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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ジャイブ――海風に吹かれて

「ジャイブ――海風に吹かれて」
http://www.imageforum.co.jp/jibe/
東京でも2館限定公開なのに、気がついたのが1館があと3日で終わりという火曜日で、
もう今さらではありますが、ちょっと映画の名前を心に留めていただいて、いずれ何か機会がありましたら、
全国順次ロードショーとのことなので、地方はこれからのところもあると思いますし、

本のカバーやCDのジャケットにつられて…というのはよくありますが、
今回の私の場合は完全にタイトル買い…というより、「ジャイブ」とあったので、映画みてみました…という動機。
ジャイブとは、ご存じの通り、帆走中の方向転換のことですが、この映画では人生において風を変え、方向を転換する意味をも含んでいるようです。

東京でつまづいた中年の主人公(石黒賢)が北海道に帰り、高校の同級生(清水美砂)と再会。
「あなたむかし高校のヨット部でいつか北海道を無寄港で一周するって言ってたのに」、って彼女に言われ、
「よしっ!一周してやるっ!」
と、ヨットで北海道一周をめざす気になる、

中年の青春物語との映画評がありましたが、この映画の本質をよく言い表していると思います。
若者が若さに任せて無寄港一周しても、成功物語にしかならないんですが、
主人公もヒロインも、人生に傷ついていた中年だからこそ、チャレンジにも味わいと感動があるというもので、

出航は南の江差…帆船ファンには幕府海軍「開陽」にゆかりの港として有名です。
主人公のヨットは開陽の横の岸壁から出航していきます。
西海岸沿いに宗谷岬へ、そこからオホーツク海を南下。
北海道の大自然…海と空、緑の沿岸が本当に綺麗です。
アイルランドの西海岸に驚くほど似ているので、ちょっとびっくりしました。これ…日本の海よね?
北の海だからでしょうか?

彼の航路と人生航路がどうなのか? についてはネタばれなので申しませんが、
ある程度年齢を重ねた方がご覧になると、身につまされるセリフのひとつやふたつはあるのでは? と思われます。
だからこそ、味わいのある良い映画なのですが、
ときどき、自分がオバサンで良かったと思える時がありますが、この映画もそれを感じさせてくれました。

東京での公開は渋谷の一館のみとなってしまいましたが、何か機会がありましたら、ご覧になってください。
北海道の大自然を見に行くだけでも、一見の価値ありです。


2009年06月27日(土)