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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
6月の国際観艦式が動画で見られます

6月末に行われた「トラファルガー200周年記念国際観艦式」、その映像を約54分間にわたって見る事の出来るサイトを教えていただきました。
Vさん>本当にありがとうございました。
見終わって直ぐに御礼のメールを返信でお返ししたのですが、戻ってきてしまいまして、未だ直接に御礼を申し上げられず、お礼が公開の形になってしまい恐縮です。
感謝感激雨あられとは本当にこういうことなのだと実感しました。
日本にいる限りはあきらめていた光景を見ることが出来て、正直、感涙してしまいました。

何と言ってもですね、皆さま>
スピッドヘッド沖に帆船が群れをなして錨泊しているのですよ。
横静策の網模様ごしに、通過していく帆船が見えるのですよ。
それも動画で。
そりゃあ、ホーンブロワーやM&Cで実際の帆船を目にしたと言っても、それはあくまでの1隻2隻の話で。艦隊は模型かCGで。
それが…、あれだけの数のホンモノが、実際にポーツマス沖に揃うところなんて…この現代にこの目で見ることができるなんて…。

ただしこのサイト、イギリスのものではありません。
なんとイタリア国営放送Raiのサイト。
これはイタリア国営放送製作のトラファルガー記念観艦式特別ドキュメンタリー番組とのことです。
http://www.raiclicktv.it/raiclick/pc/website/0,4388,4-1121-1121-CTY11-CID28614-0-0-0---1-2-ABB0,00.html
こちらのサイトはアメリゴ・ヴェスプッチ号に関するもの
http://www.raiclicktv.it/raiclick/pc/website/0,4388,4-1121-1121-CTY11-CID29820-0-0-0---1-1-ABB0,00.html

私はイタリア語からきし駄目なので、Vさんのお手紙にありました解説におすがりしますと、
この番組は、
>式典に参加したイタリア海軍練習船アメリゴ・ヴェスプッチ号船上からの中継映像を中心としたものです。
>練習船アメリゴ・ヴェスプッチ号は姉妹船クリストフォロ・コロンボ号とともに1930年代に造船されており、
>進水式のニュース映像がこの番組でも挿入されていました。
>コロンボ号は第二次世界大戦中にソ連に拿捕され、破壊されたようですが、
>ヴェスプッチ号はエリザベス女王戴冠の際に行われた国際観艦式にも参加したということです。
>そちらもニュース映像がありました。

25分を過ぎたくらいから、歴史ショーの映像が始まります。
昔ながらの装束(軍服)の士官や水兵たちが登場しますよ。
今回、イタリアのヴェスプッチ号の役割は、狙撃兵役だったそうで、赤海老さんたちが艦上を走り回り、マスケット銃を発射する映像を見ることができます。
ヴェスプッチ号から見たグランド・ターク号(TVドラマ「ホーンブロワー」のインディファティガブル号役)も必見です。


でもこれ、トラファルガーとは関係ありませんが、思わず苦笑してしまったのは、
イタリアの練習帆船がクリストフォロ・コロンボ号とアメリゴ・ヴェスプッチ号だということ。
コロンボってコロンブスですよね? スペイン王家の援助で新大陸を発見した、でもイタリア・ジェノア人の。
で、そのスペインの練習帆船は、エル・カーノ号。エル・カーノは、スペイン王家の援助で世界一周しようとしたポルトガル人マゼランの部下で、生き残ってスペインに戻ったスペイン人の船長。
そして、アメリゴ・ヴェスプッチは、ポルトガルの援助でアメリカを発見した、でもイタリア・フィレンツェ人。

いやその、何と言いますか、練習帆船の国籍を覚えていると、世界史のテストで誤った解答をしそうだ…というか、
歴史にはスポンサー国の名が残るのですが、必ずしも船長の国籍はスポンサー国とは一致せず、そしてイタリアもスペインも意地と誇りを持って、自国の練習船に自国人の名前をつけているところが…なんともはや、ほほえましいというか無理もないというか。


ドキュメンタリー番組と言えばもう一つ。
先週末、イギリスの民放テレビ局チャンネル4でトラファルガー200年関連の歴史ドキュメンタリーの放映があったらしいのです。
実は私もこれ知ったのは放映終了後の31日水曜で、すみません。27日の夜行で旅行に行かなければ事前にわかってたかもしれないんですが、この情報、オブライアン・フォーラムに書き込みがあったのが、日本時間の27日か28日だったんですよね。

ともあれ詳細情報は下記URL。
http://www.channel4.com/history/microsites/T/trafalgar/index.html
「Trafalger Below Decks」というタイトルで、8月27日(土)20:00、21:00、28日(日)21:00の3回シリーズ、各回1時間のドキュメンタリー番組だったようです。

「Trafalger Below Decks」は直訳すれば「下甲板のトラファルガー海戦」つまり、士官ではなく水兵たちのトラファルガー海戦という意味ですが、第1回の主人公がネルソン本人で第3回の主人公がビクトリー号の軍医ですから、内容を反映すれば「トラファルガー海戦の人間ドラマ」とか、そのような感じのタイトルですか?

第1回(27日20:00〜21:00放映)は「Nelson's War:ネルソンの戦い」。
ホレイショ・ネルソン提督本人にスポットライトをあて、伝説の英雄の真実の姿、その実際の人となりをさぐろうとしたもの。

第2回(27日21:00〜22:00放映)は「Rum, Sodomy and the Lash」
直訳すると「ラム酒と男色と鞭打ち刑と」という、かなり刺激的なタイトルになってしまうのですが、これ英国ではかなり有名なサー・ウィンストン・チャーチル(第二次大戦時の英国首相、第一大戦時の海軍大臣)が海軍を評して言った言葉です。
まぁ要するに、19世紀当時の下甲板の水兵たちの日常をチャーチルが評した言葉…というか暴言、これもまたよく言われることですけど「これは毒舌であって、実際はこれほどひどくはない」。
番組はこのチャーチルの言葉の真偽を、検証するような内容になっているとのことです。
確かに水兵たちは一日中、配給酒で飲んだくれていました。ささいな規律違反でも鞭打ちの処罰が行われました。そして、男色に対する刑罰は、死刑でした。ですから基本的には、二番目については発覚即死刑ですから、実際はありえないことなんですけれどもね。

第3回(28日21:00〜22:00)は「Trafalger Battle Surgeon」
第3回はドラマ仕立てのドキュメンタリー、トラファルガー海戦を旗艦ビクトリー号の軍医William Beattyの目から見たドラマだそうです。
Beattyは当日の模様を詳細に記録に残していたらしく、このドラマはその記録をもとに作られているとのこと。
これはちょっと…見てみたかったかな…と、このシリーズ、いずれDVDで発売されたりとかしないんでしょうか?

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明日5日(月)14:30〜16:25NHKBS11にて何故か突然「戦艦シュペー号の最後」の放映があるようです。
第二次大戦のドイツ戦艦の映画ですが、ご興味のある方はどうぞ。


2005年09月04日(日)