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JIROの独断的日記
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2011年01月04日(火) 【再掲示】【音楽】スヴェトラーノフ=N響「チャイコフスキー・3大バレエ抜萃」(ライブ)

◆手抜きというつもりではないのです。

労力から言えば手抜きですが、時々、音楽記事を載せる間が悪くて、

あまり多くの方に、記事を読み、曲を聴いて頂いていないのではないか、

と思うことがあります。

約1ヶ月前に、このスヴェトラーノフとN響のライブ録音、

チャイコフスキー:「くるみ割り人形」「白鳥の湖」「眠りの森の美女」

をお薦めする記事を書きましたが、これもその一つです。

スヴェトラーノフ氏が振ると、それまで数え切れないほど聴いた曲が、

あたかも初めて聴く曲のように新鮮に響くことがあります。

これこそ、本当の指揮者の仕事だと思います。それまで余人が引き出さなかった、

作品の魅力に光を当てている。

「白鳥の湖」の第二幕「情景」など、今まで何度聴いたか分かりませんが、

スヴェトラーノフ氏の演奏を聴いてから、この音が頭から消えません。

実に名マエストロだったし、N響と、とても相性が良いと思います。

ですので、敢えて、もう一度同じ記事を載せます。


◆NHK(BS)の「名曲探偵 アマデウス「チャイコフスキー“白鳥の湖”」

NHK BSに「クラシックミステリー 名曲探偵アマデウス」という、

クラシック入門番組があります。リンク先の番組サイトを見ると、ふざけてますが、

私がいつも省略している、「理屈っぽいこと」を、専門家が可能な限り分かり易くきちんと説明していて、

勿論、人それぞれ好みですが、良心的な番組だと思います。私もこれを見て、初めて知ったことが沢山あります。

私はこの前の日曜日に見たのですが、結構何度も再放送するのです。「白鳥の湖」は12月5日(日)18時からBS2で。

また、12月9日(木)16時から、BS2で再放送するようです。

かの有名な、チャイコフスキーの3大バレエの一つ、バレエの代名詞と言っても良い「白鳥の湖」全体における

調性の使い分けや、オーケストレーションの妙をバレエ音楽の指揮で有名な福田さんという指揮者が説明したり、

踊る側はどのように音楽を捉えているか、独自の演出・振付を自ら主宰する熊川哲也氏の舞台のサワリや、

インタビューも含まれています。


バレエ音楽は、実際にバレエを上演するために作曲されたものですが、

音楽単独でも優れた作品が多いので、コンサートでもしばしば演奏されます。

「名曲探偵 アマデウス」の最後に、既に故人ですが、ロシアの指揮者、スヴェトラーノフ氏が

(1993年以来、度々来日してN響を振っていますが)2000年10月公演で、チャイコフスキーの3大バレエ抜萃

を演奏したときの映像が流れました。


この演奏を聴いて、私はもう何度聴いたか分からない、彼の有名な「白鳥の湖」第2幕「情景」が

あまりにも美しいので驚きました。


◆「バイオリニストは肩が凝る」より「スヴェトラーノフが来た日」、「スヴェトラーノフの死んだ日」

ちょっと意外なんですが(その理由を説明すると長くなるので省略します)、

スヴェトラーノフとN響は相性が良かったようです。

元N響ヴァイオリン奏者、鶴我裕子さん著、「バイオリニストは肩が凝る―鶴我裕子のN響日記」は、

私のように「オーケストラ大好き人間」には、物凄く面白い本ですが、

この本には「スヴェトラーノフが来た日」と「スヴェトラーノフの死んだ日」の二つの文章があり、

スヴェトラーノフが、N響のメンバーに本気で慕われていたことが分かります。

少し引用させて頂きます。「バイオリニストは肩が凝る」120ページ。

「スヴェトラーノフが来た日」より。

チャイコフスキーの4番(引用者注:のリハーサル)が始まる。棒はきわめて簡潔、弾きやすい。(中略)

1楽章はさっさと済み、2楽章に入る。これは、オーボエがヨヨと泣く旋律で始まるのだが、

ここで、勤続19年で初めてのことがあった。マエストロは、オーボエには「何もしないで」、弦のピチカートの

伴奏には「ヴィヴラートをかけないで」と言ったのだ。ここをヴィヴラートなしでやったりしたら、

99%の指揮者は、まるで犯罪でも犯したかのように叱るのに。で、「スヴェトラ氏」の言うとおりにしてみると

アラ不思議、荒涼たるロシアの風景と、あきらめの歌が現れたのであった。

なんだ、19年もホントのことを知らなかったのか、と思った。こういうことがあるので、

この仕事はおもしろいのです。そして、続く3楽章と4楽章の速いこと、速いこと。

これも、入社以来のフル・スピードであった。マエストロは、それでももっと速くしたそうだったけど。

こうして1日目の練習はアッという間に終わり、私はだんぜん「スヴェトラ氏」のファンになった。

残念ながらN響との演奏は見つかりませんが、「スヴェトラ氏」が長く音楽監督を務めた、

ソヴィエト国立交響楽団との演奏がYouTubeで見つかりました。

件(くだん)のチャイコフスキーの4番の第2楽章です。

Tchaikovsky: Symphony No.4 Mov.II (Svetlanov)








第4楽章の映像です。



Tchaikovsky: Symphony No.4 Mov.IV (Svetlanov)







確かに速いですね(笑)。


さて、「バイオリニストは肩が凝る」にもどりまして。
「スヴェトラーノフの死んだ日」

今年(2002年)5月7日の、成田空港出発ロビーで。

「スヴェトラ、死んだねぇ」

「ああ、つなんなくなっちゃったなあ」

「どうしても死ぬんなら、9月に来てからにしてくれよ」

「楽しみにしてたのに」

「喪に服したいから、黒、着てきたんだ」

「ただのTシャツじゃねえか」

我々はその日、デュトワの指揮で、韓国の合唱団と「第九」をするために、ソウルへ出発

するところだった。

本来、指揮者はプレイヤーのカタキだ。人につらいことを全部押しつけておいて、手柄は

横取りする、嫌われて当然の存在なのだ。それなのに、オケの「みんな」が、その死を知って

ショックを受け、本気で悲しむなんて、めったにあることじゃない。


「ダイアナ=プリンセス・オブ・ウェールズに捧げます」--あの声を忘れない。名演だったチャイコフスキーの

第5番の2楽章に入る前だった。客席は水を打ったようになり、こちらも涙が込み上げそうになった。

超ロマンチストだったスヴェトラ。あらゆるメロディを、これでもかというほど遅くして、歌わせたスヴェトラ。

しかし、チャイコフスキーの第4番の2楽章では、ソロを吹くオーボエに「何もするな」と言ったスヴェトラ。

注文は1回きりしか言わないので少しこわかったスヴェトラ。口数の少ない、でも練習の途中で、ポツリポツリと、

ショスタコーヴィッチの棺桶をかついだ話などしてくれたスヴェトラ。大汗をかいて、本番でも楽章ごとに休んで

あおいでいたスヴェトラ。


(中略)

楽員一同、心からご冥福をお祈り致します。

ここまで書いて貰える指揮者は、鶴我さんのおっしゃる通り、少ないでしょうね。


◆スヴェトラ=N響による、チャイコフスキーの3大バレエ抜萃。

前述のとおり、NHKの「名曲探偵 アマデウス」で、スヴェトラが「白鳥の湖」の「情景」を演奏したのが、

あまりにも美しかったので、CDを探したら、ありました。

チャイコフスキー:「くるみ割り人形」「白鳥の湖」「眠りの森の美女」です。これはお薦めですね。

少し引用させて頂きます。鶴我さんが書いておられるとおりで、白鳥の湖の「情景」を、思い切りテンポを落として演奏してます。


チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」より第二幕「情景」


Swan Lake Act2 Scene



綺麗でしょ?ものすごく美しいですよね。何度聴いたか分からないほどなのに、改めてハッとするほど

聴き手に「美しい」と感じさせる指揮者というのは、あまりいません。


白鳥の湖で「情景」は第二幕ですから前後するのですが、第一幕の「ワルツ」もまた、

大変に気品のある美しい音楽です。


「白鳥の湖」第一幕「ワルツ」


Swan Lake Act1 Waltz



次は「眠れる森の美女」の「ワルツ」これも大変有名です。

チャイコフスキー:バレエ「眠れる森の美女」第一幕「ワルツ」


Sleeping Beauty Act1 Waltz



最後は、チャイコフスキーがよくやる、「音階をそのままメロディにしてしまう」手法(?)の最も典型的な例です。以前、

2007年03月03日(土)チャイコフスキーと「ドシラソファミレド」ココログ

という文章を書きましたが、これは、この「くるみ割り人形」の「パ・ド・ドゥ」を聴くたびに思っていたことでした。

しかし、逆の考え方をすると、音階とはこれほど美しい「メロディ」になりうるのだ、という証明でもあります。


チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」第二幕「パ・ド・ドゥ」




Nutcracker Pas de deux



この曲が終わって「ブラボー」ってのはあんまり聴いたことがありません。

やはりスヴェトラーノフは、名マエストロでした。

このCDはお薦めします。

勿論、他にもチャイコフスキーや、ショスタコーヴィッチの交響曲でスヴェトラの名演は沢山あります。

むしろバレエ音楽は、珍しい。

だからこそ、お薦めなのです。

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