2005年02月02日(水)  しましま映画『レーシング・ストライプス』

■情熱があれば運命は変えられるとか、努力は報われるとか、大事なのは外見よりも中身といったことは、これまでにも数々の映画が語っている。でも、それを「競走馬になりたいシマウマ」でやろう、と思いついた人はエライ。『レーシングストライプス(RACING STRIPES)』の主人公は、雨の中、サーカスの移動車から置き去りにされたシマウマの赤ちゃん。農場主に拾われ、ストライプスと名づけられた彼は走ることが何よりも好きで、農場から見える競馬場で走ることを夢見るようになる。でも、しましまは単なる模様じゃなくて、サラブレッドとは血筋が違うってことを知って落ち込んだり、サラブレッド集団から横槍が入ったり。夢をあきらめかけたストライプスを奮い立たせるのが、農場のおちゃめな仲間たち。シマウマである自分を受け入れ、シマウマとしてレースに出ることを決意したストライプスが力強くひた走るレースシーンに涙、涙。「なりたいキミになればいい!」というメッセージが、彼の走りっぷりのようにまっすぐ届いて、自分も好きな道をまっすぐ走っていこうという気持ちになれた。ラッパーのウシアブ兄弟バズ&スカズが黒と白のしましまの上を行き来しながら歌う"EBONY&IVORY"(ポール・マッカートニーとスティービー・ワンダーの名曲)も最高。"Ebony and Ivory / Live together in perfect harmony / Side by side on my piano keyboard / Oh Lord, why don't we ?" という歌詞から、サラブレッドとシマウマも仲良く……と想像してしまったが、それも計算のうちだとしたら天才。原作・脚本のデビッド・シュミットは75〜82年までプロ野球で活躍した後、キャビネット取り付け業や配送業を経て脚本を書き始めたとのこと。2005.3.12公開。

2003年02月02日(日)  十文字西中学校映画祭
2002年02月02日(土)  歩くとわかること


2005年01月31日(月)  婦人公論『あなたに親友はいますか』

昨日の朝日新聞の読書ページ、「亀和田武さんのマガジンウォッチ」というコラムで、「婦人公論」(中央公論新社)2月7日号を取り上げていた。特集タイトル<35歳からの友達づきあい>の中で亀和田氏がもっとも興味深く読めたのは「あなたに親友と呼べる人はいますか?」という読者120人アンケートの結果だという。《【親友と思う人は何人?】には、「1人」から「3人」と答えた人が7割を占めた。ただ「線引きを変えると、親友は0人かもしれないし、100人かもしれない」というように、まず親友の定義がむずかしい》というくだりを読んで、聞き覚えがあると思ったら、自分の書いた回答が引用されていた。わたしもアンケートに答えた一人だったのである。

親友にまつわる突っ込んだ設問が20問ほど用意されていたのだが、一問一問考えさせられるので、答えるのにけっこう時間がかかった。で、いちばん悩んだのが、【親友と思う人は何人?】。わたしの交際範囲は広く浅く型なので、友達と呼べる人は多いのだが、親友と呼べるのはそのうち何人かと考えたときに、「どこで線を引くのだろう」と困ってしまった。

アメリカに留学したとき、日本語の親友にあたる言葉を英語で探したら、"best friend"だと言われたが、"one of best friends"という表現があるように、bestと言いつつ一人とは限らない。時は流れ、社会人になって、"soul mate"という言葉を知った。生まれ変わってもめぐりあうような魂の友。こうして考えると、best friendはたくさんいるけど、soul mateとなると難しい。学生時代からの十数年を振り返っても、いちばん仲のいい相手は、その時々で変わっていたりする。「一生もの」という絞込みをかけ、結局、「1人」と答えた上で、「線引きを〜」の断り書きを添えた。

一人問答の過程で、自分にとっての「いい友達」の定義がいくつか見えた。その人のためにお金と時間を使うことが気持ちいいこと(食べものの趣味が合うことも大事な要素)。その人と会って別れた後に、また会いたい気持ちになっていること。そういう人たちには、100人はいかないけれど、恵まれている。わたしの片想いでなければ。

2003年01月31日(金)  トップのシャツ着て職場の洗濯
2002年01月31日(木)  2002年1月のおきらくレシピ


2005年01月28日(金)  G-upプロデュース公演『ブレインズ』

■知り合いの川上徹也さんが戯曲を書いたG-up(代表者:赤沼かがみさん)プロデュース公演『ブレインズ』を観る。売れない脚本家・大山田鉄男(遠山俊也)のもとに超特急の仕事が舞い込み、彼の脳内に生息するキャラたちが喧々諤々のアイデア出し(これぞまさにブレーン・ストーミング)。果たして鉄男の書きたいものは見つかるのか、締め切りに間に合うのか、という史上初(かも)脳内シチュエーション・コメディ。キャラづけ命のような内容なので、役者さんも個性派ぞろい。プライド(桂憲一:花組芝居)、モラル(宮下今日子:サードステージ)、インテリジェンス(前田剛:BQMAP)、バランス(ムロツヨシ:紳士スラックス)の【左脳系】、エモーション(木村靖司:ラッパ屋)、デザイア(福田転球:転球劇場)、コンプレックス(高倉良文:ネコ脱出)、プチデビル(武内由紀子:吉本興業)ルーズ(櫻井智也:MCR)の【右脳系】、中盤で正体が明かされる【不明系】のトラウマ(杉浦理史bird's-eye view)。それぞれ濃いけど、全員そろうと濃縮ソース状態。怪しいエモちゃんを演じた木村さんは、『バット男』(2004年10月22日)の上司役で光ってた人。大阪弁こてこてキャラの福田さん、長台詞ペラペラで本当に頭よさげな前田さん、キュートな武内さんも印象に残る。「劇団←女主人から最も離れて座る」公演『Kyo-iku?』(2004年7月22日)で「すごいキャラだ!」と驚いた杉浦さんは、水槽のような檻(?)の中で漫画読んだりバナナ食べたり。演技というより生態。別名ピエール。サイト『ピエール風呂』も不思議な世界。達者なムロさんはどんな役にも染まって、こういう人いるよなーと思わせる。MOTHER時代から観ている高倉さん、途中まで彼だとわからなかったほど、劣等感男になりきっていた。■脚本家が書いた脚本家の話なだけに、「時間ないのは本命が降りたから」なんて自虐的エピソードはリアル。「一人ぼっちでも書かなくちゃいけない」という言葉がしみる。鉄男の書きたいものが定まり、脳内キャラが団結したときに現れるミューズ、プロデューサーの南青山さゆり、鉄男の妻・美代子、ラストのどんでん返しに登場する女性脚本家は、同一キャスト(藤田記子:カムカムミニキーナ)。川上さんがそれを狙ったかどうかわからないが、「自分の信じているものが真実とは限らない。所詮、脳が信じ込んでいる幻だから」と示唆しているように感じた。■観劇の友は、女優の鈴木薫。アフターシアターは、ぐるなびで目星をつけたタイ東北料理の『カオタイイサーン 一ツ木店』。定番とはひと味違うメニュー充実で、店員さんも感じ良し。シアターV赤阪へ行ったときは、また寄ります。

2004年01月28日(水)  舞台『クレオパトラの鼻』(作・演出:上杉祥三)
2002年01月28日(月)  心意気


2005年01月27日(木)  石井万寿美さんとお茶

ドラマ『彼女たちの獣医学入門』のロケ地になった酪農学園大学出身の獣医師の石井万寿美が上京されたので、一時間ほどお茶をする。大阪で『まねき猫ホスピタル』という名前の動物病院を運営する傍ら、執筆活動や講演を精力的にこなす石井さん。去年立て続けに出版した著書『動物の患者さん―まねき猫ホスピタルの診療日記』『ペットロスの処方箋』と「今井さんがブログに書いてたから」と神戸のケーニヒスクローネのお菓子をお土産に持ってきてくれた。

年は石井さんのほうがちょっと上だけど、意外なところで話が妙に合って面白い。今日は「若いモンは気合が足りん!」と意気投合。わたしも体育会の血のせいか、たいていのことは気合で何とかなると体で覚えてしまっているし、すぐに諦めてしまう人を見ると「もったいない」と思ってしまうのだけど、石井さんが出産の二日前まで働いていたと聞いてびっくり。

意外なところでは、数学者の藤原正彦さんの話で盛り上がった。「今井さんはどうやって英語を勉強したんですか」と聞かれて、「言いたいことがあれば、手段である語学は自然についてくる」という話をして、「そういえば、『国家の品格』という本に面白いことを書いていました。英語ができるけど中身のない日本人が海外でぺらぺらしゃべるおかげで、日本人が薄っぺらく思われるのは困る。中身のないやつは海外で黙っててほしいって」と続けたら、「藤原正彦さん! あの人の話はわかりやすくて、いいですね。わたし、藤原さんの書いた記事を読んで、新聞社に投稿したばかりです」と石井さん。さらにはわたしが大好きな『博士の愛した数式』(小川洋子)にインスピレーションを与えた数学者というのが藤原さんで、小川洋子さんとの共著で『世にも美しい数学入門』という本も出されていると聞き、「つながりますねー」と興奮。

2004年01月27日(火)  映画『問題のない私たち』(脚本・監督:森岡利行)
2002年01月27日(日)  詩人


2005年01月23日(日)  中国禅密気功の師曰く

■「今週末、僕は気功に行くから」とダンナは勝手に決めて、一人で行ってしまった。知人からすすめられ、健康不安もあって短期集中講座を受けることにしたらしい。「気」というものには興味津々なわたし、誘ってくれればついて行ったのに。各地の気功教室を訪ね歩いた人が最後にたどり着くというほど評判の中国禅密気功の内容はいかに。2日間の講習を終えたダンナが復習も兼ねて自宅でレクチャーしてくれたが、ポーズでいうと4種類ほどで、型だけならビデオでも十分覚えられそう。でも、大事なのは型よりも「気をコントロールする」という心構えのようで、「背骨の下のほうから熱がらせん状に上がってくるのをイメージしましょう」といった中国人師匠の声に耳を傾けて習得することに意義があるらしい。「背骨を回す」全身ふにゃふにゃ運動は血のめぐりを良くし、内臓の動きも活発にするとかで、例えて「内臓の按摩」。便秘解消も兼ねて、わたしもふにゃふにゃ。■気功の道は奥深く、極めるには根気が要るが、自分の中に「気」というものがあることを意識し、それをコントロールすることで、健康面はもちろん精神面でも強くなれるという。講義の最後に師曰く「どんなときも自分の中に自分を持つことを忘れないで。そうすれば、外で何が起こっていても揺るがない」。いいことを言う。宗教と気功の違いは「幸せになるためではなく、健康のためにやる」ことにあるとか。ちなみにダンナは「あなた、落ち着きないね」と突っ込まれる落ちこぼれ生だったようで、「『気』はよくわからなかった」。部屋を暗くし、先生が右手と左手で気を送りあったところ、白い線のようなものが見えたが、驚くというよりは「あれが気なの?」と半信半疑だったらしい。早速、わが家で電気を消し、右手と左手で気を送ってみる。「なんか、あったかいものを感じる」とわたし。「君は暗示にかかりやすいからね」とダンナ。「ねえねえ、白い線見える?」「いや、見えないけど……っていうか、そんな気軽なものじゃないと思うよ」。「気」は手軽には出てこない。

2004年01月23日(金)  今日はシナリオの日
2002年01月23日(水)  ラッキーピエロ


2005年01月22日(土)  変わらない毎日。変わらない大統領。

■ブロードキャスターをなんとなく聴きながらパソコンを打っていると、面白い台詞が耳に飛び込んできた。「変わらない毎日を男は安定だと思い、女は退屈だと思う」。結婚や同居をしている男女が別れに至るのはなぜか、といった話の流れで、山瀬まみさんが発言。わたしも夫も思わず大きくうなずいた。安定を求める男と変化を求める女。そんな二人が一緒に暮らしていくには、ときどきハプニングはあるけれど穏やかな日々が理想なのだろうか。■ブロードキャスターは情報量が多くて、なかなか面白い。お父さんのためのワイドショー講座でランクインしていた「ブッシュ大統領2期目風刺ビデオ」(番組でのキャッチは「ブッシュアニメ化大統領」)を見たくて「President Bush Animation」で検索。JIBJABのサイトにたどり着くまでに寄り道、回り道。クリエイター魂をくすぐるキャラクターなのか、ブッシュ大統領主演のビデオやアニメは大量生産されている。

2002年01月22日(火)  夢


2005年01月21日(金)  1人1ピッチャー!? 体育会飲み会

■大学時代に入っていた応援団は体育会という組織に入っていて、他の運動部ともコンパや打ち上げや研修(結局どれも飲み会)などの交流があった。その体育会のメンバーが恵比寿で集まるというので、2次会のZESTから参加。1次会は飲み放題コースだったはずだが、テーブルにはビールがピッチャーでどかどか。「わたしはフローズン・マルガリータが飲みたいなあ」と言うと、それもピッチャーでどかどか。オシャレな飲み物にはまったく見えない。さらにワインもどかどか。ワインとマルガリータを混ぜる者あり、持ち込んだワインボトルのコルクをナイフで無理やりこじ開ける者あり。体育会魂、百まで。それでも「昔はもっと飲めたのになあ」と若かりし頃を懐かしむ面々。皆いいおっさんになり、パパになっていたりする。お会計になると、先輩風を吹かせたがる者ぞろいで、一万円札を出して「釣りは、いらん」。幹事の手元は一万円札が扇状態。そのお金で、意識のある人もない人も一風堂へ向かう。みんな、食べたこと覚えてる?

2002年01月21日(月)  祭り


2005年01月16日(日)  サイレント映画『A Clever Dummy』『The Cheat』

■鉄道と映画を愛するご近所仲間のT氏より「日本人初のハリウッド映画スター、早川雪洲が出演する、90年前のフィルムを見ませんか?」のお誘いを受ける。ずいぶん前に「世界ふしぎ発見」で早川雪州を取り上げていたのを観て興味を持っていたこともあり、京橋のフィルムセンターへ。昔のサイレント映画をフィリップ・カーリ氏のピアノ伴奏つきで楽しむ「シネマの冒険 闇と音楽」企画での上映。「日本にも優秀なピアノ伴奏者が居ますが、海外の専門ピアニストを招いて伴奏させて映画を見る機会は滅多にございません。また、フィルムも、NFC所蔵フィルムだけではなく、海外のフィルム・アーカイヴから取り寄せた状態の良いものを使用し、映写速度も公開当時のものに合わせて上映するという贅沢なものです」というT氏の熱い言葉に期待も膨らむ。■雪洲出演作だけかと思ったら、まずは『機械人形(A Clever Dummy)』(27分)を上映。喜劇俳優Ben“やぶにらみ”Turpin(1874−1940)演じる使用人が自分そっくりの機械人形を見つけて巻き起こすドタバタ劇で、ノリはMr.ビーンに近い。パントマイム的な万国共通の笑いがちりばめられているうえ、ところどころに「にせ手紙」などと画面いっぱいに字幕が入るので、台詞がないのにわかりやすい。■引き続き、雪州の出世作『チート(The Cheat)』(59分)の上映。その前に「お断り」が入る。プログラムには「上映プリントは字幕でビルマ人役に修正した再上映版」とあるが、「ジョージ・イーストマンハウスによる新たな復元版を上映」すると言う。1915年上映のオリジナル版に近いものが観られるというわけで、これはうれしい。雪州演じるTori(日本語は「トリ」となっていたが、鳥居の焼印を押していたので、「トリイ」か?)の役どころは「金で心を買おうとする日本人」で、当時の日本では「こんな悪役で出るなんて国辱ものだ!」と大批判を受けたのだとか。作品の中の雪州は、確かに残忍な男を演じているのだが、何とも神秘的で美しくセクシー。彼の屋敷で仕えている下男たちもいい男ぞろい(全員が日本人かどうかは不明だが、出演者の中にジャック・ユタカ・アベ=阿部豊という名前がある)で、当時のアメリカにおける日本男児像はかなりいけてたのではと思う。太平洋戦争がなければ、第二第三の日本人ハリウッドスターが続き、「日本人ってカッコいい」がスタンダードになれたかもしれない。■物語では焼印が重要な役割を担っている。オープニングの人物紹介ではトリイが鳥居の焼印を押す。トリイの部屋を有閑夫人が訪れるシーンでは、焼印を押しながら、トリイが「(焼印は)自分の物という意味です」と語る(台詞は字幕)。慈善活動資金に手をつけてしまった夫人の補填を買って出たトリイは、夫の投資の成功で金が入った途端に態度が変わった夫人の裏切り(cheat)に怒り、夫人の肩に焼印を押す。そして、トリイを撃った夫人をかばった夫が裁判にかけられるのだが、法廷シーンでは夫人が「撃ったのは私です」と告白し、動機となった焼印跡を法廷でさらす。焼印=日本かどうかは疑問だが、トリイが焼印を押す日本間は日本風の家具や装飾品で占められ、障子窓を開けると日本庭園が広がる。トリイを「ビルマ人」に設定し直すのは無理があったのではないだろうか。■ピアノ伴奏のフィリップ・カーリ氏は、大柄でにこやかなおじさん。上映前と後に首をかしげるようにペコっと頭を下げて挨拶する姿が愛らしかった。あまりに内容と演奏がぴったり合っていて、生演奏なのを忘れてしまう。楽譜と画面を両方見ながら合わせているのだろうか。技術力はもちろん弾きっぱなしの集中力と体力も要求されるが、最後までタッチは乱れない。13歳から無声映画の伴奏をしている大ベテランの余裕を感じさせた。■アフターシアターは銀座一丁目の天龍(銀座2−6−1 中央宣興銀座ビル1F 03-3561-3543)へ。名物の餃子はエクレア並みに大きくてジューシー。他のメニューも味、ボリュームともに大満足。お酒も飲んで一人3000円でおつりが来た。

◆この日記を読んだT氏より指摘。
「焼印はもともとアメリカでは自分の牛に押したりするのに使われていた。それを女性の体に押すなどもってのほか。そんな野蛮男を日本人の雪州が演じたということで日本では国辱だと批判が上がった」「雪州がハリウッドでの活路を絶たれたのは戦争のせいというより恐慌の影響が大きい。少ない仕事を奪う勤勉な日本人への風当たりがきつくなり、雪州もいやがらせに遭ったりして日本に引き上げるに至った」とのこと。

2004年01月16日(金)  尽在不言中〜言葉にならない〜
2003年01月16日(木)  ど忘れの言い訳


2005年01月15日(土)  ノンストップ『Mr.インクレディブル』

■ようやく『Mr.インクレディブル』を観る。作品ごとに新境地を拓いているピクサー。苦手だといわれてきた「人間」がついに主人公に。リアル追及ではなく2Dアニメのデフォルメ手法をうまく取り入れることで、生きたキャラクターを創り出すことに成功したのは、さすが。主人公一家のキャラクター設定のデフォルメ具合も、これまたさすが。冒頭から息もつかせぬ展開で、どうなるどうなると観ているうちにラストに突入。起承転結でいうと、起承転転転結と思ったらまた転結といった感じで、絵の動きはもちろんストーリーもスピード感抜群。このスピードに乗って観ていると痛快なのだが、破壊シーンが多すぎて、途中でしんどくなった。戦闘もの、破壊ものは観ていて疲れる。『スチームボーイ』『スパイダーマン2』そしてこの『Mr.インクレディブル』と、人間の作った「黒くて足がいっぱいの機械」が人間に制御できなくなって混乱を招くという図式が流行りなのだろうか。『ハウルの動く城』の城も黒くて足いっぱいだけど、あの城も反乱を起こすのか、観に行かなくては。■クレジットロールがはじまり、ようやく一息と思ったら、タイトルバックのモーショングラフィックがこれまたよくできていて見入ってしまった。『キャッチミー・イフユーキャン』のタイトルロールはCM界ではけっこう話題になったけど、それを彷彿とさせる。『Limony Snicket's...』のクレジットロールも凝っていたし、タイトルやクレジット周りまでエンターテイメントに仕立てるのが流行りだとしたら、うれしい。「(本編よりも)そういう映像に惹かれてDVD買っちゃう人もいるよね」と同僚グラフィックデザイナーの意見。

2004年01月15日(木)  谷川俊太郎さんと賢作さんの「朝のリレー」
2003年01月15日(水)  ひつじの国 ひつじの年
2002年01月15日(火)  ノベライズ


2005年01月10日(月)  オペラシアターこんにゃく座『森は生きている』

三軒茶屋の世田谷パブリックシアターにて、オペラシアターこんにゃく座公演『森は生きている』を鑑賞。イギリス旅行以来、オペラ・ミュージカルづいている。

今日の観劇に至ったきっかけは、半年前の発見。小中学校の同級生で、現在はチェロ奏者として活躍している中田有ちゃんのことをネット検索してみたら、『ぼくたちのオペラハウス』というCDを出していることがわかった。演奏者のところを見ると、中田有と並んで林光という名前がある。もしかして、義父がよく話している「こんにゃく座の林さん」だろうかと思って義父に聞いてみたら、そうだった。宮澤賢治の研究に関わっている義父は、宮澤賢治作品を題材にすることの多いこんにゃく座とは長いおつきあいだが、知り合ってもう三十年近くになるわたしと有ちゃんも負けていない。その有ちゃんがこんにゃく座の公演で演奏すると聞いて、義父とともにかけつけたのだった。

『森は生きている』の原作は『十二月物語』というロシアの児童文学。日本での初演は1954年だが、なんとそのときの作曲が林光さん。以来、半世紀以上も林さんの音楽とともにこの作品は日本で上演され続けている。そういえば、子どもの頃、おやこ劇場の鑑賞会で観たことがあった。そのとき聞いた歌も林さんの作曲だったのだろうか。全体的には聞いたことがあるような、ないような。でも「燃えろ燃えろ」ではじまる歌には確かな聞き覚えがあった。女王様の気まぐれでまつゆき草を探しに行くというストーリーも、観ているうちに思い出してくる。

役者が歌っているというより、歌手が演じている。表現力豊かな歌に引き込まれた。出演者は十二人。十二月の精だけで十二人以上なので一人二役以上を早変わりでこなしている。心優しい村娘が「十二月のみなさん」と言うとき、実際には十一人しかいなかったり、女王が精を兼ねていたりするのだが、それを不自然に感じさせないことに感心。隣の女の子は途中から数え直しては首を傾げていたけれど。面白かったのは、小道具のトランク。早変わりの着替えを入れるスーツケースであり、椅子であり、積み上げて馬車にもなり……と場面に応じて自在に変化。十二月の精たちが手にしたトランクを一斉に開けると、白いまつゆき草の花が咲きこぼれていたのには、思わずため息がこぼれた。

お目当ての有ちゃんのいるオケピには第二部の開幕と閉幕のときに光が当たり、有ちゃんの顔もしっかり見えた。どの音がチェロなのかまでは聞き分けられなかったけれど。楽屋を訪ね、少しだけ世間話。最近はクラシック以外での活躍が増え、Kinki kidsのコンサートでは5万人の歓声のなかで弾いたそう。教え子という小学一年生の男の子がお母さんと一緒に挨拶に来ていた。小学生の頃、有ちゃんが抱えているチェロはとても大きく見えたことを思い出す。

大阪の母に電話し、わたしが以前観た『森は生きている』を演じたのは劇団仲間だったとわかる。同劇団は今も公演を続けているが、作曲はやはり林光さんだった。さらに、小学校教諭をしていた母が参加した研修会でパネラーとして話されたのも林さんだったという。わたしが生まれる前の話。

2004年01月10日(土)  ラブリー「ニモ」!

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