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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ローズ号の運命・サプライズ号の運命

映画「マスター・アンド・コマンダー」でサプライズ号を「演じた」のは、同時代のフリゲート艦の復元船で、セイル・トレーニング・シップとしてロード・アイランドを母港にアメリカ東海岸で活躍していたローズ号でした。

ローズ号が20世紀FOX社に売却され、サプライズ号に改装された後も、ローズ号の関係者はいつか、役目を終えた復元船がローズ号に戻り、自分たちのもとに帰ってくる日を待っていました。
ローズ号財団(H.M.S.Rose Foundation)では、ローズ号が西海岸のサンディエゴに旅立ち、セイル・トレーニング活動を停止した後も、The Rose Newsletterというニューズレターを定期的に発行し、ローズ号の様子を伝えていました。

今年9月発行のニューズレター最新号が、ネットにupされていたので内容をご紹介します。

「M&C」の撮影終了後、アメリカ西海岸サンディエゴの海事博物館にFOX社から貸し出されているローズ号の将来について、3つの可能性が考えられてきた。
1.FOX社が他の映画会社に転売する。
2.セイル・トレーニング団体に売却。ローズ号は生来の使命に戻り、一般の人に海での冒険の道を開く。
3.将来が未決定のまま、海事博物館との賃貸借契約が延長される。

だが、サンディエゴ海事博物館の複数の情報筋によると、博物館側の要望をFOX社が了承、ローズ号はサプライズ号として引き続きサンディエゴに留まり、またの日が訪れるまで、もしくは残りの余生をこの地で終わることが、ほぼ決定した模様だ。
ただし、この契約はまだ最終調印には至っておらず、いっさいの公式発表はなされていない。


もしここで、セイル・トレーニング団体に売却が決定していたら、それはもう確実に「M&C続編の目はない」ということだったのです。
その意味では、オーブリー&マチュリン・シリーズ・ファンとしては、ほっと胸をなでおろしているのですが、
ただ素直に喜べないのは、ローズ号関係者の気持ちもわからないではない…ので。

ローズ号が「生来の使命に戻り」の英語は「return to her true calling」、「余生をこの地で終わる」は「San Diego will be the home for ROSE(now Surprise), possibly the remainder of her days」なのです。
風を受け波を切って活き活きと帆走っていた往年のローズ号への愛情と、無念の思いがにじみ出る文章ではありませんか。

とりあえず…、11月以降もサンディエゴの海事博物館に行けば、映画用に改装されたサプライズ号の見学は出来るようです。
アメリカ西海岸…ロサンゼルス近辺に旅行される方は、ちょっとサンディエゴまで、足を延ばされてみてはいかがでしょう?


2004年10月03日(日)