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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
年末のご挨拶

欧米がクリスマスでお休みになり、ぱったり情報が来なくなってしまったのを良いことに、年末大掃除と年賀状に明け暮れておりました。大晦日の本日とて、英文のニュースは無いのですが、とりあえず年末のご挨拶。

実はいまだに「M&C」の予告編に出会えない上に、ダイアルアップ接続のため動画が見られない私は蚊帳の外なのですが、「M&C」の日本公式ホームページと予告編について、いくつかのサイトで問題が指摘されているようです。
日本公式ホームページ http://www.movies.co.jp/masterandcommander/index.html
(個人ホームページからのリンクが禁止されているため、URLのみご紹介します)

とりあえず今私の手元には、友人が持ってきてくれた映画のチラシ(日本公開用)がありますが、確かにこの路線で予告編を作成したら実際の映画とはかなりかけ離れたものになる可能性はあると思われます。

このページは情報提供を第一としているので、批評ページではありませんのでコメントはさしひかえますが、映画のチラシを見て気づいた誤りのみ、訂正をご紹介したいと思います。

映画チラシ裏面「Story」
1805年--ヨーロッパ征服を狙うナポレオンの前に、多くの兵士の尊い命が犠牲になり、イギリス軍はその兵力を補うために、幼い少年達までも船上に送らざるをえなかった。

1789年のフランス革命直後から続いたフランスとの戦争のため、確かに多くの兵士の命が犠牲になりました。イギリス軍はその兵力を補うために多くの成人男子を強制徴募しました。それは事実であり、当時の英国では成人男性の労働力が奪われた結果、女性と子供だけで農場を切り盛りしなければないのはよくある話でした。
しかし、サプライズ号に幼い少年たちが乗り組んでいるのは、兵力不足が理由ではなく、また彼らは強制的に徴募されたわけでもありません。当時はそれがふつうのことだったのです。海軍士官への通常コースは12才で候補生として艦に乗り組むことに始まりました。17才で初乗艦だったホーンブロワーは「出遅れ組」で、そのため最初はかなり苦労しています。
12才で軍艦へ、というと驚かれる方も多いかもしれませんが、当時は日本でも江戸時代、男子の元服は15才でしたし、赤穂浪士の大石主税とて15才にはなっていません。
まぁつい5〜60年前の「おしん」にしてから、10才そこそこで一人前に奉公に出ているのですから、昔は子供が大人になるのは早かったのでしょう。

あとは細かいところですが、あおりについている英語、正しくはこうなります。

Commander → Captain
映画のタイトルが原作1巻の「マスター・アンド・コマンダー」なので無理もないのですが、ジャックの階級は確かに1巻ではCommanderですが、映画の原作となる10巻では一階級上のCaptainに昇進しています。映画の中でも実際に「Captain」と呼ばれています。

Soldier → Sailor (Warrior)
「戦士」と言いたいのかな? だとしたらwarrior。英語でsoldierと言ったら「陸軍の軍人」という意味。海軍の軍人はsailor。士官との対照でsoldierという場合は、common soldierとかcommon sailorと言うようにcommon(平の)という形容詞をつけることが多いです。もっともこの英語で紹介されているキャラミー(映画ではこの発音)君は候補生なので、平の水兵さんではありません。


今回は珍しく、私の訂正ではない訂正でしたね。
訂正の多いホームページを運営している身で他所の訂正というのもおこがましいのですが、来る年も出来るだけ訂正のない正確な情報紹介ページをめざして努力したいと思いますので、みなさまよろしくお願いいたします。


2003年12月31日(水)