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JIROの独断的日記
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2010年01月04日(月) <鳩山首相>年頭会見「正念場の一年と覚悟」←鳩山政権の問題点は何か。

◆記事:<鳩山首相>年頭会見「正念場の一年と覚悟」(1月4日11時30分配信 毎日新聞)

鳩山由紀夫首相は4日午前、首相官邸で年頭の記者会見を行い「首相として原点、初心に帰り、

国民の皆さんのための政治を作り上げていきたい。その正念場の一年だと覚悟を決めている」

と政権交代の成果を急ぐ考えを強調した。18日召集の日程で調整している通常国会へ向けては、

09年度第2次補正予算案と10年度予算案について「早期に成立させるために全力を尽くしてまいりたい」と述べた。

首相は会見の冒頭、「100年に1度の大きな改革をやるために政権交代を実現した。これからがスタートだ」と強調。

「マニフェスト(政権公約)などで約束した子ども手当、高校無償化、農業者戸別所得補償制度を今年はスタートさせていきたい」

と10年度予算案の成立を優先させる考えを示した。

また、今年夏の参院選前に内閣改造を行う可能性について「一切考えていない」と否定。

「閣僚がころころ代わることで国民の信頼以上に世界の中で存在感が薄くなっている。

できる限り閣僚の皆さんには長く務めていただきたい」との意向を示した。衆参同日選についても「そのような発想はない」と否定した。

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡っては「数カ月の中で沖縄にも米国にも理解をいただき、

(政府・与党の沖縄基地問題)検討委員会でしっかり議論し、結論を出すことを約束する」と表明。

今年、日米安保条約改定50周年を迎えることを踏まえ「重層的な形で日米同盟を深化させる大事な年だ」との考えを示した。


◆コメント:民主党と鳩山は何を失敗したのか。

鳩山内閣発足時の内閣支持率は70パーセント台だったが、その後の無為無策に

さすがに国民はあきれ果て、12月18日に時事通信が行った世論調査では、遂に5割を切った。

昨年、リーマン・ショック後の世界景気の後退のスピードを白川日銀総裁は、
岩が崖から転がり落ちるような、という形容なそのまま当てはまるほど

と述べたが、今の鳩山内閣支持率の落ち込み振りは、それにそっくりだ。


どうしてこれほど急激に支持率が下がったのかと言えば、誰が見ても明らかな通り、

鳩山首相は「何も決められない」のである。

優柔不断とは正にこの時のために日本語に存在した言葉ではないかと思うほどである。

国民にしてみれば、極端に言えば、
少々間違ってもいいから、兎に角「何かを決断出来る」ところを見せて欲しい。

のである。それが、何も決められないから見ていてイライラしてしかたがない。

これが最大の支持率凋落の原因だろう。

特にやばいのが、普天間基地の移設問題で、最初の会談で、オバマ大統領に
"Trust me."(私を信用しろ)

と言っておきながら、結局何も決めないことを決めたまま、コペンハーゲンの温暖化会議、COP15に

逃げ出してしまった。そこには、オバマも来ていたので、鳩山首相は、「何も決められない理由」を

説明して分かって貰おうとしたが、アメリカ側は「口先男にあっても仕方がない」といって拒否した。

62歳の日本の首相が48歳のアメリカの大統領に、「こいつ、口ばっかりだ」と思われてしまったのである。

一般人が日常会話で使うなら別だが、日本国の政治の最高責任者が、米国大統領に
"Trust me."

という言葉を口に出す意味が分かっていなかったようである。


◆官僚を「敵」としか見なさなず、上手く使おうとしなければ無理に決まっている。

昔、田中角栄という政治家がいて、後に内閣総理大臣大臣になってから、金権政治を暴かれ、

ロッキード疑獄で、獄中の人になってしまったが、彼は、政治家としては、今の民主党よりも

遙かに上手だったようだ。何しろ小学校しか出ていないのに、30代で初めての大臣、

郵政大臣になったとき、東大法学部卒のエリート官僚が舌を巻くほど、記憶力がよく、

関連法規、制度全て暗記していて、統計の数字も頭に入っている。東大出もギョッとするほどだった。

歴史上の人物としては「金脈政治」の「汚い」政治家のイメージが先行してしまうが、

田中角栄は、議員になってから大臣になるまでの十年間に、大量の議員立法を実行していた。

当然それなりの勉強が必要だし、当時の大蔵省(現・財務相)や旧建設省(現・国交省)の屁理屈が達者な

役人相手に、交渉する術を身につけていたのである。


(誤解を避けるために書くが、田中角栄がいいとこばかりだったと言いたいのではない。

今の民主党があまりにも役人の使い方が下手だ、といいたいのである。)

そして角栄は、役人を上手く利用した。

以下は、当時、日本経済新聞のインタビューに応じた田中角栄の言葉である。

役人は生きたコンピューターだ。政治家は方針を示すものだ。

方針の決まらん政治家は役人以下だ。

役人と一度仕事をすれば(人間関係は)切れない(JIRO注:切れないのは結構だが、癒着されると困るがね。)

初めはケンカするんだ。すると(役人は)「何で、あんたの言うことを聞かなければならないのか」という。

私は「政党政治なんだよ。君が局長になれば、オレを利用するようになる」と。

するとあとで分かるのだね。「やっぱり自分が子供でした」と役人は自分で言うもの。

だから、役人はまた、自分のところにくる。

後半、ちょっと分かり難いが、田中角栄というのは、自分に楯突いてくる役人がいると、

普通は、左遷したり、極端な場合、地方に飛ばしたりするが、角栄はそいつを昇進させてしまうそうだ。

偉くして貰ったら、役人は文句を言えなくなる。如何にも永田町と霞ヶ関のドロドロした感覚であるが、

役人のコントロール法としては、上手い。


民主党は、全て役人を「悪人」であるという前提で出発し、政治家が全てを決めると言い、

大臣・副大臣・政務官の3人で全てをこなそうとしているが、各組織とも、何万という職員を抱える組織で、

恒常的に何らかの問題を抱え、また、毎日のように新しい問題が起きるのだから、3人で決めようというのは、

常識的・直感的に明らかに不可能なのだ。そこで方向を修正すれば良かったのに、意地をはるものだから、

国家が「多臓器不全」のようになっているのである。


◆来年度予算案概算要求額95兆円のすさまじさ。今年度の概算要求額、いくらだったと思います?

素人の政治家3人で何でも出来るんだ、と意地を張って役人を排除した結果、

来年度の概算要求額(各省庁が、翌年度に必要と見込まれる政策経費や人件費などを提示する。

今までは、各省庁が8月31日までに財務省に概算要求書を提出することが政令で定められていて、

財務省は経費などの査定を開始。政府は12月下旬に翌年度予算の政府案を閣議決定し、

年明け1月の国会に提出する慣例だったが、民主党政権はこれを廃止し、例の「事業仕分け」

で「無駄を削減する」パフォーマンスを繰り広げた)は、何と95兆円となった

財務省の役人がやっていたら、概算要求額の上限(シーリング)を設定していたのに、

民主党政権はこれをなくしてしまったからである。


因みに、昨年提出された、平成21年度一般会計概算要求額調はリンク先を見れば分かるとおり、

86.1兆円で、前年比+3兆円だったのである


つまり、誠に皮肉というか、滑稽というか、民主党は「如何に無駄な予算が多いかを国民に示す」といい、

あの「事業仕分け」ショーをテレビカメラの前で繰り広げたが、各省庁の要求内容がちんぷんかんぷんなので、

議論が成立しないまま、内容が分からないと「凍結」とか「圧倒的縮減」にしてしまった。

そして、9兆円削減するといいつつ、大騒ぎして7,000億円しか削れず、結局、来年度概算要求95兆円である。

ただひたすら役人を敵視した結果である。

こういうのは「餅は餅屋」で財務省の、これを商売としている役人に任せれば、少なくとも前年比微増で済んだ筈なのである。

これが、現実の民主党政権である。

大事なことは決められずに、アメリカにはコケにされる。

無駄を省く。政治家が全て決める。官僚は排除する、といった結果、

余計に予算が水ぶくれしてしまい、財源をどうしよう?といっている。


コントか?

まだまだ問題はあるけれども、一度に書ききれないので、今日はこの辺で。

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