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JIROの独断的日記
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2007年01月13日(土) テレマンのトランペット協奏曲

◆ゲオルグ・フィリップ・テレマンというドイツの作曲家がいたのです。

冒頭からどうでも良い話で恐縮ですが、「ゲオルグ」てのは、英語読みすればジョージですから珍しくないのです。

さて、極力簡単に説明すると、この人の生涯を今、調べたら、1681年〜1767年。バッハが1685〜1750ですから、同時代の人です。

当時としては、86歳というのは、ものすごい長命ですね。それだけ生命力があったと言うことでしょう。膨大な数の作品を遺していて、

生きている頃はバッハより遙かに人気があったらしいです。

リコーダーソナタ、リコーダー協奏曲も沢山書いています。

学生の頃、アルトリコーダーを吹くのが好きだった方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。

今からでもきちんと練習して(できればレッスンを受けて)これらの作品が演奏できるようになったら、

決して、他の楽器、オーケストラの楽器に比べて遜色ないと思います。

バッハだって、ブランデンブルク協奏曲の2番と4番でリコーダーをソロ楽器として使っています。


◆テレマンのトランペット協奏曲

何度か過去に紹介しましたが、フランスのトランペット奏者でモーリス・アンドレという天才がいます。

最近の若い人はあまり評価していないようですが、何と云ってもモーリス・アンドレがいなかったら、

「独奏楽器としてのトランペット」という認識は確立しなかったと思います。



本当はトランペットは独奏楽器に向いています。

バイオリン協奏曲は数え切れないほどあり、不朽の名作も多いですが、

バイオリン協奏曲の伴奏をする指揮者とオーケストラは、常に、ソロ・バイオリンが引き立つように、

音量を抑えて弾いています。

バイオリンの音は近くで聴くと、びっくりするほど大きいのですが、

オーケストラが本気でフォルティッシモで弾いたら、聞えなくなってしまう。

専門家に訊くと、コンチェルトの伴奏を上手くできる指揮者というのは、かなりの名人だそうです。

勿論、オーケストラもです。

いくらソロを引き立たせるといっても、ずっと弱い音で弾いていては、音楽が盛り上がりません。

この辺のさじ加減ですね。

ところがトランペット協奏曲なら、オーケストラがどんなに大きい音を出しても埋没することはありません。

独奏楽器に向いている、とは、そういう意味です。

ところが、今のようにバルブ・システムで音程を変化させるトランペットが出来たのは、かなり後になってからなので、

残念ながら、所謂大作曲家のトランペット協奏曲は、無きに等しい。ハイドンとフンメルという人が書いた2曲だけ、

と言っても良いぐらいです。



それだけでは、如何にも少ないので、モーリスアンドレはバロック時代の作品を探して吹いています。

本来はバイオリン協奏曲として書かれた曲をトランペットで吹いたりしています。

今日、ご紹介するテレマンは、数少ないオリジナルのトランペット協奏曲だと思われます。


◆高音域の音色の見事さ。

個々で使われているトランペットは普通のトランペットよりもずっと管の長さが短い、従って音域が高い楽器です。

これぐらいの音域で吹き続けるのは、本当にきついのです。体力が要ります。

そして、普通の人が吹くと、音がキーキーと堅くなりがちです。

モーリスアンドレは、この高音域で、美しい音色を保っています。大変見事です。

30年ほど前、今の「N響アワー」に相当する番組は、曜日はわすれましたが、

「NHKシンフォニーホール」という夜10時ごろから始まり、

大木正興さん(故人)という、ニコリともしない真面目な音楽評論家が一人で曲目、指揮者、独奏者、などを紹介する

今の感覚で言えば味も素っ気もない番組でした。

大木さんは大抵、非常に冷静で、演奏を絶賛することは滅多になかったのです。



ところが、この大木さんが、初めてモーリスアンドレが来日し、コンサートを放送した際、

珍しく、大絶賛したのを、よく覚えています。滅多に冗談も言わない大木さんが、

「この人(モーリスアンドレ)、ラッパをくわえて産まれてきたのではないかと思われるほどであります。

文句の付けようがありません。アンコールで演奏した短い曲の終わりの、高い音。あの音だけでも、見事だと思います」


といったので、見ていた私はとても嬉しくなりました。

それほど、大木さんの手放しの大絶賛は珍しいことだったのです。

トランペットのソリストなど、それまで日本に来たことが無かったのに、大木さんが適切な評価を下せたのは、

長年、「音楽」を聴いてきた賜だとおもいます。

楽器が何であろうと、音楽の核心に当たる部分は同じなのでしょう。


◆テレマン:トランペット協奏曲から、第一楽章と第四楽章。

古典派(モーツァルトの頃から始まる)以降の協奏曲は大抵3つの楽章で、始めが、普通のテンポ。

第2楽章はアンダンテとかアダージョとか、遅いテンポ。

最後の第3楽章は速くて、ソリストの腕の見せ所、という組み立てになっていますが(これを、「急-緩-急」といいます)、

テレマンの頃は、「緩−急−緩−急」という構成が多いです。

今日はゆったりとしたテンポの、しかし、メロディーの美しい1楽章

そして、輝かしい高音で締めくくる第4楽章を聴いて下さい。

エンピツをご覧の方は、こちらからお聴き下さい。

気に入って頂けたでしょうか?

これはね。伴奏はなんと、カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団なのですよ。

CDがこの世に登場する前の録音なので少し音質が悪いかも知れませんが、悪しからず。

これ、「我が青春のレコード」なんです。この他にも何曲か含まれているのですが、

何百回聴いたか、分らないほどです。それでは。

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2006年01月13日(金) 「バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番-第3番(リコーダー編) フランス・ブリュッヘン」バッハあれこれ。
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