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2013年05月31日(金)
ハイバイ10周年記念全国ツアー『て』

ハイバイ10周年記念全国ツアー『て』@東京芸術劇場 シアターイースト

やっと観に行けました『て』。改題(「その族の名は『家族』」)含めて今回で四演目。初見は舞台で!なタチなのですが、逃しに逃して待ちきれず、結局先に映像(菅原さんが母役の再演版)で観てしまった作品です。

祖母の葬式に集まった家族と、その少し前カラオケ大会に集まった家族のあれやこれや。前半は次男の視点から、後半は母の視点から同じ場面を繰り返します。それぞれの家族の事情が浮かび上がる。おまえはそれを知らないからそんなことが言えるんだな、おまえはそれを知ってるからそんなことを言うんだな。ののしりあってとっくみあいして、それでも家族、どうやっても家族。泣いたり笑ったり憎んだり愛を注いだり、それでも離れられない家族。

まああれだ…ウチも結構こじらせ家族なんですけども+そして母の葬式であれやこれやありましたけども+その後もあれやこれやで解決してないことも多く、これからもそうなんだろうけども、もー身につまされて大変!のたうちまわりましたね。いや実際客席でのたうちまわったら周りに迷惑ですので脳内でのたうちまわりましたけどね。あとどなたかがツイートしてたけど「アフタートーク等で反応を聞くと、父親に対して東京だとドンびきするひとが多いのに九州だと『ああ、あるある〜』だったりする」ってなんか解る…解るぞ!

でも私、おとーさんのことだいきらいでだいすきですよ。そしてとても感謝してる。だからこそいろいろせつなくなります。そしてだからこそ、これを「DV」の一言で片付けてしまうと、だいじなことを取りこぼすと思っています。名前を付けたからって安心してんじゃねえよってやつです(同時にこのややこしさを言葉に置き換えて伝えることの難しさを思う)。その辺りいろいろ複雑なのよ。おめーにわかるかってどの家族も思うところってあると思うのよ、おめーに「それこそがDVなんです、大変でしたね!」とか「暴力を恐れて反抗出来なくなってしまうんです、つらかったでしょう!」とか言われてたまるかと言うね。そして「つくりが違う」長女の旦那さんにほっとする。

そういう要素がない家族っているんだろうか。まあ、いるか。

さてそういう個人的なことはさておき、今回実際に舞台で観て、何度も上演される訳だわと納得。なんてったってとにかく「面白い」。その「面白さ」が再演に耐えうる強靭さと柔軟さを兼ね備えているだけでなく、丁寧な構成、演出、改訂を重ね磨き抜かれている感じです。今回あの「葬儀屋をしばく」シーンがなかったことも印象的。意図的な笑いを入れ込まずとも、泣き笑いのおかしみは決して薄れない。そして恒例となっているアフタートークで積極的に観客の解釈を聞き、自らの解説も怠らない。作品をだいじに扱う姿勢にも好感が持てました。

実際に舞台で観て印象的だったことをいくつか。まず美術。四隅の柱はまるで火事で焼け落ちたかのように焦げ付き、床につくことなく宙に浮いている。そして舞台はあるタイミングで傾斜になる。業火で傾き、崩落しそうな家に集まってくる家族のことを思う。直接役者が持って移動させる、と言う最小限の動作で、観客の視点を変換させるスイッチとなるハイバイドアは効果絶大。ハケて演技エリア外から舞台を見つめる岩井さんが演出家の顔になっている瞬間の格好よさ、おかーさんの扮装してるのに(笑)。昼間のパパは〜ちょっとちがう〜昼間のパパは〜男だぜ〜♪ですね。夜だけど。そして長男役の平原さん。うっわ平原さん、前回(映像で)観たときは「つくりが違う」長女の旦那だったんだよ!これも再演が繰り返されるならではの面白さですね。今回家族の不和ド真ん中!あの「得体の知れなさ」は過去ハイバイで観た平原さんの他の役にも通じるのですが、これが後半効いてくる。いやあのうざったさ俺を理解してくれ俺は自分からは言わないけどっぷり、うぎゃー!いやー!(ほめてる)上田さんの末っ子っぷりはもうだいすき。あと観る度同情を禁じ得ない次男のともだち…(笑)他人の家族の大げんかに居合わせて、「怖かったでしょう」と言われて「はい………(はっ)いや、大丈夫です」て返すあの瞬間!ここおかしいやら気の毒やらでもうたまらん!だいすき!高橋さんのおどおどっぷり最高でした。もうさ〜こういう状況下にともだちつれてきちゃう次男は無邪気だよね〜ホントにさ〜!とまたのたうちまわる。そしてまた身につまされる(笑)。

そして舞台で観るあのシーン…「母親が見た白昼夢」と言おうか、家族皆が肩組んで大合唱する「リバーサイドホテル」は格別だった。これは幻に終わるのか、いつか見ることの出来る光景か。その光景は生きている世界にあるのか、それとも死後の世界なのか。さまざまな感情が頭に溢れ、母親と一緒に心のなかで慟哭した。

ふと青山演劇フェスティヴァルで観たMODE×青春五月党の『魚の祭』を思い出しました。家族のいざこざ、そして葬式を「面白く」、せつなく描いた秀作だったと記憶しています。『魚の祭』はあっけらかんと和解し再生する家族の物語で、柳美里さんと岩井さんの家族の描き方は違うものだとは思いますが、どちらも「面白かった」のは確か。それもあって『て』を青山円形劇場でも観てみたいとも思いました。『その族〜』は円形でやったんだよね、観たかったー(泣)。今回は対面客席での上演。転換に効果的なものになっていました。

恒例上演前の諸注意に「携帯ヴァイブが鳴っても自分のじゃないふりをする」が新しく加わっておりました。「これはもう、恐怖です」「ここ迄言って解らないひとにはもうどうすればいいのか…恐怖しかないです……」ほんとほんと。この「暗黙の了解」ってハイバイの作品づくりにも深く関わっていることだし、演劇全般、そしてコミュニケーションにも言えること。こういうことを諦めず、根気よく考え続けていくことのだいじさについても考えました。劇団10周年とのことですが、劇団でチケット買ったらおまけくれたりする手づくり感が10年やった今も続いてるってすごいことです。フレッシュ感溢れる手だれっぷりと言う不思議存在。おまけ交換済みの印としてチケットに捺してくれたはんこが手づくりっぽくてまたかわいかった。

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おまけ。ちょっと前のものだけど、このインタヴューは今読み返すといろんなことを考えるヒントになりました。
・アーティスト・インタビュー:岩井秀人(ハイバイ)| Performing Arts Network Japan(2011.8.22)



2013年05月25日(土)
『佐渡裕×シエナ feat. 山下洋輔』

『佐渡裕×シエナ feat. 山下洋輔』@文京シビックホール 大ホール

Bプロ。
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R.V. ウィリアムズ『イギリス民謡組曲』
J.B. チャンス『朝鮮民謡の主題による変奏曲』
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音楽のおもちゃ箱〜佐渡裕のトークと音楽〜
L. プリマ『シング・シング・シング』
J.S.バッハ『教会カンタータ第147番から“主よ、人の望みの喜びよ”』
挾間美帆『Mr.O』
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山下洋輔『ピアノ協奏曲第1番 即興演奏家の為の《エンカウンター》より第4楽章』(編曲:挾間美帆)
G. ガーシュウィン『ラプソディ・イン・ブルー』(編曲:高橋徹)
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encore
M. ラヴェル『ボレロ』(山下洋輔ピアノ独奏)
J.P. スーザ『星条旗よ永遠なれ』
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《エンカウンター》の和太鼓は土屋吉弘さん、「音楽のおもちゃ箱」ではシエナパーカッショニストチームによる身体打楽器コーナーもありました。

前半はイギリスと朝鮮の民謡をアレンジしたものでしたが、特に朝鮮民謡の編曲が面白かった。陸軍バンドに所属していた作曲家チャンスが、韓国・米軍基地赴任時に知った「アリラン」が着想になっているとのこと。日本でも馴染み深い「アリラン」のメロディ、西洋の音階に置き換えられるとちょっと不思議な味わいになります。チャンスは打楽器奏者でもあったそうで、パーカッションパートもバラエティに富んでいて楽しめました。金管も木管も見せ場があって、とても洗練されている構成。この手の曲は演奏者の技量に大きく左右されそうです。演奏後ブラボーの声もとびました。

山下さんのことは、筒井康隆さんが日記に書かれていたこともあってお身体の具合等いろいろ心配でしたが、演奏に関しては相変わらずパワフルで素晴らしかったです。「(シエナの)演奏に聴き惚れて自分が入るところ忘れちゃったよ」ですって。それにすかさず「二ヶ所もね」と応じた佐渡さんに場内大ウケ。全然気付かなかったよ。むしろ山下さんのソロに入ってるとき、いつ終わるんだってのが判断つかなくてシエナ大変だろうなあなんて思っていたよ。ソロに入る前も大変だったんだね(笑)。

山下さんの『ボレロ』は熊谷和徳さんとの共演で聴いて以来。そうこれ聴いたのって3.11から三ヶ月弱の頃で、なんと言うか音楽を、ライヴを聴きに行ってる場合か?いやこういうときだからこそ、と迷い乍ら出掛けていっている時期だった。そしてこういうときだからこそ、いやどんなときも、音楽を聴けること、ライヴに出掛けられることに感謝しようと言う思いを強くしていた時期でもあった。また聴けてよかった。



2013年05月24日(金)
『鈴木勝秀(suzukatz.)-130524/シスターズ』

『鈴木勝秀(suzukatz.)-130524/シスターズ』@SARAVAH Tokyo

配役は姉=篠井英介、妹=千葉雅子。照明=倉本泰史、音響=鈴木勝秀。テキストはこちらからダウンロード出来ます(まだのようですがいずれアップされるでしょう)。

こちらのコメントにもあるように「女性」の会話劇ですが、性別あんまり関係ないと思う。実のところ。女優×女優、男優×男優、男優×女優で出来る万能さがあります。と言うのも、やはりこのコメントにあるように「現在の自分の考えを書けば、あとは英介さんと千葉さんが僕の中の"女"を見せてくださる」ように書かれているから。他力本願と言いつつこういうところが実は匠の技ですな。自分との対話であり、死者(そう呼ぶなら)との対話。ミステリの手触りを最後の数分で一気に引き寄せる手腕は見事でした。

スタンダードな設定をダイアログの魅力で惹き付ける。その会話のテンポのよさ、内容(問答とも言える)の興味の行きどころ。そしてハコをどのような形式で見せるか。時間はいつなのか、妹はどこにいるのか。観る側は想像する。妹の自室だろうとなんとなく思う。しかし思い返してみれば、そうだと言う根拠は提示されていない。いやーやられたー、と思いましたね(微笑)。この手法はセットがない、背景を設定しないライヴハウスでのリーディング、と言う形式の公演に非常にマッチしていた。レパートリーになるなあ、これは。

以下おぼえがき。

・はーいはーい私も鳥葬がいいー
・でた、「どうでもいい」!(笑)
・「まこと…(ん?)しんぺい……(んん?)ああっ信用出来ない!」ジワジワくる(笑)
・こことか『欲望という名の電車』の台詞のやりとりとかは、観る側の期待と言うかうわーきたー!でたー!て反応がヴィヴィッドで楽しかったわあ

・まさこかわいいよまさこ
・まさこすてきだよまさこ
・妹役の向こう側にいる千葉さんのことをどう見るか、あるいは見ないか
・そして姉役の篠井さん、と言う本体をどう見るか、彼らについて何を考えるか
・役者と言う人間の個人情報は知らなくてもいいことだが、インタヴュー等からにじみ出るそれらが芝居を観ているときどのように影響するか
・そしてその情報を、作家はどう反映させるか。利用と言ってもいい

・スズカツさんご本人が言及しておりましたが、今作は『NAKED』をかなり意識したとのこと。のっけからそうでしたわ。いやあ、憶えてるもんだなあ……
・『NAKED』の登場人物は「マサル」くんと「スグル」くん。つまり勝秀くん(笑)
・で、今回は「かつこ」と「ひでこ」だったりして〜あっはっはなんて思ってたものですが、そういえば真心一座の『流れ姉妹』ってたつことかつこやん(笑)
・で、今回千葉さんが「妹」ってのがまたいいじゃない
・甘えるまさこ、拗ねるまさこ、かわいいよすてきだよ

・篠井さんの「姉」がまた素晴らしくてですね
・ラストの台詞をああ言うか、とその口調、声音に鳥肌がたちました
・生きている間に会うことのなかった妹への接し方。いつ迄経っても歳下であるちいさき者に対するものか、自分が姉であると言う自覚のもとか
・軽口、喧嘩、追及と寛容

吉本隆明の『開店休業』を読んでいたこともあり、家族、姉妹についていろいろ思うところありました
・父=吉本隆明、姉=ハルノ宵子さん、妹=よしもとばななさん。そして母=和子さん
・今回この本によって、ハルノさんの考えがきちんと形になったものを読めたことは嬉しいことでした
・上記リンクにもあるように、「生きてるときは話せなかった。」
・『シスターズ』の姉妹はどうだろう?姉が生きていたら、こういう会話はふたりの間にあっただろうか
・あと男女限らず長子について。所謂跡継ぎについて。家族で行う日本文化の行事(餅つきとか、豆まきとか)が、家族が途切れることによって消えることについて

・スズカツさんのここ数年の作品に感じる献身性
・愛情と執着のちょっとした違い
・信仰観も反映されますが、ご本人がどこそこで書かれているようにサッカーチームとサポーター、で翻訳すると解りやすいのかも知れないな
・「何かをものっすごく好きになったことがあるひと」には通じやすいと思う
・こういうことを「何かをものっすごく好きになったことがないひと」に、どうやって説明するか?と言う技巧について最近はよく考えます

・と言うのも、この翌日「なんでそんなに芝居を観るのか?」と質問されたのです。いちばん通じやすい説明は何かなと考えた
・で「ひとりで読書する場合、登場人物がどんな顔なのか、どんな声なのか、どういう話し方の癖があるかを想像し乍ら読むけど、芝居はその想像外を見せてくれることがある」と答えた
・自分がこう言う音程で読んでいた台詞を違う音で読まれる、こういう表情だろうと思っていたのとは違う顔が見える。それが面白い、と
・前述の篠井さんの声音のことを思い出し、こういうふうに説明した
・しかしこれも相手が読書好きだったからこう説明出来た訳で、そして演劇の魅力はこれだけに限らない
・理解は得られずとも、どうしてなのかと言う説明が出来るかどうか。こういうときに必要な「説明」についてまた考える

・「生まれてきたから生きている」「生きているから死ぬ迄生きる」と言ったのは飴屋さん
・「じゃあ、死ぬ迄生きるか。」と言ったのは川島さん
・で、そうなると中野くんのことも考えますね。やっぱり今はね

うーん、脳トレみたいになってきた(笑)。脳トレって言葉も便利ですね。



2013年05月19日(日)
『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』

さいたまゴールド・シアター『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』@彩の国さいたま芸術劇場 大稽古場

ゴールドシアターは本公演の第一回から観始めたので、それ以前の中間発表公演は逃してしまっています。と言うか、中間発表『Pro-cess2/鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』の評判を知り、ゴールドの公演を観続けることになったのでした。今回その『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』を本公演として上演すると言う。やっと観られる!と言う思いもあり、とても楽しみにしていました。

会場は第二回公演『95kgと97kgのあいだ』でも使われた大稽古場。急勾配の仮設客席で、段差も大きいので見やすい。最後(高)列は、高所恐怖症のひとは無理かもってくらいです。個人的には好きな配置で、高いところも好きなので(バカ)当然最後列に陣取る。「稽古場なので携帯抑止装置が設置されておりません。電源をお切りください」等の諸注意のあと「客席間の階段は上演中使用しますので荷物等置かないでください。ゴールドシアターですから、転んだりしたらとても危険で……」と言うおことわりに笑いが起こる。笑い乍らも「えっこの階段使うの?」とビビる。ホントに急なんですよ。

暗闇に浮かび上がったのは、発光する水槽のなかで眠る老人たち。宣美にも使われていたイメージだ。モノローグがリレーのように続く。若者ふたりが現れ瞬時に場はチャリティーショー会場に。手製爆弾が投げ込まれ、悲鳴とともにうごめく老人たち。四月に起こったボストンマラソン爆弾テロの光景が頭をよぎりました。現代に上演することで付随してくるものがある。黒子たちが水槽を素早く撤収(ひと入ってるから結構力仕事ですね、黒子はネクストシアターの面々だったのかな)、若者は取り押さえられ、またもや瞬時に場が転換。あっと言う間に裁判が始まる。このスピード感ははすごかったなー。毎度のことだけど蜷川さんのツカミはすごい。

しかし若者(孫)を助けようと老婆たちが裁判所を占拠するくだりで様子が変わってくる。1971年の現代人劇場による初演も、『Pro-cess2』でもそうだったと言う荒々しい襲撃ではなかったのだ。前述の階段から老婆の列がゆっくり降りてくる。途中迄スタッフの手を支えに降りてくる者もいる。彼女たちは多くの荷物を抱えている。鍋であったり、洗濯紐であったり、日常生活に使うものだ。いったい何人いるのだろうと思う程、長々と行列が続く。動作がゆっくりなので、これはいつ迄続くのだ?と言う不安も湧く。やがて全員が舞台に降り立ち、床に静かに座り込み、荷物を広げ、生活を始める。生活?そうなのだ、まるでずっと前からそこで暮らしているかのように、彼女たちは振る舞い始める。洗濯物を干す、食事の用意を始める。野菜を切り鍋ものを作り始める者、カレーをよそう者、焼うどんを作る者。ここは劇場だと言う「約束」が麻痺していく。暮らしに伴うさまざまな動作とともに彼女たちは話しているようだが、言葉は不明瞭で声もちいさい。普通に部屋で話すくらいの音量だ。裁判長も判事たちも、検事も弁護士も、被告人もあっけにとらえる。勿論観客もだ。やがて焼うどんのいい匂いが漂いはじめ、それ迄固唾をのんで見守っていた観客席からくすくす笑いが漏れてくる。

『アーツシアター通信』のインタヴューによると、今回の公演には「蜷川幸雄」が出演するプランもあったそうだ。しかし実際に蜷川さんが出てくることはなかった。開演直前、客席最後列の後ろに作られている席(ゴールドのときもネクストのときも、蜷川さんはよくここに座っている)に、スタッフに手を握られた蜷川さんがゆっくりと上がってくるのが見えた。『2013年・蒼白の少年少女たちによる「オイディプス王」』開演前にも同じ光景を見たのだが、そのときは退院したばかりだから…と思っていた。やはりショックだ。出演がなくなったのは単なるプラン変更によるものか、蜷川さんの体調によるものかは判らない。当日配布のパンフレットに記載されている出演者のプロフィールには、入院していた、杖から手を離せなくなった、と言うコメントが並んでいる。しかし、そのあとには「退院して復帰出来てよかった」「また杖要らずで歩けるようになりたい」と言葉が続く。舞台上に立っているゴールドのメンバーは、一日一日を大切に生き、そして成長することを諦めない。年齢的にもゴールドの一員になれる、と笑い乍ら言っていた蜷川さんも、自由が利かなくなっていく身体というものを日々実感し、それを「次」に活かそうと企んでいるように思える。その探究心、演劇への執念。その執念が“弱者の怒り”に結実するのだ。

と書くとなんだか悲壮感溢れるもののようだが、実際は老人の図々しさ、したたかさを笑いに転じて見せる場面も多い。前述の「老婆たちによる裁判所占拠」はもうその画そのものが「なんじゃこりゃ!?」と言う面白さだし、「六法野郎」たちを喝破する「ばばあ道」は見習いたい(笑)。ばばあたちが裁判長たちの服をもたもた剥いでしまう場面も相当おかしい。しかも脱がせてみれば、彼らは赤いパンツや紫色の褌を履いているのだ。ゴールドには葛西弘さんと言う脱ぎ要員がいるのだが(そう言ってしまいたくなる程よく脱ぐ担当・笑)やっぱり今回も脱がされていた。葛西さんは、どんな状況になっても、どんな窮地に立たされても、愚直に被告たちを守ろうとする弁護人をユーモアたっぷりに演じていた。そして今回まじまじ見て思いましたが、葛西さんってすごく脚の筋肉しっかりついてるんですよね。見せるだけのことはある(笑)。最年長の重本惠津子さんはたいへん声のかわいらしい方なのですが、今回演じた老婆たちのリーダーとも言える虎婆の迫力と言ったらなかった。派手に動きまわることなく、よく通るソプラノで若者たちに死刑を宣告していく。

ヒステリックに嘲笑するでもなく、必要以上に悲観するでもなく。淡々と、日々の変化=老いを見つめ、表現する。ひとが暮らす場所に必ずある、笑いと涙と怒りを。

青年ふたりはネクストの松田くんと小久保くん。個性を薄くする狙いだろうか、どちらも長髪、ブルージーンズ、白いシャツ(松田くんはワイシャツ、小久保くんはTシャツ)のいでたちで、双子か兄弟のよう(これもあってボストンマラソンの犯人を連想したんだろうな)。そんな彼らは救済を申し立てるが、「子宮にのみこんで絞め殺してやる」と言う老婆たちに痛めつけられる。終始ハイテンションで絶叫し、静かな老人たちの言動と対照をなす。いんやしかし小久保くん、エルワといいオイディプスといいテンション高い役続くなあ。あの温和なホレイシオを演じたひとと同一人物とは思えない。

そしてクライマックス、老人たちは若者に“変身”する。瞬時にゴールドの面々がネクストの役者に入れ替わるのだ。どうやったか全く判らなかった程のトリッキーな入れ替わり。機銃掃射を受けあっと言う間に全員が倒れる、そして沈黙。そこへどこに隠れていたのか(『おおかみと七匹の子やぎ』思い出した…笑)弁護人が現れる。「私だけが、変身出来ないなんて………」。弾かれたように客席から笑いが起こり、すぐにまた沈黙が降りる。弁護人はよたよたと、とぼとぼと何処へともなく消えていく。笑い、怒り、嘆き。さまざまな感情に支配され、暗闇に取り残される。

清水邦夫の書く、寒気がする程の美しい台詞たちを聴けることも嬉しかったです。現代人劇場での初演では出来なかった、本物の老婆が演じる老婆たちの台詞、その説得力。カーテンコールに登場した蜷川さんはしゃんと立っており、笑顔でゆっくりと挨拶していた。幕が降りると舞台側から歓声があがった。パリ公演の幕が無事あがりますよう、そして無事公演が終わりますように。

当日配布された蜷川さんのごあいさつにグッときたので書き起こしてみます。転載に問題ありましたらご指摘ください。蜷川さんの言葉、好きなんだよね…ご本人よく「書けないからすごくコンプレックスある、劇作家に嫉妬してる」って言ってるけど、とても心に届く文章を書かれる。

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「さいたまゴールド・シアター」の問題はすべて「老い」の問題である。
高齢者それぞれの日々の体調。昨日出来たことが今日は出来ないことの不思議。
残る自己嫌悪。それら理解不能なことのすべてを当然のこととして進む勇気。
41人の高齢者がいれば41の問題が存在するのだ。

1971年に「アートシアター新宿文化」で上演された
現代人劇場の『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』の公演は、
鴉婆と虎婆を除いて、全て若い男性によって演じられた。
男性によって演じられた演技はディフォルメされていて面白がられた。
ラディカルな運動の渦中にいたぼくらは
時代とともに消耗し消えてゆく作品をつくろうとしていた。
作者の清水邦夫には、言語を推敲しないで
戯曲を文学として残す気を捨ててくれと言った。
2006年のさいたまゴールド・シアターでの公演は
ゴールド・シアターの人々の演技力を探る実験の公演だった。

ぼくたちは敗北続きの現在を生きている。
今、ぼくらは、平均年齢74歳の高齢者が、
時代によって消耗されることを願った演劇が、
本当の高齢者が演じることで再生されることが可能なのかを実験しようとしている。
さいたまネクスト・シアターの『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』に
「こまどり姉妹」のお二人に出演していただいたことと同じ意味の仕事なのだと
ぼくは理解している。

病気で公演に立ち会えない清水邦夫にかわって
ぼくははじめて清水の作品の何カ所かをカットした。
なぜか痛切な想いである。

蜷川幸雄

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・観劇予報:パリ公演へ向けてスタート!さいたまゴールド・シアター『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』

・saf:【『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』】 蜷川幸雄芸術監督とゴールドのメンバーの囲み取材が行われました。

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・毎度カフェペペロネでは手打ちパスタをいただきましたー。ケッパーとオリーブのトマトソース。帰りにビストロやまのデリで買ったキッシュもめちゃおいしかった!次の目標はデリのお弁当です…あれ事前予約しないと買えないのかしらどうかしら



2013年05月18日(土)
『GREENROOM Festival'13』

『GREENROOM Festival'13』@横浜赤レンガ倉庫

天気もよくて楽しかったー、しかも快適!アクセスしやすいし赤レンガ倉庫周辺見てまわれるし海近くて気持ちいいしごはんおいしいしいぬいっぱいいるし(いぬつれてレンガ倉庫に散歩に来てるひとが多い。しかも大型犬が多い)。オーガナイザーのひともなんかいい味でした。規模と会場のバランスもいい。

倉庫街奥のスペースがメイン会場。両端にステージをふたつ設置して、交互に演奏するタイムテーブルでした。倉庫一号館ではフィルムフェスティヴァルを同時開催(『フラッシュバックメモリーズ』観たかったよー!)、日が落ちてからは赤レンガ壁面に実物大のイルカやクジラを映写(これがまた綺麗なの)。少し歩いて橋を渡った「象の鼻エリア」にもうひとつステージ、回遊船内にDJフロア。音楽関連やアウトドアグッズショップ、フェスの趣旨である自然保護活動紹介ブース等、普通に楽しい買いもの+見物が出来るエリアも充実してました。ライヴペインティング(DCPRG『SECOND REPORT FROM IRON MOUNTAIN USA』のアート描いたDRAGON76が参加してたよ!)エリア、ギャラリー、ツリーハウスも。盛り沢山な上観たいライヴも多く、行けなかったスペースも結構ありました。これはまた行きたいわー。

■SOIL&"PIMP"SESSIONS(GOOD WAVE)
こんな快晴の野外でソイル観たの多分初めて…!丈青の雨降らしを封じる晴れ男女がいたと言うことか…有難う有難うすごく助かります。「Summer Goddes」も聴けてゴキゲンです。丈青と社長の連弾(!)も聴けました。うしろのひとが「あいつ(社長)楽器出来るんだ〜」と言っててウケた。いや実際社長はいろいろ出来るんだぜ!そうそれはまるでバックホーンの山田くんのように…(限られたひとにしか判らない例え)知ってあげて!トップバッターを任されることが多いソイルだけど納得のアゲッぷりでした。幸先いいわ

■MIYAVI(Blue Sky)
MIYAVIのライヴは初めて観たかな、久々にBOBOさん観られて嬉しかった…近年このMIYAVIとのセッションやくるりのサポートで知られて、昨年のFNS歌謡祭では「笑い飯の西田に似てる」と意外なところで話題になっていたBOBOさんですが、54-71のドラマーさんです。54-71の再開、地味に待っていますよ……。超絶技巧の丁々発止、格好よかったです

■toe(GOOD WAVE)
柏倉さんてある角度から見るとものっそいアイライン入れた会田誠に似ていると言うのがよくわかりました…ってそれはともかくめちゃよかった!そしてここで気付く、音がすごくよくないか。海風結構強いのに音が流れない。苦戦していたneutralnationの記憶があったので、このPAは見事だわと思いました。
山㟢さん坊主になってた。ボトルのまんまでワインをラッパ呑み、盛り上がる。しかしその後は水ばかり飲んでいた(笑)暑かったからね…日差しの強さもこの時間がピークか。「浦和市から来ました」「実は俺横浜出身なんですよ」とムフムフ笑い乍ら話しておりましたが、どうやらパンフレットのプロフィールが間違っていたようです。正しいプロフィールがその後アップされてたんだけど、そもそも最初のデータはどのバンドのものだったんだ?と思う。月曜日になってthe telephonesのものと判明。山㟢さんとノブくんのやりとりウケた↓
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ヤマさん:浦和で結成しました。
ノブくん:突然失礼します!去年台湾のフェスで一緒に演りましたthe telephonesのKey.のノブと言います!toeの浦和結成の写真を観ました。正直かなりビックリしました。笑 なんだか申し訳ない気持ちです、、、笑
ヤマさん:お久しぶりです!その後、telephonesのプロフィールだと知りました。。こちらこそ申し訳ないですーー。デザイナーの人がコピペ間違っちゃったみたいですね。。
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あわわわわ。ちなみにソイルのプロフィールはYOUR SONG IS GOODのものだったそうです。おいおい……。
それはともかく(二度目)めちゃよかった!前半は圭作くんが参加。後半は四人でガッツリ。圭作くん舞台袖からビール片手にニコニコして観ていたよ。スマフォで撮影したり(笑)。
あの音のレンジがぶわっと膨らむような展開ホント格好いい。四人のやりとりを見てると密室感ありありなのですが、聴く側の開放感はたまらんかったです。懐の深さを再認識。汗ばむ程の暑さだったけど、「グッドバイ」にはブワッと鳥肌

七尾くんの声を遠くに聴きつつごはん、そして散歩。フードコート、どこもおいしそうでめちゃ迷う。Ben & Jerry'sのブースが出ててキャーとなったがすごい行列で断念。余談ですが『ザ・タウン』でベンアフ演じるダグが刑務所に入ってるパパに「(素行がよくて移監になったら)Ben & Jerry'sのアイスもあるぞ」って言うシーンがあってそれで名前を憶えたお店です…日本上陸したとき「ダグが言ってたやつだ!」て思った。お昼ごはんはナシゴレンプレートを食べました。ちゃんとつけあわせとサラダついてきた!おいしかった!ハワイ風ラーメンサイミンも分けてもらいました。何これおいしい!

■奥田民生(GOOD WAVE)
ひとが続々。このメンツのなかに民生、異質と言えば異質です。ちなみに翌日には松崎しげるが出演したそうで、基準が判らない(笑)。しかしこの規模のステージで民生を聴けるってすごい貴重、こんな近くで観られることは滅多にないよね……。ご本人も「いや〜ユルいですね」「裏もユルいのよ、知らないひとがいっぱいいる」「誰もかまってくれない、ほっとかれる」「他のフェスは持ち上げ過ぎなんですよ」「呼ばれる限り出たいです」とのことで、居心地はよかった…のかな?よかったよかった。
時計を傍らに置いててそれを見乍ら「まだこんなに時間ある!」「こんなに長い時間ひとりで何やればいいのよ」なんて言ってましたが、いやいやはじまってみればこのひとにアウェイという言葉はないのではなかろうかと言う持っていきっぷり、弾き語りで十曲。「昨日の夜仕込んだんですよ」とリズムボックスで鳴らしたパターンとともにギター弾いたり唄ったり、ギターのみで唄ったり。和やかに進みましたが終盤は流石の凄み、「CUSTOM」には聴き入ったな…すごかったー。網羅はしていないし熱心な民生のリスナーではないけれど、「The STANDARD」は大好きです。歌詞も。聴けると嬉しくなる。「ロボッチ」もよかった!言葉が届くなあ。
まだ時間ある時間あると困ったように言っていたけど進むにつれ入り込んでいたようで、最後には「うわっ、もうこんな時間!」(笑)「さすらい」でおひらき、大合唱で大団円

日が落ちてから気温がグンと下がる。Ben & Jerry'sの列はなくなっていましたが、寒くて食べる気分には…タイミングって難しい……(泣)J.S. BurgersでGREENROOMバーガー(アボカドチーズ)を食べました。うまーい!他にも気になるごはんが沢山あったが一日では限界が……。またしばし散歩、ツリーハウスに行ってみたりいぬと遊んでみたりする。いやーいっぱいいたなあ、いぬ。なで放題。そして何故かうさぎもいた。放たれていた。誰が飼い主だったのだろう。

■The Brand New Heavies(GOOD WAVE)
トリです!トリなので主催者さんが出てきてご挨拶。「ACID JAZZの生みの親!」と紹介してた。んんん?主催者さん結構若そうだったからリアルタイムで知らないのかも…でも「呼べて嬉しい!」て感じでニッコニコだったので微笑ましくてよい。若者も多くておおおと驚きましたがいやいや懐メロとか渋谷系とかそういうの関係ないね、この良メロ良アンサンブル良リズム!エヴァーグリーンの名曲揃いですよ!Voにエンディアが復帰して、ホーン込みの大所帯で来てくれました。
ACID JAZZつったらブランニューへヴィーズ派かインコグニート派かと訊かれたりするくらいの両巨頭って感じでしたが、これで言ったら私はブランニューへヴィーズ派か…いやインコグニートも好きだったけど!なんつうか個人的にはブランニューへヴィーズの隙と言うかユルさみたいなところに安らぎがあったと言うか(笑)。そして当時は貧乏学生だったので外タレのライヴにはなかなか行けず今回初めて観ることが出来て感無量でございます。また来てくれて有難う!当時の曲も沢山やってくれて嬉しかった!
そんれにしてもエンディアの歌素晴らしかった〜そして盛り上げるのうまい!まだ出来るでしょーってな感じで観客を鼓舞するとこも男ットコ前。一時間があっと言う間でした

いんやー楽しかった。ちょっと日灼けした。フェスシーズンが始まった感じです。



2013年05月16日(木)
『獣の柱 まとめ*図書館的人生隋

イキウメ『獣の柱 まとめ*図書館的人生隋戞シアタートラム

腓箸覆辰討い泙垢とストーリーが繋がっているものではありません。独立して観ても大丈夫。紊魎僂討覆いら…とこれを逃す手はない。

神経が研ぎすまされる。自分の集中力云々ではなく、舞台上で起こることに惹きつけられてしまう。指先が冷たくなり、喉がカラカラになる。登場人物たちのやりとりに難しいところはない。むしろシンプルで、笑えるシーンも多い。パニック描写を派手な音響や照明で説明することもない。登場人物たちが置かれている状況を、役者たちが的確に観客へと伝える。舞台の外にある場所を、光景を、演出が鮮烈に浮かび上がらせる。見えない光景、見えない表情がある種の恐怖を呼び起こす。この感覚は何だろう?見えていない、体験したことがない筈なのに伝わるこの感覚。何の記憶に結びついているのだろう?経験ではなく、人間の根源的な部分に潜んでいる記憶なのだろうか?この想像喚起力はすごい。SFの器を借りた一見荒唐無稽な出来事が、他人事ではない身近なものになる。恐ろしい状況からなんとか逃れたひとたち(生き残り、とも言える)が新しいコミュニティを作る、そしてひとつの手段を示す。それは救済とも言える。

分断される都市、散り散りになる人々。最低限のコミュニティとは?何をして最低限と言うのだろう。ひとつのヒントとして複数の家族が描かれる。集団が出来上がり、それが崩壊し、また新しい集団をつくる。そこに辿り着く迄の長い長い時間。人間にとっては気が遠くなる程の長さも、(仮にそう呼ぶなら)神さまにとっては瞬きする程度の時間。救済はどのくらい続くか判らない。永遠に続かないことだけは判っている。ドリフターたちの旅は続く。

『太陽』『狭き門より入れ』でもそうでしたが、立場(種類と言ってもいいかな)の違う登場人物たちが、見えない未来、確証のない将来を前にして何を選択するかが描かれます。自分が出来ることは何なのか。その「選択する者」の役割を安井さん(の役)に託すのは近作の傾向かな。理路整然とした流麗な物言いに潜む違和感、そしてその違和感の根拠を掘り起こし自らを検証出来る強さ。安井さんはこれらを表現出来る、そして色気のある貴重な役者さん。

そして色気があると言えば成志さん。出演が決まったときはどんだけ爆弾よと思ったものですが、誠実に作品に向かい合うストイックな面をしっかり見せてくれました。舞台に現れたのはふたりのキャラクター。新しい都市をつくろうとする思慮深い町長と、ストーリーの元凶とも言える“ラッパ屋”。ラッパ屋は自分が起こした(選択したとも言える)ことのバタフライエフェクトにより、妻とある形で別れることになる。妻を演じる岩本さんとのやりとりは、仄かで深い艶のあるものでした。この夫婦のシーン、とてもよかった。町長とラッパ屋はどちらも葛藤し、苦闘し、傷付いた人物。これらの傷痕は、そのまま成志さんがキャラクターと格闘した痕跡なのかも知れません。だからこそ彼らの未来に光が差すことを祈らずにいられない。そんな魅力的な人物でした。

年代は字幕で示されていましたが、仮にそれを見ていなくても「今、どの時代で、どの場所か。このひとは誰か」を迷うことはなかったと思います。イキウメの特徴でもある時間と環境の入れ替わりを体現する演者の力量が示される。各々の時代を生きるそれぞれの人物が、シーン毎にしっかり立っている。そして今回登場人物たちは病的に「笑う」。自分の意志で笑う訳ではないので、演者の消耗はかなりのものだと思います。感情をコントロールし表現する、役者と言う超人の力を思い知らされました。ひ孫であったり、そうと呼ぶなら天使であったり、いつかは死んでいる、いつ迄もそこにいる?彼らは確かな像を結んで舞台に立っていました。

「御柱様」の美術も見事でした。柱は実在しない。両サイドに設置された壁面の隙間から、細長く暗い奥行きが見える。その隙間は劇場に突き刺さる柱のように見える。「御柱様」は裸の王様が着ている服のようでもありました。人類は何に操られていたのだろう?目に見えない幸福に、また恐怖を感じました。

以下おぼえがき。

・都市と地方の距離感のリアリティ
・読みものとしての聖書
・何かを信じることが宗教になるか否か
・信仰の先に人間がいた場合の違和感
・そう呼ぶなら教祖であり、アイコンであり、偶像であり

・アクセス出来なければwebはないも同然
・そうして遮断された社会に感じる幾分かの安堵

・グッドルッキングなのにアホの子演じると絶品の浜田さん
・ラッパ吹いた!エアで!
・て、天使!天使やで!
・振付てあれだったのか……
・円卓じゃないけど机上ボレロやで!
・浜田さん身体がカタいのかやわらかいのか判らないよ……(笑)

『まとめ*図書館的人生』は過去上演された複数の短編を再構成したもの。今回その短編をまとめたものが台本として販売されていました。紊濃箸錣譴6本と、今回の『獣の柱』のパイロット版となる『瞬きさせない宇宙の幸福』が収録。ちょっと奇妙でゾッとする良作『瞬きさせない宇宙の幸福』がこんなスケールの物語になるとは…と驚かされました。作家と役者の成果。



2013年05月14日(火)
『あかいくらやみ〜天狗党幻譚〜』

『あかいくらやみ〜天狗党幻譚〜』@シアターコクーン

『レミング』同様段差がない前方席(A列)すみっこでして、奥で何かやられたり演者が床に座っているシーンは全然見えないありさまでした…つらい……。あたりまえと言えばあたりまえだが、正面真ん中から見た画をすごく意識しているような演者配置とかがあったので(冒頭、終幕の天狗ふたりのシンメトリーとか)あーしまったと思いました。まあこれも運。あとこれは完全にこっちの都合なんですが、山田風太郎原作てことはエグい筈!エロい筈!笑える筈!とすごい変な方向への期待度が高くなっておりまして…そうだよね、コクーンだしね、そして長塚くんだったね……と思いました。殊に帰国後の長塚くん。

と言う訳で葛河梨池先生が登場して天狗党の行く末と未来を箱庭の外側から取材…の筈がいつの間にか担当編集くんとともに現場に迷い込んで、そこには……と言うつくり。そうそう、長塚くんが葛河先生ではなくこの担当編集くんを演じていると言うところにもひとひねりあって面白かったです。葛河先生は古舘寛治さん!

古舘さんやまことさん(いやー持ってくわー)、小松さんと横田さん、小野さん、大鷹さんが同じ舞台に立っている編成も個人的にはとても楽しかったなー。あとやっぱ伊達くんの殺陣はキマる、眼福。時空を行き来するので天狗党のメンバーが老人になったり十七歳になったりするんですが、衣裳等は全く変えずに演技でそれを表現するところが楽しめました。白石さんと小日向さんの声色の使い分けがやっぱすごい。白石さんと言えばおゆんの役が文楽的で(ク・ナウカ的とも言おうか)、若い頃のおゆんの動作は口に封をした後藤海春さんが雛形(土人形)として演じ、それとシンクロさせる語りは白石さんが担う仕掛けも面白かった。最小限のセットでほぼ裸舞台、黒子(あるいは役者)が襖を持ち走ることで移動を表現する等、機動力で場を表現しようとする意欲には感心しました。

しかし…これだけのメンツをもってしても(これだけのメンツだからこそ?)散漫に見えてしまうのが惜しい。ワークショップなつくりがそのまま載っちゃったかなと思える部分も正直ありました。あと個人的に気になったのは進軍ラッパ。最後のシーンだけ音響で鳴らすんですが、その前は役者本人が吹くんですよね。で、あまり上手くないので笑いのシーンになる。最後にも役者が吹いて尚かつビシッとキメられたらすごくシーンとして締まったのになあ…なんて意地悪な見方をしてしまいました。嘘のつき方にもいろいろあって、意識的な演出がやむを得ずの回避策に見えてしまうとなかなかつらいです。とは言えここは、観る側の解釈に依るところが大きく、「幻のラッパだからこそ美しく響く」ともとれますね。

未来へ希望を託そうとする願い…と言うか祈りが静かに沁み入る舞台でした。

そうそう、写真が撮れない!と言うひとに「撮らなくても憶えておけばいい」と応える台詞、『南部高速道路』にもあったなあ。個人的にはすごく好きな台詞です。台詞と言うか、そういう考え方。



2013年05月12日(日)
DCPRG YAON 2013『Mixed Mixology Mix』

DCPRG YAON 2013『Mixed Mixology Mix』@日比谷野外大音楽堂

オズフェスと丸被り。TOOLとDCPRGのハシゴって出来ません…よ、ね……と嘆いていたらewe公式さんから同情されました (笑泣)。まあ仕方ない!TOOLはワンマンでガッツリ観たいし!次いつ来るかわかんないけど……うわーん!

そんなこんなで野音です。いい天気。やっぱり雨男は丈青だったんだなと確信する。ちなみに丈青、昨日(勿論雨)は一生さんとライヴしてました。フジの一日目は覚悟しておいた方がいいかな…NINもいるし……その前に来週のGREENROOMも降るんじゃ……などと今から不安に(笑)。さてその丈青の後任はKINGDOM☆AFROCKSよりスミレディさん。これで固定かなと思っていたら、「我こそはと言う方を募集しておりますし、来年丈青が空いてたらきてもらうことも」と菊地さん。「丈青は登録選手と言うことで」だって。さて今後どうなる。と言えば来年の予定もいろいろ…なんて言ってたけど、菊地さんに来年のこと言われてもひとつも信用出来ない(笑)。

さてそのスミレディさん格好えがった!楽譜ガン見でかなり大変そうでした(特に「構造I」)、そりゃそうだよね……。菊地さんも結構注意を払ってたみたいで、何度も振り返ってました。しかしソロのとこになると!ぱあっと飛び立つハヤブサのよう!(なにそのたとえ)いやいやよかった。そもそもフレーズどうこうってとこはソロイストとしては全く問題ないんだと思われる。複合リズムのどこに今自分がいるのかってとこがややこしいんだろうなあ。DCPRGの鍵盤陣って、リズムの灯台みたいな役割(曲によるが。「Mirror Balls」とかはあのオルガンのメロあってのものだし…って今回そのアウトロがなかったんだが)の菊地さんとアナログシンセの音色もろもろで音を積み上げていく坪口さんのコンビできていたところ、新しい編成になってからストレートなエレピソロを弾く丈青が入った。ここって新展開でもあった訳で、彼が脱退した(つっても登録選手ではあるそうです!ここだいじかも!)後もこの編成で、てところには拘りがあるのではなかろうか。抜ける前も丈青が出られないときは必ずエレピのソロイスト呼んでいたし。次はどうするのかな。

しかし今回その他にも、久々ラップパート抜きの「Catch22」が聴けたり(大儀見×千住のアウトロすごかった!千住くんはめっちゃ大儀見さんを見ていたが、大儀見さんの後ろに千住くん、と言う位置なのでもはやノールックのやりとりですよ)前述したように「Mirror Balls」のアウトロがなかったりいろいろ違って興味深かった。野音なので終演時間に厳しいらしく、ああっ短いヨー!とは思ったが…やっぱ3時間くらいでガッツリ聴きたいとこはあった。「構造I」のアウトロ千住くんのソロもえっもう終わり?とは思ったーあれよね長尺の記憶があると贅沢になっていきますよね。とは言うもののショートセット(つってもそれなりにはあったのだが)ならではか、「DOPE」のCDJを随所に挿入して曲間の繋ぎがおおお!?と言うつくりになっていたのにはアガッたなー。二曲目冒頭にそれ入れて、そのなかから「〜Hanoi」のフレーズが浮かび上がってきたときには鳥肌たった。

「Mirror Balls/The Blues」にはゴセッキーが参加。在日ファンクが今回の野音に出るって発表になったとき、以前東京ザヴィヌルバッハがstimと対バンしたときゴセッキーがすっごい喜んでたこと思い出したんですよ…今日も感慨深いんだろうあなあと思って。アンコールで出てきたゴセッキー真顔でわー緊張してるかなと思って、そしたら研太さんが笑顔で迎えて高井くんもニコニコしてて。菊地さんがソロのキュー出ししたあとのゴセッキーは「アムロいきまーす!」てな感じで(またなんだそのたとえ)ぱあっと駆けてって。いい光景だったー。そしてsx三本だと中低音が太くなり、前期のDCPRGを懐かしく思い出したりもしました。

まあなんですか、モノリスみたいなブ厚い鉄壁グルーヴを組みあげて、菊地さんのキューでそらっと駆け出すソロイストたち、と言う光景を見るのが個人的にすごく好きなのですよ。ケモノを野に放つぞー!てうきうき指示出してるコンダクターおまえも野獣じゃ!みたいな。

その他おぼえがき。

・どの曲だったか(…「Uncommon〜」だったかなー)アウトロの研太さんソロがキレッキレだった
・坪口さんのヴォコーダーつかったメンバー紹介(笑)
・そしてまたとばされる大村くん(涙)
・千住くんが山川冬樹さんみたいなルックスに……
・それ言ったら田中ちゃんがニヒル・ド(・)エロ(@大村くん)に……
・ピアノ「大西順子さんにオファーしてみたんですが断られました」(はいはいわはははは)
・菊地さんのダンス好きだわ〜(あらためて)
・しかしPTAの鳥越さんもそうだが、指定席でどセンターだと菊地さんの真向かいにいるアリガスが全く見えないのであった

・それとですね今回付近の酔客の傍若無人っぷりがすごくてですね……あれはキツかったわ
・何度もスタッフさんがとめに来てくれるんだけど、いなくなるとまたの繰り返しで。指定席はその場を動けないのがつらい
・とは言うものの、その駆けまわる酔客をトランシーバーで指示出し乍ら追っかけるスタッフ、の図がルパンと銭形みたいだ〜とゲラゲラ笑ってもいた。まあそうでもせんとやってられんてなとこはあった
・と言う訳であんま集中して聴けなかったところが沢山あったのよ〜(泣)しょんぼり

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セットリスト

01. Catch22
02. Playmate at Hanoi
03. Circle/Line
04. Microphone Tyson(with SIMI LAB)
05. Uncommon Unremix(with SIMI LAB)
06. 構造I
encore
07. Mirror Balls/The Blues(with SIMI LAB, gosekky)

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トップバッターはSIMI LABで、機材トラブル?にもめげすに一所懸命しかも陽性なストロングスタイル。格好よかったよ!そしてマリアちょー男ットコ前。そうそうマリアソロ出すって!それにしてもここのバックトラック格好いい。

二番手在日ファンク、ハマケンがちょっとスマートになっててマンチカン度が下がっていた。何タニタ効果…?あのころころしてるのがかわいいのに!スマートになったらかっこよくなっちゃう!(え?)てか普通に痩せたらあのキレキレダンスに面白みがなくなる…ころっとした子がブイブイ踊るのがかわいいのにー!いやでもあれですよね、膝とか痛めちゃうしあんまころころしててもね…って、何を心配しているのだろう。場所が場所なだけに「爆弾こわい」は緊張感ありましたね(笑)あちらの方に向かって「ほらあそこに向かって!爆弾こわい!」「やっぱ吹っ飛ぶな!」て唄ったときはめっちゃ盛り上がった!社会派。「京都」の母の日コール&レスポンスも楽しかったです。



2013年05月11日(土)
『アジア温泉』

『アジア温泉』@新国立劇場 中劇場

『パーマ屋スミレ』がとても心に残る作品だったので、観に行くことにしました。鄭義信さんの新作(ベースは『青き美しきアジア』だそう)、演出はソン・ジンチェクさん、日韓合同公演。

と言う訳で『パーマ屋スミレ』と同じ劇場だよねと小劇場に行ったらなんかロビーがまっくらで、上演中のポスター見たら『SADAKO』だったので二重の意味でヒィッとなった…慌てて中劇場へ移動。入るとおおっ、ロビーに露店が連なっております。夢の温泉リゾート!足湯ならぬ手湯や射的、撮影コーナー、お菓子やお茶のお店も。おみやげコーナーもありました。「新国立劇場」と名前入りの法被をきた職員さん?たちが呼び込みをしております。開演前と休憩時間が楽しくすごせました。

しかし開演前と休憩中、そして終演後ではこれら露店を見る目が変わります。ああ、この温泉リゾートはまさしく夢だったのだ。これからもここは夢の場所でしかないのか、それとも?

アジアのどこかにある島に、温泉が湧くという噂。いろんなひとがやってくる。温泉リゾート開発でひとやまあてようと言うひと、故郷で人生をやりなおそうと全てを捨てて移住しようとするひと。しきたりを強く守る島のひとがいれば、その慣習を捨てようとする島のひともいる。セクションは大きく三つに分かれます。土地を断固として譲らないアジョシと彼をとりまくひとびと、土地を買い取ろうとやってくる兄弟。温泉を探してあちこちの土地を掘り続ける三人組。そして彼らを遠くから眺めているようで、実はどこに存在するか判らないリヤカーの男女ふたり組。土地や慣習を巡る対立に呑み込まれる恋人たちはロミオとジュリエットを連想させ、会津磐梯山を唄い乍ら明るい未来への希望を失わない三人組を見ていると、大きな爆発音は噴火ではなく「あの」事故によるものではないかと思い至る。「留守にしている」故郷へ帰ろうというリヤカーのふたり組は、『寿歌』の彼らを連想させます。さまざまなモチーフが鏤められ、生者と死者の心が通い、普遍的なテーマを浮かび上がらせます。

島はどこにあるものか、対立しているのはどこの国のひとたちか、と言うのは具体的に明らかにはされません。しかし、登場人物たちは日本語と韓国語をしゃべり、ひとによっては通訳を介せずともある程度お互いの言葉が解る。このお互いの国の言葉が「少しは解る」ことの意味にも、歴史が深く関係しています。そんな歴史の激流に溺れてしまった者、取り残された者たちを優しい目線で描く。終始笑い泣き。根っからの悪人はいないのです。ひとが悪人になるのはさまざまな問題によるもので、どこかにその問題を解決する方法がある筈だ。その方法を探して行こう。それがどんなに困難なことで、何度挫けても、何度打ちのめされても。志半ばで亡くなったひとのためにも。そんな決意も感じました。発展途上の印象もあり、ポイントになりそうな役が流れていきがちなシーンもあったのですが、これで終わり、ではなく経過として考えることは重要にも思えました。

土地を「札束でひっぱたいて」買い取ろうとする兄カケルに勝村さん、島のひとたちと仲良くやっていきたいと奔走する弟アユムに成河くん。アユムと恋に落ちるひばりにイ・ボンリョンさん。島のひとたちが言ってたようにアユムはひばりを利用しているのではないかと言う疑いをしばらく消せなかった残念な自分。汚れた大人だわ……。そんな汚れた大人たちにもまっすぐ向かって行く訳ですよアユムは!ごめんよ悪かった!死んでから悔いても遅いってのを痛感したよ!あれよねやっぱ周囲の雑音に惑わされず、アユムのキラキラしたまっすぐな瞳をただ信じればよかったのよね!ごめんよおおおおおとアジョシのように反省しました。そしてこの反省は活かさなあかんで…とも思いましたほろり。それにしてもアユムとひばりのカップルかわいくてねえ。ひばりは最初アユムを警戒してるんだけど、アユムのまっすぐさに心を開いていくのよーラブラブになってからのふたりの微笑ましいこと!でも絶対この幸せは続かないよ〜て予感がありありなのでもうその時点でせつない。ああ、かわいかった…かわいそうだった……かわいいそう………。

勝村さんは何が話し合いだよ何が仲良くだよ〜金で言うこと聞かせるんだよ〜てなごうくつばりのヤな人物で、それがまたなんてえの、相手の感情逆なでするのが巧くて巧くてホンット憎たらしくて、うわあある意味損な役回り…役だと思っててもイラッとする…巧いわ……とヘンなとこで感心するくらいだったんですが、後半アユムを亡くしてからの表現が素晴らしくてですね。ああっこれのための前半か!てなくらい。ヘヴィーな場面に笑いをバンバン持ち込む自在っぷりも見事。勝村さんは蜷川さんの懐刀なので(微笑)蜷川さん演出以外で見るのも久々…『ビリーバー』以来で、新国立劇場の作品に出るのも初めてだったとのこと。新鮮に思える箇所も多々ありました。

舞台両袖に衣裳を掛けるハンガーラックと椅子が置いてあり、出番を終えた役者はそこから舞台の進行を見守ると言う構造だったのですが、そこにいるときの勝村さんの姿がとても印象的でした。前半は演技エリアを出ると即ニヤニヤして舞台を見ていて「ああこういうとこ勝村さんっぽい、どんなに極端な役やってても平熱のもうひとりの自分が頭の上から見てそうな感じ」と思っていたのですが、アユムへの思いをアジョシにぶつけて退場したあとはしばらくハンガーラックの陰から出てこなかった。やっと戻ってきて椅子に座ったけど、しばらく顔を覆ったり、俯いて床を見つめたりしていた。それもプランの一部なのかも知れないが(汚れた疑い深い大人再び)、あらゆる人間のあらゆる感情を表現する役者、そして役者という人間というものについていろいろ考えさせられました。…いやその、舞台袖ばっか見てた訳ではないですよ、勝村さんロックオンだった訳では……。

コリアンキャストは多分初見の方ばかりだったと思います。悲しいユーモアをまとったかささぎ役チョン・ジュンテさんが印象的でした。この手の役柄には惹かれる…献身的で自分の感情を押し殺す、人魚姫みたいな人物(涙)。

劇中歌含め舞台には音楽が溢れ、出演者が演奏にも参加します。勝村さんはドラム。中央にセット持ってきてドカドカ叩くシーンがあるのですが、衣裳からしてもう『嵐を呼ぶ男』でした(笑)。成河くんはギター弾いたり太鼓を叩いたりしていましたが、驚いたのは歌がすごく巧い!そういえば最近ミュージカルにも出演していたものなあ。山中崇さんがTp吹けるのにもびっくりしたー。そして朝鮮民謡かな?巫女さんのひとの歌がすごかったな!チョン・エヒョンさん。役名もうぐいす、ぴったり。森下さん(でへへおかきもらった〜)、酒向さん(『パーマ屋スミレ』の大大吉!)、谷川さん(谷川さん!笑)の温泉掘り三人組による客いじりも楽しく、祝祭感覚溢れる音楽劇としても楽しめました。舞台と地続きの客席にもそれは拡がっていく。

千葉さんとちすんさん演じるリヤカーのふたり組の会話。「故郷に帰ったら『おかえり』って言うんだ」「『ただいま』じゃないの?」「『故郷が留守にしていたんだ、だから俺が故郷に『おかえり』って言ってやるんだ」。あの土地のことを思う。いつか帰れること、いつかまたひとびとが集まり、故郷で暮らしていけること。



2013年05月05日(日)
『レミング』

ひきつづきブンブンでぬけがらと言うか燃えカスみたいになっていて(以下同文書いてるのは11日)。

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『レミング』@PARCO劇場

段差がない座席の最後列(Z列。3列目ですね)だったらまー見えない見えない、松重さんが(泣)。ご覧になった方は判ると思いますが、8〜9割床から頭を出した状態での立ち(座り?パンフの稽古写真では胡座かいてましたね。あの中はこうなってるんだーと面白くもあった)位置に、ちょーど前列のひとの頭がですね……と言う訳でおかーちゃんが畑から頭を出す瞬間を悉く見逃す。と言うか全部見逃す。松重さんの声が聞こえたら「あ、出てきてる!」と首をななめ〜につっぱって視界を確保すると言う…隣席の方すみません……でもその隣席の方も同方向に首を伸ばしておった。このまま畑から出てこなかったらどうしようと泣きそうになったが最後出てきて嬉しかった〜。何を見に行ったのか。いやでもだって松重さんだよ!?あの身長を封じるとかナシで!ひっぱったぶんぬら〜と畑から出てきたときのインパクトはすごかったです。衣裳もアレだしね!だんだんかわいく見えてきたよね!カーテンコールの頃にはすっかりおかあちゃん、そのスモックみたいなワンピースかわいいよ!とか思ってたよね!(同意を求める)

ううむ、これ前日シネマ歌舞伎観てて、彌十郎さんの女形てホントかわいいわーと思ったのに通じるかも知れない……単に自分の嗜好なのだろうか。ちょーかわいいよねー!(何度でも言う)

ここ迄言ってると説得力なさそうですが、いやそれにしても松重さんの母役素晴らしかったのですよ。八嶋さん演じるタロとの淫靡な母子の関係。母親と離れたいと思っていてもどうしても離れられない息子、息子にありったけの愛情を注ぐ母親。「白髪で編んだ決して枯れない菜の花」の台詞を聴いたときには、そのグロテスクさに潜む圧倒的な美に喉を締め付けられる思いでした。また松重さんって声のトーンの抑揚が独特で心地よい。タロを叱りつける声、諭す声、何ともつかぬ話をする茫洋とした声。床下に押し込められて隠されていても、息子を思い続ける母親の途方もない、得体の知れない冥さ。不気味なんだけどなんとなく安心する、なまあたたかい沼みたいな感じ。

と言えば八嶋さんのあの立ち位置も印象的だった、維新派ワールドにい乍らにして、その内側からツッコむ笑わせる。陶酔しそうになる観客を我に返させる、イメージ通りの八嶋智人。自分の役割を徹頭徹尾演じきるタフさっぷりは格好よかったなあ。なんて言うか…このひとホント肝が据わってる。

そして内橋さん生演奏だったのね!演奏ブースと真反対の席だったので遠くを見渡せず、カーテンコールでご本人が挨拶する迄気付かなかった。録音にしては演奏が生々しいなあとは思ったが、録音も何も…であった。あとやっぱり維新派フォーメーションは全体を観たかった…しかし席位置は運なのでどうにもこうにも。まあ近くで観られたのでいいとしよう……。

と言う訳でつくりは維新派なんだけどなんて言うかちゃんとPARCOだったって言うか…うーんなんて言えばいいんだ、額縁舞台で、あの空間でって言う。と言えばPARCO劇場、ハコ自体に独特の冥さがありますよね。それこそアングラの面影が残る、迷路に入り込むような不安感がある。それは見てはいけないものが見られるかも?と言う期待でもある。寺山修司には間に合わなかった世代ですが、今観ることが出来ている野田さんや鴻上さん、最近では松井周さんの作品に、ああここは寺山さんが創作の母となっていたのかなと思い返す箇所があったのが興味深かったです。患者と医者の関係、どちらがどちらを治療しているのか、癒しているのか?母親を買いに行く、家族は交換出来る。姥捨て。うっすらとしたモチーフ。遠い母でもあるのだろうが、こうやって伝わっていくのだなあ。

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帰りに『寺山修司と天井棧敷◎全ポスター展』をやっているポスターハリスギャラリーへ。『レミング』半券提示でフリー入場出来ました。シルクスクリーンのオリジナルポスターも観られて嬉しかったー。それにしても宣美、錚々たるメンツですよね…どれもこれも貴重なアート作品。



2013年05月04日(土)
シネマ歌舞伎『らくだ』『連獅子』

ひきつづきブンブンでぬけがらと言うか燃えカスみたいになっていて(以下同文書いてるのは10日)。

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シネマ歌舞伎『らくだ』『連獅子』@東劇

おはつのシネマ歌舞伎です。「最前列より前で、歌舞伎を魅る。」との言葉通り近いー。と言うか、ここは表情をしっかり見たい!てとこでちゃんとアップが見られたりとか、映像ならではの世界が楽しめました。ちなみに『連獅子」の監督は山田洋次さんで、舞台上にカメラを設置し撮影した稽古での映像も加えられたもののようです。舞台袖や花道下からの映像の他、客席からは絶対に観られないアングルが多々ありました。そうそうあと音の臨場感がすごかったです。衣擦れや息継ぎの音もはっきり聴こえて迫力でした。

それにしても『らくだ』(2008年8月、歌舞伎座)のあれやこれやはどこからどこ迄がアドリブだったのか…彌十郎さんが転がり落ちたとことか、勘三郎さん素で笑ってるように見えたのですが(笑)。もー彌十郎さんの女形大好きー!かわいいよね!『身代座禅』の玉の井とかちょー好きー!ああもう素敵だわ……。亀蔵さんの死体(駱駝の馬太郎)役が素晴らしすぎて、それで笑っちゃったとこもある。他の上演版ではあそこ迄肌黄色くなかったとタさんが言うておりました。そういうとこも含め素晴らしい(笑)。

『連獅子』(2007年10月、新橋演舞場)、勘太郎(当時)くんのおどりはこの頃からキレキレ。子獅子たちが倒れてる場面で、七之助くんがほんとぜえぜえなってるっぽかった…てかあれはハードですよね……。衣裳重いし、鬘重いし、動き激しいし。で、こちらにも亀蔵さん(僧蓮念)と彌十郎さん(僧遍念)。個人的に眼福です。

前々日の清志郎さんのときにも思ったけど、勘三郎さんがもうこの世に存在しないなんて信じられませんね……。勘三郎さんの柔と剛、両面を観られた二作品でした。

あと仁左衛門さんの『女殺油地獄』を観たかったのだけどどうにもスケジュールが合わず断念。またアンコール上映あるといいな。



2013年05月03日(金)
BOOM BOOM SATELLITES EMBRACE TOUR 2013

BOOM BOOM SATELLITES EMBRACE TOUR 2013@日本武道館

・Special website for the Budokan

・360° LIVE STREAM - Flash Player Installation

・Facebook

・映像演出を手掛けたチームflapper3 inc.のサイト

・ライヴレポート(速報) / BARKS
・ライヴレポート(詳細) / BARKS

・ライヴレポート / ナタリー

・ライヴレポート / iFLYER

・LIVE REVIEW / New Audiogram

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えーと長いですよ、そして毎回思うがなんでこーブンブンのこととなると気味の悪い文章になるのだろう。取扱注意、他言無用でひとつ宜しく……。

なんとなく思い立って、前日『Tomorrow Never Dies』のネイルを塗った。と言うのは嘘で、そうしようと決めていた。昨年末あのニュースが知らされた直後に買ったものだ。今回ばかりは験を担ぎたくなる。

会場へ向かう途中くろねこ二匹に遭遇。入場直前マイ苦さんに遭遇。マイ苦さんとはなんだかんだで長いつきあいになる、クラブで遊び歩いていた頃からの友人だ。ブンブンはデビューして15年。いろいろな変遷を辿って、当時ライヴ会場やクラブで会っていたひとたちとは今でも会っていたり会わなくなっていたり。ブンブン絡み以外では会っていたり、ブンブン関係なくとも会わなくなっていたり、いろいろだ。今回もその頃の友人知人たちが会場に来ているかどうか、知っていたり知らないでいたり。あの子もあのひとも会場にいるかも知れない。いないかも知れない。そして入場の列に並んでいるとき「ブンブンを知ったのはKEN ISHIIのリミクスからだったな」と思い出し、イシイくんフリークのマイ苦さんのことを思い出していたのだった。ひと混みのなかに見知った顔が突然現れたときはだからすごく驚いたし、同時に嬉しかったのだ。少し話して別れる。

一階席南三列目、ステージ真正面。インスタレーションとしても観たかった(絶対ステージごとアートにするプランでくると予想出来た)のでスタンド席を選んだが、それにしてもいい席がとれた。まあ、踊り倒せる体力に自信がなかったと言うこともあるが(笑)とにかくじっくり観たかったし聴きたかった。実際この位置は音のバランスもとてもよかった。八角形の武道館。『UMBRA』と『PHOTON』はSTUDIO八角形で制作されたな、なんてことも思い出す。そして『PHOTON』制作中、川島さんが八角形のあるロンドンから一時帰国していたことも思い出す。

もう時効だろうが、一度目のことは当時クラブ通いをしていたひとから聴いていた。一般人の自分に伝わってくるくらいだから、とりたてて隠し立てしていた訳ではなかったのだろう。ただ、作品や活動を見る目にバイアスがかかってしまうようなことを本人たちが避けたいと思っていたのは確かだろうし、だからこそこちらが騒ぎ立てることではないと思っていた。それにしても今回が三度目で、二度目は『PHOTON』のときだったとは(追記『UMBRA』のときだったようです。てことは『PHOTON』時の帰国は定期検診だったと思われる)。川島さんが帰国していたとき、友人とまさかまた…とちらりと話しはしたけれど、アルバム完成のニュースを聴き杞憂だったのだなと思っていた。それでもアルバムリリース後のAXのようなこと(一日目二日目)がある度ヒヤヒヤしていた。これ未だにことあるごとに思い出すので、余程トラウマなんだな(苦笑)。この時期(ブンブンに関しては今も、かも知れない)は熱心に音楽誌等のインタヴューを読んでいて、ふたり出席していると書いてある記事なのに中野さんのコメントしか載っていないことも多く、それも随分厳しい内容ばかりだった。中野さんの川島さんへの要求もとても高かった。『PHOTON』の歌詞は中野さんが書いたものが多い。今となってはそれがどういうことなのか、明らかにする必要はないのかも知れない。ひたすら聴いたその作品が、今でも自分にとって特別なものとなっている事実。それを信じるだけだ。

その後音楽のナリが変化したり、サポートドラマーの平井さんが辞めたり、NINE INCH NAILSの影響が色濃くなってきた。『PHOTON』前後からのバンドの変化にNINがひとつの指針になっているのは明らかで、NINは自分もとても好きなバンドなだけに困惑した。しかしパクり云々と言うことではなく、音の組み立て方、鳴らし方、リスナー参加を促すインタラクティヴな活動展開、そして実験的、攻撃的でありつつ高水準のアートとしてのライヴステージを作り上げようとする意欲と姿勢に好感が持てた。今回のステージアートは、2006年2008年のSTUDIO COASTで継続的に採用していたものの到達点のように感じた。STUDIO COASTでは音も照明も窒息する程圧が高く、それがバンドの過剰さとも合致し、感動し乍らどこかで怖いとも感じた。このハコでは収まりきらない、そう思った。それが武道館では、容れものと本人たちがやりたかったプランとのスケールがぴたりと合っていた。必要だった“規模”がある。

横幅をたっぷりとった巨大LEDフェンスが「HELTER SKELTER」で一斉に点灯されたときのインパクト!赤が目に焼き付く、どよめきと大歓声が同時に起こる。そして天井の高さが相当ないと使えない設計の照明。バトンとスタンドが一体になったようなもので、形状を変え乍らさまざまな位置に動かせる。ステージへの照明角度が自在なうえ、その骨組が放射状になったり星状になったりと動くさまも美しい。そしてだてに八角形じゃないぜ(笑)、大人数収容であり乍らステージとの距離が近い。前回の大バコ、2010年幕張イベントホールは縦長だったから尚更そう感じた。プレイヤーをそう遠く感じない。ちらりと「NINが日本でも人気あって、武道館でライヴやれてたらなあ…」と思ったのは内緒です(笑)。しかしそう思う程の空間が出来上がっていたのは確か。

これらステージセットの規模と距離感は生で観てこそだった。配信で観ればいいや、と思えるものではなかった。音に関してもそうで、曲が肌に触れるような感覚はライヴならではだ。いろいろな事情があって会場に来られなかったひとも多いと思う。その辺りにも配慮し、なおかつただライヴ中継をするだけではないさまざまな試みもあったようなので、配信ならではのよさもあったのだと思います。中野さんが大泣きした顔は現場では観られなかったですしね。それでもあの場にいられてよかったと思う。

これだけのプランの実現は、今回の川島さんのこととは直接は無関係だ。数ヶ月、いや数年前かも知れない、再々発が判るずっと前から準備を進め、そして素晴らしいステージになっていただろう。苦節十五年なんて浪花節的な悲壮感はないにしても、クラブからスタートしたバンドが武道館に、と感慨深いものになっていたと思う。しかし今回のライヴはやはり特別な意味を持つものになった。帰ってきた川島さん、それを待っていた中野さん。そしてサポートのyokoさんやスタッフたちの尽力で、この日を迎えることが出来たのだ。無事終わってくれとひたすら祈り乍ら観ていたが、それを忘れるくらい楽しい瞬間が沢山あった。楽しかった、本当に楽しかった。そして心を打たれた。バンドの集大成であると同時にこれは新譜『EMBRACE』のツアーであり、これ迄あったこと、これからあることを全て受け入れ抱きしめるような大きな世界がここにはあった。

「NINE」で、それ迄照明効果も含めた抽象映像に終始していたLEDフェンスに、抜けるような青い空と雲が映し出された。誰かが空を飛んでいる、と言うより落下している。ちいさな白い羽根がついている。フォーリンエンジェルだ。これはこういうことだったのか。そして最後の曲「STAY」、演奏するふたりの表情のアップが映る。川島さんは達観したような、中野さんは感極まったような顔をしていた。全ての曲を終え、中野さんは顔を覆った。そしてベースを持ったまま前に出てきた。スタッフに預けたかったようだが誰もとりにきてくれない。しばらく待ったあと楽器をそうっとステージの床に置いた。自分の左胸を何度も拳で叩いた。そして両手を挙げ、深い礼をした。川島さんの術後初めてふたり揃って出演した配信番組で、中野さんは「僕たちには時間がない」と言っていた。時間に限りがあると自覚したひとは強い。しかしそれを自分たちに言い聞かせ、行動し続けるタフさは想像にあまる。

これからバンドがどこへ行くかは判らない。しかしずっと聴いてきてよかった、これからも聴いていこう、彼らのやることを見ていこうと思えたライヴだった。このバンドが好きなことを誇りに思うライヴだった。

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その他おぼえがき。

・「DIG THE NEW BREED」で二種のマイクスタンドを並列させずにステージ両サイドに配置していたのが面白かった。並列マイクがなかったんでまさか今日digやらない?やらない訳ないよな?と若干オロオロしていたのだった
・で、前半川島さんが使った下手側のマイクスタンドに中野くんが行って、背伸び気味に唄ってるの見たときは大笑いしましたよ…ちょっとかわいかったですわ
・中野くんと言えば投げキッスを何度かしていたのにうろたえた。いや別に今回が初めてじゃないけどわあロックスター?とおろおろします(笑)

・いんやしかし「FOGBOUND」「DIG THE NEW BREED」はほんともー名曲よなー変遷含めて。どのヴァージョンも素晴らしいよ。足し算足し算で膨張していたfog〜に若干隙間を与えたヴァージョンも好き。合気道みたいな間で新しい扉を開くみたいな(意味不明の例え)
・fog〜にトライバルなリズムとrezなアウトロが加わったときの衝撃は今でもよく憶えているし、dig〜にロッキンなリズムを加えたヴァージョンが数回で姿を消したこともなんか感慨深いです…試行錯誤していたのだろうな。てかずっとしていくのだろうな
・しかしこのdigのロッキンなリズム、今振り返れば超初期の「Bike Ride To The Moon」や「Low Blow」のパターンに通じるものがあったななどと思う。こちらが音色に惑わされていたのかもなあ
・てか今だからこそ『Joyride』『OUT LOUD』のナンバーを聴いてみたいですね。今のバンドのモードで

・そしてここ数作でバンドに強力な色を加えた川島さんの歌!いやもうここ迄歌を手に入れるとは思ってなかったです正直。これは大きいよなあ……
・と言えば、中野くんもずっと唄ってたな。マイクがないところでも、川島さんと一緒に
・そうそう、「EASY ACTION」でフロアが一気にヒートアップした場面にはおおっとなった。ここすごい盛り上がりでしたね

・塗ってった爪と似た色の照明があったのが秘かに嬉しかった
・終演後神保町のボンディでごはん食べたんだけど、店内BGMでご本家The Beatlesの「HELTER SKELTER」がかかって嬉しかった

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セットリスト

01. ANOTHER PERFECT DAY
02. HELTER SKELTER
03. BROKEN MIRROR
04. DISCONNECTED
05. MORNING AFTER
06. BACK ON MY FEET
07. SNOW
08. EMBRACE
09. FOGBOUND
10. MOMENT I COUNT
11. EASY ACTION
12. KICK IT OUT
encore01
13. NINE
14. DIG THE NEW BREED
15. DRESS LIKE AN ANGEL
encore02
16. STAY

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2013年05月02日(木)
『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 日本武道館 Love & Peace』

ブンブンでぬけがらと言うか燃えカスみたいになっていて、記憶もとんでおります(書いてるのは9日)。

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『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 日本武道館 Love & Peace』@日本武道館

仕事で遅刻してミッチーの最後の曲(の後半)から。と言うかミッチー観たの何年振りか、十数年振りくらいじゃないか。ミッチーワールドで武道館を染めあげており、一瞬「あれ、これオリジナル曲だっけ?」と思った程でした。うう、このショウマンシップ!ちゃんと観たかった。転換時、真心やトータスがもう出たと教えられる。ガクリ。

そんなこんなで清志郎さんの曲を聴くひととき。ハウスバンド(バンマスはDr.kyOn)にyukarieさんがいて驚き、嬉しかった!相変わらず格好ええ。このバンドにゲストヴォーカルが加わる構成と、ゲスト本人らのみで演奏と歌をやる構成でした。(3日にここ迄書いて力尽きていた。以下自分用メモ)

セットリスト、プログラムはこちらから。ここの「88年10月13日、フジテレビ『ヒットスタジオR&R』より」は89年の間違いだそうです。

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セットリスト

01. ドカドカうるさいR&Rバンド/トータス松本
02. 不思議/トータス松本
03. トランジスタ・ラジオ/佐野元春
04. 黒くぬれ!/ムッシュかまやつ&浜崎貴司
05. たとえばこんなラヴ・ソング/ムッシュかまやつ&浜崎貴司
06. お墓/真心ブラザーズ
07. Johnny Blue/真心ブラザーズ
08. 強烈ロマンス/及川光博
09. 涙のプリンセス/及川光博
10. いい事ばかりはありゃしない/泉谷しげる
11. スローバラード/細美武士(the HIATUS)
12. デイ・ドリーム・ビリーバー/細美武士(the HIATUS)
13. 日本の人/細野晴臣+坂本龍一 with 青葉市子
14. 多摩蘭坂/ハナレグミ
15. サヨナラCOLOR/ハナレグミ
16. 甲州街道はもう秋なのさ/佐藤タイジ&曽我部恵一
17. スローバラード/佐藤タイジ&曽我部恵一
18. セラピー/矢野顕子
19. 恩赦/矢野顕子
20. ひとつだけ/矢野顕子
21. Soul Man/サム・ムーア
22. That Lucky Old Sun/サム・ムーア
23. サラリーマン/奥田民生
24. あきれて物も言えない/奥田民生
25. ダーリン・ミシン/増子直純(怒髪天)
26. ブン・ブン・ブン/増子直純(怒髪天)
27. 雨あがりの夜空に/出演者全員(※佐野元春、細野晴臣、坂本龍一、矢野顕子、サム・ムーアは参加せず)

[忌野清志郎ダイナミック・ライブ映像!!]
01. 僕の好きな先生/RCサクセション(73年11月7日、tvk『ヤングインパルス』より)
02. 海辺のワインディングロード/RCサクセション(85年『SPADE ACE』より)
03. タイマーズのテーマ〜デイ・ドリーム・ビリーバー〜タイマーズのテーマ(エンディング)/THE TIMERS(88年(本当は89。テロップ間違いとのこと)10月13日、フジテレビ『ヒットスタジオR&R』より)
04. 孤独な詩人/忌野清志郎(06年1月27日、NHKホール『どんと紅白』より)
05. HB・2B・2H/忌野・泉谷・スパイスマーケット(02年8月31日、日比谷野外音楽堂『最期の悪夢 Part1』より)

[忌野清志郎バンド]
小倉博和(ギター)、斎藤有太(キーボード)、TOKIE(ベース)、Dr.KyOn(キーボード)、古田たかし(ドラム)、山本拓夫(サックス)、yukarie(サックス)

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・細野晴臣+坂本龍一 with 青葉市子(偶然にも?HIS!HosonoIchikoSakamotoで)にはサポートでユザーンがいたのよ!スーツ着てたよ!初めて見たユザーンがジャケット着てるの。そしてジャケットとパンツのサイドに白いラインが入っていたので、礼服かしらと

・それにしても細美くん(the HIATUS。わあごめんtwitterでは細見くんと誤字してしまった)の「スローバラード」はすごかった。あの素直な声。このときの武道館の静まり返りっぷりも印象的でした、あれは彼のこと全く知らないひとでも「誰あれ?」と聴き入っちゃうよ

・矢野さんはあの「ブーツ」で。こちらも静まり返る場内。やっぱり、やのさんは特別、壮絶な特別

・民生は流石の貫禄、そして誰の曲でも民生のものになってしまうのがすごい。しかし俺色に染めてやるぜとかそういう強引な感じはしないんですよね。元の楽曲にこういうよさがあったんだ!と言う新しい発見と、そうそう、こういうところがこの曲のいいところなんだよ!と言う旧知を分かち合う感じと。経緯と探究心が両方あると言うか

・増子兄ィが卑屈キャラになっていたのにウケた。格好よかったよ素敵だよ増子兄ィ!

・タイマーズの夜ヒット映像、リアルタイムで観てたので、えっこれってアレだよね、アレも流すのかな…とドキドキしていたが、そこはカットされてた(苦笑)
・『どんと紅白』は2006年。そうか、2006年には清志郎さん生きてたんだよな、とあたりまえのことなのに不思議な気分になった
・しかし話逸れるがどんととアケミ、そしてアラーキーの愛妻陽子さんは同じ命日。そして清志郎さん、青ちゃん、HIDEが同じ命日。なんなんだろうなと思う。ひとりの話題が出ると数珠つなぎで出てくる。このひとも、このひともだ、と

清志郎さんの曲は、詞は痛くて刺さる。あの声がもうこの世に存在しないことがまだ信じられないし悲しいけど、楽曲はこれからも聴くことが出来る。音楽が残るとはこういうことなんだなあ。

明日はここでブンブンか……と会場を見渡してから帰りました。