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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ロンドン批評家協会賞

2月11日にロンドン批評家協会賞が発表されました。「M&C」は作品賞と脚本賞、ポール・ベタニーが英国男優賞を受賞しています。

'Master and Commander' Wins British Critics' Awards

これが何故、ロイター外伝ニュースになるかというと、「LOTR:王の帰還」が敗れたからなのです。
この理由について、ロンドン批評家協会会長のウィリアム・ラッセル氏は、「英国は島国だ。それが、帆船時代の海洋映画が圧倒的支持を得た理由だろう」と語っています。
またポール・ベタニーはこの受賞について"It feels epic, the only thing more epic than the film,"とコメントしています。「M&C」がエピック・ムービーであることに引っかけてあるのですが、エピックの概念が広いから、訳が難しいですね。「画期的な事件だ」では弱いし「歴史的事件だ」では大げさだし、まぁとにかく、このぐらいの事がなければ映画の中でマチュリンが経験したこと以上の事件はないと彼は考えているようですが(つまりすごい大事件だということ…詳しくは映画を見ればわかります)。

ロンドン批評家協会賞(一覧はこちら

作品賞:マスター・アンド・コマンダー
英国映画賞:マグダレンの祈り
外国語映画賞:グッバイ・レーニン(ドイツ)

監督賞:クリント・イーストウッド(ミスティック・リバー)
英国監督賞:ピーター・ミュラン(マグダレンの祈り)
新人監督賞:デイビット・マッケンジー (Young Adam)

主演男優賞:ショーン・ペン(ミスティック・リバー)
主演女優賞:ジュリアン・ムーア(エデンより彼方に)
助演男優賞:ビル・ナイ(ラブ・アクチュアリー)
助演女優賞:エマ・トンプソン(ラブ・アクチュアリー)

英国男優賞:ポール・ベタニー(マスター・アンド・コマンダー)
英国女優賞:アン・リード (The Mother)

脚本賞:ピーター・ウィアー&ジョン・コーリー(マスター・アンド・コマンダー)
英国脚本賞:デイビット・ヘアー(めぐりあう時間たち)

DILYS POWELL AWARD - LIFE ACHIEVEMENT: Tom Courtenay
EXCELLENCE IN FILM AWARD: Ronald Neame
ロンドン批評家協会賞:イアン・マッケラン

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英国人が「LOTR王の帰還」より「M&C」を評価するというのは、わかるような気がします。
実は先週、「王の帰還」の先行上映を見てきたのですが、三部作の中ではいちばん派手な、いわゆるハリウッド的アドベンチャー映画に出来上がっていて、おやおや…と思いました。
この2作品ってエピック・ムービーという同一カテゴリーで、アカデミー賞では同じく特殊効果撮影賞と美術賞にノミネートされながら、およそ対照的なのです。ひとことで言えば、LOTRはデジタル、M&Cはアナログ。
LOTRは、前2作「旅の仲間」と「二つの塔」ではニュージーランドの自然を活かしたアナログ部分がかなりあったのですが、「王の仲間」は、自分の手と足で進んで行くしかないフロド・サム編はかなりアナログであるものの、アラゴルン王様編は(ローハンをのぞいて)CG画面が多く、デジタルな印象があります。
昔ながらの家に住み、木のぬくもりや皮の重厚さを愛する英国人には、王の帰還のコンピューター・ゲーム的面白さよりも、M&Cの重量感ではないかと。

「王の帰還」に関しては、個人的には、このデジタル感が不満なのです。ペレンノール野の合戦より「二つの塔」のヘルム峡谷の戦いの方が重量感があるって…問題じゃない?
ここまで評価が高いのは、おそらくフロド・サム編の人間ドラマが引っ張っているのだと思いますが、もし万一「王の帰還」がアカデミー作品賞を逃すことがあったとしたら、それは世間的に言われているように「これがファンタジーだから」ではなくて、これが「スターウォーズ的冒険アドベンチャーになってしまったから」だと思うのですが。
いやスターウォーズはあれでいいと思うのですが、でもアカデミー賞好みではないのではないかと。


2004年02月12日(木)