よるの読書日記
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『バロン 猫の男爵』<柊あおい/徳間書店> ふふふパートさん(4児の母)に貸してもらっちゃったぜ。 何してるんだ店長。 えぇー。正直読んだあと、映画館まで観に 行きたいとは思わなかったかな……。 そう言えば『耳をすませば』<集英社>も少女漫画としては あまり評価の高い作品ではなかったと思う。 設定を生かしきれてないというか、本人も消化不良とか どこかで語ってた気がする。 まーそれを言ったら『星の瞳のシルエット』<集英社> なんざ今読んだらヒロインの極悪ぶりに眩暈がいたしますが (友達のためにわざわざ両思いだってのに身を引く女。 馬鹿にしてるとしか言いようがない) 本来少女漫画家としての彼女を語る上では代表作だと思うし、 少女漫画史を語るとしても不可欠だと思うのだけれど (だって200万乙女の恋のバイブルだぜ) 宮崎駿という才能が目をつけ原作以上の作品にしちゃったからには もう柊あおい=耳をすませば、猫の恩返し なのである。
ああ。何だかそれってお話作り屋さんとしては哀しくないか? 前のはもう連載も終わっていたし、まだ名誉だと思ったけど。 今回のって映画化を前提とした書下ろしだとか。 それってなんだかなぁ。 大体ファンタジーってのは映像化が不可能とか言われていたのが 最新のSFXを駆使したり何だりででまぁそこそこのを 作って、でもやっぱり原作の方が、と通ぶった人(私とか)に 言われるのが筋なのである。最初から映画が原作を超えることを 前提のような今回の原作、昔「柊あおいの連載が載っているりぼん」を 楽しみにしていた子供だった私には、ちょいと切なかったぞ。
| 2002年05月21日(火) |
見えざる者 我を導く |
何だか最近、作家と小説との関係、というのが読書の上での 隠れテーマのような気がします。こういうテーマは 自分で決めるのでなく、無作為に本を選んでいても それに関するものが引き寄せられてくる気がする。 で、『天啓の宴』<笠井潔/双葉社>もそうして やってきた本です。 思えば笠井潔という作家を知ったのも小説を 読んでいてのことでした。 その著者の吉本ばななというお人は私の知る限りでは 小説の重要な場面に置いて他人の書いた小説を使う、 というのを二回ほどやっているのですが、これが まともに大学出たとは思えない(やや誇張あり) ろくでもない引用のやり方で。 今ならインターネットの検索サイトにキーワード入れれば すぐ答えが出ると思いますが、 中高生時代の私にはきつかった。 一回目は『TSUGUMI』<中央公論社>で つぐみがまりあにあてた手紙に『デッドゾーン』という タイトルとあらすじだけをちょっと書いてあるもの。 これはこのあとエッセイとか、他の本のあらすじから スティーブン・キングが好きだと知って、そこから探して ようやく新潮文庫から出ているのを見つけました。 4年くらいかかったかな。
そして2回目が『アムリタ』下<福武書店>で、 転んで記憶をなくした主人公が偶然書店で手にした 『哲学者の密室』(私は未読)を読むうちに それがかつて自分の愛読したシリーズの続編だと 気づき、そのうち押し寄せるように記憶が戻る――という場面。 これはまだ作者名、大体のタイトルが列挙されているから (2作目は『アポカリプス殺人事件』じゃなくて 『サマー・アポカリプス』<創元推理文庫>だけどね) いいですがやっぱり出版社がどこにも記されていなくて、 半年か1年くらいかかったように思う。 小説だからその中できっちり書けとは言わない、 巻末にわざとらしく謝辞書けとも言わないけれど 歌詞なら一部分でも必ず著作権関係きっちりなってるのに 出版物についてのこのアバウトさはどうだろう。 本人じゃなくても周囲に何とかして欲しかった私。
なれそめ話が余計に長くなりましたがそうやって見つけて 読んだ笠井さんは、――難しかった。 難しい。哲学的。でも面白い。 面白いんだけどその面白さをうまく表現できない。 何だかやたら難しかった。 そして、久しぶりに読んだこの本は、 圧倒的に面白くてやっぱり難解でした。 読書の神様(いるのか知らんが)って意地悪ね。 ほぉらお前なんかまだまだ井の中の蛙なんだよと からかわれているような。 チクショー釈迦の手の上の孫悟空の気分よ。
| 2002年05月20日(月) |
一つ屋根の下だだっ広いバージョン |
前回見合いからの駆け落ち、というハードな展開で 「つづく」だった『MとNの肖像』<樋口橘/白泉社>、 つづきは予想通り男の実家に転がり込んでました。 まぁ高校生だもんな。しかし何気にマンガの世界では 高校生でも同棲(類似品に同居・同室・隣人etc.)多い気がしますな! できちゃって女高校中退して結婚、とかは どこにでもある話で夢も身も蓋もありませんが、 好きな殿御と帰ってからも一緒、 というのはやはり乙女の夢なのか。 しかしこの物語の場合彼の両親に理解があって、 と確か前に書きましたが訂正、彼の母親(元女優・40)が 理解を超えていて(笑)大変なことに……。 豪邸名こともあって肝心の二人は超すれ違い。
こんな自己中心的で乙女チックで常にドリーム入ってて 世間知らずで傍迷惑な人、天草パパ(社長・56)という 庇護者と出会えなかったらまず間違いなく 悪いプロデューサーに弄ばれて不倫スキャンダルとか 悪いカメラマンに騙されてフルヌードすっぱ抜かれたり 悪い男優に利用されて暴露本とか出されたりしていたに違いない。 いたずらに世間を騒がせなくて済んで良かった良かった。 とりあえず今回の犠牲者の一人、ヒロインみつるちゃんの 苦悩は続くようです。ま、マゾだからちょうどいっか。
4巻 3巻
大体皆様御推測なさっているとは思いますが、 私は最近この日記の執筆が大幅に遅れております。 それにしたって2ヶ月はあんまりだと思って 最近何とか差を縮めたいとは願っております。 で、本を読んで2ヶ月経った今の私は 何でこんな本(著者様ごめんなさい)読んじゃったんだ、 と実は思っている。虫の知らせっぽくて嫌な感じ。 『お骨のゆくえ』<横田睦/平凡社西日本新書> 前方後円墳とかピラミッドを現代で再建すると、の 人件費その他もろもろの試算が馬鹿馬鹿しく巨額で 笑えました。 他にも世界火葬協会があるのは実は英国だとか、 火葬率の一番低い県は高知だとか、知らんでいい 知識をまたたくさん得てしまいました。こういうのは 割と忘れないんだけどなぁ、私。
ところで私の住んでるところは西と東の境界線で、 甲子園なら東端(たまに一回戦で隣県と当たってしまう) カップうどんなら関西風、食文化風習その他も 県内東部西部で異なったりするのですが。 西日本は納骨喉仏だけって話は初めて知りました、マジで。 しかも言葉足らずに「納骨って喉仏だけ?」 と母に問うたら「本願寺に送るのはね。」 と答えられて更に混乱…何それ浄土真宗……。 整理すると、どこからどこまでかはわからないけど 西日本では全部お骨は拾わないで 喉仏だけをお墓に納め、残り(つまり遺骨の大部分)は 専門の業者さんが細かくクラッシュして慰霊碑行き。 東日本はほとんど拾うので、わずかに残った残骸だけが 供養塔みたいな所に入るそうです。 んで、全部かは知らないけど浄土真宗の信徒さんは 京都の本願寺に喉仏を納めるらしい。 でも本願寺のHP見たけどそれらしき情報は わかりませんでした。各自が檀家になってるお寺に 窓口になってもらうのかしら。
蛇足ですが我が家の犬の遺骨は去る七夕 母が甕ごと庭の紫陽花の根元に埋めちゃいました。 「いつか引っ越しても連れて行けるように」らしいです。
私、山村美沙って読んだことないんですよね。 西村京太郎のは少し。父が十津川警部とか読んでたから。 なので私が知っている山村美沙関連の情報は 原作を用いた二時間ドラマと『知ってるつもり』、 そして『女流作家』<西村京太郎/朝日新聞社>だけと いうことになります。
西村さん(独身)と山村さん(一応夫あり)が お隣でしかも両家が渡り廊下でつながっていたというのは 知っていましたが。この本では二人の一見奇妙な関係を 馴れ初めから語ってくれています。 もちろん名前は別名になってるし、 学生時代の級友が作家になったのに触発されて 小説を書き始め、やがては生涯のライバルに…… みたいないくら女流ミステリー作家が少ない時代とは言え ほんまにあるのかそんな話、というエピソードもあって どこまでが事実を元にしていてどこからがフィクションかは ちょっとわからないのですが。 時刻表ミステリーは編集者や読者の要望が強かったから 書いてるだけで本当はもっと違うものを表現したい と言うのはまず間違いなく本音でしょうね(笑)。
しかし京ちゃんの愛が満ち満ちて垂れ流し状態の本です。 愛という名のバイアスってなんて強力なんでせう。 編集者電話で怒鳴りつける(それもたびたび)なんて 話さえも「もう、うちのミサちゃんたら わがままで気分屋さんだよねぇ、ふぅ…でもそこが 可愛いんだけどねっ(はあとまあく)。」 みたいな感じです。ちなみにつむじ曲がりの特効薬は 胡蝶蘭だったそうで。 他にも大物作家に迫られたり担当さんがほの字だったり 胸大きいし学生時代はキャンパスの華だし、 そのわりに女友達は将来日本のクリスティvsトリックの女王と して対立するヒトしか出てこないみたいだし、 何だか嫉妬心と独占欲ともう君しか見えない的偏見を 考慮して読んであげないと 「男の人ってどうしてみんなわたしのこと 好きになっちゃうのかなぁ…?一応ヒトヅマなのに。 もうっ。ミサ困っちゃうっ!」とか言ってる勘違い女と それを間に受ける馬鹿男に見えてきそうで怖いです。 正式に結婚してないってだけで男と女の緊張感って ここまで持続するんですねぇ。覚えておきます。 そう言えば山村美沙サスペンスは結婚前カップルが多いですな。
| 2002年05月16日(木) |
お利口さんコンプレックス |
『八月の博物館』<瀬名秀明/角川書店> 文系理系と言いますが、結局真に頭の良い人って 両方凡人にはかなわない域にあるのよねん、 とグレモードな気分に打ちのめされる超文系人間が ここに一人。 瀬名氏が研究者としての地位を確立しないうちに 作家として名声を得てしまったため、 どっちの分野でもやりづらくて苦しんでいるようだ、 とはご本人に直接会った森博嗣氏のエッセイにもありましたが。 ふん、ちょっと贅沢な悩みかもね。(拗ねてます)
物語にも評論家に「文系をなめるな」と評された 作家がやや落ち込み、悩み、そして新たな創作を 模索する場面が出てきます。その評論家は オマエ文学論とか全然読んでないだろう、 もっと勉強しろよバーカみたいなことを言うのですが。 今その手のをちゃんと読んでるのってほんまに 大学で専攻するような人だけでしょう、 少なくとも若い世代においては。 文学論を読んで理解したからって感性や想像力が 磨かれるもんでもないと思うしなぁ。 なんか理系人の文系コンプレックスを逆手に取った 負け犬の遠吠えみたいで不愉快でした。 そして何が嫌かってこういうことを本当に言う 化石親父が現実にいそうなことだよね……。
小説の方は、少年(主人公A)の冒険談として わくわくして読むも良し、作家(主人公B)の 執筆活動をリアルタイムで覗く気分で読むも良し。 私は『パラサイト・イブ』<角川文庫>より 面白く読めましたよ。 それはやっぱり「えっ嘘やだ信じられない そんなこと有り得るの?でもよる馬鹿だからわからなーいっ。 でもこんなこと本当に起きたら怖いよ〜〜」という より「ああもう嘘嘘全部お話オールフィクション」 という余裕から来ているのかもしれません(笑)。 それでも最後に「瀬名さんあんたもしかして……。」 と思わせるところがミソ。
『仁木兄妹の探偵簿1 妹の巻』<仁木悦子/出版芸術社> やはりミステリ好きな方は宮部みゆき氏を仁木悦子氏の 後継者として見ちゃうようですね。 やっぱり子供の書き方がね、うん。 ところでこのシリーズにはもう一冊長編版があるらしいです。 嬉しいなぁ。 しかし仁木兄妹(妹の方は改姓してるけど)の事件簿とは言え 結婚後はほとんど単独行動……当たり前ですが。 しかしその分事件遭遇回数は二人分合わせると増えている、かもだ。 もっとも仁木さんって割と寡作の方だと思うし、 旦那新聞社に勤めてたり悦子さんがやたら交友関係広いので まぁたまーに事件に遭ってもしょうがないかもしれませんが。
ところで最近テレビの2時間ものとかではOLだのスッチーだの 芸者だとかお局様とか様々な素人探偵さんが目白押しのようですが、 何で皆そんなに事件に首を突っ込みたがるのだ(笑)。 大体必ず2〜3人組らしいが何で一人くらい 「ねえ、警察に任せようよ。」 と言わないのだ?と不思議でならない私。 さらに好評だと続いて事件に遭うところがまた不思議。
『仁木兄妹の探偵簿1 兄の巻』<仁木悦子/出版芸術社> 世の中、心ある人ってのはいるもんです。 仁木悦子の作品、しかも名探偵仁木兄妹の 活躍を集めた作品集。一応『兄』『妹』と 分かれていますがお互い結婚後は交流はあるものの 別々に事件に遭遇しているためどっちかというと 悦子さんの方が出番は多いです。
文体が当時のままなので仕方ありませんが 死語が多くて笑える……慎太郎刈りとか(笑)。 どうしても今の都知事の髪型を連想してしまうのですが この場合は若い頃の弟君を思い出す方が正しいの? ところで先日新聞の見出しに慎太郎都知事って 出てましたが、現都知事は日本にひとりっきゃ いないってば、と妙におかしかったです。
『ルー・ガルー』<京極夏彦/徳間書店> 私は氏の戦後とか江戸時代ものしか読んだことがなかったので どーかなーと思ってたのでしたが、案に相違して 近未来もの、面白うございました。 女の子が元気に暴れ回る話って、好きなのですよほほほ。 その代わりおっさんがちょいとだけ出てくる以外 男の子はほとんど出てこなかった気がするが、笑。 環境ホルモンで男性能力低下中って感じだ。 性犯罪が少ない世界と言うのは、大変喜ばしいですけれど。 こんなんでこの時代皆どうやって知り合って結婚するんだろう? やっぱ出会い系か?出生率とかも低そうだよな〜〜。
未来ってこんな感じかもなーと思わせる筆力がさすが。 食品は全て人工合成食(味・成分は同じ) 常に端末を持ち歩き、リアルショップはほとんどなく ほとんど自宅学習のため子供達の交流を図るために 学校が存在する――とか。 あんまり楽しそうじゃなくて温度低そうな感じが 何とも言えず今私が持ってる未来感っぽい。 明るい未来なんて、もう誰も期待してない この時代らしい小説です。 そんな中で過保護に無個性に育てられたかのような 少女達が生命力を発露させて輝いてるのがんも〜〜 ツボなんですぅ。
<注意!> この文章はSIDSを否定するものではありません。 また、SIDSでお子様を失った方を非難するものでもありません。 失われた小さな命とその御遺族に対して 私は深い哀弔の意を表します。
乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome;SIDS)。 健康体で生まれ、正常に発育していた赤ちゃんが 突然亡くなり、解剖しても死因が見つからない。 ほとんどが睡眠中に起こることから「ゆりかごの死」とも 呼ばれる悲劇です。
『赤ちゃんは殺されたのか』 < R・ファーストマン&J・タラン 実川元子訳/文春文庫> は、これにより5人もの我が子を失ったとされていた女性が 実は殺人犯であり、さらに医師がそれを症例として 医学界を席巻するような学説を立てていたことを 約二十年ぶりに解き明かした事件を追ったノンフィクションです。
いやぁ、読み応えありました。おかげで寝不足になった。 衝撃的なタイトルに惹かれて購入したのですが、 本体価格千円は損じゃなかった。 保険金目当てと思われる父親の我が子連続殺人事件から始まり、 担当検事がSIDSの論文から兄妹5人が死亡している事例に注目、 長い歳月をかけて事件として立件できないかを 模索する過程を描いた第一部に続き、 一人の女性が自分のお腹を痛めた5人もの子供達を次々に 殺害した過去を解き明かした第二部。
5人ですよ5人!当然ですが周囲の皆がおかしいと思い、 怪しみながらも親が子を殺す筈がない、 子を失った不幸な女性をさらに傷つけてはいけないと 自分に言い聞かせながら見て見ぬふりしていたわけです。 確かにこんなこと身近にあったら難しいですよね〜〜。 こういう不幸が何回も身に降りかかる人が広い世界に 一人もいないとは言い切れないし。 大昔なら貧困やら疫病やらで家族が次々 亡くなることだってあったろうしね。 でも5人です。しかも末の二人は医師の熱心な観察を 受けていながら、一時退院の直後に死亡。 母親の異常さに気づき、何度も医師に進言しながら 認めてもらえず無力感に苛まれる看護婦達のやりきれなさは 涙なくして読めません。なぜなら医者の方は自分が作った セオリーに当てはまるデータが欲しくて欲しくて しょうがなくて、患者の家庭環境には目もくれず、 そして看護婦は医者に逆らってはいけないから。
最近の研究ではSIDSは遺伝しないと言われています。 もし一つの家族にくりかえし乳幼児の死亡が 続くなら、それは殺人の可能性が高いということ。 親が自分の子を殺すなんて本当におぞましいことですが、 残念ながら今日も世界のどこかでそれが行われているのでしょう。 そして、虐待は目の見える形であるとは限りません。 例えば食物を与えられない子供は餓死ではなく、 抵抗力を失って肺炎で亡くなったりするのだという――。
また信じがたいことですが、世の中には 代理型ミュンヒハウゼン症候群という虚言症を 持つ人がいるのだといいます。 私の覚えてる限りでは『臓器農場』<帚木蓬生/新潮文庫> 『死体農場』に この症状の女性が出てました。 ちなみにタイトルが似ているのはたぶん偶然です。 おかげでこの病名が既にソラで言えるワタシ……。 何話かわからないけど『ER』でもエピソードに 使われてたっけ。一応解説を入れておくと ミュンヒハウゼン症候群と言うのは症状を訴えたり 病気になるようなことをして周囲や医療関係者の 関心同情を集めようとするもの。代理型はもっと悪質で 子供などを病気に仕立て、死に至らせるケースもあります。 問題の女性がそうであったことはまず間違いないと思う。 家計を圧迫するほどの病院通い、子供を遠ざけてでも 文字通り夫の膝を独占しようとする態度など。
そして第3部は緊迫の裁判。法廷劇のようでハラハラしました。 ちょっと思うのですが容疑者の女性は無罪を訴えていたので この場合は関係ありませんが、弁護側が容疑を認めた上で 容疑者がミュンヒハウゼン症候群であり、 精神面で問題があったと訴えたらどうなるんでしょうね。 人の関心を引くためには自分や我が子さえも害する一方 自分が疑われないよう、またはより注目されるためには 平気で嘘をつき、周囲には変わり者だとか評されつつも 一応の社会生活を送っている人間。 この病気が争点になった場合、精神医学及び司法は どういう判断を下すんでしょう、何だかちょっと怖い。 怖いついでに判決が出た後もその医師は無呼吸説を唱え、 呼吸モニター(無呼吸状態が続くとアラームが鳴る)の 有効性を訴え続け、某大手(非ペプシ系)コーラ会社 などから資金提供を受け続けているのだそうです、ひぃぃ。
さて、最新のトピックス。 アメリカではあおむけ寝キャンペーンを 始めてSIDSが2年で30%も減少したそうです。 さらにたばこの煙にさらされている赤ん坊はSIDSの危険性が そうでない赤ん坊より2〜3倍も高いと言われています。 ――何年か前、日本でうつ伏せ寝流行らなかったか? 頭の形が良くなるとか言って奨励してた奴までも 悔い改めてなかったらどうしよう?
| 2002年05月05日(日) |
not love but like |
『暁の天使たち』<茅田砂胡/中央公論社> 前言撤回。私、このお方の前の作品買っても借りても ないのに知ってるわ……やっぱり本屋で読んだのか? でも一応立ち読みは読書にカウントしてないので、 そのうちちゃんと読んでアップいたしますね。
えっと、『デルフィニア戦記』<中央公論社>の方は しっかり読みましたから言えますが、 ほほうこうつながるのか、って感じ。 完結した作品蒸し返すなという苦情が 作者に寄せられたりもしているようですが、 そういう人は作者が亡くなって未完のまま終わった 作品とかは絶対認めないのか? メデタシメデタシで終わる御伽噺でも読んでろ!
ところで相変わらず美人(男女問わず)がうようよ 出てくるわりに殺伐と色気のかけらもない文体ですな。 なんでこう恋人・夫婦・愛人関係とか書いても 竹を割ったようにさばさばしてるんでしょう、 作者の性格なんでしょうかね。 愛がないわけじゃないんですが、人類愛とか 兄弟愛とか、普通の恋愛がない。 それが悪いとは言いません。私の愛なんざ 8割自己愛1割5分家族愛5分隣人愛ですから。
『キッズトーク』<柳原望/白泉社> 私はコミックス派です。 以前は雑誌の立ち読みもよくしましたけどね。 最近はめっきり回数も時間も減りました。 本屋さんのためには良いこと…なのでしょう。 その代わりついでに他の本を買う回数も減ったがな。 うーんこれ、買う前に一部でも読んでたら買わなかったかも。 イチローだって全試合ヒット打ってるわけじゃないもんね……。 どの作品も面白いと言うのが理想ですが、 そうはいかないのが創作の奥深さ。 いや、面白くないわけではないのだが…… 「コメディを描く」という目標から言えば、失敗? でも英国はいいよねー 林望さんのエッセイとか高校時代読んだなーー。 フィッシュ&チップスを街角で頬張るのが夢。 でもいくら御曹司だからって、そして紳士の国だからこそ、 お坊ちゃまが名門大学行かずに十八歳でホテル王って 設定は無理がないか?少女マンガだからいいのかなぁ?
『さんさんさん』2巻
| 2002年05月03日(金) |
タイムマシンにお願い |
『彼氏彼女の事情』13巻<津田雅美/白泉社> ブラック有馬編。 「高校時代の一日は大人になってからの ひとつき分よりはるかに貴重」(3巻参照)。 なのにいきなり3年生にスキップかい。 しかもその間一見円満、でも少しずつ 離れていったのかと思うとなんだかやりきれないなー。
しかし「子供の頃いじめられてた」と 彼氏に聞いてなんでやり返さないと怒る宮沢さん……。 つええ。 こんな彼女がいるのに暗黒街道まっしぐらの有馬君。 ちょっと不憫ではあるが、 1巻で既に雪野が本当にスキって 欠点や傷も全部含めて言うこと、とか言ってた筈なのに。 大体君のシグナルは些細すぎてわかりにくいぞっ。
そう言えばこの二人神奈川在住なのね。 そして神奈川と言えばメイン二人が出会ってから約二年、 一番変わった神奈川犬ペロペロ。 ある日蛹が蝶に孵るように 美しくなるって哺乳類だぞオイ。 てことは兄弟犬(4巻参照)プリプリ・プルプル・モコモコ ニコニコ・ジロジロ・ムチムチ・ダラダラ ヘロヘロ・エロエロも美しく成長しているのか……。
12巻
『最後から2番目のキッス』<林あまり/河出書房> 今に輪をかけて清らかな乙女だった頃、 河出書房から文庫版でこの方の歌集が出ていたのですが、 結構生々しい性を詠った短歌が見出しになっていて ギョッとした覚えがあります。 おどろおどろしくて中が読めなかったくらい。 あれはそういうのがウリと勘違いされそうだから 止めた方が良かったんじゃないかなー。 若い女性がふしだらな、とか言う意見への 挑戦だったのかしら。と『サラダ記念日』<俵万智>が 優等生チックに思える今ならやや好意的に解釈できますが、 オンライン書店で検索かけた現時点では 入手はもはや困難そう。ああすれ違い。
この中には私と「誰よりも美しい死体になるだろう」から 愛した少女とが出てきます。うーん、耽美。 でも本当にその少女が実在する対象なのか、 あるいは本人の中にある少女性か 記憶として存在する過去の自分ではないのか…などと 穿った見方をしてしまったりも。
女の子はいつから女、になってしまうんでしょう。 あけすけに性を語る少女に比べて大人の女は とても窮屈そうなのに。 生理痛が軽くなるなら子供産んでもいいのになぁ、 なんてけろっと言えてしまうのは、 そんな可能性を本当にはしていないからで。 ヤダヤダあんなふうに年はとりたくないぜ、 と思っていてもお肌は曲がるし性格も曲がるし 仕事だの恋愛だの人間関係だの、 生きてるだけでストレスはたまる一方で。 でも、今日も負けずに戦う同志達に敬意を表します。 ついでにわたくしの仮想敵は客のおっさんズです。 はっきり言って戦いの果てに図々しくなったおば様方より 弱いものにばっかり威張ってみせるおっさんの方が 性悪です。腹立つったら。
| 2002年05月01日(水) |
花占いみたいな感想文(スキ、キライ、スキ…) |
『地球儀のスライス』<森博嗣/講談社文庫> 犀川氏&西之園嬢も御登場の短編集。 ふと気づいたのですが私、萌絵さんはあんまり 好きじゃないけど高貴な、とか表現されちゃう所も 浮世離れした言動も含めて 将来像に近そうな叔母様は好みらしいです。 この差は微妙にして絶大です。 自分が風の谷に住んでたとして(突飛な例えでごめん) ナウシカに「姫姉さまー!」としがみついていける世代は いいですが、何かと言うと比較されて見習えとか言われる 同世代だったらやっぱりしんどいだろうとか思うもの。
あとは…ですね、一人称に僕を使う女の子は いかがなもんでしょう、不自然じゃありませんこと? 歌詞とかで使うのはいいんですが、 日常生活で使ってる人って最近では見かけないぞ。 と言うかはるか昔に生息してたそういうタイプの芸能人って ボーイッシュなふりして大抵ぶりっこだったから、 どうもいいイメージないのよねぇ。
『すべてがEになる』 『毎日は笑わない工学博士たち』 「数奇にして模型」 『有限と微小のパン』
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