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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
プレス用試写会資料(1)

アメリカのネットに、プレス用試写会で配布された資料がupされています。
プロダクション・ノート
スタッフについて
キャストについて

プロダクションノートについては、これまでこちらで紹介してきた資料(雑誌記事、製作スタッフインタビューなど)とかなりの部分が重複します。
11月1日にご紹介したEmpire12月号の記事の一部は、やはりこのプロダクション・ノートがソースでした。
というわけで、以下の要約は新規の部分のみ。

プロダクションノート
全20巻にわたるオーブリー&マチュリン・シリーズの芯となるのは、もちろんジャック・オーブリーとスティーブン・マチュリンの友情である。
マチュリンを演じるポール・ベタニーは、M&Cの魅力は二つの要素からなっていると語る。それはアクションとキャラクター。「パトリック・オブライアンのファンはこの二つに魅入られてページを繰るんだ。そして、この映画はアクション・ムービーではあるが、その中には生死を左右するような状況でも決して変わることのない友情が、細かく丁寧に描き出されている。(演じていて)それがいちばん面白いと僕は思った」

ピーター・ウィアー監督は、「ポールがマチュリンのキャラクターを自分のものにしていく過程を見るのは嬉しい経験だった。ラッセルとポールは見事にバランスをとって対極に位置している。ポールの演じるマチュリンは現代的な側面をもち、ラッセルの演じるジャックは当時の時代的な部分を表すというのように。

この友情に試練となるのが、敵となる仏艦アシュロン号に対するジャックの執念。
「スティーブンは、動物を観察するのと同じように、人間の行動をも観察している。ジャックのこともよく見ているよ」とベタニーは語る。「僕が思うに、スティーブンがジャックに惹かれている理由の一つは、彼が「権力を持った人間は腐敗する」という世の常には当てはまらない人物だから、ではないかと思うんだ。ジャックは自身のもつ権力(訳註:艦長の絶対的指揮権と思われる)を賢く使いこなしている。だがこの映画の中では、それが試練となる。スティーブンは気づき始めるんだ。アシェロン号を追うジャックの執念は、度をすぎた執着に変化しているのではないかと。それは乗組員に苦難を強いるものになっているのではないか?と」

ラッセル・クロウの語るジャック・オーブリー。「彼は今の時代にはもはやいないタイプの人間だよ。ジャック・オーブリーを演じる上で元になるテンプレートはないんだ。あなたが海軍本部の人間だったとしよう。ジャックはきっと手におえない手駒だろう。だが彼が艦長として指揮をとった作戦を広い視野から見れば、彼の方法は、あなたの望んでいた方法ではないかもしれないが、その成果はあなたの予想をはるかに上回るもので、辻褄は十分にあうんだ」


ウィアー監督はこの映画の製作にあたり、英国グリニッチの海事博物館、ポーツマスのビクトリー号(ネルソン提督の旗艦)、米国ボストンのコンスティテューション号(同時代のフリゲート艦)などをまわり資料を集めたが、その中でも監督が参考にしたのは、当時の絵画だった。それらの絵画に描かれた船乗りたちの顔に注目した監督は、18世紀の船乗りを探して東欧にまで出向いた。欧米で育ちカメラを向ければ陽気にニッコリ笑うようなことのない人々を求めたのだ。この世に疲れながらも皮肉な表情を残した人々を捜して。それが18世紀の顔なのだとウィアー監督は言う。

ウィアー監督はオーストラリアの帆船エンデバー号(18世紀半ばの同名艦の復元船)で洋上航海を体験し、エンデバー号のクリス・ブレーク船長(この映画のテクニカル・アドバイザーでもある)の好意を得て、クランク・イン前には製作のダンカン・ヘンダーソン、製作総指揮のアラン・カーティス、撮影監督のラッセル・ボイドを伴って二度目の体験航海に出た。

撮影スタジオの巨大水槽(かつてタイタニックの撮影に用いたもの)に設置されたサープライズ号の精巧なセットは、巨大ジンバルの上に設置されており、ジンバルは油圧ジャッキと複雑なプログラムにより、海上での縦揺れ横揺れを完璧に再現した。
また全長25フィート(7.5m)の撮影用模型は、ニュージーランドのWETAワークショップ(ロード・オブ・ザ・リングのセット作成で有名)がたいへん精巧なものを作成した。


スタッフについて
主要スタッフの経歴について特徴的な部分のみをご紹介します。
各スタッフの経歴詳細については、原文をご覧ください。

*ピーター・ウィアー(製作・監督・脚本)
オーストラリア・シドニー生まれ。1975年の「ピクニック・アット・ハンギング・ロック」で注目される。メル・ギブスン主演の「ガリポリ」「危険な年」で世界的な評価を得、1985年ハリソン・フォード主演の「刑事ジョン・ブック目撃者」でアカデミー賞監督賞、作品賞候補となる。1991年ジェラール・ドパルデュー主演「グリーン・カード」でアカデミー賞脚本賞候補。1999年ジム・キャリー主演「トルーマン・ショウ」でアカデミー賞監督賞候補。

*アラン・B・カーティス(製作総指揮・助監督)
ウィアー作品では「トルーマン・ショウ」でも助監督を務めている。またウォルフガング・ペーターゼン監督の「パーフェクト・ストーム」の助監督でもある。

*ジョン・コリー(脚本)コレーと発音する可能性もあり
英国スコットランド生まれ。医学を専攻し、海外援助機関や石油会社の医師として、マダガスカル、ガボン、旧ソ連、ソロモン諸島などで医療活動に携わる。1990年から英新聞オブザーバー紙に医療関係のコラムを書くかたわら3本の小説(「Kingsleys Touch」「A Paper Mask」「The Rig」)を発表した。「Paper Mask」のTVドラマ化(英グラナダTV/ポール・マッガン主演)に当たっては、脚本を担当、「The Heart Surgeon」(英BBCテレビ/ナイジェル・ヘイバース主演)の脚本も手がけている。1996年にシドニーに移住した後は、脚本家専業。


「キャストについて」は幾つか調べものをしなければなりませんので、明日以降のupをお待ちください。

さて今回は「あら?思わぬ名が?」ということが多かったのですが(すぐ上のマッガン(ホーンブロワーのブッシュ役)とか、ナイジェル・ヘイバースも…スピルバーグの「太陽の帝国」の英国人医師役が印象に残っているので、ちょっとheart surgeonって見てみたいな…とか)、もうお一人について、ちょっと皆様のお知恵をお借りして確認したいことがあります。

復元船エンデバー号の船長であり、M&Cのテクニカル・アドバイザーを勤めるクリス・ブレーク氏。横浜に係留されている帆船「海星」の初代船長であると耳にしたのですが、ひょっとして2001年10月の一日体験航海に来られてスピーチをなさった方でしょうか?
「海星」のHPの10周年記念のページ右上にお写真の載っている方がブレーク氏で間違いないでしょうか?
このページを読んでくださっている関係者の方のお知恵を拝借して確認させていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
この項については、確認のとれ次第、このページを訂正したいと思います。


2003年11月03日(月)