外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
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2014年01月13日(月) 「合理化」の盲点。

◆合理化というと、聞こえが良いですが・・・。

90年代、バブルが崩壊して景気が後退局面に入り、

それが、漸く好転しはじめるかな?というときに、自分勝手なアメリカが、

世界最大級の証券会社、リーマン・ブラザースの資金繰りを助けず、破綻させてしまいました。


みんな、バカ扱いするけど、私は自民党を支持しませんけど、麻生・財政金融担当相って、

肝心なときには、正しい事を言っているとおもいます。リーマンが潰れるとわかった、

2008年9月15日、麻生氏はまだ、総理就任前でしたから、さほど大きく取り上げられませんでしたが、

(リーマン・ブラザーズを潰すとは)いくら何でも、世界経済に与える影響が大きすぎる。

と、私が知る限り、最初にコメントした政治家でした。


リーマンを潰したらとんでもないことになるのは、経済の世界に生きる人間なら、殆ど考えるまでもなく、

「反射的に」分かる筈です。我田引水ですが、私は、
2008.09.16 「米証券大手リーマン、破産法適用申請へ」←三菱UFJか三井住友か、みずほが潰れたようなものです。超一大事です。

と書きました。

その後、当時の白川日銀総裁が、講演などで何度も使った表現ですが、
あたかも、岩が崖から転げ落ちるような勢いで

世界経済が後退しました。世界中の銀行が巨大な評価損を抱え、銀行が一つ潰れたら全世界に波及しましたから、

世界中の国の中央銀行が、自国の民間銀行に公的資金を注入して、資本を増強し、国民に「銀行は潰さないから」と

アピールする。そこまでをかなり迅速に実行したので、金融恐慌は免れました。今も世界経済が

回復しているのか、まだ、それほどでもないのか、非常に不安定ですけど、元はといえば、大手メディアはどこも書きませんが、

アメリカが、リーマンを潰したことが遠因になっている、と私は思います。


その所為で、各銀行、かく一般企業は「合理化」という一見正統的な理由の下に「ひどいこと」をしてます。


◆「ひどいこと」の筆頭は「リストラ」です。

仕方が無いじゃ無いかと、言う人が多いけど、他人事(ひとごと)だから言えることです。

作家の伊集院静氏は、「リストラするような企業は会社じゃないの」」と書いてますが、

同感です。これは最後の最後の手段としても容認し難い。

それまで、一生懸命、その企業の為に働いてきた従業員をいきなり失業者にして

飢え死にしろ、というのですから、悪魔の所業です。

意外なことに、景気がやや回復するにつれて、円安の後押しもありますが、、単価の高い商品、

自動車のメーカーの方が、上手い具合に立ち直りました。


一方、車はどう考えても一台100万円もするのに、それよりずっと易い、しかも買い替え抵抗感が少ない

家電関連メーカー、かつての松下電器産業=現・パナソニック、SONY、シャープなどが、次々に

何千人単位で、リストラをすると発表しましたが、経営のミスを従業員をクビにしてカバーしようというのは、

悪魔のような所業です。

特にパナソニックつまり松下幸之助さんが興した会社は、従業員を大事にするので有名でした。

松下幸之助さんが社長だか、会長の頃に家電の新製品を発表しても皆、期待はずれでかなり業績が

低迷してヤバかったことがあります。

普通の経営者なら、「もっと一生懸命、考えて、売れそうな新製品のアイデアを絞り出せ」というところ、

さすがは「経営の神様」。全く逆の発想をしました。

わかった!いい新製品のアイディアが生まれないのは、従業員が働き過ぎて、疲れてしまったからだ。

というわけで、労働時間ではなく、週休二日制を導入して、従業員の休みを増やしました。

なかなかできることではない。しかし、この発想が的中し、まもなく次々に「売れる新製品」が登場し、見事、

松下電器産業は業績を回復しました。

血も涙もないリストラという「合理化」は、恨みを買うだけではないでしょうか。


◆もう一つの合理化。「機械化」。人を減らす事による弊害を予想できませんでしたね。

最近、東京都の中心部を移動していると、首都高速道路の掲示版に

首都高、歩行者立ち入り禁止

というメッセージが表示されているのを、しばしば目撃するのです。

不思議でした。高速道路に歩行者が入ってはいけない、などという常識を、どうしてわざわざ料金所手前に掲げなければならないのか?

先日、タクシーの運転士さんに訊いて、その謎が氷解しました。道路公団の「合理化」つまり「人件費削減」の為、

全国的に、だとおもいますが、少なくとも首都圏では、高速道路の入口、料金所は、

ETC(Electronic Toll Collection(System)=道路通行料自動徴収システム)が中心です。この方が通行料金が安いので、

一般庶民でそれほどしょっちゅう、高速に乗らないひとまで、ETC。その結果。

高速入口に人がいないので、あのゲートのすきまから、痴呆老人が徒歩や自転車で高速道路に侵入するそうです。

私にそのことを教えて下さった、タクシーの運転士さん自身、何度か夜中に、フラフラ歩いている老人を見かけ、

ギョッとして首都高事務所だか、110番に連絡したそうです。全てを機械にしてしまうとこういうことが起きます。


余談になりますが、正月の4日、私はかなり久しぶりに自分で車を運転して都内のホテルで家族と夕食を取ったのですが、

その道すがら。私は最近は殆ど高速というか、車に乗らないので、ETCを装着しておりません。

高速入口に1箇所だけ、「一般用(ETCじゃない人用)」のゲートがあり、ETCより高い800円(まあ、100円差ぐらいどうでもいいです)だから

ということではないでしょう。あまりにも皆さんがETCになってしまったので、係員に直接1,000円札を渡して200円のお釣りを貰う、

ほんの少し前までは、当たり前ことが、却って貴重というか、絶対数が圧倒的にETC車よりもすくないので、

まず、入口が空いてます(本来、料金所の混雑を緩和するためのETCの筈なのですが・・・)。

そして、あの係の方もヒマなんでしょうね。なんだかものすごく応対が丁寧なんです(勿論、いいことですが)。
1,000円お預かりいたします。お待たせ致しました。200円のお釣りとなります。どうぞ、お気を付けて行ってらっしゃいませ。

あれは、30代の男性だったかな?とにかく、運転免許を取って、30年以上経ちますが、高速でこんなに丁寧な言葉をかけられたのは初めてです。

大袈裟にいうと、人と人が接する一期一会のほのぼのとした感覚、がとても懐かしい、とおもいました。


機械化によって、問題が出たもう一つの典型例は金融機関じゃないでしょうか? 

キャッシュカードのスキミングなんて、窓口で通帳と印鑑で預金口座から出金していたら、絶対に起こりません。

ネットバンキングとか、24時間稼働のATM。場合によっては、確かに大変便利ですけど、

客に自分で出金とか振込の手続きをさせておいて、なおかつ手数料を取る「銀行」って、図々しいですよね?


まあ、それは、さておき、なんだもかんでも「合理化」の大義名分で、人出を減らし機械に任せることによる、

新たな犯罪は誰も予想出来ませんでした。だからと言って、全てを昔のようにしろ、とはいいませんが、

合理化といいながら、その為に却って非効率なことや顧客に不便な思いをさせるのはどうかなと思います。

機械にやらせても、いざとなったら全部手作業で出来る人間の技術、知識は維持しておくべきだろうと思います。

本当はもうすぉしマクロ経済的なこと。つまり日本経済全体における「合理化」も書きたかったのですが、

それは、また、後日書きます。

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2013年01月13日(日) 【書評】「人生案内: ピンチをのりきる変化球 野村総一郎 (著) 」←続編です。絶対的名著です。
2012年01月13日(金) 「鳴り止まぬ携帯電話にNYフィル指揮者が手を止めた」←ウォール・ストリート・ジャーナルがトップで取りあげるほどの出来事です。
2011年01月13日(木) 「<センター試験>55万8984人が志願 15日から」←私は共通1次試験第1回目の受験生なんです。
2010年01月13日(水) 「<ハイチ大地震>『300万人が被災』…国際赤十字推計」←「邦人に犠牲者無し」で、極端に無関心になるのは日本人の悪い癖だ。
2009年01月13日(火) 「米の停戦決議賛成、10分前に阻止=ライス長官「恥かく」−イスラエル首相」←パレスチナ人を殺しているイスラエルは恥ずかしくない?
2008年01月13日(日) NHKスペシャル「新型インフルエンザの恐怖」
2007年01月13日(土) テレマンのトランペット協奏曲
2006年01月13日(金) 「バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番-第3番(リコーダー編) フランス・ブリュッヘン」バッハあれこれ。
2005年01月13日(木) NHKだけの問題ではない。他のテレビ局、新聞社も国家権力の介入を受けてるはずだ。
2004年01月13日(火) "Sense of proportion"(平衡感覚)ということ。
2003年01月13日(月) ディズニーランドで成人式ってのはギャグですなあ。

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