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2019年11月28日(木)
DC/PRG『20YEARS HOLY ALTER WAR - MIRROR BALLISM』

DC/PRG『20YEARS HOLY ALTER WAR - MIRROR BALLISM』@Shinjuku BLAZE


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cond/cdj/key:菊地成孔、key/syn:坪口昌恭、perc:大儀見元、ss/ts:津上研太、ss/ts:高井汐人、tp:類家心平、drs:千住宗臣、g:大村孝佳、key/syn:小田朋美、drs:秋元修(太郎)、b:近藤佑太
guest:
ts:MELRAW(安藤康平)、rap:Dyy Pride、Maria、QN、OMSB
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タイミングが合わなくて観るの三年ぶりとかだったんだが……あれよ、田中ちゃんとアリガスが最後だったフジ以来ですわ。リズム隊替わってここ迄トガるとは、ハヒー。三時間のロングセットも久々で膝が…腰が……。菊地さんって各ソロがはじまると、フロアからソロイストが見えやすいように体制低くしてくれるんだけど(そういうとこ好きー)あんな何度もしゃがんで膝痛くなんないのかなと思うお年頃になりましたワタシも。といえば菊地さん、今FINAL SPANK HAPPYやってるからかかなりシュッとしてますね。いやあれはBOSS THE NKですけどもね。フジのときはラブハンドルあるくらいムチッとしてたのでおおうとなる。自己管理出来るひとって素直に尊敬するなー。

……と思っていたら、新編成になってからって2017年に一度観てたことを自分の日記で知る。はあはあ(読んでる)、このときはまだ加入したてで危なっかしかったんだねー。で、近藤くんのイケイケドンドンっぷりが印象に残ったんだねー。そして忘れたんだね。おい…マジでやばいでワタシの記憶力……。まあ言い訳をすればこのときはtpとgがトラだったので、ちゃんと全員揃ってのワンマンというのはホント久々だったんですハイ。あとなあ、2017年以降親が死んだり転職したりとかいろいろ怒濤で時間感覚がかなり怪しい。どんどんこなしてどんどん忘れるテイになってますね! やばいね! やっぱ書き残しとくと役に立つな!

さて、シェイプアップされているのは主幹の体型だけではないのであった。なんだこのアップデート! フジのとき「イキのいいメンバーを見つけたらツアーに出る。そのときはすぐに報告します」といっていたんですが、その「イキのいいメンバー」というのが2017年からのメンバー、近藤くん(b)と秋元くん(drs)。そして「Ronald Reagan Other Side」でそっと出てきてソロ吹いてそっとひっこんでったtsプレイヤー……この日は最初にメンバー紹介をして、アンコール迄MCがなかったので誰? と思ったひとも多いのでは。「我々のシンジケートに加わることとなりました」MELRAWくんです。菊地さんのブロマガでもアナウンスされていましたが、高井くんの本業(会社勤め)が忙しく合流が難しい場合のトップリザーバー、とのこと。今ツアーも東京以外はMELRAWくんの登板だったそうです。

まあそういう訳で、ポリリズムのリテラシーがバッチリ装備されてる若者加入から二年経ち、ますます演奏力はあがり、ソロイストの機転でうまいこと繋いでいたファジーな箇所が減った。そうするとコンダクターひとりでは手がまわらなくなるということか、「Ronald Reagan Other Side」では坪口さんがキュー出しをする場面もあった。これにはビックリしたなー。気の狂った指揮官、というコンセプトから遠いところにきたと思い知らされる象徴的なシーン。

危なっかしいと感じるところが格段に減り、綻びが出たとしてもリカバリがはやい。プレイヤーからすればデキればデキる程新しくデキることも増えるから楽しいに決まってるし、リスナーからすればまだ上の次元があったのかと瞠目する。合奏のクオリティとしては史上最強と思われる。そこへクラシックな要素、「fkA」でのソロでラヴェル「ボレロ」のフレーズを入れてきたり、軽快なスタッカートでエレピを弾く小田さんの魅力が加味されている。結成当初はファンクバンドとも呼ばれていたような記憶があるが、今その影はない。ジャズとクラシック……しかしジャズとクラシックでここ迄リズムが「Well done」(=やりすぎ。Impulse! のひとにいわれたんだって。で、してやったり、上等じゃねえかって思ったんだって)なバンドって他にない。フロア側もポリリズムのリテラシーがあがっているし、菊地さんがクラーベでガイドを入れてくれるようになったので迷子になりにくい。秋元くんのビートも見つけやすい。「構造1」に8ビートぶっ込んできたときには「ああ、こっからも割れるか!」とヘンな声出たりしました。

そんなフィールドに、リズムが読め、機転が利き、技術+経験値+場数=無限の引き出しを備えた演奏力を持つソロイストを放ったらどうなるかという話です。津上さんと類家くんの千両役者っぷりを堪能しました。坪口さんに至っては「Hard Core Peace」前のリズムを組み合わせてる最中体操したりムーンウォークしたり、その後のショルキーソロを菊地さんの背中で弾いたり、「Hey Joe」で小田さんと一緒にキツネのお面被ったりと好きになさってました。これが通常運転ってのが最高じゃんねー(まーちゃん)! それにしても、菊地さんと坪口さんのリレーションシップってこういう表出の仕方をするのだなと今更乍ら感動した。それは津上さんの居方もそうだし、大儀見さんもそう。

「史上最強」というワードは合奏の強度のことであり、歴代のプレイヤーを否定するものではありません。この方のブログに頷いたんだけど、「昔観ていた頃はメンバー百戦錬磨な超人ばかりだったけど今は若手の鬼才に変わっていて、粘りより切れ味が上回るような印象。組織の代謝という表現が的確かは不明だけど凄い。」ということです。「切れ味」に合わせてか、PAもキレッキレにクリアでした。

それにしても、これ以上ってあるんだろうか。一度活動終了を目の前で宣言された身としては(あの日の現場の空気、今でも生々しく思い出せるよ……)こんだけ完成度高いものが出来てしまったらまた……ってなりそうで怖いわ。でもこのバンド、まだ上がありそうだからな……。このくらいになってくると、逆にフロアからミサイルとんでくんじゃねーのという一触即発感もあります。が、そのフロアにコンダクターは背中を向け続けているのだった。丸腰で。菊地さんのCDJソロとか、以前だったらヤジが飛びそうなくらい長かったけど今回は静まり返っていて、その緊張感が逆に怖かったもんね。アンコールでのフロアとのやりとりもいつ罵り合いになるかヒヤヒヤニヤニヤしてた(笑)。菊地さんの口から「モーサムトーンベンダー」という言葉が聴けたのは不意打ちのプレゼントでしたね! あー今後が恐ろしい。

「ホントは11周年を祝いたかったの。とっくに過ぎてますけど。11っていいよね、素数だし、素数のなかでも最も美しいと思ってるの。1がふたつも並んでるしね! 美しい!」だそうです。17/16の曲もやったし、素数めいた日でしたね。何素数めいた日って。SIMI LAB入りの「Mirror Balls」聴いたのは『SECOND REPORT FROM IRON MOUNTAIN USA』のリリパ以来だった。7年振りて。やーホント、ときが過ぎるのは早い。オムスくんとQNが並んでたのにもジーン。

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setlist


ツイート拝借。おーソロのオーダー順も載ってる有難いー。「Mirror Balls」のとき菊地さんがセットリストで紙飛行機つくって飛ばしたんだよね。

01. 構造1(Wサックス→オオムラ)
02. fkA(オダ→ツボグチ→ケンタ→キクチ)
03. Playmate at Hanoi(タカイ→ルイケ→オダ→ツボグチ)
04. ジャングルクルーズにうってつけの日(ルイケ→ケンタ→アキモト)
05. Ronald Reagan Other Side(ケンタ→メルロウ→ルイケ→オオムラ)
06. Catch22(ルイケ→オオムラ→オダ / ホーンズ+キクチ / Wピアノ→センジュ)
07. Circle/Line〜Hard Core Peace(タカイ→ツボグチ→オオムラ / オオギミ→ツボグチ&オオムラ)
08. Hey Joe(3キーボード / オオムラ)
encore
09. Mirror Balls feat. OMSB、QN、Maria、Dyy Pride

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「次は11周年で会いましょう」とコンダクターは去っていきました。20周年おめでとうございます。ハメられてもいいことがある。自分の神を裏切るな、自分の神に背くな。I Got Love, I Get Strong. この言葉を胸に再会を待ちます。この日の模様は録音されてたそうなので、きっと将来音源が出る筈。まずはそれを楽しみに。



2019年11月24日(日)
スーパー歌舞伎II『新版 オグリ』

スーパー歌舞伎II『新版 オグリ』@新橋演舞場


小栗判官と遊行上人を、市川猿之助と中村隼人が交替で演じます。10月に猿之助版を観ました。このときハロウィンの扮装だった寿猿さんのカメ婆、今日はクリスマスの衣装になってた(微笑)。

昭和の『當世流小栗判官』、平成の『オグリ 小栗判官』ときて令和に『新版 オグリ』。脚本もアップデートされているとは思うが、「道具」にされるのはいやだと家を出る照手姫や、母親からの苛烈な虐待から逃れたあとも負の連鎖にとりこまれる六郎等、その根幹は変わっていない筈。現代を映す鏡のようだが、彼等が行き着く先の光に救われる思い。新版の脚本は横内謙介。

興味深かったのは閻魔大王。ホント閻魔様いいひと〜(ひとじゃないけど)、人間ができてる〜(人間じゃないけど)。世を憂い、世のためひとのため、地獄に何が出来るかを考えている。そして旧態依然の地獄を自ら破壊する。非の打ち所がなさそうに見えるオグリのひととなりを瞬時に見抜き、現世に戻すことでその欠落に気付かせる。小栗党の所行には矛盾があります。現に照手姫の実家はとりつぶしだし、自業自得というにはちとつらい。閻魔様はオグリに、自分の道を行く者が自分ひとりで生きているわけではないということを教えてくれる。

そんな閻魔大王を演じたのは浅野和之おじいちゃん。一周まわってジャガーさんに見えるお素敵な扮装でしたが(笑)心優しくちょっと抜けてる閻魔様、なんて魅力的! この愛され上手! 世相をチクリと刺したり梅原猛先生の教えを説いたり盒桐里髻廈盒兇ん」と呼んだり(笑)自由だったな〜。この日は笑三郎さん演じる閻魔夫人を「さちこ!」と呼んでいたしどこからどこ迄がアドリブだったんだろうか。事前発表されていなかった役もこまごまやってるし。閻魔様の仮の姿ともとれるけどこれ、稽古場でやってみたら面白いから採用! って増えた役もあるんじゃないか……こどもの役迄やるもんだから「やべっ、大人が来た!」なんていう台詞が大ウケです。どこに出てきても場面が面白くなるし、しかし要所は逃さず場面をキリリと締める。猿之助さんの信頼が窺えます。

地獄巡りと餓鬼阿弥蘇生譚をこうも面白くエンタメとして見せられるのだと瞠目しきりです。しかし思えば地獄ってテーマパークみたいだもんね…温泉もあるし……。『神と共に』(「第一章:罪と罰」「第二章:因と縁」)といい、今年は思いやりに溢れる志の高い閻魔様をふたりも観て地獄に対する考えを改めたりもしましたわ。そこで思い出すのは前述、六郎の名台詞。地獄は他者に決められ与えられるものではない、ひとは皆胸のうちに自分だけの地獄を抱えている。その地獄がテーマパークって最高じゃん! 胸がすく思いでした。

そして歌舞伎初出演、洋さんですよ。猿之助さんと同じ事務所に移籍したことがきっかけかもしれませんが、いやあ、歌舞伎で洋さんが観られるとは長生きするもんです。いろんな意味でこんなの初めて! な洋さんが観られて楽しかった。一幕では照手姫の兄・家継、二幕では地獄の鬼頭長官。過剰な演技を堪能しました。絵に描いたような悪者です。ガーッハッハッハ、アーッハッハッハって笑うんだもん…そこに火サスみたいな音楽が被るんですよ。こっちも笑うわ。二幕の血の池地獄の場ではなんと本水使いのシーンにも登場、歌舞伎のひとらと一緒に大立ち回りです。ジャンプして水に飛び込んだり水しぶきを上げて大きな段差を駆け上がったり、アクション激しくて結構ドキドキした。いや〜しかしご本人もブログに書いていたが歌舞伎は超コスチュームプレイ、それを洋さんで観られたのは嬉しかったわ…鬼頭長官の扮装ちょー格好いいのよ……。カーテンコールで衣裳の長い袖を握って両手を振る姿には我が目を疑いましたよね。段取り的に皆と合わせねばならなかったのだろうが。ここ、流石に慣れてない感じでぎこちないことこのうえなく観ててニヤニヤしましたよね。

なんか周辺情報ばかり書いてますが、猿之助、隼人の両オグリ素晴らしかったですよ。口跡、所作では猿之助さん、光り輝くような美! は隼人さん。宙乗りではどちらも白馬にのって三階席に向かってくるのでもう目が潰れる思いでした。むっちゃ近かった。しかもオグリの方は意気のよさを表現するためか馬をガッタガタ揺らすもんだから悲鳴があがってました。あの高さで、怖いよ! ようやる!

そしておそらく大抜擢だったと思うんだけど、坂東新悟の照手姫が素晴らしく感無量でした。声のよさを活かした快活な女性描写に定評のあるひとですが、今回は姫役。しかしその人物像というのが、前述したように家を飛び出し数々の試練に遭い乍らも強くひたむきに、そして明るく生き抜く強い女性。身長の高さも人物の大きさとして映ります。誰もが(まあ婆たちには嫉妬の対象になっていたが……狭い村に渦巻く噂ホント怖い)彼女に魅了される。終盤オグリと再会する場面では、その声をつかわずとも観客の心をわしづかみにする。夫が生き返り目の前に現れたことを信じられない思い、じわじわと迫る歓喜、そして涙。ひとことも発さないこの数十秒を、その間と所作で三階席迄伝えてくれました。

猿之助さんと杉原邦生の演出もチャレンジングで目を見張ること多し。カラフルな蛍光色を多用した照明や「OGURI」ロゴの使い方、ヒップホップクルーのような小栗六人衆(チェーンのネックレス、フーディー、金髪で、六郎に至ってはキャップを被っている。これが格好いい!)辺りは杉原さんのカラーでしょうか。天井にあんだけ電飾仕込んでんの、歌舞伎では初めて観た。KISSメイクの盗賊にDA PUMPのような群舞と、華やかなヴィジュアルでした。

それにしても四代目の座長ぶりよ……。涼しい顔して若手に活躍の場を用意し、新しい要素をどんどんとりいれる。それが歌舞伎の伝統とぶつかることもあるだろうけど、リスクは座長である自分で負う訳です。あ、これって閻魔様だね! おあとがよろしいようで。

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・スーパーリストバンドの宣伝がすごかったですね…客席でもロビーでも、開演前にも幕間にも、音声でも映像でも。あれ、まわるんだよ……「歓喜の価格、せんえんだ〜」(笑)。オグリと照手姫によるCM映像は猿之助さんと隼人さんの2ver.あったので、新悟くんは二度撮ったんだなと思うとまた微笑ましい



2019年11月22日(金)
大駱駝艦 天賦典式『のたれ●』

大駱駝艦 天賦典式『のたれ●』@世田谷パブリックシアター


母は幕開けから死んだ存在だ。麿さんの出番は近作のなかではいちばん少なかったように思う。出て来ても舞台奥にいて、フィナーレ以外前方に出てこない。そのフィナーレでのソロがなんか凄まじくて……くるりと弧を描き、腕をすっ、と振る。シンプルで静かな動きのなかに時間と空間が生まれる。鳥肌がたった。

モチーフは種田山頭火。昨年麿さんが第一回種田山頭火賞を受賞したことから生まれた作品とのこと。放浪の俳人、煩悩に満ちた行乞にして「無駄に無駄を重ねた」一生。旅の途中にたちよるボロ宿は能楽堂を模している。そこに現れる死者たち。外では女たちが賑やかに朗らかに生きている。響くサイレン、近づく災禍。見ているうちにそれらが不思議と麿さんの人生にも見えてくる。サイレンを聴き、炎や降灰を不安そうな表情で見上げる登場人物たちはひとりひとり山頭火の句を詠みあげる。「けふもいちにち風をあるいてきた」「まっすぐな道でさみしい」「どうしやうもないわたしが歩いてゐる」……ひとつの命が路上にのたる。

麿さんの出番が少ないということは、それだけ艦員に任せられる実力があるということ。艦員=ダンサーたちの身体能力を思い知らされる。あの重心の低さ! 地面に張り付くような動き。腰と膝が、大地とまぐわっているかのよう。女性ダンサーたちの履いた下駄が鳴らすキュカキュカキュカ……という音が心地よい。我妻恵美子の下駄の歯が折れるというアクシデントがあったが、軽やかに乗り切っており見事。

ダンサーたちの体型=プロポーションは、日本に暗黒舞踏が生まれたときにはなかったものだ。腕、脚が長く膝の位置が高い。だんだん欧米のそれに寄ってきている身体による舞踏の行方に思いを馳せる。衣裳も華やか。腰布だけで踊る場面は皆無だった。世代交替、という言葉だけではくくれないが、新しいものが生まれてきているのは確かだ。今作の宣伝写真が荒木経惟ではなく大杉隼平だったことも、それを強く感じさせた。

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・第一回種田山頭火賞受賞 麿赤兒さんより喜びの声!┃春陽堂書店
「『賞』じゃなくて逆に『罰』だと思っています(笑)」。むちゃ読み応えあるインタヴュー

・開演前、SePTの方が「当劇場は音が大変響きます。携帯はバイブ音でもここ(1F前方)で鳴ると3F席迄聞こえます」といってた。具体例出すのはわかりやすいですね。ホントのところ音が響くとこじゃなくても電源切るのがあたりまえだけど、そういわないと伝わらないのだろうなあ、そして伝わらないことも多いのだろうなと思うとしょんぼりしますけど



2019年11月17日(日)
『あの出来事 The Events』

『あの出来事 The Events』@新国立劇場 小劇場


アンサンブルというよりコロスという方がぴったりきますね。舞台上にいるけれど、場面上いないという解釈も出来る。あのひとたちは生き残りでもあるし、既に亡くなっているひとでもある。そのひとたちの視線、声、表情を観客は見ることが出来る。

スコットランドの劇作家であるデイヴィッド・グレッグの作品。翻訳は谷岡健彦。2011年にノルウェーで起こった連続テロ事件がモチーフ。公共施設で市民合唱団の練習が行われている。合唱団には誰でも参加出来る。唄ってもいいし、気分が乗らなければそこにいるだけでもいい。誰にでも開かれているその場所へ、ひとりの少年がやってくる。合唱団を指導する女性クレアは、笑顔で少年を招き入れる。

銃撃により多くのひとが亡くなるが、その場面は上演されない。クレアと彼女に向き合うひとびととの会話から、そこで何が起こったかが浮かび上がる。極右思想を持っているとされる少年と対峙し生き残ったクレアは苦しみ続ける。眠れず、万引きをし、極端にスピリチュアルな思想に染まり、パートナーと距離をおこうとする。下着姿で徘徊し、被害者という立場を盾にする。精神科医との対話は『動物園物語』のように噛み合わない。鈴を転がすような声を持つ南果歩の台詞まわしが光る。ソプラノによって奏でられる憎しみ、殺意、憐れみ、傲慢さ……それは全てクレアの苦しみそのものだ。『シークレット・サンシャイン』を思い出す場面も。犯人への赦しは信仰だけで叶えられるものではない。

クレアと対話し、彼女の助けになろうとする複数の人物を全て演じるのは犯人の少年役でもある小久保寿人。クレアのパートナーである女性、犯人の父親と同級生、精神科医、保守系の政治家、通りがかりの青年。政治家のときだけコロスのひとりからジャケットを借りるが、他は犯人と同じ白いTシャツにジーンズのまま。落ち着いた声のトーンで役を演じ分ける。声色が極端に変わる訳でもないのに、すぐに役の変化が伝わる。これは舞台にしか出来ない演出だ。近年は映像での活躍が目立つが、こうした舞台ならではの演技やしなやかな身のこなしを空間込みで観られるのはうれしい。

両者のやりとりで浮かび上がるのは犯人像だけではない。宗教観、性別、社会的立場。それらは全てクレアに、そして観ている側にも返ってくる。多文化に寛容なのは自分が優位な立場にいるからなのだ、と主張する犯人の言葉にすぐ反論することが出来ない。コロスはときに個人の像を結び、犯人とクレアに語りかける。字幕には「即興/Improvised」と表示される。この日「デイヴさん」は犯人に「外国人はきらい?」と問い、「シンクレアさん」はクレアに「今の合唱団は楽しくないんです」といった。スピリチュアルなダンスを提案されたとき「なんで僕たち、回ってるんだろう?」といったひともいる。あとで知ったが、彼らはコロスのなかから日替わりで選ばれているそうだ。私が観た日の「デイヴさん」は白人の見た目だったがこれはたまたまで、違う日には日本(東洋)人が演じることもあるらしい。こうした見た目のわかりやすさは日本での上演だからであって、違う国ではどういう印象になるのだろうとも思う。

原題は『The Events』。イヴェントという言葉にはハレのニュアンスを感じていたが、これは和製英語としての意味合いなのか、と気付く。いいこともわるいことも、楽しいことも苦しいことも、すべて「あの出来事」なのだ。演出は瀬戸山美咲。さいたまネクスト・シアターØの『ジハード ―Djihad―』も演出しており、さまざまな価値観のコンフリクトを見つめ続けているひとだ。小久保さんはここでもテロリストの役を演じていた。

幼く無邪気で、愛情に接する機会が(少)ない。彼らは争うことしか知らず、分断しか知らない。銃を向けた女性ふたりの答えにより、犯人は「知る」ものがあっただろうか? 結果起こったことに希望を見出したい。

上演前、「聴こえないひとのために」という説明で日英字幕付の公演であることを知らされる。しかしこれが説明以上の大きな効果をもたらす。劇中唄われるのは、台本の指示に従い合唱団のメンバーが自分たちで選んだ「Greensleeves」と賛美歌、Dizzee Rascal「Bonkers」のカヴァー、そしてオリジナル5曲(作曲:ジョン・ブラウン)。英語のまま唄われるものと日本語に訳して唄われるものが混在している。舞台上の合唱団が英語で唄うときも、日本語訳が併記されて字幕に映る。合唱団が唄う多言語の歌詞の意味を知ることが出来るのだ。ただし、訳語が出ない言語の歌詞もある。それらの言葉はときにクレアをたちどまらせ、問いを投げかけ、そして寄り添う。

多文化主義の合唱団。さまざまな文化的背景を持つひとたちが、ピアノの伴奏(斎藤美香)にあわせ同じ歌詞を唄いハーモニーを奏でる。ラストシーン、クレアはかつて少年にかけたのと同じ言葉で観客に語りかける。その意味は多面体となり、大きな輝きを放つ。

これを音楽劇というならば、私が欲しているのはこういう音楽劇だ。くらしの傍にあり、人生に寄り添う音楽が流れる演劇。

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・『ここには、「わかり合えない」の果てが描かれている』┃『あの出来事』瀬戸山美咲×谷岡健彦 対談┃ステージナタリー
「『赦す』『理解する』ってことじゃなくて、『わかり合えない』ということにたどり着き、その果てが描かれている。そこが信じられるなと思いました。」合唱団の重要性についても

・合唱団にはゴールドシアターの石川佳代、上村正子、谷川美枝がいた。小久保さんと共演してるってところがまたうれしかったりもしました



2019年11月10日(日)
NODA・MAP『Q:A Night At The Kabuki』

NODA・MAP『Q:A Night At The Kabuki』@東京芸術劇場 プレイハウス

Queenからのオファー(! しかも映画『ボヘミアン・ラプソディ』公開前に)により実現、全編Queenの楽曲で彩られたNODA・MAP新作。てことは英国公演も予定されているのでしょうか。『A Night At The Opera(オペラ座の夜)』は『A Night At The Kabuki(歌舞伎(座)の夜』)』となり、『ロミオとジュリエット』は『俊寛(平家女護島)』に。そしてもうひとつ、野田さんにしか書けない(としかいいようのない)パートが加わり、ひと組の男女は壮大な旅へ出る。瑞々しくひたむきな志尊淳と広瀬すず、熟練と風格の上川隆也と松たか子。互いが互いの未来を思い、変わらない運命へと立ち向かう。

野田さんは「おいていかれた者たち」っをずっと見ている。忘れられるどころか誰にも気付かれず、知られず消えていく存在を探し当て、見つけたぞ、伝えるぞ、と観客へと差し出す。蜷川さんは「打ち棄てられた者たち」を見つめ続けたひとだった。野田さんのこれが顕著になってきたのはいつ頃からだったか……いや、『二万七千光年の旅』も、『野田版 鼠小僧』も、『ロープ』も『The Diver』もそうだったじゃないか。萩尾望都原作ではあるが『半神』もそうだ。特定のフェーズに拘って書くようになったのは『オイル』からという印象だが(それでも15年だ)、根幹は変わっていないのかもしれない。遠ざかる車輛というヴィジュアルは『オイル』でも『エッグ』でも印象的だったが、その寂寥は優しいものになった。やりきれない程に優しいものに。

全編『オペラ座の夜』の楽曲から、というのが一種のハードルになっているように感じたところもありましたが(演出家・野田秀樹唯一の弱点は音楽の使い方だと思っている)、それでも「ボヘミアン・ラプソディ」があのシーンで鳴り響いた瞬間には鳥肌がたった。楽曲のインパクトは勿論、あの歌詞(キーワード)が耳に飛び込んでくるんだもの。『ボヘミアン・ラプソディ』を観ているひとは瞬時にあのキーワードとシーンのリンクに反応しただろうし、観ていないひとでもクイーンを愛聴しているひと、リアルタイムでクイーンの活動に触れていた年代のひとたちにリーチするものだった。勿論それを知らない若い世代にも、感情に訴えるものがあった筈だ。起源を辿る興味もわくだろう。

NODA・MAP初参加組にも注目。上川さん素晴らしかった。ルートさんの指摘で気付いたけれど、彼は『大地の子』の演技で注目されたんだった。まさに「おいていかれた者」だ。竹中直人がアンサンブルともしっくりきてるところに驚かされたし、そんななか「まっすぐ歩ける!」をぶっ込んできてウケると同時に唸った。竹中さんを自身のプロデュース公演(竹中直人の会/竹中直人の匙かげん)以外で観るのって、多分2001年の『四谷怪談』以来だったんだけど、こうもカンパニーにとけこむとは。声色の使い分けも見事。やはりすごい役者さんだ。橋本さとしは恋人たちの仲を引き裂く源氏の家長と、ふたりの結婚を見守る修道士という両方の役割を演じ、なおかつコメディリリーフも務めるという活躍ぶり。このひとほんと格好いいときとアホの子のときの落差が激しすぎる(笑)。そしてさとしさんと羽野晶紀を一緒に観られるなんて〜! てか羽野さんの舞台観るの何十年振りか! 台詞まわしの切れ味鈍ってないどころかすごみが増してた!

あと小松和重が最高だった、いつもだけど。つうかさ〜マキューシオにあたる役を小松さんがやるって最高じゃん。遊び人で世捨て人ででも芯は熱いやつでさ……そんな彼をセンターにハカ(モチーフは「カマテ」。振付:井出茂太)が観られるという演出には血がたぎりましたね。Rugby World Cupという時事ネタを台詞とかでちらっと、とかじゃなく演出にガッツリ組み込んできたことにも驚いたけど、思えばあの踊りはそういう踊りだよ……ハッとした。これも「ボヘミアン・ラプソディ」という楽曲同様、ポピュラリティを獲得しているものだからこその効果的な演出だった。2019年のいい思い出になったなー。しかしこれ、いつ組み込もうと思ったんだろう。絶妙のタイミングで摑まえたな! と脱帽。二階席最後列のど真ん中という席だったのですが、このハカと、恋人たちの寝室のシーツが舞う場面はこの位置から観て本当によかったと思いました。見立てとフォーメーションの美しさ。いや、近くで観られたら観られたで違うよさがあるけどね……。

あとアンサンブルで河内大和観られるのちょ〜〜〜贅沢じゃないですか。やっぱり目がいく。

野田さんはかつて『21世紀を憂える戯曲集』『21世紀を信じてみる戯曲集』と題した戯曲集を出版しているが、今作は「憂え、信じてみる」がひとつになったもののように感じました。信じてみよう、いつか戦争がなくなる時代がくることを。あの言葉を、これからずっと松さんの声で思い浮かべることが出来ることを幸せに思う。

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・クイーン『オペラ座の夜』を演劇と融合させた野田秀樹のイマジネーション┃Rolling Stone Japan
クイーン側からのあれこれには新しい発見ばかり。歌舞伎側からアプローチするひともいるわけで、その両方の心を動かす野田さんの仕事っぷりには唸るばかり……いつもこんな感じなので、その有難みを忘れがちだな! おそろしい贅沢だな! ちなみに1939年は、ノモンハン事件が起こった年でもある

・広瀬さんが演じるオフィーリアを観てみたくなりました。映像でしか観たことなかった志尊さん、プロポーションがめちゃめちゃよくてすごい舞台映えする。動きもしなやかだし声もいいし、また舞台で観たいな



2019年11月04日(月)
BATTLES JAPAN TOUR 2019

BATTLES JAPAN TOUR 2019@The Garden Hall


いやホント、自分のなかで特別なバンドになった感。

イアンとジョンのふたりになったBATTLESが、『WXAXRXP』のタイミングでやってきた。日本では『Juice B Crypts』が先行リリース、準備万端でお迎えです。ふらりと試聴しにいったらあまりにもガツーンときて、舞い上がって買う予定じゃなかったTシャツ付き限定盤を買ってしまったくらい今回のアルバムはお気に入り。このドラムの鳴り、このリズム、このヴォーカルづかい! あれよ、一周まわって初期のBOOM BOOM SATELLITES好きなひとは大好物でしょ! 「4 a moment of silence」とか「joyride」とか「dub me crazy」とか好きなひとはピコーンてくるでしょ! diceの声が好きだったひとはXenia Rubinosのパンチのある歌声にキエーてなるでしょ! 似てるというより、この素材をBATTLESが料理するとこうなるんだという興奮がありましたね。は〜ダイスキ〜(©Squarepusher)。

編成も変わったし、今回はこの新譜中心のステージになるだろうなという期待と、4〜3人時代の過去曲は出来るんだろうかという不安を抱え、整理番号がよかったのでステージ下手側2列目を確保。なんとなくひとが少なかった方を選んだのだが、これがジョンの目の前だった。ドラムセット一式を積んだキャスターつきの平台がゴロゴロ運ばれてくる。平台の枠には照明が取り付けられていて、ぐるぐる回ったりしている。だ、山車…? この機構が後にすごい演出効果をあげることになるとはこの時点ではまだ知らないので、わーこういうシンプルでスットコドッコイなセットダイスキ〜と笑顔になってた。ふたりが同列に並ぶ立ち位置になったので、ドラムセットがすごい前にきてる。近いよ!

MVが発表されたばかりの「Fort Greene Park」でスタート。あのポヨポヨしたループが鳴らされると同時に大歓声! 最新作からのナンバーがめちゃ盛り上がるの、最高じゃーん! 新譜から立て続けに4曲。いやあ、いい。音源のドライヴ感もすごかったけど、めちゃめちゃライヴ映えする。ヴォーカリストとのコラボ曲も、短いセンテンスで強いメッセージを繰り返すリリックなのでカットアップ的な使い方が出来る上に伝達力が絶大。

あまりに近いのでモニターを通さない音もバカバカ届く。今回ジョンはサンプリングパッドも使っていて、距離が近すぎてサンブル音よりパッドを叩く地の音の方が大きく聴こえることもしばしばでした。スティックとマレット(ヘッドが木製のやつ。ティンパニ用かな?)も使い分けており、豪快なアクションとは裏腹に細やかな音作りをしている印象。ふたりになったので各々やることが増えてかーなーりー忙しそうだし緊張感もすごいんだけど、その間にも缶ビール(ガーデンホールなので勿論YEBISU!)掲げたりふんわりしたMCをしたりと緩急あるステージング。イアンが「僕のともだちのジョンです」、「そして僕が、ジョンのともだちのイアンです」といったあと、やったれジョンみたいなことをいった途端にジョンがドカドカ演奏を始めた図は猛獣と猛獣つかいっぽかった。


ふたりになってからのアー写がとてもいい雰囲気というか、かわいらしささえ感じるんだけど、「ともだち」という言葉にはふたりのリレーションシップが凝縮されているようでグッときました。

「The Yabba」が始まったときは「や(れ)るんだ!?」とフロアがどよめいた。てことは……“あれ”もや(れ)るんじゃね? とあのとき誰もが思った筈。「Ice Cream」がきておおっとなって、ますますソワソワ。そうして遂にあのドッコドッコしたリズムが、ブッニャブッニャしたシンセが鳴り響き、「『Atlas』は、そしてBATTLESは(ふたりでも)いけるー! 新生BATTLESだー!!!」と大歓声があがったときの多幸感はたまらんもんがありました。プレイヤーは結構必死の形相ですが、フロアは大喜びです。その4人時代の代表曲「Atlas」から最新作の「Last Supper on Shasta」へ、そのアウトロから同じフレーズの「Ambulance」イントロへ繋げて〆、という構成も素晴らしい。改めて思い返してみれば、この閉じ方は完璧じゃないか。アンコールがなくて当然だ。スタッフが機材のスイッチを切りに出てきてもアンコールの拍手は続いていたが、シンバルのスタンドが低く下げられたらもうお手上げ。

時計を見ると60分しか経ってない。いや、60分も、か? ふたりでの濃密な、そしてかなりの集中力を必要とするステージは、60分が限界ということかな。いや〜しかし、相当練習したっしょこれ……同期がズレたりしてヒヤッとするところもあったけど、それがポリメトリックになるという怪我の功名(笑)もありました。つうかBATTLESはもともとグリッチをモノにするバンドであった。は〜それにしても「Ambulance」最高よな……ダイスキ〜。「Sugar Foot」の祭囃子テイストもダイスキ〜。トライバルビートっつうより祭囃子よな。日本の土着舞曲と親和性ありすぎるわ、他の国ではどう捉えられてるんだろうか。

で、照明ですよ! BATTLESも『WXAXRXP DJS』同様VJなし、照明でバリバリかっこよく見せる。あの台車、見掛けのスットコドッコイっぷりからは想像出来ないデキるやつでした。横一列に並んだフットライトが上下に動き、光でスクリーン状のパーテーションをつくる。プレイヤーとフロアの間に光の幕を下ろし、そこへ焦点を絞ったカラフルな照明を差していく。こっれっがっめちゃめちゃ格好よかった! かつて人力トランスといわれた演奏にこのアナログな照明は、「一周回って原点に戻った」(後述インタヴュー、ジョンの発言)今のBATTLESにぴったりでした。


これね、光のスクリーン。

チケットとってたのに行けなかったりとかあって、観たのは『Warp20』以来。十年振りじゃないか。このときはタイヨンダイがそろそろ抜けるって前で、ちょっとバンドがギクシャクしていたように思う。そして今、アートワーク含めグロさ(=デイヴのテイスト)がなくなったけれど、音の面ではキャッチーが過ぎて偏執的に響くという新たな魅力が出てきた。人数は減ってってるけど好きの度合いはむしろ増してるなー。ホントよかった……。

「前座」平沢進+会人(EJIN)もよかった! フジの配信でぶっ飛ばされたステージをこんなに早く観られるとは。「フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ」を生で聴けたわ〜。P-MODELの『ANOTHER GAME』は愛聴してました、「美術館で会った人だろ」なら空で唄えます〜程度のリスナーで、平沢翁のマイペースかつゴーイングマイウェイな活動は気になっていたもののなかなか機会に恵まれず……今回やっと拝見出来ました。いやはや恐れ入りました。20分ちょいと短めでちょっと機材トラブルもあったっぽいけど格好よかったなー、いつかフルで観てみたいな。後方からすごい歓声飛んでた。整理番号早いひとたちはゲスト発表前にチケットとってるから、翁のファンは前に来られなかったのかも。

物販で散財してたらYEBISU片手にイアンが出て来たのでビビる。気付けばジョンもいてサインしたり撮影に応じたり。全ての会場で終了後にファンと交流していたようです。この日ジョンに到っては開場前にも外に出てきてた。おともだちがいたんだろうなー。日本のリスナーと歩んだ長い時間が感じられてジーンとしました。

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Setlist

名古屋で観た方の画像拝借、東京も同じセットリストだったと思います。

01. Fort Greene Park(Juice B Crypts)
02. A Loop So Nice...(Juice B Crypts)
03. They Played It Twice(Juice B Crypts)
04. Titanium 2 Step(Juice B Crypts)
-Sailing-
05. The Yabba(La Di Da Di)
-Day-
06. Sugar Foot(Juice B Crypts)
07. Summer Simmer / 08. Ice Cream (La Di Da Di)(Gloss Drop)
-Sand-
09. IZM(Juice B Crypts)
-Sand-
10. Atlas(Mirrored)
-Sailing-
11. Last Supper on Shasta(Juice B Crypts)
-Talk-
12. Ambulance(Juice B Crypts)

そういえばタイトル曲やんなかったな、次やってください! エディットすごい曲だってのは承知の上でいってる、きっと出来るー!

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同じ画像をジョンのinstaで見たときは気づかなかった、Bibioがいるやーん! 残って観て行ったんだねえ

・See you all again at Warp 40!!!!!!!┃BEATINK.COM
『WXAXRXP』もこれにて終了、beatinkさんおつかれさまでした有難うー! 特典やらスタンプラリー企画も楽しかったです!

・デュオになったバトルスがニューヨークから送る『Juice B Crypts』は、瑞々しくカオティックなエナジーに満ちた一作┃TURN
「バトルスは今、一周回って原点に戻った。ただ、昔とは全く違う在り方でね。4人で始まったバンドが3人になり、今は2人だけになった。だけど僕たちは、あの頃と比較できないほど成長したんだよ。バンドとしてもいちミュージシャンとしても。遠くにいると同時に、環のスタート地点に戻ったんだ。」
アンドリュー・クオと平岡政展によるヴィジュアライザー(かわいい!)のことを「生き物」といってるのもなんかいいな

・バトルスが塗り替えた21世紀の音楽シーン、「2人」になったバンドの復活劇┃Rolling Stone Japan
初っ端に小林英樹さんの話が出てる。そーだよ彼やカトマンさんがいたから早くからBATTLESを観ることが出来たんだよな、感謝感謝。てか小林さん今どうしてるのかしらー

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9月下旬からのマイ祭りが終わった……さびしー。風邪とかひかないように用心しとかないと気ぃ抜けてガクーッてきそう。しっかり自分!



2019年11月03日(日)
『終わりのない』

世田谷パブリックシアター+エッチビイ『終わりのない』@世田谷パブリックシアター

古代ギリシアの長編叙事詩『オデュッセイア』を原典に……といっても手掛けるのは前川知大とイキウメン。神々が傍にいる世界として描かれたそれは、宇宙に及びます。出会う神々は宇宙生物。望郷の念は星単位。スケールが大きいと、一周まわってSFになるのだな。そんな領域へ踏み入ろうとする人間は愚かか、果敢か。ひとりの青年の冒険には、無限の可能性が拡がっている。それを受け入れることは未来への讃歌か、滅びゆく種族の絶望か。青年は数々の苦難に遭い乍らも成長する。過去に犯した罪は消えない。それでも時間はとまらない。

幕開けの画ヅラが素晴らしかったなー(美術:土岐研一、照明:佐藤啓)。水中が宇宙空間になる。水底と宇宙が繋がる暗闇。窒息の恐怖。ダイバーの父親と物理学者の母親は、ひきこもり気味の息子を心配することと同列で、人類の未来についても頭を悩ませている。それが出来るのは自分しかいない、という自負をもって。

原典からの発想とはいえ、同級生を妊娠〜流産させる(その後の対応も酷い)という設定にひいてしまったので序盤から主人公に対する印象が最悪になる。おまえホントクズだな〜、という出発点なので、その後彼がいろいろ試練を受けても、おうおうがんばれ、くらい突き放して観ることに。とはいえ、まあその試練がスケールデカいわけです。ひとひとりが到底背負いきれるものではない。人類はもう地球には住めない。他の星の移住には選定がある。その選定基準は? 選ばれなかったひとたちのことを、おまえ(=主人公)はどう感じているのか、おまえには何が出来るのか。彼の慟哭は、嘆きと奮起に満ちている。山田裕貴の熱量に圧倒される。

彼がこれからどう生きていくか、それによって出現する世界はどう変わるか。では彼女の未来は? 結果、やはり主人公に対してはおうおうがんばれ、と思うばかりなのでした。なんとも奇妙な作品になったな。ものごとをひいて見れば見る程ドライになるもので、それがときに残酷に映る場合もある。種と個を天秤にかけることは難しいな。AIですら迷いが生じたじゃないか。そうして迷ってぶつかって前進していくしかないのだろう。前川作品はそこから目をそらさない。

“端末”浜田信也は黒々とした瞳があまりにもPepperくん(Softbankの。てかPepperくんいうたらこの子しか連想しないもんね、もう。普通にくん付けで呼んじゃうし。考えてみればすごいな)に似ており、適役すぎた(笑)。そして森下創はヨーダに以下同文。浮世離れという意味では仲村トオルも。前川作品の理路整然台詞を乗りこなす、たよりになる役者さんです。村岡希美は岩本幸子退団後からイキウメ関連作に参加するようになった記憶があるが、あの声と語りが重宝されているのかなと思う。女優の声は前川作品にとってとてもだいじな要素に思えます。今回も、物理学者であり母親である人物を説得力のある演技で見せてくれました。



2019年11月01日(金)
『WXAXRXP DJS ワープサーティディージェイズ』

『WXAXRXP DJS ワープサーティディージェイズ』@TSUTAYA O-EAST / duo MUSIC EXCHANGE


Shobaleader One(映像)〜Oneohtrix Point Never(OPN)〜Squarepusher〜Bibio〜Aphex Twin(映像)〜Bibioて感じで動きました。

『Warp20』がとっても楽しかったので、30はやんないのかな〜と思っていたら、まず6月にオンラインフェス『WXAXRXP - 30 Years of Warp』があったんですよね。NTSをジャックして100時間Warpばっかり。全部は無理でしたが楽しく聴いた〜。で、オンラインだけなのか? 20のときみたいにツアーはないのか? 昨年の『BRAINFEEDER NIGHT IN SONICMANIA』みたいにソニマニでやるとか? と期待していたもののそれはなし。もうelectraglideもやっていないし、やっぱ今って大バコのオールは厳しいのかなとシュンとしていたところ、このツアーのニュースが飛び込んできたという。


まあ救心くれ! ってくらい動悸が乱れましたよね。いや…トムが来るとは何故か思ってなかった……。NTSには出ていたけど、9月にリリースされたのがJames McVinnieにオルガン曲を提供した『All Night Chroma』だったので、しばらくはクラシック寄りで活動するのかと思っててさ……あとで知ったところによると、この作品は2016年に録音済だったとのこと。はあ、作品が世に出た頃にトムはそこにはいないんだわねそうでしたね。

にしてもすごいメンツなんですがこのお三方、全員DJとしての腕は未知数な訳です。OPNは音楽クリエイターとしての側面が強いうえ、昨年はバンドで来日公演を行いプレイヤーとしてのポテンシャルを見せたひとだし、Bibioはライヴはやらないひと。トムもDJというのは珍しい。どうなるどうなる? ラグビーがーマニックスがペンギンカフェがーとかわたわたしてたらあっという間に当日です。毎度のこと乍ら前置きが長い。

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渋谷に到着、HUBへ直行。Rugby World Cupの3位決定戦(NZL vs WAL)をイングランド人とウェールズ人に囲まれて観る。渋谷はHUBがいっぱいあってこういうとき助かるネー。ウェールズにもニュージーランドにも楽しい思い出いっぱいもらったわ! おつかれさまでしたよ有難う! その後ポンチさんと合流、この日オープンしたスクランブルスクエアをうろっとしてお菓子/お惣菜フロアをウハウハまわりアーモンドミルクソフト(うまい)なんぞを食べ、ヒカリエでごはん食べていざ出陣。

したらまーすごい行列だった、EASTの搬入口ってここなんだ〜てなとこ迄ぐるりと並んでた。23時ちょい過ぎに着いて、入れたの0時過ぎてたかな。セキュリティチェックとIDチェック、eチケットのチェックがかなり厳重で、入場に時間がかかっていたようです。まあクラブイヴェントなので整理番号もないし、一杯ひっかけてきたひともそれなりにいるので列が荒れるということもなかった。しかしトップのagraphくん目当てのひととかは間に合わなかったんじゃないかね……。再入場なしというのにもビビッたが入れば時間はあっという間、激快適でした。

duo前に物販、duo内でWarp30年の歴史を彩る映像作品、EASTがメインフロア。タイムテーブルを見る。当日発表(つっても前日に公式アカウントが間違って表示しちゃったのでバレてた・笑)のSecret DJsの正体は!!! CHK CHK CHKでした。5F(そもそもここに5Fがあることを初めて知った)へ行くには階段一択だったので諦めた……いや、あとで行ってみよ〜と思ってたんだけど、いざ行ける時間になったときにはもう気力も体力も残っていなかった。

まずはduoを覗いてみるか、と歩を進めるとうおおおいい「Squarepusher Theme」が聴こえてくるじゃないの。慌てて駆け込むと丁度Shobaleader Oneのライヴ映像が流れてましたよ! ラッキー! フロアはまだ閑散。入れてないひとまだあんなにいるもんね……。とりあえず一曲聴いてEASTへ移動。既にOPNのDJが始まっていました。2Fのいい場所を確保出来たので、Bibio始まり迄そこから観た。OPNは繋ぎが強引というか雑(笑)だったけど、わかるだけでもBjörkにLFO(Mark Bell)、Aphex Twinと、Warpにゆかりのあるトラックを聴かせてくれる。Warp20では日本にも来てくれたマーク・ベルが亡くなってもう5年も経つのか、あのときはハラカミくんもいたな……とぼんやりしているとSquarepusherの「My Red Hot Car」が耳に飛び込んできた。フロアがドワ! とわく。へっへっへいい流れ作ったっしょ〜とご満悦のOPN、ドヤァ感すごくて笑ってしまったわ。いたずらっ子みたいな愛嬌だな! フロアへ拍手を贈り乍らステージ上手へ去って行くOPN、そして下手から現れるSquarepusher。大歓声!!!

『WXAXRXP - 30 Years of Warp』でのLive DJ Setや、その翌週出演したグラストンベリーフェスでの『Vic Acid DJ Set』(今日着てたオレンジのadidasパーカー、グラストでも着てた)を基調に……というかそこからまた発展させ、自身のトラックをバッキバキでアゲアゲに解体再構築。ジャジーなベースラインから始まったセットはやがて怒濤の高速ブレイクビーツへ移行、BPM200越えてんじゃないかなーてな暴れん坊ぶりです。赤い靴を無理矢理履かされたわ、踊るわー! 最高だ!

90分のセット中BPMは殆ど下がらず。でも複合リズムなので割れるんですよね。16でも8、4、2でも踏める。載ってくるメロディはさっきも聴いた「My Red Hot Car」だったり「Come On My Selector」だったり「Anstromm-Feck 4」(!)だったり「Go! Spastic」(!!!)だったりと、20年以上にもわたる自身のキャリアを振り返る内容で、それが何よりもWarpへの祝福にあふれたものだった。出てきたときはサングラスかけて(あの暗闇で・笑)パーカーのフードをすっぽり被っていたのに、演奏(あれはもうライヴだもの。そうだよそもそもDJはライヴだよ!)に熱が入るとそんなのどうでもよくなってくるところがどうしようもなくトムだった。爆音にも勝るとも劣らない地声でフロアをあおりまくるのもトムだ〜、あ〜トムだ〜。

最後に鳴らされたのは「Journey to Reedham」、待ってましたといわんばかりの大歓声。準備に出てきたBibioに歩みよってハグ、日本語で「ありがとう!」と叫び、何度も手を振り礼をして(今年RWCでお辞儀をする選手たちのことが話題になったけど、そういえばトムは昔っからお辞儀してたねえ)名残惜しそうにトムは帰っていきました。


ハグ動画撮ってる方がいた〜! この方一昨年のソニマニでショバ公式に動画転載されてた方だわ…いつもいいとこ撮ってる……シェア有難うございます!

Bibioはゆったり開始、いい塩梅でクールダウン出来る音を鳴らしてくれてます。ここでちょっとduoに移動。何故ならWiredcoreディレクションによるAphex Twinの最新ライヴ映像がもう始まっているからだ! なんでトムに被せた! 今回唯一の遺恨だよ! 嘘ですbeatinkには感謝しかありません。20分くらいは観られたかなー。フロアではモフモフのヒゲにキャップ、タンクトップとハーフパンツといういでたちの白人がひとりくねくね踊っている。あまりにも面白い動きなので誰も近寄れない、そこだけポッカリスペースが空いている。夜の深い時間にクラブで見られる光景ですね。そんななかWiredcoreのあの映像ですよ、悪夢か。最高か。ライヴ映像のあとにはリチャぐま満載の「Donkey Rhubarb」が流れてワーイ。

duoを出て物販をチラ見、ボックスセットのパッケージに見とれる。「Bibio本人持ち込み ポストカードブック」ってのがあって微笑ましかった。彼の作品のアートワークでも見られる美しい風景と時間を切りとったもの。ご本人が撮ってるんですね。今回のWXAXRXPは物販割引クーポンがもらえるスタンプラリーも実施されていました。beatinkはいつも面白い企画やってくれるなー。

EASTに戻るとDJ変わった? てくらい雰囲気の違うトラックが鳴っていた。壇上のBibioは相変わらず淡々としたたたずまい。不思議なひとだな……作品とDJ序盤と終盤の印象がバラバラ。このルーツからああいう作品が出来上がるのかと思うと興味深い。Squarepusherの「Full Rinse」もかかり(!)アッパーに終わっていきました。OPNもBibioもSquarepusherかけてくれた〜、トム愛されてる!(涙)

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思えば今回の出演者、トムがいちばん古株というか最年長。感慨深い…あのベース小僧が……。OPNはBibioの、BibioはOPNのトラックもかけたそうで、Warpというホームに集った三人がそれぞれお互いの作品とレーベルへの愛情をフロアに示してくれたこと、とてもうれしかった。DJスタイルだから殆ど間が空かなくて、入れ替わりの際出演者同士の交流が見られるところもクラブサーキットならでは。そうだークラブってこういう楽しさがあった。90年代終わりのReel Upとか思い出しちゃった。そういう意味でもジーンときてたんけど、懐古とはちょっと違うんだな……彼等の鳴らした音は、それがクラシックといわれるトラックでもヴィヴィッドで瑞々しくアグレッシヴで、そして何よりハッピーに響いたのがうれしかったんです(横文字多い)。VJなし、照明のみでそれがめちゃめちゃ格好いい! というヴィジュアルも原点を思い出させてくれてグッときた。

あー、めちゃめちゃ楽しかった。改めて、Warp Records 30周年おめでとう。革新的かつ良質な音楽を聴かせ続けてくれて有難う!

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・BEATINK.COM / WXAXRXP DJS┃BEATINK.COM
・WXAXRXP DJS EVENT REPORT / 2019.11.01 O-EAST, DUO┃BEATINK.COM
beatinkの場内さばきもお見事でした! そうそう、冒頭のtweetの説明を。場内にはWarp関連のポスターやら何やらが飾られており、リチャの(あれをリチャといっていいのかという疑問もあるが)顔出し看板やFlyLoの看板もあって撮影大会になってました。薄暗いロビーにあったからシュールだった(笑)。


WXAXRXP DJSそろい踏み。agraphくんも一員だ〜。


こんな感じででっかいテーブルにそれぞれの機材はセッティング済。よって転換もスムーズ。出番ごとにスタッフが後方のモニターふたつを移動させてました。


かわいいので載せたい(笑)。それにしてもOPNはどんどん痩せていくな。ヘルシーならよい……OPNもinstaストーリーにトムの画像やら動画やらあげてて微笑ましかった〜。

・daitomanabe Rhizomatiks┃instagram
おまけ(?)、Rhizomatiksのオフィスに来たトム。またコラボあるといいなー。