なべて世はこともなし
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2003年06月30日(月) まだまだ続く。アイルランド入院体験記(4)

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往来の多い廊下の物音に拘らずまどろんでいると、先ほど渡しに手術を宣告した医師がやってきて私の調子はどうか聞いてくる。


私:「全然悪くないんですけど。居たくないし。本当に今晩手術するんですか?」
医師:「うーん、どうせ手術室も空いてないし、今晩一晩様子を見て明日決めようか」



…とりあえず手術回避。


そのあと看護婦さんがやってきて私のお腹に注射1本。


そんなこんなのあと、つかの間の静寂(と言っても相変わらず廊下は騒々しい)がやってきて、担架の上で眠ったんだか眠らないんだか分からないうちに誰かがやってくる。つけっぱなしの腕時計を見ると朝の5時。眼鏡なしではほとんど何も見えない私。しかも頭が作動していないからよく分からんがどうやら看護士さんらしい。


看護士:「病室のベッドが空いたから行こうか?」


誰か死んだんですか?この時間帯に?


看護士さん、そんな必要は全くないのに私を担架ごと病室に運んでくれようとするが、ふたりで運ぶべきところどうやら応援が来ず、ひとりで運ばねばならないらしい。この部屋の入り口が狭いことも手伝って(少しは考えて設計しろよ)これがなかなか難儀らしい。


看護士:「えへっ、ごめん。今車椅子持ってくるから乗り換えて」
私:「だーかーらー、自分で歩けるってば」
看護士:「いやいや、車椅子持ってくるから待ってて」



数分後私は産まれて初めて車椅子に乗せられて病棟へ。それにしてもBeaumont Hospitalは巨大な病院でして、ベッド数は優に600を超えるそうな。私はリフト(エレベーター)で最上階4th floor(日本式にいえば5階ね)の病棟へ。


六人部屋のいちばん奥の窓際のベッドがあてがわれる。すぐに看護婦さんがやってきてもう何度目になるんだろう、血圧と体温を測定。体温36度。血圧上が110の下が65。…これを健康と呼ばず何というんですか?


でなぜかこの看護婦さんに太股まで完全にカバーする白いストッキングを履かされる。この時は暗くて気がつかなかったが、白いストッキングから脛毛が一部はみ出している姿は自分で見てもなかなか気持ち悪い。「私ってきれい?」とかいうどこまでも寒いオヤジギャグをかます余裕はあったがこのストッキングが何のためか聞くのを忘れてしまった。…もと正直に書けば聞いたけど、眠くて覚えていない




年寄りの多い病院の朝は早い。6時30分にはもう誰かが起きてくる。外はすでに明るい。後で知ったが病室は男女別らしく私以外のこの六人部屋の住人はすべて男性。3人は70歳かそれ以上のいつお迎えが来ても驚かないじいさまばかり。あとの二人は50代半ばといったところか。私の向かいのベッドの50代半ばと思われる男性はなぜか右足の膝から下がない。それ以外の人はどこがどう悪いのか外見からは判断できない。


朝7時30分。看護婦さんがまた検温・血圧測定に来る。漆黒の髪と浅黒い肌の小柄の看護婦さんはフィリピン人。この看護婦さんが私の担当になるのだが、それ以外にも別のフィリピン人の看護士さんが同じ病棟に。救急治療室でもフィリピン人と思われる人を数人見る。どうやら「医療現場にはフィリピン人がけっこういる」という噂はあながち間違っていないような気がする。


でこのフィリピン人の看護婦さんに限らず看護婦(士)さんのかいがいしい働きぶりには感心するばかり。自分が怪我や病気で参っている時に白衣の天使様に優しくされたらそりゃたいがいの男はころっといってしまうわな…と実感。


朝8時30分。点滴はされてはいるもののお腹が空く。お腹が空くものの私は絶食中の身。水すら飲めない。が他の5人は朝食が届かないことにぶーぶー言いはじめる。


だんだん気がついてきたがこの病室の雰囲気はすこぶるよい。50代半ばの男性二人がそれこそ看護士さんに負けないくらいかいがいしく働いており、例えばじいさまのひとりがトイレに立とうとするとさっと手を貸したり、水を汲んだり特に右膝の下がなくて車椅子で移動しているのにじいさまを助けようとしている姿は私をして尊敬のまなざしで見ざるを得ない。


8時30分に届くべき朝食が私を除く5人に届けられたのは9時30分。…さすがはアイルランド。(続く)


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2003年06月28日(土) 駄ネタ

とあるところでこんなページが紹介されていました。おヒマな方はどぞ。


2003年06月27日(金) ついに来た!同時進行、アイルランド入院体験記(3)

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さあ、お約束通り、救急治療室の廊下で一晩明かす羽目になるのかと思いきや、看護婦さんはたった今の今迄使われていた担架のシーツを手際よく替えはじめる。で、私の向き直って、


看護婦:「あ、ちょっとそこの2つめのドアの小部屋で待ってて」


彼女に指定された部屋は6畳程度の部屋で、推定急患でかつ特に必要のない患者を一時的に軟禁滞在させておく部屋らしい。壁に2組の酸素用のバルブがあるところを見るとどうやらふたりを収容するらしい。…そんなことを考えていると先ほどの看護婦さんが担架を新しいシーツで整えて戻ってきた。


看護婦:「はい。じゃあここでしばらく休んでて。あ、この部屋手術まで使ってもらうから。あと、もうひとりここに来るからよろしく」


しばらくすると、サッカーのユニフォームを着た30半ばの男性が松葉杖をついてやってきた。ここまで何が原因でここにいるかが分かる人も珍しい。


彼に話を聞くとやはりサッカーの途中でかかとを剥離骨折したらしい。ただしどういう理由だかは知らないがギプスや包帯をしていないので外見上はあまりよくわからない。彼いわく


彼:「勝ったからいい!でも今ごろ他のメンツがパブで祝勝会をやっているかと思うと悔しい!」


とのこと。


彼の本業は何と警察官。しかも私がEastwallに住んでた頃、そこの担当だったそうで、世間は狭い、あの「ダブリン家がない」に出てきたヤクの売人の件の話をすると


彼:「ああ、その話なら覚えているよ。たしか一階に3部屋あるアパートだろ。よくあんなところに住んでいたねえ」


…今にして思えば私もそう思います。


そんな雑談をしていると看護婦さんがふたり入ってきて、警察官に向かって…


看護婦:「ええと、あなたが盲腸の手術をする患者さんね」

そしてに向かい


看護婦:「そしてあなたがかかとの剥離骨折の手術をする人ね」


わずか1分30秒で手術を決定した次は患者の取り違えですか?幸いにしてというべきか、さすがに看護婦さん、私たちの唖然とした表情から患者の取り違えに気がついたようで…


看護婦:「あーら私ったら嫌だ。逆じゃないの!」
警察官:「何?俺の盲腸取っちゃうつもりだったの?」
私:(引きつり笑いをしながら)「オレの足を開けちゃうつもりだったの?」



看護婦さんは笑いながら


看護婦:「間違えないようにここに『この足を手術』と書いておきましょうね」


と言いつつ、警察官の右足にボールペンで大きなバツ印をつける。すると警察官氏は


警察官:「骨折したのは右じゃなくて左なんだけど。(私を見て)おい、今晩、絶対寝ちゃだめだぞ。寝たら最後。何が起こるか分からんぞ」


…確かに。腎臓の一つくらいなくなってるかもしれない。おいアイリッシュ。何でも笑ってすると思うなよ(怒)。



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2003年06月26日(木) とことん行きます地の果てまで。スコットランド旅行記(1)

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6/18の日記

ライアンエアに乗るたびに、「命の安売りをした」と後悔するのは私だけでしょうか。20年以上経った経年機。そりゃ新しけりゃいいってもんじゃないのは分かる。だけど真新しいヒコーキの方が安心感があるわけで。


しかも落っこちた日にゃ、「あんたこんな安いチケットで乗ってるんだから、賠償金も安いよ」なんて言われそうな気がする。落ちて死ねば後は野となれ山となれというのは間違いないが、ただ、どうせ死ぬなら親が金銭的に困らない(=賠償金ががっぽり入る)死に方をしたいと思うのは私だけか。


ライアンエアネタに入るとまた長いのでこれ以上は省略。ともあれ、私の乗ったおんぼろキルケニー号は高度を上げる間もなくグラスゴーはプレストウィックなるローカル空港に着。グラスゴーまで車で小一時間。東京の羽田が、グラスゴーインターナショナルとすれば、このプレストウィックなる空港は成田になるのだろうか。とにかく遠い。…ゆえに安い。


プレストウィック空港で借りたローバー25。さすがイギリスのレンタカーはイギリス車なのかなどと思いつつ出発。


今回の旅行はレンタカーと航空券の手配を除いて全部ひでかすまかせ。同居人兼同行のドイツ人Samantha(仮名)に至っては自分の下着をカバンに詰めた以外何もせず。ともあれ3人での旅。行き先等はすべてひでかすに任せた。何せひでかすは私がスコットランドに行ったことがないのに対し、なんだかとんでもない離れ島まで行ったことがあるくらいまたオタクぶりを発揮スコットランドに詳しいらしい。


で、ひでかすが決めた今回の旅行のコンセプトは「とにかくイナカへ行く」こと。これ、非常に正しい選択といえる。例えば、ダブリンを見ただけでアイルランドを見たとは言えない。はっきり言ってしまえばダブリンはアイルランドではない。これ、私の意見なんですが、入院中に出会ったアイリッシュもまったく同じことを言ってました。


平たく言えば「エメラルドアイランド」だの「羊が静かに草をはむ光景」などダブリンでは見られない。言い方は悪いがダブリンはどこにでもある町に成り下がってしまった気がする。これと同様に、グラスゴーだエジンバラを見ただけでスコットランドを語れるとは到底思えないのだ。そりゃグラスゴーもエジンバラもスコットランドの重要な都市。だけどスコットランドの真骨頂はアイルランド同様都会ではなくイナカにあると思う。

行程


今回のルート。赤が一日目、青が二日目、紫が三日目です。はっきり言ってめちゃくちゃな距離走ってます。

で、ひでかすいわく、「地球の騙され方」(仮名)等のガイドブックにはスコットランドの田舎の方はまったくといっていいほど紹介されていないそうな。私がガイドブックを見た訳ではないので断言できないが、ひでかすいわく、スコットランドの紹介はグラスゴー・エジンバラ、そしてよくてフォートウィリアムまででそれより先のイナカに関してはガイドブックに載っていないそうな(地図参照。クリックすると拡大します。664KBと重いので電話回線の方は注意)。


これもある意味分かる。なにせスコットランドのイナカはアイルランドのイナカ以上に公共交通がない。バスが一日2便とかしかないところへ公共交通機関を通じて行こうというのは至難のわざ。かくして「地球の騙され方」等のガイドブックにスコットランドのイナカが載っていなくてもそれは何も驚くには値しない。




かくして、グラスゴーを何の迷いもなく通過した私たち。最初の目的地はGlen Coe。ここ「すんげえ美しい谷」(ひでかす談)なんだそうな。谷の入口の橋からしてたしかにいい感じだわ。で、Glen Coeに入っていくと、なるほどいい感じだわ。




とか思っていると、突然目の前に警官登場。警官いわく


警官:「今、ハリーポッターの映画の撮影中なのよ。ちょっと待って」


待たされること10分。車を出すと





…煙を焚く謎のオッサン発見。


すると…




…今度は謎のバン発見。映画会社のバンにみえる。


さらに…



どっかで見たような家発見。そう、ハリーポッターの映画をご覧になられた方はもうお分かりですね。あのロケ地はスコットランドのGlen Coeであることが判明。いい勉強になりました。


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2003年06月25日(水) 閑話休題。アイルランド人のいい加減さの小ネタ二話。

あどーも、Snigelです。ご無沙汰をしておりますです。掲示板・メールでのお見舞い本当にありがとうございます。何といいますか、会ったことのない皆様からお見舞いをもらったりして皆様のそういう優しさがあるからついと更新しないわけにはいかないという気分になるんですよね。本当に幸いにしてこのホムペは良い読者さんに支えられております。改めて感謝しますと同時にこれからもよろしくお願いします。なお私はいたって元気ですので。


で、入院の話なんですが、あと四回くらいに分けて書きます。この話、質問や掲示版でのネタで盛り上がったこともあるところからして、多くの人が興味を持っている話だと理解しています。そういう思いもあるので、多少だらだらした内容になっても省略せずに細かい内容を書いていきたいと思っています。自分で言うと世話がないですが、入院の話、かなりの自信作です。アイリッシュに話しても床で笑い転げてくれます。本当に信じられない体験でしたから。


と同時に、スコットランドの話も書きたいので交互連載のような感じでしばらくやっていこうと思っています。ちゅうわけでよろしくです。


今日はちょっとしたアイリッシュのいい加減さの小噺を二つ。


その(1)スペシャルオリンピック


アイルランドでスペシャルオリンピックが始まりました。いまいち自信はないですが、日本で言うところの「パラリンピック」ってやつですか?要は障害のある人のオリンピック。オープニングイベントに5億円だかを使ったとか。U2やコアーズやネルソンマンデラまで呼んだ開会式。個人的には外したなあと思ったのですが、巷の評判は極めていいようで。


当然日本チームも来ています。日本チームはキルデアだかニューブリッジだか忘れましたがどこかの町にホームステイしているはずです(ホストファミリーはボランティア)。それはいいのですが、実は4月くらいだったでしょうか、読者さんを通じて私のところにメールが来たのです。


「日本人各位
日本人の通訳が足りない。お願いだから手伝って」



という内容のメールがスペシャルオリンピックの実行委員会から来まして。けっこう切羽詰まった内容だったのです。


人生でボランティアとか社会奉仕とかそういう「善行」をほとんどしたことのない私。よっしゃー、ここは一発ボランティアをするべえとボランティアに申込んだ。会社とも交渉してボランティア休暇の認可された。


なのに、スペシャルオリンピックの実行委員会からの連絡はなし。せっかく無理して取った休みもキャンセル。


…日本人、いらないなら最初から頼むなよ。


(2)UTVip


何度も書きますが、私の家のインターネット、未だに56K電話回線です。私の使っているプロバイダはUTVipという会社で、夕方6時から朝の8時まで使い放題で月30ユーロというプラン。これが今日のニュースによるといつでも24時間使い放題で月に25ユーロに値下がりするという。おいしい話。


で、UTVipからメールが来て「そのサービスに移行するためには新しいダイヤラーをダウンロードしなければいけない」とのこと。別にダイヤラーをダウンロードすること自体何の苦にもならないのでやってみた。ところがエラーメッセージが出てくるばかりでインストールできない。そこでテクニカルサポートに電話してみた。


ちなみにUTVipのアイルランドのメインオフィスはベルファスト。ご存知の方はご存知だろうけど、北アイルランドのアクセントは英語に自信がある人にもちと難しい。もっと言えばネイティブスピーカーにも通じないことすらある。


待つこと10分。ようやく男性のオペレーターが出た。

オペレーター:「UTVipテクニカルサポートです」(←きっとそう言ってたに違いない)
私:「かくかくしかじかでダイヤラーがダウンロードできないんですけどー」
オペレーター:「はい。何やらUTVipのホムペにアップロードしてあるプログラムにバグがあったみたいです。明日修正版をリリースする…はずです。今日はこの電話ばかりで…」



…。ちゃんとテストしてからアップロードしろよ。


私:「あっそう。じゃあいいや。新しい番号教えて。ダイヤラーなしでもマニュアルでプログラム変えるから」
オペレーター:「番号知りません」


…私にもできるな。このくされテクニカルサポート。まこんなことは日常茶飯事なのでいちいち驚いていられませんが。



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2003年06月24日(火) ついに来た!同時進行、アイルランド入院体験記(2)

ひですです。Snigelは元気なくせに日記の更新が面倒くさいといっています。明日こそは自分で更新させます。ちなみにSnigelは元気もいいところなのでご心配お気遣いは一切不要です。


関連日記
昨日の日記


私のかかりつけの医者(GP)から車で10分程度のところにあるBeaumont Hospital。私が知る限りではここらへんでは一番大きい総合病院。


車を立体駐車場に停めて正面玄関をくぐったものの…どこへ行ったらいいのやら。受付で聞くと右側の階段を下りてすぐとのこと。はいはいと行くとそこには長椅子が6つくらい並んだ待合室がある。救急診察室の待合室は割と閑散としていて10人程度の人しかいない。読者さんの投稿から相当多くの人が今にも死にそうな様子で順番を待っている阿鼻叫喚地獄を想像していた私はちょっと拍子抜けする。


受付を済ませ(なぜか宗教まで聞かれた)やたらと低い位置にある長椅子に所在なげに座る私。何度も書くけど阿鼻叫喚地獄を想像していた私にとって待合室のきわめてフツーな様子はあまりに予想を外れている…などと思っていると診察室と思われる大きなドアから工事現場の作業着を着て頭を包帯でぐるぐる巻きにされたオッサンが出てきて、ここが救急診察室の待合室であることを思い出させてくれる。


さあ何時間待つ羽目になるやらと覚悟を決めていると受付を済ませてからわずか10分後、私の名前が呼ばれる。驚愕。わずか10分。


診察室ではなくその横の小部屋に呼ばれた私。中には私のタイプの看護婦さんが待っていて血圧・体温等を調べアレルギーの有無等を確認する。…異常なし。


看護婦さん:「じゃあ一度外に出てもう一度名前を呼ばれるまでお待ちくださーい」


…そういうことね。世の中そんなに甘くなかった。


確かに世の中そんなに甘くないものの、半面そんなに辛くもないようで、その時点からかっきし1時間後、私の番がやってきた。何という天の巡り合わせか今度は私と同い年くらいの女医さん。かわいさの中に知性があふれ出ている感じ。ビビビとは来ませんでしたが。


医者:「今、こっちの救急診察室はどこも開いてないから外科(怪我)専門の別室に行きましょう」


…いきなり別室ですか先生。などと劣情を持ったりはしてませんので念のため。ともあれ、人がひしめく大部屋を通り過ぎ、誰もいない別室へ。


で、本日3回目となる体温・血圧測定(さっき看護婦さんがやったのは何だったんだ?)。で、触診。私が痛がるのはへそのちょっと右下。そう、もうお気づきですね、私は盲腸の疑いをかけられているのです。風邪でかかりつけの医者に行ったのに、まさにひょうたんからこま、盲腸の疑いが急に出てきたわけ。そう、風邪くらいじゃあ病院に行けなんて言われませんよ。


ちょうど盲腸があるあたり(だと私は思う)を押されてその押された指が勢いよく離される時にちょっとした痛みが走る。ただし激痛でのた打ち回るとかいう次元ではなく、痛さでいえば軽く頬をつねられた程度。騒ぐほどではないし、この程度の痛みだったら私は医者にかかろうとは思わない。さっきも書いた通り、私は風邪で医者に行ったのであり腹痛で医者に行ったのではないのです。


医者:「うーん、盲腸にしては血圧も体温も正常だし、何より、あなた元気すぎるのよねえ」
私:「盲腸って熱が出て、痛さでのた打ち回るんですよね」
医者:「そういうことが多いわねえ。とりあえず、血液検査をして専門医に診てもらいましょう」



と言われ、先ほど通過した大部屋へ。二人で歩いているとどこからともなく明らかに病院関係者ではないおそらく一般人がやってきて、


女性:「せんせーい、XXさんが死んじゃったー」


と文字通り泣き叫びはじめる。まじかよ。おい。テレビドラマERの世界そのまんまじゃないかよ。


医者はなれたもので彼女の肩を抱き慰めつつ優しく彼女を救急診察室から追い出すと、私にひとこと


医者:「ごめんねー。でも救急診察室ってこんなもんよ」


…Snigelの運命はいかに。次回に続く。



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2003年06月23日(月) ついに来た!同時進行、アイルランド入院体験記(1)

どうも、Snigelのアパートの同居人ひできすです。Snigelのバカのせいでひですだと思っている人も多いようですが、ひですでありひですではないのでお間違いのないようお願いします。


今、Snigelのコンピュータを使ってこの日記を更新してます。Snigelの言ったとおり、この日記の更新ページその他のパスワードは律義にクッキー保存してあり難なく更新できております。Snigelは結構マメなやつなのかそれともズボラなのでしょうか。


さて、この日記の管理人Snigelですが、あまり詳しくは書けないのですが、実はかなりしゃれにならない状況になっています。はっきり言うとこの数日家に帰ってきておりません。ただ、行方不明とかそういう話ではなく、ちょっと困ったことになっているのです。とりあえず日記の原稿はもらってきたのでこうして私がSnigelに代わって日記を更新しています。


Snigelが言うには「スコットランドの話も書きたいがその前に自分の近況報告をしたい」ということでこの話を先にするそうです。連載になるそうなので私はできるだけ早くSnigelが家に帰ってき次第バトンタッチしたいと思っています。以下はSnigelが書いた原稿です。それでは。



ことは木曜日の夜にさかのぼる。…いや、もっと正確に書けば3週間前にさかのぼったりする。ずーっと風邪が治らずボーっとしてた私は木曜日の夜になって突然腹痛に襲われる。…と言っても激痛などではなく「ちょっと痛むかなあ」という感じ。ただそろそろいい加減に風邪が治らないとおかしいなあと思っていた私は翌金曜日に会社が終わってからかかりつけの医者に行くことに決める。


で、翌日(金曜日)。相変わらず調子が悪いが特に悲惨という訳ではなく、ましてや医者に行くべきとはあまり思えない。まあ予約もしたしというわけで軽い気持ちで近所のかかりつけの医者へ行った。


近所の医者にて3週間くらい前から調子が悪くずーっと軽い頭痛や鼻水に悩まされていること、昨夜から腹痛もあることでもビールはしっかり飲んでいることなどを話す。


けっこう若い怜悧そうな左利きの女医さんは血圧を測り、体温を測り、そして触診を始める。


医者:「どこが痛い?」
私:「あ、そこ」
医者:「え?ここ?ここが痛いの?」
私:「あ、うん、そこが痛いの」



医者は私が痛いところを見つけるとひとこと


医者:「紹介状書くから、今、すぐBeaumont Hospitalに行くこと」
私:「はぁ?」



よーは知らんがイギリス・アイルランドでは大怪我を除いていきなり病院へ行くことはできない。同様に専門医に突然かかることはできない。唯一の例外は歯医者。ともあれ、頭痛から心の悩みに至るまでまずは自分のかかりつけの医者(General Practitioner略してGP)行き、必要なら初めて専門医・病院へ行くことになる。これを逆に言えば専門医・病院に紹介状をもらうということは何らかの厄介な問題をかかえたということに他ならない。


私:「まさかと思うけど、ですか?」
医者:「まだ分からないわ。だから血液検査等専門的な検査をしてもらい必要な処置をしてもらうことね」
私:「今すぐ行ってもいいんですか?もう金曜日の夕方5時ですよ」
医者:「急患のところに行きなさい」
私:「それほど悪くないと思うのですが」
医者:「とにかく、つべこべ言わずに今、すぐ行きなさい。今行かないで夜遅くなると、ヨッパーとかで大変なことになるから」
私:「はーい」



こうして私は生まれて初めてアイルランドの病院Beaumont Hospitalに行くことになるのですが、この続きは明日に続く。



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2003年06月18日(水) スコットランドの旅行記を書き始めたつもりが...大脱線




ブリティッシュミッドランドの機内誌Voyager。 これはブリティッシュミッドランドに限った話ではありませんが、ヒコーキの機内誌は概してつまらない(全日空の翼の王国はまあまあいけてると思うが)。ただこの理由はある意味当然で、こういう機内誌は世界を股にかけるフレクエントビジネストラベラーのためにあると思われ、私のようなビンボー人にはあまりビジネスの話や別荘の話は興味がないというか縁がないというか…。


かくしてこのVoyagerも別に見るとはなしにぱらぱらめくっていた。中古ロレックス売買の広告…ああそうですか、誰か聞いたこともない人のインタビュー…読む気もせん…なんてやっていたのですがふっとひとつの全面広告が目に留まった。





モバイルギア用のプリンター。


こんなもん買う人がいるのかな…と思うだけなら目に留まりすらしなかったが、この広告、見れば見るほど味がある。


空港のラウンジらしきところでノートパソコンを使い会議の議事録を作るビジネスマン。それはいいとしてこのプリンターの会社、もしかして


ブラザー?


ブラザーって、私が中学生くらいの頃ワープロに手を出して大コケしたあの会社?まだこの会社存在してたの?(ブラザー関係者の方、あくまでコメディですので聞き流してください)あの会社が今、こんな誰が買うかわからんプリンターを作ってる?


うーん、目の付け所がブラザーだ。


でこの広告が私の目に留まった最高にして最大の理由。窓の外にボケて写っているヒコーキにはい注目―。



ん?このヒコーキは…。


まさかライアンエアー?


機体前部のRyanairのロゴは画像処理で消しているものの、この機体、この青と白のツートンで黄色のラインのワンポイントといえば紛れもなく、あのRyanairではないですか?


ブラザーさん、世界のビジネスマン相手に広告出すならもうちょっとマシなヒコーキはなかったの?ちゅうか、Ryanairが飛んでくるこの空港ってどこよ?


何せRyanairはまともな空港に飛ばない。あ、これ、私が言ったんじゃないですよ。今、私の手許にはグラスゴーの空港で手に入れたRyanairのCustomer Service Promise(Snigelによる超意訳:「お客様への誓い」)にちゃんと書いてある。私をしてグラスゴーの空港でダウンさせたこのテレカサイズのカード。ツッコミ所満載なのでここでひとつひとつ突っ込んでいきましょう。





Ryanair's Service Promises

1. Safety
2. Very low prices
3. No.1 punctuality
4. New modern aircraft
5. Efficient, uncrowned airports
6. Friendly, hospitable on-board service



1. Safety (安全)

当たり前です。例えタダでもヒコーキが落ちたら話にならん。「安全はすべてに優先する」なんてどこの工事現場にも書いてあるし、単なる掛け声のような気もする。


2. Very low prices (格安)

確かに時間と曜日を選べば安い。ただしラストミニッツならエアリンガス他の方が圧倒的に安いことが多い。


3. No.1 punctuality (定時運行率一)

これまた当たり前。乗り継ぎを保証しないで、かつイナカの一日10便離発着があるかないかの空港を使ってたりするんだから。


4. New modern aircraft (最新の機材)


ぎゃははははははは _(__)ノ彡☆ばんばん!

なんですか、私が乗ったRyanairのキルケニー号。機齢23歳ルフトハンサが古くなってスクラップにしたこのキルケニー号をあんたんところはNew modern aircraftと呼ぶんですか。




参考写真:キルケニー号(左)とその昔キルケニー号がルフトハンサだった頃(右)。




ちなみにこの項目を書くのに私は30分近くネットサーフィンをしてこの内容を調べました。いくらなんでもキルケニー号がルフトハンサのお下がりとか初飛行が80年の3月だとかは調べないと分からない。Ryanairの名誉のために言うと、現在約20機ある737−200(要するに20年くらい前の機材)は今年末までに全部ようやく捨てるそうです。もしそうなれば機齢は4年以下になるからNew modern aircraftというのはまんざら嘘じゃなくなる。


5. Efficient, uncrowned airports (効率的で混んでいない空港からの発着)

…要は着陸料がもったいなくてどうでもいいようなイナカの空港に飛んでるくせに。モノは言いようですね。


6. Friendly, hospitable on-board service (フレンドリーで暖かい機内サービス)

「なれなれしい」「フレンドリー」を御社は混同してませんか。まあよほどフレンドリーでない限り、1本400円近くする生ぬるいビールなんか買う気にならんわな。


気がつくと、スコットランドの旅行記のつかみを書き始めたつもりがいつの間にやらRyanairの悪口になってしまった(いつもRyanairをネタにすると話が長くなるのはなぜだ?)。とりあえず今日のところはここでやめときますが、次回こそ、まともなスコットランドの旅行記を書きますのでよろしく。


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2003年06月17日(火) Kinnityとはこれいずこ?

スコットランドの旅行の話を書きたいなあ…と思っているのですが、どうも風邪が治らずに頭がぼーっとしたままです。写真を加工して、ストーリーを考えてという大きな作業をする気がしません。というわけで今日は完全なつなぎ更新です。


どうして風邪が治らないか論理的に考えてみました。答えは意外と簡単でした。


(1)トシ
(2)ろくなもんを食ってない



Snigel、いつの間にやら28歳。あと2年もすれば30です。コドモの時に「30以上はオヤジである」という基準を勝手に決めていた私にとって、自分がその年になるというのは落ち込みますなあ。


で、それ以上にどうもここ数日ろくなもんを食ってません。六尺三寸の寝床の横に、


「Snigelさん、ほら、食べなきゃだめじゃない。おじやを作ってきたわよ」


なんておじやを持ってきてくれるかわいい女の子はいないものだろうか。…自分で突っ込むと実はおじや、大嫌いだったりするんですよね。おかゆ系、きらい。もっと言えばおでんも嫌い(←食べたいものがなく、いつもゆで卵だけ食べる)。たまに自分が日本人なのかどうか疑問に思いますが。


かくして、ただいまもひでかすの食器棚から勝手に盗んだパン2枚とLIDLで買った魚の缶詰(くさいので顰蹙を買う)とカップスープというわびしい昼食を済ませてきたわけですが、昼休み前にBallyfarmot在住(=もろダブ)同僚とこんなばか話をしてました。


同僚A:「で、その後彼女は元気?」
私:「元気だよ。なんでよ?」
同僚A:「聞いただけ。いつ結婚するの?」


…こういうくだらない質問にはくだらない答えをするのがいちばんと洋の東西を問わず決まっている…と私は決めました。ちなみに彼女は未だに結婚とは程遠いところにいるようです。あ、彼女がモテないとは決して言ってませんよ。ただ机の前の彼氏の写真がほぼ月代わりで別人になるのがほんのちょっと気になってるだけです。


私:「ああ。誰から聞いたの?来年だよ」


言うまでもなく口からでまかせですので念のため。


同僚A:「本当に?どこで。アイルランドで?日本で?」


私は数日前の掲示板の投稿をふっと思いだし…


私:「Kinnityのお城を借りた」
同僚A:「どこ?それ?」



新事実発覚。アイリッシュの一部は、Kinnityがどこか知らない。


私:「ミッドランドだよ。知らないの?」(←称して知ったかぶりといいます。私だってどこか知らない)

同僚AはおとなりのTallaght在住の同僚(=これまたもろダブ…って掲示板の投稿に「Tallightに住んでました」という投稿が今日あったばかりだったなあ)に向かい


同僚A:「Kinnityってどこか知ってる?」
同僚B:「聞いたこともないわ」



新事実発覚。アイリッシュの多くはKinnityがどこにあるか知らない(←サンプル2つで決め付けるなよ)。


かくして私がKinnityを知らなかったことは恥じるべきことではなかった時がつかされました。


ただ、そういうことってよくありますよね。私Q州出身ですが、Q州のこと、実はQ州に住んでいない人のほうが良く知っているとか、別の例では東京にコドモの時から住んでいる人は(遠足ででも行かなかった限り)東京タワーに上ったことがないとか。ダブリンに住んでいるアイリッシュは意外なほどダブリン以外を知らなかったりします。


ともあれ、同僚A・Bは私に集中砲火を浴びせます。


同僚A:「どこよそれ?そんなとこアイルランドにはないわよ」
同僚B:「私アイルランドには詳しいけど、そんな地名聞いたことがないわ」



数分後、私は静かにKinnityのお城をGoogleで検索をかけてそのページをメールで優しく送ってあげました。ふふっ、(今日のところは)勝った。



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2003年06月14日(土) 国勢調査員は3度ベルを鳴らす

ピンポーン♪


誰からうちのドアのベルを鳴らす。夕方8時(明るいので「夜8時」という感覚ではない)。


無視。


だいたいうちにやってくる人間なんてろくなもんじゃないと相場が決まっている。大学時代に独りでアパートに住んでた時もやれパラボラ放送の受信料を払えだの(←それは義務じゃないのか?)、巨人新聞を取れだの、赤旗党のチラシ投げ込みから果てはモロ見えおげれつビデオのチラシ投げ込みまで。


アイルランドもまあ同レベルのような。「チャリティのスクラッチカードを買え」だとか(これが一番多いような気がする)、某与党の地元政治家はうちには参政権を持っている人間はひとりもいないのに2ヶ月に一度は戸別訪問してくるし、今の家ではないけどその昔柄の悪いエリアに住んでた時はガキが車を洗う代わりにチップをくれとやって来たり(車など持ってなかったのに)、例の必ず当たるスクラッチカードを投げ込んでいったりとまあ、とにもかくにもろくなもんじゃない。アパートと違ってインターホンで撃退できないところも辛いところ。呼んでもいないタクシーがやってきたこともあった。


ここまで書いてふっと思い出したけどこんなこともあった。ある日、カタログショッピング用のカタログを投げ込んでいったオッサンがいて、中にはDIYやキッチン用品がごちゃごちゃと書かれているが値段的にも商品的にもまったく興味なし。かくしてそのままごみ箱(正確にはリサイクルボックス)ポイになった。


そこまではよかったが、このカタログを投げ込んでいったオッサンが翌日再びやってきて、


オッサン:「カタログ置いていったものだけど、何買う?」
家人:「なにもいらない」
オッサン:「じゃあカタログ返して」
家人:「え?捨てたよ」
オッサン:「なんて捨てんだよ!」(怒)



ごみ箱の中で水分を吸ってべこべこになったカタログを渡してオッサンを追い返したことは想像に難くないかと。だいたい頼みもしないのに勝手に家のポストに投げ込んで行ったものの所有権を主張するか、フツー?そういえば日本で銀行口座に勝手に振込をして無理矢理お金を貸す悪徳金融業者が問題になってるとかなってないとか。それとは次元は違えど似ているような似てないような…。


閑話休題。話は最初のドアベルが鳴ったところに戻る。この日の夕方のドアのベルも家には私しかおらず、かつ、私は玄関から離れた二階の自室にいた(日記の更新をしていたのです)ので無視。


ピンポーン♪


…何度押されても出ないもんね。例え前庭に自分の車が止めてあっても家には誰もいないのだ。ああ、玄関の外に電気メーターがあるような国じゃなくて良かった。


それで訪問者は諦めたらしくドアベルはそれ以上鳴らなかった。


翌日、同時刻、やはり同じように…


ピンポーン♪


…ドアベルが鳴る。


無視。


もう一度


ピンポーン♪


無視。


…諦めたらしい。


さらに翌日の同じ時刻、同じように


ピンポーン♪


…がこの日は違った。この日私は運悪く二階の自室ではなく一階の台所にいた。台所にいると、玄関の曇りガラスから台所の人影は見えてしまうのだ。つまりここにいる限り居留守は使えない


私はいやいや玄関のドアを開ける。さあ、今日は何を売りつけようというのか。


そこに立っていたのは年の頃30半ばと思われるおばさま。ブロンドの髪はきれいにショートで決まっており、婦人用のスーツをきちんと着こなし、左腕にはノートパソコンを抱えている。…なかなか知的な女性という印象を受ける。女性はおもむろにノートパソコンを広げると…


女性:「こんばんわ。私、ナントカ省(忘れた)の国勢調査を実施しておりまして、ただいま若干の質問に答えてもらっています。ええと、この家にはAさんとBさんがお住まいでよろしいですか?」


AさんとBさん…確かに住んでるけど。ちゅうか、このおばさんが毎晩やってきてたのか?


私:「はあ?国勢調査?それ去年だかに大掛かりなのをやったんじゃないんですか?たしか20ページも渡る小冊子を埋めて送った記憶があるんですが」
女性:「いえ、それはカントカ省が行ったもので、私どもはナントカ省です」



…なんだかなー。どこかの国がある日は電気屋が道路に穴を掘り、翌日ガス屋が穴を掘り、その翌日道路管理者が道を掘りかえす…とかいうとんでもない非効率なことを当たり前の顔してやってたみたいだけど、アイルランドもあまりやってることの次元は変わらんなあ。そんな質問、いっぺんにやってデータを使い回しすればいいのに。


などと思いつつ、やれ私の最終学歴だの、現在学校に通っているかなどおもに学歴と年収に関する関連について知りたい様子。正直で素朴な私は(私は正直で素朴ですが何か?)それらの質問に素直に答える。女性は手際良くそれらの情報をパソコンに入力していく。唯一、この質問を除いては…。


女性:「ええと、最終学歴は、大学ということですが、学部は何ですか?」
私:「はあ、不経済学部ですが」
女性:「不経済学部…、不経済、不経済、その選択肢はないわねえ。『数学』でいいかしらねえ」



…だいぶ違うぞ。だいたいなんでもっとも一般的ともいえる不経済学部が選択肢にないんだよ。どこかアイルランドはやはり抜けている。


数日後ひでかすにその話をすると、


ひでかす:「ああ、そのおばさんだいぶ前にうちに来たよ。ほとんど全部の質問に『答えたくない』と回答拒否しちゃったよ。おばさんは『Fair Enough』と結構諦めがよかったよ」


…なるほどねえ、そういうテがあったか。こんどこのテの訪問者が来たらそうしよう。そう思った翌週、私の手元に訳のわからん手紙がやってきた。封筒の表には





と書いてあり、中には私の住所・名前・PPS番号(納税者に割り振られている番号)までごていねいに印刷してある。日本で住基ネットがどうこう未だに議論されてるけど、アイルランドではいい悪いは知らんがこのPPS番号で個人は完全に番号管理されている。


質問:「最終学歴は」
質問:既婚・既婚、子供の有無



など個人のプライバシーにもろ首を突っ込んだ質問がずらずら並ぶ。


で、同封の紙には


「あなたはアイルランド中の10万人のサンプルの中に選ばれました。あなたの雇用主には、あなたの勤務時間・給与等の質問に答えていただきます。(中略)この調査は法的な根拠があり、あなたには回答する義務があります。(中略)1週間以内に同封の専用封筒を使い返信してください。」


…なんだかすんごく高飛車だと思うのは私だけですか?


で、質問事項を良く見ると、過日ノートパソコンを抱えた女性が私に聞いていった質問とほぼ重複してます。アイルランド政府はなんとかして私の個人情報を集めようと躍起になっているのではないか…などといつも通りで尾行されていると思う被害妄想を持った人と同レベルの被害妄想を持ってしまう。


さらに中を気をつけて読むと


「個人情報はいかなる場合も政府機関その他に開示されることはありません」


…あ、それでか。要は個人情報の保護のために政府(省庁)間でデータの横流しができないんだ。


ちょっとは安心したものの(というか秘密にするようなデータはほとんどないんだよね)、半面、この効率の悪さは何とかならんものかと思っています。


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2003年06月12日(木) ビザ更新騒動記−これを読んでもあなたはまだアイルランドに住みたいですか(6)

ただいま午後5時。仕事をする気全くなしです。だって金曜日だもーん(←これが正当な理由になるのはきっと世界広しといえどもアイルランドくらいではないだろうか)。

さて、ビザ更新騒動記、引っ張りに引っ張って本日堂々の完結です。まずは以前の日記をお読みでない方はこちらから。

関係日記一覧(未読の方はまずは下の日記からどうぞ)

3/24の日記
6/2の日記
6/3の日記
6/4の日記
6/5の日記
6/9の日記


かくして、ドイツに行った私。2週間のビザのおかげで入国時も全く問題なし。 もっと正確に書くと、アイルランドでは出国審査はありません。あ、もしかするとアメリカ行きはあるかも知れないけど乗ったことがないので分からない。ハンガリー行きも含めてヨーロッパ方面行きの時は出国審査はないと言い切れます。


この事実を裏から読めば、どんなに長くアイルランドに不法滞在していても出国時バレなければ大丈夫…とか私はそんなことは書きませんよ。ましてや、一度不法就労で国外退去処分になったニュージーランド人が、なぜか現在のうのうとダブリンで働いてるとかそんなことは私は決して書きませんよ。


ちなみに、「え?空港の航空会社のチェックインカウンターで航空会社の職員がパスポートをチェックするのは何?」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、あれ、航空券の名前とパスポート上の名前が一致してるか見てるだけです。もっと正確に言えば、ビザがいる目的地に行く場合に目的地のビザを持っているか確認することもありますが、出発地に合法的に滞在していたかどうかなんて航空会社の知ったことじゃありません。


まあかくして問題はアイルランドへの再入国時なわけですが、私の今回の旅行の場合、イギリスはロンドンヒースロー経由だったので、イギリスで入国審査を受けます。ここはアイルランドのスタンプさえ押してあれば文句を言われる可能性はなく、ダブリン空港でもこんな会話でした。


係:「あんた、ここで仕事してるの?」
私:「はあ…」
係:「アイルランドは好きかい」
私:「悪くないね」
(←正直に答える必要などあるはずもなく)


平和そのもの。


かくして当座の問題は解決して数日間ビザの件は完全に忘れていたのですが、翌々日からスコットランドに行くという先週の木曜日の段階になって、ああ、そういえばと思い総務のBredaに「ビザ届いた?」とメールを書くと


彼女:「あなたのビザなら先週とっくに届いてるわよ」


…火炎放射器を買える通販をご存知の方は掲示板にてお知らせください。


で、翌金曜日、再び昼休みを使いイミグレーションオフィスへ。今回は26人やはり30分程度待ち。これまたやる気のなさそうな兄ちゃんが私の個人情報をコンピュータに入力します。まあコンピュータを導入したことは評価できますが。


で、黙ってキーボードを叩いていた兄ちゃんは…


係:「あんた、このビザ、今日もらったでしょ?」
私:「は?先週ですが」
係:「いやね、あんたのビザ、このコンピュータ上に出てこないんだよ。ゆえにスタンプ押せない。また来週来てね♪



だ、脱力。


だいたい、コンピュータ上でビザが来てるかどうか見れるなら、なんで労働許可証の原本をここまでもってこいとか言うねん!いや、このイミグレーションオフィスに持参するのはまだいい。だけど、なんでアイルランドから出国する度に就労許可証の原本を持参しろとか言うんだよ!コンピュータ上で見れるなら必要ないじゃねえかよ。お前ら耳から手つっこんで奥歯がたがた言わすぞ。ゴルァ!(←誰やねん。お前)


というわけで、掲示板上で「アイルランド再入国時は就労許可証の原本を提示しないといけない」という指摘がありましたが、私はそんなもん知ったことじゃありません。持ってきませんよ。だって彼らシステム上で見れるんだから。アホらしい。


スコットランドに行きましたがその帰りは3つあるターミナルのうちでももっともいい加減な入国審査をするゲートAに到着。ちなみにゲートAはその昔はイミグレーションはなかった。要は、国内線扱いのターミナルだったのよねん。ここでの会話。


係:「仕事してるの?」
私:「はあ…」
係:「何してるの?」
私:「会社に最大限の利益をもたらすために、へ理屈をならべてお金をできるだけ払わないように、またできるだけ遅らせて払うようにするという任務を与えられております



係のおっちゃんは笑いながらパスポートを返してくれた。


で、話は今日(金曜日)に飛びます。今日も昼休みを使ってイミグレーションオフィスに行ってきました。今日は10人(15分)待ち。係はまた別の、幼稚園の園児のような青のチェックのシャツを着たこれまたやる気0の兄ちゃん。今日の会話は


係:「あんた、結婚してるの?」
私:「ちょーシングルっす(absolutely single!)」
係:「『ちょーシングル』ねえ」
私:「最近は、結婚してない人のほうが結婚のことを知っていると思いません?あ、ところであなたは結婚してるの?」
係:「ちょーおっけーよ(absolutely fabulous)」
(←日本語に訳すとマヌケこの上ありませんが)
私:「あ、要はシングルなのねん」


…こんなばかな会話をしてハンコをもらって帰ってきました。人生をナメたガイジンと仕事をナメたお役人との会話ですな。


まあ、かくして3月以来の3ヶ月にわたる騒動は終わったわけですが…疲れました。毎年こんなことやってられるかというのが正直なところです。かくして私の騒動はこれで終わりですが、読者の皆様の中には未だに苦労されている方がいらっしゃるようで。「頑張ってください」なんて言っても空しく響くだけでしょうが、でも、それ以外に言いようがありません。頑張ってくださいね(はあと)。



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2003年06月11日(水) セクハラについて考える

昨日ジムのプールに行くと、偶然水泳のコースをやってました。いえ、正確には水泳のコースではないです。何と言ったらいいのでしょうか。プールの中でやるエアロビ…と言ったらいいでしょうか。要するに泳ぐのではなくプールの中でワンツーワンツーしてました。アイリッシュのハムのように美しいご婦人方の水着姿でのワンツーワンツーはなぜか



(資料写真)




文明堂豆劇場を彷彿とさせてくれます。で、彼女たちおよそ15人がワンツーワンツーするので私はまっすぐ泳げません。ものすごい波が立つのです。うーん、これってセクハラ発言になるのかな?というわけで(苦しい流れですが)今日のお題はセクハラです。


「セクハラ」と聞いて何を思い浮かべますか?セクハラ。言うまでもなく「セクシャルハラスメント」つまり「(主に職場での)性的な嫌がらせ」のことですな。


どうもこの言葉を聞くと、コドモの時に読んだマンガの影響か、巨大なメガネをかけたお局OLがささいなことで男性社員を糾弾している姿を思い浮かべてしまいます(むろん、実際はそういう次元ではないことは下にも書く通り重々承知しています)。


アイルランドでもこのセクハラに関しては会社内でも新規に採用された新入社員に対して説明会をしたり、その流れで注意文書が回ってきたりとけっこう気を使っている…というのは表向きだけで、職場内ではきわどいジョークなんかが飛び交ってます。特にメールでのジョークはその筋の人が見たら青筋を立てて怒るのでは…というのが少なくありません。


かくして、アイルランドのセクハラは所詮は会社のポーズ…くらいにしか思ってなかったのですが、これ、私のとんでもない思い違いであることを思い知らされました。


2/23の日記で私がOJT(トレーニング)をしたアイリッシュの社員がある日突然解雇された話をご記憶でしょうか?私は彼が使えないからだと勝手に判断してましたが、実はそれがとんでもない間違いだったということに気がつかされました。


数ヶ月前に会社を辞めた別の同僚。彼と久しぶりに会いました。むろんパブで。ただし、私は車で行ったので酒は一滴も飲んでません(ホントです)。で、彼が言うのです。


彼:「Ericがクビになったホントの理由を知ってる?」
私:「え?使えなかったからじゃないの?」
彼:「それだけである日突然予告無しにクビになると思う?」
私:「思わない」
彼:「ホントの理由を知りたくない?」
私:「知りたい(はあと)」
彼:「とある女性社員が彼をセクハラで訴えたらしいんだよ」
私:「え?」



何でも聞けば、ある女子社員が資料室で棚の上のほうの資料を取ろうとしていたんだそうな。で、そこに偶然Ericが入ってきて、目の前にあるミニスカートからのぞくふとももとミニスカートの中について何らかのコメント(正確な言葉は分からずじまい)をしたらしいのだ。それもちょっと受け入れられないどきつい言い回しで。で、それを女子社員が訴えてそのまま彼はクビになったという。


彼:「この話、会社の誰にも言っちゃだめだよ」


…というわけで誰にも言えないのでこの日記に書いてます(←をいっ!)。


ただ、彼の場合、このセクハラが直接原因とはいえ、会社は使えない彼を何とかして解雇しようと理由を探していたような気がします。このセクハラ騒動はどうも渡りに船だったと思われます。


もっと穿った見方をすると、Ericは残念ながら課内の8割を占めようかという女性社員に不人気でした。そうでなければ彼の発言も(むろん発言内容にもよるでしょうが)冗談として受け流せてもらえた可能性があるはず。とすると、彼の発言、自爆とはいえ揚げ足を取られたことになるのかなあという気もします。


はい。私、セクハラを今日からもっと真剣に考えて妙なことにならないようにしたいと思います。だんだんトシを取ってきたし、このまま行くと単なるスケベ中年社員へまっしぐらなので。


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2003年06月09日(月) ビザ更新騒動記−これを読んでもあなたはまだアイルランドに住みたいですか(5)


スコットランドから帰ってきました。久しぶりに旅行をしたという気分です。ま、この話は例のビザの話が完結し次第ということで。

という訳で続きです。

関係日記一覧(未読の方はまずは下の日記からどうぞ)

3/24の日記
6/2の日記
6/3の日記
6/4の日記
6/5の日記


かくして昼休みに会社公認のおサボりでイミグレーションオフィスに行くことになった私。悪名高き恐怖の館だったHarcourt StreetからTara Street駅のすぐ脇に引越ししたイミグレーションオフィス。読者さんの報告で朝の6時からチケットのために並ばなければいけないとかいう異常な状況はだいぶ改善されたという話を聞いてはいた。さあ、どうなったやらというわけで、行ってみました。


うん。確かに改善されたわ。


待合室は以前の3倍の広さ。窓口の数も以前が5だったのに比べいまは15。あ、ただしそのうち開いているのはせいぜい5つですが、でも以前は2つくらいしか開いていなかったからこの点からも改善されたということができる。何よりも再入国ビザの申請と滞在ビザの申請が別の窓口になっていることが評価できる。


ただ、待合室は、あまり長く居たくないと思わせるに十分の一種異様な雰囲気があり、で、床にゴミは舞いコーヒーはこぼれ、ついでに完全にタガが外れたバカ子供数人が待合室中を走りまわり(親はどこだ?)アイルランドにいるガイジンのモラルがあまり高くないのではないかと思わせる。まあ、ゴミに関して言えば、表通りの歩道に舞うゴミの数とここの床に舞うゴミのどちらが多いかは検討の余地があるような。


何より私を驚かせたのはトイレ。汚くてペーパータオルや石鹸が切れていたのはまあ当然としてもトイレおよびトイレの前のホールの電灯はなぜか不快な青色。…この特別な電灯って確かトイレに居座って薬物を使うのを防ぐために導入されたんじゃなかったっけ?ということはなんですか?ケーサツのお膝元で薬物を使ってるアホタレというかどっかの都知事のいうところの「不良ガイジン」がいるんですか?善良なガイジンとして言いたい。「そんなアホタレは国外追放しろ」


閑話休題。チケットを取ってわずか30分で私の番がやってきた。これ、私が語学留学をしていた96年当時の状況に戻った感じ。この時間の短縮ぶりには素朴に感心する。


で、多額の現金を扱う銀行でもないのに厚いガラスの向こうにいるのは開襟シャツに安っぽいズボン姿の私より年の若そうな兄ちゃん。そして私は会社から直行でスーツ姿。傍から見るとどっちがお役人なのだかわからない。で総務のマネージャーの手紙を見せると、読みもせずに


担当者:「就労許可証下りてないの?じゃあダメだね」


と一言。私もひとこと


私:「手紙を読んでから言え!」(怒)


あからさまに嫌々兄ちゃんは手紙を読むと


担当者:「明日から商用でドイツに行くの?」

商用ねえ。いつから私は商用でドイツに行けるようなご身分になったんだ?などと思いつつ、


私:「そ。だから1ヶ月でいいからハンコくれ」
担当者:「ダメ」
私:「じゃあ2週間」
担当者:「2週間ならいいよ



商談成立(はあと)


…ってそんなことでいいのか、アイルランド?いつからビザの滞在期間は「応相談」になったんだ??しかもビザは2週間のはずがキリのいいところで6/15まで。つまりほぼ3週間有効。い、い、いい加減だ。慣れてはいるつもりだけど、このいい加減さにはどうしてもついていけない。


で、例によって、残りページの少ないパスポートの1ページをまるまる使って2週間分のスタンプをもらう。うん。とりあえず問題解決…というか先送りに成功。


で、はっと気がついた。


こんなことができるなら、ビザが下りてようと下りてなかろうと関係ないじゃん!考えてみたら、おとといビザが下りたという事実は何の役にも立ってない!


で、会社に戻るとなにやら総務のBredaが、


「私のおかげでビザが下りたのよ。私がSnigelが商用でドイツに行くからと言って何度も電話をかけて、特別に早くしてもらったのよ」


と言っていたと聞いた。わかった。助かったよ。ありがとう。でも言わせてくれ。あんたが3月の初めにさっさと書類を揃えて当局に提出さえしていればこんなことにはならなかったという事実にお前は気がついているのか?


疲れ果てたSnigelは、翌日の朝1便でドイツへ。この話、あともう1回だけ続きます。



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2003年06月05日(木) ビザ更新騒動記−これを読んでもあなたはまだアイルランドに住みたいですか(4)

いつの間にやら、この日記もその4まで来ました。「引っ張りすぎや」とお怒りの方、ちなみに私は最低その6、あわよくばその8まで引っ張りますが何か?

そういう訳でここに関連日記一覧。お読みでない方はあちらからどうぞ。あ、今日の日記、話の性質上「事実とはちょっと異なるフィクション」とさせていただきます。まあ、行間を上手に読んでください。


3/24の日記
6/2の日記
6/3の日記
6/4の日記


で、部長がぽんと投げて来たメール。


はい、掲示板でご指摘の通りです。私は「転送」ボタンを押したつもりが「返信」を押しておりました。つまり、「総務は使えん!」と書いたメール、同僚ではなく総務のマネージャーに直送してしまったのです。(うにさんネタばらしありがとうね=邪笑)


かくして総務のマネージャーは


「今ビザの申請をしている。なのに、このSnigelのメールは失礼かつ人を傷つける内容だ。Snigelを処分せよ!」


とお怒りの様子。ま、お怒りごもっとも。


部長:「…Snigelはよくやってくれている。しかしこのメールは看過できない。ゆえに、訓告処分とします」


日本はどうかまともに就職したことのない私ですので日本の事情は知りませんが、アイルランドのフツーの会社、ストライク3回でアウトです。すなわち、ストライク1こと訓告処分、ストライク2こと戒告処分、でお次は懲戒免職とあいなるわけです。でもなかなかいませんよ。こんなくだらんことで訓告処分ももらうアホタレは。フツー訓告処分は、遅刻が多いとか、何か取引先と大きなトラブルを起こしたとかいうのが原因でして。総務のマネージャーにアホなメールを送って訓告処分になるやつは…ただの最バカですね。


で、この時点でビザが切れるまであと1週間。…というか、翌週の金曜日の朝には私はドイツに飛んでいるのでこの日、5月23日から考えると、残りは月・火・水・木の4営業日しかない。私も留置場に行ければ孫の代まで自慢できるなあ…この際だからデジカメちゃんと充電して行ってみようかなあ。まあ留置場にいけなくてもいい日記のネタになるなあ…などと、不謹慎というか能天気なことを考えはじめる。


ところが話はそうは行かなかった。というのも、このおマヌケ電子メール誤転送事件のおかげで私のビザの問題は私の部長の知るところとなり、しかも部長はこの総務のマネージャーとあまりうまくいっていない(と思われる)ことから、何と部長は総務を無視して副社長に直訴。で、副社長から総務になにやら雷が落ちたらしい。転んでもただでは起きないSnigelの真骨頂と言ったところか(=ミョーなところでミョーに運がいい)。


で、どういういきさつだかは私の知る由もないが、何やらミョーな方向からミョーな圧力を当局にかけたらしく(一説では何やら会社の上層部は当局と太いパイプがあるとかないとか。真相は不明だし、それくらいで当局が動くとも思えない)、なんと金曜日の午後に当局をつつき、翌週の火曜日には総務のBredaからメールが来た。


「Snigel

本日火曜日あなたのビザが下りたとの連絡が入りました。ビザは木曜日までに郵送で会社に届きます。

Breda」



…ここで話は終わりと思うでしょ?甘い。とっても甘い。


当局からビザは下りた。で、ここで話は終わらないのです。このビザを持ってイミグレーションオフィスにいかねばならない。で、パスポートにハンコをもらって初めてすべての騒動に決着がつくのです。


水曜日。当然ビザ来ない。私が当局まで出向いてビザを窓口で受け取ることも考えたが、すでに郵送したとのこと。


木曜日。金曜日の朝にヒコーキに乗る私にとってこの日が最後の機会。前にも書いたけれど、「アイルランドの国内向け郵便物の90%以上は翌日には目的地に届いている」そうです。当局のオフィスから私の勤める会社まで直線距離で約10キロ。翌日に着かないわけはない。


でも着かないんですよねえ(コメディの定石)。


かくして会社にパスポート持参で、会社が終わり次第イミグレーションオフィスに行く準備の整っていた私。ビザが着くのを待つのみとなった私。が、会社に着いた数百通の郵便物の中に私のビザはなし。偶然、別件で私の机にやってきた部長に世間話を兼ねてその話をすると


部長:「何!大変じゃないか。ちょっと待ってろ」


と言って自室に戻る。1時間後に彼は私の前に封筒を持ってやってくる。


部長:「ほら。総務のマネージャーに一筆もらって来たぞ。今、すぐ、ケーサツに行ってこい。最寄りのケーサツでいいんだろ?」
私:「いえ、Burge Quayまで行かないといけないんですが」
部長:「ああ、そうか、とにかく行ってこい」
私:「あれ、でもXXの件は?」
部長:「ビザの方が大事だろう!」



ラッキー♪


こうして部長公認で昼休みの時間帯に車を走らせて私は町中のイミグレーションオフィスへ。ビザではなく総務のマネージャーの手紙を持って。そこでの話は…来週に続く。


なお、まことに勝手ではございますが、週末はスコットランドなんぞに行かせてもらいます。ゆえに更新はありませんのでご了承ください。あれ、ビザはどうなってるのかって?先走って書くと、...投票ボタンを押してください。



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2003年06月04日(水) ビザ更新騒動記−これを読んでもあなたはまだアイルランドに住みたいですか(3)

今日(4日)から高校を卒業予定の生徒によるLeaving Certificateテスト(卒業試験とでも訳すべきかな)が始まったそうです。これ、今後の人生をもちょっとは左右しかねない大事な試験らしい。日本で言えば大学入試センター試験になるのかなあ(ちょっと違うか)。受験生の皆さん、持っている力の限り頑張ってくださいね(完全ボーヨミ)。


さて、昨日の日記の続きです。


なんだかんだで忙しかったことも手伝って、ビザの件はしばらく放置。何せ待つ以外大したことは出来んもんね。で、5月も半ばを過ぎ、20日になった。で、知人の勧めもあって私は総務のマネージャーにかなり丁寧なメールを書く。


総務のマネージャー様

私のビザは今月末、あと10日で切れますが、まだ新しいビザは発給されていないようです。政府のホームページによると、発給まで8週間かかるとのことですが、その8週間はすでに経過しています。ちょうどビザが切れる時期にドイツに行くので現在ビザの状況がどうなっているか調べてくださると幸いです。

Snigel



という内容のメールを丁寧にでもくどくどと書く。


すると総務のマネージャーからメールが来て


Snigelさん、

この件はBredaに任せています。何かあったら連絡します。

マネージャー



…要約ではありません。これだけのたった2行のメールが返ってきました。


で、数日後、私以上に心配している同僚が「ビザどうなった?」とメールを書いてきた。で、私は、その同僚に総務のマネージャーから来たメールを転送して、


「これだけ、総務は本当に使えん」


とたった一行書いて送った。が、同僚からは返事は来ない。私も忙しかったし、同僚も忙しかったのでそんなことはすっかり忘れてしまった。で、数時間後、私は思いがけず部長の部屋に呼ばれる。部長の小部屋に行くとそこには副部長もついでに姉に赤ちゃんが生まれると連休を取った私の直属の上司も。


嫌な予感。すんごく嫌な予感。


部長:「Snigel君。後ろのドアを閉めてくれたまえ」


ますますすんごく嫌な予感。


ちなみにこの部長。私はすごく好きですし尊敬もしています。部長も私のことを信用してくれてますし、実際今も、部長じきじきの依頼でちょっとしたレポートをまとめていて、明日提出するところです。副部長に関しては、私はあまり多くを知りません。ただ、今まで同業他社で責任者をしていたこともあり、結構な切れ者だと私は思ってますが。


私が部長の向かいに座ると部長はおもむろに


部長:「君のビザの件だが…」


キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!


部長:「大変に残念だが、君のビザの更新はうまくいかなかった。残念ながら君を解雇せねばならない」


…とでも言われるのではないかと思い、本気で身を固くしました。実際そういう場の空気でしたから。


部長は続けます。


部長:「君のビザの件だが…君、とんでもないことをしでかしてくれたらしいな」


ん?私が何かした?私はあみんのようにただビザを待っているだけだぞ。なんだか私が思っているところとは別の方向に話が進みそうな気配だぞ。


私:「はあ…私がいったい何をしたと…。身に覚えはありませんが」


部長は私に一枚の紙を投げてよこす。総務のマネージャーからのメールのコピー。


そこには私が失禁しかねないとんでもない衝撃の内容が書かれているのだが、その内容は明日に続く。





このビザの件に関してはメールを中心にして意外なほどの反響を頂いています。この件がアイルランドに住んでいる日本人にとっていかに身につかされる問題かを改めて思い知らされています。今日もダブリン以外にお住まいのとある方からメールをいただき、この方もかなり苦労されている旨のことが書かれていました。本当にここで公開したいくらいの切実なメールなのですが…(切実な内容ゆえに公開できないという二律背反に悩まされています)。


結論めいたことを先走って書いてしまうと、ガイジンとして生きるって本当に大変ですよね。ま、この続きはまた明日。


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2003年06月03日(火) ビザ更新騒動記−これを読んでもあなたはまだアイルランドに住みたいですか(2)

昨日の日記の続きです。

3/24の日記にも書いた通り、私が会社の総務に3月の初めにビザの更新をするように頼んだのです。何せ5月末日にビザが切れるので、それまでに対策を練っておかねばならない。まあビザが切れてもアイルランドでじっとしている限りはさしたる問題になりませんが。そう、アイルランドから出国しない限りは。


ところが!これは掲示板に当時書いたのですが、アホタレな私は、2月の時点で自分のビザが切れるその週末にドイツに行くチケットを買ったのです。なんでまたそんなアホなことをしたかというと、(1)その週末がちょうどバンクホリデーで3連休であるという点、で(2)にも拘らずまだ2月ということもあって航空券が安かったという点。


実はこの時買ったチケットいつも通り、ダブリン発ロンドン経由ハノーバー行きなのですが、ダブリン=ロンドン間は税抜きで何と片道8ユーロ。ライアンエアの話じゃないですよ。スタアラにも参加しているブリティッシュミッドランドの話です。まあこの話はのちほど。


かくして、文字どおりの「格安」航空券を買った私。そういうこともあって3月の初めには総務にビザの更新のお願いをしたわけ。まあ3ヶ月あればちょっとやそっとの問題が起こっても大丈夫だろうと…。


これは3/24の日記に書いてませんが、私は自分のパスポートの全ページのコピーを提出したのですが、北半球一使えない、かつ無愛想だと評判の総務のBreda(仮名)は「パスポートの全ページのコピーは必要ない」勝手に判断してパスポートのコピーは一番最初のページだけ提出したのです。で、これは3/24の日記に書いた通り3月初めに私が提出した資料を2週間ばかりほったらかしにして、で、忘れた頃に「P60フォームがない」と言ってくるアホぶり。


で、それからおよそ2週間後の4/1つまりは私の誕生日に話は飛びます(3/24の日記は同時進行で書いていないので日記上の日付と実際の日付に1週間近い差があります)。Bredaがメールを書いてきて


「あなたの就労許可証の申請書が本日書類不備で返却されました。現在のビザのスタンプのページがいるそうです。至急再提出してください」


Bredaに殺意を抱いたことは想像に難くないかと。


幸いといえば幸い、パスポートの全ページのコピーが手元に残っていたので、それを即座に再提出。で、Bredaはその日のうちに申請書を再提出したと私は信じている。いくらなんでもそれからしばらく放置していたということはないと私は信じている。信じているよー。


で、その時点ではまったく心配などしていませんでした。4/7に就労許可証の発給基準が改正されたものの、そうやら更新には適用されないようだし、しかも去年の新規の就労許可証が1ヶ月で届いたという実績もある。しかも労働省のホムペには「ビザの更新は前もって(例えば6週間前)に申請すること」とわざわざ但し書きまでつけて6週間といっている(少なくとも当時は言っていた)。


まったく矛盾極まりないのだが、こう書きつつ、その真下には「現在ビザの発給には8週間かかっています」と書いてある(さすがはアイルランド)。つまり「遅くとも6週間前に申請してね。でも8週間かかるよ」という訳のわからんことを言っているわけ。いずれにせよこの時点でまだ9週間あり、どう考えても問題になるとは思えなかったので。


で、しばらくビザのことなどすっかり忘れて、時間は5月の半ばへと飛ぶ。ここで私はとんでもない大チョンボをしてしまうのだが、この話はまた明日。




おまけのミニコメディ


数週間前。ジムに行った帰りのお話。ジムの隣にあるSPAR(コンビニ)の前を通りかかったのだが、この日はなぜか天気が良く、まさにジムに行って3歩歩いて10000歩逆噴射状態だが、アイスクリームを食べずにはいられなくなった。で、マグナム(これがまた高カロリーでうまいんだなっ)バーを買ってレジへ。


レジの兄ちゃん、名前こそ知らないものの完全な顔見知り。私も冗談で


私:「ジムに行った後でアイスクリーム。何のためにジムに行ったんだか」


と言うと、レジの兄ちゃんは笑って


兄ちゃん:「さっきもジム帰りのすんげえイケてるねえちゃんが来たんだよね。(いかにいけてる姉ちゃんかを説明しはじめるがカンケーないので略)買うものも、スポーツドリンクに低カロリー・カルシウム入りのシリアルバー。で、それだけだと思ったらカウンターに来て言うんだよ」


私:「なんて?」


兄ちゃん:「『マルボロライトも一箱ちょうだい』って。いったい何のためにジムに行ってんだか」(兄ちゃん爆笑)


…こういう冗談が店頭で言えるアイルランド好きです。どこかの国は電車の運転手があぐらをかいているだけで問題になるのに比べて、こちらの運転手はあぐらどころか子供を運転席に乗せてバスを運転してたりしてもお咎めなし。まあ、どちらがいいのかは一言では語れませんが、この力の抜け具合、少なくとも私の性には合ってます。…ビザの更新等のまじめな問題を除けばね。


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2003年06月02日(月) ビザ更新騒動記−これを読んでもあなたはまだアイルランドに住みたいですか(1)

私は疲れました。疲れ果てました。言い訳ですが、ここ2週間更新が非常に滞っていたのには実はこういう理由があったのです。その理由


ビザの更新


今回ばかりは、私の大チョンボも手伝って例年とは比較にならないほどの事態に陥り、…おっと、詳しい話は今日からの連載にするんだった。いきなり脱線して恐縮ですが、読者さんにメールを出した時に「チョンボってなあに?」と聞かれてしまいました。 麻雀用語で「反則」を意味するのですが、あまり一般的じゃあないのかな。あ、ちなみにSnigelは麻雀はしません。ルールはある程度知っていますが、点数計算方法等はいっさい分かりません。


実は問題は未だ完全には解決していなかったりしますが、解決を待って待って待ちくたびれたので、ほぼ同時進行という形でお話を進めさせていただきます。ちょうど折りもおり、掲示板およびメールにてこの件に関する質問を頂いたところですし、このご質問に対するお返事もこの中でさせて頂きます。


今回もサブタイトルは「これを読んでもあなたはまだアイルランドに住みたいですか?」今回もトホホな話です。


まずはこの日本人女性の話から。なお、これは投稿ではなく私が完全にネカマになって投稿のように書いたものです。事実に基づいてますが、本人の投稿ではないので事実とはちょっと異なるフィクションということでご了承ください。


あれは私が前の会社に採用された時ですから、3年ほど前の話です。アイルランドに来て、運良く前の会社に採用されて浮かれていた私は、就労許可証が出るまでの間、良く頑張った自分を誉めてあげようとフランスに行くことにしたのです。


フランスの旅行自体、本当に楽しかったのですが、帰りのダブリン空港で思わぬトラブルに巻き込まれてしまいました。というのも、当時の私は学生ビザで滞在しており、しかも、私がフランスから帰ってきた時にはその滞在ビザは切れていました。でも私はそれが特に問題になるとは思ってもいなかったのです。すでにその会社に採用され、会社が私の就労許可証を申請してくれていましたから。


ところが私のこの認識はとてつもなく甘かったようです。空港の入国審査官は私が正直にすでにその会社に採用されたこと、そして現在就労許可証の発給を待っていることを伝えたのですが、なぜか私のいうことを全く信じてもらえず、いろいろな尋問が始まりました。


その時に、入国審査官がその会社の総務に電話してくれれば話は早かったのですが、運悪くその時は日曜日の夜。当然会社は開いていません。結局私は違法就労の疑いをかけられその晩は市内の留置場で過ごすことになってしまいました。


幸い、翌朝会社が私の言っていることに嘘はないことを証明してくれて私は無罪放免というか入国審査官が疑ったことを謝罪してくれましたが、もう2度とああいう体験はしたくありません。



…はい、以上がSnigelが女性になりきって書いた事実を基にした話です。まあ、留置場で夜を過ごすというなかなかフツーの人生では味わえない香ばしい体験ですが、実を言うとこの話、別の女性(日本人ではない)からも聞いたことがあるんですよね。まあ「入国拒否」されて強制送還されるよりも寛大な措置である…ということは可能ですが。ともあれ、あまりケーサツだとか留置場だとかにはお世話になりたくはないですわな。


で、これが私とどういう関係があるかは明日の日記にて。明日の日記は24時間以内に必ず更新します。



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