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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
コロンブスのドキュメンタリーNHK教育(地上波)

今週は海外からはこれと言ったニュースはないのですが、31日(水)にNHK教育テレビ(地上波)で、コロンブスのドキュメンタリー(再現ドラマつき)の放映があります。
この情報はFさんからいただきました。ありがとうございます。

5月31日(水)19:00〜19:45 NHK教育テレビ(地上波)
コロンブスの航海「サンタ・マリア号を探せ」
http://www.nhk.or.jp/dramatic/


ところで、先々週、ニューワールドの話題でご紹介した復元ガレオン船のGodspeed号ですが、現在、東海岸を航海中です。
首都ワシントンのポトマック川を航行中のGodspeed(写真あり)↓
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/05/26/AR2006052601936.html
(この記事はワシントンポスト紙なので、2〜3日たつとアクセスできなくなると思います)

こちらはオブライアン掲示板への書き込みなので、3日以上たってもアクセスできるでしょう。
「Godspeed Sails」↓
http://www.wwnorton.com/cgi-bin/ceilidh.exe/forums/POB/?C30cd8f0e5I8f-5987-505-30.htm
この写真みると、やっぱりどきどきしてしまうんですよね。
彼らが当時見ていたのはこういう光景なんだろうなぁと思って。


2006年05月28日(日)
グッドナイト&グッドラック

「グッドナイト&グッドラック」に行ってきました。
個人的には過去1年のベスト映画です。

私は結局「クラッシュ」を見に行けませんでしたし、「ブロークバック・マウンテン」も理解したとは言い難いので、正しい評価を下せるわけではありません。が、こちらにアカデミー賞でも良かったのでは、とちらりと思う。
ジョージ・クルーニーに監督賞で、助演男優賞はやっぱりポール・ジアマッティだと…個人的には思うのですが。

1950年代のアメリカの、行きすぎた赤狩り(共産主義者の追放)と愛国主義を敢然と批判し、ジャーナリズムの良心を守ったCBSテレビ報道番組のニュースキャスター、エド・マローの、ドキュメンタリー風の物語ですが、
そう聞くと、まぁ、どうしても、ドラマチックな展開を想像されるでしょう?…放映直前の横ヤリとか反対者の抗議とか、脅迫とか。
にもかかわらず決して屈しないヒーロー颯爽と登場…みたいな、「アンタッチャブル」のような映画というのかしら…やっぱりハリウッドですし。
そのあたりを覚悟して行ったら、みごとはずされました。
実に淡々と、ほとんど脚色なく、過剰な演出もなく、当時の実際を、我々観客に見せて、そして観客に考えさせる。
観客に対して、過剰な解説もサービスもない、
大人の映画だと思いました。

ドキュメンタリー番組というものの基準が、私の中で最近少々偏向していたことに気づいて、恥ずかしくなりました。
どうもあまりにも長いあいだNHKの「プロジェクトX」を見過ぎたせい…というか、
あれは確かに良い番組ではあるのですが、ちょっと演出過剰で、ナレーションとドラマチックな音楽(じつは結構、映画のサウンドトラックが多かった)で泣かせを作る帰来があって。

この「グッドナイト…」を見て、あぁ本来、ドキュメンタリーというのはこういうものであるし、当時の映像や再現映像というのは、こういうふうに、現代の余計な解説や演出なく、ただ事実として見るものなのだなぁと。

報道番組というのは、スタジオで司会進行するキャスターと、間に挿入される実際の取材映像から構成されます。
ご存じと思いますが、「グッドナイト…」では、スタジオで司会進行するキャスター(エド・マロー)と、オンエア前後のCBSスタッフの逸話部分のみを2005年の役者が演じていて、その他の部分、報道番組に流れる取材映像であるとか、この番組に抗議した右派上院議員の演説などは全て、当時の映像を使用しています。
2005年に撮影した部分も、例えばマローが番組で話した内容などは、全て当時そのままの言葉です。

さらに、この映画にはBGMというものが一切ありません。
場面転換に当時のジャズナンバーが流れますが、これは同じCBS局内の別のスタジオでジャズナンバーを紹介する番組が製作されている…という設定です。
このジャズナンバーは、当時の時代の雰囲気を観客に思いおこさせるためのもので、観客の心理を揺さぶるような効果(不安をかきたてるとか、泣かせに持って行くとかいうような)はほとんどありません。

にもかかわらず、この映画には強烈なメッセージがある。
キャスターのマローが50年前に語った言葉そのものに、ぐさりとえぐられるのです。

もし50年後の歴史家が今のアメリカのテレビ番組を見たら…と、マローは言います。
そこに見えるのは「退廃と現実逃避と隔絶」、「アメリカ人は気楽な現状に満足し暗いニュースに拒否反応を示す」
「それが報道にも現れている」
ニュース番組は世間の風潮に迎合し、視聴者の耳に痛い言葉は避けて通る。

さて50年たって、テレビはどうなったのか…と言えば、
あの時代よりさらに、視聴者に迎合を深めているのではないでしょうか。
まぁ日本の現状はアメリカとはちょっと違うのかもしれませんが。



この映画を見ながらふと思い出したことがあるのです。
数年前の金融危機の時、某ニュース番組で「景気を良くしようキャンペーン」というのをやっていたことを。

日本人は、アメリカ人とは違って、暗いニュースに拒否反応は示しません。
というより、ひょっとして暗いニュース好き? 楽天的ではなく悲観的な人が多く、心配性の多い国民性です。
日本のマスコミ(特に週刊誌)の困ったところは、「心配性なところを突いて買わせよう」という商売根性があるところ。
「間もなく大地震!」とか、「ミサイルが飛んでくる!」とかいう記事、よくあるではありませんか。

数年前の金融危機の時の週刊誌ときたら、「あなたの預金は危ない」とか「次に倒れる銀行はここだ」とか、そんな吊り広告ばかりで。
だれもが皆、不安になって、消費を抑えるようになって、銀行からお金を引き出し箪笥預金にする人も出て、

そんな時に「景気をよくするキャンペーン」を張る報道番組があったのです。
経済学者の先生が登場して、「みなさん、経済が良くなるためにはお金がまわらなければなりません」と。
「このまま不安にかられて、お金を使わなくなったり、銀行から箪笥に預金を引き上げたりしたら、いつまでたっても日本の景気は回復しないのです」
この先生はごく当たり前の事を言ったにすぎないのかもしれませんが、やたら悲観的な報道ばかりが流れる中、私にはえらく新鮮でした。

最近は次から次へと猟奇的な事件ばかり起こりますが、あれもどうなのでしょう。
別に今の世の中が特別におかしいわけではないと思うんです。ロリコンという言葉に長い歴史があるように、切り裂きジャックが100年以上前の話であるように、猟奇な人は昔からいると思うんですけど、ただ昔はテレビがなかったので、一般の人はそういうことをあまり知らずに暮らしていた。
それが今は、いかに猟奇か…が微細に報道されるものだから、ちょっとヘンでもそこまでではなかった人が、報道を見て目覚めて、自分でもやってみようと思いたつ…こういう二次災害って意外と多いのではないかしら。

こういう時代に、報道のありかたについて一石を投じた、この映画の意義は大きいと思います。
TOHOチェーンのみの限定公開ですが、いろいろと考えさせられる映画なので、是非おすすめいたします。


2006年05月21日(日)
敬虔なる殺人者 シラス

「ダ・ヴィンチ・コード」の映画が公開され、日本でも大変な人気のようです。
朝8時半の初回上映に1500人近くが並んだ映画館があるとか…TVニュースでも紹介されていました。

この映画、カトリックのタブーを描いていることから、世界的にはいろいろ問題となっていて、上映禁止を求める動きもあるらしい。
配給がソニー・ピクチャーズのため「ソニー製品の不買運動」を主張する宗教団体もあるようです。

この映画で重要な役どころを勤めているのがポール・ベタニー。
プロモーションのために、奥方とジェニファーとカンヌにも出かけたようですが、この関連でインタビュー記事などが欧米の新聞にも掲載されています。

このサイトでこの映画情報を本格的に追いかけるつもりはないのですが、欧米のM&Cファンにはこの映画にも関心のある人が多く、またポールはマチュリン先生を演じた経緯もあることから、面白そうなインタビュー記事が掲示板などに紹介されていました。
ひさびさに読んだポールのインタビューは、なんだか懐かしく、またそのちょっと皮肉な物言いが面白くて、楽しませていただきました。

YAHOOの記事を紹介します。
題して「敬虔なる殺人者」
http://news.yahoo.com/s/ap/20060515/ap_en_mo/film_paul_bettany_1

監督のロン・ハワードから、電話でシラス役をオファーされた時、実はポールはまだこのベストセラーを読んでいませんでした。
その理由は、一部には、「イギリス人の鼻につくスノッブさ」という奴があったからで、あえてベストセラーなど避けて通っていた、とも。

にもかかわらず彼は、コンマ2秒後に「Yes」と返事をしていました。
その0.2秒間に頭をよぎったのは、「修道僧にして暗殺者、監督はロン・ハワード、原作は4000万部のベストセラー」でした。
…正直なお方だわ。またこの優先順位がいいですね。彼らしいというか。

彼はすぐに車に飛び乗って書店に赴き、原作本を購入し、むさぼるように読みふけり、1日半で読み終わってしまったそうです。

ポールの家は実はカトリックなのだそうですが、様々な宗派を知るべきという父親の教育方針から、英国国教会やメソジスト派の集会などにも参加していました。

この映画がカトリック団体から非難を受けていることについて、彼自身は、この小説に関わる宗教上の論争に関わるつもりはない、と言います。

この本は書店の「フィクション」売り場に置いてあった。「哲学書」等の売り場にあったわけではない。
この本を読み始めた人が、ページを繰るのを止めることができなくなるのは、この本に書かれている哲学談義のためではない。
この本は、休暇でビーチに寝転がって2日たらずで読むたぐいの本だよ。
それに、もしこの映画が誰かの気分を害するようなものだとしても、もしその人たちがクリスチャンなら、許しを請う者は許すものではないのかい?

このコメントは、とても彼らしいな…と思って。
これ全くの「正論」ですよね。
おそらく、客観的な判断のできる人だったら、反論の余地なし…のように思えますが。

うーん、まぁ私はクリスチャンじゃないし、日本は基本的に宗教には恬淡とした国民性だから、このあたりはどうも…理解しえない部分もあります。
この映画を、R18の成人指定にして、「大人は自分で判断できるだろう」としたフィリピン政府の対応が妥当ではないかと、第三者的には思われますが。

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TVを見ていたら「パトリオット・ゲーム」の予告が流れていました。
今週の木曜日にNHKBSで放映があるようですね。

5月25日(木)20:00〜22:00 NHK BS11 「パトリオット・ゲーム」

この映画、キリックことディビット・スレルファルが出ているんですよ。脇なんですが、なかなか印象的な役。
ショーン・ビーン演じるテロリストを逮捕し、堂々とわたりあうロンドン警視庁の警部さんです。
この二人の対決は見物です。

この前この映画がTV放映されたのは2003年の秋、M&Cの公開前。
いったいキリックを演じるのはどういう役者さん?…という興味で、予習のために見たのですが、
うん、ショーンとやりあって負けなければラッセルも大丈夫だわ…とわけのわからない納得をした記憶があります。

是非見てあげてくださいまし。格好いいですから…キリック。


2006年05月20日(土)
ピレネー山脈の熊

絶滅の危機に瀕しているピレネー山脈の熊を救うべく、スロベニアはフランスに雌4頭、雄1頭、計5頭の熊を送ることになりました…というニュースはこちら↓
http://uk.news.yahoo.com/19042006/323/slovenia-catch-bears-replenish-numbers-france.html

フランス・スペイン国境のピレネー山脈では、野生の熊が減少を続け、このままでは絶滅も。
そこでフランス政府は、まだ自然も豊かで熊の数も豊富なスロベニアから、熊のお嫁さんと、お婿さんをもらうことにしたのです。

これに対して地元は、羊が襲われると猛反発。
そもそも、ピレネーの熊がこれほどまでに減ってしまったのは、山地に放牧された羊を襲う熊を撃ち殺していった結果です。
何年か前にも余所からの熊を放したことがあるのだそうですが、この熊はその後、羊を襲ったかどで撃ち殺されてしまったとか。
野生動物保護か、羊の放牧か、ピレネーでは大問題になっているそうです。

スロベニアから送られた熊を撃ち殺させるわけにはいかないフランス政府は、地元の理解を得るべく、熊を観光に利用できないかと考えているそうで…うーん。

南フランスでしょ? ツーロンからピレネーまで熊道中すれば? すばらしい観光対策になると思うけれども。いかがでしょう?
フランスのオブライアン・ファンは、ぜひ政府にこの提案を行うべきだと思います…え?

熊が町中を歩いていても、熊使いがついていれば、人々は当たり前のように認めていたのでしょうか?
それとも、昔はピレネー山中にも他の動物がたくさんいて、熊は放牧羊を襲う必要がなかったのか。
いずれにせよその時代、熊は人間と羊と共存できていたことになるのでしょう。

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友人に面白いページを教えてもらいました。

Coast Guard Mascots
http://www.uscg.mil/hq/g-cp/history/Mascots.html
U.S.Coast Guard(米国沿岸警備隊)の艦上マスコットを紹介したページ。

初めて人間が海に出た千年以上むかしから、人は船に動物を乗せていた。食用、戦闘用、はたまた純粋な航海仲間であったり。
米国沿岸警備隊でも、この伝統にのっとり、ほ乳類や鳥を航海に同道している。
これらの動物たちは、艦の名簿に名前を記入され、軍服を支給され、医療記録や懲罰記録にも名前を残している。
その活躍によって、昇進したものも。

というような紹介文とともにさまざまなマスコットが登場するのですが、
例えば、2番目に登場する、沿岸警備隊エリザベス・シティ基地のゴールデン・レトリバー「ターク(Turk)」は、チーフ・ボースンズ・メイト、すなわち下士官としては最高のランクにあり、当直任務もこなしている。…うーむ。

アラスカに所属のRevenue Cutter(…は密輸監視船で良いのかしら? 200年前の小説ならそうなんですけど)Thetis号には、驚くほど多彩な動物たちが乗り組んでいたようです。
通常の犬、猫(この2匹がとても仲がいい)の他に、ブラックベアーまで。
この熊さん、沿岸警備隊史上最大の艦上勤務者だろうとキャプションがついています。
艦上に熊!…それは少々キケンでは?

でも熊をマスコットにしていたのは、米艦だけではないとのことです。
英国艦にも熊はいたらしいですし、それどころか、英国巡洋艦ではガゼル(…ってアフリカ・サバンナのあのぴょんぴょん跳ねる鹿の親戚みたいなの)を飼っていたらしく…大丈夫かしら、甲板を跳ね回ったりしないのかしら。
アフリカの植民地をめぐって、列強が勢力を拡大していた時代の話ですけれど。
この時代、ロシア艦には豹がいたと言います。

ほんとうに、こういうことって、日常茶飯事だったんでしょうか???

Kさま>Hさま>ご紹介ありがとうございました。


2006年05月19日(金)
またまたサプライズ号にまつわる噂

あぁまたか…という感じなんですけど。
サンディエゴのサプライズ号がしばらく公開中止になるらしく、また続編のうわさが。

Sandiego Magazine
http://www.sandiegomag.com/issues/may06/frontpages20506.asp

「Front Pages」の「Insider」の「Joan Maloney」という人の写真の横。
あまりにも何回もこういうことがあったので、狼少年の逸話と同じで、「狼が来た」と言われてももう逃げる気もない私ですが、
(つまり殆ど信じていないということ)

とりあえず、情報だけは掲載して叫ぶだけは叫んでおこうと思います。
「おーい! また狼がきたぞー!」


2006年05月18日(木)
ジャック! 君は私の霊長類を酒浸りにしたな!

欧米のオブライアン掲示板を見張っていると、ときどきヒットに出くわします。
こういう記事を見付けて、掲示板に書き込むファン心理って、よ〜くわかるんですよね。


「ジャック! 君は私の霊長類を酒浸りにさせたな!」( 「Jack, you have debauched my primate!」という件名の書き込み)
http://dsc.discovery.com/news/briefs/20060508/drunkmonkeys_ani.html

米国オレゴン衛生科学大学などによる最近の研究結果によると、アカゲザルの飲酒傾向は人間に大変よく似ている。
一人暮らしのサルは、群で暮らすサルよりも飲酒量が多い。群で暮らすサルの場合、オスザルおよび群での地位の低いサルに多量の飲酒傾向が見られる。
サルは酒に酔うとフラフラと歩き、転び、ゆらゆら揺れて吐き気を催す。人間の酔っぱらいと同じ反応を示している。



それからこれは、どちらかというとアーサー・ランサムのファンうけなんですけど、(書き込みはパトリック・オブライアン・フォーラムにありました)
「英国人が新たなスバールバル諸島を発見!」
http://www.aftenposten.no/english/local/article1312316.ece

スバールバル諸島って、スピッツベルゲン島のことです(アーサー・ランサムの「長い冬休み」に出てきます)。
現在はノルウェー領なのですが、地球温暖化で氷が溶けて、「新しい小島」が水面下から姿をあらわし、これを「発見」したイギリス人がこの小島を自分のものだと主張しているのだそうで。
ノルウエー当局は当惑しているとのこと。



以前にご紹介した「アークティック・ミッション」という映画を覚えていらっしゃいますか?(2005年1月10日の日記)、このミッションのテーマであった、カナダの北をまわって太平洋に出る「北西航路探検」史に関するweb上の展示会が開かれています。
これもオブライアン・フォーラムの書き込みから知りました。

「Of Maps and Man : In pursuit of Northwest passage」(北西航路探検史)
http://libweb5.princeton.edu/visual_materials/maps/websites/northwest-passage/titlepage.htm

「北西航路探検」というのは、大航海時代の昔からのテーマだったのですね。
最近ちょっと意外なところでこの話しを目にしたのですが、ほら、先週の日曜日の更新に登場したHalf Moon号、あの船がニューヨークのハドソン川博物館に復元された理由は、この船がハドソン川を「発見」したからなんですが、実は発見者のヘンリー・ハドソンは、この川を北西航路ではないかと思って探検したのだそうです。
ハドソンの名前も上記の探検史のHPに出てきます。



欧米では今日17日からの「ダ・ヴィンチ・コード」封切に際して、これに出演したポール・ベタニーのインタビュー(英国の新聞など)も紹介されていました。
M&Cに関連した発言はありませんが、このお方あいかわらず…というか、ちょっと発言に毒のあるポールのインタビューって読んでいて面白いんですよね。
これは週末にご紹介します。
「ダ・ヴィンチ・コード」日本での公開は3日遅れの20日(土)からです。


2006年05月17日(水)
ニューワールド(2)

映画ニューワールドの魅力の一つは、ニューワールドの大自然そのものでしょう。
これは本当に、ホンモノのアメリカ・ヴァージニア州の自然だそうです。
現代アメリカの、それも東海岸ヴァージニアにまだこのようなところが残っているなんて!

同じことはもちろん、映画の製作スタッフも考えたそうです。
もうアメリカにはこのようなところは無いだろうと思いこんで、ロケ地となる手つかずの自然を探し、カナダの奥地をロケハンしたそうですが、やはり緯度が上がると植生などが変わってしまって、入植時代のヴァージニアとは雰囲気が違ってしまう。
そこでもう一度原点に戻って、丹念にヴァージニア州内を探したところ、ジェームズ川上流のチカホミニー川に、自然のままの沼沢地が残されていて、コンクリート製の艇庫ひとつ取り壊せば原初のままの自然を取り戻せることがわかった。
スタッフはこの艇庫を買い取り取り壊して、ここをロケ地としたそうです。
ロケーションにあたっては、ヴァージニア州政府の前面バックアップもあったとか。
そりゃあそうでしょう。
この映画を見ていると、私もこの地に行きたくなってしまいますもの。

ヴァージニアは、海洋小説の舞台としても登場します。
アレクサンダー・ケントのボライソー3巻(ハヤカワ文庫NV)でスパロー号の副長をしていたジェスロー・ティロルの故郷はこのヴァージニアで、彼はチェサピーク湾とかこの辺りの水域に詳しいのでした。
ダン・パーキンソンの「海の狐ドルトンの物語」(至誠堂)2巻も、チェサピーク湾が舞台。
デューイ・ラムディンのアラン・リューリー3巻(徳間文庫)の舞台は、実はニューワールドの舞台やロケ地のすぐ側です。
昨日、アランの3巻を読み返してみたのですが、映画を見た後に読むと光景が手にとるようで俄然リアル。

ニューワールド・ロケ地、ジェームズタウンとウィリアムズバーグ、ヨークタウン
http://www.mapquest.com/maps/map.adp?country=US&city=williamsburg&state=VA

上の地図を見ていただくとおわかりだと思いますが、ニューワールドの舞台となった最初の植民地ジェームズタウンは、地図上では(31)と○で囲んで示されているところの左上(First Colonyと地名が見えると思います)。
アラン3巻をお持ちの方は、3ページを開いてこの上の地図と見比べていただきたいのですが、3ページ右下の地図と上の地図は同じ場所を示しています。
アラン3巻4ページの地図にもおなじみのGloucester Point(グロースター岬)、Yorktown(ヨークタウン)などの地名が見えます。
アラン3巻はアメリカ独立戦争が舞台ですが、このあたりは独立戦争の古戦場でもあるのですね。

ロケ地となったチカホミニー川はまた、南北戦争の舞台としても有名だそうです。
1862年のPeninsula Campaign、1864年のOverland Campaignはいずれもこのチカホミニー川近辺のヴァージニア沼沢地を戦場としています。


海洋小説ファンとして気になるのは、やはり帆船でしょう。
私も最初にこの映画に目をつけたのは、予告編に登場した帆船でした。

この映画には4隻のレプリカ船が登場します。
Susan Constant号, Godspeed号, Discovery号は、1607年にニューポート船長の指揮下ジョン・スミスらが英国から航海したガレオンのレプリカ船で、ウィリアムズバーグ財団(Williamsburg foundation)が1989-91年にかけて復元し、通常はジェームズタウン入植地(博物館)のジェームズ川に係留・展示されているもの。
ごく最近の復元ですし、本当はもっと新品で綺麗なのだそうですが、英国からはるばる波風に耐えて航海してきたリアルさを出すため、撮影中はボロボロに見えるように塗装されていたとか。

ジェームズタウン入植地博物館のURL
http://www.virginia.org/site/description.asp?AttrID=17357&MGrp=1&MCat=2

撮影の途中、この3隻がジェームズ川を遡るショットを撮る必要が生じたそうですが、居留地でのロケも同時進行していて、そこにも1隻、船が必要。
またこの200年のうちに川が浅くなったのか、ジェームズ川の遡行には復元船Susan Constantでは喫水の問題が生じました。

そこで急遽、Susan Constantの代役として呼ばれたのが、Half Moon号でした。
Half Moonは、本当はHalve Maen号というオランダのガレオン船で、1608年にデラウェア湾やハドソン川を探検したことで有名。
これを記念して1989年に復元され、現在はニューヨークのハドソン川海事博物館(Hudson River Maritime Museum)に係留されています。
当時の所属はオランダ東インド会社でも1609年と時代が合致するため、立派にSusan Constantの代役をつとめることができました。

ハドソン川海事博物館のURL
http://www.ulster.net/~hrmm/halfmoon/1609moon.htm

アメリカにこんなに、当時のガレオン船がごろごろ復元されているとは思いませんでした。
意外と、昔のイギリス船はイギリスよりアメリカの方に多かったりして。
デラウェアとかチェサピーク湾のあたりは、探せば他にも復元船がありそうです。

最初の入植船は、やはりニューポート船長が指揮したSusan Constantが有名ですが、3隻全てが復元されているところが凄いと思います。でもふと思ったのですが、やはりスペース・シャトル・ディスカバリー号は、このDiscoveryに由来しているのでしょうか?となるとこれは復元せねばならず、となるとGodspeedを仲間はずれにはできない?とか?
そうそう。このクリストファー・ニューポート船長という方も、経験豊富な船乗りで、見事な前歴をお持ちです(苦笑)。
ニューポートは1560年の生まれなのですが、若い頃は、1570年代の後半から1592年にかけて、カリブ海で私掠船の船長をしていたらしいです。
キャプテン・ドレイクのお仲間の、カリブのイギリス海賊だったわけですね。


船と言えば、私この映画を見るまで知らなかったのですが、「ポーハタン」というのは、ポカホンタスの父で、当時この地を治めていていたインディアン部族の酋長の名前だったのですね。
日本人にとってポーハタンは、19世紀の半ばに日本に開国を迫ったペリー提督が率いてきた黒船艦隊の一隻として知られています。
なるほど、ここから名前をとっていたのかと。

ペリー提督の旗艦はサスケハナ号でしたが、これが私、中学生の頃からの謎だったんです、
なぜアメリカの船なのに「サスケハナ」なの?(まさか佐助花ってことわ…)って思うでしょう?
それまで日本は鎖国してたのだから、アメリカ人が日本語を知ってる筈がないのだし。

この謎が解けたのは大人になってからでした。
「サスケハナ」ってチェサピーク湾に流れ込む川の名前だそうですね。
この川をサスケハナと名付けたのはインディアンで、ゆえに英語とは異なる語感になった。
アメリカ人はただ、川の名前を軍艦につけただけで、それがたまたま日本にもある名前だった。

でもこれって、厳密に言えば「たまたま」ではないのだとか。
映画「ニューワールド」では、当時のインディアンの言葉が正確に再現されていますが、聞いているとその響き…抑揚のなさ…が、日本語や韓国語、モンゴル語に似ていることに気づきます。
ネイティブ・アメリカンは民族的にはモンゴロイドで、蒙古斑があるそうです。遠い昔、ベーリング海峡陸続きだった時代に、アメリカ大陸に渡ったモンゴロイドの子孫なのだと。

最後に各レプリカ船のデータを添付します。
Half Moonについては、上記ハドソン川海事博物館のホームページに設計図を含めた詳細がありますので、ご参照ください。


■Susan Constant
種類: three masted galleon
全長 : 96 ft(29m)、 帆の面積: 3900 sq ft(362平方メートル)
建造: 1989 to 1991 - Historic Jamestown shipyard -
    Allen Rawl Naval architect: Stanley Potter
所有者: Colonial Williamsburg
係留地: Colonial Williamsburg, Jamestown Settlement

Discovery, Godspeed 同上


■Half Moon
種類: three masted galleon
全長: 85 ft(26m)、 船幅: 17.3 ft(5.3m)、 喫水: 8.5 ft(2.6m)
排水量: 112 tons、 帆の面積: 2757 Sq ft(256平方メートル)
建造: 1989 - Snow Dock, Albany, NY, USA - Nick Benton
係留地: New Netherland Museum, Croton-on-Hudson, NY
http://www.newnetherland.org/
外見は正確に復元されているが、内部構造は現代の資材を用いて建造されている。



《参考資料》すべて英文
映画「ニューワールド」プロダクション・ノート
http://www.hollywoodjesus.com/movie/new_world/notes.pdf
世界の復元帆船
http://pages.zoom.co.uk/leveridge/replicas.html
クリストファー・ニューポートについて
http://en.wikipedia.org/wiki/Christopher_Newport


2006年05月14日(日)
ニューワールド(1)

テレンス・マリック監督の「ニューワールド」に行ってきました。
あの時代、1607年の入植当時のアメリカに興味のある方にはおすすめの歴史映画。

主人公は、ネイティブ・アメリカンの酋長の娘ポカホンタス。
あのディズニー・アニメ「ポカホンタス」の主人公で、白人入植者のジョン・スミスと恋に落ち、インディアンと入植者の架け橋となったことで、アメリカでは伝説になっているヒロインです。
ただしここで描かれるのは、ディズニーの描いたロマンス伝説ではありません。
当時の風俗、自然を出来る限り正確に再現した歴史映画です。

ポカホンタスが捕らわれた入植者ジョン・スミスの命を助けたこと。初めての冬に食料不足に陥った入植者を救ったこと。
後に人質として入植地におもむき、英語やキリスト教を学んで洗礼を受けたこと。
彼女に心を寄せた入植者の一人ジョン・ロルフと結婚した後、英国に赴き、現地支配者の王女として、英国国王に拝謁したこと。
などは事実ですが、彼女の行為は、後のアメリカ政府のインディアン同化政策の中で白人に望ましいように伝説化されていきました。
野蛮な未開人が西洋文明を知り、キリスト教の洗礼を受ける課程が美化されていったのです。

マリック監督はこの映画で、このような美化されたポカホンタス伝説を排し、1607年に西欧人の言うところのニューワールド(新世界)=北アメリカ大陸、現在のヴァージニア州で起こったできごと…異文化衝突のようなものを、入植者イギリス人、元からこの土地に住んでいたネイティブ・アメリカン、両者を対等の人間として描いています。

その為に監督とスタッフは膨大な資料を集め、研究者の応援も得て、当時の両者の風俗・習慣を完全に再現することにつとめました。
そこに描かれたものは、というより、通り一遍のアメリカ史しか知らない者が見て驚くのは、北アメリカ大陸の大自然の前に驚くほど非力で無力な入植者の現実でしょう。
新大陸開発というのは、西欧諸国が圧倒的な文明差を背景にネイティブを蹴散らした…ようなイメージがありましたから、この現実には驚きました。

映画の中でほぼ史実通り再現されている、北米最初の英国入植地ジェームズタウンは、海岸沿いの平地に掘立小屋を建てただけの、本当にみじめなものです。
でも考えてみれば当たり前ですよね。
新大陸にはほんとうに何にも無いんです。彼ら入植者が英国からわずか3隻のガレオン船で持ち込んだものの他には。

まず第一に海岸沿いの木を斧で切り倒して、根を掘り起こして平地を作り、その木で家を建てると、やっと、雨風をしのげる空間が出来る。
西欧では一般的な石材などもすぐには手に入りませんから、家は木造、地面は土のままで、雨が降ったら居留地の通りには大きな水たまりができるわけです。
食料は英国から船で持ち込んだものだけ、それが尽きる前に、畑を開墾しトウモロコシの種を蒔き新たな食料を自給しなければなりません。

例えば明治時代の北海道開拓とて大変なことには変わりありませんが、それでも北海道の場合はすぐ近くに本州というバックアップ体制があるでしょう?
1日2日航海すれば不足品の補給はできるし、いざとなったら本州に避難することもできるわけです。
それが、彼らの場合は、バックアップを送ってくれる英国は大西洋の反対側ですし、いちばん近い救援先とて何ヶ月も航海が必要な西インド諸島なのですから。

実際に、このジェームズタウン以前にも新大陸入植の試みはあったそうですが、全滅・失敗した入植地(Lost Colony)があったとか。
現在のノース・カロライナ州ロアノーク島というところですが、英国からの船が2年後に入植地に行ってみたところ「何も無かった」。
人の暮らした跡も110人余の植民者も何もなく、彼らに何が起こったのかは未だに不明なのだそうです。
いやはや、この時代に新大陸に移住したイギリス人って、本当にとてつもなくたくましくて勇気のある人たちなんだなぁと。


そんな生命力あふれるイギリス人の一人ジョン・スミスを、コリン・ファレルが演じています。
マリック監督が彼を選んだのは、ファレルが実年齢上、1607年のジョン・スミスと同年の28才だったこともありますが、何よりファレル自身が、とんでもない活力を発散させる冒険者であり、見る者に強烈な印象を与える俳優であること、からだそうです。
確かに「暴れん坊」ファレルはジョン・スミスにぴったりです。

ジョン・スミスは1580年イングランド生まれ。その冒険は、16才で英国を離れオランダ独立軍の傭兵としてスペインと戦うことから始まりました。
1600年、20才の頃にはオーストリア軍に属して、ルーマニアのトランシルバニアで、トルコ軍と戦っていました。
そこで負傷してトルコの捕虜となり、奴隷として売り飛ばされてイスタンブールに行きますが、腕を見込まれトルコ軍の訓練指導をすることに、しかし彼は雇い主であるトルコ人を殺害し、イスタンブールを脱出します。
英国に帰ってはきたものの、エネルギーをもてあまし、冒険を求めていたスミスのもとに持ち込まれたのが、新大陸移住の話です。
映画の中で彼はCaptain John Smithと呼ばれていますが、このCaptainは陸軍大尉の称号と思われます。

新大陸に渡った後も、居留地を離れ奥地を探検し、インディアンに捕虜とされながら生還したり、過酷な冬、餓死の危機、原住民の襲撃から全滅しそうになっていた居留民たちを厳しい統率のもとで生き延びさせたり、並はずれた冒険者ならではの個性と、(ちょっと乱暴な)リーダシップをいかんなく発揮しますが、こういうアクの強さが…上手いんですよね、コリン・ファレルって。サバイバル能力に長けた野生児の魅力というか。
同じ「エネルギッシュなリーダー」を演じても、アレキサンダー大王より、スミス隊長の方が似合いだな、と思います。
何というか、昔の初期のシャープが持っていたと同じ、野性的な暴れん坊の魅力に溢れているんです。

そんなスミスと、酋長の娘ポカホンタスの恋は、野生児の自然かつ純粋…というか、西欧人だとかネイティブだとかは関係なく、大自然の中に生きるただの人間との男女の恋…として描かれています。
インディアンの村に捕らえられ、言葉も通じぬスミスは、ピストルで武装した西欧人ではなく、自然の中に生きるニンゲンという動物として、インディアンたちと付き合おうとする。
言葉が通じないから、最初はジェスチャーによるコミュニケーションから。
この段階では互いに言葉で会話ができるインディアンたちの方が文明人で、ジェスチャーを繰り返すスミスの方が野蛮人のように見える…ところが、おそらく、マリック監督のトリックなのでしょうけれども。
スミスはインディアン社会の中で、一人の男として認められていくのですが、野生児ファレルが演じるとこの課程に説得力があって(髪の毛に鳥の羽をさすと似合うんだな、これが)。

ところが、そんな二人の関係は、後にポカホンタスが人質として白人入植地に住むようになり、西欧の文字やキリスト教を教えられ西洋人化していくと、変わっていく。
そして映画の中では、スミスはポカホンタスと別れ、また別の冒険を求めて旅だってしまいます。

このあたりはどうやらマリック監督の新解釈のようで、
確かに、ポカホンタスが入植地に来たのも、洗礼を受けたのも、スミスが現在のヴァージニア州にあった入植地を離れ北部の、現在のメイン州やマサチューセッツ州あたりの探検に出かけてしまったのも事実ですが、この二つの史実の間にどのような関連性があったのかは、はっきりとはわかりません。

従来のポカホンタス伝説は、このあたりの、ポカホンタスの西洋化を素晴らしいことと評価し美化しているのですが、マリック監督の解釈ではちょっと異なる。
かつては大自然の声を聞き、溶け込んで暮らしていたポカホンタスを居留地に囲い西洋化することは、野生の鳥を籠に閉じこめるようなものであるというように描いていきます。

ポカホンタスを演じたのはクォリアンカ・キルヒャー。ペルー系ネイティブ・アメリカンの血を引く16才。
オーディションでの決め手は、純粋で繊細な表現力を有すると同時にエネルギーに溢れていたこと、なのだそうですが、自然に溶け込む巫女のような風情から、居留地でのスミスとの生気溢れる恋、籠の鳥となってからの傷つきやすい繊細さなど見事でした。

スミスを失い、生気も失って居留地に孤独に暮らすポカホンタスの心を開いたのは、ジョン・ロルフ(クリスチャン・ベール)というもう一人の英国人でした。
ジョン・ロルフについては、生年など詳しいことはわかりません。
彼が史実に名を残したのは、アメリカ入植地にタバコ栽培を広め、初めての商品作物を開発し、入植地が経済的に自立し故国イングランドと対等に貿易を始めるその礎を作ったことによります。

タバコを楽しむ習慣を英国に持ち込んだのは、エリザベス朝時代の船乗りで冒険家サー・ウォルター・ローリーだと言われます。
ただし17世紀初頭、タバコ貿易は全て、スペインとポルトガルに独占されていました。
英国人は高額なタバコを、スペインから買わざるを得なかったのです。

ジョン・ロルフが新大陸に渡ったのは、最初の入植から2年後の1609年の船団ですが、この船団はハリケーンに遭い、カリブ海のバミューダに寄港して損傷修理などを行うことになりました。
ロルフはここで、タバコの種を入手したようです。また(映画の中で彼がポカホンタスに語ったように)妻と生まれたばかりの娘を亡くしたのもこの航海でのことでした。
翌1610年ようやくヴァージニア入植地に到着したロルフは、ここでタバコ栽培を始めます。

次に彼の名が史書に載るのは、1614年のポカホンタスとの結婚ですが、ロルフがどのようにポカホンタスの心を開いていったのか、実際のところはあまりよくわかりません。
ただ、彼がポカホンタスとの結婚を求めて入植地の長デール(Governor Dale)に書いた手紙は残されており、それによれば彼が本当に心からこの娘を愛して結婚しようとしたのだということがわかるとのこと。

映画の中でのロルフは、スミスとは対照的な人物として描かれていて、ポカホンタスに対してもスミスのような直接的な形ではなく、穏やかで静かだが包み込むような愛情をあらわします。
ベールを起用した理由は、抑えた演技(to underplay when appropirate)に優れているところなのだそうです。
そこにはバットマン=ブルース・ウェインの鋭角さはなく、それでいて説得力があるところが、俳優ベールを見ていて面白く…あぁ上手いなと思って、もっといろいろな役を見てみたくなってしまいました…これって私がちょっとファンになったってこと?

ロルフは病気によりポカホンタスを失った後、もう一度再婚しますが、1622年にヴァージニアで死去します。
スミスは1631年に英国で死去。メインやマサチューセッツなどアメリカ北部の冒険を終えた後、スミスが再び新大陸に渡ることはなかったそうです。

ちなみに、ロルフとポカホンタスの間に生まれた息子トマスですが、その子孫の血脈は現代に受け継がれているそうです。
トマスの娘(ロルフとポカホンタスの孫)ジェーンは、ボーリングという大佐と結婚しますが、ウッドロウ・ウィルソン大統領の夫人エディス・ボーリングはその子孫だとか。


《参考資料》
映画「ニューワールド」プロダクション・ノート(英文)
http://www.hollywoodjesus.com/movie/new_world/notes.pdf
ポカホンタスについて
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%82%AB%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%B9
ジョン・スミスについて(英文)
http://www.apva.org/history/jsmith.html
ジョン・ロルフについて(英文)
http://www.nps.gov/colo/Jthanout/Rolfe.html
1607年以前のアメリカ植民とLost Colonyについて(英文)
http://www.britishexplorers.com/woodbury/raleigh1.html


2006年05月13日(土)
ナニー・マクフィー他GW映画

ゴールデンウィークからこの方、年度末の分を取り返すかのようにせっせこ映画に行っています。
それでも取り返せないもの(ヒストリー・オブ・バイオレンスとか)はあるし、連休明けから私の部署は1名欠員(退職者補充無し)のまま発進なので、今後どうなるかは全くわからないのですが。


ともあれ、まずは「ナニー・マクフィーと魔法のステッキ」。
http://www.nanny-movie.jp/top.html
子供むけ(児童文学の映画化)ですが、子供向けというより英国人(もしくは英国好きな方)の大人むけコメディではないでしょうか?
子供に見せておくのは勿体ない、というか大人でないと笑えないネタが続出し、これは子供にはわからないでしょう?と。

舞台はおそらく19世紀末。7人の子供を残して妻に先立たれたミスタ・ブラウン(コリン・ファース)は、妻を失った悲しみにとらわれたまま、子供たちにまで心がまわらず、仕事(葬儀屋の経営者)が忙しいと家をあけ、というよりは仕事に逃げ、子供たちのことはナニー(乳母+家庭教師)にまかせきり。
本当はパパに振り向いて欲しい子供たちは、やんちゃやいたずらの限りを尽くし、次々とナニーを追い出します。
そんな子供たちを氏はただただ叱りつけるばかり。
最後にやってきたナニーは、醜く怖い魔女のようなナニー・マクフィー(エマ・トンプソンwith特殊メイク)でした。
いや実際に、マクフィーは魔女のようなちからを持っているのですが…。

マクフィーの活躍で、ブラウン氏も、子供たちも、本当に大切なものは何かに気づきます。そして最後に再び、暖かで思いやり深い家庭が戻ってくる…あらすじだけを解説すればそんな物語です。
でもこの、マクフィーの活躍が、本当を言えば彼女はあまり活躍していないんですよね。ただ単に、気づくきっかけを与えているだけ。

マクフィーが子供たちに教えるのは「行動とそれにともなう責任」
いたずらをしてはいけません!と怒るのではなく、いたずらによって生じた結果(被害)を子供たちに自覚させ、その責任をすべて子供にとらせること。
このあたりの価値観やしつけががとても、英国的だなぁと思う次第。
父親のブラウン氏も、いろいろ散々な目に遭いながら最後に自分で、自らの至らなかった点に気づきます。

その課程が…しかしけれども決して教訓的ではなく、見事なコメディになっていて、観客は右往左往するブラウン家の人々のどたばたに笑わせられながら、最後には大切なものを教えられる。
原作の力もあるでしょうが、エマ・トンプソン自身によるこの脚本は見事です。

キャストがまた豪華なんですよね。ブラウン家の台所頭に「ヴェラ・ドレイク」のイメルダ・スタウントン、ブラウン氏の葬儀社での部下その1にカドフェルのデレク・ジャコビ…などなど。
豪華キャストを惜しげもなく脇役に使っているところはハリー・ポッターと同じですが、ハリポタと違って脇役がその実力を発揮する機会がふんだんにある。
駄目パパのどたばたを、なさけな〜く演じているコリン・ファースも見事です。
あぁでも「高慢と偏見」以来のファースファンは泣くかな〜。これを見ながら私、二枚目俳優田村正和が初めて駄目パパコメディドラマに主演した時の衝撃を懐かしく思い出してしまいました。

そうそう、海洋小説ファンやシャープ・ファンには笑える…とっても英国的なネタがあったわ。
子供たちが仮病を使って朝起きようとしないんですね。今まで子供たちは、病気になると我が儘が言えて、台所頭のおばさん(イメルダ・スタウントン)にアイスクリームを作って貰えたんですが、ナニー・マクフィーは台所のおばさんに「アイスクリームは作らなくてよろしい」と命じるんです。
「子供たちに必要なのは、アイスクリームより栄養のあるスープでしょう。あなたは昔、陸軍の食事係として働いていたと聞きました。大英帝国の兵士を強くした陸軍特製のスープを、子供たちに作ってあげてください」

イメルダおばさん「了解」っとナニーに敬礼するなり、いきなり、台所のゴミ箱をひっくりかえします。
彼女が生ゴミの中から掘り出すのは、さばいて捨てた鶏のキモや生首(トサカ目だま付き)、ジャガイモの皮、タマネギの芯などなど、これらを全部ぶちこんで、ごった煮にしたのが、おばさん特製「英国兵士を世界最強にした陸軍のスープ」なのです。
飲んでいるうちに鶏のアタマが出てくるスープに、子供たちは悲鳴です。

これは19世紀末の物語ですから、このおばさんが若くて陸軍でばりばりに働いていた頃は、ビクトリア朝の最盛期でしょう。
いやー私、これまで、大英帝国が7つの海に君臨できたのは、彼らがコクゾウムシ・ビスケットと塩づけ肉だけの「粗食」で暮らせる民族だったから…だと思ってたんですが、それは海軍さんの事情で、陸軍さんの事情としては、彼らがジャガイモの皮だろうが鶏のトサカだろうが何でもかんでも食える「悪食」だったから…なんだなぁ、と。え?ちがう?


5月1日のことでした。
仕事が早く終わったので、前売り券を持っていた「ニューワールド」に行こうと思ったら、なんだかものすごく混んでいる。
どうして?と思ったら、前の人が1000円しか払っていなかった。「しまった!今日は映画の日」…これを忘れるなんて、映画ファンとしてはもうボケもいいところで、いかに年度末に忙殺されていたとはいえ…自分が悲しくなって落ち込みました。
でも、とりあえず。
1000円で見られる日に1300円払う馬鹿はいない。他の映画に行こう。
と言っても、有楽町マリオンに他に見たい映画はなく、日比谷に行ってみたら何かあるかな〜とそちらに移動し、紆余曲折のすえ話題の「ブロークバック・マウンテン」に。

感想は…難しいですね。
こういう人間ドラマは、ストーリーを理解するというより人間を理解しなければ本当にわかったと言えないのだろうし、頭では理解しえない話なので、どこまで共感できるか、ひいては映画を見る人の人生経験を総動員してどこまで理解できるか…という問題になるんでしょうけれども、
私やっぱり、主人公のイニスよりも、その彼を理解できなくて結局別れてしまう妻アルマや恋人キャシーの方に共感してしまうんですよ、そちらに引っ張られて、彼女たちの目でイニスを見てしまう。
それではたぶん、この映画を理解したことにはならないんじゃないかと。

イニスは人付き合いが不器用で、ちょっと自閉的な性格で、彼にとっていちばん居心地の良い空間は、ジャックと暮らしたブロークバック・マウンテンでの生活だった…ということはわかるんです。
妻や子供たちや、人の多い町での生活が、イニスにはわずらわしく感じられる、だから彼はジャックとブロークバック・マウンテンを求める。
ここまではわかるんだけど、この先がね。

イニスには彼の世界があって、そこには町に住む女は入っていかれないんですよね。私も同じところで跳ね返されてしまって、その先が理解できなくなっている…ような気がする。
二番目のガールフレンドとなるキャシーに「俺は面白くない男だから」と言ってイニスは別れるんですが、その時キャシーが「本当に面白くない男なんて、女は好きになったりしないわ」と言ってつーっと泣く。
そこに壁があって、その先に入れない彼女の悲しみの方に共感してしまった時に、あぁたぶんこの壁の向こうに行かないとイニスは理解できないんだろうな…と思ったのですが、やっぱり壁は壁。私にはこの先は無理かも。
いや恋愛は理屈じゃない、頭で理解するものじゃない、と言われてしまえばそれはもちろん、その通りなんですが。

もっとも壁があっても共感はできなくても、共存はできるわけで、当時の周囲の人々のようにイニスとジャックの世界を否定することはできない。
居心地の良い空間で暮らすことが幸福なのだから、イニスは彼にとって辛くない空間で暮らしたら良いだろうと思うのだけれども。
それは現代だから思うことなのか、あの時代は過渡期だから難しいことなのかもしれないけれども。

同じワイオミングが舞台ということもあって、20世紀初頭が舞台の「レジェンド・オブ・フォール」を思い出しました。
あの映画でブラッド・ピットが演じたトリスタンって、ちょっとイニスに似ていませんか? 人付き合いが不器用で、ワイオミングの野生の中で生きることが自然で、トリスタンにとっての禁断の人は「兄貴の嫁さん」で女性だったけれども。
第一次大戦から第二次大戦にかけてのあの時代から過渡期はすでに始まっているのでしょうけれど、「レジェンド…」の物語の始まる以前の時代(19世紀のワイオミングとアメリカ家族の価値観=あの映画でアンソニー・ホプキンスが演じていた父親の時代)に生きていたら、イニスはワイオミングの農場で居心地よくふつうに暮らせたのではないか…などと。
ある意味イニスは、カウボーイの価値観に反することをしながら、その実はカウボーイすぎて時代乗れないところもあるのかもしれませんね。「シービスケット」(こちらは1920年代の話)でクリス・クーパーが演じていたあのカウボーイのように。

なんとなく外縁部を歩いているような感想ですね…でも私にはこれが限界のようです。


そして結局、「ニューワールド」の前売り券は、1週間後の5月8日に使用しました。
この映画、たぶんこのホームページをご覧になってくださる方にはおすすめなのではと、
以下のいずれかに該当された方>ぜひ映画館に足をお運びください。

1.アメリカの歴史に興味がある。
2.アメリカの美しい自然を堪能したい。

3.ドレイクや無敵艦隊の時代の英国の船や船乗りに興味がある。
4.木造帆船が好きである。
5.ネイティブ・アメリカンの民俗に興味がある。

6.コリン・ファレルのファンである(みいはぁファン含む)
7.クリスチャン・ベールのファンである(みいはぁ含む)
8.クリストファー・プラマーとディビット・シューリスの上手い演技を堪能したい。

9.ボライソーやアラン・リューリーに描かれたアメリカ独立戦争時代のポトマック湾などの舞台を見てみたい。
10.アーサー王伝説より、映画「キング・アーサー」の方が好き。

11.テレンス・マリック監督作品のファンである。

とても綺麗で丹念に作られた映画なんですけど、ちょっと哲学的で、ストーリーは淡々と進行します。
元になるポカホンタス伝説や、新大陸入植のロマンとアドベンチャーを期待される向きには、はずれでしょう。
このハズレの地味さ加減が、M&Cやキングアーサーに似ているので、私にはとっても好み。

ということで、久々のホームページジャック予告。
明日から1〜2回、このホームページは「ニューワールド」のページになりますので、皆様ご了承くださいまし。


2006年05月12日(金)
オブライアン新刊、6月発売

オブライアン新刊(7巻)、6月下旬に発売になります。

「風雲のバルト海、要塞島攻略」(上)(下) 2006年6月25日発売
…と、早川書房のHPには出ているのですが、6月25日って日曜日ですけど、どっちにずれるのでしょう?

そうですかバルト海ときましたか。間違ってませんが、バルト海にいる時間と、フランスの陸の上にいる時間とどっちが長いかな〜?
でもボストン沖にいた時間よりは長いことは確かです。

いや冗談はともかく。
このバルト海に関してマニアな読みどころ(笑)といえば。
バルト海の入り口エアソン海峡(オーレスンド海峡ともいう)については、ホーンブロワーでもボライソーでもオークショットでも緊迫したシーンが有名ですが、今回も、もちろんジャックは緊迫しているのですが、同乗者が同乗者なので…緊迫していない軍医の目から見たエアソン海峡というのも、新鮮で結構かと。

また魅力的かつ個性的なサブキャラの参入があります。
おたのしみに。


2006年05月09日(火)
ダーシーの新作、全米公開

先週末からアメリカで、ジェームズ・ダーシーの新作「An American Haunting」が公開になりました。
主演はドナルド・サザランド&シシー・スペイセクで、18世紀前半のアメリカ・テネシーを舞台にしたホラー・ミステリー。
「スリーピーホロウ」のようなと形容されていますが、ホラー色が強いようです。

にもかかわらず、ダーシー自身は「僕はホラー映画を見ることができないんだ」と言うのです。
だから彼自身は、この映画の観客ターゲットにはなりえない。

この映画の公開に際して、アメリカのネットニュースにダーシーの記事が掲載されています。
http://www.shns.com/shns/g_index2.cfm?action=detail&pk=HAUNTING-ACTOR-05-05-06

僕は本当に恐がりで、7〜8才の頃に「オーメン3」を見た時には、その後何週間もこわくって眠れなくなったんだ。だから僕はホラー映画というものを避けて歩いて来たんだ
…などと彼は答えているのです。
(あれらら?じゃぁエクソシストは?)

「An American Haunting」はthe Bell Witch(ベル家の魔女)として知られる実際にあった事件を描いた歴史ホラーですが、ダーシーの役柄はベル家の人々に迷信に騙されないように説く学校の先生なのだとか。
登場人物の話す言葉は当時のテネシーで話されていた実際の訛だそうです。これが結構たいへんだったそうですが。

「An American Haunting」のホームページ(英語・Flush Player必要)
http://www.anamericanhauntingonline.com/


2006年05月08日(月)
Sharpe's Challenge

英国在住の友人から「Sharpe's Challenge」の録画VTRが届きました。
ひさびさの再会に感慨ひとしお。

いやまさか、あのサー・ヘンリー・シマーソンを目にして、まったくもって相変わらずのあの性格を目のあたりにして、「あぁもうこのお方ったら変わらないんだから…」と懐かしさにうるうるする日が来るとは…昔は夢にも思いませんでした。
きっと今だったらオーバーダイア・ヘイクスウェルさえ大歓迎できるに違いない。

ここしばらく(ボロミア以来)ヒアリング出来るようになっていたショーン・ビーンの英語も、また聴き取れなくなってしまいましたが、あの独特の訛も耳になつかしいですね。
相変わらず精悍な「現場の人」です。
カーネルと呼ばれてましたから「大佐」ですか? それなりの貫禄はもちろんありますが、でもやっぱり土埃にまみれてサーベル振り回すのが似合っている。
ITVのインタビューに「昔の衣装は入りますか?」っていう意地悪なのがありましたが(「ブーツは入るよ」と答えてました)、第一回の頃のガリガリのハングリーさは無いものの、とんでもなく型破りな現在のシャープ大佐も魅力的。
いやほら、昔から知ってるから何やってもあまり驚きませんけど、いきなりこんな大佐が出てきたら、はっきり言って「ホーンブロワー」のフォスター艦長の比じゃありませんって。

ハーパーにもすっかり貫禄がついてしまいましたが、ターバン…似合いますね。
時代が違うけど、アラビアのロレンスの時代とか第二次大戦のアフリカ戦線とかで、ベドウィンに潜入したら似合いなんじゃないかと。
ことハーパーに関する限り、前編のラストはとんでもないところで終わります。このまんま1日、後編まで待たされたイギリスの視聴者はお気の毒。
(ねたばれ回避のためこれ以上は申しません)

全編のほとんどがインド・ロケです。
藩王の宮殿なども現地に今なお残る館で撮影したものでしょう。
本物のもつ迫力…日差しや乾燥や土埃や、暑さも含めて…にはかないません。

ロケは週休1日で約2ヶ月60日間に及んだそうです。
インタビューでは「インドで食事は大丈夫だったのか?」と聞かれて、「カレーが美味かった。朝から3食カレーはごめんだが、昼夜カレーはかまわない」とのこと。

イギリス統治下のインドは、「インドへの道」や「ガンジー」など19世紀末、20世紀のものは今までにも目にしているのですが、それらに比べるとここで描かれる19世紀初頭のインドは、英国(支配者)とインド(被支配者)の間に、産業革命以後ほどの文明差がなく、統治者イギリス人も絶対者としてお高く止まっていられないところが面白い。

でもそれは、インド独立後の現在に作っているドラマだから…という部分があるのかもしれません。
私はコーンウェル原作の、シャープのインド時代の話は読んでいないのですが、イベリア半島戦争時代もそうでしたけど、テレビドラマはお茶の間で放映されることもあり、やはりどうしても原作よりトーンダウンしています。
コーンウェル原作だともう少し、統治者のイギリス人は悪辣なのかな?と思ったり。

ドラマではシャープが、ヒンドゥーの習慣を無視して英国陸軍の慣習を無理矢理おしつけようとする軍曹から、インド兵を救ってやるエピソードがあります。
彼がそのような権威主義とか弱い者いじめが嫌いなのは良く知られていることですが、でもこれで上手くポイントかせいでるな…とうがった見方をしてしまったり。
英国に対して反乱を起こす藩王も、本人の意思というより、英国人顧問に上手くかつがれているようなところがあり、そのあたりも含めて植民地統治の是非うんぬんといった問題を上手く回避したつくりになっているとは思います。

今回数年ぶりにまた、シャープという役に戻ったことについて、ITVのインタビューでショーン・ビーンは、
この役は自分のキャリアに大きな影響を与えた役であり、常に自分とともにあるものであったこと。ワーテルローが終わった後もシャープにはまだ多くの可能性があるとずっと考えいたこと。
ある人物を数年間に渡って演じた経験があれば、その人物に戻っていくには数日あれば十分なこと…などを語っています。
また殺陣については、ロード・オブ・ザ・リングが、馬もトロイでは乗っていたからその点でブランクはない。ただし最大でも速歩どまりだったから、本格的に馬に乗るのは久しぶりだ、とのこと。
これを読んで「あれ?」と思ったのですが(LOTRと言えば馬が疾走…というイメージがあったので)、考えてみればボロミアが馬に乗っていたのは最初の裂け谷に来るところだけだったんですね。馬が駆け回るのは「二つの塔」以降でした。

馬と言えば私は今回登場するインド人の槍騎兵隊隊長(Captain of Lancer)にほれてしまいました。
英国人が嫌いだと言いながらシャープに手を貸し、何故と問われて、藩王は仇だから敵の敵は味方だと答える人です。
それを聞いてアイルランド人のハーパーがにやっと笑うのですが。

ブレイクニー君を彷彿とさせる、けなげな候補生君も登場しますし、まぁ物語は相変わらずのパターンなんですが、ここまで本格的に当時を味わせていただいたら満足かしらと思います。
英国にDVDをオーダーされた方のところにもそろそろ到着している頃と思います。
どうぞお楽しみくださいませ。…英語のヒアリングたいへんですけど。


2006年05月07日(日)