2004年03月31日(水)  岩村匠さんの本『性別不問。』

■先日再会した岩村匠さんの『性別不問。』(成甲書房)を読み終える。会って本を交換したその日に一気に半分まで読んだのだけど、出張やら自分の本の出版やらで中休みしてしまっていた。昨日ひさしぶりに本を開いたら、後半も一気に読破。一言で言うと、予想以上に面白かった。ライターだけあって文章が読みやすいのはもちろんだけど、出てくるたとえがどれも秀逸。「男の心と女の体」を持って生まれてきたことを「女のヌイグルミを着た男」と表現するセンス、コピーライターとしても才能を発揮できるのではないだろうか。職場での男女比を聞かれた上司が「男と女と岩村」と数えた逸話が紹介されているが、「世の中は男と女でできている」と教えられ、そういう価値観でこの年になってしまったわたしには、この本で描かれている「心と体の性の不一致が招く悲喜こもごも」は衝撃的に新鮮だった。履歴書にもコンクール応募にも性別を書かされるのはなぜ、なんて考えたこともなかったし、心の性である男にマルをしたいが、女子大卒という矛盾が生じてしまう苦悩を想像したこともなかった。以前、日系人の友人が「日本人でもアメリカ人でもない中途半端な存在」であることに悩んでいたことを思い出した。日本人かアメリカ人か、男か女か、どちらかに寄せようとすると無理が生じる人たちがいることを普段は忘れてしまっているし、何気ない言葉がそういう人たちを傷つけているのかもしれない。日系人の友人と岩村さんの大きな違いは、「性同一性障害」という単語が市民権を得るまでは、どっちつかずの状態を語る言葉するすら持たなかったこと。同性愛者なのではと悩んだり、ゲイパレードに参加しても違和感を感じたり、葛藤の連続だったようだ。けれど、それを赤裸々に語る口調は、突っ込みと笑い満載で、決してじめじめしない。達者な筆の除湿効果で湿度10%ぐらいのからっとした文体になっているのが気持ちいい。結婚を「人生最大のギャンブル」と断じ、「博打禁止法で禁止されていないのはおかしい」と論じる視点の面白さにも感心。世の中は男と女に二分割できなくて、男でくくられる人も女でくくられる人も人それぞれなように、性同一性障害の人たちも人それぞれなんだってことを教えてくれる『性別不問。』は、一読の価値あり。

2003年03月31日(月)  2003年3月のカフェ日記
2002年03月31日(日)  レーガン大統領と中曽根首相の置き土産
2001年03月31日(土)  2001年3月のおきらくレシピ


2004年03月30日(火)  鴻上尚史さんの舞台『ハルシオンデイズ』

■新宿・紀伊國屋ホールで鴻上尚史さん作・演出の『ハルシオンデイズ』を観る。ネットで知り合った自殺志願の男女の話。同じネタをあたためていたので、ヤラレタ!と思ったけれど、わたしがやろうとしている方向とはまったく違い……というより、わたしなどには到底重いつかない方向に話は転がり、なるほど、こう来るか、こう転がるか、と唸らされた。自殺志願者の一人に妄想壁があり、日本が非常時で自分たちは『人間の盾』だと思い込み、近所の保育園に慰問に行くために『泣いた赤鬼』を練習する展開になるとは。荒唐無稽になりそうなストーリーに笑いと泣きをしっかり入れて、「三日月の残りの月が見えるのは、太陽ではなく地球に照らされている地球照」というロマンティックなエピソードも織り込み、最後まで観客を引きつけてしまうのはお見事。おなじみの昔話、『泣いた赤鬼』はあんな話だったのかと思い出し、「なぜ青鬼は赤鬼に親切にしたのか」をめぐる解釈の数々を興味深く聞く。昔話のキャラクターを掘り下げて見直すのは、シナリオの勉強になりそう。5人の出演者も良かった。とくに紅一点の辺見えみりさん。バラエティの顔しか知らなかったので、いい意味で裏切られた。声に説得力があって、ラジオドラマやCMのナレーションもすごく良さそう。■脚本を書いていると、会いたい人に会えるチャンスは増える。というより、興味のある人には自然とつながるようになっている気がする。鴻上さんは、わたしにとっては、『ドンキホーテのピアス』の人。SPA!に連載中のこのコラムのファンなのだが、今年、縁あって何度かお会いする機会に恵まれた。お話ししていても楽しい人で、わたしのような若輩者の話もニコニコと面白がって聞いてくださる。「コウカミ」と濁らないのが正しいそうだが、ついつい「コウガミさん」と呼んでしまうと、「どっちでもいいですよ」と笑ってくれるおおらかな人柄。オオカミは言えるのに、コウカミはなぜか言いにくい。

2003年03月30日(日)  中国千二百公里的旅 中文編
2002年03月30日(土)  映画『シッピング・ニュース』の中の"boring"


2004年03月23日(火)  ENBUゼミ短編映画『オセロ』

ENBUゼミ俳優コースの前田哲クラス発表作品『オセロ』の脚本を書いた。生徒全員を出演させたいということで「全員が容疑者になる話を」というのが監督からのオーダーだった。容疑者が14名。全員がクロかもしれないし、シロかもしれない。「オセロっていうタイトルはどうですか?」と思いつくと、「それええやん」ということになった。まず、出演者14人が自身のプロフィールにもとづいたキャラクター像を作成。わたしがそれを膨らませ、肉付けし、個々のキャラクターと被害者のホステスとの関係やそれぞれに合った動機と言い逃れを考え、刑事とのやりとりを作っていった。実際には刑事は画面に映らないし、声も出てこないので、容疑者の受け答えだけを編集でつないでいくことになる。

果たしてどんな映像になったのか、今夜、ドロップシネマ・パーティーの上映を観た。冒頭とエンディングに、シロとクロの駒がひっくり返っていくオセロ盤が登場。その正方形の升目の中にクレジットが入る。去年の『隣のモンちゃん』は、血の雨をイメージした縦書きのクレジットだった。容疑者14人の証言が編集で細切れに出てくるので、かなり多い印象。今回は14人しばりだったけれど、最適な人数は半分ぐらいかもしれない。でも、出演者全員に光が当たるので、個々の役者さんの個性はわかりやすく、プロモーションの目的にはかなっているのではと思う。前日に観た同僚は「クロとシロは紙一重ってメッセージは伝わったけど、誰が誰なのか、頭が混乱してしまった」とのこと。彼は「今井さんはいつもカラフルなものを着ているから、自分にないモノクロの話を書きたかったの?」とも言っていた。人の感想は、思いがけないことが聞けて面白い。

2002年03月23日(土)  インド映画『ミモラ』


2004年03月21日(日)  アドフェスト4日目


■観光する時間は取れないままパタヤを後にし、バンコクへ移動。ホテルに着いて、自由行動。同僚4人でホテルから歩いて地元の人が集まる麺屋『ルンルアン(クイテイアオ)』へ。タイ語しか通じない。会話本を指差し、なんとか麺を4つ注文。汁なしポーク麺。砕いたピーナッツとレモン汁をぶっかけてツルツル。これがもう震え上がるほどおいしい。「うんめぇ」を連発し、あっという間にたいらげて「もう一杯行ける!」。次は魚の汁あり麺。これまた魚介のスープが絶妙。大満足して、いざお会計すると、ビール代込みで一人100 バーツ。1バーツ約3円だから約300円。他のお客さんはわんこそば状態で何杯も平らげていた。■宿泊先のインペリアルクイーンズパークホテル最寄のスクムビット線プロムビン駅からBTS(スカイトレイン)に乗って中心街へ。外国で電車に乗るのはいつもドキドキする。お札を小銭に両替して、指定された料金の番号を押すと、パスネットみたいな素材の立派なカードが出てくる。一回こっきりにもったいないなと思ったら、改札で回収されてリサイクル。デパートが建ち並ぶ一角で降りて、マーケットでお土産探し。赤ちゃんのイラストのプリントにピアスがついた黄色いノースリーブ(120バーツ)、女の子のイラストの入った半袖Tシャツ(60バーツ)を自分用に。ここんとこ忙しくて、しばらく買い物していなかった。デパートに入ると、ショッピング熱メラメラ。犬のイラストのピンクの財布に一目惚れ。日本の上品な財布はピンと来るものがなかなか見つからないけど、タイのチープな感じはわたし好み。お値段は250バーツ也。歩き疲れて目に留まった上靴風の赤い靴(刺繍入り)は80バーツ。買い物天国だ。
■夕食は他社の人に「激うま!」とすすめられたホテル近くの小さなレストランへ。出るものすべて感動的なおいしさ。ミンチを包んだタケノコのフリッター、こんなうまいものがあったとは。さつま揚げもココナッツカレーヌードルも辛さと甘さがとけあって最高。今回の旅でいちばんおいしい食事となった。お酒も飲んで一人330バーツ。少し辺りを散歩して、レストランの隣にある足裏マッサージ屋へ。いつの間にか熟睡していた。

2002年03月21日(木)  「かわいい魔法」をかけられた映画


2004年03月20日(土)  アドフェスト3日目

■日本に仕事のメールを送ろうとして、インターネットの遅さに閉口する。会社のメールソフトにアクセスするまでに、なんと40分。アイコンがひとつ出るのに5分かかる。メール1通送るのに1時間もかかり、くじけそうだった。「30分までは1分20バーツ。30分600バーツを越えると24時間使い放題」という価格設定だけど、30分では何もできない。24時間使っても、あまり何もできない。■CM部門の受賞作の発表は今夜なのに、その前に「なぜ、あれにゴールド(金賞)をあげなかったか」と題した審査員座談会。候補に挙がった作品がひとつずつスクリーンに映し出され、審査員たちが「これは好きだったんだけど、過去に似たのあったから」「泣けたけど、お涙頂戴ものっぽいのは好きじゃない」 「映像はよくできているけど長すぎる」と自分が下した評価を発表していく。紙上座談会の形になったものは見たことがあるけど、生の言葉のやりとりは、審査会議をのぞき見ているような臨場感があって面白かった。
■セミナー会場のホールは1時間で巨大披露宴のようなパーティー会場に早変わり。コース料理を楽しみながら、CM部門受賞作の発表を見る。日本からはサントリーの燃焼系アミノ式やライオンの企業広告などが入賞。アミノ式は歌を英語に吹き替えていて、「こんな運動し〜なくても〜」が「without the need of doing su〜ch an exerci〜se」(たぶん)とうまい訳になっていた。監督賞、編集賞も日本の作品が受賞。■パーティーの後、会場出口に立っていたら、カンヌで知り合ったT君がひさしぶりーと声をかけてきて、一緒に繰り出すことに。PVの演出もやっていて、「宮崎あおいちゃんが出たリップスライムのPV撮った」と言うので、「わたしはあおいちゃんが出た映画の脚本書いたんだよ」。6年も会わないといろんなことが起こる。飲んでいると、国際電話が入る携帯を持っている一人のもとに、いかりや長介さん死去のニュースが入り、騒然。みんなファンだった。

2002年03月20日(水)  はなおとめの会


2004年03月19日(金)  アドフェスト2日目

■アドフェストはカンヌ広告祭のアジア版と思っていたけれど、カンヌよりはエントリー作品数がずっと少なく、こじんまりした感じ。カンヌではCM部門は「飲料」「ファッション」「コスメ」「公共広告」といったカテゴリーごとに別々のホールで上映されるけれど、アドフェストでは移動しなくても全カテゴリーを見られる。並行してセミナーのようなものが開催される。カンヌでもセミナーはあったけれど、エントリー作品を見るので精一杯だったし、人気のあるセミナーは人があふれて入れなかった。時間にもホールにも余裕があるアドフェストでは、セミナーにせっせと出ることに。■午前はガン・レポートのプレゼンテーション。世界の広告の動向をまとめたガン・レポートなるものを毎年発行しているガン氏による最新の広告業界トレンド報告。どこの国のどの会社がいちばん賞を取っていて勢いがあるかといった話が中心で、そこにはあまり惹かれなかったけれど、「世界のトップクリエイター50人に聞いた『いい広告を作るのに必要なもの』」の報告に、やられた。1位「Passion」2位「Hard work」3位「Fun」。今最も脂の乗っているクリエイターたちの作るものは様々だけど、根っこにあるのは「情熱を持ってベストを尽くすために頑張って、そのことを楽しむこと」。「どんな理由で何度ボツを食らってもめげちゃいけない」「面白いことしたくてウズウズしていないと(hungry creators, thirsty clients)」「求めて、愛して、楽しんで、祝福しなきゃ!(We have to want it! love it! enjoy it! celebrate it!)」「好奇心をもって、楽しいことを探して、すてきな人間でいること(Be curious,look for fun stuffs,be nice human beings)」「もっといいアイデアを見つけることをやめちゃいけない(Never stop searching for better idea)」……次々とパワーポイントで映し出された言葉はどれも力強くて、自分の気持ちに重なる部分も多くて、思わずメモを取った。広告を映画や他の仕事に置き換えてもあてはまると思う。「ハンガリーは天気が悪いので、ひたすら働くしかない(Hungry has bad weather, we have nothing but to work)」というユーモラスな答えも。
■バイキングランチでパワーをつけ、午後は世界中でパワフルに活躍している広告会社ネットワーク、TBWAのプレゼンテーション。日本では渋谷でアディダスの空中サッカー(屋外ボードのサッカーグラウンドの上に、命綱をつけたサッカー選手が立ち、サッカーを実演)広告で度肝を抜いてくれたが、各国で話題になるキャンペーンを仕掛けている。たとえば、「スウェーデンでいちばん小さい超無名銀行を有名にするために、大手銀行に一方的にサッカーの試合を申し込み、対戦にこぎつけ、練習風景をCMで流すことで国民の人気を勝ち取った」ケースは、『ブレ・スト』もぶっとぶすごい発想。それを実現させているのだからすごい。広告は表現(デザインやコピー)も大事だけど、その表現をどう展開していくかという「仕掛け」次第でパワーを持つのではと考えるわたしには、とにかく刺激的で面白い内容だった。■夕方に、プリント部門(雑誌、ポスター、屋外ボードなど)の授賞式。同じ人が何度も壇上に上がる。賞は集まるところに集まる。わたしが気に入った作品はことごとく選外。最高賞を取ったのは、迷彩服を着た戦士フィギュアの広告。今の時代にこれが選ばれるとは、と意外な気がしたけれど、「こういう時代だからこそ、じゃないか」という意見もあった。■夜はランチバイキングで同席したプロデューサー氏のお誘いでロブスターを食べに行く。日本にオフィスを開いたデンマーク人、ベトナムでデザイナーをしているスウェーデン人、日本人が10名ちょっと。「TBWAのプレゼン良かったですねー」と言うと、「何言ってんだ。広告は表現だ」という人もいて、広告論議に。広告について熱く語るというのも広告祭ならでは。

2002年03月19日(火)  パコダテ人ノベライズ計画


2004年03月18日(木)  アドフェスト1日目

■突然、はじめてタイに行けることになった。パタヤで行われるアドフェストという広告祭に会社から送りこまれたのだ。広告祭、映画祭、文化祭、祭とつくものは何でも好き。広告祭は5年前のカンヌぶりだけど、カンヌは今思い出してもニヤけるぐらい楽しかったので、今回も「喜んで!」参加させてもらう。1日目は移動日。徹夜のため機内は爆睡。隣に座った他社のデザイナーさんから「いびきかいてたよ」と指摘され、「いいなあ、どこでも寝られて」とうらやましがられる。バンコクからバスで揺られること約2時間。ガイドのプーさん(プーはタイ語で「カニ」)は日本語ペラペラな上にお笑いのセンスもバツグン。脚だけ作って建設が中断してしまった高速道路を指差し、「だまされた、逃げられた、の記念のしるしですね」と紹介。途中休憩したドライブインにはセブンイレブンやケンタッキーフライドチキンが軒を連ねていて、ずいぶん近代的。スターバックスに入ると「明日開店」と身振りで伝えられた。■宿泊先はパタヤの南のほうにある高級リゾートホテル。ホテル内のホールが広告祭会場になる。カンヌは参加者が多いので何十ものホテルに分かれてしまうけれど、数百人規模のアドフェストはほぼ全員が同じ所に泊まれる様子。大半が日本からの参加者。仕事の上ではライバルでも、国境を越えてしまうと、会社の垣根もひょいと越えて仲良くなれる。それが広告祭のいいところ。

2002年03月18日(月)  『風の絨毯』高山ロケ3日目 高山観光


2004年03月12日(金)  『ジェニファ』マスコミ試写開始

■『ジェニファ〜涙石の恋』のマスコミ試写がはじまる。わたしの元にも試写状が届いた。白地にあしらった蝶々の羽根にジェニファと隆志を配したキービジュアルのセンスに感心。これがポスターになるのかと思ったら、ポスターのビジュアルはまた別とのこと。二つの羽根の間に入っているコピーは「人を愛することは、後悔しないこと」。右下に入っているのは、「飛べない僕は、もう片方の羽根を彼女に見つけた」。公式サイトjenifa.jpは工事中だけど、ちょこっと作品をのぞける。


【マスコミ試写会のご案内】
長野県の由緒正しき古寺に、ある日突然ジェニファという少女がホームステイにやってきた。素朴な田舎とは似合わない外国からの客に、寺の人々は困惑気味。しかし物怖じしない彼女のペースに周囲の人々は巻き込まれ、少しずつそれを受け入れ、平凡だった毎日が変わっていく。それは暗い過去を持ち心を閉ざしていた隆志も例外ではなかった。純粋な愛を理解しあえた二人は互いに惹かれあい恋に落ちる。それは命を燃やす恋だった……。
主演はハリウッドでの活躍が期待されるジェニファー・ホームズ、ジェニファと恋に落ちる少年“隆志”をCX系『ウォーターボーイズ』『ファイアーボーイズ〜め組の大吾』主演の山田孝之。日米合作で製作された本作プロデューサーには『ギャング・オブ・ニューヨーク』等、スコセッシ監督の音楽を手がけたロビー・ロバートソン。撮影は『ダイナソー』『バンディッソ』などを手がけたスティーブン・ダグラス・スミスがチームを連れてハリウッドより参加。監督は『MISTY』『あさきゆめみし』の三枝健起。また韓国で音楽総合チャート1位という日本人初の快挙を成し遂げた倉本裕基が音楽を担当。日米が互いを理解しあい、等身大の日本を描きながら、国境を越えた普遍的な恋愛をストレートに描いた本作、是非この機会にご高覧ください。
(上映時間89分)

2002年03月12日(火)  FOODEX


2004年03月11日(木)  岩村匠さんと再会

■「岩村匠さんと再会」と書くと正確ではないかもしれない。『パコダテ人』の函館ロケにcinem@neyのライターとして取材に来ていたときは、違う名前だった。去年の暮れに届いた「本を出しました」メールに、「下の名前も変えました」と書いてあったので、スクロールして「画面の下にある名前」を探したら、そうではなくて「苗字の下にある名前」のことだった。心の性と体の性がしっくりこない性同一性障害を抱えて生きてきた33年間を綴った『性別不問。』(成甲書房)出版に合わせて、自分にしっくりくる名前・匠(しょう)に改めたというわけだった。「わたしも春に本を出すので会いましょう」と返信したら、「ナンパしないから心配するな」とカッコいい返事が来て、2年半ぶりの再会となった。■パコの思い出話、パコで出会った共通の知り合いの近況話、お互いの出版話で盛り上がり、『性別不問。』と『ブレーン・ストーミング・ティーン』を交換。ひと足先にデビューした先輩作家・岩村さんは、手作りPOPを持参。「手書きのほうが効果的」「あまり場所を取らないほうが置いてもらえるので小ぶりに」などとアドバイスしてくれる。はじめての本を「お互いがんばって売りましょう」と話す。「今回はノンフィクションなので、次回作は小説を書きたい」と岩村さん。シナリオも書いていて、夢はでっかくハリウッド映画。まだまだ話したいことはあったけど、短いランチタイムは飛ぶように過ぎてしまう。いくつか見つかった共通の話題のひとつが、わたしの会社の先輩だった人がやっている六本木の海南鶏飯食堂が岩村さん行きつけの店だということ。「じゃあ次は、そこでお酒を」と別れる。■函館で知り合ったときも打ち上げで飲んだときも性別の話はしなかったので、性同一性障害なんだよと告げられてはじめて会ったわけだけど、もともと持っていた岩村さんのイメージが変わることもなく、岩村さんは岩村さんなのだった。そんな岩村さんと知り合ったのが、「しっぽが生えても、ひかるはひかる」という映画だったというのも縁だったのかなと思う。

2002年03月11日(月)  漫画『軍鶏』


2004年03月08日(月)  勝地涼君初舞台『渋谷から遠く離れて』

■『パコダテ人』隼人役の勝地涼君の初舞台『渋谷から遠く離れて』を観る。作・岩松了、演出・蜷川幸雄、出演に二宮和也、小泉今日子をはじめ豪華キャストがそろった話題の舞台で、チケットは早々と売り切れ、かなりの立ち見が出ていた。勝地君の役どころなど予習せずに行ったら、冒頭いきなり登場。彼と二宮君だけのやりとりがかなり長く続く。一昨年のザテレビジョンお正月超特大号TVCFの撮影で遭遇した二宮君も、ひそかに注目しているのだけれど、二人とも堂々たる役者っぷりで、将来が楽しみな才能だなあと思う。キョンキョンの妖艶さ、勝村政信さんの存在感、杉本哲太さんのコミカルな演技も印象に残った。テレビでおなじみの人たちを舞台で見て再発見するのは楽しい。ラストの花と鳥のサプライズには蜷川演出の心憎さを感じた。■楽屋を訪ね、高校の制服に着替えた勝地君に挨拶。『パコダテ人』東京公開以来なので2年ぶり。背は伸び、体は引き締まり、大人になったなあという感じ。まだ17才。まだまだ伸びていくんだろうな。

2002年03月08日(金)  言葉の探偵、『天国の特別な子ども』を見つける。

<<<前の日記  次の日記>>>


My追加