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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ビクトリー号の移管問題

昨年1月16日の日記でご紹介したビクトリー号の維持管理予算が緊縮財政中の英政府の負担になっている問題、「ビクトリー号は海軍博物館に移管し、今後維持管理費は防衛省予算ではなく基金から支出されるが、海軍は海軍博物館との合意に基づいて、今後もビクトリー号の指揮権を有するため、ビクトリー号は最古の現役艦(就役艦)としての地位は保ちつづける」という解決になりそうな模様です。

HMS Victory 'gifted to navy museum'
http://www.defencemanagement.com/news_story.asp?id=19034

私はイギリス人ではないので、例のイギリスの誇りや伝統うんぬんといった心情にはとらわれない、あくまで外部第三者的な立場で見れば、これは最善の解決策かなと思います。
基金から維持管理費を支出というのは、カティサーク号などと同じ形でしょう。
イギリス人はあまり認めたくないでしょうけれど、やはりビクトリー号は象徴的就役艦であっても実際のところは国宝文化財である事実は認めざるをえないのではないかと…でもたぶんそれを認めてしまったらイギリス人がイギリス人ではなくなってしまうのだろう、というあたりも何となく推察はできますが。
でも海軍が指揮権を持ち続けるということは、今後もビクトリー号の艦長は任命され続けるわけですが、その艦長は「海軍博物館に出向」という形になるのでしょうか。


2012年03月25日(日)
水中写真展「海で逢いたい」

東京・大崎で開催中の水中写真展「海で逢いたい」に行ってきました。
JR山手線大崎駅前(東側山手線内側)のニューシティービルのO美術館(おーびじゅつかん)にて、21日(水)まで。
入場無料。

プロとアマチュアのカメラマンが撮影した水中写真100点あまりが展示されています。
各写真の下に撮影者によるタイトルとコメントが。

丹念にコメントを読みながら写真を見ていると感じるのは、「あぁ皆さん、海がお好きなんだなぁ」ということ。
撮影者の「好きです」という気持ちが伝わってくる写真展です。
この雰囲気、帆船模型展に似ているな、と思いました。
模型展も作品に製作者のコメントが添えられているのですが、「あぁ皆さん、海と船がお好きなんだなぁ」と思うのです。

この写真展、前回も見に行ったのですが、前回には気づかず今回気づいてしまったこと、
それでも海を好きでいつづける皆さんの素敵さ…でしょうか?

去年、私たちは海の猛威を目の当たりにしました。「海は怖い」と思われた方、多かったと思います。私も5月のGWに自宅からいちばん近い海沿い(クルマで20分ほどの距離ですが)で久々に潮の香りを感じたときに「あぁ海、こんなに近かったんだ、こわいな」と思ってしまいました。近いと言っても8km以上ありますからほんとの海そばではないのですが。

アウトドアをやっていると、今回ほどの猛威ではないにせよ、大自然に痛い目に遭わされることがある。遭難することもある。
それでも好きでまた行ってしまうというのは、好きでないとできないことだと思うんです。
私は学生時代に山に行っていて、山については少々痛い目にあっても懲りないとは思うのだけれども、海については小説から入っているから、カウチポテト的なところがあって(実際に海に行くより本や映像での疑似体験の方が多い)、海についてここまで好きでいられるかちょっと自信がありません。
それでも海が好きな皆さんが、とても素敵にみえます。

写真展「海で逢いたい」
http://umideaitai.f-web.jp/tokyo.html

21日(水)までの開催です。入場無料ですので、お近くにお立ち寄りの方は是非のぞかれてみてくださいませ。


2012年03月18日(日)
減災の日

今日は一年ということで、今週の更新は昨日の日付で別途UPしました。
今年はやはり、去年より寒いですね。

節電は続けています。エアコンはなしで、ガスストーブのある部屋に家族が集まって過ごす形。
パソコンの画面は暗めの省電力設定。

この一年を過ごして思うのだけれども、
世の中、ちょっとでも可能性があれば公にしておかないと責任を追及される、と思われる方が多いらしく、大自然の猛威は予測しきれないにもかかわらず、大地震の可能性だけは次々と発表されて、
それに輪をかけて「こわい話、悲観的将来」を書き立てて(地震に限らず)売りあげを増やそうとしているような向きもあるように見えるのですが、
被災された方や原発で避難していらっしゃる方はそれだけでも十分に大変なのだから、それに輪をかけて不安をあおって、心を傷つけるようなことは良くないと思う。
それって心を病む人を増やすだけではないかと思うのですが、

可能性を発表することは良いと思うのです。
でも基本的に、人間の技術力で自然をコントロールできるとは思わない方が良いと思うし、できないことに責任を追及するのもむちゃな話だと思う。
不必要に不安をあおるようなことは止めていただきたいと思うし、がれき処理にも協力してあげればいいのに、と個人的には思います。

完全な防災は無理でも減災はできるでしょう。経験から学んで活かしていく、将来に一人でも多くの命が救われるますように。


2012年03月11日(日)
キャラミー君のその後

映画「マスター&コマンダー」でキャラミー候補生を演じたMax Benitz君を覚えていらっしゃるでしょうか?
Acting-lieutenantに昇進するのだけれど、最後の戦闘で倒れる、ブルネットの最年長の候補生です。
撮影当時18才だった彼ももう27才、今はジャーナリストになっています。
昨年末に彼の初めてのルポルタージュ本「Six Months without Sunday」が出版されました。

Six Months without Sunday(アマゾン・ジャパン)
http://www.amazon.co.jp/Six-Months-without-Sundays-Afghanistan/dp/1843410524

上記アドレスのSundayの最後にAfghanistanとついていますが、これはアフガニスタンの英国軍の同行取材ルポルタージュです。
彼はアフガニスタン駐留英国近衛連隊スコッツガーズに6ヶ月同行取材をして、この本にまとめました。

アマゾンUKの著者紹介(下記)によると、彼はあの映画の後、エジンバラ大学に進学して現代史を専攻、さらに南アジア史を詳しく学ぶためにインドのカルカッタ大学に留学しました。
インドからは、ヒンドゥスタン〜パキスタン北部、コーカサス経由で帰国しましたが、ジャーナリストとしての仕事はアフガニスタンのカブールから始まりました。
と、アマゾンUKの著者紹介にあります。ここには「著者近影」も。
すっかり精悍な青年に成長しています。

著者紹介(英語:Amazon.UK)
http://www.amazon.co.uk/Max-Benitz/e/B004P9UO94/ref=ntt_athr_dp_pel_1

Max Benitzで検索すると、本人が書いた記事を読むことができます。
下記は、アフガン駐留英国軍についての記事。
スコッツガーズに同行取材できたのは、彼のお父さんがスコッツガーズに所属していたからなのだとか。

Afghanistan ― a heavy legacy for Generation Xbox
http://www.newstatesman.com/asia/2011/05/british-afghanistan-flank

上記の記事や、そのほかにも彼の書いた記事を検索して読んでいくとつくづく思うのですが、英国の伝統というのは、200年前から基本は変わらないのだな、と。

兵士という職業が家の伝統として受け継がれていくこと。
父の縁でこの連隊に同行取材したBenitz家だけではなく、スコッツガーズの若い兵士の多くが身内に兵士の伝統をもっていることや、それゆえに連隊が一つの家族意識で結ばれていること。
ダグラス・リーマンにブラックウッド家のそれぞれの代の当主を主人公にビクトリア時代から第二次大戦までを描いた海兵隊シリーズがありますが、あそこに描かれている「海兵隊はひとつの一家」に近いものが現代の陸軍近衛連隊スコッツガーズにもあることが、よくわかります。

若者がフットワーク軽く、途上国へ経験を積みに行く(南インド史なら現地とカルカッタ大学に留学し、陸路を帰国しようとする)ところも、昔からのイギリスの伝統で、
このフットワークの軽さがある若者は、日本では一部に限られてしまう。最近は若い人たちが内向きになって海外に出なくなってきていますが(猿岩石の時代はいろいろあったのにね)英国では相変わらずなのが、なんだか嬉しくて。
これは大英帝国の良き遺産(悪い遺産の方が多いけど)のひとつだと思います。


2012年03月10日(土)
コランタン号の航海 最終話更新

コランタン号の航海、更新されています。
下記URLより「最新話を読む」をクリック。

コランタン号の航海・アホウドリの庭 第7回
http://www.shinshokan.com/webwings/title05.html

今号で最終回です。
でも謎はまだ残る。続きはインドでしょうか?


2012年03月04日(日)