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JIROの独断的日記
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2010年05月30日(日) 「<自殺防止策>健康診断に精神疾患検査追加へ…厚労省PT」←一概に良いことずくめではないのですよ。

◆記事:<自殺防止策>健康診断に精神疾患検査追加へ…厚労省PT(5月28日20時48分配信 毎日新聞)

厚生労働省の自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム(PT)は28日、職場におけるメンタルヘルス(精神衛生)対策の充実や、

精神疾患の患者に対する訪問支援などを柱とした自殺防止策をまとめた。今後、自殺対策を推進する内閣府とも連携し、

政府の総合的な対策として具体的な検討作業に入り、11年度からの実施を目指す。

メンタルヘルス対策では、職場での健康診断の検査項目に精神疾患を発見するための項目を加え、

このための労働安全衛生法改正も検討している。不調者を把握した場合は、労働時間の短縮や休業、

職場復帰などの対応が適切に行われるよう、精神科医らが産業医などを対象に研修を実施する。

だが、人事面などで不調者が不利益を受けないための配慮も必要だとしている。

精神疾患がありながら治療をしていなかったり、治療を中断している患者に対し、保健所や民間の専門職員らが訪問支援を行う。

1人暮らしの無職者や離婚した人、生活保護受給者の自殺率が高いことも統計から分かっており、

都道府県が行う心の健康相談をハローワークで実施したり、福祉事務所に精神保健福祉士などの配置も検討。

精神保健医療改革も推進し、うつ病に有効とされる認知行動療法の普及に向け、専門家を養成するための研修を実施する。

厚労省によると、09年の自殺者数は3万2845人で12年連続で3万人を超えた。

08年の約3万2000人のうち、うつ病が原因とみられる人は約6400人。(注:色太文字は引用者による。)


◆コメント:うーむ。難しいところですねえ・・・・。

いつも、弊日記・ブログをお読み頂いている方は既に御存知ですが、

毎日、初めてこのブログにアクセスなさる方も多いので、改めて書きますが、

私は、10年越しの遷延性(慢性化した)うつ病の患者で、今は安定してますけど、

それでもいまだに抗うつ薬と抗不安薬、睡眠薬を服用しているものです。

かなり安定しているので、現在は、2ヶ月に一度、ずっとお世話になっている、

某大学付属病院の精神科外来に通院しています。幸いなことに、主治医は日本有数のうつ病の権威です。


だから、こういう記事は、自然と目に飛び込んで来るのです。

日本の自殺者数は、12年連続3万人を超えていて、先進国でこんな国は他に無い、

と、言われています(言われていますとは、日本と他国の統計の信頼性がどの程度か分からないからです)。


少なくとも日本の統計(12年連続3万人超)を信用するとして、それを防ごうというのは前から言われていて、

内閣府には、自殺対策ホームページがありますが、

先日も書きましたが、このページはうつ病ではない人が、うつ病や自殺者の統計などを調べるときには便利でしょうが、

うつ病患者向けには出来ていません。


長妻厚労相が本気で「何とかしないと」と考えている様子は分かるのですが、プロジェクトチームの自殺防止案は、

無条件で評価出来るかというと、「うーむ」と考え込んでしまいます。

以下、その理由を書きます。


◆「健康診断の一部として精神疾患検査追加」とありますが・・・。

気持ちというか、意図はわかるのです。

自殺者の相当な割合はうつ病だったが、適切な治療を受けなかったことが原因となっているのではないか、

ということは以前から云われています。しかし、それは何故かを考える必要があります。


大きな理由は「精神科」を受診することへの抵抗。うつ病は世界の精神疾患診断で一応「基準」とされている。

アメリカ精神科学会が作った、"DSM-"(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders version4:精神疾患の分類と診断の手引第四版)

という本では、「精神病」(Mental desease)ではなくて厳密には「気分障害」(Mood Disorder)

なのです。

しかし、はっきり言って、今でも日本では多くの人は、
「精神科に通院している人間=キチガイ」

の偏見から解放されていない。世間もそうだし、うつ病に罹っている人もそう思っている。

だから、受診しない→治療を受けられない→本当にうつ病ならば(稀に自然に治ることもあるが)症状は悪化する。

それが、自殺が減らない原因の一つである、という仮定に基づけば、自ずと、なるべく多くの人が診察を受け入れられるようにする。

そのために、会社の健康診断の項目にする、という発想は分かりましたが、

うつ病ってのは、なにか血液検査で特定の物質が検出される、という類の障害ではないのです。

或る腫瘍が良性か悪性か、妊娠しているかしていないか、糖尿病か否か、というほどはっきりした

客観的科学的診断方法は無いのでありまして、DSM-犬發△までも「目安」に過ぎません。

相当臨床経験のある専門医(=精神科医)がかなり、時間をかけて、場合によっては、何回か日を改めて

診断して、うつ病であるかどうか判断するのです。

血液検査で、「コレステロールや中性脂肪が多すぎます。メタボですね」というのと

同じようには診断出来ない。健康診断項目に入れるといっても、いい加減にやったら意味がないのです。


◆今まで、日本の企業では「精神科に通院している」と知れたら、"The End"なのです。

もう一つ、大きな問題は、記事の中で、私が色太文字で強調した部分です。

人事面などで不調者が不利益を受けないための配慮

サラリーマンが、「最近、異常に憂鬱だ」と思い、本屋で「うつ病とは何か」みたいな本を読んで、

自分が当てはまると思っても、精神科に通院しないのは、もし、精神科の患者であることを、

人事部が知ったら、キャリアに関わるからです。

私の場合は、最初は街のメンタルクリニックに通院しましたが、職場環境が原因となっていることが

明らかだったし、あまりにも苦しかったので、このままではヤバイと考え、自ら上司にカミング・アウトして、

配置転換を申し出ましたが、随分悩みました。

私の職場は、はっきり言ってかなりの大企業で、いきなりクビになることは無いけれど、

一旦、「精神科患者である」ことを人事部に知られたら、その時点で将来は完全に閉ざされる。

定年までいられても、もう、絶対に一生、昇給も昇格もしないのです。

それが分かっていたから、迷いましたが、後に(恥ずかしながら)自殺未遂して、

大学病院の精神科に三か月も入院することになりましたから、最早、自己申告するしかない、

と決めました。

繰り返しますが、私の会社は相当の大企業で、そういう人もクビになることはないのですが、

一生、昇給・昇格もしないということが分かっていて、それでも食うためには働かなければならない、

という状態は結構辛いのです。


これは、なんとかもう少し会社も柔軟になって欲しい。私なんか良い方で、失礼だけれど、

中小企業だったら、とっくに首を切られていると思います。それが原因で自殺した人もいると思います。

ですから、病気を理由に人事において「ドロップアウト」にしてしまうのは良くない。

それはそうなのですが・・・・。


◆企業も社員も「うつ病」を悪用できる、という問題。

プロジェクトチームの提言では、

人事面などで不調者が不利益を受けないための配慮

が必要、と書かれていますが、それが遵守されるかどうか、という点がやや不安です。

なんだかんだいって、会社は、或る社員がうつ病だと知り、

「それが理由ではない、無理をさせない為だ」

と言い繕って、残業の無い閑職に異動させることが、やろうと思えば出来ます。


逆の立場からの「悪用」の可能性も生じます。

狡い社員がたまたま「うつ病である」と診断され、それを悪用することが可能です。

即ち、「うつ病である(あった)」ことを理由に人事面では差別してはいけないということを

逆手にとり、会社は病気とは無関係に、単純に本人の能力が無いから昇格させない場合でも、

病気を「悪用」しようとする社員が、会社に対して、
会社が、自分がうつ病であることを理由に人事面で差別している

と、「言いがかり」を付けて、労基局(だか厚生労働省本省か知りませんが)、に告発する

という事があり得る。それが本当に不当なのか否かの判断が難しい。

会社はえてして非情なものですし、「うつ病」に関する知識が中途半端に世の中に

知られているので、これを利用して怠けようとする社員が現れる可能性があるということです。


◆結論:少なくとも、普通の健康診断に項目追加、ではなく、独立して検査すべきです。

「悪用」に関しては考えすぎかもしれませんが、少なくともうつ病診断については、

通常の会社の健康診断の項目追加という程度では無理です。

別の健康診断として、専門医が、かなり時間をかけて面談をして診断を下すべきだと思います。

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