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JIROの独断的日記
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2007年03月03日(土) チャイコフスキーと「ドシラソファミレド」

◆我が意を得たり、というメールをプロの音楽家の方から頂いたのです。

私の拙い文章を読んで下さる方が、大勢いて下さって、誠に恐縮してしまう。

ことに、御存知の通り、私はしばしば音楽に関して、知った風な事を書くが、私自身は、専門的な訓練を受けた人間でもないし、

特別に繊細な感受性をもっているわけでもない。

音楽評論家の吉田秀和氏の文章を読むと、「音楽を聴く才能」というものが存在することが分かる。

吉田氏の文章を読んでいると、自分は「聞く才能」すらないことが良く分かる。
それにも関わらず、音楽が好きなので、つい、知ったかぶりを書いてしまう。


読者の中には、現役のプロのプレーヤーもおられるので、恥ずかしいし、緊張するが、

インターネットが存在しなかったら、絶対に伺えないようなことも教えていただけて
実に実に、有りがたく、また、面白い。


◆チャイコフスキーのオーケストレーション・・・というか・・・。

先日、現役バリバリのプロの弦楽器奏者の方からメールを頂戴して、ハタ、と膝を叩きたくなることが、書いてあった。

ラベルやチャイコフスキーは、大変なアレンジャーだと思う、とおっしゃるのである。



ラベルはボレロの特殊効果など天才的なことは、良く知られている。「オーケストラの魔術師」と呼ばれたぐらいだ。


チャイコフスキーの三大バレエ音楽のひとつ、「くるみ割り人形」は良く知られている。

バレエとしてではなく、管弦楽曲として音楽だけがコンサートプログラムに組み込まれることも多い。

但し、全曲ではなく、大抵は「ハイライト」である。だから知らない人も多いと思うが、

有名な、「花のワルツ」の次に演奏される、「パ・ド・ドゥ」(Pas de deux)という5分ほどの曲がある。

まず聴いて下さい。


ココログへのリンクです


大変美しいが、ある意味、すごい。

私にメールを下さったプロの方は、この曲を演奏するとき、

「何だ?音階じゃん?」

と思われるそうだが、まさしくそのとおり。最初から最後まで、やや極端に言えば、
「ドーシラソファーミレドー」

(「ラーソファミレードシラー」もあるが・・・)しか、無い。

これで、5分ほどの曲にしてしまって、聴き手に飽きさせないのは、アレンジ、乃至、オーケストレーションの達人だ。



私も子どもの頃から、アーサーフィードラー・ボストン・ポップスのレコードをかけながら、いつも、

「よくぞ、『ドシラソファミレド』だけを、これほど大胆に使ったものだ」と思っていた。

それが、プロからメールを頂いて「ハタと膝をたたきたくなっ」た理由である。


◆チャイコフスキーは「ドシラソファミレド」が好きだったのではないか?

と、思われるフシがいくつか、ある。

お断りしておくが、それが良いとか悪い、と書きたいのではない。

チャイコさんの特徴の一つと言ってもよいのではないか、と思いついたことを綴っているだけである。



さて、まず、有名な「悲愴」交響曲の第一楽章の終わりの部分。

金管楽器の静かなコラールの陰で、弦楽器がピチカートで、
「ド・↑(オクターブ上がる)ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド」を繰り返している。聴いて下さい。


ココログへのリンクです

ね?やってますでしょ?


さらに、さすがに、「パ・ド・ドゥ」ほど何も加工しないで使っているのはすくないが、

基本的な旋律線は「ドシラソファミレド」である作品が他にもある。

「オー人事」のコマーシャルで使われた、「弦楽セレナーデ」第一楽章冒頭である。


ココログへのリンクです

途中戻り書けるが、結局下へ向っているのがお分かり頂けるであろう。

オクターブ下がってから、コントラバスがご丁寧にも、「ドレミファソラシ」と上まで戻して、

また、「ドーーシーーラーー」と、降りてくる。


◆極めつき(?)交響曲第四番終楽章

チャイコフスキーの交響曲は6曲あり、最後が「悲愴」である。

6曲の中では、6番に次いで、4番、5番も名曲だ。このうち、4番の終楽章を聴いていただくが、

ここにも、同じように「ドシラソファミレド」系の下降旋律が冒頭から出てくる。

テンポが速く、スリリングだ

演奏する方は大変だろうが、聴く側は「血湧き肉躍る」という感じで、名演に運良く遭遇すると、ブラボーの嵐だ。

非常に速い下降音型をコントラバスまで、懸命に弾く様は実に視覚的にもカッコいい。

フレーズの終わりでティンパニ、大太鼓、シンバルが続けざまに一発を決める。タイミングが勝負である。

終わり近くなると、シンバルの叩くタイミングが変るので、注意して聴いていると面白い。それでは、どうぞ。


ココログへのリンクです

なかなか、エキサイティングですね。


というわけで、チャイコフスキーさんはやはり、

「ドシラソファミレド」が好きだったのだ、私は勝手に思っている。


◆おまけ:今日(3月3日)に初演された有名曲2つ。

1842年3月3日、メンデルスゾーンの交響曲第三番「スコットランド」が初演された。

私はこの曲の第2楽章のクラリネットのソロが大変好きである。よければ、聴いて下さい。


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「スコットランド」の初演から33年後、ビゼーのオペラ「カルメン」が初演された。


「カルメン前奏曲」です。これは、もう有名ですね。


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全く私個人の好みであるが、最近の「カルメン前奏曲」はすこし「お上品」に過ぎる。

もっとシンバルをドッカーンと鳴らして欲しい。

それでは、今日はこの辺で。

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