2005年03月28日(月)  『ダ・ヴィンチ・コード』で寝不足

■同僚に借りた『ダ・ヴィンチ・コード』(The Da Vinci Code)のおかげで寝不足に。なんて面白いんだーと興奮しながら、ページをめくる手がどんどん速くなり、上下巻を一気に読んでしまった。キリスト教や絵画にまつわる歴史や学説を一本のミステリーにまとめあげた著者ダン・ブラウンの手腕に何より感心する。両親は数学者と宗教音楽家、妻は美術史学者であり画家という環境は、この本を書くために整えられたかのよう。作家業に専念する前は英語教師だったそうで、翻訳であることを忘れさせる読みやすさにも納得。本書には女性を聖なる存在として礼賛する思想が繰り返し登場するが、著者の後書きで母親と妻を有能ですばらしい女性として讃えているのが興味深い。■謎を解く鍵としてアナグラム(綴りの並べ替えで意味の違う語句を作る遊び)がふんだんに盛り込まれているのも、暗号好きにはたまらない。もっと謎解きを楽しみたい人は、著者の公式サイトdanbrown.comUNCOVER THE CODEへ。『DIGITAL FORTRESS』(デジタル要塞?)という別な著書のコンテンツでは、本書に出てきたクリプトグラフィー(暗号書記法)の解読を楽しめる。著書もサイトもサービス精神旺盛。

2003年03月28日(金)  中国千二百公里的旅 干杯編


2005年03月27日(日)  今井家の『いぬのえいが』

■昨日観た映画『いぬのえいが』は、大阪の実家で飼っていた雑種のトトのことを思い出させてくれた。死に目に会わなかったせいか、トトのことを思い出しても悲しくも切なくもならない。ただひたすら笑いがこみあげる。そのせいで地下鉄でもエレベーターの中でもにやけて、きっとまわりの人には気味悪がられていると思うのだが、トトはとにかくどんくさいヤツだった。子犬の頃、自分で自分の足を踏んで、よく転んでいた。散歩に行くと、しょっちゅう視界から消えて、溝に落ちていた。家族で山登りに行ったとき、一人だけ車酔いして、いつまでもゲーゲー吐いて、背中をさすられていた。庭先で野良猫と50cmぐらいの距離で睨み合いになって、逆毛を立てられてすごすごと退散していた。妙にケチ臭くて、誰が横取りするわけでもないのに餌を土に隠していた。なのに、どこに隠したか忘れて、庭中を掘り返し、「犬のくせに、匂いわからんの?」と母に突っ込まれていた。人間と同じものを食べたがり、アイスクリームでおなかを壊した。トトもぬけてたが、牛乳パックに入れたトトのえさを間違って飲んだ父も負けてなかった。トトは家族以外の誰にもなつかず、うちに一か月ホームステイしたブラッド君が唯一の例外だった。家族の誰よりも寒がりで、石油ストーブのまん前に陣取り、白い毛に焦げ目がついてシマシマになっていた。もしも「犬の話を書いてください」という仕事が来たら、トトをモデルにした思いっきり情けない犬を書こうと思う。

2003年03月27日(木)  中国千二百公里的旅 食事編
2002年03月27日(水)  12歳からのペンフレンドと3倍周年


2005年03月26日(土)  映画『いぬのえいが』→舞台『お父さんの恋』

■19日から公開の『いぬのえいが』をシネクイントのモーニングショーで観る。宮崎あおいちゃん出演の最新作。といっても、短編のひとつの主役なので短い間しか観られなかったけれど、一段ときれいになっていた。いぬをめぐる6人の監督のオムニバス作品だが、つながっているものとつながっていないものが混じっていて、不思議な構成。ドッグフードのCMが得意先の意向を聞くうちにどんどんヘンになっていく「CMよ、どこへ行く」というお話は、誇張されているんだけど妙なリアリティがあった。と思ったら、脚本書いている山田慶太さんは電通のクリエイターらしい。2003年のヤングカンヌコンペ日本代表でもある。作品全体からも映画というよりCMっぽい印象を受けた。いぬっていいよキャンペーンのプロモーション映像とも取れる。観ている間、観客はそれぞれが関わったことのある犬のエピソードと作品を重ねていたようで、「ここで泣くの?」というところで号泣している人もいた。わたしは、うちで飼ってたおちゃめな雑種トトのことをひさしぶりに思い出した。
■「渋谷 自然食」で検索して見つけたパルコ近くのBiocafeでヘルシーなお昼を食べ、午後はパルコ劇場でパルコ+サードステージpresents『お父さんの恋 Family Tale』。寝たきりの父(前田吟)をめぐる長女(七瀬なつみ)、次女(菊池麻衣子)、息子(堺雅人)、家政婦(星野真里)、隣人の医者(池田成志)が織り成す家族のおとぎ話。『オードリー』や『新撰組』で気になっていた堺さん、はじめて舞台で観たが、いつまでも聴いていたいほど心地いい声。脚本の中谷まゆみさんは『ウォーターボーイズ』などテレビも書かれているようで、台詞も展開もテンポがいい。演出の板垣恭一さんは『動物園物語』のときにご挨拶した気がする。リアリティの中にあるドラマという感じで、素直に共感でき、楽しめた。

2003年03月26日(水)  中国千二百公里的旅 移動編
2002年03月26日(火)  短編『はじめての白さ』(前田哲クラス)


2005年03月25日(金)  傑作ドイツ映画『グッバイ・レーニン!』

リクエストしたレンタルDVDを自宅に届けてくれるTSUTAYA DISCASの第2便で『天国の日々』と『グッバイ・レーニン!』が届き、『グッバイ・レーニン!』を先に見る。同級生、同僚、家族、映画関係者などあちこちから「面白い!」の声が聞こえてきて、とても気になっていた作品。しかも、東西ドイツ統一の頃のことを描いているというので個人的な興味もあった。統一前の東ドイツに行ったときに意気投合したペンフレンドのアンネットとは統一をはさんで文通を続けていたので、「東から見た西」には親しみを覚えていたりする。東ドイツに行ったのは二十年も前のことだったけれど、はじめての海外旅行だったので何もかもが強烈に印象に残っていて、映画を観ていると「こんな感じだったなあ」と懐かしさが押し寄せた。

この作品は、東西ドイツ統一を極めて日常的な視点からとらえているところが面白い。瓶詰め食品、普段着、壁紙……毎日使うものが微妙にして決定的に違う。選択肢は少ないよりも多いほうがいいし、質は悪いよりも良いほうがいい。なのに、昔の時代に逆行せざるを得ない状況を作ってしまった設定がうまい。さらに、逆行すると見せかけて新たな歴史を作る展開へ持って行き、ある種のおとぎ話に仕立ててしまったところがお見事。台詞も映像も遊びごころいっぱいで、感心することしきり。

2002年03月25日(月)  脚本はどこへ行った?


2005年03月23日(水)  高校生がつくるフリーペーパーanmitsu

■高校生がつくるフリーペーパーanmitsuのvol.4が届いた。anmitsuを知ったのはブレーン・ストーミング・ティーンが出た頃だったと記憶しているが、あちこちの新聞で紹介記事を見かけた。その頃にvol.1が出たのだろう。ティーンによるティーンのための紙面作りというところに、ブレストの世界に通じるものを感じたのだが、同じように目をつけた人たちが「こんな活動をしている高校生がいますよ」と知らせてくれた。本を贈らせてもらったところ感想文が届き、お正月に「編集部で回し読みしています」のお便りとともにvol.3が送られて、はじめて実物を見た。わたしが想像していた高校生の手作り感をいい意味で裏切る、とてもセンスのいい出来栄え。企画や取材や資金繰りは高校生の手によるが、デザインだけはプロのデザイナーに依頼しているとのこと。そして、わたしをうならせたのが文章力。ちょっとしたコメントに書き手の視点が見えて、プロのコピーライターも真っ青。企業の宣伝担当者様、高校生向けのアドバトリアルなんて、この人たちに作らせたら、共感を呼ぶんじゃないでしょうか。vol.4の特集は「ただのノートじゃつまらない」。あんみつシネマは「インドネシアの俳優、ニコラス・サプトラ単独インタビュー」。あんみつ調査隊は「プリン」を食べ比べ、新連載「味のある高校生になりたい!」では卓球会館を訪ねる。モデル・東野翠れんさんのコラムあり、海外高校生事情あり、A3サイズを8つ折りにした表裏16ページは読みごたえたっぷり。フリーといえどもただものじゃありません。

2004年03月23日(火)  ENBUゼミ短編映画『オセロ』
2002年03月23日(土)  インド映画『ミモラ』


2005年03月21日(月)  弘前劇場+ROGO『FRAGMENT F.+2』

STRAYDOGにいた古川康大君から「どうしても観ていただきたい舞台があるんです」と熱い招待を受け、新宿pamplemousseへ。タイトルは『FRAGMENT F.+2』。弘前劇場主宰の長谷川孝治さんが書き、94年初演の『破片』を改訂し、97年に完成した『FRAGMENT』。その脚本を読んで雷に打たれた古川君が仲間の鈴木真君とともに弘前に乗り込み、「これをやらせてくれ」と訴え、弘前劇場+ROGO(古川康大・鈴木真)という形での上演が決まったとのこと。その経緯も熱いが、内容も熱い。舞台は海に近い灼熱のガソリンスタンド。劇中で瓶のコーラを飲み干すシーンが出てくるが、演技ではなく本気でカーッと飲む。渇いている。途中に男女一人ずつが絡んでくるものの基本的には二人芝居で、ガソリンスタンドで働く先輩と後輩の男二人が殴りあうように台詞を吐きあう。言葉の力と役者の力がぶつかり、火花を散らすようなパワーが生まれる。最後まで目が離せなかった。

いつもお芝居を見に行って思うのは、東京には(そして日本中には)なんてたくさんの役者がいて、それぞれに演技を磨き、しのぎを削っているのだろうということ。脚本家もライバルだらけだけれど、役者の層はもっと厚く、熾烈な戦いが繰り広げられている。小さな劇場で熱い舞台を観たときほど、そんなことを思ってしまう。先日、大蔵省君と二人芝居『動物園物語』(2004年2月7日)を演じたサードステージ!の瀬川亮君が今度のNHK連続テレビ小説『ファイト』で、ヒロインが心ひかれていく厩務員役を射止めたと知った。「群馬のキャベツ畑で1年、新潟のスキー場で半年」など住み込みで働き、「玉掛け」「フォークリフト」などの資格・免許を取得しつつ打ち込めるものを探してきたときに第三舞台の公演を観て衝撃を受け、門を叩いたのだとか。演技の世界で生きていたい、自分が何者であるかを見極めたいという熱を迸らせていた今日の出演者も、その手でチャンスをつかみ取って欲しい。

2004年03月21日(日)  アドフェスト4日目
2002年03月21日(木)  「かわいい魔法」をかけられた映画


2005年03月18日(金)  あなたのペンが「愛・地球博」にそびえます。

こないだ『パッチギ!』を観に行って、サトちゃんユキちゃん夫妻のことを思い出した。井筒監督の前作『ゲロッパ!』公開のときに「誰か一緒に行く人いないかなあ」と言ったら「うちのサトちゃんが行きたがってる」と関西人の旦那さんを快く貸し出してくれたのがユキちゃん。話題豊富でいつ会っても楽しい二人だが、サトちゃんの転勤で現在はNYに住んでいる。でも、魅力的な人たちはどこに行っても魅力的な人間関係を築くようで、夫妻がNYで知り合ったという台湾人画家Lin Shih-Pao (林世宝 リン・シィパオ)さんは、話を聞いただけでも「わ、会ってみたい」な人。

1997年にペニー(1セント硬貨)100万枚を集めて、重さ3トンの平和の像を製作。ニューヨークにある国連本部がロビーに展示したいと申し出たものの、作者リンさんの国籍が台湾だったため、常任理事国の中国の反対に遭い、広島大学に創立50周年記念として寄贈された。この像のことは新聞で記事を読んだ記憶があるが、「浮浪者からペニーを寄付してもらったり、寄付してくれる人に郵送代を使わせるのが申し訳ないからって地下鉄で出向いて(当時は1ドル50セントくらい?)取りに行ったりして、時には寄付金より交通費のほうが高かったなんてこともあったみたい。でも、リンさんいわく、そうやって芸術家の”僕”と寄付してくれる”人”が直接交わること自体が、すでにアートの一部なんだって」とユキちゃんが紹介してくれたエピソードに人柄を感じる。

今度の愛知万博「愛・地球博」では、ペンで形造った平和の門を展示することが決定。「ペンは剣より強し」ということらしい。材料となる使用済みペンは一般の人からの寄付を募っているが、「6月までに20万本」の目標にまだまだ満たない(17日現在9万本)。というわけで、サトちゃんユキちゃんファンの一人として、友人リンさんの活動を日本から応援させてもらうことに。勝手につけたキャッチコピーは「あなたのペンが『愛・地球博』にそびえます」。門はリンさんが4月下旬に来日して5月から8月にかけて製作、9月1日〜25日にわたって瀬戸会場内の海上広場にて展示される予定。家に眠っている筆記用具を門の一員に参加させてみようという方、リンさんの活動をもっと知りたい方、www.linshihpao.comへどうぞ。サトちゃんが友情で作ったバイリンガルサイト、よくできていて一見の価値あり。メディアの取材も歓迎しますとのこと。リンさんご本人は、とても純朴で愛せるキャラの人だそう。

2004年03月18日(木)  アドフェスト1日目
2002年03月18日(月)  『風の絨毯』高山ロケ3日目 高山観光


2005年03月16日(水)  春はお茶が飲みたくなる季節

お茶することが何より好きなので一年を問わずお茶が飲みたい季節ではあるのだが、新茶の案内が出回る春は、新しいお茶を試してみたい気持ちに駆られる。レピシエが展開する日本・台湾・中国茶専門店緑碧茶園のお店に行ってみると、春をテーマにした桜や梅のお茶が登場。ネーミングに一目惚れして『春ぽろぽろ』を買ってみる。「グリーンルイボスと日本の緑茶をベースに、フレッシュなラズベリーで香りづけし、紅巧梅の花弁をブレンド」という味は、飲み口すっきり。花粉症対策にレモングラス入り甜茶も。

新茶といえば友人のイラストレーター・ミヤケマイから「セブンイレブンで新茶を予約したら私の湯呑みもらえるよー」と案内が来た。ついに全国キャンペーンのノベルティを手がけることになったか、と嬉しくなって早速予約。頭に湯飲みをのっけたダルマや漢字であしらった「七」と「十一」など、ミヤケマイらしい遊び心が楽しめる『開運湯呑み』は商品と一緒に引渡し。キャンペーンは4/13まで。ミヤケマイの勢いはまだまだ止まりそうにないので、この湯呑みは手に入れておくべし。

お茶の話題をもうひとつ。先月、元同僚(大先輩)で現在はフリーの漫画家、イラストレーター、CMプランナーをされているあしはらたいじさんと飲む機会があり、出身地の熊本日日新聞に連載中という四コマ漫画+コラム『お茶にしましょ』を見せていただいた。落ちがあるようなないような、ほのぼの、まったり系。お茶をするというのは力を抜くということ。

2003年03月16日(日)  Q.生まれ変わったら何になりたい?
2002年03月16日(土)  『風の絨毯』高山ロケ1日目


2005年03月15日(火)  チラシ大好き

■お芝居を観に行って楽しみなのは、折込のチラシ。仕事柄自分がチラシを作る側でもあったりするのでデザインやコピーへの興味はもちろんあるけど、単純に読み物として面白い。裏表で完結するショートショートを読む感覚。わたしは全部目を通して、「あの役者さん、これにも出てる」と発見したり、知り合いの次回作を見つけたりして楽しんでいる。次に観に行くお芝居もチラシで選ぶ。金曜日に行った『絶対王様』の公演は、いつにも増してチラシが多く、厚みにして1センチ以上あった。中身を見てその理由を知る。「絶対王様 笹木彰人より皆様へ」の活字ではじまる手書きのペラによると、「小劇場は宣伝のツールとして『折りこみ』が大きなウェイトを占め」ているがゆえに、希望する劇団さんのチラシをできるだけ断らないようにしてきた結果なのだそう。趣味が合わないチラシはければ席に残してもらえれば絶対王様が処分するが、気に入ったチラシは持ち帰って劇場に足を運んでほしい、と扱い方まで丁寧に書いてあり、「東京には面白くない劇団は星の数ほどありますが、おもしろい劇団もたくさんあります。このたくさんのチラシから新しい出会いが生まれる事を切に希望致します」と結んである。このお断りチラシが今回の一番のヒットだった。■映画のチラシももちろん好きで、中学生の頃は洋画のチラシやパンフやポスターのポストカードを集めていた。ストーリーを一枚で表現するキービジュアルを眺めているのが好きだったし、そこに入っている気のきいたキャッチコピーにも惹かれた。わたしが絵を描いたり広告会社に入ったり脚本を書いたりするようになったはじまりは、チラシだったのかもしれない。

2002年03月15日(金)  月刊公募ガイド


2005年03月13日(日)  宮崎美保子さんの四角い指輪

■猫又短歌の会で知り合った憧れの女性、宮崎美保子さんはジュエリーデザイナーで、T's Collectionというご自身のブランドを展開されている。年に数回自宅で開いているという展示会の案内が届いたので、昨年末の猫又祭の会場にもなった素敵なおうちと美保子さん本人を紹介したくて、ダンナを連れてお邪魔した。ワインとお菓子をいただきながら、アンティークボタンで作った指輪やハートのピアスなどを見せていただく。真っ赤なハートのクッションを見て、「ハート好きなんですよ」と言うと、「あら、わたしもよ」とガラスケースに納めたご自身用のハートコレクションを見せてくれた。美保子さんの指輪は指まわりが「輪」ではなく「スクエア」なのが特長で、指輪ならぬ指角? でも、はめてみると、指にしっくり。一目惚れしたキラキラアメジストの指輪をホワイトデーにかこつけてダンナに買わせる。誕生石だし、ちょうどいい。婚約指輪も結婚指輪もないんですよ、と言うと、美保子さんは「まあ、じゃあ、これからますますいいことがありますように」。こんな風に年を重ねたいというお手本のような美保子さんの作品ということが、わたしにとっては何より価値あること。

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