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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
地中海に沈むネルソンの剣

トラファルガー広場のネルソン提督像、提督が左手に握っている剣は、今はレバノン沖の地中海の底に眠っているという話、
恥ずかしながら私は下記の記事で初めて知ったのですが、

Nelson's £1 million wsord is discovered at the bottom of the Med
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2093409/Nelsons-sword-hidden-looters-diver-discovered-wreck-HMS-Victoria.html

19世紀末の1893年、ネルソンの剣を所有していたのは、提督を崇拝するSir George Tryon海軍中将だった。
Tryon中将の座乗するH.M.S.Victoriaは、1893年6月、レバノン沖の演習中の事故で僚艦のH.M.S.Camperdownと衝突し沈没、中将が保有していたネルソンの剣もそのときに艦とともに沈んだという話です。

この沈船、H.M.S.Victoriaが海底から発見されたのは2004年、
以来調査が行われていますが、
ダイバーのマーク・エリオット氏は先日「Tryon中将の公室と思しき船室からネルソンの剣を発見した」とプリマスで開催された国際難破船会議(International Shipwreck Confrence)で発表した。
エリオット氏は「この剣が当局に押収されるのは不本意だが、英国以外に流出することは避けたい」と語っているそうです。

沈船からの引揚物の所有権については、先週ご紹介したスペイン海軍の財宝船のようにいろいろ問題が発生するようで、
エリオット氏が地元当局(local authorities)という表現を使用しているということはこの沈船、レバノンの領海内にあるのかもしれません。

この件に関し英国防省のスポークスマンは、「英国海軍はネルソンに関する情報を歓迎する(thr Royal Navy would "welcome" any information about nelson)」と答えた、と記事にあります。
なにか微妙な表現。

1893年当時、ネルソンの剣を保有していたSir George Tryon海軍中将は、信号伝達方式など先進的な改革をいろいろと推し進めてきた人物で、尊敬するネルソンの様々な品のコレクターとしても有名だったとか、
Sir George Tryonが命を落としたH.M.S.VictoriaとH.M.S.Camperdownの衝突事故というのも、調べてみるといろいろと興味深いのですが、今回の本筋からははずれますので、ご興味のある方は下記をご覧ください。

ヴィクトリア(戦艦)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2_%28%E6%88%A6%E8%89%A6%29

実は以前にマルタ島の海事博物館を訪れた時に、この衝突事件の後に開かれた軍法会議の絵というのを見たことがあります。
軍法会議はマルタ島に繋留されていたH.M.S.Hibernia(1790年建造の110門艦)の大キャビンで行われていて、もちろん19世紀末のものなので海洋小説で読み慣れた時代のものとはかなり異なるのでしょうけれど、雰囲気をつかむのには参考になりました。

上記日本語Wikipediaからリンクしている原語(English)版のWikipediaには、このときの軍法会議の詳細も詳しく書かれていますので、興味をお持ちの方は英語版もお読みください。


2012年02月19日(日)