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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ねたばれ無しに10巻を読む方法(上)

早川書房から、映画「マスター・アンド・コマンダー」の原作「南太平洋、波乱の追撃戦(原題:The Far Side of the World)」が発売されました。表紙はラッセル・クロウとサプライズ号、英米版のMovie Tied Edition版「Master and Commander」の表紙を使っています。
ジェフ・ハント氏描く「The Far Side of the World」の表紙はサプライズ号の帆の一部と南太平洋の岩礁という地味な図柄なので、映画版の表紙の表紙で正解だと思いますが、もしMovie Tied Editionの「The Far Side of the World」の原書を買われる予定の方はご注意ください。日本語版「南太平洋、波乱の追撃戦」の表紙は、英米版では1巻「Master and Commander(日本語版タイトル「新鋭艦長、波乱の海へ」)の表紙になっています。10巻「The Far Side of the World」の表紙は艦長中心の異なる絵になっていますので、くれぐれもお間違いのないよう。

さて、この「南太平洋、波乱の追撃戦」、日本では3巻「特命航海、嵐のインド洋」の次に発売されていますが、ご存じの通り、原作では10巻目に当たります。間には4巻〜9巻の6冊分の物語が実は隠されていることになります。
以前に海洋小説系の掲示板で「10巻は読みたいが、4〜9巻のネタバレは困る」という声ご意見がありましたので、ご要望にお応えして、今回は「4〜9巻のネタバレなしに10巻を読む方法」を伝授させていただきます。
…と言っても、私が10巻を入手したのは今日の午前中でして、まだ終わりまで読み切っておりません。でもこういうものは早いほうが良いですよね。うっかり読んでしまってはおしまいですから。

そこで今晩は取り急ぎ(上)巻分のみupします。(下)巻については明日の夜になりますので、「ネタバレは困る」とお考えの方は、恐縮ながら(上)巻を読み終わった後でひとまず本を置き、明日のup(夜になります)をお待ちください。

第1章(P.19〜P.69)
第一章の読み方には二通りの方法があります。(1)細切れにネタバレを防ぐ方法、(2)第二章以下の事情さえわかれば良いとわりきって必要情報だけを得る方法。

(1)細切れにネタバレをふせぐ方法
以下のところを読まないようにご注意ください。
P.21, 10行目「だが裏切られた」〜P.22, 10行目「す募る。」
P.28, 10行目「当の婦人、ローラ・フィールディングは」〜P.29, 14行目「かった。」
P.48, 5行目「送迎艇の舵を取っているボンデンが」〜P.50, 1行目「いた。」
P.54, 2行目「申し分なく看護されている患者を」〜P.57, 14行目「が大変な底力を持っているとは思わない」
上記のほとんど全ては直前9巻のネタバレです。9巻でジャックとスティーブンが別々に取り組んだ任務(海戦と諜報活動)の結果がとりまとめて述べられています。10巻を読むには全く必要のない情報なのですが、ここを読んでしまうと将来9巻が邦訳された時に、全ての種が最初から明かされてしまうことになりますので、ご注意ください。

(2)第二章以下に必要な情報だけを得る方法
こちらは逆に第一章の中から以下の部分だけをお読みください。
P.31, 13行目「あれやこれやの考え事が、」〜P.35, 3行目「艦して、当直士官にこれを見せろ」と言った。」
P.65, 1行目「そんな快報を祝う以上に」〜P.69第一章の最後まで
前巻までの事情は一切考えずに、今回の航海に必要な背景だけを知る方法です。

第4章(P.201〜P.262)
以下のところを読まないようにご注意ください。
P.207,16行目「まったくそのとおりだった。」〜P.208, 15行目「れることだし、」
P.216, 14行目「そうしたところで大差ないですよ」〜P.217,4行目「は単なる幻想、俗信の誤りです」

以上です。第2章、第3章、第5章には、ねたばれ危険箇所はありません。
ジャックがかつてボストンにいたということは諸処で明らかになりますが、これだけでは大したねたばれにもなりませんので、あまり気にせず読み飛ばしてくださいまし。
その他…些細な疑問がいろいろ出ると思われますが(「この牧師のマーティンという人は誰?」とか)、このあたりは来週以降、さしさわりのない程度に解説できればと思っています。


2004年01月24日(土)