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JIROの独断的日記
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2014年01月16日(木) 「海自艦、右後方から接近 「釣り船船長気付かず」」←7.6メートルの釣り船が全長178メートルの輸送艦に気がつかない、と。

◆記事:広島沖・海自艦と釣り船衝突:海自艦、右後方から接近 乗船者証言「船長気付かず」 死者2人に(毎日新聞 2014年01月16日 東京夕刊)

広島県沖の瀬戸内海で起きた海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」(全長178メートル)と

釣り船「とびうお」(全長7・6メートル)の衝突事故で、とびうおの高森昶(きよし)船長(67)=死亡=が

衝突直前まで両船の接近に気付いていない様子だったことが、乗船者の証言で分かった。

また、とびうおに乗っていて意識不明の重体だった大竹宏治さん(66)=広島市中区=が16日午前1時55分、

搬送先の山口県岩国市の病院で死亡した。この事故での死者は2人となった。

毎日新聞の取材に証言したとびうおの乗船者、寺岡章二さん(67)=同=によると、おおすみは事故当時、

とびうおの後方約500メートルから接近してきたという。寺岡さんは船尾の方を向いていたが、

高森さんは前を向いて操船していたため、気付いていない様子で、

「まさかぶつかるとは思わなかったので何も知らせなかった」と説明。

その後、「おおすみはとびうおを追い抜こうとした際、右側から左に旋回する形で近づいてきた」と振り返った。

海上衝突予防法は、前方の船を追い越す場合、追い越される船の進路を避け、十分な距離を確保しなければならないと規定。

また、互いの船が進路を横切る場合は、相手の船を右側に見た方に進路を避ける義務を課している。寺岡さんの証言だけでは、

追い越そうとしたおおすみに回避義務があるのか、相手の船を右側に見ていたとびうおに回避義務があるかはまだ不明だ。


◆コメント:両船の位置関係は全く違いますが、大きさの違いは2008年の事故に似ています。

何のことかというと、2008年2月19日、千葉県沖を航行中のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突し、

漁船はあっというまに沈み、マスコミは、海上衝突予防法第十五条で、

二隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならない。この場合において、他の動力船の進路を避けなければならない動力船は、やむを得ない場合を除き、当該他の動力船の船首方向を横切つてはならない

という文言(もんごん)を発見したらしく、鬼の首を取ったように「自衛艦が悪い」と書き立てました。

それに対して私は批判記事を書いたので、覚えています。
2008.02.20「イージス艦事故:「あたご」に回避義務」←事故の全容が分からない時点で当事者一方の責任を強調するべきではない。

この時、「(イージス艦)「愛宕」に回避義務があった」と断定したのは毎日新聞その他多くのマスコミで、

上の海上衝突予防法第15条をそのまま解釈したのですが、それは、イージス艦と漁船の位置関係が、

15条にぴったり当てはまったからです。




赤がイージス艦の航跡。その進路を漁船がモロに、イージス艦から見て、右から左に横切ろうとした。

だから、イージス艦が取り舵(左カーブ)をとって、避けなければならなかったというのですが、





両者の大きさの違いは歴然としていて、イージス艦「あたご」が全長165メートル。その前を横切って、イージス艦の進路の

ド真ん中を横切ってモロに真横からぶつかられた漁船「清徳丸」は、全長12メートル。

法律がどうなっていようが、常識的・直感的にイージス艦と漁船。これほど極端に大きさが違うのですから

小さい漁船の方が,小回りが利くに決まってますし、小さい船が、十倍も大きい自衛艦の存在に気がつかない訳が無い。

今回、広島沖の海自輸送艦「おおすみ」と釣り船「とびうお」の事故も同じ事だと思います。


◆メディアは、自衛艦が悪い、と言いたげですが・・・・。

この点も2008年と同じですが、主張に無理があります。

海自輸送艦「おおすみ」は全長178メートル。釣り船「とびうお」は、7.6メートル。




そして、釣り船客の証言を、私が読んだ限りでは、読売と毎日が同じように図解してます。









釣り船の後方から巨大な輸送艦が接近して、釣り船進行方向右側を追い抜き、その後、

「急速に」左にカーブしてきて、真っ直ぐ進んでいた釣り船の目の前を右から左に遮った、

というわけですが、全長178メートルの輸送艦が、あたかもモーターボートのようなスピードで駆け抜け、

釣り船が避けきれないほど、左急カーブを描いたと。しかも目の前に輸送艦が現れるまで釣り船は気がつかなかった

というのは、海上(視界を遮るものがない)でしかも視界が良好だったことを勘案すると、

如何にも不自然で、状況をよく調べる必要があります。

万が一、輸送船が釣り船の進路を右から左に遮ろうとしたなら、海上衝突予防法によれば、他の船を右側に見た側

(つまり、この場合、釣り船)が左に舵を切って避けなければならないはずです。

メディアは、詳しい調査報告を待ってから、正確かつ公平な報道をして貰いたいものです。


◆2008年のイージス艦と漁船の事故では、見張りの自衛艦に無罪、「漁船に回避義務があった」という判決でした。

イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突沈没事故では、イージス艦で見張りに立っていた自衛艦の刑事責任が問われましたが、

2011年、5月11日に横浜地裁は、

衝突の危険を発生させた清徳丸側が避航すべき義務を負っていた」と述べ、

被告側(自衛官)が注意義務を負っていたとは認められない

と判断しました。このブログでも取り上げました。
2011.05.12 <イージス艦衝突>2自衛官無罪判決 「漁船側に回避義務」←正しいと思います。

このとき、自衛隊が無罪だったことと、今回の事実認定とは、無関係ですから、まだ、何とも言えませんが、

少なくとも、2008年のイージス艦と漁船の事故に関して毎日新聞は事故当日に、自らの解釈で
(イージス艦)「あたご」に回避義務。

と、断定し、それは横浜地裁の判決で、間違っていたことが分かったのに、そのことに関しては何も詫びず、

また、過去の経験から学んでおらず、何とか自衛隊を「悪者」にしたがっているように思いますが、

結論めいたことをメディアが書くのは早計です。読者は、メディアのそのような性質を勘案して報道に接するべきです。

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