヴ感溢れる構成。近年サラヴァ東京でスズカツさんが開催しているリーディングシアターのノウハウが活かされていました。得意とするカット&ペーストの構成力にも唸る。

ヤン語録で構成されているので同盟視点からの内容。こうなると帝国側の登場人物の言葉で構成されたものも観たくなる。登場人物はそりゃもうものすごい数なうえ、皆さん数多の名言を残しているとくる。シリーズ化を期待するなと言う方が無理ですね。壮大な物語のダイジェストを見せるのではなく(スズカツさん曰く「そんなの無理!」)クロニクル紹介によってその後の展開に思いを馳せることが出来た今回の構成は、絶妙な作品のプレゼンテーションにもなっていました。

個人的には原作を読んでいた当時より切迫感が強くなった箇所もありました。勿論、そこを教訓が〜とか啓蒙が〜とは思いません。自分のなかで戦争の予感が近くなっているから気になるのだろうな。本文中に出てくる単語を淡々と並べて行くシーンがあったのですが、その単語ひとつでパッとその場所の様子や人物、階級や家族がぞろぞろ数珠繋ぎで思い出されていく脳内ゲームも楽しめました。それこそ途中から「フリカッセって言わないかなー」なんて思ってた(笑)。あとやっぱ「ムライ」は異彩を放つのですごく耳が惹き付けられる(笑)。

朗読のタイミングに合わせて大嶋さんがキューを出し、コーラスのタイミングを合わせていたのですが、大嶋さんはイヤーモニターをしてiPhone(iPodかも)に繋いでいた。インプロの部分もあったのかな、どうやっていたか知りたいなー。ボブ・ディランの「Blowin'in the Wind(風に吹かれて)」をメインテーマに、スズカツさんらしい選曲でこの辺りも楽しかったです。

このリーディングが一部で、二部は田中芳樹さんとスズカツさんのトークイヴェント。司会は今回の公演を企画した安達裕章さん。うわわ、田中先生初めて生で見た…動いてる、喋ってる……。書いてもいいかなと言うところをちょっとだけおぼえがき。記憶で起こしているのでそのままではなく、話も前後しています。

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す:オファーを頂いて、安達さんから全巻送られてきて読みました
あ:こちらとしてはスズカツさんにやってもらえるなんて、願ったり叶ったりで夢のようでしたよ
(そう、ここが気になってたのー!経緯が判ってスッキリ)
す:これをダイジェストでやろうなんて無理!と思った。僕としては説明があまりないものが好きなんです。物語はお客さんの頭のなかに入っている訳ですから、テキストや音から想像してそれぞれの銀英伝を楽しめるような、記憶を呼び起こせるようなものをやってみたいと思った。回を重ねるごとにダンサーが入ったり楽器が入ったりするのもいいし、可能性が沢山ある。
あ:本当に長くこの作品を愛してくださってるお客さんが多いんです。ほんの少ししか出番がなかった登場人物のことを憶えてらしたり、台詞をそらんじていたり

あ:マニア向けと前振りしていたので、こちらが足元にも及ばないくらいの思い入れを持ったお客さんばかり来るだろうし、今更これを売ってもな〜と思いつつ物販に『黎明篇』を二十冊持ってきたら、即完した(笑)三十冊くらい持ってくればよかった!
(考えてみれば自分もノベルスでしか持ってないし、文庫版とか新装版とかだったら買いたかったかも)

あ:僕が勝手に企画を進めていたんですけど
た:この日は空けといてください、六本木に来てくださいと。六本木なんて日本のヨハネスブルグでしょう、そんなとこに……

す:演出家は自分で何もすることがない。こういう舞台が観たいな〜とスタッフに提案すると、役者が体現してれるし、照明家が明かりも作ってくれる
(この辺りスズカツさんが常日頃主張していることですね)
す:なので、作家はどうやって物語を生み出しているのか知りたい。朝書いてるのか昼書いてるのか、生態を知りたい(笑)
た:決まってないんですね。小人さんが書いてくれる。十人小人がいると思われているようだけど、五人くらいかな。起きて、ねこにちくわをやって、魚肉ソーセージは食べないのでちくわを……(ふわふわ)
(その後『アルスラーン戦記』を脱稿した翌日に大雪が降り、宮崎にいた安達さんがあたふたした話で大ウケ)

あ:で、当日パンフレットに書いていますが、次は秋に。まだスズカツさんにも言ってません、て言うか今言いました(笑)
す:(笑)てことは次を構想してもいいんですね!

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ゆっくりゆっくり話す田中先生。一言も聞き逃すまいと耳を澄まし、ひとこと毎に頷く観客。貴重な時間でした。楽しかった!



2014年03月22日(土)
『万獣こわい』

ねずみの三銃士『万獣こわい』@PARCO劇場

♪四〜五年毎にやってきて、なんとも言えない三人が、なんとも言えないゲストを迎え、なんとも言えない芝居をやる〜♪(歌詞ところどころおぼろです)ねずみの三銃士でございま〜す。そもそもタイトル知ったとき、万獣って女性と女性器に関係するだろうな〜くらいには思っていてですね…なにせねずみの三銃士ですから。そっから考えて、キャスティングされた女優は相当大変だろうなと勝手に思い込んでおりました。果たして何割かは当たっていたような。クドカン冴えてる。と言うかクドカンの書くもの、この路線が自分の好みなんだな。彼が女性の恐ろしさを描くとこうなる。人間の弱さを描くとこうなる。

そして河原さん、今となっては裕美さんばりに信用出来る演出家です。導入、ドラマの見せ場、観客をショウとアップサイドダウンへ巻き込むリズム感。そのどれもが絶妙で退屈させない。非常に後味の悪いなんとも言えないストーリーを、エンタテイメントとして見せきる腕前に感服。それを見事にロデオした役者陣にも感服。以下ネタバレあります。

実際にあったふたつの事件(北九州監禁殺人事件尼崎事件)をベースに構成したと思われます。密室で起こる事件、当事者にしか理解し得ない状況。実際に手を下さず、望みのままにひとの命を操る人物は、どうやって罪に問うことが出来るか?罪悪感のない人物に、その罪を理解させることが出来るか?主犯の心理状態は憶測でしか語られず、周囲の人間の言動で状況は動いていきます。個人的にこの手の事件には興味を持ちがちなので(…)関連文献は結構読んでいた。序盤でうわー、これは相当後味悪いだろうな、と覚悟を決める。基本的にものごとを悪い方へと考えるタチなので、マスターとその妻の間に生まれた娘もきっと「そんなつもりはなかったのに」虐待されて死んでしまうだろうなあ、くらい迄考えました。最悪…だけど、実際その芽はあったよね。マスターのあの台詞は、そこ迄考えて書かれたものだと思う。

で、こういうエグい話はその“主犯”が相当ふっきれてくれないと実感が伴わないものです。夏帆さん、よかったエグかった。エグい役やってます、と言うがんばりが透けないとこがいい。この女優もともとこういう資質があったよねと思うことが出来る。これは河原さんの演出も貢献度が高いと思う。そして実質主役と言っていいのではないか、小池栄子さん。品質保証としても強いと言うか、ああこのひとが出てれば大丈夫だな、と思わせてくれる女優さんですが、今回は巻き込まれ型、受け身の役柄なのに存在感が際立っている。一芸披露的な場もさらっていくし(物まね王座決定戦、一瞬あれ旦那さんかと・笑)ボケやツッコミと言った間も巧い。小松和重さんは冒頭の落語スタイル含め観たいものを観せてもらえた!と言う感じでお得感がありました。

ねずみの三銃士の三人は、自分たち発信の企画であり乍ら(あるからこそ?)ゲストをたてるようなポジションになっている感はありますが、その分もともとの資質がにじみ出るようなキャラクターを嬉々として演じているように感じました。嫁に頭があがらないのにフラフラ若い子に寄ってしまう生瀬さんの情けなさ、笑顔でひと殺しそうを地で行くような古田さんのおっかなさ、ふたりの間を軽妙に跳び回り、一歩退いた立ち位置で戦況を見極める成志さん。三人のやりとりを観られる楽しみもあります。一箇所古田さんが本気で台詞を忘れたらしい妙〜な間があったんだけど、そのときの生瀬さんのツッコミ、それをニヤニヤ見ている成志さんの図とか、面白かった(笑)。

それにしても『ダンシング・クィーン』を観た翌日にエセABBAショウを観ることになろうとは…(曲構成がまたね、絶妙だったよ!)て言うか河原さん、こういうシーンのスピーディな展開ほんっとに巧いよね!つくづく思うが舞台上の交通整理がほんっと巧い。その技量をさりげなく使って派手なステージをブチあげるところにも唸る。『TEXAS』のとき舞台サイズにピッタリの解像度を持ってくると書いたけど、今回はより解像度高めだった感じもしました。で、それは今作がそれくらい過剰に舞台に載せた方がよいと言う判断だったのではないか。劇場のサイズをはみ出すような音の大きさがよかった。客入れでトレント版の移民の歌を流すとこも最高だね!

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そうそう、ハプニングなのか演出なのか判らない箇所がありました。序盤成志さんが客席にどかどか入って来て「空席がこわい〜!」とその席を着ぐるみの長い腕でバシバシはたきまわるシーンがあるんですが(めっちゃ至近距離で、あのメイクともども怖かった・笑)、その席、しばらくして遅刻してきたひとが座ったんですね。周囲のひとたちは「きたきた。このひと自分の座席が非難されてたこと知らないんだ…」とくすくす笑っていたのです。するとそのひと、休憩時間に席を立ちそのまま帰ってこなかった。……仕込み?仕込みなの?でもわざわざそのために空席作るかなあ?何だったんだろう、気になる!



2014年03月21日(金)
『ダンシング・クィーン』

『ダンシング・クィーン』@キネカ大森 シアター3

えー、ウチのtwitterを見て下さってる方はご存知でしょうが、『新しき世界』でチョン・チョン役を演じたファン・ジョンミンさんにすっかり魅了されており、過去作品をディグっている現在です。この作品は2012年の作品。日本では2013年に公開され、既にDVDを購入済みだってのですが、今このタイミングで映画館にかかってるなら映画館で観たいわ!と大森に出掛けていきました。原題は『댄싱퀸(ダンシング・クィーン)』、英題は『Dancing Queen』。

前置き長くなりますが(いつもか)、わたくし最初にこの役者さんを認識したのが『新しき世界』な訳ですよ。プロフィールや作品紹介に悉く「実力派」と書かれており、これは『新しき世界』だけを観ても納得の言葉なのですが、出演が決まった時点で「実力派三人の共演が話題に」と騒がれたそうなのですね。となるとこれ迄どんな仕事を…?と気になってくる。調べてみて驚いた。キャリアスタートは舞台。『CATS』(ユダ)から『NINE』(グイド)、『ラ・マンチャの男』(セルバンテス/ドン・キホーテ)と言った名作ミュージカルから『笑の大学』(劇作家)と言ったストレートプレイ迄出演している。この「タイトル、役名を聞いただけでピンとくる」っぷり…相当じゃないの。こういうとこ、舞台作品のスタンダードを実感するところです。

そして出演作品を追うごとにだんだん気付いてきた…『新しき世界』で演じた役柄は、この役者さんのほんの一面に過ぎないと言うことを。観る作品観る作品(DVDで観た作品の感想もおいおい書いていきたい)タイプの違う役ばかり。驚きとともにますます沼にはまっている次第ですヨ!そんななか観た『ダンシング・クィーン』は……?

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ちょう上質エンタメコメディでした、これはめっけもん!皆でハラハラドキドキ楽しめて、終わったときには拍手したくなるような作品でした。客席のあちこちから笑い声も聴こえて楽しかった、映画館で観られてよかった!

人生に大切なものって何だろう?ちいさいけれどだいじなもの、夢を諦めないこと。見ているひとはいる、認めてくれるひとは絶対にいる。遺恨が残らず、清々しくフィナーレを迎えられるのも嬉しい作品です。主要キャストが役名=本(芸)名ってところも楽しめた。ファン・ジョンミンさんはファン・ジョンミン役、オム・ジョンファさんはオム・ジョンファ役。この当て書きと思ってくださって結構ですと言う仕掛けが利いてます。

歌と踊りが得意な町のマドンナジョンファ。スカウトを受けたその晩とある事件に巻き込まれ、幼なじみのジョンミンと離れられなくなる。名刺をくれたプロデューサーへ連絡するきっかけを失ったまま、ジョンファはジョンミンと結婚。ジョンミンは七年かかって司法試験に合格、弁護士になるが、ひとのよさが災いして損ばかり。ジョンファはエアロビの講師をしたり親から借金をして夫を支え、妊娠、出産、子育てと怒濤の日々を送ります。この流れ、モンタージュで構成したスピーディな展開がとても効果的です。

あれよあれよと大きな波に巻き込まれ、あれ?私は何がしたかったんだっけ?私の夢は何だったっけ…?なんて数年後にふと思い出す。前回『新しき世界』の感想で「外国の映画を観ると言うことは、作品を通してその国の文化や慣習を知ることでもある」と書いたけど、同時に、どの国も同じなんだなと感じることもある。そしてそれが親近感になる。

さてそのジョンファの「夢」は、ひょんなことから再び実現への道が開けます。アイドルになれるかも!ところが同じ頃、ジョンミンもソウル市長選挙に立候補することに。ふたりの「夢」は叶うのか?

面白いのは、ジョンミンの夢は巻き込まれ型だと言うこと。市長候補に推薦されるきっかけも、「たまたま」「偶然」の出来事で、本人が積極的に動いた訳ではありません。ところが彼は、周囲から尊敬と熱狂を受けることで、もともと持っていた優しい気質を市民とシェアする人物へと成長していく。一方ジョンファは、忙しい生活に追われ乍らも元来の才能を磨き続け、デビューが決まると同時にそれを円熟の魅力として開花させる。ライバルたちの妨害により窮地に立たされたふたりは、正直な気持ちをぶつけ合うことでお互いを大切に思う心、お互いが持つ夢を尊重し、支え合うことが出来ることに気付きます。

妻の夢を支えると決意した後の、ジョンミンの演説は感動的です。勢いで結婚したように見えるふたりが、人生の相棒となっていくと言うもうひとつのテーマが見えてきます。家族っていいね。

ジョンファを発掘したプロデューサー、オーディションに出ようと誘った友人(傳田うにさんに似てた)、ジョンミンを市長候補に推薦した同窓生が皆いいひとだったところもよかったな。こういう、実は根がいいやつの存在は映画と言うフィクションを幸せにする。生き馬の目を抜く芸能界や政治の世界で、こんなひとたちの存在を信じられるのは嬉しいことです。ジョンミンがなんとな〜く助けたゲイカップルや出前の兄ちゃん、おばあさんの存在も忘れ難い。

市長候補になったジョンミンが、ジョンファとともに街頭演説をしているシーンで映画は終わります。ジョンミンが市長になれたか、浮き沈みの激しい芸能界でジョンファのガールズグループはどうなるか、それは判らない。人生はまだまだ続く。でもそこには笑顔がある。

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ジョンミンさん、冴えない旦那が成長していく過程を魅力的に演じてらっしゃいました。前半ちょーにっくたらしかったけどかわいかったー。韓国では「ピンポーン!(ご明察)」を「ディンドンダーン(Ding Dong Dang)♪」て言うんだ〜ってのを知った。ここのジョンミンちょうにくったらしい(笑)。歌も踊りもバシッと出来るひとなのに、そういうのからきしダメな役を演じるときはホントどんくさくなるのもすごいですね…リズムにのってない踊りとか、ふなっしーみたいな動きだった……。しかしプロポーションのよさは隠せませんね!スーツ似合ってたわあ。

ロビーに張ってあった公開当時のレヴューも読めてよかったです。役名=本人の名前にした監督の狙いや、「“あの”ファン・ジョンミンが妻の夢を断ち切るなんてことがある訳がない、と観客は思うだろう」と言ったテキストに、本国でのジョンミンさんのイメージがなんとなく見えてくる。奥さん大好きなエピソードと言い、キャラクターがだんだん判ってきたわ…天使(まがおで)!下積み長かったり遅咲きだったりと言ったところもやっぱり当て書きなのだろうな。底抜けに明るい笑顔の裏に陰を感じる…と言うか、その陰を抱えてのあの笑顔なのだろうなと思わせられる役者さんですね。

ジョンファさんはちょう格好よかった!メイクによって鈴木砂羽さんにも似ている感じ。気っ風がよくて負けん気が強くて腕っ節も強そうで、歌も踊りもちょう素敵。セクシーだけど男子からも女子からもモテそう。「韓国のマドンナ」「韓国歌謡界の女王」と言われているそうです。いんや素敵だった。

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キネカ大森初めて行きました。いいとこだったー、観客のマナーもよかった印象。tomotomoさんが応援するわとよく言っていて、ずっと気になっていたのです。大森が地元だと言う片桐はいりさんのイヴェントも面白そう。観たいプログラムがあるし、また来月行けるといいな。

しかしあれね、前日ぼろ雑巾みたいになって死んじゃったひとが翌日はママチャリにかわいいお嬢さん乗せて走ってるの観られる映画っていいな、日々違う人生を生きる役者ってステキだなあと思いますね(アホの子の感想)。



2014年03月20日(木)
『新しき世界』二回目

『新しき世界』@シネマート新宿 スクリーン2

新宿での上映最終回に行ってきました。ああ待ち遠しかった!この一ヶ月って何だったんだ…来日ラッシュにも程が……しかも一軍ばっかりだったからな!仕事もちゃんとやってます!大人だから!映画館に行けないジリジリ感のなか、twitter経由で沼先輩たちによる考察やヒントや萌えを浴びるように読めたことはホントーに有難かったです。監督のインタヴューや本国でのレヴューもいろいろ教えてもらった……おかげでとても有意義なリピートになりました。で、それを確認出来たらますますまた観たくなる病が。ほんっと恐ろしい作品な!もうこの一ヶ月の転がり落ちっぷり、自分でも怖いわ!(満面の笑み)

あのときのあれがこの伏線、とかあの仕草にはこんな意味が、と言うところを注意して観ていくと再発見が続々。以下おぼえがき。まるっとネタバレしてますよ。

・煙草を誰と誰がいるときに誰が吸うか吸わないか、これホント大きなポイントだった
・葬式のときの動線とか誰が誰に寄ってくかってとこでも力関係が丸見えになるんだよね…注意して観てたらホントあからさまだった。厳しい……
・で、ジュングかわいそう!となる
・喪章(腕章)の線の数の意味とかも教えてもらってから観たらいろいろと思うところが…せつない
・こうやってみると、おとなりの国なのに知らないことが多いわ韓国。ウチの実家(宮崎)近いから小学校で交流行事とかあったのに!書き初め交換会とかやってたのに!
・最近熊本出身のひととも話題になったんだよね。朝鮮飴ってお菓子あったよねえって。朝鮮漬ってのもあって、今思えばあれって白キムチだわ。ラーメン鍋とかチョンゴル鍋とか普通にスーパーにあったで(なんか日本用の品名になってたけどあれはそうだ)
・普通に北京鍋もあったよ(これは中国か)
・そういやウチの親は台湾からの引揚者で、帰るとき仲良くしてたおうちから食器とかいろいろ貰ったって言ってたわ
・いろいろ国がまざってますが、改めて九州って土地のことを考えましたわ

・話が逸れた。そうなんだよなー、外国の映画を観ると言うことは、作品を通してその国の文化や慣習を知ることでもあるんだわと改めて思いました。で、もっと知りたくなるね!

・初見ではジャソンとチョンチョンの関係性があまりにも感動的で、終盤はもうふたりのことばっか考えちゃってたんですが(笑)、リピートすると他のひとのこともそうだったそうだったと観られるようになってきます。ホントリピート出来てよかった……
・課長やジュングのことが気になっちゃってなー。今となってはどっちもかわいそう!
・出所(てか証拠不十分で釈放)して誰も迎えにきてなかったときのジュングの心情を思うとつらしまだよ

・ここで改めて初見時思った、ホンの「手札の出し順が絶妙」ってことを思い返す訳ですよ
・「たら」「れば」の逆版と言うか、「登場人物があのときあのことを知っていれば、事態は全く違う方向へ転がった」「知らなかったからこういうことになった」と言うのが、時間を遡ることで判明する構成なんですね。事情を知ってから見直すと、その擦れ違いがまざまざと浮き彫りになる。それも数分、数秒単位の情報で

・特にすごいと思ったところを整理して書き出してみます。これもはや自分の頭の整理のためだわ
・チョンチョンたちが襲撃された場に何故ジャソンがいなかったのか?それは課長に呼び出されていたから
・課長はジャソンに「おまえが裏切ったと思っていた」と言う。過去に同じことがあった(部下に裏切られた)、と
・課長がそう思ったのは、シヌとソンムが警察側の人間だと言うことがバレて殺されたから。直後課長はジュングを呼び出してチョンチョンの(偽)情報をつかませる。ジュングは「毒を呑む」ことを決意し、チョンチョン一派(勿論ジャソンも含まれる)を潰す指示を出す
・その後シヌたちの情報が漏れたのは、ジャソンからではなくハッキングによるものだったと判る
・そのハッキングによってチョンチョンはジャソンが潜入捜査官だと言うことを知っているが、倉庫でシヌとソンムを惨殺した際それを隠したままにしておく
・ジャソンは裏切っていないと気付いた課長は彼を襲撃から救い、ジャソンが潜入捜査官だと言うことを知ったうえで手を下さなかったチョンチョンは結果命を落とす
・そしてチョンチョン葬儀後からのジャソンの動きの早さ、鮮やかさ
・チョンチョンの死によって迷いが消えた。課長の言うとおり「本物」になった
・この緻密な構成。登場人物たちの心の擦れ違い、ずれていく思惑……唸るしかない。恐るべしパク・フンジョン

・課長はチョンチョンを見くびっていたとも言えるなあ。デキるやつだったんだよ彼は…あの軽そうな言動の裏には、課長が想像しえない顔があったんだよ
・そーなんだよ、そこで前回気になっていた「会長の事故は仕組まれたものか?誰が仕組んだのか?」と言う疑問、やっぱりチョンチョンだなあと私は思いを強くしました
・「流通担当」ってところがあのトレーラーを調達するのに丁度いいと言う具体的な理由付けもあるにはあるが、それだけじゃなくて
・六年前のアホの子チンピラが何故ナンバー2に迄上り詰めたのか。ジャソンが一緒にいたからと言うのは間違いなくあるが、そのジャソンと北大門組のことをチョンチョンは「家族」と決めたからなんだろうなあと。ここらへんから妄想が酷くなりますので読まれる方は注意(この長文を読んでるひとがどこにいるんだYO!)
・一度家族と決めたからには絶対に裏切らない。絶対に見捨てない。韓国華僑であるチョンチョンは、ひと一倍この思いが強かったのではないか。そして家族を守るためには組を大きくするしかない
・なんかそう考えると、ラストシーンがますますせつなくなるよね。そんなこと考えなくてふたりで暴れてればよかった頃のこと
・ジャソンもなー、潜入捜査官だってことを忘れるくらい楽しかった瞬間があった筈だよ、チョンチョンと過ごしてたあのときはさ
・そして死の床でのあの対話ですよ。チョンチョンの言葉を受けてジャソンは「選んだ」
・せつない……

・つったら課長もなー。ジャソンのこどもにプレゼント贈ったり、お悔やみ言ったり、シヌが死んだあと煙草やめたり、情を感じさせる部分がね……
・部下を信じたい気持ちと職務と正義感と。そこには自分の利益がどうこうって感じないもの。昇給とか昇格とかに意義を感じてなさそうだもの
・誰も〜幸せにならない〜!
・つらい〜!

・で、チョンチョンも課長もジャソンを守るためにとった行動が命取りになると言う……
・なんだ、ジャソンはセイレーンか。そーだよ海によくいたもんねー(真顔で)

・あとお楽しみ部分。メイキング映像見まくったので(web有難い。しかし限界があります!日本でソフト化する際日本語字幕つけて特典で入れてください!入れてください!)ファン・ジョンミン兄さんのアドリブ部分をニヤニヤして観られました
・ここもアドリブかよ…と言う……すごいわ………
・あと倉庫でジャソンの身元がバレるかも?と言う場面、イ・ジョンジェさんの汗だらっだらはホンマモンだそうで。役者ってすごい
・あんな汗だらだら表情狼狽しまくり、潜入捜査官はボクでーすて言うてるようなもんなのに、それに気付かないふりをするチョンチョンの心情を思うと胸が潰れるわ!何度でも言うわ!
・携帯がチョンチョンファミリーはBlackBerry、ジュングファミリーはiPhone
・ごはんは皆で中華でわいわい!なチョンチョンファミリーと朝から優雅にステーキ!なジュングファミリー
・初見は組の若手が多過ぎて顔が憶えられなくて、この子どっちのファミリーなんだっけ?と区別するのが大変だったんだよね……。今回憶えてきてるから葬式とか病院でどっちがどっちにかたまってるか見分けがついたんだよ
・そして当然初見ではソンムのことはいじられ部下って目で観てたんで殺されたときホントにビックリしたのね(簡単)。だから今回は序盤からソンムのことすごい注意して観られたよ!
・ソンムの下くらいの、いぬみたいな子のことも気になりましたね。かわいいと言う意味でも(…)
・そしてジャソンが囲碁の先生と会ってるとき、下で待っててじゃれあってる部下が映るとこもな…ちょっとしたシーンだけど余韻があるよね。数年前のチョンチョンとジャソンがあそこにいる、と言う
・タメ口が聞けて、一緒に煙草が吸えるような仲ではなくなるときが来るんだなあと言う……
・せつない

・そして指摘されて気付きましたが、ジャソンとチョンチョンの傷!同じ右手を怪我するんだ
・こういう対比、監督どこ迄意図的なのかなあ
・監督が「ジャソンはチョンチョンにとって幸福の象徴」とか言ってたのがね。こうありえたかも知れない自分、魂の双子ってなことも言っててね……(泣)

・あと余談ですが、初見でドスなの?と思った刃物はやっぱ刺身包丁ですよねーヒー
・監督が独身だと明言していたチョンチョンですが、左手薬指に指輪してる写真があったり、ジャソンに「ボスの奥さんにあげればいい」と言われたりするシーンがある。これ編集ミスとは思えないのでいろいろ考えちゃいますね
・でも葬式でいなかったもんね…これ決定的

ああ、なんて奥深く情深く罪深い作品。ここ迄ネタバレしといてなんだがおススメですホント!都内では六本木でまだやってます、気になる方は是非に!是非に!私もまだまだ観たい!

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余談。この最終日、ポストカードプレゼントがあったんですね。しかしわたくしもらえなかったのです。受付時にくれなかったので入場時にくれるのかな?と思ったらやっぱりもらえなくて。後ろにいたおねえさんに受付でもらったんですか?と訊いたらええと応えられガーン。とぼとぼ席に着こうとしたら、そのおねえさんがよかったらどうぞとポストカードを差し出してくださる。よっぽどものほしそうに見てしまったらしい(恥)。

いやでもあれですよ?この映画素晴らしいんですよ!?終わった後おねえさんもこの沼にはまってポストカードほしくなるかも知れませんよ!!??と心の中で叫んだが、ホントに言ったら気味の悪いひとなのでいえいえ終映後受付で訊いてみますから…と大人の対応を今更乍らにしてみる。しかしいいのいいのとそのままくださった……。有難うございます有難うございます。

終映後改めてお礼を言ったところ、にっこり笑っていえいえと仰った。どうでしたか?とは訊けなかった。が、楽しんで帰ってらしたようなのでよかった。ダメなひとはもうファーストカットからダメだろうし、この手の映画が好きな方ではあったのだろう…は、はまってるといいな……。



2014年03月18日(火)
BOOM BOOM SATELLITES『TOUR 2014 STARTING OVER』

BOOM BOOM SATELLITES『TOUR 2014 STARTING OVER』@Shibuya CLUB QUATTRO

昨年やる筈だった『EMBRACE』ツアーの仕切りなおしとも言える今回のツアー、タイトルも“STARTING OVER”です。果たして現在のモードでバンドのアーカイヴを振り返る内容でもあり、とてもよいライヴでした。いやまじですごくよかったよ!個人的にもこれ迄ブンブンのクアトロに縁(運)がなく、過去対バン含め二回チケットとっていたのに行けなくなると言うことがあったため、そういう意味でも今回は嬉しかった。

入り口付近に「プレゼントボックス(誰宛か明記してくださいとの注意書きあり)」があったことに驚き、独自照明をクアトロに持ち込んでるとこにおおっとなり、若い子が多いことにほおおとなり。そーだよなあ今となっては彼ら、自分のこどもでもおかしくない年齢の子らと対バンしていたりするのだものなと変なところで感慨に耽る。今回のツアーにはブンブンのメンバーとスタッフ、ライヴ会場来場者でフォトアルバムを作ると言う企画があり(TOUR 2014 STARTING OVER PHOTO ALBUMS)ライヴ中は撮影フリー。先日書いたようにフロアでスマホがぺかぺか光ってるのは好きではないんだけど、バンドの企画ならまあそれもよかろうもんと言う感じ。と言うか、まあその…川島さんのことを考えてしまって。思い出アルバムを作るのもいいかも知れないなとも思ったりするのでした。

勿論思い出づくりだけではないだろう。と言うのもこの企画、NINでも同じようなことをやっていたから。年々音作りから活動内容から、すっごくNINを意識してるなあと言うかそのまんまと言うか(笑)とにかくすごく研究しているなあと感じるところが増えてきている。これは周知で、両方好きなひとは間違いなく気付く…一目、一聴瞭然です。本人たちがそのことを明言しているかは、インタヴュー等フォローしきれていないので判らない。そういえばこないだのNINの三日目、川島さんをお見掛けしました。NINとトレント・レズナーは、ブンブンのふたりにとっていいモデルなのでしょう。

面白いのは、それをパクリだと揶揄する気にはならないところです。他のひとがどう思っているかは知らないけどなあ…ほんとよく研究してるなと感心してしまうし、うまいこと消化してる感じがする。そしてやっぱりこれが大きい、川島さんの声。それこそ初期は川島さんの存在意義についてなんやかや言われたバンドですが(以前面と向かって「このバンドヴォーカルいらないんじゃない?」と言われたことがある)、今では彼の声がバンドに不可欠なものになった。ひとつのバンドを聴き続けていくと言うことは、その変遷を見ていくことでもある。悲しいこともあるけれど、長く見てきたからこその驚きや嬉しさもある。

で、この日のライヴ。あまり視界がよくないときに、ひずませたベースの音が聴こえてきた。あれ、なんか初期っぽい音だな…よくよく見ると中野くんがスタインバーガーを使っている!前述のようにNINを意識したギターやピアノの音質、コード進行にこのベースの音が加わるとかなり新鮮。ブンブンは常に既存曲に手を加え続けるバンドなので、これはまた面白いことになってきたなどと思う。「Moment I Count」を始め、『PHOTON』以降の曲も一周まわった感じがする…またすごい横でのれるようになってる。

…なんてことを思い乍ら聴いて踊っていたら…「Push Eject」やった!!!!!だああ!!!!!素で叫んだよ。

ぎゃひー嬉しい…今の編成で初期の曲、ずっと聴いてみたかったんだ。「Limbo」とか「An Owl」とか、それこそ「Joyride」とか。yokoさんのドラムも違和感なく聴けるようになってきたし、今のメンバーでの演奏すごく興味ある。そしてアンコールの「Fogbound」がすごかった!試行錯誤を重ねられている、そしてバンドのモードが如実に出る代表曲だけど、今回のアレンジは、この曲に初めてトライバルのリズムがのっかったときの衝撃と多幸感に匹敵する仕上がり。「Rez」なアウトロのとこで中野くんがブースを離れてあれだけ暴れたのも久々に見たような…感極まって?タオル投げるし。そしたらそれが照明にひっかかるし。曲終わってそれ見上げた川島さんがこれどうすんの…て感じで中野くん見るし。結局川島さんにとってもらうし(ステージとフロア境目の柵に足をかけてとったのでフロアから悲鳴があがる)。それを受け取った中野くん、ヤケクソ気味に投げなおすし…おもろい…こういうところがおぼこい……。

そんな感じだったのですっかり和みモード。曲とギャップがありすぎる、これぞブンブンだわー(笑)。撮影会みたいになっちゃって、ニコニコ帰って行ったからもうこれで終わりなんだとフロアものんびりしたよね。そしたら客電がつかないままだったので、え、も一度出てくる?まだある?て感じで拍手が徐々に起こり始めると言うこのぐだぐだ感。おぼこい。

と言う訳でアンコール2は拍子抜けっぽくなったんですが(笑・こういう、プログラムはすっごく作り込んでるのに、MC等の段取りがぐだぐだになるとこが微笑ましい)、川島さんがイヤモニ外したまんま楽しそうに演奏していたのが印象に残った。そうだ、作り込んでいるのに、イヤモニ外してても演奏出来る余裕が今はあるんだ。以前は0.1秒でもズレは許されないって空気があったけど…そしてそんな余裕が生まれても、演奏が弛緩しないところにバンドの好調っぷりを感じました。新曲も興味深い出来、このバンドからはやっぱり目が離せないな。

川島さん、何度「ありがとうございました」と言ったことか。毎回そうだけど…でも今回は「僕の病気のこともあって昨年のツアーが中止になり、皆をがっかりさせてしまって申し訳なかった」とも言っていた。こうして今ライヴが聴けているのだから、そんなこと気にしなくていいよ、結果オーライだ。武道館も素晴らしかったもの。まだまだ聴いていきたい。

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セットリスト(Live Fans、新曲のタイトルはsetlist.fmから)

01. Drifter
02. Moment I Count
03. Helter Skelter(The Beatles' cover)
04. Broken Mirror
05. Dive for You
06. Morning After
07. Push Eject
08. Back On My Feet
09. Embrace
10. Waiting For[Unknown New Song]
11. Easy Action
12. Kick It Out
13. Nine
encore01
14. Intergalactic
15. Fogbound
16. Stay
encore02
17. Light My Fire

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2014年03月16日(日)
『シフト』

サンプル『シフト』@東京芸術劇場 シアターイースト

初演は2007年、サンプルの旗揚げ作品でもある。2009年のさいたまゴールド・シアター『聖地』から松井周〜サンプルへの興味が決定的になり、ずっと気になっていた作品をやっと観られた。青年団周りは場所を変えつつ細やかに再演を繰り返してくれるので有難い。

と言う訳で…いーやー面白かった。田舎の慣習ホラー!なんでこー後味悪いのに救済感があるのか。こんなえぐい爽快感あるかー!しかしこの救済感こそが、サンプル作品が神話的だと言われる所以か…あるいは「自然現象」に人間が後から意味付けする、と言った意味での伝承・民話。特に今回は、長女が創作した物語と言う挿話があったので、今迄観たサンプル作品のなかではその要素が明確だった。旗揚げ作品だと言うこともあるのだろう。

人間のブリーディングやリデザインを、土俗的視点から考える。当代の繁栄をもぎとりたいと言う欲深さが、神聖な血を絶やさないためと言う一族の意義にすり替えられる。何世代にもわたり純化させたつもりの血はバグを抱え、さまざまな不良品を作りだす。不良品はゴミとなる。最終的にはあっけなく、一族が不遇となった原因だと信じて(思い込んで)いた資本に再び屈すると言う皮肉。外部からやってきてその慣習に困惑と拒絶を表していた婿が、嫁、叔母、自称ペドフィリアの上司とからみあいはじめる。衣擦れと吐息、喘ぎ声が続く…その「相撲」の幕切れは、外部との接触を断ち自分の世界に引きこもる者たちの安息の光景にも映る。

裏返せばこの「優れた人間を作る」と言う考えは土俗から程遠いバイオサイエンス分野の問題でもある。質のいい生物を作るためのあらゆる試み。それは進化としての現象か、よりよいライフのための手段か。そしてそれらは、突き詰めれば個人の欲望でしかないようにも思える。人間の営みってこんなもの、そのサンプルを観察するかのような体験。

役を自分に当てはめて行くかのような巧みさを持つ役者陣。女優陣がすごくてな…オスをつかまえたメスの行動原理を見るようで肝が冷えた。人間にあって他の動物にないものって理性なんだろうけど、それも所詮後付けだわ…ううう(震える)。そして一見本編から逸脱しているようで、思い返すとその状況の異様さを強化するポイントとなっていた役者の「芸」が、役柄を凌駕する気持ち悪さ。人間の得体の知れなさをより多層的にしていた。古屋さんと奥田さんのキャラクター化はすごかったわ(また震える)。

美術(杉山至+鴉屋)もよかった。センターステージと対面式の客席。客席の後ろの何列かにはぬいぐるみや人形が並べられている。この「後ろに観客以外の何かがいる」感覚は、なんとも言えない居心地の悪さ。人形だと理解していてもなんだか落ち着かないんだよね…向かいの客席にも勿論いて、客席エリアだから照明も殆どあたらないもんだから尚更うすら寒い。動員が増えると使えなくなる手法ではある。空間を贅沢に使える(=客席を潰せる)劇場との相性について考えさせられる。多数の小道具が天井からぶら下がっており、シーンによってそれを外して使う。家庭で使われる日用品、ショッピングモールで販売されている商品の両方を表現する機能的な美術。

いやーホントえぐい話書くわ…上演中ずっと息をつめて観ていたようだ。客電が灯り、ふううと息を吐いてふと横を見る。空席ひとつ挟んだ隣に松井さん本人が座っていた。ヒイーとなった(笑)。

・松井周ロングインタビュー(1)
・松井周ロングインタビュー(2)



2014年03月15日(土)
『ホビット 竜に奪われた王国』『遠景の音楽〜弦楽三重奏のための夜想曲〜』

『ホビット 竜に奪われた王国』(HFR3D)@新宿ピカデリー シアター2

ピカデリーでHFR3Dを観たのは初めてだったんですが、前回(『ホビット 思いがけない冒険』)TOHOシネマズで観たときと勝手が違いまして…TOHOシネマズだと貰ったメガネそのままかければよかったんだけど、ピカデリーでは各自電源入れてくださいと指示があって(メガネにスイッチがある)、電源入れたのに3Dにならなかったの。あれ、私のだけ故障?と戸惑ったんだけど、周りが皆あれ?あれ?となってて、「3Dにならないよ」とか「どうしよう、交換してもらった方がいいかな」なんて声が聞こえてくる。結局オープニングタイトルが出る迄その状態で、序盤の数分は全く頭に入らなかったわ…何だったのー!

一斉になおったっぽいからメガネ本体ではなくシステム上のトラブルだったんだろうけど、メガネの故障だった場合、開映してから席を立ったり入り口付近にしかいないスタッフを呼びに行ったりと言うのは結構ハードル高い。その間上映を中断する訳にもいかないだろうし…難しいところだなー。あと今回初めて気付いたが、ピカデリーのメガネって重い(電源とかなんか装置入ってるから?)。体調よくないと結構負担に感じた…頭痛がー。うーむ。

と言う訳で、最初酒場でガンダルフとトーリンは何を話してたの?だいじなことだったらどうしようーてな導入だったのですが、その後は長さを感じないわくわく展開でした。樽に入って川下りしたい!

原作未読なもんで今後の展開は勿論知らず、わたくし現在トーリンへの不信感でいっぱいです。そんなトーリンをたしなめる年長さんの言葉が重いわ。そしてドワーフって諦めるの早くないか…あの鍵のとことか。そういう気質の族ってことでしょうか。あとひとんちにずかずか入り込むのとか(笑)最初の方で家を閉め出されたひとぐま?かわいそう!自分ちなのに!しかも翌朝自分を閉め出した連中をもてなしてるし!ひとがよすぎる(ひとじゃないけど)!あと指輪、今のとこ便利アイテム過ぎてこれ捨てなくていいんでないの…と思ったり。そういう便利が疑心暗鬼やら不信やらを呼んで手に負えなくなってしまうんだろなーってのは察せられるので、なんか今後つらい展開になりそうだわと暗澹たる気持ちに。

ドワーフ中めっちゃ輝いてる!何このイケメン!と前作非常に印象に残ったキーリ(エイダン・ターナー)、恋バナからめて見せ場が増えてた。何か意図があるのか…いや、楽しく観ました(笑)眼福でした。

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高橋徹也『遠景の音楽〜弦楽三重奏のための夜想曲〜』@下北沢SEED SHIP

Vo、G:高橋徹也、Pf、Perc、Arr:佐藤友亮(sugarbeans)、Vn:矢野小百合、Vla:田中詩織、Vc:今井香織。前回と同じ編成で、内容はゴリッとグレードアップ!本領発揮!と言う印象。ストリングスアレンジによって既存曲の新しい側面がざっくざくに引き出されている。同時に曲本来の魅力を再認識出来る。このシリーズは継続していくんじゃないかなあ、と言うか継続してほしいなあ。

アコースティックな音と高橋さんの声の相性がとてもいい、と言うことにも改めて気付きました。今更言うのもなんですが、すごい声だよね……。歌は勿論、リーディング的な「大統領夫人と棺」は、その世界観に声で導かれる。あかん、セイレーン並みの威力だわ。リハを重ねたことで、ストリングスの三人との連携も前回より柔らかくなった印象でした。高橋さんて演奏も、曲間の動作の流れも独特なんですよね。楽器を交換するとか水を飲むとかの途切れ具合が不思議な感じで。そこらへんの呼吸が合ってきていたようにも思いました。

あと場も落ち着いててよかった。前回は外でサイレンが鳴ったり空調の音が大きかったり、その空調に大きな声で注文つける客がいたりした(これは残念だった)ので……。ヘンな話だけど、冬と言う季節も関係しているのじゃないかと勝手に思ったりしました。外は冷たい空気、扉を開ければ暖かい空間。そこで静かに耳をすます。やっぱり私は冬が好きだよ……。

ご本人もかなり手応えがあったようで、ブログにいろいろと書いてらっしゃいます。いやほんとよかった、次回が楽しみです、待ってます。
・こういう瞬間があるから音楽は|夕暮れ 坂道 島国 惑星地球

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セットリスト(12

01. 対岸
02. ブラックバード
03. 真夜中のメリーゴーランド
04. ハロウィン・ベイビー
05. サンディエゴ・ビーチ
06. 夜想曲『遠景』
07. 雪原のコヨーテ
08. Praha
09. 八月の疾走
10. 夏の出口
11. 大統領夫人と棺
12. 夜明けのフリーウェイ
13. 美しい人
14. 帰り道の途中
encore
15. サマーピープル
16. 別れの朝 歓びの詩

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2014年03月11日(火)
WILKO JOHNSON GOING BACK HOME TOUR JAPAN 2014

WILKO JOHNSON GOING BACK HOME TOUR JAPAN 2014@Shibuya CLUB QUATTRO

クアトロ二公演が発表になって、両日行こうかなと思ったけど、今回は観たいひとが沢山いるだろうしな…と一日だけにした。三年前のことを思い出して、なんとなく二日目の3月11日を選んだ。その後AICのツアー日程が発表になり、3月9、10日が埋まった。虫の知らせ?なんだか不思議な出来事。

身体のこともあるから、やっても一時間くらいかなと思っていた。終わってみればアンコールありのたっぷり90分、曲間も殆ど空かない。ピックは使わないから交換の必要もないし、ギターも一台、チューニングもそのまんま。勿体ぶることもなく、次々と名曲が繰り出される。いつものウィルコだった。なんだおまえ奏法(「なんだおまえ?なんだおまえ?」ってな表情で客席をギョロギョロ見乍ら弾く)も、マシンガンもダックウォークも、背中弾き、蟹走りもいつも通り。初めて観たときと変わらない。身体がちょっとちいさくなってた。

しかしマシンガンはためたねー(笑)。出たとき観客が狂喜して、男も女もきゃああああ撃ってえええええってなってたのが微笑ましかったよー。

通常運転のすごみと言うか、のんびり始めて、エンジンが徐々にかかって。そっからのドライヴ感、万能感と言ったら!自由自在。ウィルコもノーマンもすごい楽器といちゃいちゃする。こっちが照れちゃうくらいでした。もうホントに離れ難い、お互いが繋がっている状態なんだな。後ろの男子が「顔!顔で弾いてるよな!」なんて言ってウケる。

ディランが入ってから五年くらいだっけ。最初に観たときはウィルコとノーマンについていくので精一杯って様子が見てとれて微笑ましかったんだけど、今回はすっかり馴染んでた。これはすごいと思ったな。まるで家族のように、音楽言語を共有してる。2003年以来、来日を欠かさず観ている訳ではないので(チケットとってたのに仕事で行けなくなったこともあったしな…)、「Keep On Loving You」は十年振りくらいに聴いたような…そう、初めて観たとき演奏してくれたのがすっごい印象的で、今でもよく憶えてるんだ。あのひっくり返った声で唄われる、“Keep On Loving You”ってフレーズ。

「Bye Bye Johnny」でなんだか手を振れなかった意気地なしです。でもバイバイはいっぱい唄ってきた。よってまた喉カッスカス。無理はさせられない、と言う思いもあるからお客もそんなに粘らない…と言うか、あの「Bye Bye Johnny」を聴かされてはね。それでも立ち去り難いひとが多かったようで、終演後もフロアは長い間混雑していた。階段を降りているとき後ろのひとが「あれで死んじゃうなんてな」とぽつり。またすぐ来てくれそうな気すらする。そのときにはまた会いに行く。

そうだよウィルコ、また会おうぜ!



2014年03月10日(月)
ALICE IN CHAINS JAPAN TOUR 2014(東京)

ALICE IN CHAINS JAPAN TOUR 2014@STUDIO COAST

開演直前に飛び込んで根津(マイク)側三列目に行けるくらいの入りでしたが盛り上がった!て言うかアリス大好きなひとが集まったって感じで愛があったわー。天井が高いスタジオコーストは大合唱になってもなかなか声が届きにくいけど、メンバーも判ってくれたんじゃないかなー、伝わったんじゃないかなーと思う。以下おぼえがき。

・前のお兄さんがアピ力強くてフロント三人がちょくちょく寄ってきてくれた(笑)恩恵
・うんうんって感じでニコニコ寄ってきたとこその兄さんがキャー!!!!!てな感じになったからマイクぶはっと吹き出してたよ…いいもん見たわ……
・ジェリーもちょくちょく来てくれた。ジェリーが寄ってくる位置はフロアが池の鯉みたいになるんでおかしい
・で、寄ってきてくれたジェリーはその群れを見下ろしてうんうんって頷いて微笑み乍ら演奏しておりました。先生みたいだった(笑)
・優しい笑顔なんだけど眉間に刻まれた深い皺。素敵な面構えだと思います

・撮影は前日同様厳重禁止だった。やはりアーティスト側の意向かな
(追記:ツアースタッフのブログによると、バンド側の意向ではなかった様子)
・しかし個人的には歓迎。操作で目や注意が逸れてる間にいろんなことを見逃してると思うもの。そんな暇があったら目の前で起こっていることに集中したい、古いと言われようがな!
・あと単純に、フロア側から液晶画面がたーくさん見えるのってとても目障りなので(笑)背が低いから尚更視界が遮られるしね

・横浜はもうホント舞い上がってたんで楽しい楽しいって思いばかりだったんだけど、この日はちょっとは落ち着いて聴けたかな。バンド全体を見渡しやすかったこともあり
・めちゃ前でスピーカー至近距離だったのに音はよかった。分離もしっかり判ったし。やっぱりスタジオコーストって音がいいし、PAスタッフの力も大きい
・演奏も初日よりリラックスしてた感じがした。日本のオーディエンスがどんな感じかだいたい掴めたからかな。横浜がんばった(笑)
・初日は音源再現をちょっと意識してたところはあったんじゃないかな。日本でのライヴはホント久し振りだし、前回がウドーだったし(…)
・曲間が横浜より結構空いたんだけど、それは多分ステージが広くて楽器チェンジするとき袖に持ってく距離が長かったからかと。最後の方ではジェリーギター投げてよこしてた
・イントロアウトロも結構変えててインプロぽい部分も。「Rooster」終わったあとジェリーいきなり速めのリフ弾き始めて皆(メンバーも)一瞬えってなってた。すぐさまジェリーがニッコリ、おしまい、って感じで(笑)
・で、ウィリアムギターソロも弾いてたわ!
・ソロ終わったウィリアムにマイクがニコーて笑いかけてた
・ショーンもマイクもウィリアムかわいがってる感じでした確かに
・ショーンがくわえ煙草で演奏してたりマイクが上空に向かって唾を吐いてたり(トモロヲさんみたいなあれね)、パンク的な面にも気付いたり
・と言うか今若いバンドではこういうのあんま見ないね。ワルい大人

・遅い、重い。あのジワジワくる感じ最高
・自分内遅くて這って最高なナンバーは「Again」なんですが、これもはや音源より遅いよね。それがまたゾワっとくるんだ!
・しかも「Grind」やった!ギャー!おそいー!!!
・あと変な話だが遅いと裏の拍もとりやすいので客のノリが分化してておもろい
・このリズム、このハーモニー。ジェリーのソングライティングの妙ですね
・最新作からの「Phantom Limb」、ジェリーのリフの這いっぷりに鳥肌たつくらいなんだけど、それをしっかり支えてるのがショーンとマイクなんだなと改めて思ったり
・この遅いリズムをキープし続けてるショーンすごいなあと再確認。貢献度と言うか献身と言うか
・おっそーなテンポのとき、マイクはよくショーンの傍に寄ってって確認するように弾いてた
・サウンドでも聴かせるよね……

・で、そんなサウンドできたよ「Love, Hate, Love」!!!!!
・ギャーーーーー
・二日間とも行けてよかった……!!!
・ウィリアムのポテンシャルを思い知ったナンバーにもなりました。これは感慨深い
・いや、これは…場もよかったよ。あの声の伸び、スタジオコーストだとホント魔法?みたいな……空間ねじれた感じすらした
・ウィリアムヴォーカルの「Love, Hate, Love」はこれだ!て決定版が出来てるんだなと思った
・やっぱりプレッシャーはあったと思うんだ。で、悩んだ時期もあったんじゃないかなあ。何かのインタヴューで「ジェリーにちょっとプールで泳がない?って感じで誘われてしばらく泳いで、今どこかな〜と顔を上げたらそこはプールじゃなくて大海原だった」みたいなこと言ってたから、なんて言うか…もとの才もあれど、すごくがんばったんだろうなと……
・ウィリアムとこのバンドが出会えてよかったよ……

・本日の「Nutshell」はレインとマイク(・スター)に。思えば横浜もこの曲の前にジェリーがメンバー紹介をして、“We are Alice In Chains.”と言ったんだ。メンバーは6人いるんだよ
・待たせたね、また来るねとも言ってくれたジェリー。嬉しい
・日本のツアーも悪くないなと思ってたらいいな。ほんとまた来てください。有難う!

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セットリスト(画像setlist.fm

01. Them Bones
02. Dam That River
03. Again
04. Check My Brain
05. Hollow
06. Last of My Kind
07. Your Decision
08. Man in the Box
09. Grind
10. It Ain't Like That
11. Nutshell
12. No Excuses
13. We Die Young
14. Stone
15. Love, Hate, Love
encore
16. Got Me Wrong
17. Would?
18. Rooster

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2014年03月09日(日)
ALICE IN CHAINS JAPAN TOUR 2014(横浜)

土曜日に観た『空ヲ刻ム者』の感想は来日ラッシュがおちついてから書くような気がします(しろめ)

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ALICE IN CHAINS JAPAN TOUR 2014@YOKOHAMA Bay Hall

初来日は逃し、レインが亡くなって、ウドーも逃し。そしてマイク・スターもひっそりと亡くなった。今になってAlice In Chainsが日本で観られるとは思ってなかった。今回の報はほんと寝耳に水。発表されてからすぐチケット発売だったし、そもそも発表されたのが一ヶ月ちょい前。急すぎるがな!心の準備が!正直会場に着いても物販を見ても、開演を一時間近く待っている間も実感がわかなかった。普段は整理番号なぞあてにせず開演ギリギリに入場するのに、この日は開場前からベイホール周辺をうろうろしていた。……とか言って実は道に迷ったんですが(笑)ベイホール久し振り過ぎてな…歩けども歩けども例のホームセンターが見付からず狼狽、知らないおっちゃんにHOME'Sってなくなっちゃったんですか!?と訊いちゃったよ。親切に道を教えて頂きました有難うございます。いやはや早く行っててよかったよ…遠足のようであった。

しばらく海を眺めてはあ〜アリスが今日本にいる〜なんて浸ってしまいました。

最近では珍しく、カメラチェックがかなり厳重。撮影は携帯やスマホでもダメです、開演前でもダメです、入場したら絶対ダメです、と言う徹底振りで、これはバンドと会場どちらの意向なんだろうと思う。レインが問題を抱えていた頃のAICはそういうことに神経を尖らせていてもおかしくなかっただろうけど、今はどうなんだろう?ジェリーはひとのいい気難し屋さんってイメージだけどなんてドキドキし乍ら入場。一段高くなっているエリアのジェリー側を確保出来た。視界がいい。嬉しい。ジリジリ待つ…が、ただ立って場内BGM聴いてるだけなのにあっと言うまに時間が過ぎたなー。そのうち横浜名物?開演を待ちきれないアメリカ人たちが叫びだす。A.I.C!A.I.C!負けじと日本人たちも騒ぎだす(笑)。

余談だが開場前、前述のホームセンターのマクドでNINの日の丸Tシャツを着てニコニコおやつ食べてる白人のおっちゃんがおったがやっぱ外国人から見ればあのデザインはSo Cool!なんですかね。

徐々に会場が異様な雰囲気になってきた。なんて言えばいいかな、あの雰囲気です。久し振りに来たバンドに対する、いろいろあったバンドに対する、そのバンドに会える、待望に満ちた、期待と不安が入り交じった観客の表情、歓声。それがじわじわ拡がっていく。前方で将棋倒しが起こりそうになる。開演前からこれではどうなってしまうんだ?そして客電が…落ちた!

以下おぼえがき。

・いやもうこの客電落ちた瞬間は形容し難い。歓声、悲鳴、拍手、雪崩のような足音(ドドドって聴こえるのだ)
・もう何叫んでんだかわかんないの。メンバーの名前を言ってんだか単にわああって言ってるのか
・あ、こういうのを阿鼻叫喚って言うのか(違う)
・そんななか響いたのが「Them Bones」のイントロですよ。そりゃ皆渾身の力を込めてア燹次次次次次次次!!!!て叫ぶよ
・と言うか、日本でこんなにシンガロングになるとは…まずそれが驚き
・メンバーも面食らってたっぽい。ウィリアム「スゲエ!」つった(笑)
・だってよう、前回の来日って2006年のウドーフェスで、運営側の問題もあり客入り悪いわ(どんだけひとがいなかったかは検索するとまとめが見付かるよ……)天気悪いわしかも機材トラブルにジェリー激怒で葬式のようだった(行ったひと談)そうなので、ああもうこれは二度と日本には来てくれん…と思ってたもんね
・それがこの歓迎っぷりですよ。しーかーもー例の横浜名物外国人だけでなく日本人もすげー唄うの!ちゃんと歌詞入ってんの!
・oasisかってくらいだった。まじで
・AICと言えばハーモニーの美しさですが、客側もジェリーパートとウィリアム(レイン)パートに分かれて好きに唄うのでハモっている(笑)
・どんだけ皆聴き込んでんだって言う……
・とにかく一体感がすごくて。ベイホールって場もよかったのだと思う。立地、キャパ、日曜日。いろんな好条件

・その状態はずっと続いて、ウィリアム加入後の二枚のアルバムからのナンバーでも同じだった
・「Again」から「Check My Brain」のイントロが始まったときのレスポンスすごかったな
・「Them Bones」「Dam That River」「Again」って流れに息も絶え絶えだったところに!
・てか「Them Bones」は予想してたけど「Again」は〜、「Again」は〜、今回個人的に聴きたいリストのかなり上位だったのでもう、もう
・ヘーイ!て全力で唄いましたよ。ア燹繊船↓燹繊船↓燹繊船↓燹繊舛箸皹瓦辰燭
・へいとかうぇーいとかあーとか、レイン時代のこの語彙(笑)
・お経……
・それはともかく「Check My Brain」、この日のセットでウィリアム加入後のナンバー一曲目。それがこのウェルカムっぷりだった訳で
・この曲終えたときジェリーがニコっとしたんだよね。それがすごく嬉しくて
・これは行ける!今日のライヴは絶対いいものになる!と思った(何様)
・ウィリアムが加入してからもう7〜8年経ってる訳だけど、やっぱりレインの存在は大きい。ウィリアムがレインに対してどれだけのものを受け取っているか、レインのヴォーカルスタイルをどう意識しているか(していないか)は本人にしか判らない
・敬意は勿論感じる。でも決してレインのコピーではない。加入後の二枚の曲が日本で演奏されるのは初めてのこと。この光景は感慨深いものだった
・前進するバンドの姿を見られたこと、それを歓迎する観客を見られたことがとても嬉しかった

・そしてシンプルに考えて、ジェリーの書く曲がやっぱりすごくいいんだよ
・ALICE IN CHAINSって名前でバンドを続けていこうとある時点でジェリーは決意したのだろう。それは決して間違っていないんだ

・昨今の日本の流行とは真逆のBPMの遅さ
・地を這うヘヴィネス!これですよこれこれ!
・それでこんなに盛り上がるんだもんなあ
・ショーンのバスドラヘッドにはあのLSMSのイニシャル
・Layne Staley、Mike Starr
・「Nutshell」はレインに、と
(追記:音源聴けたんですが、レイン・ステイリーとマイク・スターに、と言ってるのを確認出来ました)
・こっからの「Nutshell」「No Excuses」「We Die Young」はもうねえ…!!!
・「No Excuses」はあのドラムイントロでもうわわわっ!!!て言ったもんね
・いい大人が理性をなくします
・そしてやはり大合唱
・サビは勿論“You my friend / I will defend / And if we change, well I love you anyway”も唄えて聴けて感無量
・そこに「We Die Young」ですもん。う爐А繊繊繊繊!!!!て唄いますよそりゃダミ声で
・終わってみれば喉ガラガラである

・しかしあまりの盛り上がりにメンバー同様こっちも面食らったわ(笑)
・いたんだ…こんなに!待ってるひとたちが!
・しかもこう…なんて言うんですか。AICをこんな笑顔笑顔でねえ
・こんなに楽しく観られるなんて。満面の笑みで“If!I!Would!Could!You!!!!!”とか大合唱するなんて(笑)
・そうそうこのとき隣のにいさんたち(まあ同世代)が「すげえ!すげえよ!こんな…なあ!」とキャッキャなってて微笑ましかったわ…
・そこに「Rooster」投下だもの。理性(略)
・そしてまめまきのようにピックをまいて皆さん帰っていかれました

・客電ついたときはもう、何があったんだっけ?って感じでしたよ…呆然
・ひと探してたってのもあるけどとにかくこの場を立ち去り難くて、フロアをひたすらうろうろしちゃった
・見回せば高揚した笑顔ばかり。感極まったひとりが「Rooster」のハミングを唄いだし、その場にいたひとたちが次々のっかってったのにウケる
・ハミングて全力で唄うと相当オモロいで……
・Happy!Happy!て見知らぬ同士でハイタッチしてたり
・そんな光景があちこちで。もうねえ…(涙)この場にいられて本当によかったよおおお

・演奏は鉄壁のアンサンブル
・今更な話だがやっぱ巧い。ひけらかす巧さじゃなくてガッチリ聴かせるバンドサウンド
・音バランスはかなりよかったと思うんだけど、何せ合唱がすっごかったんで序盤はウィリアムのヴォーカル殆ど聴こえなかった(笑)
・しかしウィリアムよかったわ。フロントマンだった。あのお経的なヴォーカルパートも自在だった
・あとしっかりギター弾けるってのも大きいですね。アコギでジェリーのエレキとハモるナンバーとかすごいよかった
・声も動きも体型も若々しくて、若い血が入るとこうなるんだね、フレッシュだね、伸びしろすごいねなんて言ってて、帰りの電車でkaollyさんがプロフィール検索したらなんとジェリーの一歳下だったと言う…いろいろ驚愕
・まあほら、ジェリーは気苦労が…いろいろあったから……
・いやでも根津(マイク)がウィリアムをとてもかわいがっている様子だったらしくて(新木場でチェックしよう・笑)他の三人とはひとまわりくらい違うんだろねーなんて言ってたので……
・ジェリーが笑うとなんかこっちもほっとしたよねー。眼窩が深いんで眉骨が陰になって目が見えないんだよ、だから機嫌が判らない(笑)
・あなたが笑うと私も嬉しい@kaollyさん。ほんとほんと
・とは言うものの、皆さんお腹出てなくて感心したわ。ジェリー一時期お腹ぽっこりになってたけど今は全然だし
・ショーンも根津もいい歳のとり方してるなあ
・根津、いつものあの笑顔。彼がいてほんとよかったと思う
・来日直前の根津のメールインタヴュー→・BARKS

思うところは他にもいろいろあるんだがひとまずはこれで。月曜の新木場も行きます、盛り上がってくれー!メンバーを気分よく帰したい!また日本に来たいな〜て思って帰ってもらいたい!

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セットリスト(画像setlist.fm

01. Them Bones
02. Dam That River
03. Again
04. Check My Brain
05. Hollow
06. A Little Bitter
07. Voices
08. Man in the Box
09. Phantom Limb
10. It Ain't Like That
11. Nutshell
12. No Excuses
13. We Die Young
14. Stone
15. Down in a Hole
encore
16. Whale & Wasp
17. Got Me Wrong
18. Would?
19. Rooster

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2014年03月08日(土)
『空ヲ刻ム者 ―若き仏師の物語』

スーパー歌舞伎II『空ヲ刻ム者 ―若き仏師の物語』@新橋演舞場

SFと言う枠組みを外した(霊験はあったが)前川さんの、作家としての根幹がストレートに感じられてとてもよかったなあ。静かな会話のシーンが多く一見地味、しかし最後はバシッと魅せるし胸に持ち帰れるものがとても多い。

この「一見地味」で、すききらいは分かれそうです。派手な仕掛けでスペクタクルな演出を期待して観たひとには、一、二幕…いや、三幕中盤迄は退屈に思えるかも知れない。こっから見せるよー!と展開が始まってからのあれやこれやはとても見応えがありますが、え、これだけ?と物足りなく思うひともいるかも知れないです。序盤の仏教批判、偶像崇拝批判もおいこれ年配のひとはどう思うんだとヒヤヒヤもしました。個人的にはこの、前川さんの信仰に対するスタンスには大いに共感しているので、主人公がこれら批判を経て普遍的な命題に気付くと言う成長物語として観られたことに感謝したい。

それにしても、これら思想を感じる台詞が猿之助さんの声(このひと口跡も美しいし台詞回しもすごいが声そのものが明瞭だよなあ)だとすいすい沁みる。宗教を人文と捉えるとまた考えることが増える。浅野さんが「説明ばっかりだよ!」と自らを茶化す台詞があったが確かにそういう面はあり、しかしこれは前川さんの作品にはつきものなので、そこは笑って楽しめました。浅野さんは口上でのふるまいも、本編での狂言回しとしての役割もかなりおいしい。ご本人もそこを楽しんでらっしゃるように思いました。座組にこういうひとがひとりいると安心、それを承知した上で演じている感じ。猿弥さんと浅野さんのやりとりも見ものです。どこ迄がアドリブなのか(笑)リピートするので確認するのが楽しみ。

蔵之介さん、隈取りすごい似合うー!葛藤の多い役で、猿之助さんの役柄同様迷い乍ら成長していく人物。不思議なものでアメリカの戦争映画に出てきそうな雰囲気もありました。大義のためなら庶民など…みたいな(何その例え)。その葛藤を振り切る迄の流れが唐突にも感じられるところがあり(これはホンの問題かな)、それを表現するのは難しそう。今後変わっていくかも知れません。それにしても格好いいですわ。福士くんは素直なとてもいいい役で、亀治郎の会から馴染みがあり愛されてる感じでした。そしてこのふたり、大柄でもあるので歌舞伎座組に入るとなんか…スケールが狂うと言うか……(笑)衣裳を着ての動きがとても優雅でダイナミック、舞台映えします。

右近さんの見せ場がすごいよー!あれを思い出すよね!なんか観客が「小○○子……」と思っているふきだしが新橋演舞場に浮かんでいる幻覚を見そうになりました(笑)。宙乗りはもう皆待ってる感ありありで、まだかーまだなのかーとジリジリしてた感じがしました。三階席正面下手寄りだったので、宙乗りの終点エリアからゴトゴト音がし始めると「おっ、スタンバイ?」とドキドキしたりしていた。蔵之介さんの笑顔がちょっとカタかったように見えたのはこちらの邪推か。やっぱ怖いよね……。三階席下手側袖側の席に5〜6人のグループで来ていた若いお嬢さんたちがいたのですが、宙乗りのふたりが近付いてきたとききゃあああああってなってるのが見えて微笑ましかった。いいサービスになってた!よかったね!あの席花道が全く見えない(私もあの席で何度か観たことあるけど、モニターで見るの寂しいよね…)けど宙乗りのときはめっちゃ特等席だよね!

戸板倒し等のアクロバティックな演出は、歌舞伎でもともとある手法とは言え、やはりひいいとなる。いちばん湧いたのもここだった。失敗は許されない、十割打者でなくてはいけない。一歩間違えば大事故だ。こういう出来てあたりまえが前提なところ、芝居の醍醐味でもある。無事千秋楽を迎えられますように。



2014年03月01日(土)
『アルトナの幽閉者』『ASYMMETRIA』

『アルトナの幽閉者』@新国立劇場 小劇場

うわー面白かった!!『国民の映画』の翌週観たことで考えることも増えた感じ。あとカミュとサルトルの同時代性とか、『カリギュラ』観たあとだったので入りやすかった。翻訳も同じ岩切正一郎さんでした。

1959年のドイツ。造船業で財を成した一家の主が余命を知り、後継者に次男を指名する。家から出て行くことを許さない父に次男の妻が反発し、その執着の謎を辿ると、死んだことになっていた長男の存在が浮かび上がる。心の傷を負い、戦後十三年屋敷の部屋に狂気とともにひきこもっていた長男を訪問した次男の妻は、対話を通して秘められた一家と戦争の記憶を知る……。

サルトルなもので難解ではありますが、演者の翻訳(解釈)を経て発せられる台詞には説得力があり、ああこれこそ演劇の力!と思いました。戯曲で読んでたらこれ程腑に落ちてこなかったと思う、個人的には。詩的な言葉は数多くあれど、それらが登場人物の血肉となって伝わるのです。岡本健一さんすごかったなー、喉にキツそうな発声で叫ぶシーンも多いんだけどしっかりコントロールされてる。その岡本さんをはじめ全員声の力が強いのですが、皆ちゃんとキャラクターとしての声になっていると感じられたことが大きかった。吉本菜穂子さんはもともとの声も特徴あるけど、普段こんなに癇に障らないもん(笑)レニの声になっていたなーと思った。どの人物の声も刺さる。長男が蟹へと繰り返す「えっ? 何?」の声がずっと脳内に残っている。

戦争責任と血脈は決して断ち切ることが出来ない。民族と国は分ち難い。「ドイツが戦争に負けたのは恵みだ」と言う父、戦地での悪夢に囚われる長男。謎を暴く次男の妻、それを傍観しつつ長男と妻の関係に嫉妬する次男が得たものは決して自由ではなかった。家に、国に縛り付けられる者たちへのレクイエムを聴く思いがしました。三時間半がテンポよくあっと言う間。こういう作品に出会うと、長いのは悪みたいに言われる風潮に疑問が湧きます。

額縁のなかで起こる出来事のように一家の没落と敗戦国の行く末を見せるセットが効果的。転換が多くその時間も長いのですが、幕を引き暗転した後に少しだけ暗めの照明を灯し、音楽とともにその静寂を見せる演出もよかったです。登場人物たちの視線を観客の反対側から捉えて見せる大きな鏡も存在感がありました。

ああそれから、蟹と天上(天井)からの女の声って清水邦夫作品にも出てくるんだけど今思うとこれがモチーフだったのかな?今NINとAICと新しき世界で頭がパンパンなので調べる気力が…だれかおしえて……(他力本願)。

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六本木へ移動、新世界って自由劇場跡なんだっけ…?と探しつつ歩いていたらなんかギラギラした建物に差し掛かる。EX THEATERであった。ここに今すずかつさんの舞台がかかってるのね…となんだか感慨深い気分に(笑)。

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横町慶子×山川冬樹 Live Performance『ASYMMETRIA』@音楽実験室 新世界

新世界には初めて行きました。急な階段を降りると、本来はステージであろうエリアに、雛壇状の客席が設置されているのが見えてきた。PAブースにいる山川さんとバチッと目が合う。機材や楽器も置いてあったので、山川さんはここで演奏するのかな?と思う。満員立ち見も出る盛況、オーケストラピットのようになっているPAブースの縁にも座布団が敷かれ、そこに座るひとは深〜い掘りごたつに入っているような感じで足がブラブラ。早く入場したひとはもう終演迄出られないくらいぎゅうぎゅう。なんだか天井桟敷にいるような気分になってちょっとワクワクする。舞台上には大きな鏡。下手側にちいさなテーブル、その上に電話と紙が何枚か。

骨伝導マイクを装着した山川さんがステージに上がり、口上で開演。「こんにちは、やまかわふゆきで」「す」、と同時に頭を一撃。増幅された衝撃音がスピーカーから大音響で鳴る。頭を一度叩くと300万個の脳細胞が失われます。これで300万個、これで600万個……頭をリズミカルに叩いていく。背後のバーカウンターのワインボトルを掴み、ひとの脳みそはだいたいこれと同じくらいの重さですと言い、今度はそのボトルで頭を打つ。ゴツゴツと音が響く。側頭部や後頭部を叩いているのに、みるみる額が紅くなっていく。総数から計算すると、200回も叩けば僕の脳細胞は全て壊れ、廃人になってしまう訳ですが……しかし、これは都市伝説です。脳細胞は日々新しく作られていくので、とニコリ。三公演目なので、たんこぶが沢山出来てしまって痛いのですが…の言葉で若干緊張がほぐれる。

音が増幅されているとは言え、実際かなり強く頭を殴っている。山川さんの身体を使ったパフォーマンスはいつもある種の緊張感がある。それは飴屋さんの作品とも共通する。ちょっとした事故で命を落とすのではないかと言う緊張感。勿論ケアはしているし、どの程度迄追求したらどうなる、と言うしっかりしたフィードバックを経ているものなのだが、実際に自らの身体を攻撃するそれは呑気に観られるものではない。そのギリギリのラインを歩くさまを見ると言う行為は、スリルを味わうためではなく、身体がどう反応するかをひたすら知るためのものだ。好奇心ともちょっと違う。

山川さんがプリントアウトされた紙を取り出す。ある人物の脳のMRI画像です。綺麗な頭ですね。ここに、この頭の持ち主の名前が書いてあります。ヨ・コ・マ・チ・ケ・イ・コ。これから上演するのは、この彼女の脳から生まれた物語です。暗転、山川さんはPAブースに戻り、ステージに横町さんが現われる。

電話のベルが鳴る。受話器をとる音、はい、と言う声。同時に電話が切れる。誰?誰なの?言葉のリフレインと、電話のコール音で構成された音楽が演奏される。まずその声が聴けたことが嬉しかった。横町さんの声、大好きなんだ。私は横町慶子です。ロマンチカと言うグループで踊っていました。左右非対称の人間です。語りがやがて歌になる。この辺りはインプロの要素もあった印象。山川さんはブースでPCを操作、シンバル等のパーカッションも演奏し、横町さんの動きへ音楽をつける。

鏡の後ろに横町さんが立つ。鏡はマジックミラーになっていて、点滅する照明により、横町さんの右半身と左半身が交互に浮かび上がる。白いドレス、白い肌。長い髪。ちょっと緊張している感じの顔。ああ、横町さんだ!

半分を失くしてしまった、その行方を探している。ひとりごとのように話し乍ら、横町さんは右手で手紙を書く。紙を折る。紙飛行機を飛ばす。上手からマシンがゆっくり歩み寄る。この機械、見覚えがある。ピューリタンベネット7200Aだ。あいトリ2010『Pneumonia』以来の再会!公演前、山川さんが「ピューちゃんが出る」と仰ってたのでピュ〜ぴるさんのこと?と思っていた。そうだった、ピューちゃんと言えば彼だったね。何故かピューちゃんのことは彼だと思ってしまうなー。彼女かも知れないね。

私の名前はピューリタンベネット7200A、ひとの呼吸を助ける仕事をしていました。名古屋の病院で働いていました。自己紹介をしたピューちゃんに横町さんは話しかけるが、なかなか会話にならない。ピューちゃんのボディを通して山川さんが唄う。いや、やっぱりピューちゃんの歌になるのかな。デイジー、デイジー(HAL?)。僕の頭は半分壊れてる。僕の身体も半分壊れてる。ピューちゃんと横町さんの会話、デイジーの歌、壊れた半分を探している横町さん。ピューちゃんに手を繋ごうと語りかける横町さん。手を繋ぐふたり。やがてピューちゃんは去っていく。

暗闇に白熱灯の灯りが浮かび上がる。心臓の鼓動の音とシンクロしている。山川さんが再びステージに上がり、ギターのフィードバック音とともにホーメイを唱える。いたい、いたい、と横町さんが繰り返す。「痛い」だと思われたそれは、やがて「ここに」が加わることで意味が変わる。こことはステージのことでもあるのだろう。しかしそれは観客が、パフォーマーである横町さんに抱いたイメージだ。踊ることを、演じることを離れていた彼女のことを思う。こうして再びステージに立つ迄、「痛い」が「ここにいたい」へと辿り着く迄、彼女にどれ程のことがあったか、どれ程のことを思ったか。きっと私の想像等及ばない。だがしかし、それを経て差し出された作品を観て、そこから想像を拡げることは出来る。『4.48サイコシス』を観たときに感じた、生きていることの意義や意味を追うものではない、ただただ生命と言うものの圧倒的な力がここにあった。今回スタッフに小駒豪さんらサイコシスのメンバーが参加していたことにも得心。

暗転。暗闇のなかから山川さんが語りかける。あなたの左手はどこにありますか。その居場所は地図に載っていますか。私はここにいます。終演。

いなくなった半分はどこにいるのか。それが示された地図はどこにあるのか。地図を探す旅は続く。その歌声とダンスは、息を呑む程美しかった。

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『アルトナの幽閉者』にも『ASYMMETRIA』にも大きな鏡が出て来た。ひとの姿を、内面を、過去と未来を映し出す鏡。