2005年02月17日(木)  魔女田さんの新作『平成職人の挑戦』

風の絨毯』プロデューサーの益田祐美子さんが「金太さんの祭屋台のドキュメンタリー作ろうと思うのよ。語りは三國(連太郎)さんにお願いしちゃお」と話すのを聞いたのは、いつだったか。「文化庁の助成金に申請したら取れちゃったわ。風じゅうのときもらえなかったけど、こっちでもらえてラッキー」と無邪気に言ってたかと思うと、「あれがね、文部科学省特選になっちゃった」と言ってのけ、あいかわらず魔女ぶりを発揮している。

その作品とは、ドキュメンタリー映画『平成職人の挑戦』。昨年11月の完成披露試写会を逃してしまったのだが、今夜ユニ通信主催の上映にお邪魔させてもらい、観ることができた。「お金と人を集めた益田です」の挨拶に続いて、67分の上映。『風の絨毯』の資料として祭屋台作りの記録ビデオを観たときの衝撃が蘇った。寿司屋のカウンターでも板前さんの動きから目が離せないわたしは、腕に誇りを持って仕事に打ち込む人を見ると惚れ惚れしてしまう。

職人たちが口にする言葉が、とてもいい。生き方を映しているような、脚本家が頭をいくらひねっても書けない、いい台詞を言う。「誰にもわからない道楽を2つ仕掛けておきました」と茶目っけたっぷりに話す鉄金具の職人、新名隆太郎さんは実にいい顔をしていた。工匠の八野明さんの背中を見て「親父がかっこいいと思った」と息子が弟子入りする場面では、涙がじわり。職人たちのこだわりと心意気に、「自分はどれだけ仕事にプライドを持っているだろうか」と問い返してしまう。三國連太郎さんは「役者もまた職人でなくては」とはじめてのナレーションに挑戦したとか。

15年にわたる様式バラバラの映像記録を紡ぎ直した乾弘明監督もまた職人。素材と素材を縫い合わせるように一本の流れに仕立てたナレーション原稿は、監督と長年お仕事されている釜沢安季子さんによるもの。丁寧に言葉を選んだ美しい日本語に感心した。東京では5月6日(金)19時・7日(土)と8日(日)の13時、新宿紀伊国屋ホール(TEL:03-3354-0141)にて上映。劇中に五重塔建立シーンで登場する世田谷の伝乗寺では、5月28日(土)午後、完成した塔を見ながらの上映を予定。

上映後は益田さんと監督への質疑応答タイム。20名を越える参加者の皆さんはほとんどが映画・映像関係者だとかで、かなり専門的な質問や指摘が飛び交うのだが、益田さんの回答はいつもの通り宇宙の彼方へ飛んだり戻ってきたり。「こんな素人全開のプロデューサーが作品を成立させたのか」という驚きが会場を包んだ。「今の、答えになってないよ」と突っ込む監督は、魔女田ペースにも慣れたもので、「名刺渡さないほうがいいですよ。大変なことに巻き込まれますから」と言って笑いを誘っていた。その益田さん、中田金太さんの半生を綴ったノンフィクションを執筆中。『平成職人の挑戦』東京公開にあわせてK.K.ロングセラーズより刊行予定。わたしは監修として参加。鉛筆一本買うために一日中鉄くず拾いをした貧しい少年時代に生きる知恵と力を身につけ、大金持ちとなった今は文化を遺すために数十億の私財を投じる。そんな金太さんの「お金も幸せも上手に太らせる生き方」が詰まった一冊、どうぞお楽しみに。

2004年02月17日(火)  オーマイフィッシュ!


2005年02月16日(水)  不思議なピンクの水、「ナーガ」水。

■『夢追いかけて』に続いて『不良少年の夢』を完成させた花堂純次監督から声をかけていただき、次回作に向けて打ち合わせを重ねている。一昨年の9月にはじめて会って以来、今年1月下旬に再会するまではメールだけのやりとりだったのが、このところは週1ペースで会っている。この人のネットワークは面白くて、『夢追いかけて』を応援する夢追人はもちろん、日本全国にユニークな知り合いがいて、会うたびに「こんな人がいましてね」と面白い話を聞ける。■今夜はプロデューサーたちもまじえた会食の席で「見せたいものがあるんですよ」と取り出したのが、ピンクの水。よく見ると「おーいお茶」のセロファンを脱がせたミニペットボトルに入っているのだが、「ちょっと昔、どん底の科学者に会いましてね。すごい技術を持ちながら無一文になっていたんです。そいつが作ったすごい水です。発光ダイオードなんてもんじゃない。世界観が覆る水です」と真顔で語る監督。「ひょっとして、祈り系ですか?」とプロデューサー氏。「いえいえ、まったく違います。まあ飲んでみてください。明日、体が変わりますから」とすすめられ、紹興酒用の小さなおちょこに一人一杯つぐと、250mlのボトルは空になった。■監督いわく、この水は「オゾンを特殊な工法(特許取得済み)でナノ(10億分の1)メートル単位のバブル(気泡)として海水を含む井戸水に封じ込めたもの」で、「ナノバブル水」とも呼ばれているが、仲間内での呼び名は「ナーガ」水。ナーガは龍の神だそうで、命名者は監督。今年中には「ナーガインターナショナル」という会社もスタートするとのこと。味はほんのり塩味だがまろやか。光に弱く、数分経つとピンク色は茶色く濁ってくる。紫外線に当たると効果がなくなるらしい。元々は産業廃棄物の分解と完全無害化の技術だったが、この水に淡水魚と海水魚、あるいは深海魚さえ同居できることが判明。さらに飲用に応用実験したところ、病気や傷が劇的に回復することが分かった。ノロウイルスも鳥インフルエンザも簡単に撲滅、癌が小さくなったり消えたり……とにわかには信じがたい話が続く。「最新の研究によると、どうやら体の中のスイッチを切り替える力があるようです」と監督。淡水への適応や免疫抵抗など、進化の過程で必要なしとして遺伝子や脳の中に封じ込まれた能力をONにする。つまり、眠っている機能を目覚めさせる水というわけ。これが本当だとしたら、これまでの医学や生物学の常識や理論がことごとくひっくり返ってしまう。■淡水魚と海水魚を同じ水槽に入れる瞬間に立ち会ったことのある監督は、「天動説と地動説が逆転した」ような衝撃を受けたとか。「いったん死んだように見えた魚が勢いよく泳ぎだして、あ、スイッチが入ったってわかるんですよ」。淡水魚と海水魚が同居する水槽を見るだけでも世界観が変わりそう。その水槽、今度の愛知万博(日本国際博覧会)で公開され、日本の誇る最高のナノテクノロジーとして紹介されるという。理解者や支援者に支えられながら不遇の時代を乗り越えてきた研究者(千葉金夫氏)に、ようやく光が射してきたよう。ピンクの水は、長い冬の後に訪れた遅い春の色にも見える。監督が撮りためている彼のドキュメンタリーには壮絶なエピソードもあり、それも研究成果同様ドラマティックだという。夢を追い続けた科学者と、その彼を追い続けた監督。世の中には熱い人たちがいる。

◆イラストレーター・装丁家のなくいさんよりコメント。

 淡水魚と海水魚が…というところで
 クラクラしました。
 すごい。すごい。
 金魚が初めてクマノミを見るかもね!

「金魚が初めてクマノミを見るかもね!」という視点に、わたしもクラクラ。

2002年02月16日(土)  パコダテ人@スガイシネプレックス


2005年02月14日(月)  5年ぶりにケーキを焼く

■今年のバレンタイデーはひさしぶりにケーキを焼こう、と思い立ったのは、先週会社で席が近所のY君とバナナを分け合いながら「昔よくバナナケーキを作ったんだよね」と話したら、「今度持ってきてくださいよ」と言われたから。かつては週末ごとに焼いては月曜日に会社に持って行って配っていた。それしか作れないのだけど、チョコレート味、ラムレーズン味、バナナ丸ごと一本入りなどバリエーションも生まれ、イマイのバナナケーキはなかなか人気があった。シナリオを書くようになって真っ先に削られたのが、ケーキを焼く時間だった。だから少なくとも5年は部屋にあの甘い香りが立ち込めることはなかった。さて、作ると決めたものの、パソコンに向かって締め切り前の原稿を打っていたら日付が変わりバレンタインデー当日になった。レシピは体で覚えていたので存在しないが、今は忘れてしまっているので勘が頼り。粉とバナナと無塩バターと卵と砂糖と牛乳少しを適当な配分で混ぜて焼くと、懐かしい香りがオーブンからこぼれてきた。今日の午前中に健康診断が入っていたため、無謀にも味見はせずに会社で配る。不思議なことに、受け取るときは大喜びされたのに、食べた後の反応が見事にない。夜中に残業中のデザイナーE君から電話があった。「今食べたよ。ありがとう。歯ごたえがあって、固さがええ感じ」。歯ごたえ? 固さ? パウンドケーキなんだけど……。

2002年02月14日(木)  ゆうばり映画祭2日目


2005年02月12日(土)  浸った者勝ち映画『ネバーランド』

■私的ランキングで気になる映画第一位の『きみに読む物語』目当てに日比谷へ。丸の内プラぜールに着くと「立ち見です」と言われ、第三位の『ネバーランド』目指して日比谷映画へ移動。新聞の劇評を読んで直球ファンタジーの予感を抱いていたが、期待通りに見たいものを見られた。現実と空想を行き来する映像、ジョニー・デップ演じる作家ジェームズ・バリと少年たちとの芝居ごっこ。妻のある作家と美しい未亡人のいる少年一家との浮世離れした関係。夢の国ネバーランドへ連れて行く約束。全編がおとぎ話の要素に満ちているが、そんな中に織り込まれている作家の「書く苦悩と孤独」にはリアリティを感じた。「夢の力を信じた作家が、忘れられない出会いを通して名作を書き上げた」ストーリーに素直に共感して、ラストはボロボロ泣いてしまったが、隣で見ていたダンナはすっかりしらけきった顔。なぜ作家は少年一家と仲良くなったのかが理解できないと言う。未亡人への下心だろうと思って見ていたら何も起こらず、まったくついていけなかったとか。「全然わかんないよ、『ネバーエンド』」とタイトルも言い間違えていたが、彼にとっては落ちのない映画だったよう。ファンタジーは浸った者勝ち。

2004年02月12日(木)  本のお値段
2003年02月12日(水)  ミヤケマイ個展 MAI MIYAKE EXHIBITION2003


2005年02月10日(木)  「香盤表」の由来

■映画やCMの撮影現場で使われる「何時に誰の何のシーンを撮るか」の段取り表は、香る盤の表と書いて「香盤表」という。「こうばんひょう」と耳で聞いても、なかなかこの漢字を想像しづらい。入社して間もないわたしは「降板表」と書いて、「そんなものがあったら問題だ」と先輩に突っ込まれた。時は流れ、職場の新卒デザイナーのクラタ君が「『香盤表』って、なんでこう書くですか?」と師匠デザイナーのアサノさんに投げかけた質問が「今井わかる?」と回ってきて、気になりつつも棚上げにしていた由来を調べることに。「香盤 由来」でネット検索をかけると、諸説出てくる。オランダ語で「表」は「koban」といい、それに当て字をはめた説。これだと「なぜこの漢字?」の答えにはなっていないが、もともと日本にはお香の減り具合で時間を計る「香盤」というものがあるという。昔、吉原ではこの香盤で客の「持ち時間」を計ったとかで、それが由来ではないかという説は、「飲み屋で使えそうっすねー」と男性社員たちに好評。さらに検索結果を見てみると、「昔は香る板、つまりヒノキの板に撮影予定を書いたことから、香盤って呼ばれるようになったんですよ」という珍説を唱えたコラムを発見。よくよく読んでみると、「かつて広告会社でコピーライターをしていた筆者の口から出まかせ」となっているが、著者はなんと、わたしの会社で働いていた先輩の柳沢有紀夫さんだった。顔と名前がなんとなくわかる程度で口をきいたことは恐らくなかったけれど、「こんな経緯でコラムを見つけました」とメールを送ると、返事が来た。「今井さんのこと、なんとなく思い出してきました。グリーンのシャツ着て、オレンジのパンツをはくという、『補色なんのその』っていうファッションをしていた女の子ですね」。その記憶はたぶん間違いない。「外資系広告代理店でのコピーライターに見切りをつけ、家族と自分の幸せのためにオーストラリアに移住(本人談)」した柳沢さんは、海外暮らしに関する著書多数。コラム豪州発ブリス便は、スペースアルクのサイトに連載されていて、現在第274話。コピーライター時代より書いてます?

2002年02月10日(日)  ペンネーム


2005年02月08日(火)  映画『不良少年の夢』試写会

■イイノホールにて、『夢追いかけて』の花堂純次監督の新作『不良少年の夢』の完成披露試写。原作は、私立北星余市高校の義家弘介先生のベストセラー『不良少年の夢』。本を読んでいないので比較しようがないが、舞台挨拶に立った義家氏が「自分は普段映画を観ても終わったなという感じなのに、この作品は泣きました」と話すのを聞いて、事実を忠実に描いた作品という印象を受けた。実在する情熱を映像化するには、それに負けない情熱がスタッフにもキャストにも求められたと思うが、登場人物が発する台詞や空気からは湧き上がるような熱いものを感じ取れた。義家氏は「泣きながら原作を書いた」とも語っていたが、劇中の壮絶なエピソードの数々は、無傷の観客にとっても痛く辛く息苦しかった。義家が教師として母校の教壇に立つラストシーン。「夢は逃げない。自分が夢から逃げているだけだ」という言葉が刺さった。そのことに気づかせてくれる先生に出会える生徒は幸せだ。義家を演じる松山ケンイチさんの目が、きれいなのに強くて、傷つきやすいが根性のある主人公の心情をうまく表現していた。FMシアター『昭和八十年のラヂオ少年』で礼子さん役の二木てるみさんも出演。■花堂監督とは一昨年の9月に渋谷公会堂での『夢追いかけて』上映で初めて会い、先月再会したばかりだが、共通の話題が多く、いつも会っているような錯覚を起こしてしまう。『夢追いかけて』つながりで知り合った人にはその傾向があり、1年5か月ぶりに会った河合純一さんと早稲田大学の竹林さん、今日はじめて会った北海道のたあ坊さん、神奈川のレイさんとも自然に話が弾んだ。たあ坊さんとレイさんは『パコダテ人』のファンだそうで、「好きなシーンいっぱい言えますよお」などと言われて感激。そういえば、『パコダテ人』イベントで何度も顔を合わせるうちに知り合いになった男の子たちにも会場で再会。映画に関わっていると、面白いことが次々起こる。

2004年02月08日(日)  FRIDAYの亀ちゃん
2002年02月08日(金)  フライングワイン


2005年02月02日(水)  しましま映画『レーシング・ストライプス』

■情熱があれば運命は変えられるとか、努力は報われるとか、大事なのは外見よりも中身といったことは、これまでにも数々の映画が語っている。でも、それを「競走馬になりたいシマウマ」でやろう、と思いついた人はエライ。『レーシングストライプス(RACING STRIPES)』の主人公は、雨の中、サーカスの移動車から置き去りにされたシマウマの赤ちゃん。農場主に拾われ、ストライプスと名づけられた彼は走ることが何よりも好きで、農場から見える競馬場で走ることを夢見るようになる。でも、しましまは単なる模様じゃなくて、サラブレッドとは血筋が違うってことを知って落ち込んだり、サラブレッド集団から横槍が入ったり。夢をあきらめかけたストライプスを奮い立たせるのが、農場のおちゃめな仲間たち。シマウマである自分を受け入れ、シマウマとしてレースに出ることを決意したストライプスが力強くひた走るレースシーンに涙、涙。「なりたいキミになればいい!」というメッセージが、彼の走りっぷりのようにまっすぐ届いて、自分も好きな道をまっすぐ走っていこうという気持ちになれた。ラッパーのウシアブ兄弟バズ&スカズが黒と白のしましまの上を行き来しながら歌う"EBONY&IVORY"(ポール・マッカートニーとスティービー・ワンダーの名曲)も最高。"Ebony and Ivory / Live together in perfect harmony / Side by side on my piano keyboard / Oh Lord, why don't we ?" という歌詞から、サラブレッドとシマウマも仲良く……と想像してしまったが、それも計算のうちだとしたら天才。原作・脚本のデビッド・シュミットは75〜82年までプロ野球で活躍した後、キャビネット取り付け業や配送業を経て脚本を書き始めたとのこと。2005.3.12公開。

2003年02月02日(日)  十文字西中学校映画祭
2002年02月02日(土)  歩くとわかること


2005年01月31日(月)  婦人公論『あなたに親友はいますか』

昨日の朝日新聞の読書ページ、「亀和田武さんのマガジンウォッチ」というコラムで、「婦人公論」(中央公論新社)2月7日号を取り上げていた。特集タイトル<35歳からの友達づきあい>の中で亀和田氏がもっとも興味深く読めたのは「あなたに親友と呼べる人はいますか?」という読者120人アンケートの結果だという。《【親友と思う人は何人?】には、「1人」から「3人」と答えた人が7割を占めた。ただ「線引きを変えると、親友は0人かもしれないし、100人かもしれない」というように、まず親友の定義がむずかしい》というくだりを読んで、聞き覚えがあると思ったら、自分の書いた回答が引用されていた。わたしもアンケートに答えた一人だったのである。

親友にまつわる突っ込んだ設問が20問ほど用意されていたのだが、一問一問考えさせられるので、答えるのにけっこう時間がかかった。で、いちばん悩んだのが、【親友と思う人は何人?】。わたしの交際範囲は広く浅く型なので、友達と呼べる人は多いのだが、親友と呼べるのはそのうち何人かと考えたときに、「どこで線を引くのだろう」と困ってしまった。

アメリカに留学したとき、日本語の親友にあたる言葉を英語で探したら、"best friend"だと言われたが、"one of best friends"という表現があるように、bestと言いつつ一人とは限らない。時は流れ、社会人になって、"soul mate"という言葉を知った。生まれ変わってもめぐりあうような魂の友。こうして考えると、best friendはたくさんいるけど、soul mateとなると難しい。学生時代からの十数年を振り返っても、いちばん仲のいい相手は、その時々で変わっていたりする。「一生もの」という絞込みをかけ、結局、「1人」と答えた上で、「線引きを〜」の断り書きを添えた。

一人問答の過程で、自分にとっての「いい友達」の定義がいくつか見えた。その人のためにお金と時間を使うことが気持ちいいこと(食べものの趣味が合うことも大事な要素)。その人と会って別れた後に、また会いたい気持ちになっていること。そういう人たちには、100人はいかないけれど、恵まれている。わたしの片想いでなければ。

2003年01月31日(金)  トップのシャツ着て職場の洗濯
2002年01月31日(木)  2002年1月のおきらくレシピ


2005年01月28日(金)  G-upプロデュース公演『ブレインズ』

■知り合いの川上徹也さんが戯曲を書いたG-up(代表者:赤沼かがみさん)プロデュース公演『ブレインズ』を観る。売れない脚本家・大山田鉄男(遠山俊也)のもとに超特急の仕事が舞い込み、彼の脳内に生息するキャラたちが喧々諤々のアイデア出し(これぞまさにブレーン・ストーミング)。果たして鉄男の書きたいものは見つかるのか、締め切りに間に合うのか、という史上初(かも)脳内シチュエーション・コメディ。キャラづけ命のような内容なので、役者さんも個性派ぞろい。プライド(桂憲一:花組芝居)、モラル(宮下今日子:サードステージ)、インテリジェンス(前田剛:BQMAP)、バランス(ムロツヨシ:紳士スラックス)の【左脳系】、エモーション(木村靖司:ラッパ屋)、デザイア(福田転球:転球劇場)、コンプレックス(高倉良文:ネコ脱出)、プチデビル(武内由紀子:吉本興業)ルーズ(櫻井智也:MCR)の【右脳系】、中盤で正体が明かされる【不明系】のトラウマ(杉浦理史bird's-eye view)。それぞれ濃いけど、全員そろうと濃縮ソース状態。怪しいエモちゃんを演じた木村さんは、『バット男』(2004年10月22日)の上司役で光ってた人。大阪弁こてこてキャラの福田さん、長台詞ペラペラで本当に頭よさげな前田さん、キュートな武内さんも印象に残る。「劇団←女主人から最も離れて座る」公演『Kyo-iku?』(2004年7月22日)で「すごいキャラだ!」と驚いた杉浦さんは、水槽のような檻(?)の中で漫画読んだりバナナ食べたり。演技というより生態。別名ピエール。サイト『ピエール風呂』も不思議な世界。達者なムロさんはどんな役にも染まって、こういう人いるよなーと思わせる。MOTHER時代から観ている高倉さん、途中まで彼だとわからなかったほど、劣等感男になりきっていた。■脚本家が書いた脚本家の話なだけに、「時間ないのは本命が降りたから」なんて自虐的エピソードはリアル。「一人ぼっちでも書かなくちゃいけない」という言葉がしみる。鉄男の書きたいものが定まり、脳内キャラが団結したときに現れるミューズ、プロデューサーの南青山さゆり、鉄男の妻・美代子、ラストのどんでん返しに登場する女性脚本家は、同一キャスト(藤田記子:カムカムミニキーナ)。川上さんがそれを狙ったかどうかわからないが、「自分の信じているものが真実とは限らない。所詮、脳が信じ込んでいる幻だから」と示唆しているように感じた。■観劇の友は、女優の鈴木薫。アフターシアターは、ぐるなびで目星をつけたタイ東北料理の『カオタイイサーン 一ツ木店』。定番とはひと味違うメニュー充実で、店員さんも感じ良し。シアターV赤阪へ行ったときは、また寄ります。

2004年01月28日(水)  舞台『クレオパトラの鼻』(作・演出:上杉祥三)
2002年01月28日(月)  心意気


2005年01月27日(木)  石井万寿美さんとお茶

ドラマ『彼女たちの獣医学入門』のロケ地になった酪農学園大学出身の獣医師の石井万寿美が上京されたので、一時間ほどお茶をする。大阪で『まねき猫ホスピタル』という名前の動物病院を運営する傍ら、執筆活動や講演を精力的にこなす石井さん。去年立て続けに出版した著書『動物の患者さん―まねき猫ホスピタルの診療日記』『ペットロスの処方箋』と「今井さんがブログに書いてたから」と神戸のケーニヒスクローネのお菓子をお土産に持ってきてくれた。

年は石井さんのほうがちょっと上だけど、意外なところで話が妙に合って面白い。今日は「若いモンは気合が足りん!」と意気投合。わたしも体育会の血のせいか、たいていのことは気合で何とかなると体で覚えてしまっているし、すぐに諦めてしまう人を見ると「もったいない」と思ってしまうのだけど、石井さんが出産の二日前まで働いていたと聞いてびっくり。

意外なところでは、数学者の藤原正彦さんの話で盛り上がった。「今井さんはどうやって英語を勉強したんですか」と聞かれて、「言いたいことがあれば、手段である語学は自然についてくる」という話をして、「そういえば、『国家の品格』という本に面白いことを書いていました。英語ができるけど中身のない日本人が海外でぺらぺらしゃべるおかげで、日本人が薄っぺらく思われるのは困る。中身のないやつは海外で黙っててほしいって」と続けたら、「藤原正彦さん! あの人の話はわかりやすくて、いいですね。わたし、藤原さんの書いた記事を読んで、新聞社に投稿したばかりです」と石井さん。さらにはわたしが大好きな『博士の愛した数式』(小川洋子)にインスピレーションを与えた数学者というのが藤原さんで、小川洋子さんとの共著で『世にも美しい数学入門』という本も出されていると聞き、「つながりますねー」と興奮。

2004年01月27日(火)  映画『問題のない私たち』(脚本・監督:森岡利行)
2002年01月27日(日)  詩人

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