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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
Creation:P.ベタニーのダーウィン

ポール・ベタニーがチャールズ・ダーウィンを演じた映画「Creation」が、トロント映画祭にオープニング上映されました。

映画のスチールはいろいろなサイトで見ることができます。

Times Online
http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/film/article6838571.ece

The Guardian
http://www.guardian.co.uk/science/2009/feb/12/charles-darwin-rutherford

Cinemablend
http://www.cinemablend.com/new.php?id=12199

そこはかとなく、なつかしいですよね。
…私ははTimesonlineの写真がお気に入りです(ナマケモノだったらもっと良かったのにねぇ)。
海岸に海兵隊が整列している写真(Cinemablend)は、ビーグル号航海時のものでしょうか?
この航海は1831-36年、M&Cの時代から30年経って、軍服も多少変化しているように思います。
ダーウィンの妻エマを演じるのは、実生活でもベタニーの伴侶であるジェニファー・コネリー、
この二人の絶妙な呼吸も楽しみです。

ところで、この映画は今、思わぬことで注目を集めています。
実は、アメリカでの公開のめどがたたないのです。
米国内キリスト教保守派の抵抗が根強く、興行として成り立たない可能性が高いため、米国での配給会社がつかないのだとか。
何故なら米国でダーウィンの進化論を信じている人は未だ39%、人類は猿から進化したというダーウィンの理論は神による天地創造を否定するものだとして、学校でも教えられていないのだとか。
世界の最先端技術を持ち、自由の国といわれるアメリカで起きた問題であるため、海外むけニュースで大きくとりあげられ、各国で話題を呼んでいるのでした。

アメリカのキリスト教徒の一部に保守派がいるという話は聞いていましたが、カトリックの総本山バチカンが昨年、大司教声明で「進化論と聖書のメッセージの間に相反するところはまったくない」との見解を示しているのに、ここまでかたくなに聴く耳を持たないというのはどういうものなのでしょうか?

米ノートン社のパトリック・オブライアン・フォーラム(掲示板)参加者は、この作品を見てみたいという人が多く、あまりにも宗教的すぎるアメリカ社会を嘆く声も聞かれます。
ヨーロッパでは、この映画を製作したイギリスはもちろん、カトリック国イタリアでも何の抵抗なく映画は公開されるそうです。
この問題に関する限り、旧大陸(ヨーロッパ)の方がリベラルで、自由の新天地新大陸(アメリカ)の方が保守的というのは、極東に住む不まじめ仏教徒の私には何とも不思議なことに見えます。


2009年09月20日(日)