よるの読書日記
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| 2001年11月06日(火) |
萌える寵愛 ときめく恋慕 |
――◆筆者からのお願い◆―― 今日の日記ははっきり言ってとち狂ってます。 もう先に謝っておこう(笑)。解説が多めですが彩さんみたいな 専門家からご覧になると片腹痛い拙さだと思われます。 間違いがあったら容赦なく突っ込んでくださいね〜〜。
発売日の今日近所の書店に夜八時頃行ったら、売り切れだって 言われちゃって別の本屋に行きましたよ。3冊しか入荷してないのも どうかと思うが、『天上の愛 地上の恋 特別編』<加藤知子/ 花とゆめコミックス>の熱烈なファンがご近所にもいることを喜ぼう…。
さて、「人がバタバタ死んでそして誰もいなくなっちゃうような暗い話」 が好きで「いつか必ず・・!!」<『HOLD OUT!!』1巻あとがき> と思っていた加藤さん(公式サイトの呼称は総長様)の最新作ですが、 ハプスブルク家の英明な皇太子ルドルフと、聡明でやがて司祭へと 成長する少年アルフレートの運命的な物語。彼は天上の神への愛と 地上の神ルドルフへの恋に苦悩する。いわゆる歴史パロディってやつです。
史実のルドルフ様は美貌で知られるお母様エリザベートほど知られてない と言うか。物知りな方は『うたかたの恋』という映画でご存知かも。 私は観たことありませんが…。一国の皇太子がうら若き男爵令嬢と 情死を遂げられたのです。当時としてはすっごいセンセーショナル。 これも陰謀説だの父への反発説など諸説あるようですが。 『ハプスブルク』と名のつく歴史関係の本の最後の方をぱらぱら拾い読み したところ(←ちゃんと読めよ)、彼への評価は「馬鹿息子」「遊び人」 「甘ったれ」「妻泣かせ」に尽きる感じ…。だからパロディなんだってば!
さて、『特別編』は番外編ばかりを集めた形なのですが、内容はお得意の コメディから彼女の作品で最も暗く救いのない物までの闇鍋<本人談>。 すごいから一つずつ触れちゃおう。
『王国 〜Winter Garden〜』はバイエルン王ルードヴィヒ二世が メインの物語。ルドルフにとって母方の親戚にあたります。 ヴィッテルスバッハ家は血族婚の歪みが顕著に現れた一族と言われます。 実弟オットーが狂気を理由に幽閉され、彼もまた湖で謎めいた死を 迎えることになったお方ですが、それはそれ。 人の狂気をテーマにした作品で、暗いですがまだまだ序の口。 しっかし我が子達に流れるヴィッテルスバッハの血を心配してたわりには 国王の従弟バイエルン公レオポルトに長女ジゼルを嫁がせているんだな、 お父様…。毒を食らわば皿までってことかい。ただ言えることは、 精神疾患が遺伝することってまずないと思うよ。たぶん。
『私はアレクサンダー』 『私はアレクサンダー 〜最初の日最後の日〜』 ルドルフの忠犬アレクサンダーのお話。孤独な少年ルドルフとの 出会いから別れまで。ちょっとしんみりほのぼの系。 本編のシリアス場面も犬の台詞が入るとおちゃらけに…。 こんなこと考えてたのかお前。
『若きフランツ・サルヴァトールの悩み』 『マリア・ヴァレリーのつぶやき』 いわゆるコメディ路線。この二人の今後と言うのは系図見ちゃうと 一目瞭然なのですが、どう描かれるのか楽しみです、はい。 本人たちの思惑はともかく大人達は暗黙の許婚と言う意識が あったんですかね?姉娘は母方、妹娘は父方の親戚とか…。 これも外交上必要なバランスなのだろうか。
マリア・ヴァレリーは末娘でして、エリザベートが唯一手元で 可愛がって育てた子供です。やっぱりルドルフなんかに比べると 愛されて育った子供の持つ真っ直ぐな明るさが描かれていますね。 好意的な史伝では姑に子育ての実権を握られていて、第三子に してようやく恵まれた嫡男の、後に生まれたヴァレリーだけ側に 置くことを許されたことになっています。
マンガでは別の疑惑を絡ませてありますが、真相の程は どうなんでしょう。意地悪な物には美貌を惜しむあまり妊娠を 忌々しく思っていたなんて書き方もあったけど、もしそうだと すれば四人目は産まないだろうね。嫡男はもういるわけだし。 かわいがっていたと言うならなおさら違うと思う。世継ぎが 生まれるまではそりゃプレッシャーがあったでしょうが。
不思議なのはジゼルと言いヴァレリーと言い、あの謹厳実直な 皇帝と何考えてるかぜんぜんわかんないエリザベートの間に生まれて どうしてあんなに快活なんだろ?加藤知子の女性キャラは いつもそうだと言ってしまえばそれまでですが。思うに婚前は 母上もそう言う人だったんでしょうね、天真爛漫で素直で…。
『神の箱庭』 マンガでこんなにブルー入るのは『日出処の天子』以来かも。 短編読みきりでまだヨカッタ。 作者の偏愛丸見えのバーベンブルク少年時代。 曰く「こんなのバーベンブルクじゃない〜!」 自分で書いておいて。底なし沼みたいに深くて怖い〜〜。 怖いよ〜〜。
ははは。たぶん後で読み返して今日の記述が一番恥ずかしい だろうな。これ以上何かに熱狂的になっちゃったら。 …考えたくない。(しかも経験あるし)
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