よるの読書日記
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2002年04月29日(月) Daisy's Daily life

『ひな菊の人生』<吉本ばなな/ロッキング・オン>
処女作の昔から肉親の死、夢、
もう二度と会えない人との不思議な邂逅、
を繰り返し描いている吉本さんの、
これまた全てが入った作品です。
にもかかわらず結構彼女にしては異色作な感じ。
主人公が何だかドライなせいかしら。
育ててくれた叔母夫婦に対して冷たいというか
壁を作っていると言うか。
深読みすればまた失った時に苦しまないように
愛さないのか。それとも亡くした人以上に
思いたくないからなのか。
――単にそういう性格なのか?


2002年04月28日(日) 一人称に騙されろ!

『テロリストのパラソル』<藤原伊織/講談社>
最近図書館を、しかも本館と分館ちゃんぽんで
利用しているので読書内容が充実してます。
今回も文庫が出たときに迷ったけど買わなかった本。
これも乱歩賞だし、買っても外れではなかったかも。
タイトルがハードボイルドのわりにはおセンチで良い。

過去は学生運動盛んなりし頃の東大生、
中退して将来を期待された新進ボクサー。
ある事件のせいで地下に潜伏して、
現在はアル中のバーテンが主人公。
人生の表裏街道くまなく驀進!といった趣です。
おかげで洋書読めるほど賢いし
ヤクザ返り討ちにするほどケンカ強いし、
もう敵なしよ。

対するヒロイン(もしくは敵)は過去彼が共に暮らした
女性の一人娘。一種のリニューアルと言うやつです。
勝気で美人なお嬢様なんてちょっと類型的な
気もしないではないがな。
しかし、それが文字通り共同生活だったと言うのがスゴイ。
私なんかはちょっと違う展開を予想してしまったけど。
あれですね、これはまた別の話ですが、男性は
以前交渉のあった女性が産んだ子供の年を逆算とか
しないんですかね?考え出すと逆に世界中のお父さんの
胸に疑惑の火が灯るからダメ?あ、そうですか。

ところで小説に良くある現象ですが
一人称のヒーローは淡々と冷静に語っているように見えて
実は自己評価が低い傾向が見受けられます。
そして自分に対する周囲の感情にはわりと鈍感。
まぁどうせヒロインが「どこにでもいるような平凡な女の子」
とか書いてあっても映像化の際に演じるのは美少女アイドル、
という世間の相場からすればおかしくもないのか。

その他の乱歩賞作品
『破線のマリス』<講談社文庫>


2002年04月26日(金) むかしむかし

『天河伝説殺人事件』<内田康夫/角川文庫>の
昔から、能や狂言、文楽に関心だけはある私です。
一度生で見てみたいんだけどなぁ。
音楽の時間で歌舞伎をチラッとやったこともありますが、
いかんせん音楽の先生だって声楽とかピアノとか
西洋音楽しかやってない人がなるのが当たり前だから
さわりしかやらなくて、すごく不満だった。
今、別の意味で何かと話題なのが狂言の世界。
それで『萬斎でござる』<野村萬斎/朝日新聞社>を
読んでみました。

好きなんですよこの人、
『花の乱』(1994年NHK大河ドラマ)の頃から。
これデヴューしたての松たか子がヒロイン日野富子の
少女時代を演じてまして、なーんて可憐で清楚で
凛として高貴な美少女なんだ〜とうっとり見てました。
どれ位耽溺していたかと言うと、15歳から20歳までを
彼女が演じて、「二年後」の字幕とともに
三田佳子が出てきた瞬間に見るのを止めたくらい(笑)。

生い立ちから現在に至るまで、万斎氏が語ったこと
と和泉流の歴史とか狂言まめ知識を
誰かがきちんとまとめたと言う感じのご本ですが、
なかなか興味深い本でした。
彼も姉二人の後に生まれた唯一の男子なのですね。
どっかの家族構成に似てますね…妹がいるのは違うけど。
ついでにどっかの亀井静香似のおばちゃんが
歯ぎしりして羨ましがりそうなことに、
彼は弱冠十八歳で「世界のクロサワ」に見初められて
映画出演しているのです。しかも本当は
狂言指導をしていた万斎氏の父上に依頼して
十歳前後の能楽師の子供を捜していたそうで、
あの完璧主義者が当初の思惑を曲げてでも
使うことを決めたと言うのがすごい。
その頃未来の宗家は御年八歳。
何でうちの子も推薦しなかったのよ!位には
思っているに違いない(笑)。

そういうことを言うための本じゃないけど、
大体2つの観点から読み取って結論から言うと、
和泉元彌氏が宗家だと思ってるのは
和泉さんちだけのようです。
社団法人能楽協会、和泉流職分会、宗家会が
認めるところの宗家はいないとちゃんと書いてある。

本来門外不出の貴重な台本を見せて
もらえるようになるのも二十代後半で、
つまりそれまでは半人前と言うこと。
いくら早熟でも二十歳で宗家は早すぎると言えるでしょう。

それにそもそもプロは40人程度、専業者はさらに
その半分以下の小さな世界なんだとか。
当然みんな親戚状態。
簡略な系図なので誤解かもしれませんが、
元彌氏と万斎氏はまた従兄弟に当たるようです。
と言うか、和泉流の宗家って二人の祖父の代には
絶えちゃってて、養子に入って名跡を
継いだのが初世万斎の息子で和泉氏の祖父にあたります。
つまり「自分は宗家の息子だから、自分が宗家だ」
という理屈はかなり苦しいのですね。
宗家の息子なのは間違いないけど世襲と言う
前提はとっくに途絶えてるわけだし、
技術も父ちゃんの死以降野放しの彼と、
みっちりお師匠さんについて修行した
他の若手狂言師のどちらが上なのでしょう?
人望もなさそうだしねぇ。
とりあえずテレビで犬の鳴き声をやるのは止めて欲しいわ、
馬鹿っぽいから。

――で万斎氏に戻りますが、『陰陽師』も
そのうち観たいなぁ。映画行きそびれまして。
もうビデオになってるのかな?
去年秋晴明神社に行ったとき
ビラがあったから……ぐえっ、
あれから何ヶ月経ってるんだよ、と
時間の流れの速さに呆然としてみたり。


2002年04月25日(木) ダーク平安

『噂の皇子』<永井路子/文芸春秋>
永井路子的解釈に基づけば、
平安時代というのはあれでなかなか際どい時代だったようです。
どうものほほんと和歌ばっかり読んでいたわけでもないと。
例えば当時の人々がやたら怨霊を怖れたりするのも
一種のポーズであったりするわけです。
「前大臣の、崇りではあるまいか。」
そうひそひそ囁きあうのは怨霊となった人を
蹴落として栄光を手に入れた人が妬ましい公達。
また自分の罪業を悔いるふりして成功者は
誰が次を狙っているか、誰が今のところ使えるかを
鋭く探っていたりして――。

今流行の安倍晴明とか、永井氏が書いたらどんなかな。
結構クールでニヒリスト、でもパフォーマンスが
派手で権力者の心理を上手に読み取るしたたか者が
そこにはいそうな気がする。
でももう原材料が手垢まみれだし、
もはや新たな晴明像構築って難しいかしら。
蛙殺すエピソードなんか読み飽きたわって位
あちこちで使われてるもんなー。難しいか……。


2002年04月24日(水) 君を食べたい

『タブーの謎を解き明かす』<山内 昶/ちくま新書>
吉本ばななの『満月』<『キッチン』収録/福武文庫>で、
「どうして君とものを食うと、こんなにおいしいのかな。」
「食欲と性欲が同時に満たされるからじゃない?」
と言うシーンがありますが、
つまり性と食とはそういうことなのでした。
性的なことを食物とか食行為になぞらえるって
古今東西よくあることのようです。

そしてタブーにおいてもこの関係は
密接で、同じアプローチから読み解いたのが以下の説。
性交してはいけない相手としていい相手、
食べてはいけない肉と食べていい肉の
違いは自分との距離だそうです。
つまり、

近い 親子・兄弟などの濃い血縁=ペット=禁忌
やや近い 従兄妹などの血縁=去勢・雛の家畜=場合によっては可
遠い  他人=野生の鳥獣=可

ふーむ。なんとなく納得。
ところで万物の霊長たる人類の肉は、
まずいらしいです。


2002年04月21日(日) ↓大嘘吐き。

4年も付き合ったので、もうちょっとクレパラ語らせて☆
最終巻で14年前の悲劇がいかにして起こったか全容が
明らかになったわけですが。司という男装の少女が
生まれることになった背景が無闇に気になる私は大人だから?

司本人は惚れた男を救うためなら刺し違えても構わない、
と言った実母が自分自身のように思えてならないと
語っておりますが、私にはむしろ君の実父の御海道草氏が
竜二に似ていたのではと思えます。
病弱で誰からも必要とされていない、と感じていた
シバ氏にはわからなかったかもしれないけど、
草氏には草氏の、あらゆる人から期待される重圧、
定められた将来への鬱屈があったのではなかろうか。
それが(たぶん)温和で優しい妻がありながら
躍動的で力強い若桜への恋慕に至ったのではないかと。
自分を愛していないと知っている女を諦めるために抱く。
はっきり言って両性の合意の上で、と言うよりは、
レイプに近い状況だったと推測されるけれど、
そんなことして彼は本当に充たされただろうか。
私はむしろ暗い、茫漠とした狂気を感じてしまう。
――台詞もない人にここまで思い入れする私って変でしょうか?

名前も出てこない草氏の正妻は、
結果的には自分を裏切った夫と親友の間に出来た子の
出産をどうして泣いて迫ったのだろう。
女も闘えないと認められない極道の世界で、
親友にその仕事を肩代わりしてもらえることで
存在を認められていた彼女が、自分の立場を
危うくするようなことを望むだろうか。
夫の愛情と親友の好意、そして自分が産んだ跡目が
彼女の拠り所であったわけで。
外野に若桜に子供が生まれたことが知られれば、
名実ともに彼女を宝豪の聖妻に、なんて動きが
あっても不思議ではない。

それでも彼女は夫を許した。
たぶん彼女にはそれしかできなかったから。
そして夫と一緒に逝った――のだと思う。
何か全員が全員不幸だなぁ。だから悲劇なのか。

その分子供たちは幸せになって欲しいね。
話変わりますが1巻で竜二が
「1時間10万円で身体で払え」
と言ってたのは今も有効なのだろうか……。
それだと結構早いうちに借金完済できそうだよな、
二人とも若いし、跡目産んだらボーナスくれそう、
とかつい想像してしまう私はやっぱりイケナイ大人なのでした(恥)。


2002年04月20日(土) 一つの時代が終わった

『東京クレイジーパラダイス』19巻<仲村佳樹/花とゆめコミックス>
大仰に思われるかもしれませんが、私にとって
クレパラは青春の一ページだったかも、でした。
友達もよく洗脳しました、うふ。
ですから最終巻は非常に寂しいです。
19巻じゃキリが悪いしどうか番外編で20冊目を!
そして司&竜二の子供時代の話を描いてほしいなぁ。
と言うのは無理でしょうね。新連載も始まってるみたいだし。

表紙が1巻とお揃いの構図です。こうやって見ると随分
絵柄が変わってたんですね。気付かなかった。
二人の成長と言い切ってしまえばそれまでですが。
スーツの似合う男っていいですよね。ニヤリ。
ちょっと髪が伸びてプロテクターやめただけなのに、
司もすごく女らしくみえます。

しかしここまでうまくまとまるとは思わなかったな〜〜〜。
元々ヤクザの息子・竜二とポリスの息子・司(本当は娘)の
結ばれえない関係だったのが司出生の秘密でチャラとなり、
あとは司のこだわりの問題だったのが牙流会との死闘と
実母の遺言で軟化したところで最後の難敵・拓兄が
ああいう折れ方をするとは。
そう言えば司が竜二のボディガードになったのって
巨額の借金返済のためでしたね。すっかり忘れてたよ。

豪華書き下ろしがいっぱい入ってたので
もうそれで我慢してあげよう。
特にサイドストーリー朝来編が○。
女に極甘犯罪者に激辛、極悪非道ポリスにして
クレパラ最大級マッチョ宗像氏がお相手では、
もしかしなくても犯罪(年の差10)。
いやーん朝来ちゃん少女のままでいて〜〜。
でも「彼は朝来さんが可愛くてならないご様子」だし。
遊びに飽きると男は育てたがるっていうしねっ。
公衆の面前でわざわざ殴られてあげるってのも相手が
朝来だからだと思うのよ。じっくり待ってあげてねっ。
それにまあ本編での朝来の満面の笑顔!
ツンツン娘だったのに丸くなってまぁ。
お幸せにネッ。

それと竜二の実父・白神龍弥氏と育ての父・鴨島俊之氏は
18巻の表紙同様エンジェルになっての御登場。
作者が柱で明らかにしてましたが番外編の数字は
やはり仲村さんの勘違いだそうで、鴨さんは私と同い年。
てことは竜二の生まれる頃には写真より映像で
記録が残ってそうだけど。現に司の両親は
DVDのメッセージ残していたんだし。
でも2020年当時あきれるほどの日本人で
横文字嫌いなお方(4巻参照)なら
機械も苦手だったのでしょう。
そう言うことにしておきましょう(笑)。

とにかくクレパラ大団円だ!てやんでえ寂しいぞ!!


17巻

18巻


2002年04月18日(木) 人それぞれ 家それぞれ

本の出版は後ですが内容は『すべてがEになる』の前ですね。ややこしいなぁもう。
『毎日は笑わない工学博士たち』<森博嗣/幻冬舎>
自分の子供の学校行事参観を「時間の無駄」と言い放てる
貴方、御立派です……。ここまで徹底して、
誤解を恐れない態度を取れるのがすごい。
そう思うなら子作りからするなよ、とか
ちょっと思っちゃう私って性根が腐ってるんでしょうか。

――なーんてそんなのパパがビデオ抱えて運動会行く
今風の常識に染まってる証拠で、
うちのお父様も学校行事には数えるほどしか
来たことありませんが。それも小学校低学年のうち。
高学年になるといつ何があるかも知らなかったんじゃないかな?
私だってそれが普通だと思ってたんだから、別におかしくないか。
お父さんも来て欲しいとか絶対思わなかったし。
むしろ中学校の頃になると
「お父さん今日家に来るの?(←帰ってくるですらない)」
などと妾宅のような会話をしていたうちのほうが問題あり?


2002年04月15日(月) 我儘も美女の資質ってか

昨日の続きです。
『エリーザベト』 下<ブリギッテ・ハーマン著/中村康之訳/朝日新聞社>
彼女が末娘を溺愛していたことは有名ですが、
引用された日記を読む限りマリア・ヴァレリーにその
悪影響が出てなかったことは喜ばしい限り。
むしろ冷静で物事を客観的に考えられる聡明なお嬢さんだったよう。
それはもちろんお母様が旅に出たり乗馬したりフェンシングしたり
体操したりコルセット締めるのに1時間かけたりして娘に
構わなかった時間がたっぷりあったおかげといえるでしょう。
姉ちゃんもとっとと嫁に出してもらえたおかげで
優しい旦那とまあまあ幸せに暮らしてたようで、
そうなると家から出れない長男坊ってのは
母親の呪縛から逃れられなくてやっぱり可哀想。
いい加減三十路の息子の自殺を親のせいには
私だってしませんが、ここんちの場合家庭事情が悲惨すぎる。
大体絶世の美女を母親に持って普通の女と幸せになれるとは思えない(笑)。
この辺大人になって道を踏み外す芸能人二世を彷彿とさせます。

いかんせんルドルフの嫁さんが哀れです。
遠い国から単身嫁いできてみれば一番頼りにしたい旦那は自分を顧みず、
挙句の果てによその女と心中してそれを自分のせいと
一族中から責められて。
しかもエリーザベトが嫁に出した手紙がヒドイ。
お前は夫も父も娘のことも愛してないって
それ父ちゃんの葬式も行かなかったあんたのことでしょーー!!

この人思想的にはリベラルだったと言いますが、
私に言わせればとんだお笑いです。
自分の資産は着実に投資してしっかり抱え込み、
贅沢三昧の費用は旦那に出させて呑気に詩なんか書いてた人に
庶民への同情なんかされたくありません。
言行不一致甚だしい。
何と自分がハイネ直系の弟子だと自負していたそうで、
美人ってやっぱり自惚れが強いのね(ーー;)。


2002年04月14日(日) 佳人薄幸

『エリーザベト』 上<ブリギッテ・ハーマン著/中村康之訳/朝日新聞社>
確かに綺麗だわこの人。
写真が残ってる昔の人で美女とか美男と言っても
ぴんとこないことが多いのに対し、本当に美人。
しかも肖像画より写真の方がよく見えることがあるってのがすごい。
結婚前は周囲の誰もそうは思ってなかったってことは、
皇帝先見の明?

しかし出自がどうとかいろいろ言われて大変だったとか、
花嫁候補だった姉ちゃんがそのまま行っても
同じ目に遭ったのでは?
お妃教育については、待ってもらえたら良かったのにね
と同情いたしますが。
姉が見合いの時18だったのだからシシィもそれまで2年位
教育に費やしてくれたっていいじゃないのよねぇ。
皇帝だって晩婚と言われるほどのお年じゃなくてよ。

結婚したら即後継ぎ産め後継ぎ産めだし。
昔の(今もか)お妃さんってお気の毒ですな。
その上美貌が世間に喧伝されればされるほど
会う人会う人とくと見定めてやろうって感じだろうし。
被害妄想的・厭世的になっても仕方ないかも。
しかしその後の彼女にまでは共感できないなぁ。
以下、下巻の感想に続く。


2002年04月12日(金) いのちのまひる いのちのくらやみ

『永遠の仔』下<天童荒太/幻冬舎>
優希が医者を目指せるほど優秀な女の子だったっていうのは
ドラマでは出てなかったような気もするなぁ。
賢さを強調すると柴田になってしまうから?

このことに気付いてふと思ったのはベストセラーだからって
安易に映画化や2時間ドラマ化するのはいけませんな、
内容が骨太な長編ならなおさらね。
作家がそれだけの言葉を費やして練り上げた世界を
絵と音があればあっさり越えられるなんて考えちゃいけません。
だってこれだけ念入りに作られた連続ドラマでも
描ききれないことがあるんだから。

とは言えキャストがもろ好みだったので
最後はドラマでも泣けましたが小説でも。
そんなに自分を追い詰めなくても良かったんだよ、
あなたはとても素晴らしい人だよと言ってあげたかった。
もしかして優希が言えば喜んでくれたかもしれない。
例え本当に救われることにはならなくても、
二人で生きてみてほしかったぁ。
傷を舐め合うんじゃなく、そっと息を吹きかけあうように
いたわりあって、あの老夫婦みたく寄り添っていてほしかった。
生きて、いつか幸せになって。

余談ですが今回のタイトルはイメージから
谷山浩子の名曲『約束の海』の一節を借りました。
でも歌詞カードが行方不明なので一応平仮名(笑)。
“暗闇”から連想したのですが、
さらによく聞くと「あなたと出逢えた約束の海 約束の岸辺」
ってますます近いのでした。



『永遠の仔』上


2002年04月11日(木) ノーマ・ジーン・サスペンス

ふふふ、先日から伏線張りまくってたの、わかった?
赤い日記帳の話とか。それに
「ダイヤモンドは女の子の友達」
っていうナンバーがあるのだよ。私はまだ未聴ですが(笑)
マリリンの死に関する書は米国だけで百冊以上あるそうです。
すごい。
個人的にはマリリンには自殺であって欲しいかな。
キリスト教的には許されないかもしれませんが、
発作的に、とか。同じ悲劇ならせめて
自分で選んだ死であって欲しいと思う。
『マリリン・モンロー暗殺指令』<ドナルド・H・ウルフ/角川書店>
タイトルはトンデモ本ですが、内容は自殺説派の私でも
ちょっとだけ説得されそうになる力がありました。

本書によれば――法医学的知識がないので
鵜呑みにするしかありませんが、検死報告で
彼女の体内から発見された薬物は経口では
大量過ぎるそうなのです。胃の内容から言っても
やはり注射と考えるべきなのでしょうか。
当時検体が紛失したりファイルの書類がなくなったり、
ということがあったと言う噂も。
謎の人物の証言によると必要な調査が欠けた状態で734
ページあった報告書が54Pになったというのです。
それだけの力がある人物が影で動いてたということね。

これが本当なら、いくらなんでも眉唾モノの
「マリリンに隠し子説」も通るわな。
書類自体を改ざんすればいいんだもの。
ですがまだ二十歳そこそこ、駆け出しの女優だった
マリリンがケネディ(兄)の子を産んでいたなんて出来過ぎ。
アメリカのワイドショーまでは知りませんが
お盛んだったと言う彼の御落胤がいるって
話は他に聞いたことがない。
つまりよっぽど気をつけてたか金で始末してたってこと。
そしてこれから身体一つで売り出そうってマリリンが
わざわざ出産なんてリスク冒すとは思えない。

――自称隠し子をDNA鑑定しちゃえばすぐわかる話だから、
こんな真剣に論じる必要ないか(^_^;)。
検死したノグチ氏がちゃんと否定してますし。
ついでに胃の内容物についても一応の説明はされてます。
(余談ですがDNAと言えば、抽出する時は
細胞組織を布でくるんで金槌で叩くらしい。
最先端科学がそんなにアナログな技法だったなんて。)

まして死の一週間前、この本にあったような事件が
あったなんて信じたくないです。
しかもそんな状態で逢ったのが
ジョー・ディマジオとの最期の別れになったなんて
可哀想過ぎる。

大体他殺だったとして、それも知りすぎたためだったとしたら、
あの兄弟は職務上の守秘義務ってものをどう考えてたんでしょう。
頭空っぽ(に見える)金髪女には何言ってもいいと思ってたのか?
そんなわけで半ば私情でトンデモ本入り決定のこの本ですが、
唯一残ったのがケネディ好き者兄弟へのこの悪感情。
――そうかこの本の真の目的がわかったぞ、
ケネディ家のイメージダウンだ。正に正に。

関連書籍
『追憶 マリリン・モンロー』


2002年04月10日(水) これがホントの言葉の暴力(←大袈裟?)

『永遠の仔』上<天童荒太/幻冬舎>
ドラマ『天国への階段』(日本テレビ系列)の第一回の構成が
同じ放送枠でやってた『永遠の仔』ドラマ版とそっくりだったので、
急に思い出して読んでみることにしてみました。
あの過去と現在が交錯する展開、ややこしくて
見にくいと思ってたのにまたやるか。
もしかしてスタッフが共通してるのかなぁ。 
ドラマと言えば私は未だに許せないのが雑誌TVG(仮名)。
なななんと、放送もしない前に原作読んだ人が
キャストについて発言した思いっきり
ネタばれな投書を掲載しやがったのだ!!
あれは本当にがっかりした。
投書するのは個人の自由だけど掲載する側には
読者に対するそれなりの配慮ってものがある筈でしょ?

それは置いても、原作読んで改めて思うのは
ドラマの完成度の高さ。演技派を集めたキャスティングが
功を奏していたのですね。子役の体当たりの演技も良かったし。
これは原作先に読んでドラマ見ていても文句のつけどころが
そうなかったかもしれません。

小説で妙に印象的なのが、植物名がたくさん出てくること。
そしてそのおかげで自分の物知らずを痛感したことかな。
花木はまだわかるんですけどね。


2002年04月09日(火) ダイヤモンドは女の子の友達、男の甲斐性?

『宝石物語』<岩田裕子/大和書房>
サブタイトル『あるいは優雅なる美と狂気』と言うのが
恥ずかしくていいですね。
明らかに『チェーザレ・ボルジア 
あるいは優雅なる冷酷』<塩野七生/新潮文庫>
からきてるでしょ、これは。慶応大学で
歴史選考した方が何でこんなわかりやすいことするかな。

宝石物語なので、あくまでメインは宝石の美しさ、
それに魅せられた歴史上の人物は脇役です。
いろんな逸話があって楽しめました。
しかしジェイムズ一世が母メアリ・スチュワートの処刑にも
冷淡だったと言うの、これを読むまで
考えたこともなかったですね。
そうか幽閉期間が長いから、赤ん坊の息子も
青年に育ってるわけね。母親の助命嘆願をしてたら
いくら血縁上正しくても正にその死刑執行を命じた
エリザベス一世の後継者には選ばれないわな。
息子にも庇われないなんて不幸極まりないですが、
母としてより国王としてより女であることを
選んだんだから当然の報いか。

それと、誰が決めたのか知りませんが星座石というのが
あるそうです。誕生石が好みじゃなかったらこっちはどう?
とか紹介してあったけど、微妙にリンクしているので
例えば2月後半生まれの人はどっちもアメジストだったり(笑)。
宝石かー。今年の誕生日に何か手に入れようかなぁ。
あ、友人各位御心配なく。催促ではありませんので。
自分で買います、マレーネ・ディートリッヒのように。


2002年04月08日(月) 過去を推理する

『L.A.コンフィデンシャル』下<ジェイムズ・エルロイ/文芸春秋社>。
上巻から4ヶ月。どんな話だったっけと
推理しながら読みました、はっはっは(笑って誤魔化す)。
ロサンジェルスにテーマパークを作った、
アニメーションで成功した大富豪がと言えば、アノ人ですよね?
いいのかフィクションとは言えその大立者を殺人事件に関わらせて。
嫌いなのかなエルロイさんもアレ。田中芳樹と話が合いそうですね。

えっと、物語の後半は予想よりも面白かったです。
前半はと言うと、よくわからないまま読んでいたので(←おいっ)。
読み進めていって、あ〜そうそう予想外の人物が捜査線上に
浮かぶのよねと映画の展開もやや思い出しました。
ラストシーンの記憶は大体間違ってなかったようです。
原作では冒頭から五年とか時間が経過しているのですね。
映画はどうだったかな……。

ところで物語のキーパーソン、女優そっくりの元娼婦の
日記からラッセル・クロウ(が演じた役)が事件の真相を知る、
という場面がありました。
ご都合主義的でどうかな、と思いつつ、
彼女が日記を「緋文字」と呼んでいたあたりで
マリリン・モンローの赤い日記帳(ケネディ兄弟の
発言を詳細に記述していたと噂されている。
存在自体を疑問視する声もあり、所在は不明)を
連想したのは考えすぎであろうか。

上巻


2002年04月07日(日) 時は流れて

『天上の愛 地上の恋』9巻<加藤知子/花とゆめコミックス>
8巻から数年後。マイヤーリンクまであとX年。
そんな今回の見所は何と言ってもブラックアルフレート!です。
きゃぁぁ♪少女マンガとしてはやややでも個人的には
好みの年代です。あーそうか私が少女じゃないからか(自己嘲笑)。
年といえばルドルフ様、お子様もおありで本来ならば
立派なおひげをおはやしになっていても
おかしくないお年頃であらせられるのでは。
でもさすがにそれはNGか。

お子様連中も育っちゃいましたね。
マリア・ヴァレリーの性格が変わってないのは嬉しいけど、
アンナの顔があまり可愛くなってないのは悲しい。
輪郭が子供の頃と変わらないって言うか。横丸型なのですよ。
よくわからない方は安達祐美を連想してくだされば
間違いないと思います。
悲劇の美少女じゃありきたりですがね、ううむ。

余談ですが作者が金沢旅行で訪ねたという忍者寺。
ガイドさんが印象的だったそうで。
学生時分講義でいきなりそこのガイド募集した助教授がいたなぁ。
バイトだったかボランティアだったか忘れたけど。
ちなみに歴史学でも建築学でもなく寺の人と知り合いだと言う
心理学の先生でした(笑)。

、『天上の愛 地上の恋 特別編』


2002年04月06日(土) マンガマジック

『天然素材でいこう。』9巻<麻生みこと/花とゆめコミックス>
急展開の九巻。(作者談)
いいなーマンガの主人公って高校生なのに気軽に海外行けて。
作者も取材旅行したりしたのかなぁ。仏蘭西!羨ましすぎ。
息子の女友達に自分がマイルで貯めたチケットくれる
なるパパ太っ腹!あれって他人への譲渡オッケーなんですか?

それにしても振られてボロボロでもフランス国粋主義ジジイを
たらしこんでしまう(語弊あり)二美ちゃんってスバラシイ。
しかしたくましい内面とは裏腹に彼女の外見は
別シリーズのヒロインと区別するためなのか
フランスが舞台になってるからか、
随分と平板になったような。気のせいか?
逆になるママは初登場の擬音がどすこい
だった人と同一人物とは思えませんな。特に顔が。
シリアスな展開だからでしょうか……。
きっとお父さんの病気が心配でやつれたんでしょう。

8巻
『GO!ヒロミGO!』2巻


2002年04月05日(金) 地獄の釜 シシ神の首

『もののけ姫はこうして生まれた。』<浦谷年良/徳間書店>
本にもなってたんですね〜。
活字の方は作者の意見・感想がうかがえると
いう点で面白かったです。
もちろんビデオはビデオで良質のドキュメンタリーだと
思いますが、いかんせん詰め込める情報量に
限りがあるじゃない。「宮崎監督の貧乏ゆすり」
と書くなら10文字ですむけど。その辺のこぼれ話も
貴重で楽しかったです。

宮崎さんの次男のお話とか映像ではカットされてた気がするなぁ。
長男が美術館の館長さんなのは有名だけど。
それにビデオで見逃していたのかもしれないけど、
監督がシシ神の森にトトロがいない、って真剣に悩んでる話は
興味深かった。結局、最後に出てくるコダマが成長して
トトロになる、と御自分を納得させていたとか。
確かにちょっと似てますね。白いところとか。小トトロと。

トトロと言えば私映画館で買ったレターセットまだ
持ってますよ、と書こうとして探したらないんだなこれが。
大事に大事に引き出しの奥に入れて置いた筈なんですがね。
考えてみたら成人してから触った覚えがないぞ。
い、いつからないんだろう。ああショック。
今の今まで気にしてなかったとしても、
所有していると言う意識があるのとないのとでは
こんなに違うのですね…古女房に捨てられた旦那ってこんな感じ?

浦谷氏はプロデューサー鈴木氏と同年代だそうです。
彼らにはまだ田中裕子が若手女優扱いなのね……。
年齢って相対評価なのか。


2002年04月04日(木) 麝香の罠

『妖香』<ジョン・ソール/ソニー・マガジンズ>
表紙のデザインがいいです。
濃紫の光を黒い香水瓶の形で切り取って、
さらに中にお屋敷の写真…と言う多重構造。
因縁、小児虐待、多重人格などを繰り返しテーマで選ぶ人だそうで、
そう言えば『暗い森の少女』<ハヤカワ文庫>もそうだったなぁ。
しかしこっちの方が筆が円熟していると言いますか
真実が二転三転して最後までハラハラしました。
これは最近読んだ本の中でもかなりポイント高かったです。
ただ、虐待や暴力シーンは辛いですが。
読後感が重いのはそれに加えてやっぱりちょっと
自分と家族のあり方と重ねて考えちゃうからでしょうかね。
そんな大袈裟なもんじゃ全然ない、
私お得意の被害妄想だとわかってはいるのですが。
なーんか考えなくてもいいことを考えてしまうぞ。
こだわってもしょうがないと思うんですけどね、
どうもなかなか逃れられませんね。どよーん。


2002年04月03日(水) 西之園もなんのその

『すべてがEになる』<森博嗣/幻冬舎>
恐ろしく文字の多い本です。しかも横書き。
もともとはweb上で公開されていた日記の活字化です。
最初にオンラインでただで見られるもんを
本として出版する価値は、とか悩まれたようですが。
それはパソコン画面より目が疲れないということに尽きるのでは。

えー、人の文章一年分まとめて読むと文体が
似そうで怖いな、話題も多すぎてどこに言及すればいいのやら、
一番笑ったのがアロハシャツで黄色のビートで出勤するため
近所の人ではまともな職についてないと思われてると言う件。
昔習った学校の先生が同じようなこと言ってたなぁ。
角刈りでギョロ目、おまけに
部活の顧問だからと柔道着肩に担いで出勤してて、
近所でアパートの大家してるじいさんに
職業を聞かれた時しなくてもいい謙遜して
「いやあ、たいした仕事じゃありませんよ!」
と言ったらその週のうちにそこは全戸エアコン完備に
なっていたと言う(笑)。何だと思われたんでしょうね。

あと子供の運動会に行くか行かないかって
親の趣味や主義じゃなくて一応の義務だと私は思うけど。
自分が行きたいかどうか、も大事だけど
子供が来て欲しいかどうか、もあるんじゃないの?
きっと森さんは親なんかうるさいよと
考えるお子さんだったんでしょう。
子供が嫌いだと公言してる人にお子様がいらっしゃるのは、
ちょっと不思議ですが。人生ってそんなもん?

奥さんはたぶん西之園萌絵のモデルなのでは。
お嬢様でちょっとだけ浮世離れな性格の方のようにお見受けしました。
でも萌絵より強烈な自己をお持ちのような気も。

しかし多趣味な方です。
書棚の本を見るにつれああこれの10%が模型飛行機や
奥方のピンクハウスやキョロちゃんグッズに…とは
全然思いませんが。
この方の作品がよるの電脳化に一役買った事実は
否めませんな。大体この日記書かれた頃の私って
「スクリーンセーバー=低迷する日本映画界の救世主」
とか思ってた…と言うのは冗談ですが近いものがありました(笑)。


2002年04月02日(火) 太田ひかりなのね〜〜

妹が「古本で買ったけど面白いから、読め。」
と押し付けて引っ越してしまいました。
ハードカバー一冊分荷物減らして行きやがったな(笑)。
『爆笑問題の日本言論』<爆笑問題/宝島社>
ええ、面白かったです。
ネタが古いのはしょうがないやな、古本だもん。
でも95年って未曾有の事件・災害が
連発した年だったんだと改めて思いました。
その中に菊地桃子の婚約が混ざってるのが場違いで
笑えます。結婚ですらない(爆)。
このへんが月間連載の苦しさっぽくて……
太田サンお疲れ様っ。
ずぅっとひかると読むんだと思ってたわ、
ごめんなさい。
後は…田中のツッコミが実演より表現力豊かですね。


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