よるの読書日記
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マリリン・モンローと言うとイメージしてしまうのが、 なんとなくいやらしい感じの金髪、 豊かな胸や腰を強調するような動き、 なまめかしい表情でこってりした赤い口紅に 甘ったるい声。
正直言って同性に最も嫌われるタイプの女性だ。 しかし、いつも実際の写真や映像を見ると、自分のイメージが そっくりさんやものまねの手による粗悪なコピーだったことに気づかされる。 先に述べた条件が全て当てはまるにもかかわらず、 彼女は息を呑むほど美しい。
「追憶 マリリン・モンロー」<井上篤夫/集英社文庫>は、 検死官(日本人だったって初めて知った)や最初の夫、 友人や写真家13人にインタビューしたノンフィクションである。 帯に ‘みんなマリリンが好きだった’とあるが、 本当に彼女は男女問わずあらゆる人に愛されていたんだと思う。 そしてその人たちの目を通して浮かび上がるのは、 寂しがり屋で優しく、かわいい無垢な女性である。 遅刻魔だったとか演技が上手じゃなかったとか、 もし自分が現場にいたらやってられなかった一面もあったろうけど、 それでも許してあげたくなるような印象だ。
松本侑子は小説「偽りのマリリン・モンロー」<集英社文庫>で ヒロインにこんな台詞を言わせている。 「(前略)でも私だって、彼女を放っておけない気がするわ。 もしモンローが生きていたら、きっと彼女のために 何かしてあげたいと思うに違いないわ。」
来年で没後40年。亡くなったのは36歳、 奇しくもあのダイアナ妃と同い年であった。 二人ともこれからも語り継がれていくんでしょうね、 伝説の美女として……。
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